ストーリーテキスト/2-5_神の島

2-5 神の島

マジムンは琉球の守護者かもしれない。
真実を知るために与論島へやってきた一行は、
島に住むユタに助言を求める。

前半
――与論島。 黒船 サスケハナ 殿、投錨完了だ。 今回は敵に待ち構えられていなくて、幸いしたな。 黒船 ミシシッピ サスケハナ、敵ではない可能性がありましてよ。 黒船 サスケハナ そうだったな……軍団に属している以上、以後は気を付ける。 屋良座森城 ここが与論島だよ。 別名『神の島』！ 屋良座森城 アマミクっていう女神と、シニグっていう男神、 ふたりの神様が作った島って言われているさー。 千狐 ここに、徳之島のおばあさんが言っていたユタがいるのですね。 どのようなお方なのでしょう。 首里城 すごいユタがいるって聞いたことはあるけど、 スイも会ったことはないさぁ。 三重城 ユタは、祖先や神々とみーたちを繋いでくれる架け橋だから、 きっと協力してくれるよ。 黒船 サスケハナ 徳之島でのこともある。 我々は同様に船に残って帰路を守ろう。 黒船 サスケハナ それに、少々嫌な気配もするしな……。 殿 …………？ 黒船 サスケハナ いや……杞憂であればそれで良いのだ。 立花山城 だったら私も残るわ。 陸上で動ける城娘もいた方が、 何かと勝手が良いでしょうし。 立花山城 良ければ甘崎城もどうかしら？ 甘崎城 うう～……ユタは気になりますが、 家ともいえる船を守るのも海賊の務め！ やり遂げて見せましょう！ 黒船 サスケハナ よろしく頼む。 ついでに、残存物資の確認も行ってしまおう。 立花山城 （甘崎城、ごめんなさいね……でもあなた、 　ずいぶん懐いているようだから、黒船たちの良い牽制になるのよ） 病弱な城娘 あらぁ……大きな船がやって来たと思ったら、 スイたちが異国さんと一緒に？ 柳川城 えっと……もしかして、この島を守ってらっしゃる 琉球の城娘さんですか？ 病弱な城娘 めんそーれ、与論と――ゲフッ！ ……与論島へ。 千狐 血！？ だ、大丈夫なの！？ 病弱な城娘 だ、大丈夫……。 わんは、他の子たちよりちょっぴり 身体が弱いだけだから……。 甘崎城 ちょっぴりどころじゃないと 思うのですが……。 三重城 大丈夫じゃないと思うけど……いつも通りだから、 多分、大丈夫だよ。 でも、無理しないでね。 病弱な城娘 にふぇーでーびる……みーちゃんのやさしさが、 胸にしみて、このままポックリ逝ってしまいそうさぁ。 屋良座森城 そんなこと言わないで！ 生きてよぉ！ 病弱な城娘 ふふふ……死にかけジョークさぁ。 立花山城 全く冗談に聞こえないわね……。 病弱な城娘 それより、みんなお揃いでどうしてここに？ この島はマジムンの被害も全くないところだけれど……。 柳川城 全くない……？ この島は平和なのですね。 病弱な城娘 神の島だから、悪霊も近寄れないのかもしれないさぁ。 首里城 実は、この島に居るユタに会いに来たの。 マジムンのことで、聞きたいことがあって……。 病弱な城娘 ユタ……？ もしかして、オバァのこと？ 病弱な城娘 だとしたら……今は会わない方が良いかも。 与論島のユタ たーたーりーじゃー！！！ 殿 …………。 病弱な城娘 こちらが、与論島で有名なユタさぁ。 与論島のユタ たーーたーーりーーじゃーー！！！！！ 病弱な城娘 お歳だからか、最近これしか言えなくなってしまったさ。 千狐 思った以上に特殊なの来ちゃったの……。 首里城 祟りって、もしかしてマジムンたちのこと……？ 与論島のユタ たたりじゃ！ 病弱な城娘 え……『違う』？ 三重城 言ってること分かるの？ 病弱な城娘 毎日話し相手になってたから、 なんとなくさー。 首里城 マジムンたちのことじゃないなら、 いったい何の祟りなの？ 与論島のユタ たーたーりー……じゃああああ！！ 病弱な城娘 え……『桜島』？ 死ぬ前に一度くらい、 大根食べてみたいさーね。 柳川城 待ってください！　桜島！？ 大噴火が、何か関係しているって言うんですか？ 与論島のユタ たたり……たたりじゃ。 病弱な城娘 『地気が乱される。 災いが起こる』 与論島のユタ たーたーりーじゃー！ 病弱な城娘 『守護霊たちは、無理やり起こされたのだー！』 ……だって。 柳川城 地気の乱れ……それが噴火の原因？ 首里城 その乱れを正したら、 マジムンも鎮まってくれる……？ 病弱な城娘 オバァ……？ 与論島のユタ たたりじゃ。 病弱な城娘 方法は……ケフッ！ 千狐 きゃあっ！？ また血が！ 