ストーリーテキスト/討伐武将大兜！明智光秀

討伐武将大兜！明智光秀[]

討伐武将大兜!明智光秀-前-

――とある地にて兜軍の不吉な影あり。
報告を受け、当地へと向かった殿一行。
一方で、ある城娘が執念を燃やしていた。

前半
山崎城 …………。 山崎城 ……これは……。 山崎城 ……そう、ようやく現れたのね。 山崎城 明智光秀…………！ 山崎城 ……今まで気配のかけらも感じられなかったというのに、 突然出てくるなんて、一体どういう心境の変化なのかしらね？ 山崎城 ……まぁ、いいわ。 山崎城 …………。 山崎城 ……方角はあっちね。 では、向かいましょうか。 山崎城 だって、私は山崎城だから。 山崎城 私が行かなきゃ、始まらないものね。 ――そうして、 ――夜が明けた。 山崎城 この辺りね……。 山崎城 待ち構えていれば、いずれ奴が来るはず。 山崎城 それまで、少し休憩といきましょうか……。 山崎城 …………って、あら？ 山崎城 どうやら先客がいるようね……。 長浜城 この辺りだよ、殿！ 最近兜の動きが活発になってる地域！ 近江八幡城 さぁ！　殿！ ざざーっと兜を一掃しちゃいましょう！ 近江八幡城 そうすれば、この地域も平和になって、 民の笑顔も増えて、みーんな幸せになりますよぉ！ 長浜城 ほうほうー？ 長浜城 ……で、本音は？ 近江八幡城 平和になったら皆もやたらと不安がって蓄えなくて済むから、 結果的に財布のひもが緩んでがっぽがっぽ……。 近江八幡城 ……って、何を言わせるんですか！ やくも 近江八幡城は相変わらずだに……。 殿 …………。 千狐 ……あら？ あちらの方は一体どなたでしょう？ 柳川城 こちらに向かってきておりますね……。 長浜城 えっ？　どこどこっ？ 長浜城 んん？　あれ……？ 山崎城 あの、貴方たち……。 殿 …………？ 柳川城 何かご用でしょうか……？ 山崎城 これからこの辺りは戦いの場になるわ。 危ないからどこか安全な場所へ……。 長浜城 うきゃ～～～～～～～～っ！ 山崎城ちゃ～～～～～～んっ！！ 殿 …………！？ 山崎城 ……あら？ 貴方、長浜城？ 長浜城 久しぶりだね～！ 山崎城 えぇ、久しぶりね。 やくも だに？ 二人は知り合いかや？ 長浜城 そうだよぉ！ 山崎城ちゃんはたまーにしか会えない子なんだよ！ 近江八幡城 いきなり叫ぶからびっくりしちゃいました……。 長浜城 えへへ、ごめんねぇ。 山崎城 ふふ、貴方は変わらず元気ね。 長浜城 そりゃあ、元気があたしの取り柄の一つだもん！ 長浜城 あっ、そうだ！ 山崎城ちゃん！　この人が殿だよ！ 殿 …………。 山崎城 貴方が噂に聞いている殿ね。 よろしくお願いするわ。 殿 …………！ 山崎城 それに、ちょうどよかった。 貴方は確か兜たちとの戦いの経験が豊富なのよね？ 山崎城 急なお願い事で申し訳ないんだけれど、 どうか手を貸してほしいわ。 山崎城 大丈夫だとは思うけど、念のため、ね。 殿 …………？ 柳川城 どういうことでしょうか？ 山崎城 今からここに、明智光秀の名を冠する巨大兜が来るからよ。 柳川城 えぇっ！？ やくも 千狐、霊気は感じられるがや？ 