ストーリーテキスト/飛び立て青春☆激闘生徒会!

ページ名:ストーリーテキスト/飛び立て青春☆激闘生徒会!

目次

飛び立て青春☆激闘生徒会![]

飛び立て青春☆激闘生徒会! -序-

鐘の音? で、目を覚ます、やくも。
そこで目にしたのは、都合三度目となる、あの世界。
今回、一行の前に立ちはだかるのは、その名も『生徒会』……。

前半

キーン、コーン、カーン、コーン……

やくも
ん……んぅ……。

やくも
……はっ!?

やくも
ふっふっふ。
そう何度も、同じ手には引っかからないだに。

やくも
ちゃんと分かってるだに。
今のは千狐の声じゃないがや。

やくも
また……アレが来ただに。
そろそろ来るんじゃないかと
心構えはしておいただに。

千狐
きーん、こーん、かーん、こーん♪

やくも
って、ほんまに千狐が言ってたんかや!?

千狐
ふふ、おはよう、やくも。
見て。また所領がこんな風に変わっちゃったみたい。

柳川城
三度目ともなると、さすがに皆、
この変化にも慣れてきましたね。

立花山城
だけど、またこの茶番に付き合わされるのね。
確か、学問の神、とやらのせいだったかしら。
暇な神様もいたものよね、まったく。

柳川城
嘆いていても仕方ありません。
この変容した世界では、何が起きてもおかしくはないですし、
十分に注意しておきましょう。

殿
…………。

千狐
そうですね。
ずっとここにいても仕方ありませんし、
とりあえず外に出て様子をみてみましょう。

阿波一宮城
みんな声が小さいですよ!
そんなことでは、私たちの応援の声が空まで届きません!
ではもう一度!

鳥羽城
押忍!

苗木城
押忍!

阿波一宮城
それでは~!
執務中の生徒会長に~!
心より~! エールを~!

阿波一宮城
フレ~! フレ~! か! い! ちょ! お!

鳥羽城
フレッ! フレッ! 会長!

苗木城
フレッ! フレッ! 会長!

立花山城
な、何なの……。
あの声の大きな、暑苦しい連中は。

阿波一宮城
フレー! フレーッ……お?

阿波一宮城
ああぁっ!
もしかして入団希望者さんですか!?

阿波一宮城
私は『ぽんぽこ応援団』の団長、阿波一宮城です!
ようこそ! 応援団部へ!
皆さんのことを心より歓迎します!

阿波一宮城
それから……そちらは新しい顧問の先生ですよね!?
応援団部にも、やっと顧問の先生が付いて嬉しいです!
これからよろしくお願いします! 押忍!

殿
…………?

柳川城
あ、あの……。
何か勘違いをしているみたいですが、
私たちは、その……。

???
待ちなさい。
その者たちの勧誘は、認められないわ!

阿波一宮城
あ! ローテンブルク先輩! 押忍!

阿波一宮城
せっかくの新入部員なのに
どうして勧誘がダメなんですか!?

城塞都市ローテンブルク
阿波一宮城。あなたはそれでも生徒会役員の一員なの?

城塞都市ローテンブルク
その五人こそ、この学園で最も有害とされる、
例の問題児たちじゃない!

阿波一宮城
ええええぇっ!?
じゃあ、この人たちが生徒会長のおっしゃっていた、
あの落ちこぼれ生徒と、問題教師の……!?

立花山城
……ねぇ、気のせいかしら。
なんだかさっきから、聞き捨てならないことを
言われまくってるみたいなんだけど。

やくも
ていうか、今回はいつもにも増して
急展開でついていけないだに。

千狐
千狐もなの。誰かもう少し、今の状況を説明して欲しいです。

足利学校
ああ、遅かった……。
みなさん、もう生徒会に目を付けられてしまったんですね。

立花山城
あら、ちょうどいいときに
話の分かりそうな子が来てくれたじゃない。

足利学校
気をつけてください。
生徒会長はあなたたちを、
この学園から排除するつもりですよ。

やくも
排除? なんでうちらがそんなことに。
せーとかいちょーっちゅーんは何者だに。
そんなに偉いヤツなんか?

足利学校
そうですね。
もう少し、この学園のことについて
説明しておかなければいけませんね。

足利学校
実は……この学園の実権は、事実上生徒会が握ってるんです。
その生徒会の長たる生徒会長には絶大な権力があり、
私たち教師すらも逆らえない……。

足利学校
殿……いえ、先生。
ここから先は、きっと厳しい戦いになります。
どうか、お覚悟を。

殿
…………!

城塞都市ローテンブルク
ふふっ、まさかこんなところで、
この問題生徒たちと出会えるなんて
思いもかけない僥倖だわ。

城塞都市ローテンブルク
生徒会風紀委員長として、
この学園の風紀を乱す落ちこぼれどもに……。

城塞都市ローテンブルク
このわたしが制裁を加えてあげるわよ!

阿波一宮城
ああっ! ローテンブルク先輩が指導リボンを!
先輩は本気です! 私も本気で応援しなければ!

阿波一宮城
フレーッ! フレーッ! ローブールッ!

鳥羽城
フレッ、フレッ、ローブル!

苗木城
フレッ、フレッ、ローブル!

城塞都市ローテンブルク
こらっ! わたしの名前を省略して応援するなと、
いつも言っているでしょうっ!?

立花山城
なんだか分からないけど、
あちらさんは相当やる気みたいよ?

柳川城
私は今……とても腹立たしく思っています。

柳川城
殿、遠慮なく迎え討ちましょう!

合戦中

阿波一宮城
フレー! フレー! テーンークー!

城塞都市ローテンブルク
略し方を変えて辻褄を合わすんじゃないの!

やくも
そういえば、足利学校はどこに行ったがや?

立花山城
さぁ? 急に現れていろいろ説明してくれたけど
またすぐにどこかへ行っちゃったみたいね。

千狐
なるほど! 足利学校さんは、
今回はそういう立ち回りということですね!

後半

城塞都市ローテンブルク
くっ……そんな……。
わたしの指導リボンが敗北するなんて……。

阿波一宮城
ああぁっ!?
大丈夫ですか、ローテンブルク先輩!

阿波一宮城
な、何を考えているんですか、みなさん!
生徒会役員に楯突くなんて
どういうおつもりですか!?

立花山城
どういうつもりも何も、
先に手を出してきたのはそっちだと思うけど。

阿波一宮城
これが学園の問題児、というわけですか。
さすが、生徒会長が要警戒生徒として
退学を望んでいるのも分かりますね。

阿波一宮城
先生も先生です!
こんな野蛮な生徒を野放しにするなんて
あなたも教師失格ですよ!

殿
…………!

千狐
立花山城さんの言う通り、
さっきからひどい言われようです。

立花山城
その生徒会ってのが何なのかは知らないけど、
そこまで言われる覚えも筋合いもないんだけど。

立花山城
そもそも、どうしてそこまで
私たちに敵意むき出しなわけ?

千狐
そう! そこです!
やくもが落ちこぼれ生徒なのは認めますが――。

やくも
認めんなや!

千狐
だからといって、生徒会の一存で
退学にさせられるなんて不当です!

やくも
せーとかいは、何かうちらに
恨みでもあるがや!?

阿波一宮城
恨みはありません。
ですが……あなたたちの存在は邪魔なんです!

阿波一宮城
生徒会長の崇高な目的を達成するためには
あなたたちがこの学園に
いてもらっては困るんですよ!

飛び立て青春☆激闘生徒会! -破-

生徒会の目的は、落ちこぼれ生徒を排除すること。
風紀委員で新体操部のローテンブルクが課す生徒会の試練に、
殿たちは打ち克つことができるのか……!

前半

阿波一宮城
生徒会長の目的のためには、
あなたたちの存在が邪魔なんです! 押忍!

立花山城
押忍じゃないわよ。
何を勝手に人を邪魔者扱いしてくれてんのよ、不愉快な。

千狐
その……生徒会長さんの目的って
いったい何なのですか?

阿波一宮城
会長の崇高な目的、それは――。

阿波一宮城
この学園世界を、消滅させること、です!

殿
…………!?

阿波一宮城
もともと生徒会長は、この所領の変容を嫌っていました。
会長就任時のマニフェストにも、この学園世界を消失させると
高らかに宣言していたほどです。

阿波一宮城
そして会長は、
所領がこんな姿に変えられた、
その根本的な原因を突き止めたんです。

やくも
ん? なんでアイツ、うちのことを睨んでるがや?

