ストーリーテキスト/2-6_墨染の桜

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2-6 墨染の桜

ユタの助言で薩摩の桜島を目指す殿たち。
大噴火による被害状況に言葉をのむ一行は、
『地気の乱れ』を探して灰の中を進むが……。

前半

――薩摩国。

黒船 ミシシッピ
ご要望通りの航路を進んで参りましたが……。

千狐
ここが、あの薩摩国なの……?

首里城
雪みたいさぁ……見たことないけど。

黒船 サスケハナ
これが雪景色なら、いくらでも愛でよう。
だが、これはまるで死の島だ――

帆船 昇平丸
げげっ、いつかの黒船!?
どうして薩摩に!?

柳川城
昇平丸さん!?
あ、あなたこそどうして薩摩に。
島津さんたちと一緒に琉球に居るはずじゃ……?

帆船 昇平丸
あたしは軍船として作られたけど、
その仕事のほとんどは開拓使の輸送船だったの!

帆船 昇平丸
だからこうして、琉球で手に入れた物資を薩摩に運んだり、
逆に薩摩から琉球に避難したい人を運んだり――

帆船 昇平丸
――って、今あんたらとは袂を分かってるんだった!
話すことなんてなんにもないんだから!

黒船 ミシシッピ
既に、ほとんど仰ってしまってますわ。

帆船 昇平丸
そういうあなたたちこそなんで薩摩にいるのよ?
まさか、お頭たちの不在を狙って、
薩摩を攻めに……!?

柳川城
ご、誤解です!
薩摩を攻めるだなんて、そんな!

立花山城
こういう気持ちが先走る子の相手は苦手だわ……。
いい、よく聞きなさい。
私たちは、桜島の異常を正すために、この地へやってきたの。

――説明中。

帆船 昇平丸
うそ……ほんとに、それで薩摩が助かるの?

黒船 サスケハナ
助かる――というのは語弊がある。
この灰の山を片づけ、再び人々の繁栄を築くには、
長い年月が必要となるだろう。

首里城
でも、ユタからもらったこの杭を桜島に打ち込めば、
噴火が収まる……はず。

首里城
そうしたらマジムンたちもきっと大人しくなる。
琉球のみんなだって、薩摩の救援に来られるはずさ。

帆船 昇平丸
だけど地気とか、あたし聞いたこともないんだけど。

千狐
日の本では、各地で突発的に地気が乱れることがあるのです。
そのたびに殿や、たまたま居合わせた城娘さんたちで、
鎮めるための儀式を重ねているのですが……。

立花山城
地気は、正の力にも、負の力にも変わる。
正に働けば、私たち城娘に新たな力を授けてくれたりもするのだけれど、
負に働けば、こうして災厄が降り注ぐというわけね。

帆船 昇平丸
なら、早くどうにかしないとじゃない!
その地気ってのは、どこから噴き出してるの?
噴き出すって言ったら火口とか?

首里城
そもそも噴き出してるものかどうかも……。
たまちゃん、どうかな?

玉城城
よ~し、わざわざ奄美に寄って頼ってくれたんだもん。
頑張って、探ってみるね~!

黒船 ミシシッピ
天空の城――その存在自体が霊場だった彼女なら、
地気の場所も探り当てることができるかもしれませんね。

玉城城
とりあえず、もう少しだけ近づいてみたいかな。
まだ噴火は続いているようだから、
みんな気を付けて行こうね。

帆船 昇平丸
まって!
そういうことなら、あたしも連れてって!

黒船 サスケハナ
良いのか?
共に行くということは、
我ら黒船と同舟するということだぞ。

帆船 昇平丸
あたしだって薩摩に縁のある城娘なんだから。
放っておくわけにはいかないでしょう?

首里城
もちろんさ。
むしろ、力を貸してくれて嬉しいよ。

――数刻後。

千狐
だいぶ、登って来たような気はしますが……。

帆船 昇平丸
灰のせいで歩きにくい……あたし、船なんだもん。
丘は苦手に決まってるじゃない……。

玉城城
ねえ、千狐ちゃん。
あの方角には何があるのかな?

千狐
えっ……そんなこと言われても、
この辺の地理はそこまで詳しく――

千狐
あ、いえ! わかります!

千狐
社です! お山の鎮守の社があるはずです!