千狐 ええと…………。 千狐 ……本当です！ いつの間にここまで接近されていたなんて……！ やくも ということは、山崎城は千狐よりも先に気付いてたってことかや！？ 山崎城 えぇ、そうなるわね。 近江八幡城 す、凄いです！ なんでそんなことができるんですか！？ 山崎城 何故って？ 山崎城 それは、私が山崎城だからよ。 やくも ……ちょっとよくわからんだに。 山崎城 後で説明してあげるわ。 さぁ、来るわよ！ 明智光秀 …………ほう。 久シブリに此世の闘争に駆り出されたカト思えば、 なるほど、コウイウことでしたか……。 殿 …………！ 山崎城 ようやく会えたわね、明智光秀の名を冠する巨大兜。 明智光秀 ……山崎城。 明智光秀 此地に導かレタ時からモシヤと思っていましたガ……。 ソウですね……今ノ私と対峙するべくは貴方をおいて他にはイナイでしょう。 山崎城 今までどこに隠れていたのか知らないけど、 迂闊に姿を現したのが運の尽きね。 山崎城 さ、覚悟なさい。 明智光秀 実に見事な覇気だ……。 コレも私と貴方の持つ名が生じサセシ事柄の一つなのでしょう。 明智光秀 トハいえ、正直なところ信長様の心魂を手中に収めた今、 私が此地に立ツ理など微塵も無いのデスが……。 明智光秀 コレモ此世の歪さが成シタ異事ナレバこそ、 今バカリは私も己ガ役目を果タスとイタシましょう。 殿 …………？ 明智光秀 理解デキヌのも当然でしょう……。 なにせ、今ノ貴方タチには、あの刻ノ山城での記憶ナドないのデスカラね。 柳川城 ……何の話かは分かりませんが、 こうして出会った以上、見逃すわけにもいきません！ 近江八幡城 そうですよ！ 目の前に不況の元凶がいて見逃す商売人はいないのです！ 長浜城 山崎城ちゃん！ 早速あたしたちも加勢するからね！ 山崎城 ありがとう、心強いわ。 山崎城 さぁ、明智光秀の名を持つ巨大兜。 私の矢に貫かれる心の準備はできたかしら？ 明智光秀 ……いいデショウ。こうして対峙スル機を得たのナラバ、 少しバカリ今の貴方たちの強さを見てミルのも一興……。 明智光秀 サァ、全霊を以て臨ムがいい……。 山崎城、貴方の業の深サを此世に示スのです。
後半
近江八幡城 そーれっ！ 出し惜しみはなしの大盤振る舞いですよぉ！ 長浜城 うっきゃ～～～～～～～っ！！ 明智光秀 ……ナルホド、以前に比べると強くなっているようデスネ。 柳川城 はぁぁぁぁぁっ！！ 明智光秀 フフ、成長がミラレルのは例え敵とイエド喜ばしいコトです。 柳川城 …………？ 長浜城 これは……効いてないのかな……？ 山崎城 そんなに心配しなくても大丈夫よ。 なかなかに消耗はしているみたいだから。 山崎城 だって、私は山崎城。 あの巨大兜が今どういう状態か察知するのは造作もないことよ。 山崎城 だから……次は少しばかり、手強いかもしれないわね。 明智光秀 フッ……流石は山崎城……。 手を抜イテ戦うには些か強大に過ぎますね。 明智光秀 然ラば――――、 千狐 そ、そんな……！ 霊気が尚も増大していくなんて！！ 柳川城 先程までは本気ではなかった、ということですね……。 殿 …………！

