東域の制式軍装は、主にアルトゥーンにおける軽騎馬兵隊と歩兵隊に分けられる。
まずは軽騎馬兵隊である。
斥量の大きくない東域馬を駆る軽騎馬兵は騎兵槍と剣での武装が基本である。
東域騎馬兵の使う騎兵槍は刺突だけでなく、斬撃にも対応した薙刀である。
ある程度重さのある薙刀は東域軽騎馬兵の疾さを損ないかねないが、帝国の重装騎兵に対抗する武器として開発された。
すなわち、重量のある刃を遠心力で叩きつけて斬ることができるようにしたものである。
槍の間合いの内に入られた場合、即座に槍を捨てて剣を取る。
この剣は、薄く、反りのある刃の片手長剣で、切れ味が鋭い分金属鎧などには向かないが革や鱗を斬るのに向く。
こちらは革鎧を纏うことの多いサンドフォークや砂漠の魔獣討伐に特化した武器である。
甲冑は主に通気性を重視した鎖鎧と小札鎧を合わせたものを着用する。
即ち、小札を繋いだ胸当ての下に上半身のみの鎖鎧、それに兜と籠手と具足である。
籠手や具足は軽くて動きやすい革の物が好まれる。
次に、歩兵隊である。
歩兵隊にとっても、東域の暑さは大敵であり、やはり通気性の良い鎖鎧と小札鎧を着る。
騎兵との違いは、小札鎧が胸だけでなく腰まで覆う大型のものになり、好みによっては小札で作られた大袖がつくことである。
それにヒュームの背丈の倍ほどの長さの歩兵槍を抱え、陣形を崩され乱戦になった時のための、短めに作られた両刃剣を備える。
この長大な槍を使って槍衾を形成する集団戦が東域歩兵の戦い方である。
この地の歩兵にはドワーフやノームなど小柄な体躯の者が多いため、槍の長さが倍以上に見える、とは東域の民の言である。
弓兵は騎兵同様の胸だけの小札鎧のみか、せいぜいが上半身を守る鎖鎧で、扱う弓は複合弓である。
また、魔術兵団は剣としても使える金属製の杖を備えることが多く、これは言うまでもなくスィンザーク製である。
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