ストーリーテキスト/髑髏の聲をきくがよい

ページ名:ストーリーテキスト/髑髏の聲をきくがよい

目次

髑髏の聲をきくがよい[]

髑髏の聲をきくがよい -前-

大宝寺城から急を告げられ、出立する一行。
一方その頃、新たな城娘が日の本にやってきていた。
彼女と共に新たに顕現した妖怪を討て!

前半
大宝寺城

ぶおお~ん! ぶおおお~ん!
(殿~! 一大事だよ~!!)

鬼ヶ城
おーおー、今日も法螺貝の音が賑々しいなぁ。
なんだ? 腹でも減ったのか?

大宝寺城
そんな呑気なこと言ってる場合じゃないよ~!
見つかったんだよ~!

やくも
見つかった、って何がだにぃ?
落とし物でも出てきたがや?

大宝寺城
兜と鬼の軍団だよぉ!
兵たちの報告で、ある場所に向かってるって!

大宝寺城
しかもそこって調べたら封印の岩があるところみたいだよ!
このままじゃ封印を解かれちゃう~!

殿
…………!

柳川城
急を要する事態ですね、殿!

鬼ヶ城
何ぃ!? これ以上妖怪を増やされてたまるかよ!
絶対に阻止すんぞ!

千狐
殿! 支度ができ次第、すぐにでも参りましょう!

エステンセ城
ここが日の本かぁ~!
いいね、創作意欲がみなぎるよぉ!

エステンセ城
よーし、決めた!
ここでフェスタを開く!

エステンセ城
となると何が必要かなぁ……。
この岩は舞台袖にしちゃうとしてぇ……。


──着イタド。
ココガ次ノ仲間ガ封印サレテイルトコロダド。

古桃形兜
……ム? 何ヤラ派手ナノガイルナァ。

エステンセ城
ん? 誰?
来てくれたのは嬉しいけどまだフェスタは準備中だよ~。


フェスタッテナンダド?


……マァ、ドウデモイイド。
トニカクソノ岩ヲ壊スド!

兜軍団
応――ッ!!

エステンセ城
──っ!? ちょ、ちょっとやめてよ!
この岩はアタシのフェスタに必要って今決めたばっかりなんだから!


セスタダカネスタダカシラネド、シッタコッチャナイド!

兜軍団
マスタッ! マスタッ!

エステンセ城
この分からずや!
アタシの情熱を阻むんだったら容赦しないんだから!

千狐
──殿! 転移術成功です!

大宝寺城
早く兜たちを探さなきゃ……!

大宝寺城
ってうわあぁぁ! もう兜たちがいるよぉ!

鬼ヶ城
んん……?
なんだ、目慣れん奴がいやがるな?

やくも
か、兜さんや鬼さんと喧嘩してる町娘だに?
なんちゅう胆力だがや……。

千狐
違うわやくも!
あれは……!

エステンセ城
アタシの音でバッキバキにしてやるんだから!
絶対にこの岩は破壊させないからね!!

柳川城
異国の様相……!
彼女も城娘だったのですね!

鬼ヶ城
喜んでばかりもいられねぇ!
多勢に無勢だ、助太刀するぞ!

エステンセ城
……ん? あ、あれ?
なんかまた人が増えてない……!?

エステンセ城
だからフェスタはまだだってば~!
あ~ん、アタシの人気者ぉ~!!

古桃形兜
隙アリッ! ヤッテシマエッ!

兜軍団
応――ッ!!

エステンセ城
あっ、しまっ……!
あーーーーーっ!!

大宝寺城
そ、そんなぁ……!

柳川城
岩が……破壊されてしまいました……!

大宝寺城
ふ……封印がぁぁ~!!

エステンセ城
アタシのフェスタがぁぁ~!!

鬼ヶ城
ふぇ……ふぇすた……?

やくも
まずいだにぃ……。
ここに封印されてる妖怪は何がや!?

千狐
確か……『がしゃどくろ』という名前だと耳にしたことがあるわ……。

やくも
なんか怖そうな響きの名前だにぃ……。


サァ、目覚メルド!
『がしゃどくろ』!