討伐武将大兜!明智光秀-後-

明智光秀の名を冠する巨大兜は力を強め始める。
しかし一歩も退こうとしない山崎城。
同調するように彼女の霊気もまた、強まっていった。

前半
殿 …………！ 山崎城 大丈夫よ、そんなに心配しなくたって。 やくも えぇっ……で、でもあの巨大兜、すっごく強そうだにぃ……。 山崎城 落ち着いて。 私が貴方たちを勝たせてあげるから。 やくも 落ち着いてって言われても落ち着けないがやぁ！ 近江八幡城 そうですよぉ！ 逆にどうして山崎城さんはそんなに冷静なんですかぁ！？ 山崎城 だって、私は山崎城だもの。 近江八幡城 それ先ほども聞きました！ 長浜城 あのね、山崎城ちゃんは山崎の合戦に関わりの深い城娘だから、ってことなんだよ。 近江八幡城 山崎の合戦……といいますと、秀吉と光秀が戦った、あの？ 山崎城 そうよ、私は天王山に位置する山崎城の名を持つ城娘。 山崎城 中国から大帰還を果たした秀吉様が陣取り、 結果として勝利を収めた、その城の名が私の名。 山崎城 なれば、私が明智光秀の名を持った巨大兜なんかに対して 今更動揺などするわけはないと、そうは思わないかしら？ 近江八幡城 な、なるほど！ 近江八幡城 一度勝った経験があるからこその自信。 そう考えると納得です！ やくも ほえ～……山崎城ってなんか色々と凄いんやね……。 明智光秀 ……エェ、確かにアノ時の私ハ、 やむを得ナイ事情があったトハイエ、大敗ヲ喫シました……。 明智光秀 デスガ……今世の我ガ身は巨大ナル兜。 明智光秀 ナレバこそ、此度ハ同じ轍を踏むハズがない。 山崎城 それはどうかしら？ 山崎城 だって、私は山崎城だもの。 山崎城 更には援軍としての殿たちもこの場に在るのよ。 やっぱりまた貴方が負けるのが自然なんじゃないかしら？ 明智光秀 フフッ、まだまだ虚勢ヲ張る余裕があるトミエます……。 山崎城 虚勢？ 山崎城 虚勢って、何かしら。 これのこと？ 明智光秀 …………！ 千狐 な、なんて凄い……。 山崎城さんの霊気が先程より更に上昇を……！ 長浜城 うわぁっ、山崎城ちゃんまた強くなったの！？ すっごーい！ 山崎城 あら、ありがとう。 明智光秀 ……フフッ。 明智光秀 なレバ、そのチカラが本当に私に通ジルのか、 試してミルがいいデショウ……。 千狐 霊気が膨らんだ……！ 来ます！ 長浜城 よぉし、後方支援なら引き続きあたしたちに任せてね！ 山崎城 ええ、頼りにしてるわ。 近江八幡城 もちろん！ 景気に仇成す兜は成敗ですよぉ！ 柳川城 殿、ご下知を！ 殿 …………！ 明智光秀 城娘の謳う必然モ、今世ノ理にオイテはさにアラズ……！ 貴方の道の果テを塞ギ、心を折ッテ差し上げましょう……！ 山崎城 さぁ、いつかのように山崎合戦といきましょうか！
後半
