ストーリーテキスト/陽だまり懐う影ぼうし

ページ名:ストーリーテキスト/陽だまり懐う影ぼうし

目次

陽だまり懐う影ぼうし[]

陽だまり懐う影ぼうし -序-

所領に届いた一通の手紙には、イギリスのとある御城
に危機が迫っている、という事実が記されていた。
報せを受け、その地へと転移する一行だが……。

前半
――所領。

黒川城
……というわけで。
こちらに立ち寄る用事があったので、
お土産を持って伺ったのです。

黒川城
漆器に、棒鱈……それから、
会津名産のお蕎麦も振る舞おうと、材料を揃えてきました!

柳川城
お土産がこんなに……非常にありがたいですが黒川城さん、
ここまで気を遣うことはないのですよ?

黒川城
いいえ! 御殿様とお会いするのも久しぶりのことですから、
礼を失するわけにはいきません!

殿
…………!

やくも
相変わらず真面目な城娘だに~♪
殿さん、さっそく黒川城お手製の蕎麦を打ってもらって――

千狐
と、殿ー!
た、大変なのー!

やくも
なんだに千狐……今いいところだったのに……。

千狐
そ、それどころじゃないの……。
この手紙に、大変なことが……!

黒川城
まずは落ち着いてください、千狐さん。
説明はゆっくりで大丈夫ですから……。

千狐
はい……失礼しました。それでは、順を追って説明いたしますね……。

やくも
…………。

千狐
……先に言っておくけど、
宴の招待じゃないから……やくもの期待には応えられないわよ。

やくも
なっ、心外だにっ!
うちがいっつも食べ物のことばっかり考えてるみたいに言って!
いくらうちでも、千狐の様子でそれくらい察せるがや!

千狐
それでは、読み上げますね……。

やくも
…………。

千狐
異変はどうやら……。
異国の地・イギリスで起こっているようです。

千狐
……差出人は、ケルフィリー城さんから。
兜に攻め込まれ、窮地に置かれているらしく……。

柳川城
兜がイギリスの地に……。

千狐
狙われているのは、同じくイギリスの御城であるベリー・ポメロイ城さん……。
今はその御城にて、籠城戦を繰り広げているとのことです。

やくも
むぅ……手紙の内容を見るに、
相当厳しい状況に置かれてるみたいやね……。

殿
…………!

柳川城
そうですね……急ぎ準備を整え、
ベリー・ポメロイ城さんの許へ向かうことにしましょう。

千狐
それでは準備が整い次第――

黒川城
す、すみません!

千狐
…………。

黒川城
すみません……殿、
その遠征に私も同行させていただくことは、可能でしょうか?

柳川城
黒川城さんも、ですか……?
手紙を読む限り、かなりの危険を伴うことになるかと思いますが……。

黒川城
構いません! 御城としては縁がなくとも、志を同じくする城娘同士。
悪しき者が風紀を乱しているのなら、それを見過ごすわけにはまいりません!

やくも
やっぱり真面目な城娘だに……。

殿
…………!

柳川城
ありがとうございます、黒川城さん。
そう言っていただけるなら、断る理由などありません。
ぜひとも、お力添えをお願いいたします!

黒川城
はいっ!

――――

――――

――数刻後。ベリー・ポメロイ城。

ケルフィリー城
はぁ、はぁ……。

兜軍団
城娘……殲滅セヨ……。
  城娘……殲滅セヨ……。
    城娘……殲滅セヨ……。

ケルフィリー城
やはり、無謀な戦いでしたか……。

ケルフィリー城
結局、意地を張るだけ張って、
事を成せずに、散ることになりそうですわね……。

ケルフィリー城
ふふ、私がここで散ったら、
ポメロイさんは悲しんでくれるでしょうか……。

ケルフィリー城
いえ、感傷的になるのはよしましょう。
ア・ドライグ・ゴッホの名に掛けて、最期の瞬間まで騎士らしく――

ケルフィリー城
――きゃっ!?
なんですが、この光は……!

千狐
コンッ! 転移成功なの!

殿
…………!

柳川城
ケルフィリー城さん! ご無事ですか?

ケルフィリー城
お……王様に、柳川城さんも……。
ということは、私のお手紙が……?

やくも
そうだに! ケルフィリー城からの手紙、
ちゃんと所領まで届いてたがや!

黒川城
貴方がケルフィリー城さん?
これは、酷い怪我です……でも良かった、
なんとか間に合ったみたいで……。

柳川城
間一髪のところでした。
後は、この兜の軍勢を片付けるだけ……。

殿
…………!

黒川城
承知しました! 兜たちを殲滅し、
ケルフィリー城さんを守り抜いてみせますっ!

後半
黒川城

はぁ、はぁ……。
気配はもう感じられなくなりましたが、乗り切ったと見て良いのでしょうか。

千狐
はい……残党も完全に撤退したようですから、
一先ず安心して良いかと思います。

ケルフィリー城
皆様、ありがとうございます……。

ケルフィリー城
助かりましたわ……。
王様たちが駆けつけてくれなかったらどうなっていたか――

???
まだ生き延びていたとは……大したものね。
今回ばかりは、さすがにこれまでかと思ったけど。

柳川城
あ、あなたは……?

ケルフィリー城
……ポメロイさん、見ていたのですね。

ケルフィリー城
ええ……今回の襲撃も、
無事に退けることができましたわ。

ベリー・ポメロイ城
ふぅん……あなたの姿を見るに、
とても『無事』とは言えないようだけど?

ベリー・ポメロイ城
それより……なんだか、あなたの周りが随分賑やかになっているわね。
……これは、どういうことかしら?

ケルフィリー城
それは……。

殿
…………。

千狐
あなたが……この御城の城娘、
ベリー・ポメロイ城さん……?

黒川城
…………。

黒川城
……おかしいです。

やくも
ん? 何がおかしいんだに、黒川城?

黒川城
ケルフィリー城さんがこんなに傷だらけになっているのに比べて、
ポメロイさんの方は、傷一つ負っていません……。

やくも
確かに、言われてみれば……。
傷どころか、服に汚れすらついてないだに。

ケルフィリー城
…………。

ベリー・ポメロイ城
つまり……ケルフィリーを放って何をしていたんだ、
と言いたいのかしら? お嬢ちゃん?

黒川城
あ、いえ。……そういうわけではないのですが、
気になってしまったものですから……。

ケルフィリー城
大丈夫ですわ……お二人とも。
これにはちゃんと、理由があって……。

ベリー・ポメロイ城
理由? まぁ、そうね……。
わたしには、この子の手助けをするつもりがない。
ただ、それだけのことだけど。

ケルフィリー城
ポメロイさん……そのような言い方は……。

ベリー・ポメロイ城
何度も言っているのよ?
わたしに構ったりなんかしないで、さっさとここを立ち去れば、と……。

黒川城
…………っ!

黒川城
その言い方、あんまりではありませんか……?

黒川城
ケルフィリー城さんは、こんなにボロボロになるまで戦ってくれたのですよ!
でなかったら……この御城も、貴方も! ただでは済まなかったはずです!

黒川城
それに、御殿様や柳川城さんも……!

ケルフィリー城
待って……待ってください。
今、事情を説明しますから……。

ベリー・ポメロイ城
だから、そんなお節介は最初から望んでない、
とわたしは言っているのよ。お嬢ちゃん。

ベリー・ポメロイ城
……あなたたちの戦いを見せられる、
わたしの身にもなってほしいものだわ。

ベリー・ポメロイ城
わたしよりもずっと高潔で、優れた城娘たちが……、
わたしなんかのためにその身を削って戦いに挑んでいる。

ベリー・ポメロイ城
……わたしには、そんな価値なんてないのに。

ベリー・ポメロイ城
守られたって、生き残ったって……わたしには何もないわ。
みんなにしてあげられることなんて、何もないの。
価値がないのよ。

ケルフィリー城
…………。

ケルフィリー城
自分を卑下するような物言いは……良くありませんよ、ポメロイさん。

ケルフィリー城
何を信じ、何を守るか……これは私自身、
熟慮の上で下した決断ですわ。

ケルフィリー城
少なくとも今……貴方を守るため、
この戦いに身を投じることに、迷いはありません。

ベリー・ポメロイ城
……嫌いだわ。あなたのそういうところ。

ケルフィリー城
…………。

ベリー・ポメロイ城
……わたしは部屋に戻ることにするわ。
しばらく独りにしてちょうだい。

ケルフィリー城
……わかりましたわ。

ベリー・ポメロイ城
…………。

ベリー・ポメロイ城
それから……わたしの希望を無視してここに残るというなら、
空いている部屋は好きに使いなさい。
その辺で野垂れ死にされても迷惑だから。

ケルフィリー城
感謝しますわ、ポメロイさん。

殿
…………。

ベリー・ポメロイ城
あなたが日の本の王様ね。噂は伺っているわ。

ベリー・ポメロイ城
ここまでご足労いただいたところ悪いけれど……王様。
おもてなししてあげることはできないの。

ベリー・ポメロイ城
あなたが早々に立ち去っていただくことを、
わたしは心から願っているわ。

ベリー・ポメロイ城
それじゃあね。

殿
…………。

千狐
行ってしまいました……。

ケルフィリー城
……申し訳ありません、王様。
お見苦しいところをお見せしてしまって……。

黒川城
あの方、許せません……。
ケルフィリー城さんはこんなに傷ついているのに……!