がしゃどくろ
……。

古桃形兜
……。

がしゃどくろ
……。

柳川城
……。

柳川城
……あの、私の目にはただの骸骨としか映らないのですが……。

鬼ヶ城
奇遇だな……俺様もだ……。

千狐
そ、そんなはずは……。
確かに妖怪を封じていたはずですが……。

がしゃどくろ
……。

古桃形兜
オイ、此奴ハホントニ妖怪カ?


失礼ナ! レッキトシタ妖怪ダド!

古桃形兜
ソレニシテハ動ク気配ガナイゾ……。

桃形兜
コレアカン奴デハ……。

千狐
……え? 嘘?

エステンセ城
お、恐るべし日の本……!
岩の下から棺もなしに直接白骨っ……!

エステンセ城
さすがのアタシもそこまでの情熱はっ……!

大宝寺城
お弔いだよぉ~!
ぶおお~ん! ぶおお~ん!


オイ! ガシャドクロ!
イイ加減起キルド!

がしゃどくろ
誰ゾ……我ヲ起コス者ハ……。

大宝寺城
ひえぇっ?!
が、骸骨が喋ったぁ!?


ヨウヤク起キタカ、全ク。
寝坊助ハ相変ワラズダド。

がしゃどくろ
アアア……。
寒イ……寒イ……。

がしゃどくろ
剥キ出シノコノ身ニハ、浮世ノ風ノ苛ミハ耐エラレン……。
何ゾ……纏ウモノヲ……。

古桃形兜
纏ウモノト急ニ言ワレテモ……使エソウナ布ハ余ッタ麻袋クライシカナイゾ……。
此レヲ切リ開イテ使ウカ?

がしゃどくろ
布ナゾデハ……我ガ身ハ温マラヌ……。
我ガ身ヲ温メウルハ……生キタ血肉ヨ……。

がしゃどくろ
生キタ人カラ……生キタ命カラ……生キタ血肉ヲ……。
生キタ熱ヲ剥ガシ纏イテ……我ガ冷タキ無念ヲ晴ラス……!

鬼ヶ城
チッ、きな臭ぇこと言いやがる……!

やくも
怖いだにぃ……。

大宝寺城
うう……。
なんか凄いどろどろした気持ち悪い空気を感じるよぉ……。

エステンセ城
喋る白骨……何言ってるのかはちょっと聞き取りづらいけど……。
死んで骨になってなお喋れるってすごい……!

がしゃどくろ
オオ……ナント温カソウナ肉カ……。
生命ノ昂リ……流ルル血潮……全テ二霊気ノ満チ溢レヲ感ジル……!

エステンセ城
ひぃっ!? こっち見たっ!?

がしゃどくろ
肉ヲ引キ剥ギ……抉リ……削ギ落トシ……。
血ヲ啜リ……皮膚ヲカッ剥グ……。

がしゃどくろ
ソレラ全テヲ己ガモノトシ……我ヲ貶メタ奴等ニ……復讐ヲ……!

エステンセ城
こ、こっち来てるぅっ!?
や、やる気なのねっ!?

エステンセ城
……っと、いけないいけない……。

エステンセ城
平常心平常心……。音楽は落ち着いて奏でてこそ……。

大宝寺城
あのお姉さんが危ない!
みんな、行こう!!

鬼ヶ城
言われなくてもっ!
行くぞっ!!

柳川城
参りましょう殿!
同じ城娘の窮地、捨て置くわけには参りません!!

千狐
気を付けてください!
あの妖怪の怨念で満たされた、今のこの場所は奴らの味方です!

殿
…………!

がしゃどくろ
アナ妬マシキハソノ命……。
絶エタ我ガ身ノ慰メトセン……!!

エステンセ城
よーし、アタシの情熱の音でバッキバキにしてあげるよ!

後半
がしゃどくろ

何故……我ガ怨念……
祓ワレル…………?

がしゃどくろ
ヌヌ……我ガ手……阻マレル……。
熱ヨ……今一度……。

エステンセ城
どうよ!
アタシの音、響いたでしょ!?

鬼ヶ城
あの城娘の音、すげぇな!
聞いたことねぇ調べだけど、強烈に俺様の心を揺らしてきやがる!

大宝寺城
変わった音だけど、なんだか体の奥に響いてくるよ!

エステンセ城
やっぱりね!
アタシの音は最高だって!

エステンセ城
……で、えーっと。
一緒に戦ってくれた皆は一体?