山崎城 そこぉっ！！ 明智光秀 ぐゥゥっ……！ 明智光秀 …………ふ。 明智光秀 フフ、フ……なかなかのチカラを身に付ケタようデスね。 正直、侮ッテおりマシタよ……。 山崎城 案の定の敗北、ではなくて？ 殿 …………。 明智光秀 ドウヤラ、この魂を燃ヤシテでも 貴方ガタニ対抗しなくてはナラない刻限ガ近づいてイルようデスネ。 明智光秀 ……イイでしょう。此度は撤退サセテ頂きます。 山崎城 私がそれを許すと思う？ 明智光秀 ……逆に問いまショウ。 貴方ガ私をこれ以上追エルとでも？ 山崎城 何を……。 山崎城 ……うぅっ……！？ やくも きゅ、急にへたり込んでどうしたがや！？ 長浜城 山崎城ちゃん！？ 明智光秀 フフ、ヤハリ想定通り、霊気ガ尽きかけているヨウですね。 明智光秀 デハ、また次の機ニ……。 千狐 兜たちが撤退していきます……！ 長浜城 や、山崎城ちゃん、大丈夫！？ 山崎城 ……なんとか、ね。 山崎城 迂闊だったわ。 ここであいつを討とうとして……無理をしすぎたみたい。 長浜城 山崎城ちゃん……。 山崎城 そんなに心配しなくても大丈夫よ。 何も今すぐどうにかなってしまうわけではないから。 山崎城 とはいえ……ふぅ。 安い挑発に乗っちゃったわね。 山崎城 でもまぁ、自分が未熟だと知れただけ、よしとしましょうか。 殿 …………？ 山崎城 ええ、今はとりあえず平気よ。 山崎城 それに、手を貸してくれてありがとう。 私一人だったら、きっと無理しすぎてどうなっていたか分からなかったもの。 殿 …………！ 山崎城 そうね……。 次、あの巨大兜と会った時は今日のようにはいかないと思うわ。 山崎城 曲がりなりにも相手は明智光秀の名を冠しているのだもの。 油断なんてできない……って思わなくてはね。 長浜城 ねぇねぇ、山崎城ちゃん。 どうせだったら所領に来ない？ 長浜城 一人でダメなんだったら、みんなで行けばきっと大丈夫だよ！ 山崎城 ふふっ……そうかもね。 単独で動くのも考え直さなきゃ。 山崎城 でも、今日のところは帰るわ。 少し休んで体調が良くなったら、所領に遊びにいかせてちょうだいね。 殿 …………！ 柳川城 えぇ、お待ちしております！ 山崎城 このお礼はどこかで必ず……。 それでは、ね。 長浜城 待ってるからね！　山崎城ちゃん！ 近江八幡城 …………ん？ 近江八幡城 お、おおおおおおおおおおおおおおおおおっ！？ やくも ひぇっ！？ いきなり大声出してどうしたがや！？ 近江八幡城 き……き…………！ 近江八幡城 金だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ！？ やくも へぇ！？　金って……。 千狐 と、殿！？ 地面のあちこちからのぞいているもの、もしかして金じゃないでしょうか！？ 殿 …………！？ 長浜城 あぁ、なぜか山崎城ちゃんが戦った後っていつもそうなんだよー。 長浜城 何でだろうね？ 近江八幡城 ま、まさか……。 山崎城の名を持っている城娘だからこんな権能が……！？ 近江八幡城 ちょちょちょちょ、ちょっとまってください！ 山崎城さ、いや、山崎城お姉さま！！ 近江八幡城 ぜぜぜ、ぜひ道中ご一緒させてくださいませえええええええええええええ！！ 長浜城 あっ……。 やくも ……まさにあっという間に走っていっちゃっただに。 柳川城 ……ま、まぁ、近江八幡城さんなら大丈夫でしょう……。 千狐 ど、どちらにせよ、これにて兜の掃討は完了ですね。 千狐 殿、此度の遠征もお疲れ様でした。 所領に帰還いたしましょう！

