光(第2巻)

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光(第二巻)[]

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J-F-ルサフォード著

明石順三譯[:訳]

光(第二巻)

エホバが其の僕等に示さんとてイエス-キリストに与へられたる

黙示録

の豫言(よげん[:預言:])の成就を示す諸事実

発行所萬国聖書研究會

発買所燈臺[:灯台] 社

(Light, Book 2-in Japanese)

Copyrighted 1930 by

J-F- Rutherford

Watch Tower Bible and Tract Society

International Bible Students Association

Made in U.S.A.

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光と生命の根源なる

神ヱホバ

の御前にこの書を捧ぐ

’’願はくは汝の光と汝の真理とを放ち、

我を導きてその聖き山とその帷幄(あげばり)とに

行かしめ給へ’’(詩篇43篇3節)

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光(第二巻)

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目次

第九章審判の顕示(黙示録15 16 章)-7-

第十章偽善の暴露(黙示録1 7章)-78-

第十一章證[:証]明(黙示録18 19章)-132-

第十ニ章運命(黙示録2 0章)-214-

第十三章榮光(黙示録21, 22章)-263-

第十四章全勝(ダニエル書2章)-338-

[ :この出版物には節も質問も在りません:本に書かれて居る通りにルビそのまま書いたので在り、旧仮名遣い漢字そのままで!!]

[345] …

(secc,2節) 五十余年以前、Adventists(アドブエンチスト)と称する一群の熱心なるクリスチャンが上記のダニエルの豫言(よげん[:預言])を解く書物を出版して、かの恐ろしき巨像は相次いで興亡したバビロン、メデア・ペルシャ、ギリシャ及び羅馬(ローマ)の四国を表象するものなりと説き巨像の金の頭部はバビロンを表象し、銀の胸はメデヤ・ペルシャ帝国、銅の部分はギリシャ帝国、鐡(てつ[:鉄])の部分は異教羅馬帝国(いけうローマていこく)を表象(へうしゃう)

[346] し、而(しか)して鉄と粘土(ねばつち)の混合で成っている足部は「[:神]聖羅馬帝国(せいローマていこく:神聖ローマ帝国の帝国ローマの継続の諸侯の分裂迄で強い鉄を受け継いだ諸侯領邦国など弱い粘土の諸侯領邦国などとかハプスブルクもの皇帝は名前だけの名誉職で領土はも少なくして終結し神の岩石で砕かれる?しかるに「預言に現れたアメリカ合衆国」であると章題などがあり場所は偽りの宗教で不条理であいまいであるが預言の成就に与かる処が在る?千年期は在るが天での?千年期の地上は荒廃して竜のサタンが住む処の?セヴ・アドヴェンチストのエレン・グールド・ホワイト・ハーモンもの著作「各時代の大争闘」の解釈もは?)」と自称する羅馬(ローマ・)カトリック教会制度を表象すると主張した。従来燈臺社(じうらいワッチタワーしゃ)より発行されている書物の示す所も之(これ)と大同小異であった。以上の解説は全く誤(あやま)っている、何故(なにゆえ)なればそれには充分(じうぶん)の理由(りいう)がある、卽(すなは)ち、

(第一)ダニエルによって代表(だいへう)されていた級(きふ)の者は主イエス・キリストが其の殿(みや)に臨まれる時まで顯(あら)はれず、従ってこの恐ろしき巨像の意義を諒解する事が出来なかったと云ふ事である。上記の解説は主が其の殿(みや)に臨まれた時より遥(はる)か以前になされたのであって、斯かる事は決してあるべからざる所である。然(しか)し之(これ)は別に此の解説をした者が神に罪を犯したと云ふ訳では決してなくして、神は彼らが其の御言[葉]を探求せんと努めた點(てん)を嘉(よみ)された事は無論である。ダニエルの豫言(よげん)に云ふ、『我が此の示現(あらわし)を蒙(かうむ)れるは凡ての生ける者に勝りて我に知慧(ちえ)あるに非ず、唯その解明(ときあかし)を王(および之(これ)を知らんとする者)に知らしむることありて、王の遂に其の心に想ひ給ひし事を知るに至(いた)り給はんが爲(ため)なり』(ダニエル書2:30)。更に又斯く記さる、「天に一の神ありて秘密を顯(あら)はし給ふ、彼後(かれのち)の日に起こらんところの事の如何(いか)なるかを知らせ給ふなり」(ダニエル書2:28)。此の「後の日」と「主の日」と同一であって、即ち神が其の王をシオンの聖(きよ)き山に立て給ひし時より始まった時の事を意味しているのである、(詩篇2:6)。此の出来事は1914年(大正3年)に起きた。そして此の事は其の時直後に

[347] は知らされなかったが、1918年(大正7年)に主イエスが其の殿(みや)に来たられし時より後に、主より膏(あぶら)そそがれたる人々は諸々の豫言に対する更に明らかなる諒解を与へられた、何故(なにゆえ)なれば天にある殿(みや)が開かれたからである。(黙示録11章19節)。此の豫言は「後の日」に至りて発生し、其の時に於いて解明されるとダニエルが告げている以上、神は其の「後の日」の来るまではダニエルによって代表されたる忠信者に此の豫言(よげん)を知らしめざるやうに定められたのであって、其の時以前に於いては決して諒解(りゃうかい)する事が出来なかったのである。

[360] …

諒解(りゃうかい)