柳川城
申し遅れました。
私は柳川城と申します。

大宝寺城
私は大宝寺城だよ、よろしくね!

鬼ヶ城
俺様は鬼ヶ城だ!

やくも
やくもだにぃ!

千狐
やくもと同じく、神娘の千狐と言うものです。こちらは我らの殿です。

殿
…………。

エステンセ城
ふんふん、なるほど。
アタシはエステンセ城だよ! よろしく!

エステンセ城
それで、申し訳ないんだけどフェスタはちょっと開けそうになくてね……。
岩が壊されちゃったから、また一から考え直さなきゃ……。

大宝寺城
岩が壊されちゃったから、って?
どゆこと?

大宝寺城
(というか、ふぇすたって結局何なんだろう……?)

エステンセ城
あの岩が、どうしてもアタシのフェスタに必要だったんだよ……。
それをあいつらが!

鬼ヶ城
……オイ、あの岩は妖怪を封じ込めてた神聖な岩だぞ?

エステンセ城
へっ?

エステンセ城
あ、そうだったんだ……。
ええと、ゴメンナサイ……。

大宝寺城
ううん、目的がどうあれ守ってくれようとしたことは確かだもん。
ありがとうね!

やくも
そうだに!
ゴエットシューってやつだに!

千狐
それを言うなら呉越同舟だし、そもそもそれだと敵同士になっちゃうでしょ……。

エステンセ城
ゴエットシュー? ゴエットシューって料理の名前みたいだね!
どんな食材を使うのかな?

がしゃどくろ
贖罪……ソウダ、我ノ、我ラノ……。

エステンセ城
ん?

がしゃどくろ
命アル者……我ラニ贖エ……!
ソノ熱デ……ソノ命デ……ソノ血肉デ……!

エステンセ城
えっ!?
さっき倒したはずなのに、なんでっ!?

がしゃどくろ
寄越セ、熱ヲ、命ヲ……!!

エステンセ城
ひっ! や、やめて!!

鬼ヶ城
嘘だろ!? さっきより数が増えてやがる!!

がしゃどくろ
寄越セエエエエエエエエエエエエエエエエ!!

エステンセ城
きゃあああああああああっ!!

髑髏の聲をきくがよい -後-

一度倒したにも拘わらず甦るがしゃどくろ。
その恐るべき執念に追いつめられる中、
エステンセ城はあることに気付く。

前半
エステンセ城

きゃあああああああああっ!!

大宝寺城
ひええっ!!
エステンセ城が骨の海に飲み込まれちゃったよぉぉっ!!

柳川城
いけない!
早く彼女を助け出さないと!!

鬼ヶ城
任せろ!
うおおおーーーーーーーっ!!

大宝寺城
っ、み、見つけた!!
今引っ張り出してあげるからね!!

鬼ヶ城
力なら負けねぇぞ!!
オラッ、骨ども! その黴臭い手を離しやがれ!!

がしゃどくろ
肉……新タナ肉……!

大宝寺城
痛い、痛いっ!
で、でも! 絶対、離したりしないから……っ!

がしゃどくろ
熱……新タナ熱……!

鬼ヶ城
畜生、調子に乗りやがって!
この無骨野郎!

柳川城
あと少しで……っ!!

がしゃどくろ
命……オオ……再ビ……奪ワレ…………。

大宝寺城
……っ、やった!
引っ張り出せた……っ!

エステンセ城
うう……。
体中痛いよぉ……。

柳川城
だ、大丈夫ですか!?

エステンセ城
特にお尻が痛いよぉ……。

がしゃどくろ
寄越セ……寄越セ……。

千狐
これは……!?
一度倒したはずなのに、未だ健在……!?

やくも
えっ!?
つまり倒せてないってことがや!?

大宝寺城
えーーーーーーっ!?
あんなに苦労したのに!?

柳川城
そんな……!
なぜ完全に打破できなかったのでしょう……?

鬼ヶ城
嘘だろ……?
こいつら腕力だけでどうにかなる相手じゃねぇし、他にどうしろってんだよ……。


オオ、惜シイ惜シイ。
アノママダッタラ生キタママ生皮モ肉モ剥ガセテタド!


城娘ノ生皮ト血肉ナンテ、ソンジョソコラノ人間ノ比ジャナイド!
モシカシタラ剥イダ後ノ残リモオデタチノ仲間ニナッテタカモナ!