討伐武将大兜!明智光秀-絶-

明智光秀の名を冠する巨大兜との戦から数週間後。
すっかり平穏な風を吹かせている所領では、
とある城娘が笑みを浮かべながら訪ねにきていた。

前半
――巨大兜との戦いから数週間後。 平遥古城 （近江八幡城が今日は仕入れに行ってると聞いたけど……。 　どうやら本当だったみたいだ！） 平遥古城 （やっぱり商売敵がいない時にどんどん売らないとね～♪） 平遥古城 はーい、まいどありー！ 長浜城 えへへ、つい買っちゃったよぉ……。 『日本茶と中国茶飲み比べ一対』。 長浜城 ……中国茶って飲んだことないけど、どんな味がするの？ 平遥古城 甘くて、ふわっと香って、体にもいい。 それが中国茶さ！ 長浜城 えへへ、楽しみぃ～！ 柳川城 この茶器、とても可愛らしいですね。 平遥古城 ふふっ、大熊猫の茶器はどこでも人気だね。 お一ついかがかな？ 平遥古城 今なら一組で買うとなんとこんなにお買い得！ 平遥古城 ……ちなみにお揃いの茶器で、 気になるあの人と一緒にお茶を喫して過ごすなんてことも……。（ぼそぼそ） 柳川城 ください。 平遥古城 まいどあり！ 柳川城 （殿と一緒に、二人きりで、お揃いの茶器で……） 柳川城 …………。（ちらっ） 殿 …………？ 柳川城 （……ど、どうやってお誘いしたらいいのでしょう……） やくも うちもなんかべこぼこのお菓子を買っただに！ やくも えーと、名前はなんだったがや……。 すっ飛んでん？ 平遥古城 石頭餅（スートービン）。 塩味や甘い味をつけた生地を焼いた、素朴なお菓子さ。 平遥古城 今回のは特別にこっちの豆や芋なんかも混ぜて焼いてみたから、 多分みんなの口にも合うと思うよ！ やくも …………。（もぐもぐ） やくも んまいだにぃ！ 平遥古城 それはなにより！ やくも ……うぅ、こんなに美味しいともっと食べたくなっちゃうがや。 でも今月のお小遣いを考えると……。 平遥古城 まとめて買ってくれるならお安くするよ？ やくも うーーーーーーーーーーん…………。 千狐 ダメよ、やくも。 そもそも食べすぎて夕餉が入らなかったらどうするの？ やくも ……それは問題ないがや。 でも今、懐が寒いだにぃ……。 やくも 仕方ないけど、今回は諦め……。 山崎城 あら、皆さんお揃いね。 こんにちは。 長浜城 うきゃあっ！　山崎城ちゃんっ！！ 遊びに来てくれたのっ！？ 平遥古城 （山崎城……？） 平遥古城 （もしかして、商売人の集まりの時に近江八幡城が言ってた……？） 山崎城 ええ、実は今日……。 やくも ちょうどいいところに！ 山崎城、助けてほしいだにぃ！ 山崎城 えっ、た、助ける？ やくも どうしても、どうしてもお金が欲しいがや……。 今月お財布の中身が寂しいだにぃ！ やくも だから、どうぞそのお力で所領の金を掘り当ててほしいがやぁ！ 山崎城 えぇっ……うーん……。 山崎城 確かに金を掘り当てるのは私の権能の一つだけど、 狙って出せるものでもないのよ？ 山崎城 特に物欲なんかが絡んだりすると余計に……。 やくも そこを！　そこをなんとかお願いするだにぃ！！ 柳川城 あの、やくもさん、そんなに今お金がないのですか……？ やくも ……というのも、今月武器の試作をしすぎて ついうっかり想定より大幅に出費しちゃったんだにぃ……。 千狐 ……なんですって？ やくも ひぃ、怒らないでほしいがや……。 千狐 ……とはいえ、現状何かと物入りで苦しいのは事実なのよね……。 千狐 私からも、駄目元で一つお願いできないでしょうか……。 平遥古城 ボクも見てみたいな、金を掘り当てるところ。 平遥古城 それに、本当に出るならお店の運転資金の足しにしたいからね。 山崎城 うーん……。 山崎城 ……ま、物は試しっていうし、やるだけやってみましょうか。 長浜城 山崎城ちゃん太っ腹～！ 山崎城 長浜城も欲しい？ 長浜城 あたしはそこまで欲しいわけじゃないけど～……。 長浜城 でも、もしたくさん出て、あたしも貰えるんだったら、 金の茶室を所領に作れるからやっぱり欲しいかな？ 山崎城 ふふっ、作りたいって言ってたものね。 長浜城 うん！ 長浜城 じゃあ、着いて早々で悪いけど、お願いできる？ 山崎城 ええ、任されたわ。 山崎城 さて……。 山崎城 …………。 山崎城 …………。 山崎城 多分……あの辺り、かしら？ やくも よぉぉぉーし！　掘るだにぃ！！ 平遥古城 あ、ちょうど掘削用の道具も売ってるけど お一ついかがかな、お安くしておくよ！ やくも 買うがやぁ！ 