(secc,1節)1918年に主が其の殿(みや)に臨まれたるときに、殿級(みやきふ)に入れられたる献身者の心に更に大なる光が照り始めた。之等忠信者(これらちうしんしゃ)が王國開始の事實(じじつ)と、サタンが天界より放逐(はうちく)されて、其の活動範圍(くゎつどうはんゐ)を地上(ちじゃう)に局限されたのを知り始めたのは1925年(大正14年)頃であった。天界に於け

[361] る二つの大異象(だいいしゃう)は彼等(かれら)に顯(あら)はれて、之等(これら)の異象(いしゃう)は初めて神の民によって諒解(りゃうかい)さるるに至った。

此の故に神の受膏者と雖(いへど)も主イエスが其の殿に臨み給ひし時以前に於いて『恐ろしき巨像』に關(くゎん)して正當(せいたう)なる諒解を得(う)る事は不可能であった。而して之のみならず聖書は明示して、はやくより記録されある所は皆世(みなよ)の末(すえ)に際して地上(ちじゃう)に立つ忠信者(ちうしんしゃ)に利益を与え、彼らを慰め、力附(ちからづ)ける爲(ため)に殘(のこ)されたのであると告げている。(コリント第一10:10 。ローマ書15:4)。以上動かし難(がた)き眞理(しんり)の光によって、我等(われら)は更(さら)に進んで「恐ろしき巨像」に關(くゎん)するダニエルの豫言の研究を續(つづ)ける事とする。

[362] …

サタンが此の預言の示すが如き野望(やばう)を達っせんと実行したことは絶對確實(ぜったいかくじつ)である。彼は一の組織制度を所有する者として全部のものを神エホバに背逆(はいぎゃく)せしめ、神の被造物の「集会(しふくわい)」(集合)の「山」(組織制度)に位を設(まう)けて北(ヱホバ)の如くにならん」と考へたのである。神は當初ルシファーに一の組織制度を与えられたが、彼サタンは總(あ)らゆる點(てん)に於いて神の組織制度に似たるものとせんと考へ、此の組織制度をヱホバに反対して己が野望遂行(やばうすいかう)の爲に用ひつつあるのである。ヱホバは彼サタンが其の悪しき道に進むのを放任して置いて、彼サタンを「陰府(よみ)に落として坑(あな)の最下(いやした)に入れる」時を豫定(よてい)して置かれたのである。(イザヤ書14:15)。

サタンは己の組織制度をBab-il(バビル)と呼んだが、之は「神に達する門」と云ふを意味す。之(これ)ぞ即

[363] ち彼サタンが彼の組織制度を通じてのみ人は彼に来たりて彼を拝するを得る事を知らしめんとしたのであった、之は神エホバの組織制度を通じてのみ神に到達するとの方法を模倣したのである。彼サタンが『この世の神』なる事は一点疑ひなき所である。(コリント第二4:3,4)。バビル即ちバビロンはサタンの「婦(をんな)」即ち彼の組織制度の名称であって、神ヱホバは此の悪しき組織制度をBa-bel(バベル)と命名されたが、之は「混亂(こんらん)」と云ふを意味す。(創世記11:9)。之等(これら)の二種の名称の間には甚だしく相似たるものが在るがその意義は異(ことな)っている。神は此の悪組織制度をバベルと命名されたが、何故なれば之は地上全人類を混亂(こんらん)せしむるものであるからである。而して此の混亂は特に悪魔の宗教を通(つう)じて爲(な)された。

[365] …

(secc,2節)野の獸類(じうるい)と空の鳥類(てうるい)とは完全なる人アダムに従屬(じゅうぞく)せしめられた。アダムがエデンより放逐(はうちく)されてのち、野の獸(けもの)は暴(あら)く猛(たけ)くなり悪魔の霊を發揮(はっき)するに至った。獸類(けものるい)をして人間に敵對せしむるに至ったのは即ち悪魔である。これぞ即ち野獸(やじう)や爬行動物(はかうどうぶつ)が何故(なにゆえ)に人間を滅ぼさんと常(つね)に

[366] 窺(うかが)ふかと云ふ理由(りいう)を明白に説明するものである。地上に於けるサタンの最初の代表者(だいへうしゃ)はニムロデで在った。サタンはニムロデを「權力(ちから)ある獵人(かりうど)」となして野獸を狩らしめたが、斯くして人々は欺(あざむ)かれてニムロデをヱホバより偉大なる者なりとして之を崇拝するに至ったのである。サタンは人々を欺(あざむ)いて、神は野獸をして人間に敵對せしめられると誤信せしめて、之により人々をして神ヱホバを呪詛し、誹謗するに至らしめたのである。而してニムロデを…彼ニムロデは人々の間にヱホバよりも勝れたる者であると崇拝されるに至ったのである。(創世記10:9)。…

[370] …

(secc,1節)巨像の足部(そくぶ)と趾(ゆび)には鐵(てつ[:鉄])の部分と粘土(ねんど)の部分とがあると示されている。足と趾(ゆび)は脚部の重要(ぢうえう)なる部分であって、サタンの組織制度である此の巨像を支持す。粘土は石の如くに見ゆ、即ち瞞着的擬装(カモフラージ)である。即ち之は僞善行爲(ぎぜんかうい)である。サタンの組織制度の見ゆる部分は常に商業、政治、宗教の三要素が中心となっている。商業と政治は軍備を整えてこれを運用し、民衆を粉碎(ふんさい)するの具となす。一方宗教的要素(いちぱうしうけうてきえうそ)は支配者らの悪しき目的(もくてき)を隠蔽(いんぺい)するのに用ひらるる僞善的煙幕(ぎぜんてきえんまく)となる。宗教的要素(しうけうてきえうそ)は僞善(ぎぜん)を行ふ主(おも)なる道具であった。全世界の諸国は何(いづ)れも宗教を用ひて民衆を欺き、その支配者らは神権によって支配しているものと誤信せしめている。