がしゃどくろ
嗚呼……嗚呼……。
皮……肉……血潮……。

大宝寺城
ひえぇ……。
と、とりあえず手遅れにならなくてよかったみたいだけど……。

鬼ヶ城
事態は切迫したままだな……。
畜生、どうする……!?

エステンセ城
うう……。
あちこち引っ張られたり食い込んだりで痛かったよぉ……。

エステンセ城
でも……このままじゃまた……。

がしゃどくろ
……ア…………。

エステンセ城
……ん?

がしゃどくろ
無念……無念………………。

エステンセ城
(あれ? あいつだけ再生できてない……? なんで……?)

エステンセ城
(あの位置……そうか、もしかして一番最初に戦った奴? それで復活して……?)

エステンセ城
(ということは……もしかして!!)

古桃形兜
ホウ……ヤラレテモ復活デキルトハ強イジャナイカ!


フッフッフ。コレゾ正ニ『防御コソ最大ノ攻撃』ダド!

古桃形兜
サテ、後ハジックリ城娘タチガ泣キ叫ビナガラヤラレテイクノヲ眺メサセテ貰オウ!


ワッハッハ! 今度コソオデタチ妖怪ノチカラヲ思イ知ルガイイド!!

鬼ヶ城
クソッ、好き放題言いやがって!

エステンセ城
――皆!!

大宝寺城
えっ!? なんで前に出ちゃうの!?
休んでなくちゃダメだよぉぉ!!

エステンセ城
いいから見てて!
情熱的なこの音が届く様を!!

エステンセ城
エッヴィーーーーヴァーーーーーーー♪

古桃形兜
ウルセエエエエエエエエエ!!
何ダ急ニ! 気力ヲ振リ絞ッテマデ嫌ガラセシオッテ!


グアアアアアアアアアア!!
コッ、コイツ急ニ、キ、キツイ一撃カマシテキタドッ……!

大宝寺城
わっ……!?

鬼ヶ城
おおっ……?

がしゃどくろ
ガアァ……ッ!!

柳川城
一体何を……?

がしゃどくろ
ア…………。

やくも
ま、また何体か崩れたけど……。

がしゃどくろ
……皮……肉ヲ……命ヲ寄越セ……!

やくも
やっぱり甦っただにぃ!

千狐
!?
違う、見て!

大宝寺城
あれっ?
あの辺にいるどくろ、動いてないよっ?


ギクッ!

鬼ヶ城
ってことは、甦りにも限りがあるってことだな!

柳川城
そういうことなら、再び臨むまでです!

大宝寺城
殿、もう一度みんなに下知を!

がしゃどくろ
オオ……命……コレホドアレバ……
我ラノ悲願モ……果タサレヨウゾ…………!

エステンセ城
よぉし、舞台は整ったみたいだね!

エステンセ城
それじゃあ皆、行くよ!
エッヴィーヴァ♪

後半
エステンセ城

これで、フィーネ!!

がしゃどくろ
ガァァァァァァァァァァァアアアアアアッ……。

やくも
やったがやぁ!
これでもうただの骨の山だにぃ!

大宝寺城
それはそれで怖い気もするけど、ひとまず良しかな?

柳川城
殿、お見事でした!

エステンセ城
フェスタとは違ったけど、これはこれでいい経験になったかな!

鬼ヶ城
これならもう甦れねぇだろ!

鬼ヶ城
……ん?

兜軍団
急ゲ! 急ゲ!

鬼軍団
詰メロ! 詰メロ!

大宝寺城
必死に袋に骨詰めてるーーーーー!?

エステンセ城
ダッベーロ!?
何で!? ブロードでも作るの!?

エステンセ城
どう見ても人の骨なのに!?
日の本のヨーカイ怖い!

兜軍団
終ワッタ! 終ワッタ!


ガシャドクロノ強ミハモウヒトツアル!
持チ運ビガ楽ナコトダ!


トイウワケデ、逃ゲルド!

兜軍団
逃ゲロ! 逃ゲロ!

鬼ヶ城
ちょっ、ふざけんな!
待ちやがれ!! 持ってくんじゃねぇ!! 置いてけ!!

柳川城
お待ちください!
深追いはなりません!!