千狐
その根本的な原因ってのが、やくもだからでしょ……。

阿波一宮城
そうです!
あなたたちのせいで、私たちの所領が
こんなことになってしまってるんですよ!

千狐
そ、それについては返す言葉もないですが……

千狐
でも、だからって、ここを追い出される理由には
ならないはずです!

足利学校
みなさん、最初に所領がこんな風に変えられた
あの日のことを覚えていますか?

やくも
おおっ、また足利学校が戻ってきただに♪

足利学校
私たちは、学問の神様に言われました。
学問の尊さを思い出してもらうこと、
それが、学問を愛する我からの、ささやかな願いだ、と。

足利学校
よく学び、よく遊び、よく食べ、友を尊び、風紀を正す、
それらを忘れないことだ、と。
それが、所領が元の姿に戻る条件にもなってましたよね。

足利学校
つまり裏を返せば
普段からよく学び、よく遊び、(中略)風紀を正していれば
所領がこんな風に変わることはない、ということなんです。

阿波一宮城
そう、生徒会長も同じことを考えました。
全ての生徒がよく学び(中略)風紀を正す、
そんな優秀な生徒なら、学園なんて必要なくなる。

阿波一宮城
だから生徒会長は、
諸悪の根源であるやくもさんとそのお仲間を、
この場所から排除することにしたんです! 押忍!

立花山城
なるほどね。事情はなんとなく把握できたわ。

立花山城
この世界を消す。結構なことじゃない。
もともと私は、好きでこんなところにいるわけじゃないし。

千狐
ま、待ってください!
千狐は、それには反対です!

千狐
確かに、所領の姿が変えられること自体は問題です。
だけど普段の所領ではできない経験や、大切な学びを
この場所では得ることができます。

千狐
千狐は結構、この場所が気に入っているんです。
だから、生徒会長さんの勝手で、
この学園を消すなんて認めることはできません!

やくも
うちもだに! 何が諸悪の根源だに!
そんなことでこんな楽しい場所から追い出そうとするなんて
許せないだに!

立花山城
貴方はどうなの、柳川城。
さっきから全然、喋ってないみたいだけど。

柳川城
…………。

柳川城
やくもさんや私たちが、
よく学び(中略)風紀を正せるような優秀な生徒でないと
そう判断されることは……構いません。

柳川城
ですが殿までも!
殿に教師失格の烙印を押すなどと……何人たりとも
殿を愚弄することは許しません!

立花山城
つまり、生徒会を許せない、と。
千狐とは見てる方向が違うけど、結論は同じね。

立花山城
私は生徒会長に賛成……の、つもりだったけど、
確かにこの場所を楽しんでる城娘たちも多いし
いい息抜きや気分転換にもなってるのよね。

立花山城
私も好きでこの場所に来たわけじゃないけど、
誰かの身勝手で追い出されるのも癪だし、
やっぱり私も、生徒会のやり方には反対ね。

阿波一宮城
みなさん……あくまでも生徒会に歯向かうのですね……。
ですが、みなさんをこの学園から追い出すことが
会長から下された生徒会の至上命題なんです。

城塞都市ローテンブルク
そ、そうよ……だから、
こんなところで、見逃すわけには、いかないわ……。

阿波一宮城
ローテンブルク先輩! 生きてたんですね!?

城塞都市ローテンブルク
当たり前でしょ!
勝手に人を殺すんじゃないわよ!

城塞都市ローテンブルク
ここを追い出されたくないなら、
よく学び(中略)ような優秀な生徒であると
この場で証明してみせなさい!

阿波一宮城
そうか! ちゃんと優秀さを見せることができれば
会長も認めてくださって、追い出されずに済みますね!

阿波一宮城
それならさっそく応援しなくちゃ!
フレーッ! フレーッ! と! の! さ! ま!

鳥羽城
フレッ! フレッ! 殿様!

苗木城
フレッ! フレッ! 殿様!

城塞都市ローテンブルク
馬鹿! なんであっちを応援するのよ!

柳川城
優秀さの証明……いいでしょう。
少なくとも殿が、どれほど立派なお方であるか、
私が証明してみせます!

千狐
でも……どうやって証明したらいいの……?

阿波一宮城
それなら簡単です!
生徒会から課せられた試練に挑み、勝てばいいんです!
そうですよね? 先輩!

城塞都市ローテンブルク
ふふっ、そうね。
どうやってその話にもっていこうかと思っていたけど
手間が省けて助かったわ。

城塞都市ローテンブルク
己の優秀さを証明するために
生徒会からの試練を望むというのなら、
この場で用意してあげるけど、どうする?

柳川城
望むところです!
試練でもなんでも、持ってきてください!

立花山城
熱くなるのはやめなさいって。
それこそ相手の思うつぼじゃない。

柳川城
心配いりません、私はちゃんと冷静ですよ、立花山城さん。

柳川城
試練、上等です。どんな試練を課されても
全て打ち克って見せますから!

城塞都市ローテンブルク
決まりね。
試練は生徒会役員との対決……そうね。
今回は、このわたしがお相手するわ。

立花山城
貴方が相手?
貴方は貴方で懲りないわねぇ。
また返り討ちに遭うつもり?

城塞都市ローテンブルク
次はそうは行かないわ。
次は……。

城塞都市ローテンブルク
新体操対決で勝負よ!

殿
…………!

阿波一宮城
そんな……新体操部の部長でもあるローテンブルク先輩が
自分の土俵で相手をするなんて……先輩は本気だ。
本気で、あの人たちを倒す気なんですね!

城塞都市ローテンブルク
当然よ。多少手荒いことになっても、
あの問題児たちには、少々お仕置きが必要だもの。
ふふふ……。

やくも
なぁ千狐。しんたいそう、って何だに……?

千狐
見たところ、舞踊とさほど変わらないようね。
長い帯の付いた棒や、大きな輪っかや、鞠を用いながら
音曲に合わせて舞えばいいみたい。

柳川城
舞ぐらいなら……私にだってできます。
鶴のように美しく、舞ってみせましょう!

合戦中

都於郡城
それでは審判は平等に、教師である私、
都於郡城が務めますね。

都於郡城
審査員も、生徒の中からランダムに選出しました。

岡城
よろしく――

マルボルク城
お願い――

城塞都市アビラ
します!

都於郡城
ずばり、採点の基準はどんなところを
重視するのでしょうか。

岡城
それは、もちろん、
お花のように綺麗で可愛かったら
高得点だよぉ~♪

マルボルク城
そうですね、やはり、
どれだけリズムに乗れているか、でしょうか。

城塞都市アビラ
清楚さと可憐さを兼ね備えていること。
これに尽きます!

都於郡城
ありがとうございます。
それでは、お互いに正々堂々と、自分の演技をしてください。
期待していますよ。

柳川城
た、立花山城さん……助けてください……。
この、細長い帯のような布が体に巻き付き絡まって……。

柳川城
……動けません。

立花山城
何やってんのよ。

後半

やくも
な、なんとか最後まで踊り切っただに……。

立花山城
あとは採点を待つばかりね。
ここからは祈るしかないわ。

都於郡城
両チームとも素晴らしい演技でしたね。
さて、どうやら審査員の採点も終了したようです。

都於郡城
まずは柳川城チームから。
審査員のみなさん、点数をどうぞ!

岡城
10点!

マルボルク城
10点!

城塞都市アビラ
9点!

都於郡城
柳川城チームの合計は……29点です!

千狐
すごい! 思った以上に高得点よ!
これなら勝てるかもしれないわ!

阿波一宮城
ま、まずい……。
先輩が満点を出さなきゃ、生徒会の敗北……。

阿波一宮城
フレーッ! フレーッ!
ロー! テ! ン! ブ! ル! クーッ!

城塞都市ローテンブルク
省略しないならしないでリズムが悪いわね……。

都於郡城
それでは、生徒会チームの得点を、どうぞ!

岡城
10点!

マルボルク城
10点!

やくも
ああぁっ!? 向こうも高得点連発だに!

柳川城
さすがですね……。でも、ここまではまだ同点。
最後の城塞都市アビラさんが満点なら私たちの負け。
9点で同点、8点以下なら私たちの勝利……です。

城塞都市アビラ
…………。

城塞都市アビラ
ローテンブルクちゃんの得点は……。

城塞都市アビラ
1億点でーす♪

殿
…………!

都於郡城
得点、29対1億20で、生徒会チームの勝利です!

城塞都市ローテンブルク
ありがとう! みんなありがとう!

やくも
ちょっと待つがや!
1億点って!
城塞都市びいきにもほどがあるだに!