之(これ)を今日の現状に見るに世界諸強国の宗教分子は主としていはゆる「キリスト教」である。これぞ即ち無二の僞善的悪宗教制度(ぎぜんてきあくしうけうせいど)である。欧米諸国の支配者らは何(いづ)れも神権によって支配すると主張し、かの国際聯盟(こくさいれんめい)は神エホバとその王国を代表するものにして、即ち地上に於ける神の国の政治的顯現(せいぢてきけんげん)であると声明して居る。而して記録に言う『汝その足(あし)と足の趾(ゆび)とを見給(みたま)ひ

[371] しに一分(いちぶ)は陶人(すえものし)の粘土(ねばつち)、一分(いちぶ)は鐵(鉄:てつ)なりければ其の国は分裂(わか)れたるものにならん』(第41節)。之(これ)は宗教的要素が支配階級の一部(いちぶ)である事實(じじつ)によって更によく裏書(うらがき)されている。而(しか)して黙示録は示して、最期の大破滅直前に於いて僞善(ぎぜん)の結晶なる宗教的要素の醜悪(しうあく)なる實情(じつじゃう)は被圧迫階級(ひあっぱくかいきゅう)なる一般民衆の前に暴露されると教えている。(黙示録17章16,17節)。

『汝が鐡(てつ[:鉄])と粘土との混じりたるを見給ひし如く、それ等は人草(ひとぐさ)の種子(たね)と混じらん。されど鐡(てつ)と粘土との相合(あひがっ)せざる如くかれとこれとは相合することあらじ』(第43節)。サタンの主(おも)なる目的(もくてき)は人々を神ヱホバより離反せしめて己が支配下に保ち置かんとするにある。サタンは商業と政治の兩要素(りゃうえうそ)を通(つう)じて武力により民衆を壓迫(あっぱく)するとともに、一方宗教の要素を用ひて民衆を幻惑欺瞞(げんわくぎまん)するの具となす。此の三種(さんしゅ)の要素は自ら人々の種子(たね)と交わり、自尊自大、己等(おのれら)が人類を救済する者であると主張し、民衆が生きん事を願はば彼等(かれら)の支配する国家や宗教等諸々(しゅうきょうとうもろもろ)の組織制度を支持しなければならぬと力説しているのである。兩足(りょうあし)の趾(ゆび)は十本ある。これらはその主公(しゅこう)にして父なるサタンの下(した)に在って民衆を悪しき組織制度の下(した)に屈服せしめつつある「キリスト國」に屬(ぞく)する諸國(しょこく)の全部を表象(へうしゃう)しているのである。

足と足の趾(ゆび)の部分は僞善なる宗教的欺瞞(しゅうきょうてきぎまん)によってその特色を發揮(はっき)し、不聖不潔(ふせいふけつ)の兇悪(きょうあく)を隠蔽(いんぺい)せんと企(くはだ)てるのである。鐵(てつ)と粘土(ねんど)との間に眞(しん)の結合(けつがう)は成り立たないが、之は即ち商業と

[372] 政治の兩權者(りょうけんしゃ)は己が相棒なる宗教權者の欺瞞に対しては眞の一致結合を爲さざる事を示すのである。之等(これら)は悪魔の奸策(かんさく)を實行(じっかう)する為に利用される。『鐡(鉄:てつ)と粘土(ねばつち)との相合(あひがっ)せざる如く彼とこれと相合する事あらじ』、何故(なにゆえ)なれば神ヱホバが然(し)か定め置かれたからである。今日(こんにち)ロシヤは既(すで)に宗教的桎梏(しゅうけうてきしっこく)より脱出し始めたが、全地諸國(ぜんちしょこく)の有識者もまた宗教家なる者が無類(むるい)の大僞善者(だいぎぜんしゃ)なる事を悟り始めつつあるのである。

後にダニエルは一の夢を見たが、その夢に於いてサタンの組織制度の見(み)ゆる獸(けもの)によって象徴されている事を示された。而(しか)してネブカデネザル王の夢に於ける巨像はサタンの組織制度の見ゆる部分と見えざる部分とを合せて表象(へうしゃう)しているのである。神は其の崩壞(ほうくゎい)の時の到来(たうらい)する以前に巨像の眞意義(しんいぎ)を顯示(けんし)されるとは斷じて考へられない。而して神は己(おの)が王を其の寶座(みくら)に立て給ふ時至(ときいた)る迄此(までこ)の悪魔の組織制度の運用と統治に何等(なんら)の干渉(かんせふ)を加えられなかった。

聖書の示す如く神は始めにルシファーをして統治せしむべく彼に膏(あぶら)そそがれたが、…然(しか)しヱホバが無干渉の状態で放任して置かれるルシファーの支配期間の終結すべき時は到来した。彼は天界より放逐された。彼に対する刑罰執行の宣告は既に記録してある。…サタンの見ゆると見えざるの全部の部分を含む組織制度は撃滅(げきめつ)し盡(つ[:尽])くさ