やくも
――あれ、もう帰ってきたにぃ……。

鬼ヶ城
畜生ォ……持っていかれた……!

鬼ヶ城
悪ぃ……。思ったよりあいつら速くて……。
ここが海の上なら余裕で追いつけたと思うけど、陸は……。

大宝寺城
良いんだよー!
戻ってきてくれてよかったー!

エステンセ城
無事戻ってこれて良かったね……。

エステンセ城
改めて、一緒に戦ってくれてグラッツェ♪

千狐
いえ、こちらこそ。
ところで、先ほど負傷されていましたけど障りはありませんか?

エステンセ城
んー。
まぁ、演奏してたらなんとなく回復してきたし大丈夫……かな?

大宝寺城
無理しないでね。
なんなら一度所領に……。

エステンセ城
うん、一回帰ろうかなって。

大宝寺城
ん?

エステンセ城
帰るよ。国に。

柳川城
えぇ!?
そ、その状態でですか……?

エステンセ城
うん、大丈夫大丈夫。
……多分。

大宝寺城
多分!?

エステンセ城
きっと。

大宝寺城
きっと!?

鬼ヶ城
まっ、本人がいいって言ってんだから。
大丈夫なんだろ。

エステンセ城
そゆこと♪
じゃ、また会おうね! 次こそフェスタ開くから、参加してってね!

エステンセ城
あぁ、イタリアがアタシを呼んでいるー!

やくも
ほ、ホントに帰ってったがや……。
元気な城娘さんだにぃ……。

大宝寺城
あっ!
結局ふぇすたって何か聞き忘れた!

柳川城
……まぁ、何はともあれ一件落着でしょうか。

大宝寺城
私たちも帰ろう?
さすがに疲れたよー。

鬼ヶ城
俺様もひとっ風呂浴びてぇなぁ。

千狐
それでは、殿。所領へ帰還するとしましょう!
此度の遠征も、本当にお疲れ様でした。

髑髏の聲をきくがよい -絶-

新たな妖怪との戦いを終え、所領に帰還した一行。
疲れた体を癒すため眠り、平和に次の日を迎えた。
厨房から漂ういい匂い。さぁ、今日の朝食は――。

前半
エステンセ城

ボン・ジョルノ~!
朝ご飯できてるよ~!

やくも
わーい、ご飯だにぃ♪

千狐
ええ、見慣れないけどとっても美味しそうな……って。

千狐
えぇ!? エステンセ城さん!?
帰ったんじゃなかったんですか!?

エステンセ城
ん? うん!
帰れなかった!

やくも
帰れなかった!?

エステンセ城
なんかねぇ、停めてたはずの船がなくなっちゃってて……。
どこ行っちゃったんだろ?

千狐
どっか行っちゃったって、もやい綱は? 錨は?

エステンセ城
えっ、何それ?

千狐
……理由は明白ですわね。

エステンセ城
ま、というわけで、しばらくお世話になるね!
挨拶代わりに朝ご飯は作らせてもらったよ!

柳川城
そ、そうでしたか。
経緯はどうあれ、とても食欲をそそる匂いですね。

エステンセ城
味も抜群だよ!
国から持ってきた食材も使ってるからね!

やくも
これは何がや?
見た目は卵雑炊みたいに見えなくもないけど……。

エステンセ城
それはね、ザッフェラーノを溶いたブロードで煮たお米に、
卵と粉状のフォルマッジョとぺぺ・ネーロを加えて混ぜた料理だよ!

やくも
……つまり、どういう料理だがや?

柳川城
ま、まぁ頂いてみましょう。
少なくとも煮込んだお米に何かと卵を混ぜた料理ということらしいですから。

千狐
そ、そうですね。
いただきます。

やくも
いただきますだにぃ♪

柳川城
……!
なんという美味……!

やくも
まいだにぃー!

千狐
美味しい……! なんだか食べたことがない塩気のある風味というか……。
まろやかなんですが、舌を軽く刺すような刺激が味を引き締めて……!

エステンセ城
ちなみに、味を変えたいならこういう調味料もあるよー♪

やくも
ちょっとかけて食べてみるがやぁ!
……んん! 甘さを含んだ酸味が絶妙だにぃ~!!

柳川城
酸味? 黒っぽいですが、お酢なのでしょうか?