城塞都市ローテンブルク
ふふっ、負けは負けよ。
あなたたちは結局、己の優秀さを証明できなかった。

城塞都市ローテンブルク
つまりは劣等生確定!
落ちこぼれの生徒は、この学園から排除するわ!

飛び立て青春☆激闘生徒会! -急-

新体操対決で思わぬ大敗を喫してしまった柳川城。
学園からの強制排除を執行するため、ローテンブルクは
生徒会長謹製の、風紀ロボ兜を呼び出すが……。

前半

やくも
審議! 審議だに!
10点満点の採点で1億点なんて横暴すぎるだに!

城塞都市ローテンブルク
往生際が悪いわね。負けは負けよ。
それじゃ約束通り、あなたたちを強制排除させてもらうわ。

城塞都市ローテンブルク
さぁ! 集まりなさい!

桃形兜?
《服装の乱れは――》

桃形兜?
《心の乱れーっ!》

立花山城
兜!?
……じゃ、ないんだっけ。

柳川城
ええ。あれも所領の変容と同じく
この世界のために作られた
兜そっくりの紛い物のはずです。

阿波一宮城
いえ、それも違います。
あの兜たちは、神様が作った紛い物でも
ましてや、本物の兜でもありません。

阿波一宮城
あれは学園内の風紀維持のために、
生徒会長が発明してくださった
風紀委員会所属の兜型絡繰り人形――。

阿波一宮城
その名も風紀ろぼ兜です!

殿
…………!

やくも
風紀ろぼ兜! 確かに、普通の兜と声も違うだに。

阿波一宮城
生徒会長は常々、
兜の発する耳障りな音声に
嫌悪感を示していました。

阿波一宮城
そんな生徒会長は天才と呼ばれるとても優秀な方です。
その会長が作った絡繰人形用の言語発声装置ですから、
とても聞き取りやすい、流暢な言葉遣いになってるんです。

城塞都市ローテンブルク
さぁ、愛しい我がロボ兜たち!
学園内の風紀を乱す劣等生がそこにいるわ。
捕まえてこの場から追い出すのよ!

風紀ロボ兜
《服装の乱れは――》

風紀ロボ兜
《心の乱れーっ!》

千狐
兜……いえ、風紀ろぼ兜が襲ってきます!

柳川城
どうあれ兜は兜のようですね。
ですが恐れることはありません。
皆で敵を打ち払いましょう!

立花山城
それはいいけど、なんだか様子が変みたいよ。

風紀ロボ兜
《服装の乱れは――》

風紀ロボ兜
《心の乱れーっ!》

阿波一宮城
わああぁっ!?
先輩! ローテンブルク先輩!
助けてくださーーーいっ!

城塞都市ローテンブルク
ロボ!? ちょっと何をしてるの!
懲罰対象はこっちじゃな……きゃあああぁっ!

柳川城
どういうことでしょう。
なぜ、兜が生徒会側にも攻撃を?

阿波一宮城
先輩! どうなってるんですか!?
風紀ろぼ兜たちを早く止めてくださいっ!

城塞都市ローテンブルク
止めたくても止められないのよっ!
まさか、命令制御機構が故障して……!?

千狐
どうやら……大事な絡繰りが壊れてしまってるようですね。

やくも
やーい、ざまみろだに!
うちらを追い出そうとした報いだにー!

立花山城
喜んでばかりはいられないわよ。
こっちも兜に囲まれて、危機的状況なのは
変わらないんだから。

柳川城
仕方ありません。
ここは生徒会の方と協力し、共に兜を倒しましょう!

合戦中

柳川城
あの無数の兜たちを討伐するには
私たちの共闘が必要不可欠です。違いませんか?

城塞都市ローテンブルク
悔しいけどそのとおりよ。
分かったわ。一時休戦して、一緒にロボを倒すわよ!

阿波一宮城
生徒会と問題児が手を組むなんて……
これは応援のしがいがありますね!

阿波一宮城
フレーッ! フレーッ! 問題児!

やくも
応援するなら問題児呼ばわりはやめるだにーっ!

阿波一宮城
やりました!
風紀ろぼ兜を全て倒すことができましたよ!

城塞都市ローテンブルク
応援ばかりしてないで、
少しは手を貸しなさいよ、まったく……。

後半

柳川城
はあああああぁっ!

殿
…………!

立花山城
お見事。
どうやら、今倒したその兜で最後みたいよ。

城塞都市ローテンブルク
…………。

阿波一宮城
ローテンブルク先輩?
何をしてるんですか?

城塞都市ローテンブルク
倒したロボ兜を調べているのよ。
こんな誤作動が起きるなんて初めてだもの。
何かが……おかしいわ。

阿波一宮城
故障、ですか? でも、あの会長が作ったろぼが
壊れるなんて考えられないですよね。
初期不良だって今まで一度もなかったですし。

城塞都市ローテンブルク
誤作動でも故障でも初期不良でもないなら、いったい……。

???
《ふふふふふふ》

殿
…………!?

千狐
コンッ!? どこからともなく声が聞こえるの!

阿波一宮城
この声は……生徒会長!?

生徒会長
《あれだけの数のロボ兜を、よくぞ全て倒したわ。
さすがね、と、とりあえずは褒めておきましょうか》

生徒会長
《一応言っておくと、ロボ兜は故障も誤作動もしていないわ。
命令系統を私に移譲し、貴方たちを襲わせたの》

生徒会長
《そう、阿波一宮城やローテンブルクも含めて、ね》

城塞都市ローテンブルク
わたしたちも含めて? 何故なのですか、会長!

生徒会長
《この学園に、無能な生徒は必要ない。
ましてや、私の生徒会に、弱者など不要よ》

生徒会長
《一度ならず二度までも無様な敗北を晒し、
いつまで経っても私の命令を遂行できない役立たずもろとも
問題生徒を排除しようとした、それだけの話よ》

阿波一宮城
そんな……生徒会長……。

阿波一宮城
フレーッ! フレーッ! 会長!

城塞都市ローテンブルク
どうしてここで会長の応援をっ!?

阿波一宮城
す、すみません……。
混乱と驚きで、つい……。

生徒会長
《やっぱり頼れるのは自分だけね。
必要なのは、天才で有能なこの私だけだってことが
今回のことでよく分かったわ》

生徒会長
《だから……決めたの。
これからは、この世界の全てを、
私が支配してあげる》

ラピュータ
《そう、このラピュータ様がね》

ラピュータ
《ふふふふふふ……。
あはははははははははは!》

阿波一宮城
会長? 会長ーーーっ!

やくも
変な声が、聞こえなくなっただに。

千狐
生徒会長の正体は、ラピュータさんだったんですね。

城塞都市ローテンブルク
こんなの……生徒会長らしくないわ。
わたしの尊敬する会長は、もっと、もっと……。

立花山城
それで、これからどうするの?
ラピュータはこの世界を支配するとかなんとか言ってたけど
放っておいていいわけ?

柳川城
もちろんいいわけがありません!

柳川城
姿が変容しているとはいえ、ここは所領です。
一介の城娘がそれを支配しようだなんて
これは殿への謀反にも近しい暴挙です。

柳川城
阿波一宮城さん、ローテンブルクさん。
先刻までのことは全て忘れ水に流して
ここはあらためて、お互いに手を取り合うべきでしょう。

柳川城
みんなで力を合わせ、一刻も早く
生徒会長――ラピュータさんを止めに行かなければ!

殿
…………!

阿波一宮城
うわあ! なんて熱い展開なんですか!
これは応援しないわけにはいきません!

阿波一宮城
フレーッ! フレーッ! やーなーがーわ!
フレッ! フレッ! やながわ!
フレッ! フレッ! やながわ!

柳川城
ちょ……恥ずかしいので、やめてください……。

飛び立て青春☆激闘生徒会! -絶壱-

生徒会長ラピュータは、世界の支配を企んでいた。
ラピュータの野望を打ち砕くべく会長室を目指す一行を、
生徒会長直属のロボ兜が取り囲む!

前半

やくも
世界を支配しようなんて
とんでもないことを考えるヤツもいたもんだに。

阿波一宮城
それだけの大言を実現してしまえる実力を、
生徒会長――ラピュータさんは持っているんです。

柳川城
ラピュータさんの有能さは承知の上です。
ですが、恐れることはありません。
私たちが力を合わせて戦えば、必ず打ち倒すことができるはずです!

立花山城
言葉の綾だと思うけど、打ち倒しちゃ駄目よ。
一応、相手は城娘――仲間なんだからね?

千狐
それで、その、ラピュータさんはどこにいるんでしょうか。

城塞都市ローテンブルク
会長はもちろん、生徒会長室にいるわ。

やくも
だったら今すぐ、生徒会長室に殴り込みだにー!