ケルフィリー城
黒川城さん、と言いましたか?
……ふふ、真面目で元気な城娘さんなのですね。

ケルフィリー城
私のために怒ってくれたこと、感謝しますわ。
でも、お願い……ポメロイさんを悪く思わないであげてほしいの。
あの子もあの子なりに、抱えている物があるのですわ。

黒川城
…………。

柳川城
では、やはり……ポメロイさんのあの言動には、
何か理由があるのですね?

ケルフィリー城
はい。私も全てを知っているわけではありませんが……、
かつてポメロイさんを襲った不幸が、関係しているものと思われます。

ケルフィリー城
愛する者との悲しい別れ。
あの子はそれを……一度だけでなく、二度も味わっています。

ケルフィリー城
出会いとは、別れの始まりでしかなく……幸福とは、不幸の前兆でしかない。
……ポメロイさんは、そのように考えているのですわ。

千狐
その結果が、あの拒絶……ということですか。

ケルフィリー城
この戦いで勝利を収めても……、
救われる者は、どこにも居ないのかもしれません。

ケルフィリー城
もしかしたら、私はただ……役割を全うするために、
自己満足で戦っているだけなのかもしれません。

ケルフィリー城
もし、あの子を見捨ててしまったら……、
私はきっと、騎士としての自分を許せなくなってしまうから。

黒川城
……落ち着いてください、ケルフィリー城さん。
貴方の戦いは、間違ってなどいません。

黒川城
兜の侵攻を見逃していい理由なんて、どこにもありません。
この御城に迫る危機と、ポメロイさんが抱える問題は別のお話です。

殿
…………!

柳川城
そうですね……。
まずはポメロイさんの御城に迫っている兜たちを討伐しましょう。

柳川城
ポメロイさんの抱える問題は、その後に。
どうすれば良い方に向かうか、今はわかりませんが……とにかく、
此地に平穏を取り戻すのが先決です。

ケルフィリー城
王様、それに皆様も……ありがとうございます。

ケルフィリー城
そうですわね……今はただ、此地に平穏を。
そのことだけを考えて、兜の殲滅を目指すことにいたしましょう……!

陽だまり懐う影ぼうし -破-

殿たちの許を離れ一人嘆息するベリー・ポメロイ城。
かつて味わった不幸の記憶に苦悩する彼女の前に
現れた、黒川城の口から語られる思いとは……。

前半
――ベリー・ポメロイ城付近の森。

ベリー・ポメロイ城
……はぁ。

ベリー・ポメロイ城
……大事になってしまったわね。

ベリー・ポメロイ城
ケルフィリーだけじゃなく、日の本の王様まで……。

ベリー・ポメロイ城
いずれ諦めて去ってくれるものと思っていたら、
事態が悪化してしまったわ……。

ベリー・ポメロイ城
無理やりにでも追い払った方が良いのかしら……。

ベリー・ポメロイ城
まぁ、いいわ……。
ひとまず今は……頭を冷やすことに集中しましょう。

ベリー・ポメロイ城
しばらくこの辺を歩いて……それから、
部屋に戻って紅茶を飲みながら……。

(がさがさっ)

ベリー・ポメロイ城
っ……!?

ベリー・ポメロイ城
(今の音は……人の気配?)

ベリー・ポメロイ城
誰? そこに隠れているのは?
今すぐ出てこないと、わたしの鞭で痛い目に遭わせるわよ?

???
す、すみませんっ!
いま出ますから……!

黒川城
すみません。
御城から出ていくポメロイさんの姿が見えたので、
気になってしまって……。

ベリー・ポメロイ城
あなたは、さっきのお嬢ちゃん……。

黒川城
お嬢ちゃんじゃありません!
私にはちゃんと、黒川城という名前があります!

ベリー・ポメロイ城
ふぅん……黒川城。

ベリー・ポメロイ城
あなた……その名前から察するに、日の本の御城よね?

黒川城
そうですが……それが何か……?

ベリー・ポメロイ城
つまり……わたしとあなたの間には、
何の縁もない城ということよね。

ベリー・ポメロイ城
王様や、他の子たちも同じ。
ここで戦う理由なんて、一つもないじゃない。

黒川城
…………。

黒川城
御殿様は、これまで……、
多くの城娘たちのために戦ってきました。

黒川城
それが見知った者でも、そうでなくても……。
城娘が困っていたり傷ついていたりすれば、
それがあの方にとっては助ける理由になるんです。

ベリー・ポメロイ城
……そう。正義感の強い方なのね。

黒川城
…………。

黒川城
ポメロイさんの、先程のあの言葉は……本心なのですか?

ベリー・ポメロイ城
……ん?

黒川城
ですから、あなたは……本当に、
心から望んであのような振る舞いをしたのですか?

ベリー・ポメロイ城
…………。

ベリー・ポメロイ城
ふふ……あなた、
何でもかんでもハッキリ白黒付けないと、気が済まない質ね?

黒川城
え……?
はい、真面目とはよく言われますが……。

ベリー・ポメロイ城
それじゃ、逆に質問するけど……あなたにはあるの?
心から望んで何かをする、ということが……。

ベリー・ポメロイ城
殆どの場合は、みんな……迷いを心のどこかに残しながら、
行動を起こしているんじゃないかしら。

黒川城
……では、ポメロイさんも?

ベリー・ポメロイ城
さぁ、どうかしらね……。
関係のないことでしょう。あなたにとっては。

黒川城
……関係、ありますよ。

黒川城
自分が守ろうとしている方が、
どんな城娘か、というのは……大事な情報です。

黒川城
私は……貴方がどういう城娘なのか、知りたいんです。

黒川城
何を秘めていて、何を考えているのか……。
そして、今の私にできることは何なのか。それを知りたいです。

ベリー・ポメロイ城
…………。

ベリー・ポメロイ城
……お断りするわ。
わたしの不幸話をしたところで、何も変わることはないもの。

ベリー・ポメロイ城
聞いた者にできることと言えば……同情か、共感か。
……そのいずれも、わたしは求めていないのよ。

黒川城
ですが……ケルフィリー城さんは、
ポメロイさんの過去についてご存知のようでした……。

ベリー・ポメロイ城
……っ、わたしのことを話したの、あの子?

黒川城
いえ、詳しいことは何も。

黒川城
……ただ、ポメロイさんのことを悪く思わないでほしい、と。

ベリー・ポメロイ城
…………。

ベリー・ポメロイ城
……気の迷いよ。わたしがあの子に自分の話をしたのは。
今では後悔しているわ。それに――

千狐
コンっ!?
殿、兜の軍勢が近づいてきてるの!
すぐに合戦の準備を!

黒川城
今の声は……。

ベリー・ポメロイ城
……王様の傍にいた狐さんのものかしら。

黒川城
はい……どうやら、兜が現れたようですね……。

ベリー・ポメロイ城
……確かに、御城の周囲から強い力を感じるわ。
これまで攻め込んできたものよりも、ずっと強い力を……。

ベリー・ポメロイ城
あれとぶつかれば、
あなたもただじゃ済まないかもしれないわよ?

黒川城
…………。

黒川城
私……そろそろ失礼しますね。

ベリー・ポメロイ城
戦うの? 兜と?

黒川城
……戦いますよ。
この御城を、守ってみせます。

ベリー・ポメロイ城
…………。

ベリー・ポメロイ城
……黒川城さん。

黒川城
……はい、なんでしょうか。

ベリー・ポメロイ城
お願いだから、危ない真似だけはしないで。
もし身の危険を感じたら、すぐにその場から逃げ出すの。

ベリー・ポメロイ城
わたしなんかのために、
そんな真似をするのはやめて……お願いよ。

黒川城
……やっぱり、ポメロイさんは優しい方ですね。

ベリー・ポメロイ城
…………?