エステンセ城
そうだよ~。
これぞ、バルサミコ酢~♪

柳川城
ばるさみこす……不思議な響きですね。

やくも
あはは、バルサミコ酢~♪

エステンセ城
あっ、王様のお口には合ったかな?

殿
…………!

エステンセ城
美味し~いって顔してるね♪
良かったー♪

エステンセ城
さーて。それじゃあ
今回のお礼をしないとね!

柳川城
お礼なんて良いのですよ。
ともに戦った仲ではありませんか。

エステンセ城
いやいや! やらせてもらわないとアタシの気が済まないの!

エステンセ城
……そうだ、閃いた!
今回の戦のことを歌にするよ!

エステンセ城
こうしちゃいられない! アタシ一人じゃこの情熱は表現しきれないよ!

エステンセ城
ということでできたら改めて披露するからお楽しみに!

やくも
……あっという間に走り去っていっただにぃ。

千狐
なんとも情熱的ですね……。

千狐
……で、やくも。それおかわり何杯目なのかしら?

やくも
わかんないだにぃ♪
匙が止まらんだにぃ♪

千狐
……はぁ。

――数刻後。

柳川城
エステンセ城さんに集まってほしいとは言われたものの、
すごい人ですね……。

柳川城
演奏会と伺っていたのですが……。
ずいぶんと盛大に装飾されていて、まるでお祭りのようです。

エステンセ城
皆、来てくれてありがとー!
今日は皆のために、一生懸命演奏するよー!

エステンセ城
今回一緒に演奏してくれるのはこの城娘たち!
まずは法螺貝担当、大宝寺城ちゃん!

大宝寺城
ぶおお~ん! ぶおお~ん!

エステンセ城
横笛担当、滝山城ちゃん!!

滝山城
ふふ、ああまで頼まれては断れまいて。
我の笛の虜にしてくれようぞ。

エステンセ城
打楽器、もとい槌担当の三木城ちゃん!!!

三木城
(これが終わったらご飯……)

エステンセ城
そしてぇ! わが楽団の歌姫、鬼ヶ城ちゃん!!!!

鬼ヶ城
なんか、ちっと恥ずかしいな……。

鬼ヶ城
まぁ、やれるだけはやってやらぁな!

柳川城
歌姫ということは、
もしかして鬼ヶ城さんが歌を吟じられるのですか!

千狐
意外な組み合わせですが、
どのような演奏になるのかとても楽しみですね、殿。

殿
…………。

エステンセ城
それじゃ、早速いっくよー!!
ウノ、ドゥエ、トレ、クワトロ!

後半
柳川城

こ……これは……。
少々、いえ、かなり耳に……痛いような余韻が……。

殿
…………!

エステンセ城
皆最高だったよ!
一緒に演奏してくれて、ほんとに、ほんっとーに、グラッツェ!!

滝山城
何、汝が旋律は珍しくも愉快じゃったぞ。
我の笛も思わず興が乗ってしもうた。

エステンセ城
やっぱりアタシが見込んだ通りだったよ!
滝山城ちゃんの笛、最高にヴィヴァーチェだったよ!!

滝山城
うむ! びばーちぇか!
意味は分からんがよい響きじゃの!

柳川城
(滝山城さんの笛の音がほとんど聞こえませんでした……)

鬼ヶ城
な、なぁ。
俺の歌はあれで良かったか?

エステンセ城
うんっ♪ 期待以上のデキだったよ!
豪快なヴィブラートが最っ高!!

鬼ヶ城
そ、そうか!
期待に応えてやれたんならいいかな!

千狐
(いや、あれはただの騒音では……。
 少なくとも日の本受けはしないですわ……)

エステンセ城
三木城ちゃんもありがとうね!
とってもカプリチオーソな律動で、思わずアタシも体が動いたよ!!

三木城
ごはん……。

エステンセ城
もちろん! この後すぐにたぁ~っくさん作るからね!

三木城
たーっくさん…………!

やくも
(むむ、羨ましいだにぃ……)

エステンセ城
そしてもちろん! 大宝寺城ちゃんもグラッツェ♪
法螺貝の音がまるでカンタービレ!

大宝寺城
ぶおお~ん♪ ぶおお~ん♪

エステンセ城
とはいえ……課題が見えてきたのも事実!
とりあえず音がまだ足りない!

