ストーリーテキスト/討伐武将大兜!毛利元就

ページ名:ストーリーテキスト/討伐武将大兜!毛利元就

討伐武将大兜!毛利元就[]

討伐武将大兜!毛利元就-前-

神聖なる島を訪れた殿達を待っていたのは、
武将大兜とその配下の兜軍団であった。
海洋型兜と共に襲い来る巨大兜を討伐せよ!

前半
――午ノ刻、所領。

やくも
いや~、外で食べるご飯は
やっぱええもんやねぇ。

千狐
ええ、そうね。

千狐
――って、やくも!?
そのおにぎり、ちょっとでかすぎじゃない?

やくも
ふ……ようやく気づいたみたいやね。

やくも
ゆうにお茶碗五杯分はあるだに!

やくも
一個で足りるように大きめに作ったらこうなったがや!

千狐
五杯分って、あなたね……。

殿
…………。

千狐
ですが、やくもの言う通り、
こうして外で食す昼餉というのは、
普段とは異なる趣を有しますね、殿?

千狐
若草のじゅうたんに腰を下ろし、
自然の美しさを眼で楽しむことで、
食の美味しさは何倍にも――、

やくも
――いただきますだにぃっ!
あーーーん……♪

千狐
もう、やくもったら!
殿の前であんなに大きな口を開けて……。

千狐
(せっかくこうして殿の御側にいるというのに、
 雰囲気が台無しですわ……)

千狐
…………ん?

千狐
――――あああああっ!!

やくも
どわわっ!?

やくも
な、何や千狐!?
急に大声なんかあげて、はしたないだにぃ……。

やくも
……って、あーーーーーっ!!

やくも
うちの特製おにぎりさんが地面にべちゃってなってるだにぃぃっ!?

千狐
ご、ごめんなさい、やくも……。

千狐
東の方で禍々しい気の発生を感じたものだから、
つい大きな声が出てしまって……。

やくも
禍々しい気……?

やくも
ひょっとして兜さんがや!?

千狐
ええ、おそらく間違いないと思う。

千狐
清浄な地が、邪なる存在によって侵されていってる……。
きっと神聖な場所に兜が入り込んだんだわ。

やくも
兜さんめ……許せんだにぃっ!

千狐
(珍しい……やくもが兜の悪行にあそこまで憤るなんて……!)

千狐
(ついに神娘としての自覚が芽生えたようね!)

やくも
(うちの特製おにぎりさんの恨み、必ずや晴らしてみせるだに!)

千狐
それでは殿、すぐに出陣しましょう。

やくも
殿さん、うちはもう準備できちょーけん、
いつでも行けるだに!

殿
…………。

殿の力強い首肯を以て、
今ここに巨大兜征伐の遠征が決したのであった。

――未の刻、安芸国、某島。

やくも
こらーっ!
兜さん、どこにいるがやーっ!
今すぐに出てくるだにぃ!

千狐
やくも、あまり先行してはダメよ。
焦る気持ちは分かるけど、自重して。

やくも
うぅ……でも、けっこうな時間、
ここらを探し回ってるのに、おかしいだに……。

やくも
もしかして、この島に宿る聖なる気に耐えきれずに、
みーんな逃げ出したがや?

千狐
いえ……不穏な気の存在は未だこの地にあるわ。
殿も、油断なさらずこのまま周囲を警戒してください。

殿
…………。

やくも
千狐はああ言ってるけど、
うちには、兜さんの気配なんて全然感じられんだに……。

やくも
きっと殿さんに恐れをなして、
ずっと前に逃げ帰ったに決まってるだに!

???
……我策……展……開……ッ。

やくも
――ひっ!?

やくも
い、今どこかから声が……。

兜軍団
――ザザッ! ザザザッ!!

殿
――っ!?

千狐
殿、兜に取り囲まれましたわ!?
そんな……気配はほとんど感じなかったのにどうして……!?

毛利元就
ククク……敵襲ハ……既知……。
然ラバ……待伏ニテ……応ジルハ……理……。

やくも
ひぃぃっ! で、出た! 巨大兜だにぃっ!