[373] れる事となっている。…

ヱホバはこの巨像によって表象されたるサタンの組織制度を撃滅(げきめつ)する爲(ため)に「石」を用ひられる。此の「石」とは神の組織制度の首位として働くヱホバの代理執行者にして大祭司たるイエス・キリストなる事は明らかである。ロゴスは神の創造の最初であって、爾後神(じごかみ)の萬物創造(ばんぶつさうざう)を代理執行した。ルシファーが其の組織制度を惡化せしめた時に神は「婦(をんな)の裔(すえ)」なる一つの新しき者を生育せしめて、それを偉大なる宇宙的組織制度たらしめんとの御目的(おんもくてき)を發表された。サタンも一の裔(すえ)を有した。そして爾後或(じごあ)る者等(ものら)は彼サタンの裔(すえ)となったのである、(ヨハネ傳8章42-44節)。神の「婦(をんな)」なるシオンの「裔」が、サタンと其の「婦」なるバビロンの「裔」を滅ぼすのである。故に斯く記さる、『かの石人手によらずして山より鑿(き)られて出で、鐡(てつ)と銅(あかがね)と粘土(ねばつち)と銀と金とを打ち砕きしを汝が見給(みたま)ひしは卽ち此の事なり、大御神(おほみかみ)この後に起らん所の事を王に知らせ給へるなり。その夢は眞(まこと)にしてその解明(ときあかし)は確かなり』(第45節)。若(も)しサタンが早くよりこの豫言を諒解したならば之は即ち、彼に初めから通牒(つうてふ)を与ふる事となるのであって、神は如何(いか)にしてサタンの惡組織制度撃滅(あくそしきせいどげきめつ)の御目的(おんもくてき)を達成さる

[374] るであらうか。彼サタンがイエスを滅ぼさんと全力を盡(つく)した事も又宜(またうべ)なるかなである。

『石の人手(ひとで)によらずして山より鑿(き)られて出で』とは何を意味するのか。「山」とは神の宇宙的組織制度を表象す。「鑿(き)られて出づ」とは或る何かの新しき物を産出する事を意味す。故にこれは「石」によって表象されたる宇宙的組織制度が新たに産まれ出でたるを意味す。而してそれを爲すに少しの人手(ひとで)をも要(えう)しないのである。これは全部ヱホバの聖意(せいい)に由(よっ)て成し遂げられた。…神の御目的の必ず成就實現(じょうじゅじつげん)するは絶対確実である。サタンは啻(ただ)にヱホバを誹謗(ひばう)したのみならず、ヱホバに挑戦(てうせん)したのである。サタンは主張して、ヱホバの下(した)からは如何なるものも離反すべく、ヱホバは地上に於いて御自身に貞潔を固く保つ被造物を有する事は出来ないと云った。サタンは全人類をして神ヱホバを呪はしめんと高言した。ヨブ記に於ける聖書の記録は此の事実を最も明白に立証している。(ヨブ記を見よ。尚ほ此の説明は『生命』の中に在り)。

神はサタンの挑戰(てうせん)に応じて、其の御名と御言[葉]の絶對に聖(きよ)き事を立証せんと目的し給ひ、御自身の善しと視給う方法に於いてその準備を進展せしめられた。ヱホバはイスラエルの子孫を選んで彼らを一の國家制度に組織し、其の成し遂げんとの御目的(おんもくてき)を豫表(よひょう)するに用いられた。此の民の極めて少数者を除きたる外(ほか)の全部は墮落してサタンの手に陥り、彼の支配下に移っ

[375] たのである。神がイスラエル人の上から保護と恩惠(おんけい)とを除き去り、彼等がサタンの手に全く陥るを許されたる時に、惡魔は其處(そこ)で全世界の神となったのである[:ソロモン造営の第一神殿エルサレム陥落(B.C.607年)、バビロニア捕囚幽囚(70年間B.C.537年迄)の時:聖書信者研究者はそれが50-60年位のもの(エルサレム神殿が、陥落は597-587年?!)とは見なせられない。きっかり70年間、歴代誌36:21!!と看る!!ヘボン博士の聖書辞典の最後の年表にある(インターネットの真理子日曜学校修道会のバベルバイブルにある?!)、ユダヤ人の七十年の始めと!!紀元前606年!!修正年BC.607年10/1??其処から2,520年は西暦1,914年!!10月4-5日ティシュリの15日(ダニエルの預言の本、第6章、p,96,secc28節!!ものみの塔オンラインライブラリーにもあると!!)]。之(これ)と同時に神は声明してその御豫定(ごよてい)の時至るに及びて正當(当:せいたう)に「權威を有(も)つべき者」の到来して、義を以って全地を支配せん事を告げて置かれたのである。

然(しか)る後(のち)にヱホバはその愛子(あいし)イエスをこの地上に遣(つかは)された。イエスは天界に於(おい)て所有(しょいう)せし榮光(えいくゎう)やその他全部(たぜんぶ)のものを見捨てて地上に来られた。イエスは普通一般の人間の如き形状(けいじゃう)を執(と)られた。イエスは一個の完全(くゎんぜん)なる人間として所有(しょゐう)し得(う)る特權の全部を自(みづか)ら捨(す)てられた。そして敵なるサタンがイエスの上(うへ)に加(くは)えた兇惡無殘(きょうあくむざん)、最上(さいじゃう)の試練に遭われた。サタンが己自身(おのれじしん)を崇拝する條件(でうけん)としてイエスに此の世の諸國(しょこく)を与へんと申(まお)し出でた當時(たうじ)イエスは何の支配權をも有(いう)してゐられなかった。イエスはサタンの提供(ていきょう)するものを全部を拒絶し、サタンの誘惑(いうわく)の全部を排斥(はいせき)して最も深刻(しんこく)なる試練下に於(おい)てヱホバに對(たい)する貞潔を固く保(たも)たれた。最も呪(のろ)はれたる死を遂(と)ぐる迄(まで)も固く保たれた。イエスの忠誠を嘉納(かなふ)して、ヱホバはイエスを死より甦(よみがへ)らせて萬物(ばんぶつ)の上に置き、萬物の首位(かしら)とされた。(コロサイ書1:18,19)。