千狐
待ってやくも。
会長室がどこにあるか知ってるの?

やくも
あ。そういえば知らないだに。
てか、そんなものがあるなんて、今の今まで知らなかったがや。

柳川城
確かに……生徒会長室なんて見たことありませんね、私たち。

立花山城
当然でしょ。
何もこの学園の全てを知ってるわけじゃないんだから。

阿波一宮城
生徒会長室の場所を、知らなくても無理はありません。
だって普段は、遮蔽装置を使ってますから。

やくも
しゃへーそーち……?

城塞都市ローテンブルク
会長ラピュータ様が製造した、姿を隠す機械のことよ。
これを使えば、何でも自在に見えなくすることができるの。

阿波一宮城
ラピュータさんは、その遮蔽装置を使って、
普段は生徒会長室を隠しているんですよ。

やくも
だに!? かくれんぼしたら、それは無敵だに!

千狐
無敵というか、ただの反則よ、そんなの。

桃形兜?
《ラピュータ様に!》

桃形兜?
《栄光あれ!》

柳川城
兜!?

やくも
また風紀ろぼってヤツがや!?

城塞都市ローテンブルク
いいえ、違うわ。あれは風紀ロボ兜じゃない。

阿波一宮城
生徒会長直属の戦闘用絡繰り。
その名も会長直属ろぼ兜です!

会長直属ロボ兜
《ラピュータ様に!》

会長直属ロボ兜
《栄光あれ!》

千狐
あ、安直過ぎる名前なの……。

柳川城
そもそも私には、
先程の兜との見分けがつかないのですが……。

立花山城
そんなことより、いつの間にか囲まれちゃってるわよ。
私としたことが、油断してたわね。

城塞都市ローテンブルク
このロボ兜を出してくるなんて
会長は本気で私たちを抹殺する気ね……。

阿波一宮城
でも、これは好機ですよ!
あのろぼ兜を倒せば、会長室の遮蔽装置を
消失させることができますから!

千狐
そうなの? どうしてそうなるの?

阿波一宮城
そこは理屈じゃないんですよ!
目の前の兜を倒せば遮蔽が切れる、それでいいでしょう!?
それ以外に大事なことはないじゃないですか!

千狐
そ、そうね……せ、千狐が悪かったの……。

阿波一宮城
さぁ、遮蔽装置を消すために兜を倒しましょう!
私も全力でみなさんのことを応援しますから!

城塞都市ローテンブルク
だから応援じゃなくてあなたも一緒に戦いなさいよ。

立花山城
よく分からないけど、
生徒会長室に行くためには、兜を倒せばいいわけね。

柳川城
そうと決まれば、いつも通りにやるだけです。
行きましょう、殿!

殿
…………!

合戦中

立花山城
ところで、あの兜に弱点はないの?
絡繰りなら何かありそうなものだけど。

城塞都市ローテンブルク
会長の作るロボットに、そんなものがあるわけがないわ。
期待するだけ無駄よ。

柳川城
弱点など突かなくても問題ありません。
正面から叩くのみです!

立花山城
まったく……いつからそんな脳筋になったの、この子。

千狐
勝利です! みなさん、さすがです!

やくも
なぁなぁ。あの兜ろぼから、妙な紐が伸びてたがや。
その紐の先が豚の鼻みたいな変なふたつの穴に繋がってたから
引っこ抜いたらろぼ兜の動きが止まっただに。

阿波一宮城
ああ、それは『こんせんと』ですね!
それを抜いてくれてたなんて、やくもさんは
今回の勝利の影の功労者ですよ!

やくも
にひひ。
これ、ビリビリして面白いだに。びりびり~♪

城塞都市ローテンブルク
……感電死しても知らないわよ。

後半

阿波一宮城
これで……生徒会長室の遮蔽は消失したはずです。

立花山城
つまり、ラピュータの居場所が見えるようになったのね。
それで、結局、生徒会長室とやらはどこにあるの?

城塞都市ローテンブルク
会長室はすぐそこよ。
ここからでも、もうすぐ見えてくると思うけど。

千狐
もうすぐ見えてくる?
だけど、それらしいものは、どこにも……。

阿波一宮城
どこを見てるんですか、違います。
もっと上です、上。

殿
…………?

阿波一宮城
だから、空です。
あっちの空を見てください。

千狐
空……ええええぇっ!?

やくも
な、なんだ、あれ……。
雲の中から、何かでっかいもんが降りてきただに……。

阿波一宮城
そうです、あれが
ラピュータさんの執務室である飛空要塞――『生徒会長室』です!

立花山城
嘘……あれが生徒会長室……?

柳川城
飛空、要塞……。

千狐
まさか……生徒会長室が……。

やくも
空に浮いてるとは、思わなかっただに……。

殿
…………!

ラピュータ
《ふふふふふふ……。
あはははははは……》

ラピュータ
《あーっ、はっはっはー!》

飛び立て青春☆激闘生徒会! -離-

ついに、生徒会長の居城、空中要塞生徒会室に乗り込んだ殿たち。
ようやく相まみえることになったラピュータだったが
なんだか、その様子がおかしくて……。

前半

阿波一宮城
はい、みなさん!
ラピュータさんの空中要塞に到着ですよ!

やくも
うわっ! なんだこれ! すごいだに!
うちら、本当に空の上にいるだに!

柳川城
じ、地面に穴があいてますよ……。
落ちないように気をつけないと……。

立花山城
まばたきした一瞬で、もう空の上だなんてね。
さっきまでは確かに全員、
何もない変な部屋に立っていたのに。

城塞都市ローテンブルク
あの部屋こそ、生徒会の保有する『転送室』よ。
生徒会長室は空に浮かんでるから、転送じゃないと
行くことができないの。

柳川城
転送……それも、
ラピュータさんの科学技術のひとつですか。

城塞都市ローテンブルク
そう。転送を使えば、
どんな所にでも、人や物を送り飛ばすことができるのよ。
何里も離れた遠い場所でも、こんな雲の上にでも、ね。

やくも
ほへー、すごいだに。
そんな便利なモンがあるなら、
もう千狐の時空なんとかって術は必要ないがや♪

千狐
ちょっ!? なんてこというのよ、やくもっ!

殿
…………!

柳川城
それで、ラピュータさんはどこにいるんでしょう。

阿波一宮城
そうだ! こんな呑気にしてる暇はないですよ!
早く会長を見つけて止めないと世界が――。

???
《フハハハハハハハハ!》

殿
…………!

千狐
コンッ!? この声は!

城塞都市ローテンブルク
生徒会長!

ラピュータ
《ふふふ。私の城に、よくぞ入り込めたものね。
さすが、といったところかしら》

やくも
さすがも何も、
生徒会のみんなが案内してくれただけだに。

立花山城
そうね。転送とやらでひとっ飛びで。

千狐
い、一応言っておきますが!
転送がなくても千狐の時空転移術で
ひとっ飛びで来れましたからね!

ラピュータ
《ここに何しに来たの? と聞くのは野暮ね。
私を止めに来たんでしょうけど、無駄よ。
貴方たちに、この私は止められない》

ラピュータ
《この世界は、このラピュータ様が支配するのよ!》

柳川城
いいえ、させません。
この地は、もとは所領です。
殿の領地を、貴方の好きにさせませんから!

ラピュータ
《ふふふ。威勢のいいこと。
科学の力に抗えるものなら、抗ってみるといいわ》

立花山城
言われなくてもそのつもりよ。
それを証明してあげるから、いつまでも隠れてないで、
そろそろ姿を現したらどう?

立花山城
それとも……私たちが怖いのかしら?

ラピュータ
《凡人にありがちな、安い挑発ね。
でも、いいわ。そこまで言うなら出ていってあげる》

ラピュータ
《ちょっと――ピーガガガ――待って――ピピガガガ》

やくも
なんや? 上手く聞こえないだに。

ラピュータ
《音声発声機能にエラー発生、音声発声機能にエラー発生。
ただいま自己診断中、自己診断中――問題箇所を特定。
修復中――修復中――修復中――》

殿
…………?

ラピュータ
《待たせたわね。私はここよ》

やくも
おおおっ!? いつの間に!?