玉城城
たぶん、そこなのかな……?
神様やご先祖様とも違う、
なんだか不思議な気配がする。

柳川城
これは……。

千狐
社が壊れてるの!!

殿
…………。

黒船 サスケハナ
これは壊れたのではなく……
おそらくは壊されたのだろう。

帆船 昇平丸
桜島のお社になんてことを!
犯人を見つけてとっちめてやるわ!

黒船 ミシシッピ
……そうですわね。

千狐
鎮守の社が地気を鎮める役目を担っていたとしたら、
このままではいつまでも力があふれ出し続けますわ!
またすぐに、次の大噴火が起こるとも……。

首里城
杭は、どこに打ち込んだらいいの?

玉城城
壊れた社を片づけることができたら、
もっと正確な場所が分かると思う。

黒船 サスケハナ
ならば、話は簡単だ。
すぐに取り除こう。

兜軍団
ザザッ……ザザッ……

殿
…………!?

立花山城
兜!? 辺りに潜んでいたの!?

柳川城
まさか、彼らが社を!?

桃形兜
ギ……ギギ……

首里城
なんだか、様子が変……?

桃形兜
ギ……ガガ……ギギギ……

千狐
この兜たち、意思のようなものを感じられません。
まるで落ち武者……亡霊?

帆船 昇平丸
地気も兜も……放ってなんておけるわけない!
あたしの主砲で、全部ふっとばしてやるんだから!

合戦中

柳川城
噴火の影響で、以前訪れた時とは、
戦場の形が変わってしまっているようです。

立花山城
この暑さ……なかなかこたえるわね。
立っているだけで、体力を削られていくみたい。

千狐
自然の猛威……恐ろしいです。
あのどろどろした溶岩に触れようものなら、
城娘さんたちであってもどうなるか分かりません。

柳川城
薩摩の方々が海に出るしかなかったのも頷けます。
もう一度、彼女たちがこの地を踏みしめることができるよう、
力を尽くしましょう!

柳川城
兜の勢いが止まりません!
文字通り、不死の兵のようで……。

玉城城
大丈夫よ~!
私たちは、あなたを助けに来ただけなんだから~!

千狐
玉城城さんは、どなたに声を……?

首里城
きっと、この桜島そのものさ。
噴火も兜も、まるでスイたちを拒んでいるみたいで――

立花山城
……!?
気を付けて!
何か来るわよ!

後半

――ゴゴゴゴゴゴゴゴ。

立花山城
揺れ……?
今度は何だっていうの!?

黒船 サスケハナ
これは……くるぞ。
桜島がまた噴火する!

黒船 ミシシッピ
このタイミングで……?
いえ、このタイミングだから……でしょうか?

玉城城
噴火も、この意思の無い兜も、
山そのものが私たちを拒んでるみたい。

千狐
ううん、たぶん、苦しんでるだけなの!
痛くて、悶えてて、とにかくそっとしてほしいって、
子供が癇癪を起こしているみたいなの!

玉城城
大丈夫よ、安心して。
あんまーがちゃーんと、
いたいのいたいのとんでけーしてあげるから。

兜軍団
ウガガガァァアアアアアア!!

黒船 サスケハナ
兜はこちらに任せろ!
首里城たちは、巨大化したまま
社の残骸を片づけるんだ!

首里城
わ、わかった!

黒船 ミシシッピ
『任せろ』って――無茶言いますわ。

黒船 サスケハナ
だが、こうなった原因は……おそらく間違いない。
おまえも感じなかったか?
地気とやらの気配に紛れた、別の気配を。

黒船 ミシシッピ
もちろん、反吐が出そうなくらいですわ。

黒船 サスケハナ
ならば、ここは我々が命を張らねばならないところ。
せめてこの山ひとつ救うまでは――

帆船 昇平丸
何、カッコつけてくれちゃってるのよ。
黒船のくせに、本気で薩摩のこと心配しちゃって……。

黒船 サスケハナ
昇平丸……。

帆船 昇平丸
薩摩を守るのはあたしの役目でしょう!
黒船なんかに良いところ持っていかれてたまるか!

帆船 昇平丸
薩摩の海ではあたしが旗艦!
僚艦のあんたたちも、
しっかり支えて守ってやるんだから!

