ナバルフェから湾を挟んで反対側に位置する軍港がカザルフェである。
同じ島内なので陸路も使えるが、軍用運河が整備されており、専用の早馬ならぬ早舟が走れるようになっている。
ナバルフェも貿易港と軍港の両方の性質を持つ港であるが、カザルフェは完全な軍事基地という性格が強く、一般の船の出入りは基本的にできない。それを見定めるためにカバルフェの対岸には軍の監視塔が建てられ、光を使った通信で連絡を取り合い、湾全体の通行を止めることもできる。
カザルフェの軍艦は、中型船が主力である。
この世界で海戦と言えば遠距離から火矢や赤の魔術で火をかけるか、鉤縄をかけて転覆をさせるか、船に乗り込んでの白兵戦、または潜水兵による浸水工作である。
カザルフェの船は機動力の高さが自慢で、それには漕ぎ手の練度が物を言う。
一方海軍力としては西方諸島に次ぐ力を持つ王国でさえ、主力は兵員輸送力に主眼を置いた大型船が主体で、多くの場合において西方諸島の船の方が海上で素早く柔軟に動き回れるという強みを持っている。
帝国の同盟国である西方諸島では、帝国の開発した小型の魔導炉を載せた蒸気機関を供与されている。
これを搭載した小型船団、第二実験艦隊には三艘の中型船と六艘の小型船から成る、蒸気船団が配備されており、実験を続けている。
西方諸島の現海軍大将であるベルズエル総督は、同艦隊には多大な期待を寄せており、実戦での実験を望んでいるという。
ほぼ完全な軍港であるカザルフェの補給は、運河の下流にあるフェドリンの村からの輸送と、ナバルフェからの輸送で成り立っている。
フェドリンも地続きであるものの道中は険しく、輸送は基本的に水運である。
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