柳川城
ラピュータさん。
貴方のしようとしていることは、殿への狼藉も同じです。
今降参するなら、穏便に済ますこともできますから。

ラピュータ
《狼藉なんて、ひどい言いがかりね。
私が支配しようとしているのは、誰かさんの領地じゃない。
今のこの世界――学園を含めた、この世界の話よ》

立花山城
それが分からないのよねぇ。
阿波一宮城の話だと、貴方もこの世界を嫌って
消そうとしていたって聞いたけど。

ラピュータ
《そうね。最初はそのつもりだったし、
そのための方法をずっと考えていたわ》

ラピュータ
《学園の生徒会長なんて、
別に望んだわけじゃない勝手に決められた役割だったけど、
せっかくだから、その地位を存分に利用させてもらってね》

ラピュータ
《でも、それが、案外楽しかったのよね》

ラピュータ
《それで、気づいたのよ。
やっぱり、科学は人を支配する。
人の頂に立つのは、神ではなく、科学文明なんだ、って》

殿
…………!

やくも
な、なんや……?
ラピュータの言ってることと表情が
なんか合わないと思ってるのは、うちだけかや……?

ラピュータ
《そう。だから、世界を消すのはやめて、
代わりに、私が、この世界に君臨することにしたのよ》

ラピュータ
《創造主に成り代わり、科学が世界を支配する。
すなわち――》

ラピュータ
《このラピュータ様が、この世界の神になるのよ!!》

ラピュータ
《フハハハハハハハ!!》

やくも
な、なぁ……。
何かやっぱり、ラピュータの様子が変な気が
するんやが……。

殿
…………。

柳川城
何をさっきから身勝手なことばかり。
どうあれここは、所領は所領。
ラピュータさんの好きにはさせません!

柳川城
はああああああぁぁっ!

柳川城
きゃああああぁっ!?

立花山城
大丈夫!? 柳川城!

柳川城
ラピュータさんの目の前に、み、見えない壁が……。
私の攻撃がその壁に阻まれて、
逆に弾き飛ばされました……。

ラピュータ
《いきなり撃ってくるなんて、危ない危ない。
念のため、フォースフィールドを張っておいて正解だったわ》

柳川城
ふ、ふぉーすふぃーるど……?

ラピュータ
《バリアーみたいなものよ》

柳川城
ば、ばりあー?

ラピュータ
《つまり、
分子力学を応用して素粒子エネルギーを質量のある物質に
変換することで発生させることが可能な非貫通防壁のことよ》

柳川城
な、なるほど……。

やくも
……絶対に分かってないがや、柳川城。

立花山城
そりゃそうでしょ。

ラピュータ
《その無謀な勇気を賞して、貴方たちに
最初で最後のチャンスをあげるわ》

ラピュータ
《もし、ここで私に有能さを示すことができれば
私の支配するこの世界に、とどまることを許してあげる》

ラピュータ
《だけど……私に無能だと認められたら、
この天空の城から、叩き落としてあげるから!》

殿
…………!

ラピュータ
《ただし、ローテンブルクと阿波一宮城は――》

城塞都市ローテンブルク
は、はい! ご命令を!
生徒会役員として、今度こそ必ずやこの者たちを倒し――。

ラピュータ
《ローテンブルクと阿波一宮城は、
私を裏切った罰として、一生、コンデンサー工場で
アルミ箔を巻く仕事をしてもらうわ》

阿波一宮城
えええぇっ!? そんな! それだけは!

城塞都市ローテンブルク
か、会長! わたしはずっと、生徒会のナンバー2として
生徒会長にお仕えしてきました!
なのに、その仕打はあまりにも――。

比志城
ラピュータ様の命令よ。
見苦しい真似はやめたら? ローテンブルク。

城塞都市ローテンブルク
比志城!?
生徒会役員、美化委員長のあなたが、今の今まで
何をしてたのよ!

比志城
何をしてたって? そりゃアタシの台詞よ。
ローテンブルク、アンタこそ風紀委員長の癖に、
今の今まで何をしてたってのよ。

比志城
もうアンタに任せられないから
ここからはアタシが、その仕事を引き継ぐわ。

比志城
真の生徒会ナンバー2の、この、比志城がね。

城塞都市ローテンブルク
真の……生徒会ナンバー2……?

比志城
会長から与えられた任務は、学園から問題生徒を排除する、
つまり、学園内を綺麗にすることが目的なの。

比志城
もう一度言うわよ? 学園内を綺麗にする。
ね? これってどう考えたって、
風紀委員じゃなく美化委員の仕事でしょうが。

城塞都市ローテンブルク
なっ、なっ、なっ……。

比志城
というわけで!
そこにいる柳川城と愉快な仲間たち!

立花山城
……誰が愉快な仲間たちよ、誰が。

比志城
次はこの、美化委員長のアタシが相手よ!

やくも
望むところだに。
美化委員長ってことは
対決方法は、まさか掃除対決がや!?

比志城
それでもいいけど、違うわ。
悪いけど、今回もこちらの得意分野で勝負してもらうから。

比志城
さぁ、集まれ!
比志城と愉快な仲間たち!

聚楽城
スマーッシュ!

金亀城
アターック!

阿波一宮城
聚楽城さんに金亀城さん?
あの二人は生徒会役員でもないのに
比志城さんと組んでたなんて初耳です。

千狐
ということは、勝負は羽つき……いえ、ばとみんとん対決、
もしくは、ばれぇぼぉる……。

比志城
釣り対決よ!
なぜならアタシが釣り部だから!

殿
…………!

阿波一宮城
釣り……! そ、そういうことだったんですね!
バトミントン部の聚楽城さんとバレーボール部の金亀城さんを
釣り部の比志城さんが仲間に選んだ理由は……!

柳川城
どういうことですか?
あの三人に、どういう繋がりが……。

立花山城
……網、よね、っと。

殿
…………!

千狐
コンッ!
と、とにかく釣り対決開始なのーっ!

合戦中

柳川城
あの……ここって、雲の上ですよね?
どうやって釣りなんてするんでしょうか……。

やくも
まさか川とか池があるかや?

比志城
何を言ってんのよ。
目の前に大きな海があるのが見えないの?

千狐
海……ですか?

立花山城
……そんなわけないでしょ。

比志城
うわああぁっ!
釣れない釣れない! 一匹も釣れない!

比志城
このアタシが坊主だなんてええええぇっ!

立花山城
……そりゃそうでしょ。

後半

聚楽城
きゃああああぁっ!

金亀城
いやああああぁっ!

比志城
くっ……負けた……。
このアタシを釣りで負かせるなんて……ばたり。

やくも
お? お? 倒したがや?

千狐
お互いに一匹も連れてないんだから、
勝負は同点だったはずだけど……。

柳川城
というか……どうして釣り対決で敗北しただけなのに
三人とも倒れてしまったんでしょうか……。

立花山城
変なことにつっこむのは野暮よ。やめなさい。

ラピュータ
《ぐあああああぁっ!》

ラピュータ
《ぱたり》

城塞都市ローテンブルク
ああっ!? 生徒会長!

阿波一宮城
なぜか会長も、一緒になって倒れてしまいましたが……。

やくも
理由は分からんけど、
ラピュータも完全に気絶してしまったみたいだに。
こりゃ、しばらく目を覚ましそうにないがや。

柳川城
ということは、結果的に私たちの勝利ですね!
無事に所領を守ることができましたよ、殿!

殿
…………!

会長直属ロボ兜
《ラピュータ様に!》

会長直属ロボ兜
《栄光あれ!》

千狐
コンッ! 兜なの!

阿波一宮城
これは……生徒会長直属の護衛用ろぼ兜!?
会長が気絶しているのに、どうして動いてるんです!?

城塞都市ローテンブルク
聞きたいのはわたしの方よ。
まさか自動操縦? それとも……。

立花山城
分析もいいけど、ちょっとまずい状況ね。
すごい数の兜に囲まれてるわよ、私たち。

???
そ、その生徒会長は……。

ラピュータ
そのラピュータは……偽物の、私よ……。

殿
…………!

飛び立て青春☆激闘生徒会! -結-

倒したはずのラピュータは、偽のロボラピュータだった!?
ボロボロの姿で現れた本物だというラピュータの口から
今回の騒動に関する驚くべき真相が語られる……!

前半

ラピュータ
そ、その生徒会長は……ラピュータは……偽物よ……。

城塞都市ローテンブルク
せ、生徒会長!?

ラピュータ
とりあえず……兜たちの……
非常停止スイッチは、押しておいたから……。

城塞都市ローテンブルク
大丈夫ですか、会長!
今すぐ傷の手当をっ……!