黒川城
ずっと、不思議に思ってたんです。

黒川城
さっきの戦で、ポメロイさん……。
まるで終わるのを見計らったみたいに、姿を現しましたよね。

黒川城
それで、私……思ったんです。ひょっとしてポメロイさんは、
ずっと近くでケルフィリー城さんを見守っていたのではないか、と。

黒川城
知らんぷりすることも、間に入って守ることもできずに、
迷いながら……身を隠して、立ち尽くしていたんじゃないかな、と。

ベリー・ポメロイ城
…………。

黒川城
ですが私は、こうも思うんです。

黒川城
もし、私たちの到着があと少しでも遅れていたら……きっと、
ポメロイさんが代わりに、ケルフィリー城さんを助けていたのだろうな、と。

ベリー・ポメロイ城
…………。

ベリー・ポメロイ城
底抜けのお人好しね、あなたは。
わたしはそんなに心優しい城娘じゃないわよ。

黒川城
…………。

ベリー・ポメロイ城
わたしはね……疲れたの。
もう、うんざりなのよ。

ベリー・ポメロイ城
嬉しいことにも、悲しいことにも、
その都度心を動かされるのは、もう沢山……。

ベリー・ポメロイ城
もう、誰のことも好きになりたくない……嫌いにもなりたくない。

ベリー・ポメロイ城
わたしは臆病で……その癖、欲深いから。
一度何かを好きになったら、失うことをずっと恐れるようになってしまうわ。

ベリー・ポメロイ城
だからケルフィリーにも言ったの。
『わたしのことは忘れてちょうだい』って。なのに、あの子は……。

黒川城
ポメロイさん……。

ベリー・ポメロイ城
馬鹿よ……ケルフィリーもあなたも、みんな。

黒川城
それが……貴方の本当の気持ちですか。

ベリー・ポメロイ城
…………。

ベリー・ポメロイ城
……わ、わたしは――

柳川城
ケルフィリー城さん!
これ以上はいけません、退いてください!

ケルフィリー城
なりません……私が盾となり、
皆様をお守りしなければ……!

ベリー・ポメロイ城
…………っ。

黒川城
……話の続きは、戦が終わった後にしましょう。

黒川城
……真面目で融通の利かない、お節介焼きな私ですが、
何か、ポメロイさんの力になれることがあるかもしれません。

黒川城
ですから……ポメロイさんのこと、聞かせてください。

黒川城
それでは失礼します。……また後ほど。

ベリー・ポメロイ城
…………。

ベリー・ポメロイ城
わからない……いくら考えても、答えなんて……。

ベリー・ポメロイ城
どうすればいいの、わたしは……。

後半
柳川城

はぁ……どうにか退けられましたか……。

ケルフィリー城
そうです、わね……。
危ないところ……でしたが……。

殿
…………。

ケルフィリー城
心配には及びませんわ、王様。
私は無事です……。

ケルフィリー城
二本の足ですっくと、とはいきませんが……、
両手を使えばこの通り、這って動くことくらいはできますから……。

やくも
それは無事とは言わんだに……。

黒川城
そうです。無茶をし過ぎですよ、ケルフィリー城さん……。

黒川城
……私が肩を貸しますから、身を預けてください。

ケルフィリー城
すみません……ご苦労を掛けます……。

ケルフィリー城
でも、良かった……これでまた、
兜の侵攻を退けることができました……。

千狐
そうですね。ひとまずは、
御城に戻って英気を養いましょう……!

シュテファン
ソウハ問屋ガ卸サナイデース……。
次ハ、私ト遊ンデイタダキマース。

陽だまり懐う影ぼうし -急-

殿一行の前に姿を現した巨大兜・シュテファン。
イギリスの地に平穏を取り戻すため、城娘と共に
出陣し、兜の軍勢を直ちに討伐せよ!

前半
シュテファン

ソウハ問屋ガ卸サナイデース……。
次ハ、私ト遊ンデイタダキマース。

やくも
あ、あいつは確か……シュテファン!
自称頭脳派のおちゃらけ巨大兜だに……!

シュテファン
ソウイウアナタハ塩分過多ノ握リ飯娘デースネ……ヨク覚エテマース。

ケルフィリー城
シュテファン……その名、聞いたことがあります。
以前もこの国に攻め込んできた、と……。

柳川城
シュテファンの名を冠する巨大兜……。
なぜ貴方は、ポメロイさんの御城を狙うのですか?

シュテファン
コノ御城ノ周リハ我々ニトッテ、
住ミ心地ノ良イ場所ナノデース。

シュテファン
コノ御城ニ住マウ城娘ハ、治安ノ維持ニ消極的デ、
警戒ヲ払ウコトモ全クト言ッテ良イ程シマセーン。

シュテファン
ソレヲ知ッタ我々ハ、スカサズ此地ニ逃ゲ込ミ……身ヲ潜メテ、
バカンス……モトイ休養ヲトリ、チカラヲ溜メ始メタノデース。

ケルフィリー城
この地に、身を潜めて……?

シュテファン
ソシテ、準備ガ整ッタ今日! コノ御城ヲ征服シ、
拠点トシテ我ガ物ニシテヤロウト考エタノデース!

シュテファン
我々ニトッテ、コノ戦イハ容易イモノニナルハズダッタノデースガ……。
マサカ貴方ガ立チフサガルトハ思ッテイマセンデーシタ。日ノ本ノ殿ヨ。

殿
…………!

シュテファン
コレ以上、言葉ヲ交ワス必要ハアリマセーン。
後ハ戦場デジックリタップリ語リ合ウデース。

殿
…………!

柳川城
ケルフィリー城さんは、下がっていてください……。
先程の戦いで消耗していますし、これ以上は危険です。

ケルフィリー城
そうですわね……悔しいですが、
今の私では足手まといにしかならなさそうですわ。

黒川城
大丈夫ですよ、ケルフィリー城さん。
ポメロイさんの御城は……必ず守り抜きます!

柳川城
それでは、殿……聡明なご下知をお願いいたしますっ!

後半
黒川城

はぁぁぁっ!


ギャアアァァァアァッ!!

シュテファン
ムウゥッ!?

黒川城
これで、残った兜もあと僅か……さぁ、観念しなさい……!

シュテファン
フム……コレハ私モ、手段ヲ選ンデハイラレナイヨウデース。

シュテファン
オ前タチ、付イテクルデースっ!


ギ、御意ッ!!

やくも
巨大兜の奴、逃げようとしてるがやっ!?

黒川城
逃しはしません! 後を追いましょう、御殿様っ!

殿
…………!

――――

――――

シュテファン
……ト、マタシテモ追イ詰メラレテシマッタヨウデース。

黒川城
まだ逃げ回るつもりですか?
潔く負けを認めなさい!

シュテファン
フフ……マダ認メルニハ早イデース。
私ハソコノ城娘ニ用ガアルノデース。

シュテファン
先程カラ、ソコデ隠レテコチラヲ覗キ込ンデイル城娘ニネ……。

ベリー・ポメロイ城
……っ!?

ケルフィリー城
ポメロイさん! どうしてそこに……?

シュテファン
気ヅカレテイナイトデモ思ッテイタノデースカ?

黒川城
逃げてっ、ポメロイさん!

シュテファン
逃シハシナイデース……アナタヲ捕エルタメニ、
ココマデ見苦シイ姿ヲ晒シタノデースカラ……。

柳川城
撤退するような素振りをみせながら、
ポメロイさんを狙える場所まで移動した、ということですか……。

シュテファン
ソノ通リ……コレデ状況ハ私ニ傾イタデース……。

ベリー・ポメロイ城
ぁ、ぅ……。

シュテファン
フッ……怯エテ声モ出セナイヨウデース……。

シュテファン
マズハ逃ゲ出スコトノナイヨウ、深手ヲ負ワセテ、
ソノ後ノ処遇ハソレカラ考エルコトニスルデース。

ケルフィリー城
ポメロイさんっ! く……この体が動けば……!

シュテファン
サァ、覚悟スルデース!

黒川城
させるものですかあぁーーーっ!!

シュテファン
ヌゥッ!?

ベリー・ポメロイ城
っ!?

黒川城
――ぐうぅっ!!

シュテファン
ナント、邪魔ガ入ッテシマッタデースカ……。

ベリー・ポメロイ城
く、黒川城さん……わたしを庇って……?

黒川城
私のことは良いですから……。
ポメロイさんは早く、逃げてください……!

ベリー・ポメロイ城
何を言っているの!
そんなことできるわけないでしょう!

シュテファン
ソチラノ黒髪ノ城娘。仲間ノタメニ自ラノ身ヲ盾ニシタ、
ソノ意気ハ見事デスガ……甲斐ガアリマセンデーシタネ。

シュテファン
貴方タチハ二人トモ、ココデ果テル運命ニアルノデース。

ケルフィリー城
そんなことはさせませんわ! 二人とも、今助けに――

シュテファン
ソレハコチラノ台詞デース。……オ前達、時間稼ギヲスルデース。

兜軍団
御意ッ! 御意ッ! 御意ッ!

殿
…………っ!!

千狐
くっ……兜たちが隊列を組んで、立ちふさがって……!

やくも
これじゃポメロイたちのところに近づけんだに……!

ケルフィリー城
そんな……このままではポメロイさんと黒川城さんが……!

柳川城
くっ、こちらも消耗しています!
巨大兜に接近しようにも、他の兜たちが邪魔で……!

シュテファン
サテ、コレデ邪魔ガ入ルコトハナイデース。

黒川城
そ……それ以上近づけば、斬りますよ……。

シュテファン
ホォ……アナタダケデ私ニ立チ向カウツモリデースカ?

