ストーリーテキスト/討伐武将大兜！加藤清正

討伐武将大兜！加藤清正[]

討伐武将大兜!加藤清正-前-

出羽国に訪れた殿一行は、
肥後千葉城と隈本城と共に、
一帯の掃除を開始するのだが……。

前半
――出羽国某所。 肥後千葉城 隈ちゃーん！ こっちだよ、こっち－！　はやく、はやくぅー！ 隈本城 待ってよ、お姉ちゃ～ん！ そんなにはしゃぐと、また―― 肥後千葉城 ――きゃぁっ！？ 隈本城 ……そんなふうに転んじゃうよ、 って言おうと思ったのに……。 隈本城 大丈夫、お姉ちゃん？ 肥後千葉城 うぅぅ……ちょっと膝すりむいちゃったけど、 肥後千葉城 このくらい、全然へっちゃらだよぉ♪ 肥後千葉城 それにしても…… この地に来るのは、随分と久しぶりだね。 隈本城 そうですね……。 隈本城 ここで私たちは殿と出会い、 そして、共に兜を倒そうと心に誓いました。 肥後千葉城 あの時の私たちは、巨大兜の所為で 城娘としての力を失っちゃってたけど……。 肥後千葉城 今はこうして、 殿のために立派な城娘として、 毎日頑張ってるもんね！ 殿 …………。 殿 …………。 肥後千葉城 ――わっ、わわ……と、殿！？ 肥後千葉城 あの、今のは……そ、その、 殿と初めて出会った時のことを思い出しててですね……。 肥後千葉城 （はぅぅ……やっぱり、こうして殿が近くにいると、どきどきしちゃうよぉ……） 隈本城 はぁ……お姉ちゃんったら。 未だに殿に対しては、緊張しっぱなしなのですね。 やくも …………。 やくも なぁなぁ、千狐ぉ。 どうして今日は出羽に来たんやっけ？ 千狐 出発前にちゃんと説明したのに、 やくもったら、やっぱり聞いてなかったのね……。 千狐 今日は、肥後千葉城さんと隈本城さんの縁の地である この場所を、みんなで掃除するために来たんでしょ？ やくも ……え？　そ、掃除？ 肥後千葉城 そうだよぉ、やくもちゃん。 肥後千葉城 今日はね、このあたりに散らばってるイチョウの葉を、 ばばば～ってお掃除しに来たの。 やくも イチョウ……。 やくも そう言えば、前にここで 肥後千葉城たちと出会った時にも、 イチョウの葉を集めた気がするだに！ 柳川城 ええ、懐かしいですね。 柳川城 城娘としての力を失っていた隈本城さんたちを元に戻すため、 お二人に縁のあるイチョウの葉をたくさん集めましたね。 やくも ……ん？　ちょっと待つだに。 イチョウの葉ってことは……。 やくも も、もしかして、肥後千葉城も隈本城も、 また城娘としての力が無くなりそうなんかや？ 肥後千葉城 ち、違うよぉ……！ 今回は、ただ単にお掃除しにきただけなの。 隈本城 近頃は戦続きで、縁あるこの地を 清浄に保つという役目を果たせずにいましたから……。 やくも そういうことなら、うちも協力するだにぃ！ 戦いは無理でも、掃除でなら隈本城らにも負けないがやぁ～！ 肥後千葉城 おぉ～♪ やくもちゃん、やる気まんまんだね！ 肥後千葉城 こうなったら、私もはりきっちゃうよぉ♪ 肥後千葉城 ……ということで、隈ちゃん！ さっそくお掃除開始だよぉ～！ 隈本城 あっ、ま、待ってよ、お姉ちゃ～ん！ 千狐 殿、それでは我々も掃除にとりかかりましょうか。 殿 …………！ ――数刻後。 肥後千葉城 ふぅ～。 これでお掃除は完了だね、隈ちゃん♪ 隈本城 そうですね、これも殿たちが手伝ってくれたおかげ―― 隈本城 ――って、あれ？ お姉ちゃん……ちょっと、じっとしていてくれますか？ 肥後千葉城 ……え？　なになに？　どうしたの、隈ちゃん？ 隈本城 よいしょ……っと。 ふふっ、頭の上にイチョウの葉が乗ってましたよ？ 肥後千葉城 わぁ、ぜんぜん気づかなかったよぉ。 ありがとう、隈ちゃん♪　ぎゅ～っ！ 隈本城 ……もぉ、そうやってすぐに抱きついて。 殿に甘えん坊な城娘だと思われちゃいますよ？ 肥後千葉城 ……え？　そ、それは困るよぉ。 私、ちゃんとお姉さんな城娘って思われたいもん。 隈本城 じゃあ、抱きつくのは二人きりの時だけにしないと。 肥後千葉城 は～い……。 