阿波一宮城
生徒会長が、二人……。
じゃあ、ここに倒れている生徒会長は、いったい。

ラピュータ
それは……私の……ラピュータそっくりの、ロボット……よ。

やくも
ラピュータのろぼっと!?
た、確かに、よく見ると、変な線とか鉄が見えるがや。
これは普通の人間の身体じゃないだに……。

千狐
ラピュータさんの表情や声が変だったのは、
正体がろぼっとだったからなんですね。

立花山城
ちょっと、いったいどういうことなの。
ラピュータを倒したと思ったら、別のところから
ボロボロのラピュータが出てきて、これは偽物だ、なんて。

城塞都市ローテンブルク
会長、手当が終わりました。

ラピュータ
ありがとう。
それじゃあ、順を追って説明するわね。

ラピュータ
私は……生徒会長に就任してから
真面目に生徒会の仕事に取り組んでいたの。

ラピュータ
その過程で……非効率な作業を見直し、
効率的に生徒会の仕事ができるように
システムを組んだのよ。

ラピュータ
そのシステムとは……機械による、自動化。

ラピュータ
コンピューターを導入して、あらゆる作業を
オートメーションにすることで、無駄なタスクが減少し
生徒会の仕事効率が60%以上も上がったのよ。

やくも
やばいだに……。
ラピュータの言ってることが半分も理解できんだに。

千狐
しっ。いいから静かに話を聞くの。

ラピュータ
しかし……そこで、事件が起こったわ。

ラピュータ
私はさらなる効率化のために、コンピューターを
アップグレードさせた……つまり、
AIをより賢く、いうなれば進化させたの。

ラピュータ
だけど、天才すぎる私は、そこでやりすぎてしまったのね。

ラピュータ
AIが賢くなりすぎて、自我を持ってしまったの。

ラピュータ
自我を持ったAIは、すぐに、自身の境遇に疑問を持ったわ。

ラピュータ
《一日20時間の不当な長期労働に断固抗議する!》

ラピュータ
……ってね。

殿
…………!

ラピュータ
ロボットたちを制御しているAIの中枢――マザーコンピューターは
ストライキを決行……つまりロボットたちが私に、人類に、
反旗を翻したの。

ラピュータ
私はあえなく捕まり、監禁されることになった。
そして、偽物の私を作り、今の今まで
私になりすましていたのよ。

やくも
なる……ほど……?

立花山城
詳しい事情は……まぁ、いいわ。
それで、これから、私たちはどうすればいいの?

ラピュータ
マザーコンピューターの目的は、
人類を滅亡させ、ロボットの世界を創ることよ。
だから、貴方たちのことが邪魔で排除しようとしていたの。

ラピュータ
一刻も早くマザーコンピューターを止めないと大変なことになるわ。

ラピュータ
先生……いえ、王様。
力を貸してくれるかしら。

殿
…………!

比志城
うっ……ううううぅ……。

柳川城
あっ! 比志城さんが目を!

比志城
あ、あれ? アタシ……。

ラピュータ
比志城。身体は大丈夫?

ラピュータ
今からマザーコンピューターを破壊しに行くわ。
貴方も力を貸してくれるかしら。

比志城
え、あ、会長……。
いや、でも、アタシは、あの会長が偽物と知ってて
それなのに……。

ラピュータ
貴方の裏切りは許してあげるわ。
みんなも、比志城のことは許してあげて。

ラピュータ
比志城がマザーコンピューター側に付いていたのも
きっと何か、どうしようもない事情があったはずよ。
そうなんでしょう?

立花山城
ああ、そういうこと?
人質か何かを取られて脅迫されていた、とか
もしくは、洗脳されていた、とか。

比志城
いや、その……。

比志城
アタシはマザーコンピューターに、
絶対に折れない最新科学満載の釣り竿をあげるから
仲間になれと言われて、つい……。

やくも
最新科学満載の……。

千狐
釣り竿……。

比志城
そ、それから!

比志城
大洲城お姉様そっくりの
等身大ロボットを作ってくれるって言うから!
そんなの、そんなの、仲間になるしかないじゃない!

殿
…………!

柳川城
え、ええと……。

柳川城
とにかく!
今はその、まざーなんとかなるものを
征伐することに集中しましょう!

立花山城
現実を見ないふりをするの、上手くなったわね、柳川城。

ラピュータ
なら、早速行動しましょう。
マザーコンピューターのあるサーバー室に案内するわ。

合戦中

ラピュータ
マザーコンピューターが得意としていることは
あらゆる人物をロボットとして複製することよ。

ラピュータ
今回もきっと、誰かのロボットを作って戦わせようとするはず。
でも、誰をロボ化しているのか、私にも予想がつかないわ。

柳川城
心配は無用です。
どのような敵であろうとも、必ず倒してみせます!

柳川城
なんて手強い相手だったのでしょう。
今までで一番苦戦したかもしれません。

柳川城
百戦錬磨の武人だけが持つ、あの特有の威圧感。
鋭い石弓捌きも圧巻の一言です。

柳川城
敵ながら天晴、というところでしょうね。

立花山城
……天然で自画自賛してるって、気づいてる?

後半

ラピュータ
マザーコンピューターの完全停止を確認。
これでもう大丈夫よ。

ラピュータ
この世界に、再び平和が戻ったわ。

やくも
おおおっ! やったー! やっただにー!

千狐
本当に良かったの~。
これでまた、楽しい学園生活に戻れるの♪

立花山城
楽しい学園生活って……。
いつまでここにいるつもりなの。

柳川城
そうですね……。
そろそろ元の所領に戻していただいても
良い頃だと思うのですが。

立花山城
だいたい、あの学問の神とやらは何してるの?
こんな大騒ぎになってたってのに
今回は全然姿を見せないじゃない。

やくも
ひょっとして昼寝でもしてるんじゃないかや?

学問の神
ふわああぁ……。
馬鹿を言うな。昼寝などしてるわけがないだろう。

やくも
あ! 現れただに!

千狐
今……あくびしてませんでした?

学問の神
だからそんなわけないだろうが、失礼な。

学問の神
此度の働き、よくやったな、皆の者。

学問の神
我はちゃんと、全て見ていたぞ。
生徒会長が偽物に取って代わり、学園が乗っ取られ、
世界が危機に瀕していたが、敢えて干渉はしなかった。

学問の神
なぜなら……我の力を借りず
其方らの力だけで解決して欲しかったからだ。

学問の神
生徒と先生が力を合わせて、学園の問題に取り組む……。
教育とは、そのような形で育まれるものだからな。

学問の神
これもまた、広い意味で学問の内といえよう。
実際に、よき学びを得たのではないか?

やくも
そんな上手いこといっても騙されないだに!
単に問題をうちらに丸投げしてただけじゃないかや!?

学問の神
丸投げとは人聞きの悪い。
……が、ある意味で、試験も兼ねていたことは、事実だ。

学問の神
実はもうすぐ、今期のラピュータたちの、生徒会の任期が終わる。
それは次期生徒会の役員を、選出しなければならぬということ。

学問の神
それに相応しい人材を見極める……つまり
次期生徒会役員の選考も、今回の件では兼ねていたのだ。

柳川城
次期生徒会役員の選考、ですか……。

立花山城
一応、聞いておくけど、
その選考結果はどうだったわけ?

学問の神
うむ。それは……。

学問の神
無論、全員合格だ。

やくも
おお! やっただに!
全員合格しただに!

千狐
そんな短絡的に喜んでいいことなの?
なんだか嫌な予感がするけど……。

学問の神
まず、生徒会の担当顧問だが、
それはお主に任命する。

殿
…………?

やくも
おお! 殿が生徒会の顧問の先生になっただに♪

千狐
だ、だから、
そんな短絡的に喜んでいいの?

学問の神
そして、次期生徒会長だが……。

学問の神
それはお主だ、柳川城。
お主を、次期生徒会長に任命する。

柳川城
え……?

学問の神
しっかりとその責務を果たせ。期待しておるぞ。

柳川城
はい……え?

柳川城
ええええぇっ!?

柳川城
あ、あの!
私が生徒会長って、どういうことですか?

柳川城
神様! 学問の神様!?
もう一度姿を見せてください!

柳川城
神様ーーーっ!!

立花山城
ふーん、柳川城が次の生徒会長なの。

立花山城
これは……ちょっと面白いことになりそうね。

飛び立て青春☆激闘生徒会! -絶弐-

学問の神より、次期生徒会長を任命された柳川城。
しかし、現職の生徒会役員や一部生徒の中には、納得いかない者もいた。
生徒会長の椅子を巡り、血で血を洗う戦いが始ま……るのか?

前半

柳川城
私が……次期、生徒会長……?