シュテファン
素晴ラシイ。敵ナガラ天晴、トイウヤツデースネ。
シカシ……ソレハ無駄ナ足掻キニ終ワルノデース。

シュテファン
圧倒的ナ戦力ニ抗オウトスル、愚カサ。
……私ハソレヲヨク知ッテイルデース。

シュテファン
大国オスマンとの戦デ、身ヲ以て――

シュテファン
……む? いや違ウ、違うゾ……。

ベリー・ポメロイ城
…………?

シュテファン
私ガ知っているノハ、戦力で劣ッテいようとも、
知恵と団結をモッテ、それヲ覆そうトイウ信念。

シュテファン
ソウダ、我々はソレをヴァスルイの地デ証明シタのだ。
そしてその後モ、大国オスマンと渡り合ッテキタ……。

黒川城
(この巨大兜、ぶつぶつと何を……?)

シュテファン
ダガ……だが、それナラバ。
私はここで何をやっている?

シュテファン
我ガ祖国ハ今、誰が守っている……?

シュテファン
オカシイ……辻褄が合わない。何かヲ忘レテいるのか?
それとも私は、何かに操ラレテしまっているノカ……?

シュテファン
…………。


シュテファン様、ドウサレマシタ?
城娘ハモウ虫ノ息デス、スグサマ捕エテ――

シュテファン
ソレどころではないのデース!


ヒィッ!?

シュテファン
前触レ無く、突如胸の内に浮かび上がってキタ、
コノ違和感……。捨テ置ク訳にはまいりません。

シュテファン
コノ原因ヲ探るため、私は一度戦線を離レ……独りで動くことにシマス。


エエッ、ボクタチハドウナッチャウンデスカ!?
シュテファン様ガイナクナッタラ勝チ目ナンカナイヨッ!

シュテファン
ココハ獅子心王の縄張り。ヤツに縋レバ、
力を貸シテくれるに違いありまセーン!

シュテファン
後は好きにやると良いデース! ソレデハ、さらばデース!


ソンナー、待ッテクダサイヨ、シュテファン様っ!

兜軍団
撤退ッ! 撤退ッ! 撤退ッ!

千狐
…………。

千狐
か、兜の撤退を確認しました……。

殿
…………。

やくも
な、なにがなにやらだに……。

ケルフィリー城
……ですが、良かったですわ。
本当に危ないところで――

ケルフィリー城
――そうですわ!
二人の……二人の無事を、確認しなくては……!

――――

黒川城
なんとか、なったみたい……ですね。

ベリー・ポメロイ城
黒川城さん……ごめんなさい。
突然のことに、体が竦んでしまって……。

黒川城
いいんです……ポメロイさんが無事ならそれで――

黒川城
――とと。急に体から、力が……。

ベリー・ポメロイ城
黒川城さんっ!
わたしの体に掴まって……!

黒川城
理由なんて……必要ないんですね……。

黒川城
守りたい、助けなきゃ……そう思っただけなんです。
気づいたら、体が動いていて……。

黒川城
その思いだけ確かなら、理由なんて――

黒川城
――あれ、なんだか……頭、ぼーっとして……?

黒川城
おか……しい、な……。

ベリー・ポメロイ城
黒川城さん……黒川城さん?

ベリー・ポメロイ城
ああ、嘘……嘘よ、こんなの……!

ケルフィリー城
ポメロイさん、黒川城さんっ!

ベリー・ポメロイ城
ケ、ケルフィリー。
どうしよう……黒川城さんが、黒川城さんが……。

ケルフィリー城
……ポメロイさん、心配には及びません。
適切に処置をすれば黒川城さんは……。

ベリー・ポメロイ城
やっぱり、やっぱり呪われているんだわ……。

ケルフィリー城
ポメロイさん、落ち着いて。私の話を……。

ケルフィリー城
…………。

ベリー・ポメロイ城
みんな……みんな、
わたしなんかと関わるから、こんなことに――

ケルフィリー城
……ポメロイ! 私を見なさいっ!!

ベリー・ポメロイ城
っ……!?

ケルフィリー城
私が分かりますか?
私の声が……聞こえてますわね?

ベリー・ポメロイ城
え、ええ……聞こえているわ……。

ケルフィリー城
良いですか?
黒川城さんの傷は深いですが、致命的なものではありません。

ケルフィリー城
正しい処置をすれば、確実に助かります。

ケルフィリー城
落ち着いて、最善を尽くす。そのことだけを考えましょう。

ベリー・ポメロイ城
……そうね、わかったわ。

ベリー・ポメロイ城
わたしの部屋に連れていきましょう。
ここからなら一番近いわ。

ケルフィリー城
承知しました。
治療は私にお任せください。

やくも
うちも手伝うだにー!

千狐
黒川城さんの怪我……早く治ると良いのですが……。

千狐
しかし、気になりますね。巨大兜の、去り際の言葉……。

殿
…………。

柳川城
獅子心王、と言っていましたか。

柳川城
シュテファンの名を冠する巨大兜が戦線を離脱したとしても、
行方を失った兜たちが彼の力を頼り、
再び此地へ襲来する可能性は、充分に考えられるかと……。

殿
…………!

千狐
そうですね……。
ひとまずは黒川城さんとケルフィリー城さんの完治を待ちながら、
敵の動向を伺うことにいたしましょう!

陽だまり懐う影ぼうし -絶壱-

巨大兜を退け、片時の平穏を得た一行。
そんな中、ティーセットを並べたお盆を手に、
城内をうろつく城娘の姿が一つ……。

前半
――シュテファンの名を冠する巨大兜の撤退から、数日。

片時の平穏の中、一行は次なる戦いに備えて英気を養っていた……。

ベリー・ポメロイ城
…………。

ベリー・ポメロイ城
すー、はー……すー……はあぁ~……。

ベリー・ポメロイ城
…………。

ベリー・ポメロイ城
すー、はぁ~……。すうぅぅ~……。

ケルフィリー城
何をしていらっしゃいますの、ポメロイさん?

ベリー・ポメロイ城
はっ!? こほ、こほっ……!

ベリー・ポメロイ城
な、何よ……ケルフィリーじゃない。
気配を消して近づくなんて、趣味が悪いわ……。

ケルフィリー城
至って普通に歩み寄ったつもりですが……ふふ、まぁ良いでしょう。

ケルフィリー城
先程から、この辺りをウロウロと歩き回っている、
ポメロイさんの姿が見えたものですから……気になってしまって。

ベリー・ポメロイ城
え、ええ……まぁ、考え事をしていたのよ。少しね。

ケルフィリー城
黒川城さんなら、もうお目覚めですよ?
怪我も殆ど治っていますし、お話をするには差し障りはないかと思いますわ。

ベリー・ポメロイ城
…………。

ベリー・ポメロイ城
……別にわたしは、黒川城さんについて考え事をしていたとは、
一言も言っていないのだけど……。

ケルフィリー城
あら……では、そのお盆の上に並んだティーセットは、
いったいなんなのでしょう?

ケルフィリー城
私はてっきり、黒川城さんの許に、
お見舞いに行くつもりなのかと思ったのですが……。

ベリー・ポメロイ城
…………。

ケルフィリー城
ふふ……いつまでも躊躇っていると、
紅茶が冷めてしまいますわよ。

ベリー・ポメロイ城
わかってるわ……今行こうと思っていたのよ。

ベリー・ポメロイ城
それじゃ、失礼するわ……。

ケルフィリー城
ええ、ごきげんよう。

ベリー・ポメロイ城
…………。

ベリー・ポメロイ城
あ……その、ケルフィリー。
一つ、聞きたいんだけど……。

ケルフィリー城
はい? なんでしょうか?

ベリー・ポメロイ城
ええと……あなたの方は、大丈夫なの……?

ケルフィリー城
大丈夫、と言いますと?

ベリー・ポメロイ城
怪我のことに決まってるじゃない。
あなただって、かなりの深手を負っていたはずでしょう?

ベリー・ポメロイ城
今話した感じだと、平気なように見えるわ。
けど……強がったり無理したりは、あなたの得意分野じゃない。

ベリー・ポメロイ城
だから、その……心配で。

ケルフィリー城
……お心遣い、感謝いたします。
怪我の方はもう、殆ど完治していますわ。

ケルフィリー城
黒川城さんの看病も、柳川城さんたちに手伝ってもらえていますから、
休息も充分にとれています。

ケルフィリー城
つまり……もう全快ですわ!
……と言っても良い位にまで回復している、ということです♪

ケルフィリー城
これは強がりでも無理でもないと、誓って宣言いたしますわ。

ベリー・ポメロイ城
そう……それなら良かったわ。

ケルフィリー城
もしや、これは……私も期待して良い、ということでしょうか?

ベリー・ポメロイ城
期待……なんのことよ?