平遥古城 まいどー！ 長浜城 あたしも頑張るっきゃ～♪ 平遥古城 ……よし、ボクもちょっと力入れてみよっかな。 平遥古城 破ァァッ！ 柳川城 きゃっ！？ 長浜城 どんどん行くよぉっ！ 千狐 ちょ、ちょっと、皆さん！？ やくも …………！（ざくざくざくざく） 柳川城 や、やくもさんも凄い速度で掘り進んでますね……。 千狐 こらーっ！　やくも！ 所領を穴だらけにする気なのぉーーっ！？ やくも うちは今だけはモグラに……！ 土を進む竜になるだにぃ……！（ざくざくざくざく） 山崎城 出でよ……出でよ…………！ 殿 …………！？ 千狐 ま、不味いですわ！ このままだと所領がボロボロに……！ 柳川城 いけない、みなさんをお止めしましょう、殿！
後半
平遥古城 ……アイヤー。 長浜城 ……うきゃぁ。 山崎城 ……はっ、わ、私は何を……？ やくも …………。（ぽかーん） 千狐 方法はちょっと強引でしたけれども、 所領もまだ無事ですし、ひとまずは良かったですわ……。 やくも …………。 やくも そっ、そうだに！ 金は…………！？ 平遥古城 …………見当たらないね。 やくも そんなぁ……。 山崎城 いたた……ふぅ。 山崎城 うーん……やっぱり上手くいかなかったようね……。 山崎城 あくまでも、『あるかもしれない』というだけだったし、 私の権能も常に発動してるわけではないから……。 長浜城 そっかぁ……。 平遥古城 はぁ……。 平遥古城 ま、そうそう美味しい話はないってことだよね。 やくも あんなに頑張って一つもなしってひどいがや……。 平遥古城 でもさ、金が下手に出なくて良かったと思うよ、ボク。 平遥古城 やっぱりお金っていうのは、 汗水たらして働いて、頑張った先に得られるものであるべきだ。 平遥古城 なまじ苦労せず手に入っちゃうと、ありがたみもわからず どんどん使っちゃって、麻痺して、困窮していくだけだからね。 柳川城 確かに、金銭感覚というのは大事です……。 平遥古城 うん。あるかどうかもわからないお金に下手な労力を割くよりも、 平遥古城 自分で頑張って稼いだお金でお店を大きくする方が達成感が段違いだからね！ 長浜城 ……そうだね、あたしも金の茶室は自分で作ろうっと！ 平遥古城 ということで、疲れた体を癒やす栄養たっぷりの食べ物や、 元気を補充するお薬、怪我の治療薬なんかもあるけどいかがですか～。 千狐 ……ちゃっかりしていますね。 長浜城 まぁ、商売人らしいといえばらしいけどねぇ。 山崎城 ……なんだかお役に立てなくてごめんなさいね。 長浜城 ううん！　気にしないで！ 長浜城 さて、穴を全部埋め戻さなきゃ！ みんな、頑張ろうねー！ やくも とほほ、濡れ手で粟どころか、くたびれ儲けだにぃ……。 柳川城 あっ、お手伝いします……！ 山崎城 …………。（ちらり） 殿 …………？ 山崎城 後ほど、夜にね……？（ぼそっ） 殿 …………。（こくり） ――その夜。 山崎城 あら、待たせちゃったかしら？ 山崎城 …………。 山崎城 そう、良かったわ。 山崎城 ……昼間はごめんなさいね、 なんだか所領に騒ぎを持ち込んでしまったみたいで……。 山崎城 私も、いつもは一人でやっていることが多かったから、 あんなにたくさんの相手に求められたのは初めてだったの。 山崎城 だから、つい嬉しくて調子に乗ってしまったわ……。 山崎城 すっかり一人でやっていけると思っていたけど、 まだまだね、私……。 山崎城 …………。 山崎城 ……慰めてくれてるの？ ふふ、優しいのね。 山崎城 でも、ありがとう。 山崎城 ……ええ。 今度からは頼るべき時にはちゃんと誰かを頼るわ。 山崎城 だから……もしもまた困ったり、あいつと対決する時が来たら、 助けを願ってもいいかしら？ 山崎城 …………。 山崎城 ……そう言ってもらえると安心するわ。 山崎城 さて、じゃあ本来の用事を済ませてしまいましょうか。 誰もいない、今のうちにね。 山崎城 千利休ゆかりのお茶、ゆっくりと味わわせてあげるわ。 山崎城 ……え？　夜にお茶を飲むと厠が近くなる？ 山崎城 なんだ、そんなこと。 大丈夫よ、がぶがぶ飲ませるわけじゃないんだから。 山崎城 それとも、まさか夜に一人で厠に行くのが怖いの？ 山崎城 ふふっ、大丈夫よ。 なんならお姉さんが一緒についていってあげるから、ね？ 山崎城 さ、夜はまだまだこれから。 楽しみましょ、と・の♪

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