ストーリーテキスト/討伐武将大兜！福島正則

討伐武将大兜！福島正則[]

討伐武将大兜!福島正則-前-

不穏な気配を感じて駆けつけた先で、
殿たちは兜軍団の行軍を目の当たりにする。
大軍を率いる武将大兜を直ちに討伐せよ！

前半
――巳の刻、某林道。 千狐 ……よいしょっと。 これだけ集められれば充分ね！ 千狐 ワラビでしょ……ゼンマイでしょ……うんっ！ これなら殿に山菜おこわを作ってあげられるわ。 美味しく作って、殿にいっぱい褒めてもらうのーっ！ やくも お～い、千狐ぉ！ やけにご機嫌やね？ 山菜採りはもう終わったがや？ 千狐 や、やくもっ！？ もしかして……見てた？ やくも んー？ 見てたって、何をだに？ やくも まぁ、そんなことより、 うちもえっぱい山菜集めたけん、 千狐も見るだに！ 千狐 わぁ、本当にたくさん集めたわね！ 千狐 って、これ……。 千狐 全部バイケイソウじゃない！ やくも え！？ ギョウジャニンニクじゃないがや？ 千狐 似てるけど、これは毒草よ！ 殿が食べたら最悪、死んでしまうわよ！ 殿 ――っ！？ やくも うぅぅ、ごめんなさいだにぃ……。 殿さんを毒殺しようなんてこれっぽっちも 考えてないけん、許してほしいがやぁ……。 千狐 殿、やくもも悪気があったわけではないので どうか許してあげてください。 殿 …………。 千狐 ……と、殿？ どうしたのですか、あちらをじっと見つめて……。 やくも 何や、向こうの方がずいぶん騒がしいね……。 千狐 ――っ！ これは、兜の気……！？ それも尋常な数じゃないですわ！ 千狐 殿、急ぎ向かいましょう！ このまま放っておくには危険すぎますわ！ 殿たちは草木の茂る道を駆け抜け、 開けた場所へと辿り着くと、 そこには兜の大軍が行進する異様な光景が広がっていた。 兜軍団 ――ザッ、ザッ、ザッ、ザッ！ やくも こ、これは何や……。 兜さん達、あんな綺麗に並び歩いて、 まるで大名行列だに……。 千狐 兜の大名行列……ね。 意外と的を射ているかもしれないわ。 あそこを見て、やくも……！ ――『それ』は、逸出の激情だった。 諫めるもの無き荒涼たる地平に 鈍に輝く重装の異形が、奇怪なきしみと共に歩を進めている。 ……そして、その狂気をはらんだ青き眼光が、ゆっくりと殿へと向いた。 福島正則 敵ヲ見ツケタゾ！　行ケぇッ、活ケぇッ、逝ケェェエ――ッ！ オラぁッ！！　何ヲモタツイテルッ！　誰ヨリモ先ンジロッ！　 遅セぇ事ナラ馬鹿デモ出来ルぁッ！　一番槍ヲ取ルンダぁッ！ 福島正則 オイ其処ぉッ！　石田ニ与スル輩ヲ滅スル迄ハ退クンジャネぇッ！ 迷ウナッ、臆スナッ、恐レルナぁアアッ！　 オマエラノ背ニハ、コノ福島正則様ガイルダロウガぁッ！ 福島正則 然ラバ、安ンジテ砕ケロッ！　 然ラバ、健ヤカニ爆ゼロッ！　 サぁ、目ノ前ノ餓鬼ドモヲ、盛大ニ喰ライニ征クゾォォォオオオ――ッ！！ やくも きょ、巨大兜がやっ！？ ど、どうしよう殿さん……もうとっくにうちらに 気づいてるみたいやけん、逃げられそうにないだにぃ……。 千狐 もとより逃げるつもりは毛頭ないわっ！ あの巨大兜を放っておくなんてできないもの……。 殿、ここで全ての兜を討伐しましょう！
後半
やくも 殿さん、やっただにぃー！ 兜さん達みーんな打ち倒したけん、 うちらの勝ちやね！ 千狐 殿、まだ気を抜かないようにしてください！ 巨大兜はまだ意識があるようですわ！ 福島正則 ガぁッ……アぁッ……グルァアアアアッ！！ 未ダ……負ケチャイネぇ……勝負ハ、コレカラダロウガぁ……。 クソッ……俺様ヲ……見下シテンジゃ……ネぇゾ……。 やくも 虚勢はってるだけやけん、 弱ってるうちにトドメをさすだに！ 殿さん、一緒に行くがやー！ 千狐 そうですね、今が千載一遇の好機ですわ！ 殿、このまま追撃し、 完全に巨大兜を討ち果たしましょう！