ケルフィリー城
後でポメロイさんにお見舞いしてもらえる……ということに決まっていますわ♪

ベリー・ポメロイ城
なっ……知らないわよ、そんなの!
それじゃわたし、黒川城さんのところへ行くから……!

ケルフィリー城
ふふっ、部屋の鍵は開けておきますわよー♪

――――

――――

ベリー・ポメロイ城
黒川城さん? 入ってもいいかしら?

黒川城
ポメロイさん……はい、どうぞ。お入りください。

ベリー・ポメロイ城
……失礼するわね。

ベリー・ポメロイ城
……怪我の具合はどう?
顔色は大分良くなったようだけど。

黒川城
はい、皆さんの手当てのお陰で、
すっかり良くなりましたよ。

黒川城
この調子であと数日体を休めれば、戦に出ることだってできます!

ベリー・ポメロイ城
戦に出る、ね……。

ベリー・ポメロイ城
もう戦わないで、と言っても……、
聞いてはもらえないのよね。

黒川城
ポメロイさん……。

ベリー・ポメロイ城
あなたが目の前で倒れた時、
わたし……すごく取り乱してしまったわ。

ベリー・ポメロイ城
ケルフィリーのお陰で、我に返ることができたけど、
もしこの先、あなたやケルフィリーや、王様たちが戦って……、
また同じ思いをするかもしれないと思うと……。

黒川城
…………。

黒川城
それは……。その――ん?

黒川城
これは……ポメロイさんの国のお茶ですか?
何だか良い香りがしますが……?

ベリー・ポメロイ城
そうよ……ベリーティーといって、
紅茶の香り付けにベリーを用いたものなのだけど……。

黒川城
へぇ、ベリーティー……!
頂いても良いですか?

ベリー・ポメロイ城
ええ、どうぞ。ただ今日のは少し、
冷めてしまっているから……味は今いちかもしれないけれど……。

黒川城
こく、こく……。

黒川城
んー、美味しいです!
今いちだなんて、そんなことないですよ!

ベリー・ポメロイ城
そうかしら。でも、普段だったらね、
もっと美味しく淹れられるのよ?

ベリー・ポメロイ城
紅茶というのは、お湯の温度や茶葉の状態などで、大きく味が変化してしまうの。
今日のは……そうね、百点満点とするなら七十点ってところかしら。
次の機会には――

ベリー・ポメロイ城
こほん。……とにかく。
まぁ、喜んでもらえたのなら何よりだわ。

黒川城
……ふふ、紅茶がお好きなんですね。ポメロイさん?

ベリー・ポメロイ城
別に……拘っている内に、いつの間にか知識が付いてたってだけよ。
御城にこもっているだけで、他にやることもなかったから……。

黒川城
そうなんですね……。
でも本当に美味しいです、この紅茶。
御殿様や柳川城さんたちにも、味わってもらいたいくらい。

ベリー・ポメロイ城
王様にも……?

黒川城
はい、お茶会で御殿様をもてなすんです!
異国の文化と触れ合える貴重な機会ですから、
きっと喜んでいただけると思いますよ。

ベリー・ポメロイ城
お茶会……わたしの淹れた紅茶で、皆が笑顔に……。

黒川城
……なんだったら、
お茶好きの城娘たちをこの御城に招待してみても良いかもしれません!

黒川城
他には……お菓子や、
招待客を楽しませる出し物なんかがあると良いかもしれません。
そうですね……例えば――

後半
黒川城

――という感じです!如何でしょうか?

ベリー・ポメロイ城
ええ、素敵だわ……。
わたしの知識がそんな形で役立つなんて、
今まで考えもしなかった……。

ベリー・ポメロイ城
…………。

ベリー・ポメロイ城
でも……眩しいわね。
わたしにとっては、眩しすぎる……。

黒川城
眩しい……?

ベリー・ポメロイ城
美味しい紅茶を楽しみ、賑わう招待客。その中心で笑顔を振りまくわたし……。
その画は素敵すぎて……眩しすぎて。今のわたしには、とても……。

黒川城
ポメロイさん……。

ベリー・ポメロイ城
わかってるの……膝を抱えて丸まっていても、
何にもならないってことは。

ベリー・ポメロイ城
わたしにもあったのよ。心から幸せを感じている時が……。
ほんのひと時だったけど、確かに存在したの。

ベリー・ポメロイ城
でも、その後わたしを襲った不幸は、
そんな幸せなんか帳消しにしてしまうほどのもので……。

黒川城
…………。

黒川城
好きになりたくない、嫌いにもなりたくない。
……ポメロイさんは以前、そんなことを言っていましたよね。

黒川城
出会いとは、別れの始まりでしかなく……、
幸福とは、不幸の前兆でしかない……。

黒川城
確かに、それは正しいのかもしれません。
絶望と悲しみだけが残るような……、
報われない最後は、確かに存在するのかもしれません。

ベリー・ポメロイ城
…………。

黒川城
ならば、私の歩む道にも……、
規律正しく、風紀を守って……私はそんな城娘を目指すこの道にも、
意味など、無いのかもしれません。

黒川城
ですが私は、それでも……後悔したくないんです。

黒川城
後に悲しみが残るのだとしても、悔いだけは残したくない。

黒川城
蘆名氏……私の城主の一族がお世継ぎを巡って分裂し、
滅亡に至った時に……思いました。規律と風紀に乱れがなければ、
こんな結末には至らなかったのではないか、と。

黒川城
それはきっと、気休めに過ぎないもので……私はただ、
後悔しないと思える道を選んだだけなのだと思います。

黒川城
だから私は……こっちの方が正しい、幸せだ、なんて……、
ポメロイさんを導くことは、とてもできないです。

黒川城
ただ私は、願っています。……ポメロイさんが、
後悔のない道を歩んでくれることを……願っています。

黒川城
ポメロイさんが今居る場所に留まるとしても、
違うどこかへ行くのだとしても、後悔のないように、と……。

ベリー・ポメロイ城
…………。

ベリー・ポメロイ城
眩しい……本当に眩しいわ。

ベリー・ポメロイ城
ずっと日影で生きてきたわたしにとって、
あなたは……眩しすぎる……。

黒川城
そう、ですか……。

ベリー・ポメロイ城
……でもね。これまでのわたしは、
こんな風に『眩しい』と感じることすらなかったの。

ベリー・ポメロイ城
今までずっと……そういうものから目を背けてきたから……。

黒川城
…………!

ベリー・ポメロイ城
わたし……感謝しているの。
あなたとの出会いは、わたしにとって尊いものだった、って。

ベリー・ポメロイ城
だから……お礼を言わせてちょうだい。
ありがとう……黒川城さん。

黒川城
……いえ! とんでもないです!

ベリー・ポメロイ城
(悔いの残らないように、か……)

二人の会話は、その後も弾んだ。

飲みかけのまま忘れ去られ、
冷めきった紅茶を口にしながら……ポメロイは思った。

これから先……、
黒川城と紅茶を楽しんだこの時間を悔いることは、
決してないだろう、と……。

陽だまり懐う影ぼうし -離-

休息により充分な力を取り戻した一行は、
兜の接近を察知した千狐の進言により、
合戦に向けた準備を着々と進めていた……。

前半
千狐

…………。

やくも
それで……兜さんが近づいてきてるっていうんは、
間違いないんやね、千狐?

千狐
ええ、感じられるわ。
兜の霊気がそこかしこから……。

殿
…………。

千狐
もう兜たちが姿を現すまで、そう時間はないかと思います。
お気をつけください、殿……。

殿
…………!

柳川城
千狐さん。その霊気の中に、
巨大兜のものは感じられますか?

千狐
いえ、今はまだ感じ取れません……。
ですが、軍勢の規模を考えると、
背景に統率する存在がいることは間違いないかと……。

黒川城
今こちらへ進軍してきている兜を撃破しても、
後ろには巨大兜が控えている……ということですね。

やくも
うひぃ……大変だに……。

ケルフィリー城
心配は無用ですわ。この私が盾となり、
どんな敵であろうと皆さんを守り抜いてみせます!

???
……本当かしら。
また強がりで言っているだけなのではないの?

ケルフィリー城
いいえ、そんなことは決して!
怪我も完治しましたし、今の私には強がる必要など、どこにも――

ケルフィリー城
――って、あら? 今の声は……?

ベリー・ポメロイ城
どうやら、滑り込みで間に合ったみたいね。

ケルフィリー城
ポメロイさん! どうしてここに!?

ベリー・ポメロイ城
どうしてって……自分の御城がやられるところを、
黙って見ている城娘が居ると思う?

やくも
(先週のポメロイに言ってやりたい台詞番付・第一位だに……)

ベリー・ポメロイ城
というのは冗談で……。
今日はみんなに、お願いをしにきたの。

千狐
お願い、ですか……?

ベリー・ポメロイ城
ええ……王様たちと一緒に、戦わせてほしいの……。

黒川城
…………!