神は今、「有(も)てるもの(キリスト)は与へられてなお餘(あま)りあり。有(も)たぬ者(サタン)はその有てる物をも奪(と)らるるなり」の御目的(おんもくてき)を發表(はっぺう)された。イエスは之(これ)を示して、その与へられある責務(ぎむ)

[376] を行なふを拒絶し、または怠(おこた)る者に對(たい)する戒告(いましめ)とされた。(マタイ傳25:29)イエスは己(おの)が足を置く寸尺(すんじゃく)すらも有(いう)せずに死に行かれた。その忠信(ちうしん)の故(ゆえ)によってヱホバはイエスを死より甦(よみがえ)らせ、天界の天使の全軍はイエスを拝し[:…に敬意を捧げ(ギ語:プロスキュネオー):尚このギリシャ語の意に付いては、出版物(特に洞察とか、出版物索引)、ワッチタワーライブラリー、またはものみの塔オンラインライブラリーでも看よ!!研究の余地あり!!イエスは崇拝されたのでは無い事]、總(すべ)ての膝はイエスの前に屈み、總(すべ)ての舌はイエスを以ってヱホバの受膏者(じゅこうしゃ)にして至高(いとたか)き神の代理執行者(だいりしっかうしゃ)なりと云(い)ひあらはすべしと宣言された。(フィリピ2:11)。

此の故に「石」は神の膏(あぶら)そそぎし王である。此の王イエス-キリストは全地の正當(当:せいたう)なる統治者である。(エゼキエル書21:27)。またイエスは全地を支配する男の子の名で顯(あら)はれている。(黙示録12:5)。「山」即ち神の宇宙的組織制度より鑿(き)り出(いだ)されたる「石」とは、之(これ)ぞ即ち「シオンの生みし男の子」であると云(い)ふ事である。(イザヤ書66:7)。此のイエス・キリストこそ豫言者(よげんしゃ[:預言者])によって斯く示されし所の者である、即ち、『汝くろがねの杖を持て彼等を打ち破り、陶工(すえつくり)の器物(うつはもの)の如くに打ち碎(くだ)かん』(詩篇2:9)。神ヱホバはその御目的(おんもくてき)を進展せしめて、愛子(あいし)イエス-キリストを首位とする一の都即ち組織制度を準備された。而(しか)してこの新しい組織制度は神ヱホバの全組織制度中に於ける首都卽ち主要部(しゅえうぶ)となるのである。之(これ)は「聖(きよ)きヱルサレム」の名で表象(へうしゃう)されている。

これぞ神の新被造物であって、全被造物中の最上に位(くらゐ)す。神はルシファーを一の組織制

[377] 度に對(たい)する金の頭(かしら)とされたが、彼はその組織制度をヱホバより離反せしめて、その各部分を神に敵(てき)するものと化(くゎ)せしめた。ヱホバは今、その愛子(あいし)イエス-キリストを新しき組織制度の首位者(しゅゐしゃ)となし、之に永遠(えいえん)の神権を衣(き)せ給ひしことを知らしめ給ふ。此の永遠の神権は純金(じゅんきん)の冠(かんむり)によって象徴されている。此の新しき組織制度は神に敵する者を皆撃滅(みなげきめつ)して永遠にヱホバの榮(さかえ)となるのであって、之(これ)について即ち斯く記さる、『そは善き賜物の惠(めぐ)みを以って彼を迎(むか)へ、混じりなき黄金(こがね)のかんむりをもて彼の首(かうべ)に冠(いただ)かせ給ひたり。汝の救ひによりて其榮光大(そのえいくゎうおほい)なり。汝は尊貴(たふとき)と稜威(みいづ)を彼に衣(き)せ給ふ。そは之(これ)を永遠(とこしへ)に幸福(さいはひ)なる者となし、聖顔(みかほ)の前の歓喜(よろこび)をもて楽しませ給へばなり。王はヱホバに依り頼み、至高者(いとたかきもの)の恩愛(いつくしみ)を蒙(かうむ)るが故に動かさるる事なからん。汝の手は其(そ)の諸々の仇(あだ)を探(たづ)ね出(いだ)し、汝の右の手は己(おのれ)を憎(にく)む者を探(たづ)ね出(いだ)すべし。汝怒(なんじいか)る時は彼等を燃ゆる爐(ろ[:炉])の如くにせん。エホバは烈しき怒りによりて彼等(かれら)を呑(の)み給はん。火は彼等(かれら)を食(くら)ひ盡(つ[:尽])くさん』(詩篇21篇3,5-9節)。