討伐武将大兜!福島正則-後-

巨大兜は未だ全力を出していなかった。
真の力を解放した巨大兜とその軍団を、
今こそ全身全霊の武で討ち果たせ！

前半
やくも 殿さん！ 巨大兜さんはもう虫の息やけん、 このまま一気に倒しちゃうだにぃー！ 福島正則 ……俺ヲ倒ス……ダトぉ……？ 福島正則 オイ……今、倒スっテ……言ッタノカぁ？ ナぁ……確カニ言っタヨナぁ……？ 福島正則 ……舐メタ事……、 言ッテンジャネエゾぉぉぉオオオ――ッ！！ やくも ひぃぃっ！？　な、何や？　 急に自分の武器を掲げだしたがや！？ いったい、何をするつもりだに……？ 千狐 うそ……そんな……。 どんどんヤツの力が増大してる……っ！？ 千狐 巨大兜の武具に、 恐ろしい程の気が集まっているわ！ 福島正則 イイゼぇ……見セテヤルヨぉ……。 賤ヶ岳七本槍ガ筆頭ノ底力……、 シカトソノ眼ニ焼キ付ケロヤぁぁアアアッ――！！ やくも し、信じられんだに……。 あの巨大兜さん、さっきまで立つのも やっとだったのに、急に元気になったがや……。 千狐 あのような力を隠し持っていたなんて……。 不用心に攻め入っていたら やられていたかもしれないわ……。 福島正則 オラぁッ！！ ボサっトシテネぇデ、 オ前ぇラモサっサト集マリヤガレッ！ 兜軍団 ――ザザッ！　ザザザッ！！　 千狐 配下の兜たちも力を取り戻してしまったようね……。 ……どの兜も、先刻以上に覇気に満ちているわ……。 やくも おまけに兜さんたち、 また列をつくって律儀に行進してるがや……。 いい加減にしてほしいだにぃ！！ 福島正則 ……泣キ言ハ、アノ世デ並ベ立テナ餓鬼ドモ！ 福島正則 オラオラぁッ、サっサト進軍再開シロっテンダ！ 一瞬デモ振リ返っタ奴ぁ殺ス！　怯ンダ奴モ殺ス！ 目ノ前ノ敵ダケヲ見ロ！　全軍、突貫開始ダぁぁぁアアア――ッ！！ やくも あっちも本気やけん、ここが踏ん張りどころやね……。 殿さん、ここで勝負を決めるだに！
後半
やくも な、なんとか……勝てたみたいやね……。 本当にもうダメかと思っただにぃ……。 千狐 でも、あれだけの数の兜を退けるとは、 さすがは殿ですわ！ 福島正則 ……クッソぉ……有リ得ネぇ…… 俺ガ負ケルナンテ……絶対ニ有リ得ネぇ……。 やくも と、殿さん！？ まだ巨大兜さん、意識があるみたいや！ 福島正則 ……撤退ナンゾ死ンデモ嫌ダガ……、 死ンジマッテ何モ出来ネぇヨリハマシダゼ……。 オラぁぁアアアッ――！！ 千狐 ――きゃあっ！？ そ、そんな……地面を攻撃して、 大地を揺り動かすなんて……っ！？ やくも で、デタラメだにぃ！？ これじゃ、まともに動けないがやぁ……。 福島正則 ……アバヨ、餓鬼ドモ……。 今度会ウ時ガ、オメエラノ最後ダ！ 首洗ッテ待ッテヤガレ！！ やくも に、逃げるなんて潔くないだにぃー！ 殿さん、何とかして追いかけるがや！ 千狐 やくも、ダメよ！ まだ何か力を隠し持ってるかも知れないわ。 無用な追撃は危険よ。 やくも そんなこと言ったって……うぅ。 悔しいだにぃ……。 千狐 何を泣いてるのよ、やくも。 今は巨大兜を退けただけでも良しとするべきじゃない！ 千狐 巨大兜を完全に倒す方法は、 いずれ必ず見つけてみせるわ！ だから元気をだして、やくも。 やくも 千狐ぉ……。 やくも 分かっただに！ うちも出来ることは何でもするけん、 殿さんと千狐と一緒に頑張るがやー！ 千狐 それでは、今日のところは このまま所領へと帰還することにしましょう、殿。 やくも はぁ～、何や安心したら急にお腹がすいたがやぁ……。 千狐ぉ、所領に帰ったら、すぐにご飯にするだに！ 千狐 そうね、やくも。 殿、今日の夕餉は期待していてくださいね？ 実は先ほど千狐が採った山菜が……って、あれ？　あれ？ やくも どうしたがや、千狐？ 千狐 無いの……。 やくも はぇ……？ 何が無いんや？ 千狐 さっき採った千狐の山菜がないのーっ！ やくも そういえば、ここに来る前に 採った山菜はぜーんぶ置いてきちゃっただに……。 千狐 もぉ～っ！　 なんで早く言ってくれないのぉー！ すぐに取りに戻るのーっ！ やくも わ、わかったから そんなに引っ張らないでほしいがやー！ 殿 ……。 千狐 と、殿……その、すみません。 先程の道へと戻ることになりますが、 一緒に来ていただけますか……？ 殿 ……。 千狐 ありがとうございます！ 戦いで疲れている殿の為に、今日は絶対に 美味しい山菜おこわを作ってみせますからね！

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