ベリー・ポメロイ城
あれから、一人で考えたわ。

ベリー・ポメロイ城
まだ、わたしの中では答えは出てない。
どうやら……答えを出すには、まだ時間が掛かりそうなの。

ベリー・ポメロイ城
……だから、考える時間が欲しい。
この御城を守って、生き残って……その後にもう一度、じっくり考えたいの。

ケルフィリー城
ポメロイさん……!

ベリー・ポメロイ城
それが今のわたしにとって一番……悔いを残さない選択だと、思うから。

ベリー・ポメロイ城
……勝手な言い分だとは、承知しているわ。

ベリー・ポメロイ城
これまでわたしは……王様を始め、
みんなに無礼な真似を沢山してしまった。

ベリー・ポメロイ城
ただ、この戦いはどうあっても乗り越えたいの。
だから、一緒に戦わせてもらえないかしら。……お願い。

殿
…………。

殿
…………!

ケルフィリー城
ダメなわけがありません!
ポメロイさんが力を貸してくれるなら、心強いですわ!

柳川城
はい……共にこの御城を守りましょう、ポメロイさん!

ベリー・ポメロイ城
ありがとう、みんな……わたし、
必ず力になってみせるわ。

ベリー・ポメロイ城
後ろ向きなことばかり言っていたけれど……。
私、戦いが不得手というわけではないのよ?

ベリー・ポメロイ城
いえ……気兼ねなく感情をぶつけられる戦という場所は、
むしろ……わたしに合っていると言えるかもしれないわ。

ベリー・ポメロイ城
とにかく、倒すと決めたからにはどんな雑魚が相手でも全力を尽くすわよ。

ベリー・ポメロイ城
一匹たりとも逃がすものですか。
ふふ、ふふふふ……。

千狐
…………。

やくも
…………。

ケルフィリー城
柳川城さん、黒川城さん。
ちょっと……耳を貸していただけますか?

黒川城
……はい、なんでしょうか?

柳川城
…………?

ケルフィリー城
一つ注意です。戦いが始まったら、
ポメロイさんの背後には立たないよう……くれぐれもお気をつけください。

黒川城
背後に立たないように、ですか。……それは、どうして?

ケルフィリー城
先程の振る舞いでなんとなく察しはついたかと思いますが、
ポメロイさんは戦場に立つと……戦いに没頭してしまう質なのです。

ケルフィリー城
その状態のポメロイさんに近づくと……痛い目に遭います。
とってもとーっても痛い目に……。

柳川城
まさか、ケルフィリー城さんはその被害に遭ったことが……?

ケルフィリー城
……はい。

ケルフィリー城
傷自体は大したものではなかったのです。

ケルフィリー城
ただ、鞭の跡って、非常に目立つのです。
……その上、なかなか消えてくれないのですわ。

黒川城
あー……。

ケルフィリー城
しかも私、その時『ポメロイさんの愛の鞭ですわね♪』などと、
言ってしまったものですから……以来、
あらぬ疑惑を掛けられることとなってしまって……。

黒川城
な、なぜそんなことを……。

ケルフィリー城
ポメロイさんの過失と思われることを避けようと、
とっさに出てきた言葉が、それで……。

柳川城
それが裏目に出てしまった、と……。

ケルフィリー城
はい、裏目も裏目……。
私とポメロイさんの仲を未だに誤解している方もいるとかで……。

柳川城
なるほど……愛の鞭はともかく、
ポメロイさんの鞭には、気をつけた方が良いですね……。

黒川城
ですね……戦の最中は、
ポメロイさんと不用意に接近しないように――

ベリー・ポメロイ城
何の話をしているの?

黒川城
きゃあっ!?

ベリー・ポメロイ城
今……わたしの名前が聞こえたのだけど。

黒川城
い、いいえ? 気のせいではありませんか?

ベリー・ポメロイ城
そう? 確かにわたしの名を――


――ザザッ!

兜軍団
ザザッ! ザザザッ!

千狐
コンッ!!

千狐
殿、兜の軍勢が姿を現しました!
ご下知を願います!

殿
…………!

ベリー・ポメロイ城
……なんて、お喋りをしている場合ではなさそうね。

ベリー・ポメロイ城
さぁ、いくわよ……向かってくる相手はみんな、
わたしがなぶり倒してあげる♪

後半
ベリー・ポメロイ城

……あら、もうお終い?あっけないのね。

ベリー・ポメロイ城
でも……気持ちいいわ。
好き勝手いじめても誰にも咎められないなんて。
……戦場というのは素敵な場所ね、本当に。

やくも
…………。

やくも
恐ろしいだに……。

千狐
ええ……さっきから千狐の内なる本能が、
逃げろと訴えかけているの……。

黒川城
ひとまず、これで目前の軍勢は全て片付きましたね。
ということは……。

ケルフィリー城
……ええ。
敵の本陣がお出ましになる、ということですわね。

リチャード1世
ヨモヤ、このような形で再会ヲ果たすトハナ……日の本の王ヨ。

陽だまり懐う影ぼうし -結-

兜の軍勢を引き連れて姿を現した巨大兜リチャード。
ベリー・ポメロイ城が先陣を切り、イギリスに迫る
危機を払うための、最後の戦いが幕を開ける……。

前半
リチャード1世

ヨモヤ、このような形で再会ヲ果たすトハナ……日の本の王ヨ。

柳川城
やはり、軍勢の背後には巨大兜が居ましたか……。

千狐
獅子心王・リチャード1世の名を冠する巨大兜……。

殿
…………。

リチャード1世
コレホド早く、お前との再戦ガ叶うとは思ってもイナカッタ。

柳川城
先日の……、
シュテファンの名を冠する巨大兜からの救援に応じた、ということですか……。

リチャード1世
救援? ソレは違う。この戦いにオケル目的はただ一つ、
お前たちを打ち滅ボスことダ。

リチャード1世
本来でアレバ、勝利を挙げるタメに、
充分なチカラヲ蓄えるハズであったが……思わぬ好機が訪れた。

リチャード1世
主ヲ失ッタ兜の軍勢に、オ前の居所トイウ情報。
この双方を手にしたとアッテハ、休んではいられマイ。

リチャード1世
欲を言エバ、私がこの場に立つノニ相応シイ筋書きが欲しかった。
その点にオイテは、シュテファンの奴に、
言ってやりたいことが無いデモナイが……マァ、良い。

リチャード1世
文句を言ッテモ始マルまい。
役不足を嘆くヨリハ、役目に殉じる方が美シイ。ナラバ――

――ピシィッ!

リチャード1世
ムっ……?

ベリー・ポメロイ城
さっきから訳の分からないことをごちゃごちゃと……。

ベリー・ポメロイ城
筋書きだとか、役目だとか……要するに、
わたしの御城があなたの因縁を果たすための舞台になってるのも、
筋書きの一部ってこと?

リチャード1世
お前は……コノ御城の城娘か……?

ベリー・ポメロイ城
あと、美しさがなんだと言っていた気がするけど。
それを語るくらいなら、所詮は敵同士……。
黙って殺し合うのが一番美しいのではなくて?

ケルフィリー城
ポメロイさん……相手は巨大兜です。
挑発するような真似は――

リチャード1世
ふ、フフ……確かに。
ソコノ城娘の言う通りダ。

リチャード1世
今の私は代役に過ぎナイ。
この御城を滅ボス謂れも、意義モ……私にはナイ。

リチャード1世
ただ私にアルのは……、
好敵手との戦イに踊ル、この心! ただソレだけだ!

千狐
コンッ!
巨大兜の霊力が増大しています!

リチャード1世
サァ……準備は良イナ? 日の本の王よ!

殿
…………!

ベリー・ポメロイ城
来なさい……。
ちゃんと苦しめてから、逝かせてあげる……。

後半
ベリー・ポメロイ城

はああぁぁぁぁぁっ!!

リチャード1世
ぐううぅオオオおっ!?

やくも
巨大兜が体勢を崩しただにっ!

リチャード1世
フフフ……流石ダナ。王よ……。

リチャード1世
なぜダロウナ、お前と戦ッテイルト……、
胸の奥底を揺さぶられるヨウナ心地になるのだ。

殿
…………。

リチャード1世
ソシテその度、
自分の内に隠レテイタ、新たな記憶を呼び起こサレル。

リチャード1世
ここは敗北を認メルガ、私ノ物語はマダ続くぞ。
わかるノダ……記憶ガ戻る度、私の力は増してイル……。

リチャード1世
何度負けてもイイ……最後に一度、
勝利を挙ゲルことができレバ……私はそれで良イのだ。

リチャード1世
ふふ、フフフ……。

リチャード1世
次の機会ヲ楽しみにしてイルゾ、王ヨ。

リチャード1世
……それデハ、さらばだ!


撤退、撤退ィーー!

兜軍団
撤退ッ! 撤退ッ! 撤退ッ!

