岩と砂に囲まれた東域にあって、この下顎連峰ほどの秘境はない。
砂漠に囲まれた峻険な岩山というだけでなく、山の麓近くにはトルゴイユの鉱夫たちが採掘を終えた廃鉱が点在し、迷路のようになっている。
廃鉱の多くは立ち入りができないようになっているが、魔獣の巣になっている個所もあり、危険は大きい。
さらにはそれを利用するゴブリンも棲み付いていることもあり、トルゴイユの冒険者同業者組合はいつも討伐の依頼書が並んでいるという。
中腹を越えると、人蛇が多く生息する。
亜獣種の生物は敵ではないが、彼らは自分たちの領域を侵したり、獲物を横取りしたりする者には容赦がない。
敵として考えた場合、強力な毒を持った人蛇は脅威であり、知性を持っている分魔獣より性質が悪い。
噴煙を上げる火口の付近には、飛竜種の営巣地がある。
飛竜種は氷竜種、水竜種と並び古代の知恵ある龍の力を多く残した種であると言われ、非常に危険な生物である。
しかし、その危険に見合うだけの価値はある。
飛竜種は全身に大量のアニマを蓄えており、鱗に、革に、爪、牙、角と、一頭狩ることができればサンドフォークの氏族が一年は暮らせると言われるほどの金と替えることができる。
この危険を省みず、飛竜種を狩りに来る者は少ないが、もし竜を目当てにこの山に来るのならば、事前の準備だけは欠かさない方がよい。
何しろ、獲物は背負って帰るというには巨大すぎるからだ。
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