毛利元就
此ノ地ニ……宿ル神秘……。
我ガ新計……必須ノ要……ナレバ、奪ウモ又……理……ククク……。

千狐
この地に宿る神秘……?

千狐
……そうか、そういうことだったのね!

やくも
え!?
もしかして、千狐、
兜さんの今の言葉だけで何か分かったがや!?

千狐
言葉だけでなく、禍々しき霊気の形相が語ってるわ……。

千狐
あの巨大兜は、神聖な此の地の力を悪用しようと企み、
こうして攻め入ってきてるのよ!

毛利元就
……聡キ……神娘……。

毛利元就
万事ニ於イテ……、
明ガ暗ヲ破ネル考……非理ナルト……死レ……ククク……。

やくも
ひぇぇっ! い、いきなり射掛けてきただにっ!

千狐
しかもあの巨大兜は、三本同時に矢を放つことができるようですわ!
殿、気をつけてください!

やくも
わわっ、わっ、わわわっ……!?
このままじゃいつ射貫かれてもおかしくないだにぃ!

千狐
聖地に宿る力を悪用しようとするなんて、許せない……。
殿、ここで兜の企みを打ち砕きましょう!

後半
やくも

や……やった! 
殿さんが兜さん達をやっつけただにっ!

毛利元就
――グッ……ギ……ギ……。

千狐
巨大兜も膝をつきましたわ!
殿、今のうちに奴に引導を渡してしまいましょう!

毛利元就
ククク……。

毛利元就
勝利ヲ確ス者……勝利ヲ覚ス者ニ……敵ワヌハ……滅理ジャテ……。

毛利元就
……必勝……必殺……必守……ノ……計……、
今コソ……示サン……ククク……。

千狐
……えッ!?

千狐
巨大兜が弓を掲げて……。
一体なにをするつもりなの?

やくも
ど……どーせはったりに決まってるがや!
殿さん、遠慮せずにとどめを刺すだにぃっ!

殿
…………。

千狐
……殿? どうしたのですか?
海面をじっと見つめたりして……?

蟹型兜
ザバァァ――ッッ!

千狐
――なっ!?

やくも
ひぃぃっ! 
海から強そーな兜さんが飛び出てきただにぃっ!

千狐
まさか、伏兵っ!?

千狐
殿! 危ないっ――!

殿
――っ!?

討伐武将大兜!毛利元就-後-

己の武器を掲げ、真の力を解放した巨大兜。
絶大な力を備えて再び迫り来る兜の軍勢を
持てる全ての力を駆使して討伐せよ!

前半
千狐

殿!危ないっ――!

殿
――っ!?

蟹型兜
ブパァッ――!!

――海中より躍り出た兜の恐るべき一撃。

だがその一撃は、とっさに身を引いた殿の一寸先で虚空を斬るに終わった。

殿
…………。

殿
…………。

千狐
紙一重の様に見えて、難なく兜の一撃を避けるなんて……。

千狐
さっすが、殿なのー!

殿
…………!

千狐
あ……も、申し訳ありません!
嬉しさのあまり礼を失してしまいました……。

やくも
そげなことより、巨大兜さんの方を見るだに!

千狐
……え!?

毛利元就
……百万一心三矢教訓……。
我ガ深ナル叡智……全テヲ……凌駕セン……ッ!

千狐
――っ!?
巨大兜の持つ武器から強大な力がどんどん溢れてきているわ……!


……闘争……再開……。

兜軍団
……我ガ主ノ命ヲ……遂行セン……総員……穿テ……穿テェッ!

千狐
そんな、周囲の兜にまで力を与えるなんて……!?

千狐
それに、敵は先刻よりもずっと力を増している……。
……信じられないわ。

やくも
千狐ぉっ!? 
なんや急に海の方も荒れ出しただにぃっ!!

千狐
ど、どうして此の地の海が……!?

千狐
……まさかっ!?

千狐
そうか、巨大兜はあの武器を利用して…………何てことを考えつくの!?

やくも
千狐、なんかわかったんか!?

千狐
ええ……奴はあの弓を媒介として、
この地に宿る神聖な気を邪なものへと変え、
自軍の力として利用してるんだわ!