千狐
…………。

千狐
兜の撤退を確認しました……。

やくも
相変わらず……まともなんだか、まともじゃないんだか、
よーわからんやつだに……。

殿
…………。

柳川城
とにかく……今はこの勝利を喜びましょう。
何事もなく、ポメロイさんの御城を守り抜くことができたのですから。

黒川城
……そうです! やりました!
巨大兜を撃退したんですよ、ポメロイさん!

ベリー・ポメロイ城
言われなくても、わかってるわ。
ちゃんと見てたわよ……。

ベリー・ポメロイ城
ただ、ちょっと疲れたわね。
しばらく……休憩、させ――

殿
…………!?

ケルフィリー城
ポメロイさんっ!?

やくも
ポ、ポメロイが倒れてしまったがや!

黒川城
ポメロイさんっ、しっかりしてください!

ベリー・ポメロイ城
……久しぶりの戦で、
少々張り切り過ぎてしまったかしら……。

黒川城
張り切り過ぎて、って……。
ポメロイさん、全身傷だらけじゃないですか。
どうして、こんな……。

ケルフィリー城
…………。

ケルフィリー城
私や、黒川城さんに負担を掛けさせまいと、
最前線に立ち続けたのですよね。
巨大兜を挑発するような言葉まで、口にした上で……。

ベリー・ポメロイ城
……気づいていたのね。

ケルフィリー城
気づいた頃にはもう、
戦いは佳境に差し掛かっていました……。

ケルフィリー城
戦いが始まる前に気づいていれば……。
盾になるべきなのは、私なのに……!

ベリー・ポメロイ城
別に、今まで肩代わりしてもらっていた分をお返ししただけよ……。

ベリー・ポメロイ城
病み上がりのあなたたちに、
任せきりにするわけにもいかなかったし……。

黒川城
それなら、今度は私がお返しする番です!
付きっきりで看病しますから!

黒川城
とにかく、体を休めましょう……立てますか?
難しいようでしたら、私が背負いますが……。

ベリー・ポメロイ城
……あなたにおぶってもらったら、
両足を引きずることになりそうね……。

ベリー・ポメロイ城
幸い、歩く程度の力は残っているわ……。
支えてもらってどうにか、というところだけど。

ケルフィリー城
私も支えますわ。さ、掴まってください……。

ベリー・ポメロイ城
…………。

ベリー・ポメロイ城
ボロボロね、今のわたし。傷だらけで、埃まみれで……きっと、
凄くみっともないことになっているわ……。

ケルフィリー城
そうですわね……でも、
なんだか嬉しそうな表情を浮かべていますよ、今のポメロイさん。

ベリー・ポメロイ城
そうかしら? ……でも、そうね。
悪くないわ……不思議と、気分は良いの。

ベリー・ポメロイ城
……ねぇ、黒川城さん。
今度、お手紙を送っても良いかしら……。

黒川城
……お手紙、ですか?

ベリー・ポメロイ城
お茶会を開くから……その招待状よ。
新しくできた、わたしの夢……。

ベリー・ポメロイ城
この前のなんか比べ物にならないくらいの、
美味しい紅茶を振る舞って……みんなを笑顔にするの。

ベリー・ポメロイ城
あなたには、絶対来てもらいたいわ。
必ず招待するから……待っていてね。

黒川城
……っ、はい! 楽しみに待ってます!

ベリー・ポメロイ城
……ふふっ。

ベリー・ポメロイ城
なんだか、おかしいわね。わたしの口から『夢』だなんて。

ベリー・ポメロイ城
自分が自分じゃないみたい……。

ケルフィリー城
……でも、不思議と気分は良いのでしょう?

ベリー・ポメロイ城
ええ、晴れやかな気分……。

ベリー・ポメロイ城
もしかしたら、今夜は……悪夢を見なくて済むかもしれないわ。

ケルフィリー城
ええ、そうですわね。
……素敵な夢が見れますよ、きっと。

陽だまり懐う影ぼうし -絶弐-

心を覆う影の中から、始めの一歩を踏み出した
ベリー・ポメロイ城。お茶会の開催に向けて準備を
進めるが、そこにせっかちな招待客が姿を現す……。

前半
――巨大兜との戦から、数週間後。

ベリー・ポメロイ城
…………。

ケルフィリー城
どうしたのですか、ポメロイさん。
先程から難しい顔をして……。

ケルフィリー城
まだお茶会の開催までは、一週間以上もあるのですよ?
今からその調子では、心が持ちませんわ。

ベリー・ポメロイ城
そうかもしれないけど……考えてしまうのよ。

ベリー・ポメロイ城
そもそも、ケルフィリー……。
招待する城娘の数がちょっと多すぎじゃないの?

ケルフィリー城
そうでしょうか?
ええと、日の本からは黒川城さんを……。
それから、紅茶好きで知られる城娘を、五人ほど……でしたか。

ベリー・ポメロイ城
あなたとわたしを入れたら、全部で八人も居るじゃない。
最初は、黒川城さんとあなただけで、
小ぢんまりしたものでも良かったんじゃないの……?

ケルフィリー城
そんな不安にならなくても良いじゃないですか。
こういうのは思い切りが大事なのですわ♪

ケルフィリー城
それに、手紙を送る前には、
ポメロイさんも承諾してくださったじゃないですか。

ベリー・ポメロイ城
あの時は問題ないと思ったのよ。
だけど手紙を送ってから、日を追うごとに不安が募っていって……。

ケルフィリー城
……まぁ、焦ることはありませんわ。
まだ時間はあるのですし、明日からじっくりと準備を進めましょう。

ベリー・ポメロイ城
そうね……このお茶を飲み終えたら、
明日の予定を考え――

???
たーのもー!

ケルフィリー城
あら、この声は……?

ペテルゴフ宮殿
ベリー・ポメロイ城さんの御城はこちらで間違いないかしら?

ケルフィリー城
はい、そうですが……。
貴方は城娘、ですわよね……?

ペテルゴフ宮殿
ハラショー♪ 無事に辿り着けて良かったわー♪

ペテルゴフ宮殿
始めまして、私はペテルゴフ宮殿!
ピョートル大帝の夏の離宮としても知られる、ロシアの城娘よ♪

ベリー・ポメロイ城
……ベリー・ポメロイ城よ。よろしく。

ペテルゴフ宮殿
よろしくね、ポメロイさん♪
今回はご招待いただき、どうもありがとう♪

ケルフィリー城
あら? これはいったい……あらぁ?

ケルフィリー城
ペテルゴフ宮殿さん、と言いましたか?
お茶会の開催日は、今日から一週間ほど後をお伝えしていたはずなのですが……。

ペテルゴフ宮殿
あら……そうだったかしら?

ペテルゴフ宮殿
ごめんなさい、イギリスの美味しい紅茶が飲めると聞いたら、
居ても立ってもいられなくて!

ケルフィリー城
そうだったかしら、って……。

ベリー・ポメロイ城
大した問題はないわ……。
少し御城が賑やかになるくらいでしょう?

ベリー・ポメロイ城
ペテルゴフさん、部屋なら幾らでも余っているから、
好きな所を使ってちょうだい。

ケルフィリー城
……ポ、ポメロイさん、良いのですか?

ベリー・ポメロイ城
良いも悪いも、わたしたちが招待したのよ?
ロシアからはるばる来てもらったのだから、楽しんでいってもらいましょう。

ペテルゴフ宮殿
ありがとう、ポメロイさん♪
お礼と言ってはなんだけど、お土産をもってきているから、
お夕飯の時にでも楽しんでくださいな♪

ベリー・ポメロイ城
ええ。どうもありがとう。

ケルフィリー城
…………。

ケルフィリー城
(こ、これは想定外の展開……)

ケルフィリー城
(見知らぬ城娘と一週間も共に、だなんて。
 ポメロイさんがこの環境に耐えられるのか……)

ケルフィリー城
(不穏な雰囲気を感じたら、私が止めに入らないと……!)

ペテルゴフ宮殿
おおっ! 貴方たちの飲んでいるそれ、紅茶よね?
噂に名高い、イギリスの紅茶!
……はぁ~、なんていい香りなのかしら。

ペテルゴフ宮殿
ポメロイさん、一杯いただいてもいい?

ベリー・ポメロイ城
ええ、構わないわよ。

ペテルゴフ宮殿
スパシーバ♪
それでは早速失礼して……んく、んく……。

ペテルゴフ宮殿
わぁ♪ 思っていた以上の味だわ!
……おかわりしてもいいかしら?

ベリー・ポメロイ城
ふふ、どうぞ。
美味しそうに飲んでくれて、わたしも嬉しいわ。

ペテルゴフ宮殿
美味しいんだから、美味しそうに飲むのは当然よ♪
それじゃもう一杯……ごく、ごく……。

ペテルゴフ宮殿
ぷはぁー、絶品ね♪
こんなに美味しいものをいただけるなんて、
今日持ってきた分のお土産じゃ、お礼には全然足りないじゃない!

ペテルゴフ宮殿
それに周囲に広がる、綺麗な庭園……この風景が、
紅茶の味をより素晴らしいものに変えてくれている気がするわ。

ペテルゴフ宮殿
……そうだっ! 少しの間、
ポメロイさんの庭園を散歩させてもらっていい?