病弱な城娘 むせてしまったさ……ああ、でも血の味がする。 わん、今、生きてる……。 屋良座森城 死なないで！ 病弱な城娘 うふふ……ああ、そうそう。 オバァは、『方法はあるけど、時間が欲しい』って。 首里城 ……国王。 殿 …………。 首里城 にふぇーでーびる。 オバァ、スイたちに力を貸してくれる？ 黒船 サスケハナ それで、ユタは儀式とやらを始めたのか？ なんの儀式なんだ？ 病弱な城娘 オバァのことだから大丈夫さ。 力は本物だから。 首里城 スイは待つよ。 それでみんなが救われるなら。 安宅船 日本丸 抜錨だぁぁぁぁ！！ 黒船 ミシシッピ どうしたのですかいきなり？ 安宅船 日本丸 どうしたもこうしたもねぇ！ マジムンの群れだ！ 屋良座森城 え！？ この島、マジムンはいなかったんじゃ！？ 甘崎城 海に！　海にぃ！！ 三重城 本島から攻めてきた？ どうして今になって……！？ 病弱な城娘 まさか、オバァが儀式を始めたから？ それともわんの、ニライカナイからのお迎え？ 屋良座森城 そんなことにはさせないさ！ 海岸戦っていうなら、みーちゃんとわんの出番！ 三重城 そうだね……いつも通りでやろう。 屋良座森城 このヒヤーが火を噴くさぁ！！
合戦中
三重城 海岸線の戦いなら任せて欲しいけど…… なんだか見たことないマジムンがいるね。 柳川城 他のマジムンと比べても、強い気配を感じます。 気を付けて対処したほうが良さそうです。 屋良座森城 大丈夫！ みーちゃんと一緒なら敵なしさー！ 三重城 そうだね。 行こう、やーちゃん。 首里城 マジムンのためにもなるはずなのに、 どうして襲って来たのかな……。 三重城 まるで、ユタの儀式に反応したかのようだった。 マジムンたちにとっても、 何か不都合があるってことなのかな……？ 屋良座森城 難しいことはよく分からないけど、 みんなが無事なら、わんはそれで良いさ。 三重城 そうだね。 与論島の海岸は無事に守り切ったよ。
後半
与論島のユタ たたりじゃー！！ 首里城 無事に儀式が済んだんだね、オバァ！ これは……大きな杭？ 与論島のユタ たたりじゃ。 病弱な城娘 『これを桜島に打ち込めば、噴火は収まるだろう』って。 二本しか作れなかったようだから、 大事にしないといけないさ。 三重城 それでマジムンたちも大人しくなるのかな……？ 与論島のユタ …………ぐー。 屋良座森城 寝てるー！？ 病弱な城娘 きっと、無理して準備してくれたのさ。 今は寝かせてあげて……ゲフッ。 病弱な城娘 ……わんもそろそろ、休んだ方が良いみたい。 今日はちょっと頑張りすぎたかもしれないさ……。 甘崎城 そのまま永眠しそうで怖いのです……。 安宅船 日本丸 つーわけで、次の進路は薩摩に戻りゃいいのか？ 隣っつったら隣だが、それなりに距離はあるぞ。 黒船 ミシシッピ その間、マジムンの被害が心配ですわ。 それに薩摩の城娘たちも、 放っておくわけにはいかないでしょうし。 黒船 サスケハナ 船が四隻もあるんだ。 ここは隊を分けるべきだろう。 鉄甲船 大宮丸 薩摩の桜島へ引き返す隊と、 先に琉球の本島を目指す隊と……ですかぁ？ 黒船 サスケハナ 薩摩へは私とミシシッピが船を出そう。 蒸気フリゲートの力なら、帆船よりも短時間で往復できる。 黒船 サスケハナ 指揮は……そうだな殿、お前に任せていいか？ 殿 …………。 黒船 サスケハナ もちろん、柳川城たちも一緒だ。 どうやら我々は警戒されているようだからな。 その方が安心だろう。 立花山城 ……ええ、構わないわ。 屋良座森城 わんとみーちゃんたちは、先に本島に向かう！ 島のみんなが心配だし……。 三重城 そうだね。 那覇港の様子も見ておかないと。 首里城 スイは―― 病弱な城娘 スイは、薩摩に行くべきさ。 首里城 えっ？ 屋良座森城 この中じゃスイがいちばん、 琉球の外のことを知ってるし。 島のことはわったーに任せるさ！ 安宅船 日本丸 こいつらのことはちゃーんと本島まで届けるから、 安心してくれよな。 甘崎城 なんなら薩摩の城娘たちだって、 良い感じに説き伏せちゃうのです！ 甘崎城 ……きっと、ほかのみんなが！ 首里城 ……わかった。 スイ、行ってくる！ 与論島のユタ ゆーくーのーじゃー！！！ 屋良座森城 オバァが違うこと喋った！？ てか、起きてたの！？ 病弱な城娘 ふふっ……存分にユタの仕事ができて、 すっかり満足したみたいさ。

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