やくも
そんなのって、反則すぎるだにぃ!

毛利元就
……ククク……是ゾ終局。

毛利元就
我ガ無欠ノ策ニテ……生命ヲ散ラセ……。
全軍……勝利ノ呼声ニ応ジ……イザ……イザ……参……乱……。

後半
千狐

やりましたわ、殿!
兜軍の猛攻を凌ぎきりましたわ!

毛利元就
……ナ……何ガ……起キタ……?

毛利元就
何故……敗北ノ汚泥ニ……我ガ身ガ……沈ム……?

毛利元就
……否、大局ヲ目セ……。
当初ノ目的ハ果タセリ……地気ハ我ガ声ニ応ジタ……。

毛利元就
其レデ良イ……全テハ……計画通リ……ククク……。

千狐
ご覧ください、殿!
巨大兜が引き上げていきますわ!

やくも
でも……トドメは刺せんかっただに。

千狐
確かに、あれだけ策謀に長けた相手を討ち漏らしたことで
先の心配に繋がることは否定できないわ……。

千狐
けれど、あれだけ強大な相手に負けなかったということは
殿の地力が確かに上がっているという証拠だわ!

やくも
なるほど、それもそうやね!

やくも
でもな、千狐ぉ……。

やくも
うちの特製おにぎりさんの仇を取れんかったことには変わりはないだにぃ……。

千狐
やくも……あなた、そんなこと考えていたのね……。

千狐
それよりほら、見てやくも。
水平線に夕日が沈むわ。

やくも
……それが何だっていうだに。

千狐
……え?

千狐
いや、ほら……すごく綺麗でしょ?

やくも
はぁ……千狐。

千狐
な、何よ……?

やくも
陽が落ちるとこなんて毎日所領から見える山間で目にしてるだに!

やくも
今さら水平線に落ちる夕日なんて見たって綺麗も何も……、

やくも
……っ!?

やくも
何やあれはーっ!?
すーーーっごく綺麗だにぃ!

やくも
おにぎりさんの恨みが晴らせんかったのは残念やけど、
この夕日が見れただけでも何だか心がいっぱいになっただにぃ!

千狐
ふふ……元気になってくれたみたいで、良かったわ。

殿
…………。

千狐
殿、実に美しき黄昏の空にございますね……。

殿
…………!

千狐
…………えへへ。

千狐
(もう少しだけ、このまま殿と二人きりで……)

千狐
……二人、きり?

千狐
あれ? そういえばやくもは……?

千狐
どうしよう、近くにいない……。
ちょっと目を離した隙にいったい何処へ……?

やくも
――お~いっ、殿さ~ん!

千狐
ちょっ……やくも!?

千狐
そんな小さな岩の上でなにやってるのよ?
足を滑らせて海に落ちたらどうするつもり!?

やくも
だってこの岩、貝がえっぱいくっついてるだに!
この形は牡蠣に違いないがやぁ!

千狐
牡蠣って……。

千狐
結局食べ物のことしか頭にないのね。

やくも
むぅ……。

やくも
そーゆーことゆーなら千狐にはやらんけん。

やくも
この牡蠣は殿さんと山分けするだに。

千狐
えっ……!?

千狐
(待って……牡蠣といえば、
 焼き牡蠣に酢牡蠣、それに牡蠣の炊き込みご飯なんかも作れる……)

千狐
(いや、焦ってはダメなの、千狐!
 確かに牡蠣料理は美味しいものばかりだけど、
 独特の歯触りと風味から、必ずしも殿の好物とは限らない……)

千狐
(……チラッ)

殿
……。

殿
…………。

殿
…………!!

千狐
――なっ!?

千狐
なら……せ、千狐も……。

千狐
千狐も牡蠣とるのーーっ!!

やくも
わわっ! あ、危ないがや!?

やくも
なして千狐も、うちと同じ岩に乗るがや!?

千狐
いいからちょっと場所つめるのー!

やくも
あ、あかんて! そげに押したら海に落ち――

やくも
ふぎゃ~~~っ!!



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