ベリー・ポメロイ城
さ、散歩……?

ペテルゴフ宮殿
ええ! せっかくお友達になれたのだから、
もっと多くのことを知りたいじゃない?

ベリー・ポメロイ城
(お友達……)

ベリー・ポメロイ城
そうね。もうすぐ夕飯だから……、
それまでの間、ってことで如何かしら?

ペテルゴフ宮殿
ええ、構わないわ!

ペテルゴフ宮殿
それじゃ行きましょ、ポメロイさん! しゅっぱーつ!

後半
ペテルゴフ宮殿

すごいわ、この御城……見どころが盛りだくさんじゃない!

ペテルゴフ宮殿
イギリスにこんな素晴らしい御城があったなんて、知らなかったわ!

ペテルゴフ宮殿
お庭が素敵なのはもちろん、建物の方も見逃せないわね!

ベリー・ポメロイ城
ふふ、お褒めに預かり光栄だわ。

ペテルゴフ宮殿
噴水がないのはちょっぴり残念だけど……、
私の御城とは、また違った魅力があるわ。

ペテルゴフ宮殿
歴史を感じさせる雰囲気がいいわね。
なんというか……そう♪ 今にも幽霊が出そうな感じで!

ケルフィリー城
…………!

ベリー・ポメロイ城
幽霊が……?

ペテルゴフ宮殿
ええ……厳かで、
風格を漂わせていて……格式の高さが感じられるわ。

ケルフィリー城
(三つとも同じ意味ではありませんか、それ……?)

ペテルゴフ宮殿
まぁ、要するに!
すっごく素敵な御城ってこと!

ベリー・ポメロイ城
…………。

ベリー・ポメロイ城
……ふふ。

ケルフィリー城
……ポメロイさん? 大丈夫ですか……?

ベリー・ポメロイ城
ふふ、そう……幽霊がね。
……ふふ、あははっ!

ベリー・ポメロイ城
確かにそうね……。
どこから幽霊が飛び出してもおかしくないわ……あははっ!

ペテルゴフ宮殿
あれ……そんなにおかしなこと言ったかしら、私……?

ペテルゴフ宮殿
――ん? あっちの建物も気になるわね。
ポメロイさん、ちょっと見てきてもいいかしら?

ケルフィリー城
あっ……ペテルゴフ宮殿さーん!
もう日も暮れてますし、続きは明日にしませんかー?

ペテルゴフ宮殿
あとちょっとだけー!
あれを見たらすぐに戻るからー!

ケルフィリー城
……行ってしまいましたわ。

ベリー・ポメロイ城
元気な子ね……旅の疲れなんて、
まったく感じられないわ。

ケルフィリー城
元気どころじゃありませんわ。
もはや暴走と言う方が正しいです。これがあと一週間続くなんて……。

ケルフィリー城
でも……意外でしたわ。ポメロイさん、
不安げな素振りなどを見せずに、平然とあの子の応対をしていて……。

ベリー・ポメロイ城
そうかしら? これでも結構ドキドキしているのよ?
まぁ、あの子の朗らかさに助けられてる部分も大きいと思うけど……。

ベリー・ポメロイ城
……それより、聞いた?
あの子、わたしの御城のことを……ふふ、『今にも幽霊が出そう』ですって!

ケルフィリー城
はい、聞いていましたわ。

ベリー・ポメロイ城
褒め言葉でそんな風に言われるなんて、
わたし……思いもしなかったわ。

ベリー・ポメロイ城
それに、あの子……。
わたしのことを、友達だって。

ケルフィリー城
…………。

ベリー・ポメロイ城
これからきっと、こんな風に……、
好きなものや、大切なものが増えていくのよね。

ケルフィリー城
……怖い、ですか?

ベリー・ポメロイ城
……そうね、やっぱり怖いわ。

ベリー・ポメロイ城
もし、この幸せが消え失せてしまったら……。
そんな想像が浮かんできて、目の前が真っ暗になる時があるの。

ケルフィリー城
…………。

ベリー・ポメロイ城
でも、だからといって……。
自分から手を離すのは、あまりにもったいないわよね。
むしろ失くしてしまわないように、しっかり掴んでいないと。

ベリー・ポメロイ城
……あなたもそうだったでしょう? ケルフィリー?

ケルフィリー城
……え、私ですか?

ベリー・ポメロイ城
わたしに何度拒絶されても、
兜に攻められて深手を負っても……あなたは諦めなかったじゃない。

ケルフィリー城
…………。

ベリー・ポメロイ城
あなたを拒絶し続けたのは……わたしが弱かったせいだわ。

ベリー・ポメロイ城
わたしは……自分に怒りを覚えていたのよ。
ケルフィリーは自分の信念を貫こうと戦っているのに、
いつまでそこでうずくまっているつもりだ、って……。

ベリー・ポメロイ城
だからわたしは、
自分の弱さから目を逸らしたくて……あなたを拒絶した。

ケルフィリー城
……でも、今は私のことを受け入れてくれていますわ。

ケルフィリー城
あの時苦しんだから、今があると思えば……、
ポメロイさんを責めることなんて、私にはできません。

ベリー・ポメロイ城
あなたがそう思ってくれていることには、すごく救われているわ。
……けど、これだけは言わせて。

ベリー・ポメロイ城
ごめんなさい……ケルフィリー。

ベリー・ポメロイ城
あんな酷いことを言ってしまって、辛い目にあわせてしまって、
……本当に、ごめんなさい。

ベリー・ポメロイ城
わたしは危うく……大切な友達を失ってしまうところだった。
……そうならなくて良かったと今、心の底から思っているわ。

ベリー・ポメロイ城
だって、あなたを失ったらわたし……、
あなたに謝ることが二度とできなくなっていたんだもの。

ベリー・ポメロイ城
だから、何度でも言うわ……本当に、ごめんなさい。

ケルフィリー城
…………。

ケルフィリー城
……足りませんわね。

ベリー・ポメロイ城
……え?

ケルフィリー城
……『ごめんなさい』だけでは足りない、と言っているのですわ。

ケルフィリー城
迷惑なら、幾らでも掛けてください。
困ったことがあれば、頼ってくれれば良いのです。

ケルフィリー城
その度に、私は……貴方の許に駆けつけてみせますわ。

ケルフィリー城
そして、全てが終わったらその時に一言、
あなたはこう言ってくれれば良いのです。

ケルフィリー城
……ありがとう、と。

ケルフィリー城
私にとっては、それで充分ですわ。

ベリー・ポメロイ城
…………。

ベリー・ポメロイ城
……また一つ、夢が増えてしまったわね。

ケルフィリー城
夢、ですか? それはどのような?

ベリー・ポメロイ城
ふふ、それはね――

ベリー・ポメロイ城
――いえ、そうね……今は秘密にしておきましょう。

ケルフィリー城
え……?

ベリー・ポメロイ城
……秘密よ。
口にしたら叶わなくなってしまうような気がするから。

ケルフィリー城
ちょ、ずるいですわ!?
この前は、黒川城さんには頬を染めながら夢の話をしていたのに!

ベリー・ポメロイ城
こっちの夢は別なの! だいたい、頬を染めてなんていなかったわ!

ケルフィリー城
いーえ、染まりきって真っ赤っかでしたわ!
どうせ今思いついた夢も、黒川城さんだけに打ち明けるのでしょう!?
おそらく、黒川城さんの耳元でそっと……囁くように打ち明けるのですわ!

ベリー・ポメロイ城
そんなことしないわよ!
この夢は、叶うまで私だけの秘密にしておくの!

ベリー・ポメロイ城
……というか、そんなにごねなくても、
叶ったらケルフィリーには真っ先に伝えるわよ……。

ベリー・ポメロイ城
……叶う時にはあなたも傍に居るだろうし。

ケルフィリー城
え、なんですか?
声が小さくて聞き取れませんでしたが――

ペテルゴフ宮殿
ねぇねぇ、ポメロイさーん!
そろそろ晩ごはんにしましょうよー?

ベリー・ポメロイ城
あら、もう散歩は満足したの?

ペテルゴフ宮殿
真っ暗で何にも見えなくなってしまったから、
続きは明日にするわ! お腹ももうペコペコだし!

ベリー・ポメロイ城
そうね、わたしもお腹が空いてしまったわ。……ほらケルフィリー、行くわよ。

ケルフィリー城
待って! いま私、
すごく大事な言葉を聞き逃してしまったような気がしますわ!

ケルフィリー城
こら、待ちなさい! まだ話は終わってないですわー!

――――

――いつか。

いつか、あなたに……『ありがとう』と言ってもらえるような城娘になること。

この夢を叶えるためにわたしは、何をすれば良いだろう……。

ケルフィリー城の糾弾をいなしつつ、
ベリー・ポメロイ城は……胸の内でこっそりと思案するのだった。



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