ヱホバは更に進んで其の聖言(みことば)と聖名(みな)を證明(証:しょうめい)せんが為にエホバに献身して己が忠誠を立證(証:りっしょう)し得るの機会を地上の人々に与え、忠信なる信仰の勝利者を「聖(きよ)き都ヱルサレム」の一部とする絶大(ぜつだい)の光榮(くわうえい)ある報賞(はうしゃう)を与へらるるのである。此(こ)の爲(ため)にヱホバは子等(こら)を義として生み、然(しか)る後(のち)にその王国(わうこく)の或(あ)る部署(ぶしょ)に供(そな)へ給ふ。神は斯く召(めし)に應(おう)じて其の示されし義の道を歩む者を選(えら)

[378] みて之に膏(あぶら)そそぎ給ふ。之等(これら)の者は神ヱホバに對(たい)する貞節(ていせつ)を固く持(ぢ)し、總(すべ)ての道に於いて着実(ちゃくじつ)に歩み、ヱホバに対する忠誠を徹底(てってい)して立證(証:りっしょう)しなければならぬのである。之等(これら)の者は王國に対する契約の中(うち)に入れられた。(ルカ傳22章28,29節)。彼等は尊(たふと)き隅の首石(おやいし)なるキリスト-イエスの模範に従って築(きづ)かれたる「活ける石」と形容されている。彼等は死に至る迄忠信(までちゅうしん)なる時に神の「婦(をんな)」なるシオンの子等(こら)として生まれて王國卽(わうこくすなは)ち「聖(きよ)き民」の一部とされるのである。(ペテロ第一2章3-10節。イザヤ書66章8節)。彼等はその愛子(あいし)イエス-キリストのために備(そな)へ給ひし天のヱルサレム卽ち新しき組織制度なる「聖(きよ)き都(みやこ)」の一部とされるのである。之等(これら)の石の数は十四万四千と豫定(よてい)し置(お)かる。之等(これら)の「石」は過去千九百年間に亙(わた)りて順次生育(じゅんじせいいく)、準備(じゅんび)されて来たのであって其の数も今や将(まさ)に満(み)ちんとしている。

ヱホバは其の豫言者を通(つう)じて斯く示し給ふ、『此(こ)の故に神ヱホバ斯(か)く云ひ給ふ、見よわれシオンに一つの石を据(す)えて其の基(もとゐ)となせり。これは試みを經(へ)たる石、尊き隅石(すみいし)、固く据えたる石なり。之に依り頼むものは慌(あわ)つる事なし。我公平(われこうへい)を準縄(はかりなは)とし正義を錘(おもし)とす。斯(か)くて雹(へう)は虚偽(いつはり)にて造れる避所(さけどころ)を除き去り、水は其の隠れたる所に漲(みなぎ)り溢(あふ)れん』(イザヤ書28:16,17)。

「石」が置かれたる時に此の石は「試みを經(へ)たる石」でなければならぬ。イエスは三年半に亙(わた)りて地上に於ける己(おの)が任務に服し、サタンが全力を盡(つ[:尽])くしてイエスを捕らえんとして設(まう)けたる

[379] 所のものを悉(ことごと)く拒否し、其の結果としてヱルサレムの都に入城し、自らを王として提供された。これぞ卽ち「石」が縮圖的(しゅくずてき)に置かれたるを意味す。(マタイ傳21章1-11節)。當時人心(当:たうじじんしん)を支配していた教職者等(けうしょくしゃら)はイエスを王として受け入れるを拒絶し、却(かえ)ってイエスを殺害せんとて窺(うかが)った。彼等教職者等(かれらけうしょくしゃ)は公然とサタン即ち惡魔の側に立った。其(そ)の時彼等教職者に対してはキリストは「躓(つまづ)く石」であり「礙(さまた)ぐる岩」であった。(ペテロ第一2章7,8節)。イエスは彼等教職者を以って僞善(ぎぜん)の製造元(せいざうもと)なりとして之(これ)を拒絶廃棄(きょぜつはいき)していわれた、「神の国は汝等より奪(うば)ひ、其の実を結(むす)ぶ民に与へらるべし」。そして「石」に関する豫言([預言:]よげん)を引照して彼ら教職者が神の言を拒否(きょひ)しつつある事実を明確に示された。(詩篇118:12。マタイ傳21:42-44)。

ヱホバの指令に従ひてイエスは1914年に權威を執りて王としての統治を開始された。天界よりサタンを放逐(はうちく)して後、1918年に審判(さばき)の爲(ため)に其の殿(みや)に臨まれた。斯くしてイエスは二度試(にどこころ)みられた事となる。すなわち前(まへ)にては地上に於いて、後(のち)にはサタンに対して戰(たたか)ふ事となりて彼を天界より放逐されたる時である。(黙示録12:1-7)。イエスは其(そ)の殿に臨まれたる時に地上に於(おい)て凡(すべ)てイエスの名を稱(とな)ふる者の前に自らを全地の正當(せいたう)なる王として、統治者として提示された。これぞ即ち「隅の首石(おやいし)」をシオンに置く事の完成(くゎんせい)されたる時である。現代の

