ストーリーテキスト/1-8_大洋の荒くれ

1-8 大洋の荒くれ

すっかり元気を取り戻した大宮丸に、
呆れた様子の日本丸。そんな彼女らの長閑な
言い争いを見て、物思いに耽る黒船だが……。

前半
鉄甲船 大宮丸 ――んん～～……よく寝たわぁ……！ 安宅船 日本丸 あー、そりゃ良かったな……。 鉄甲船 大宮丸 あらぁ？ 日本丸ちゃんのご機嫌がナナメな様子……。 何かあったのかしら？ 安宅船 日本丸 …………。 鉄甲船 大宮丸 ねぇねぇ、日本丸ちゃん？ 何かあったのぉ？ お姉さんで良かったら相談に乗るわよ？ 安宅船 日本丸 ど、どの口が……！ ――あんたのことに決まってるだろうが！ 鉄甲船 大宮丸 ええぇっ！　私っ！？ 安宅船 日本丸 そーだよっ！ 『後のことは頼んだ』とか、紛らわしい言い方しやがって！ 心配して損したぜ……ったく！ 鉄甲船 大宮丸 私はとっても嬉しかったわよぉ♪ 日本丸ちゃんが、私のことを思ってくれてるって知れたもの♪ 安宅船 日本丸 ……ああ、そうかい。 鉄甲船 大宮丸 兜に追い詰められていたことは事実だもの。 みんなが来てくれなかったら、無事では済まなかったと思うわ。 日本丸ちゃんや、お殿様たちに救われたことは間違いないのよぉ。 鉄甲船 大宮丸 だから……ありがとね、日本丸ちゃん♪ 安宅船 日本丸 …………。 鉄甲船 大宮丸 あらぁ……聞こえてないの、日本丸ちゃん？ もう一回言ってあげた方が良いかしら……。 よぉく聞こえるように、耳元で―― 安宅船 日本丸 ――だぁっ！　聞こえてるよっ！ 分かったからそんなにべたべた引っ付かないでくれ！ 恥ずかしいだろ！ 安宅船 日本丸 ……大宮丸には敵わねぇな……ほんとに。 黒船の城娘 …………。 黒船の城娘 ……ふん。 くだらぬ戯れで、いちいち騒ぎ立てて……。 これではロクに休息もとれん。 立花山城 ……何をそんなにカリカリしているのかしら？ 黒船の城娘 作戦行動中に弛んだ態度を見せていることが、 気に食わんだけだ……貴様はそうは思わぬのか？ 立花山城 ……まぁ、気持ちは理解できるわ。 昔の私だったら、頷いていたかもね。 目的と無関係なものは要らない……なんてね。 立花山城 でも今は……別にいいじゃない、って思えるわ。 心に少しだけ、余裕ができたのかも。 立花山城 大宮丸と日本丸は、同じ九鬼水軍に属していた仲間同士。 そんな二人が再会を果たしたのだから、 多少は賑やかになるのも頷けないかしら？ 黒船の城娘 …………。 立花山城 ……そういう貴方にだって、居るんじゃないの。 心を許せる仲間とか……同志とか？ 黒船の城娘 ……それは弱さだ。立花山城。 黒船の城娘 『目的と無関係なものは要らない』……その通りだ。 昔のお前がどのような城娘だったかは知らないが、 そちらの考えになら、私は同意できる。 黒船の城娘 あの日に掲げた目的から、全ては始まっている。 規則も条約も……私自身も、そのために存在しているのだ。 立花山城 ……今日の貴方は饒舌ね。以前よりも、 心を開いてくれたと思っても良いのかしら？ 黒船の城娘 …………。 黒船の城娘 間もなく次の島に到着する。 開戦に備えるよう、全軍に通達せよ。 立花山城 はいはい……分かったわよ。 殿 …………。 柳川城 ……立花山城さん？ 立花山城 ……大丈夫よ。 気まぐれに話を振ってみただけ。 立花山城 少しでもあの子の心に触れられればと思ったのだけど。 ……まだ時間が掛かるかしら。 甘崎城 ほらほら、なにボサっと突っ立ってるです！ もうすぐ島に到着するですよー！ 殿 …………！
合戦中
首里城 この辺りは、 木とか葉っぱが生い茂ってるんだね。 刀を振るうのに苦労しそうだよー……。 鉄甲船 大宮丸 あら……あそこを見て？ なんだか、見覚えの無い兜の姿が見えるわよぉ？ 三重城 あの姿はまるで……海賊みたいな……。 油断してたら何か奪われちゃうかも……みんな、気を付けてね。 鉄甲船 大宮丸 ……あらぁ？　何かしらこの紙？ さっきの海賊さんが落とした、地図……かしら？ 鉄甲船 大宮丸 ふふ……やったわ、お手柄ね。 後でお殿様にいっぱい褒めてもらいましょう♪ 鉄甲船 大宮丸 寄り道になっちゃうけど、財宝がざくざく見つかれば、 今後の旅の心強い備えになるものね♪
後半
首里城 ……ふぅ。 敵の姿は見えなくなったさー。 この島の兜は、これでみーんな片付いたかな……。 鉄甲船 大宮丸 やったわね、お殿様。 これで少しは格好良い所を見せられたかしら♪ 殿 …………！ 安宅船 日本丸 っつーことは、これでこの辺りの兜は討伐完了―― 三重城 ――ううん……まだだよ。 殿 …………？ 三重城 うん。近くの島から……まだ、悪い気を感じるの。 きっとそっちにも、兜が居るんだと思う。 ……だよね、千狐ちゃん？ 千狐 ……はい、三重城さんの言う通りです。 千狐 注意深く探ってみると……確かに感じられます。 離れた場所でうごめく、悪しき気配が……。 柳川城 ……一息つけるのは、もう少し先になりそうですね。 甘崎城 それじゃ早速出港です！ 勢いそのままに突っ込んでやるですよー！ ―――― 立花山城 ……さて。 次の島に到着したわけだけど―― 鉄甲船 大宮丸 いかがかしら？ 兜の気配は感じられる……？ 千狐ちゃん、みーちゃん？ 三重城 ん……向こうの方に誰か居るみたいだよ。 だけど、この力は――？ 千狐 兜というより、城娘の力……？ ですが、なぜでしょう。 すぐ近くに感じられるのに、凄く弱々しい……。 黒船の城娘 （……城娘の？） 黒船の城娘 （なぜだろう……胸騒ぎがする。 　良くないことが起きる、予兆のような――） 殿 …………！？ 安宅船 日本丸 ああ、見てくれあそこ！ 砂浜に誰か倒れてるぜっ！？ 黒船の城娘 ――……っ！？ 黒船の城娘 お前は――お前はっ！？ 黒船の城娘 そんな、どうして……どうしてお前が……！？ ？？？ すみません……。 しくじって……しまいましたわ……。

特に記載のない限り、コミュニティのコンテンツはCC BY-SAライセンスの下で利用可能です。