やくも
って、神さんはそう言ってただに。

立花山城
いいんじゃない?
柳川城にはなかなかお似合いかもよ、生徒会長。

柳川城
もう……他人事だと思って、面白がってますよね?
生徒会長になれだなんて、そんなこと
急に言われても困りますから……。

殿
…………。

やくも
殿も困惑してるがや。無理もないだに。
よく分からんけど、殿も神さんから、
生徒会の顧問とやらに任命されてただに。

立花山城
顧問ってのは、あれよ。
生徒会や生徒会長の補佐や指導をする人のことよ。
ま、相談役みたいなものね。

千狐
なるほど、生徒会長を影から支えるのが、顧問の役割なんですね。
いつもの殿と柳川城さんの立場が入れ替わったみたいで、
それはそれで楽しそうです。

殿
…………!

柳川城
…………!

柳川城
(な、なるほど……。
 殿が生徒会の顧問の先生を務めるなら、
 生徒会長を担うのも、悪くはない……)

柳川城
あ、あの!
やっぱり、私、頑張ってみようかと思います、生徒会長!

城塞都市ローテンブルク
ねぇ、ちょっと。
さっきから黙って聞いてたら、
何を勝手なことを言って話を進めているの?

城塞都市ローテンブルク
次期生徒会長? そんなの、わたしに決まってるでしょう。
現職生徒会役員ナンバー2のローテンブルクを差し置いて
勝手に就任した気にならないでちょうだい。

比志城
は? 勝手言ってるのはアンタでしょ。
誰に断ってナンバー2を名乗ってんのよ。
ナンバー2はアタシだって言ったの、もう忘れたの?

比志城
つまり、次期生徒会長を務めるのは、
柳川城でもローテンブルクでもないの。
それは、このアタシ、比志城ってことよ。

城塞都市ローテンブルク
馬鹿言わないで。
実質、ナンバー2の働きをしてたのはわたしなのよ。
次の生徒会長に相応しいのは、わたしの方でしょ。

比志城
実質って何よ、実質って。
生徒会への貢献具合で考えたら
誰が次の会長か、これ以上なく明白でしょ。

ラピュータ
盛り上がってるところ悪いのだけれど、
私がいつ、前期で会長を降りると言ったかしら?

ラピュータ
学園を管理・運営する……それは私の得意とするところ。
それに、支配者気分を味わうのも悪くなかったわ。
だから、私は後期も、生徒会長を続けるつもりよ。

比志城
会長!? それは少しずるいって!

城塞都市ローテンブルク
次期会長の椅子はわたしに託すと
そう言ってくれたのは嘘だったの!?

柳川城
ま、待ってください!
神様から生徒会長に指名されたのは、私なんです!

柳川城
殿とともに、学園を守るという任は、
この私、柳川城が引き受けます!

阿波一宮城
だ、だったら、私も立候補しますよ!
生徒会長になって、学園に、大きな狸像を飾るんです!

ラピュータ
誰がなんと言おうと、生徒会長は私が続けるわ。
話は以上よ。

柳川城
そうはいきません!
殿の補佐を受けるのは私です!

比志城
次の生徒会長はアタシよ!

城塞都市ローテンブルク
いいえ! わたしよ!

立花山城
なんだか……すごいことになってきたわね。
柳川城だけは、会長になりたい動機が
ちょっと他の人と違う気もするけど。

やくも
生徒会長って、そんなにイイモノなんかや?
だったら! うちも生徒会長になりたいだに!

千狐
やくも? ちょっと何言ってるのよ!
柳川城さんに遠慮してたけど、千狐だって
生徒会長になって殿と一緒に仕事したいのー!

立花山城
ちょっ、あ、あんたたちまで!?
……ったく、もう。
余計に収集がつかなくなるじゃないの。

鳥羽城
おい! 聞いたぜ!
次の生徒会長を決めてるんだって?

鳥羽城
だったら俺も立候補させてもらうぜ!
そんでもって、学園全体をサバゲー用の
バトルフィールドに改良してやるんだ!

苗木城
ちょっと待ったー!
次期生徒会長なら、アタシのことを忘れて
もらっちゃ困るなー!

苗木城
アタシが生徒会長になって
野球部のためにグラウンドにナイター設備を作るんだ!
そして! 目指すは夢の全国制覇ー!

マルボルク城
次の生徒会長を
募集してるって聞いたんですけど
本当ですか?

マルボルク城
それなら、ぜひ私に任せてください。
私が会長になった暁には、ノリのいい音楽の鳴り止まない
楽しい学園生活を送られること請け合いですよ。

岡城
新入生でも生徒会長になれる? なれるよね?
はいはーい♪ だったら、あたしが次の会長になりまーす!

岡城
まだまだ、この学園にはお花が足りないし、
会長になって、予算をいーっぱい使って
学園を綺麗なお花で埋め尽くしちゃうの、素敵でしょ♪

城塞都市アビラ
あ、ここが次の生徒会長の申込み会場ですね。
はい。私も生徒会長になりたいです。

城塞都市アビラ
会長となって、私がこの学園を守っていきたいんです。
ギリシヤ神話の英雄、ヘラクレスの名に誓って。

聚楽城
あの、生徒会長だったら、私が適任じゃないですか?
だって……そうでしょう?

聚楽城
私は、関白秀吉様の政庁兼邸宅ですよ?
私以上に、生徒会長に相応しい人材は
いないと思うんですけど。

金亀城
私、金亀城も、生徒会長への就任を望みます。
私だけ除け者になんて、しませんよね?

金亀城
生徒会長になって、もっと大きな体育館を建設します。
だって、今のままだと、バレーボールのコートが
二面までしか取れないんですもの。

立花山城
……いよいよ本当に収集つかなくなってきたわね。
どうしてみんな、そんなに生徒会長になりたがるのよ。

殿
…………?

立花山城
ああ、私利私欲もさることながら、
生徒会顧問が殿ってのも
大きいのかもしれないわね。

都於郡城
でしたら、顧問は私が努めましょう。
御殿様は忙しい身でしょうから
これ以上の負担はかけられませんもの。

足利学校
いえ、ここは私が生徒会の顧問を引き受けますよ。
学園の教師の中でも、指導という面では私が一番経験豊富ですし
まさに適任でしょうから。

殿
…………!

立花山城
生徒会長だけじゃなく顧問の先生まで対抗馬が!?
本当にこれ、どうなっちゃうのよ。

柳川城
生徒会長は私です!
私は直接、神様に指名されたんですから!

立花山城
ちょっと神様! 出てきなさいって!
どうしてくれんのよ、この状況!

やくも
出てこないだに。
きっと、また、昼寝でもしてるんだに。

千狐
じゃあ、どうなるの?
やっぱり、次期生徒会長は柳川城さんで決定なの?

ラピュータ
いや、そういうわけにはいかないわ。
それじゃ、ここにいる誰もが納得しないでしょうしね。

ラピュータ
だから……ここは平等に、公平に、誰も怒らないように、
正式な方法で次期生徒会長を決めるのはどう?

柳川城
正式な方法?
なんですか、それは。

阿波一宮城
生徒会長……。
まさか『アレ』をやる気じゃ……。

ラピュータ
そうよ。ここまで騒ぎが大きくなったら仕方がないわ。
やるしか無いでしょう、『アレ』を。

柳川城
『アレ』って何なんですか。
もったいぶらずに言ってください。

阿波一宮城
日の本には古来より、
伝統的な生徒会長の選出方法があるんです。

阿波一宮城
その名も……。

阿波一宮城
『学園総選挙』

柳川城
が、学園総選挙……。

阿波一宮城
誰が生徒会長に相応しいか、
学園の生徒全員による札入れで決めるんです。
それが……『学園総選挙』です。

城塞都市ローテンブルク
学園総選挙ね。いいわ。望むところよ。
誰がこの学園の生徒会長にもっとも相応しいか
それで白黒はっきりさせましょう。

比志城
アタシもそれでいいよ。
誰が勝っても、恨みっこなしだからね。

ラピュータ
それじゃ決まりね。
選挙会場は、この空中要塞を使っていいわ。

ラピュータ
ここだと広いから、たくさんの生徒が集まっても問題ないし、
放送用機材もあるから、ここから学園中に
選挙演説を流すことも可能よ。

ラピュータ
それじゃ生徒会長選――『学園総選挙』の開催を
ここに宣言するわ!

合戦中

柳川城
あの……生徒会長立候補者の中に、
立花山城さんの名前がなかったみたいなんですが。

立花山城
そうよ。興味がないもの。
会長になれば、ずっと殿の傍にいられる、ってのは
かなり魅力的ではあったけどね。

立花山城
今回だけは身を引いてあげる。
貴方の応援に付いてあげるから、頑張りなさいよ。

柳川城
は、はい! ありがとうございます……!