[380] 宗教家(しうけうか)、特にパリサイ人の「冩(うつ[:写])し」なる所謂(いはゆる)「キリスト國[:キリスト教世界]」 の教職者はキリスト・イエスを全地の王として受け入れる事を拒絶した。彼ら教職者はサタンの組織制度に屬(ぞく[:属])する他の人々と一致協同して國際聯盟(こくさいれんめい)を成立せしめ、自らを公然とサタンの組織制度に合體(がったい[:合体])せしめたのである。此の事に於いて地上の諸王は此(こ)の徒黨(とたう[:徒党])に参加したのであるが、彼等は軈(やがて)崩壊するのである。(イザヤ書8:9-12)。キリスト・イエスは大審判者(だいしんぱんしゃ)として今神の殿(みや)に在(ゐま)し給ふ。其(そ)の審判(さばき)は既に開始された。神ヱホバはイエスを通じて全地に大々的證言(だいだいてきしょうげん)を行(ゆ)かしめ給ふ。此(こ)の證言(しょうげん[:証言])は固き雹(へう)となりて嘘僞(きょぎ)の避所(さけどころ)を暴露し、彼サタンの組織制度の地上的部分(ちじゃうてきぶぶん)を形成していた者等(ものら)の、久(ひさ)しきに亙(わた)って行なってきた僞善(ぎぜん)の邪行爲(じゃかうい)を完膚(くわんぷ[:まったき皮膚(ひふ)])なきまでに剔抉(てっけつ[:あばき])し曝(さら)し出すのである。斯くの如くにして「石」の何者なるかが判明(はんめい)したのである。

然(しか)る後(のち)ダニエルは「恐ろしき巨像」の上(うへ)に下(くだ)る神の宣告を述べた。此の宣告の執行さるるときに巨像は完全に其の存在を保っていると共に、之(これ)は全く崩壞して了(しま)はねばならぬ。現在地上の諸國特に所謂(いはゆる)「キリスト國」に屬(ぞく)する諸國は巨像の足と足の趾(ゆび)によって表象(へうしゃう)されている。「石」は先(ま)づ「足」を撃った。其の時サタンの全組織制度は粉碎(ふんさい)して、大風に吹き散らされて了(しま)ったのである。サタンの全組織制度はハルマゲドンに於いて全滅する事となっている。巨像によって表象(へうしゃう)されあるサタンの組織制度は『皆ともに碎(くだ)けて……止(とゞ)まる所なかりき』と

[381] なる。(ダニエル書2:35)。斯(か)くの如くサタンの組織制度、即ちネブカデネザルが當時王(たうじわう)であったバビロンは全く崩壞(ほうくわい)して消滅するに至るのである。サタンの下(もと)に世界強國であったエジプトとアッスリヤの人々は今一度生命(いまひとたびせいめい)に対する機會(きくゎい)を得るために回復される事となっているが、眞(しん)のバビロンの人々は決して復興(ふくこう)されないのである。

或(あ)る註釋者(ちうしゃくしゃ)は此の「石」は巨像を撃ちたる後に初めて大きくなりて全地に満つると云っているが之(これ)は正當(当:せいたう)なる解釋(釈:かいしゃく)ではない。「石」は巨像の撃滅(げきめつ)が行(おこな)はれる以前に於いて既(すで)に完成(くゎんせい)されている。サタンの組織制度崩壊後(そしきせいどほうくわいご)に主(しゅ)の御國(みくに)の恩惠(おんけい)と祝福の運用は全地各部(ぜんちかくぶ)に及び、生命(せいめい)と歡喜(くゎんき)と幸福(かうふく)とを以(もっ)て之(これ)を滿たす事となるのである。

ルシファーは地の監督者(かんとくしゃ)たる高き位置(ゐち)に任命され、野の獸類(けものるい)や空の鳥類其(てうるいそ)の他地上萬物(たちじゃうばんぶつ)を監督するものとされた。然るに彼ルシファーは神に不忠信(ふちゅうしん)なる者となりて地上萬物(ちじゃうばんぶつ)を神に敵するものと化(くわ)せしめた。キリストは今、神命(しんめい)によりて全地の正當(当:せいたう)なる統治者となられた。キリストの統治はすべての服従者に對して祝福(しゅくふく)を齎(もた)らすべく、正義は到る處(ところ)に樹立(じゅりつ)さるるに至るのである。人と獸(けもの)には永遠の平安(へいあん)あるべし、何故(なにゆえ)なれば此(こ)の大統治者(だいとうちしゃ)は平和の君であるからである。(イザヤ書9章6,7節)。

地の獸(けもの)と空の鳥は何(いづ)れも正當(せいたう)なる統治者(とうちしゃ)キリストの手に与へらるべく、斯くしてルシファ

[382] ーが曾(か)つて完全なりし時に有し居たりし萬物(ばんぶつ)は今神に忠信なる正しき統治者の手に移される事となった。『その日には我彼等(われかれら)(我が民)の爲(ため)に野の獸(けもの)と空の鳥および地の昆蟲(はふもの)と誓約(ちかい)を結び、また弓箭(ゆみや)を折り戦争(せんさう)を全世界より除(のぞ)き彼らをして安然(やすらか)に居(を)らしむべし』(ホセア書2章18節)。『我かれ等(ら)と平和(やはらぎ)の契約を結び、國(くに)の中(うち)より悪(あ)しき獸を滅ぼし絶つべし。彼等即(かれらすなは)ち安(やす)らかに野に住み、森に眠らん。我彼等及びわが山の周囲(まはり)の處々(ところどころ)に福祉(さいはひ)を下し、時に隨(したが)ひて雨を降らしめん。これ即(すなは)ち福祉(さいはひ)の雨なるべし』(エゼキエル34:25,26)。之即(これすなは)ち此の恐ろしき巨像がサタンの組織制度の見ゆると見えざる部分の全部を表象(へうしゃう)する事を更に明らかに立證(りっしょう)するものであって、其(そ)の時尚(ときな)ほ存在(そんざい)を繼續(けいぞく)する者は皆キリストの支配下(しはいか)に移されるのである[:現在の啓示7:15-17の理解、キリストと王国に大群衆はその支配下に移り、キリストと王国は支配しておられると!!太陽は撃たない!?]。