エステンセ城
でもそう都合良くいるかなぁ……。
例えばアタシのリュートを膨らませるような、同じような楽器を演奏してる子とか……。

鬼ヶ城
ほー、その楽器はりゅーとってんだな!
てっきり琵琶かと思ってたぜ!

エステンセ城
ビワ?
そんな楽器があるの?

大宝寺城
あっ、そういえば誰か琵琶弾けるって子がいるって聞いたような?

大宝寺城
誰だったかなぁ……?

滝山城
確か……。
春日山城、ではなかったか?

エステンセ城
カスガヤマジョーって子だね!?
それなら早速探しに行かないと!!

エステンセ城
よーし! 皆今から行くよ!!!!

柳川城
あっ……。
あっという間に去ってしまわれましたね……。

千狐
うう……頭の中でまだ音が鳴ってる気がしますわ……。

やくも
こ、この調子だと、あの演奏……、
……もっと騒がしくなるみたいやね。

千狐
ということは、そのうちまた、
今日みたいに演奏会をやるつもりなのですね……。

柳川城
もしあのような音楽が日の本で流行ってしまったら、
一体どうなってしまうのでしょうか……。

殿
…………。

そんな不安を覚える柳川城たちをよそに──

エステンセ城たちは晴れやかな顔つきで
春日山城の許へ向かっていくのだった。

エステンセ城
よ~~~~~し♪
まだまだアタシの演奏は終わらないぞーーっ!!



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[裏]室町第

裏]室町第殿……ふふふ。どうせまた来るって、そんな気はしていたわ。私がどんなに忠告をしても、貴方は自分の信念を曲げない。本当に……つくづく、強い人ね、殿は。私のせいで、どれほど悪いことが起こっても殿は...

[裏]大宰府

]大宰府おお、殿か。よく来てくれたな。今な、手紙を整理しておったのじゃ。最近は毎日、誰かしらから届くのでな……。この手紙は……、『大宰府ちゃん親衛隊』を自称する者たちからじゃな。大野城、鞠智城、基肄城...

[裏]坂本城

]坂本城大殿様……また来たのね。ふふ……別に、追い返したりしないわよ。というより……私も今ね、大殿様と話せたら、って考えてたところだったの。だから……少しの間、私の話し相手になってくれるかしら?……ふ...

[裏]佐和山城

]佐和山城……また来たのね、あなた。足を運んでくれたところ悪いけど、面白いものは何も見れないわよ?相変わらず、大坂城様のらいぶに向けて、準備をしているだけだもの。……ん、なに?『なぜ、そこまで大坂城様...

[裏]伊勢長島城

]伊勢長島城も~、なんなのあいつら!信じらんない!寄ってたかってライブの邪魔をして!いったいどこから情報が漏れたの?もしかして、殿じゃないでしょうね……!?……そんなわけないか。あたしは、あんたにな~...

[花嫁衣装]鹿児島城

目次1 性能1.1 特技1.2 計略1.3 [改壱]計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< ロケト城 - [花嫁衣装]シャンティイ城 >[花嫁衣...

[花嫁衣装]鮫ヶ尾城

]鮫ヶ尾城はあ……春日山城サマの祝言、想像するだけでドキドキしてしまうっす!ね、ちびサマ~♪……ん?どうしたっすか、トノ?えっ、『主城のことより自分はどうなのか』っすか……?うぐ……これは痛いことを言...

[花嫁衣装]許昌城

]許昌城うーん……。ううーん……。……おや、殿か?すまない、考え事をしていて来訪に気づいていなかった。この間、殿と話してから、結婚に関して城娘達と話をしたのだ。繁栄という目的へ至る手段としての婚姻……...

[花嫁衣装]萩城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< [花嫁衣装]チャンドラ・マハル - [花嫁衣装]新田...

[花嫁衣装]秋田城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< 延岡城 - [花嫁衣装]ロンドン塔 >[花嫁衣装]秋...

[花嫁衣装]春日山城

]春日山城うーん……。……うーん? ……うん?……殿?すみません! お越しいただいていたのに、今の今まで気づかずにいて!実は先日、坂戸城と謙信公の昔話をしてたのですが、その際、跡継ぎの話題が出たのです...

[花嫁衣装]新田金山城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< [花嫁衣装]萩城 - [花嫁衣装]アイリーン・ドナン...