ストーリーテキスト/討伐武将大兜！黒田長政

討伐武将大兜！黒田長政[]

討伐武将大兜!黒田長政-前-

不穏を察知した若松城に連れられた先には、
町を破壊しようとする兜の軍勢があった。
敵の首魁を討伐し、兜共の狼藉を阻止せよ！

前半
――卯の刻、所領。 やくも むにゃむにゃ……。 にゅふふ、もう食えんだにぃ……♪ 若松城 ――おい、なあ頼む！　はやく起きてくれよぉっ！！ やくも ……んんぅ。まだ眠いがやぁ……。 若松城 そんなこと言ってる場合かよ！ ……ったく、こうなったら――。 やくも ……んにゃ？ 若松城 早くしないと、大変なことになっちまうんだって……、 若松城 言ってるんだよーっ！！ やくも ――ふぎゃぁあっ！？ やくも いたたた……。 やくも だ、誰や！？　 うちの上に乗っかって暴れちょーのは？ 千狐 どうしたの、やくも？ こんな朝早くから何を騒いで―― 千狐 ……って、あら？　若松城さん！ どうしたのですか、やくもに馬乗りになったりして？ 若松城 やくも……？ 若松城 おいおい、何だよ！ ここ、殿さんの部屋じゃなかったのかー！ 若松城 すまねえ、私としたことが、 焦りすぎて部屋を間違えちまったみたいだぜ……。 殿 ……。 千狐 あ、噂をすれば……！ 千狐 殿、おはようございます。 殿 ……。 若松城 ああーーーっ！ 殿さん、探してたんだよー！ 若松城 なあ、お願いだ！ 力を貸してくれよぉ！ 千狐 お、落ち着いてください、若松城さん。 千狐 まずは何があったのか説明していただけないと、 殿も困ってしまいますわ。 若松城 そ、そうだな……。 若松城 実は兜の軍勢が、 こっから北の方角にある城下町へ向かって行くのを見たんだ。 やくも 兜さんの軍勢が……！　それは本当がや！？ 若松城 ああ……、あれだけの数の兜を見間違えるわけがねえ！ 若松城 このままじゃ大変なことになるのは間違いない……。 若松城 ……かと言って、あの数を私ひとりで倒すなんて無理に決まってる。 若松城 だから……頼む、殿さん。 奴等の侵攻を食い止めるのを手伝ってくれよ！ 殿 ……。 殿 …………！ 若松城 ありがとう、殿さん！ 若松城 それじゃあ、急いで準備を開始しようぜ！ かくして、 巨大兜討伐の遠征が決したのだった。 ――同日。 午ノ刻、筑前国某森。 千狐 ……ふぅ。 さすがに朝から歩きづめだと足に来ますわね、殿。 千狐 若松城さん、 少しだけ休憩してもよろしいでしょうか？ 若松城 仕方ないなぁ。 ちょっとだけだぞ？　急いでるんだからな。 やくも うぅ……いつになく早起きしたけん、眠いにぃ。 千狐 だからって、遠征先に枕を持ってくるのは さすがにどうかと思うのだけど……。 やくも ――甘いだに！ やくも 寝られる時に寝て、食べられる時に食べる！ これは戦の……いや、人生の基本だに！ やくも とゆーわけで、うちはこの枕でひと眠りするけん、 出発する時になったら起こしてほしいだに♪ 千狐 もう……勝手なんだから。 やくも ……ぐぅ。 若松城 ――はやっ！？ もう寝たのかよ！？　二秒と経ってないぞ！ 殿 …………。 殿 …………っ！？ やくも ――ひゃぅっ！？ やくも な、何事だに！？　