此(こ)の大絶頂(クライマックス)は遂(つひ)に到来した。地の諸王(しょわう)は神ヱホバと其(そ)の膏(あぶら)そそぎし給ひし「石」に敵對(てきたい)して立つのである。ヱホバの御前(みまへ)に不虔不遜(ふけんふそん)なる地の悪しき諸王(しょわう)は己等(おのれら)の悪しき道に進み行く。ヱホバは彼等諸王(かれらしょわう)を嘲(あざけ)り給ふ。(詩篇2篇1-4節)。地の諸王と其の貴人等(きじんら)を含む悪魔の組織制度に対する宣告は既に記されあるのであって、其(そ)の宣告(せんこく)は即(すなは)ち彼等の死(し)たるべく、彼等は「鏈(くさり)」と「黒鐡(くろがね[:黒鉄])の枷(かせ)」で縛(いまし)められる事となる。聖徒の全部は此の光榮(くゎうえい)ある仕事に参加して全(すべ)ての榮光(えいくゎう)を神エホバに帰するのである。(詩篇149篇5-9節)。敵を全滅するヱホバの全勝(ぜんしょう)は急速(きふそく)に来(きた)る。現下地上(げんかちじゃう)の諸国は自力によって地に平和を到来(たうらい)せしむべしと高言(かうげん)す。一方彼

[383] 等(いっぱうかれら)は戰爭に備(そな)ふる爲(ため)に恐(おそ)ろしき殺人器具(さつじんきぐ)の充實(じうじつ)に夢中(むちう)となっている。平和(へいわ)、平和の絶叫(ぜっきょう)は常にあるも其処(そこ)には平和なし。其(そ)の時全部(ときぜんぶ)の上に滅亡(めつばう)が突如到来(とつじょたうらい)するのである。(テサロ第一5章3節)。之(これ)ぞ即ちネブカデネザルの夢(ゆめ)と完全(くゎんぜん)に一致(いっち)す。

諸王(しょわう)が斯(か)くの如く傲慢不遜(ごうまんふそん)の統治を續(つづ)けている時にダニエルの豫言は成就するのである。卽(すなは)ち、「此の王等の日に天の神(かみ)一の國(くに)を建(た)て給はん。是は何時までも滅(ほろ)ぶる事なからん。此の國(くに)は他の民に帰(き)せず、却(かえ)ってこの諸々(もろもろ)の國(くに)を打ち破りてこれを滅(めっ)せん。これは立ちて永遠に至らん。(第44節)。ダニエルは此の豫言(よげん)の中にキリストの統治下における神の國卽(くにすなはち)ち「聖(きよ)き都」を示しているのである。我利主義者(がりしゅぎしゃ)は決してこれに参与(さんよ)する事なく、此の中に私欲(しよく)は絶無(ぜつむ)である。これは神の造り給ふ所であって、ヱホバの宇宙的全組織制度の首都となるのである。之(これ)は永遠に續(つゞ)き、其(そ)の中にある全部の者は大創造者(だいさうざうしゃ)ヱホバに讃頌(さんしょう)と尊榮(そんえい)を捧(ささ)ぐ。

神は其の御目的(おんもくてき)を發表して置いて、神を愛する者の為に先(ま)づその意味を顯示(けんし)し給ふ。神の御目的(おんもくてき)の達成を妨害阻止(ぼうがいそし)し得(う)る者は絶無(ぜつむ)である。ヱホバは宣(のたま)ふ、『我この事を語りたれば必ず來(きた)らすべし。我この事を謀(はか)りたれば必ず成すべし』(イザヤ書46章11節)。ヱホバは其の発表せる御目的(おんもくてき)を完成する事によって聖言(みことば)を證明(証:しゃうめい)し給ふ。ヱホバは斯くして御自身(ごじしん)が義と智と力に完全(くゎんぜん)なる者に在(ゐま)す事と、絶対無私(ぜったいむし)の愛の保有者(ほいうしゃ)に在(ゐま)す事を立證(証:りっしょう)すると共に、ヱホバに一

[384] 致(いっち)する者のみが永久(えいきう)の生命(せいめい)を受くる事を明らかにされるのである。全部の被造物はヱホバが唯一の眞(まこと)の神に在(いま)して全能者に在し、至高(いとたか)き神に在(ゐま)す事を学び知るに至る。神の言(ことば)の中枢的教示(ちゅうすうてききょうし)は神の國(くに)であって、此の國(くに)を通(つう)じてヱホバの聖名(みな)が潔(きよ)められるのである。ヱホバの聖名(みな)は證明(しょうめい)されて一切の上に高し矣(いーー[:カナ])。

ヱホバは光なり(完)

…印刷所米ニューヨーク州ブルックリン市アダムズ街一一七

萬国聖書研究會印刷部

発売所燈臺[:灯台] 社

昭和八年四月一日印刷

昭和八年四月三日発行


[:~~]角カッコに二点は後は個人注である。大体角カッコ内は現代常用漢字変換である。(~~)丸括弧内は大体原注か、原ルビである。(:)の前の漢字は今日の常用漢字である。



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