ストーリーテキスト/1-1_それは大洋の彼方より

1-1 それは大洋の彼方より

一行の前に姿を現したのは、日本丸なる城娘！？
『試させてもらう』という言葉の通り、砲口を
向けて開戦の意志を見せる彼女に、殿たちは――

前半
甘崎城 ど、どのぉぉぉぉおおお……！！ 殿 …………！？ 甘崎城 あなたが殿さまで……間違いないですよねっ！　ねっ！？ 甘崎城 会った覚えがあるような、無いような……。 変な感じがしますけど……とにかく助かったですぅ！ 柳川城 貴方は、確か……。 甘崎城 水軍城の大先輩、甘崎城ですぅ！ 甘崎城 殿さまが兜の元締めを倒して、 やっと平和になったと思ったら……とんでもない奴が現れたですぅ。 ほんっとに死ぬかと思ったですうぅぅぅ……！ 安宅船 日本丸 ――ったく、さっきからぴーぴーと……。 戦いもせずに、逃げ惑うばかり。 安宅船 日本丸 これが、かの有名な甘崎城とはな……がっかりだぜ。 殿 …………！ 千狐 日本丸を名乗る城娘の力が、膨らんでいくの……！ やくも 城娘で合っとるんだに？ 船……とか言っとったけど……。 どんな子なのか、気になっちゃうがや。 立花山城 同感ね……けど、 細かいことを気にしている余裕はないみたいよ。 甘崎城 ですですぅ！　あいつはまじでやべーです！ 殿さまたちの到着があと少しでも遅れてたら、 海の藻屑になってたかも―― 柳川城 あ、甘崎城さんはもう少し落ち着いてください……！ 安宅船 日本丸 さぁて……準備は整ってるみたいだな？ 安宅船 日本丸 ぃよーし……それじゃ、景気よくぶっ放すぜぇっ！ ぶつかってみなきゃ、何にも分かんねぇもんな♪ 安宅船 日本丸 ――遠慮はいらねぇ、沈めるつもりで掛かってきてくれ！
合戦中
立花山城 いったい何が目的なのかしらね……。 とはいえ、話は簡単だわ。力比べで勝てば良いのよね。 柳川城 まずはあの城娘の無力化を目指しましょう！ 殿、聡明な下知を願います！ 甘崎城 やったやった！　やったですぅぅ！ さ、あの城娘を縄でぐるぐる巻きにして、 積もった恨みをお返ししてやるですぅ！ 立花山城 急に元気になったわね……。
後半
安宅船 日本丸 ――あっれー、もう終いかぁ。 もうちょい良い線いくかと思ったんだけどなぁ……。 甘崎城 さーて、どうしてやるですかねぇ。 どうやって罪を償ってもらうですか……。 甘崎城 日本丸……とか言ったですね？ 最後に何か、言っておきたいことはあるですか？ 安宅船 日本丸 …………。（ぷい） 甘崎城 おー……？　売ってるです？ これ、売っちゃってるですよね？ 甘崎城 なら……買うですよ？ この甘崎城が、正義の拳でせーばいするですよ？ 安宅船 日本丸 ……うるっせぇな。 大人しくしてりゃぎゃーぎゃーと……。 安宅船 日本丸 言っておくが……今のあたしでも、 お前をとっちめる程度の力は残ってるんだからな？ 甘崎城 …………。 甘崎城 ほー……そうですか……。 甘崎城 ……ということで。 ここから先は任せたですよ……殿さま。 立花山城 何がしたいのよ、貴方は……。 柳川城 日本丸さん……と言いましたか。 いったい何を目的に、このようなことを……？ 殿 …………。 安宅船 日本丸 ……知りたかったんだ。 あんたらが、あたしを相手にどう戦うのか……。 安宅船 日本丸 あんたらが強いってことは……一応、認めてる。 兜の元締めを倒したのは、有名な話だからな。 安宅船 日本丸 でも、これまでの殆どの戦いは、 兜や妖怪を退けるためのものだった……そうだろう？ 殿 …………。 柳川城 その通りですが……そこに何か懸念でも？ それ以外の敵と対峙する理由など、ありませんでしたし―― 柳川城 ――はっ！　まさか日本丸さん、貴方は……。 安宅船 日本丸 ……そういうこった。 安宅船 日本丸 今……得体の知れない城娘が、 日の本に対して働きかけようとしている。 今後、激しい衝突が生じる可能性は高い……あたしの推測だけどな。 千狐 相手は仲間であるはずの城娘。 それも、急を要する場面……。 立花山城 納得したわ。 これから起こりうる状況を、 擬似的に再現したのね……貴方は。 安宅船 日本丸 ま……結果はあたしの杞憂だったけどな。 戦が始まってからのあんたらに、躊躇いは無かった。 安宅船 日本丸 この先、奴らがちょっかいを掛けてきても、 あんたらならどうにかしてくれるだろ。 ……安心して日の本を任せられる。 柳川城 ……一緒に戦ってほしい、とは言わないのですね。 安宅船 日本丸 信用を勝ち取ることは初めから諦めてた。 理由はどうあれ……そこのちんまいのに、 砲弾を打ち込んだわけだしな。 甘崎城 ち、ちんまいの……。 安宅船 日本丸 だから……どんな処遇を受けようが文句は言わねぇ。 煮るなり焼くなり、好きにしてくれ。 殿 …………。 殿 …………！ 安宅船 日本丸 ……え、協力？ あたしを連れてくっていうのか……？ 柳川城 ……そうですね。 日本丸さんが持っている情報は、非常に貴重……。 同行していただければ、この先も心強いかと思います。 安宅船 日本丸 そんな……。 あたしのこと、信じちまうのか？ それで良いのかよ、あんたら……！ 立花山城 馬鹿ね。良いに決まってるじゃない。 立花山城 貴方が根っからの悪人じゃないってことは、 初めから分かってたのよ……殿も、私たちもね。 甘崎城 （そ、そうだったんです……！？） 立花山城 貴方のことはまだ、よく知らないわ……でもね。 誰よりも早く危機を知って、 独りでどうにかしようと力を尽くしてきたことは分かる。 立花山城 ……独りで戦ってる子は、放っておけないのよ。 報われてほしいって思っちゃうの。 柳川城 ……立花山城さん。 殿 …………。 安宅船 日本丸 ……お人好しにも程があるぜ、あんたら。 安宅船 日本丸 ……けど、ありがとな。 正直、もうクタクタでさ……限界だったんだ。 安宅船 日本丸 信じてくれるっていうんなら、あたしも力を尽くすぜ。 あんたのためにこの身を捧げる所存だ……お頭！ 殿 …………！ やくも ……決まりだにっ！　それじゃ早速、 日本丸が見たっていう城娘の影を追うために出立するがやー！

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