遠くから馬鹿でかい音がしたがや！ 若松城 あれは……。 若松城 大砲の音だ！ 千狐 なんですって！？ 若松城 ……急がねーと！ 兜たちに城下町が破壊されちまう！ 千狐 あ、ちょっと……待ってください！ 千狐 殿、若松城さんを追いかけましょう！ 若松城を追いかけ、森を抜けると、 そこには数え切れない程の兜の姿が在った。 黒田長政 もっと……もっとジャ！！ 新たに手に入れた大砲の威力……もっとワシに示さんかああああッッ！！ 兜 砲撃準備……完了……ッ！ 砲撃式トッパイ形兜 ヨオオォイ…………撃テェエ――ッ！！！ 若松城 ……そんな。 兜が、次々に大砲を撃ち込んでやがる……。 やくも ひどいがや……。 城郭も壊され始めてるだに！ 千狐 不味いですね……。 すでに町が取り囲まれているようですわ。 若松城 ちくしょう……好き勝手に暴れやがって！ 兜 ――ムッ……曲者ッ！？ 兜軍団 者共、出合エ、出合エェーイッ！ やくも わわっ！　み、見つかってしまっただにぃ！ 黒田長政 何ジャ、キサマら……。 ……ワシの邪魔を、スル気か？ 若松城 あったりまえだ！　 町が襲われてるってのに黙って見てられるかよ！ 若松城 な、殿さん？ 殿 …………。 黒田長政 コノ……慮外者共がぁぁぁあああッ！ 全員まとめて粉砕シテくれるぅぅぅぅううううッ！ やくも ひぃぃっ！　物凄い勢いでこっちに向かってきただに！ 千狐 殿、敵の砲撃と巨大兜の機動力に注意してください！ 一瞬の油断が、命取りですわ！
後半
黒田長政 グ……グぉああああああああッッッ！！！ 千狐 巨大兜が膝をつきましたわ……！？ 若松城 殿さん、遠慮することはねえ！　 このまま一気にカタをつけてやろうぜ！ 殿 ……。 やくも ……え？　下がれ？ やくも うちらが圧倒しちょるのに、 どうして下がらないといけないがや？ 砲撃式トッパイ形兜 ヨオオォイ…………。 やくも ……へ？ 砲撃式トッパイ形兜 撃テェエ――ッ！！！ 若松城 また砲撃、だと……！？ やくも ……あ、危ないところだっただに。 やくも あのまま前に出てたら御陀仏だったがや……。 やくも 殿さん、引き止めてくれてだんだんね！ 千狐 どうやら、後詰がいたようですね！ 千狐 それにしても、いきなり砲撃してくるなんて……。 若松城 けほっ、けほっ……！　 す、砂埃で巨大兜の姿が見えねーぞ！ 千狐 まさか、この隙に逃げるつもりでは……。 黒田長政 ハァッ、ハァ…………ッ、 ……逃げる？　このワシが……逃げるじゃと？ 黒田長政 ワシを愚弄しよって……。 黒田長政 許サン……許サンぞぉぉぉぉぉぉおおおおッッ！！！ やくも ひぇっ……さっきまでふらふらだったのに、 どっからあんな元気が出てくるんや……！？ 若松城 ……つーか、何やってんだあいつ？ 両手を頭上に掲げたりなんかして。 千狐 ……！？ やくも 千狐、どうしたがや？ 千狐 膨大な禍々しき気の奔流が、 あの巨大兜の身に……そんな、有り得ないわ……っ！？ 千狐 殿、まだ戦いは終わっていないようですわ！ 警戒を解かないでください！ 黒田長政 ぐぉぉぉおおおおおっ！ 黒田長政 キサマら……絶対に生きて返さんぞぉぉぉぉおおおおおッ！！！