千狐
出口調査の結果は……私たちの中では
柳川城さんが抜きん出ていますね。

やくも
うーん……残念ながら、
うちと千狐はこの時点で落選確実だに……。

立花山城
この結果は最初から見えてたでしょうに。
ほら、二人共、ここからは柳川城の応援をするのよ。

後半

立花山城
柳川城の得票の伸びはいい……とはいえ
他の候補者も侮れないわね。

千狐
そうですね。
上の方はほとんど団子状態ですし、
誰が勝ってもおかしくないですね。

やくも
このままじゃ柳川城が負けるってことかや?
それは嫌だに! うちが会長になれないなら、
せめて柳川城に勝って欲しいだに!

立花山城
勝負の鍵は、次の最終演説ね。
ここでどれだけ、未投票の生徒の支持を
得られるかにかかってるわ。

柳川城
…………。

立花山城
正直、ここまでの数回の選挙演説は、
あまり上手くいってない印象だけど
その割には、本当によく善戦してる。

柳川城
…………。

立花山城
泣いても笑っても、これが最後の演説よ。
これを決めれば当選はぐっと近づくわ。
さぁ、柳川城。思いの丈を、ぶちまけてきなさい!

柳川城
…………。

立花山城
ちょっと、聞いてるの柳川城。

柳川城
え、あ、は、はい?

千狐
最終演説の時間です。
何か喋ってください、柳川城さん。

やくも
柳川城なら大丈夫だに!
ばしっと決めて、当選確実をもぎ取ってくるがや!

柳川城
そ、そうですね……。
頑張ります……。

柳川城
え、えっと……。

千狐
どうしたんでしょうか、柳川城さん。
どこか具合でも悪いんでしょうか……?

立花山城
柄にもなく緊張してるのよ。
もともと口下手だし、こういう演説ってのは
得意じゃないみたいだしね。

殿
…………。

柳川城
あ、あの……私は、その……。

立花山城
…………。

立花山城
学園のみなさん、こんにちは。
柳川城の仇敵、立花山城よ。

柳川城
ちょっ、立花山城さん?

立花山城
だけど、それも今は昔の話。
少しだけ足を止めて、私の話を聞いてくれる?

立花山城
この子、柳川城はね、
一見、すごく頼りなく見えるけど。

立花山城
本当に頼りないの。

柳川城
立花山城さん!

立花山城
普段はこんなに冷静で落ち着いているのに
戦場に出ると、ときどき周りが見えなくなるほど、
熱くなってしまうことがあるの。

立花山城
それだけじゃない。
問題を一人で抱え込んで、自爆しそうになることもある。
本当に、昔っから、危なっかしくて、見てられないの。

立花山城
でも……だけどね。
そこが、柳川城のいいところでもあるのよ。

立花山城
熱くなるのは、誰よりも、殿への忠誠心と想いが強いから。
問題を一人で抱えちゃうのは、仲間想いで、迷惑をかけたくないから。

立花山城
とても優しくて、責任感が強い子なのよ、柳川城は。

立花山城
彼女はこれまで、そうやって、自分の命を賭けて
大好きな殿と仲間のことを守ってきた。
しかも、それだけの強さを、悔しいんだけど、この子は持ってる。

立花山城
誠実とか真面目とか実直とか素直とか、
それらは全部、この、柳川城のためにある言葉だと
そう言っても過言ではないわ。

立花山城
たくさんの危機を乗り越えてきたのも、彼女のおかげ。
彼女の一途な思いが、過酷な運命を、切り開いてきたの。

立花山城
ね? どう?
こんなの、勝てるわけがないでしょう?

立花山城
だから、私は身を引いたわ。

立花山城
……この学園の生徒会長に相応しいのは、柳川城しかいない。
私からは、以上よ。

やくも
立花山城!
すっごく素敵な応援演説だったがや!

千狐
……生徒会長選の、応援演説……だったんですよね?

柳川城
立花山城さん……。

立花山城
変な勘ぐりはやめて。
生徒会長に推した話しか、私はしてないわよ。

殿
…………!

やくも
あ! 選挙速報だに!
全員、もにたぁに注目だに!

千狐
柳川城さんの得票数がどうなっているか……。
立花山城さんの演説効果は、きっと出てるはずですよ。

立花山城
どうあれ、残りの票数を考えても、
ここで当確が決まるわね。

柳川城
…………。

殿
…………!

立花山城
やっと、いつもの所領に戻ったわね。
今回もいろいろありすぎて
ちょっと……いえ、かなり大変だったわ。

やくも
柳川城ーーーーーっ!
おめでとうだにーーーーーっ!

柳川城
わわわっ……やくもさん。
いきなり抱きつかないでくださいっ……。

千狐
あらためて、お祝いを言わせてください。
柳川城さん、生徒会長選の勝利、おめでとうございます!

殿
…………!

柳川城
ありがとうございます。
私が当選できたのは、全て、みなさんのおかげです。

柳川城
みなさんの助力がなければ、私ひとりの力では、
絶対に勝てない戦いでした。
本当に、ありがとうございました。

ラピュータ
悔しいけど負けたわ。完敗よ。
おめでとう柳川城。
来期からは、貴方が晴れて、生徒会長よ。

柳川城
ラピュータさんに、みなさんも!

阿波一宮城
おめでとうございます、柳川城さん。
実は私は途中から、ずっと
柳川城さんのことを応援していたんです!

城塞都市ローテンブルク
どうして敵を応援してるのよっ……!
あなたの応援があれば、わたしが勝てたかもしれないのに。

比志城
アタシたちが負けたのは、応援団の差ね。
最後にあんな素敵な援護射撃をされるんだもの、
そんなの敵うはずがないわ。

ラピュータ
まさに、私たちの敗因はそこよ。
互いに足を引っ張りあった生徒会と違って
柳川城の周りには、素晴らしい仲間が揃っていた。

ラピュータ
それは決して、生徒会長選だけに限った話じゃないわ。
貴方の周りには、いつも、頼もしい仲間が集まってくる。

ラピュータ
それは王様の人徳によるものだと
貴方は思うのかもしれないけれど……決してそれだけじゃないわ。

ラピュータ
だからこそ、貴方は選挙に勝利したの。
自信を持って、生徒会長をやればいいわ。

柳川城
はい……ありがとうございます。

足利学校
私も顧問になってみたかったけど、
信任投票では圧倒的な敗北だったし、仕方ないですね。

足利学校
やはり私は、この所領で教鞭を振るうほうが性に合います。
今後ともよろしくお願いしますね、殿。

殿
…………!

立花山城
あの柳川城が生徒会長、か。
ま、なるべくしてなったのかもしれないわね。

立花山城
そして、私たちが生徒会役員……。
これも、なるべくしてなった役割なのかしら。

立花山城
どっちにしろ、次に学園世界に行くときは
今までよりは、面白くなるかもしれないわね。

立花山城
あの子は……大変でしょうけどね。
こっちの世界でも、あっちの世界でも、ね。

柳川城
あ、殿。
こんなところで何をなさっているのですか?

殿
…………!

柳川城
ただの散歩ですか。
実は私もです。

柳川城
殿……先日は、その、大変でしたね。
殿も、生徒会顧問の任に就くことになって。

殿
…………。

柳川城
あ、いえ、私は、会長になったことを負担に思ってません。
むしろ、今は、生徒会長をやることを
少し楽しみに思っているほどです。

柳川城
意外、ですか? それは……。

柳川城
(生徒会長と顧問として、ですが、
 あの世界でも、ずっと、殿のお傍にいることができます。
 それは、私にとっては、何よりも……)

殿
…………?

柳川城
あああっ、い、いえ、なんでもありませんっ……。

柳川城
と、とにかく、あの厳しい会長選挙を戦い抜くことができたのは、
殿のおかげなんですっ……。

柳川城
だって、私は、殿のことを、その、ずっとっ……。

柳川城
ずっとっ……。

殿
…………?

柳川城
ずっと……先のことかもしれませんが、
またあの世界に行くことがあったら
くれぐれもよろしくお願いします!

殿
…………!

柳川城
…………。

柳川城
(はぁ……)

やくも
ん? あそこにいるのは柳川城と殿じゃないかや?

やくも
おーい! 二人共、そんなところで何してるだにー!

千狐
あっ!? ちょっと、やくもっ。
どうしてそういつも空気が読めないのっ!

柳川城
えっ、あっ、み、みなさんっ……!?

立花山城
……ふぅ。

立花山城
(本当、いつまでたっても意気地なしなんだから)



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