立花山城
どんなに絶望的な状況でも、
前に進める心意気は結構ね。

立花山城
そういうのは嫌いじゃないわ。
生死の際ほど、笑顔を記憶に留めたいものだしね。

帆船 昇平丸
不吉なこと言わないでくれる!?
それと、分かったら返事!

黒船 サスケハナ
アイアイマム!
兜はこちらに任せろ!
その隙に乱れを正すんだ!

首里城
わかった……!
お社さん……乱暴でごめんね。
でも、お山を助けるためだから……!

――ゴシャッ!!

千狐
社が片付いたの!
さすが、巨大化した城娘さんなら一発なの!

玉城城
千狐ちゃんも探して!
どこがこの子の『痛いところ』なのか!

千狐
はいなの!
……殿、そこです!!

殿
…………!!

柳川城
あとは私が――はあぁぁぁあああ!!!

千狐に指示された地点に、殿が大きな杭を突き立てる。
すかさず柳川城が、石弓の台座で杭を地面深く打ち込んだ。

瞬間、まるでガスが晴れたかのように、
辺りの空気が一瞬で浄化され、
澄み渡っていくのを彼女たちは感じていた。

兜軍団
ガガ……ガガガ……。

――ドサドサドサッ。

黒船 サスケハナ
兜が一斉に事切れたように……。

黒船 ミシシッピ
揺れも……収まりましたわね。
どうやら、作戦は成功したようですわ。

千狐
やった! やったの!

玉城城
うん……!
なんだか、お山も喜んでいるみたい♪

首里城
よかった……これできっと、マジムンたちも――

――ドサッ。

柳川城
首里城さん!?

玉城城
大丈夫……眠ってるだけみたい。

玉城城
琉球とマジムンのことで、
ずっと休まる時が無かったから……今だけは、ね。

黒船 ミシシッピ
噴火は収まりましたが、これだけの灰……
片づけるのには何年かかるのでしょうね。
人がまた住めるようになるのにも……。

帆船 昇平丸
大丈夫よ。薩摩は強いもの。
それにこの灰が良い土に変わって、
美味しい作物が実るんだから。

黒船 サスケハナ
それが日の本――火山と、自然と寄り添う国の生き方か。

黒船 サスケハナ
琉球の島々もそうだ。
酸いも甘いも含めて、海と共に生きる。
その姿勢を、私は素直に好ましいと感じる。

――パンッ……パンッ。

千狐
お社の残骸で簡素な代わりを作りました。
あとでちゃんと、立派な社を建て直してあげましょう。

帆船 昇平丸
その……ありがと、薩摩を救ってくれて。
あと、いろいろ厳しいこと言ってごめん。

黒船 サスケハナ
いや……国を想う気持ちは誰だって同じだ。
昇平丸は、為すべきことをしただけだ。

帆船 昇平丸
お頭たちにも、このことを伝えなくっちゃ。
喧嘩別れみたいになっちゃったけど、
もしかしたら考え直してくれるかも。

柳川城
もしかして、間を取り持ってくださるんですか?

帆船 昇平丸
売られた恩はしっかり返すから。
大船に乗ったつもりでいなさいよ!

――残波岬。

浦添城
今日もまだ、みんな帰ってこないのかなぁ。
ねえ、シーサー?

巨大シーサー像
…………。

浦添城
海はいつもと同じで綺麗なんだけどなぁ。
早くみんなで楽しく、
泳いだり、お魚捕ったりしたいなぁ。

巨大シーサー像
…………。

浦添城
沖の方では、また鯨みたいな兜が出てきたんだって。
異国の船もよく見るって話だし。

浦添城
マジムンだけでも大変なのに、
また兜とも戦わなきゃいけないのかなぁ。

巨大シーサー像
…………。

――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。

浦添城
えっ、何?
地震!?

浦添城
わっ、シーサー像が倒れちゃいそう……!
お、押さえてどうにかなるのかな!?

浦添城
えーち、どうにかなーれ!

――ゴゴ……ゴゴゴ……。

浦添城
お、収まった……?

浦添城
よかったぁ……びっくりしたさ。
そう言えば、最初にマジムンが現れたときも、
おっきな地震があったっけ。

浦添城
あっ、シーサーちゃんにもヒビが。
大丈夫?
あとで直してあげるから我慢できるかな?

巨大シーサー像
…………。



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