討伐武将大兜!黒田長政-後-

殿たちに追い詰められた巨大兜は、
真の力を解放して再び挑み掛かってきた。
巨大兜を討伐し、此の地から兜を退けよ！

前半
黒田長政 ぐぉぉぉおおおおおっ！ キサマら……絶対に生きて返さんぞぉぉぉぉおおおおおッ！！！ 若松城 おわっ！？　 巨大兜が掲げた両手が灯台みたいに光り始めたぞ！ やくも それに、さっきよりも 凄みが増したような気がするだに……！ 千狐 そんな……先刻まで虫の息だったはずなのに、 さらに力を増して蘇るなんて……っ！ 黒田長政 者共、集ええええぇぇぇぇいッッッ！！！ 兜 ――ザザッ！！ 兜軍団 ザザッ、ザザザッ！！ やくも ああっ！？ さっきよりも強そーな兜さんがえっぱい集まってきただにっ！ 黒田長政 我ラを愚弄せし不届き者めぇ……。 黒田長政 その罪業ッ……、 キサマら自身の血で償わせてくれるわぁぁぁああああッ！！ 若松城 ――は、速いっ！ 何だよ、あの動きは！？ 千狐 殿、巨大兜の攻撃速度が増したようですわ！ 兜による砲撃ともども、先の戦い以上に注意をしてください！
後半
黒田長政 ――グ……おおおぉぉぉっっっ！！ バカ、な……ワシが、この……ワシがあああぁぁぁっ！！！ 若松城 いい加減に負けを認めろっての！ 黒田長政 お……おのれ……この、不届き者めェ……っ！ 許さん……許さんぞぉぉぉぉおおおっ！！！ 黒田長政 ――っ！？ グぅぅぅああああっ！？ か、躯が……う、ぅぐぉぉぉおおおおっ！！！ やくも 巨大兜が、苦しみ始めているだに！ 千狐 おそらく、限界以上の力を引き出してしまった代償だわ……。 兜 ……上申……上申ッ！ 兜軍団 ……退却……退却ゥッ！ 黒田長政 し、仕方……あるまいぃぃぃいいッ！ 黒田長政 ……撤退じゃああああああっっ！！ 退けえッ、ひけぇぇぇぇぇええいぃッッッ！！ やくも 兜さんらが、みんな退いていくだに！ 千狐 ……よかった。 何とか、勝てたようですね……。 若松城 やったやった～！　勝ったぜー！ 若松城 ありがとう殿さん！ あとで何かお礼させてくれよなっ♪ 殿 …………。 千狐 一件落着ですね、殿。 これでこの地の人々も枕を高くして眠れますわ。 やくも ……ん？　枕……？ やくも ――あああぁぁぁっ！？ 若松城 ちょ……どうしたんだよ？ 急に大声出したりして。 やくも うちの枕が……。 さっきの砲撃でぼろぼろになっちょーがやぁ！？ 若松城 あちゃー、こりゃー私の手でも直せないなー。 やくも うう……お気に入りの枕だったのにぃ……。 若松城 ……ごめんな。 私が朝早く起こしちゃったから。 千狐 仕方ないですわ。火急の事態だったのですから。 若松城 んー……。 若松城 んぁっ！？ そうだ、お詫びに私の膝を貸してやろうか？ やくも ……膝？ 若松城 ああ、膝枕ってやつだな♪ やくも む……。 やくも ……気持ちは嬉しーけど、 若松城に膝枕してもらうのは、ちょっと恥ずかしいがや。 若松城 ど、どういうことだよ！？ やくも いろいろと役不足だに……。 若松城 むぅー！　私の何が足りないっていうんだよ！ やくも ……母性とか！ 若松城 ――なっ！？ 若松城 んなもん、この歳で持ち合わせてるわけねーだろ！ やくも 冗談だに、何となく言ってみただけだがや。 やくも ただ、若松城の気持ちだけは受け取っておくだに！ だんだんね♪ 若松城 くそぉ……何か釈然としねーぜ。 若松城 あ、そーだ！ 若松城 なー殿さん、 殿さんへのお礼は私の膝枕でいいか？ 殿 …………！ 千狐 ちょ、ちょっと、若松城さん！ ダメですよ、ひ……膝枕だなんて。 若松城 なんでだよ？　別にいいだろ？ 私がどんなお礼をしようと勝手じゃんか。 千狐 と……殿は膝枕とか、 そういうのは好きじゃないんです！ 千狐 ……ですよね、殿？ 殿 …………。 若松城 …………（じ～） 殿 …………。 殿 …………！ やくも それでもかまわない、か……。 やくも さっすが殿さん！ お礼に金銭を求めたりしないところが男前だに！ 千狐 （そ、そんな……） 千狐 （……殿ぉ） 若松城 えへへ、それじゃあ所領に戻ったらしてやるからな、殿さん♪ 千狐 ――の……。 若松城 ……ん？ 千狐 千狐の膝枕のほうがすっごいのーっ！！ 若松城 ――な、なにぃ！？ 若松城 いやいや、私の太ももの方が気持ちいいに決まってる！ 千狐 千狐の方が気持ちいいに決まってるのー！ 千狐 殿！ 殿は千狐と若松城さん、どっちに膝枕されたいのですか！？ 若松城 そんなの私に決まってるよな、殿さん？ 千狐 千狐に決まってますよね？ 若松城 ……むぅ。 千狐 ……むむむぅ、なの！ 殿 ……。 殿 …………。 やくも あ、殿さんだけ帰っちゃっただに……。 千狐 と、殿ぉ……。 千狐の膝枕が、そんなにいやなのですか……？ やくも 二人が喧嘩するからだに……。 若松城 ……まったく。 殿さんが膝枕を嫌いになっちゃったらどうしてくれるんだよ？ 千狐 うぅぅ……ごめんなさいなのぉ……。 若松城 ま、膝枕以外にもお礼の方法はいくらでもあるか。 若松城 よーし、そうとなれば、 殿さんがびっくりするようなすっごいお礼の仕方を考えてやるぜ！ 若松城 というわけで、今度は一緒に考えような、千狐？ 若松城 それなら所領に戻る前に何か一つくらいは思い浮かぶだろう！ 千狐 若松城さん……。 千狐 はい！　千狐も殿の為に知恵を絞りますわ！ やくも そういうことなら、うちも無い知恵を絞りまくるだがや。 三人寄れば文殊の知恵だに！ こうして、和気あいあいとした雰囲気の中、一行は帰路に就くのだった。

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