柳川城 ふふっ、肥後千葉城さんと隈本城さんは、 とても仲睦まじき姉妹なのですね。 殿 …………。 殿 …………。 やくも ふぃ～。気づいたらもう夕方なんやね。 千狐、そろそろ所領に戻ろうがや。 やくも これだけえ～っぱい働いたんやから、 今日の夕餉はいつもより美味しいはずだにぃ～♪ 千狐 はいはい、わかったから、みっともなく涎なんて垂らさないの。 ほら、ちょっとこっち来なさい……（ふきふき） やくも ん……んんぅ！　 これぐらい自分で拭けるだにぃ。 千狐 何言ってるのよ、自分じゃ涎垂れてることにも気づけなかったくせに。ふふっ♪ 柳川城 殿、こうして見ると、 千狐さんもやくもさんも、姉妹のように見えますね。 殿 …………。 柳川城 （千狐さんとやくもさんが姉妹のよう……） 柳川城 （――っ！？） 柳川城 （となると……保護者的な立ち位置にある私と殿は、傍から見れば、めお――） 殿 …………？ 柳川城 あっ……い、いえ……な、何でもありません、殿。 お、お気になさらずにです……はい……。 殿 …………？ 肥後千葉城 それにしても、 今日は掃除だけで済んで、ちょっとほっとしたよぉ。 隈本城 ……どういうこと、お姉ちゃん？ 肥後千葉城 だって、前にこの地に来たときは、 清正様の魂を悪用した巨大兜がいたでしょ？ 肥後千葉城 だから、もしかしたら、 今回も兜たちが姿を現すのかも、 とか考えてたから……。 加藤清正 ――シュゥゥゥウウゥウ……シュルルゥゥゥゥウルゥゥゥ…………。 肥後千葉城 そうそう、あんな感じの巨大兜が―― 肥後千葉城 ――って！ 隈ちゃん、あれ本物の巨大兜だよ！！ 隈本城 そ、そんな馬鹿な……！？ どうして再びこの地にあの巨大兜が！？ 千狐 あっ……あぁぁ……あれは……あの巨大兜はぁ……。 やくも だ、大丈夫かや、千狐！？ もの凄く身体が震えてるだに！ 千狐 あの巨大兜だけは……だ、駄目なの……。 ぐすっ……怖い……怖いのぉ……。 やくも ……千狐。 やくも わかったがや……！ うちと一緒に安全な場所まで避難するだに！ 千狐 やくもぉ……。 柳川城 お二人とも、お急ぎください――！ 巨大兜だけでなく、雑兵たちも出現しています！ 兜 ――ザザッ！ 兜軍団 ザザッ、ザザザッ！ 加藤清正 ……喧シキ音声と霊気に引かれて訪れてミレバ……。 まさか、貴様等が此の地に居るとはな……。 加藤清正 コレも吾に宿りし彼奴めが結びし縁というワケか……。 肥後千葉城 清正様……。 隈本城 ……お姉ちゃん、惑わされちゃだめだよ……。 隈本城 あれは、似て非なる魂の保持者……。 清正様の魂を悪用している、外道でしかないんだから……。 加藤清正 隈本……肥後千葉……。 加藤清正 貴様等が……城娘としての力を一度は失いナガラも……、 ……己が意思で再起した過去を……吾は覚えているゾ……。 加藤清正 かつての吾が慈悲を……無用と切り捨ててまで…… 殿へ仕えるト……決意シタ城娘たち……。 加藤清正 ……其の魂が辿る道ハ……長く険しきモノ……。 加藤清正 ……なれば……今一度、貴様らのチカラヲ試すガ必定……。 加藤清正 サァ……刀を抜け……肥後千葉……隈本……。 加藤清正 ソシテ……殿よ……。 柳川城 （わ、私は……っ！？） 殿 …………！ 肥後千葉城 殿、お下がりください！ ここは、私たちが何とかします！ 隈本城 かつて、この地で受けた恩義……。 今こそ報いてみせます！ 肥後千葉城 行こう、隈ちゃん――！！ 隈本城 ――はいっ！ 殿が取り戻してくれたこの力で、 絶対に、あの巨大兜を倒してみせます！
後半
隈本城 清正様の魂を利用する悪しき兜め……。 隈本城 今こそ、我が一刀を受けてみよっ――！！ 肥後千葉城 お姉ちゃんも、頑張っちゃうんだから！！ 加藤清正 ――グッ、うぅぅ……！？ 加藤清正 まさか……此程ノチカラを得ていたとは……！ 隈本城 巨大兜の動きが止まった……！？ 肥後千葉城 隈ちゃん、これなら勝てるよ！ 隈本城 はい！　一気に攻め立てましょう、お姉ちゃん！ 柳川城 お、お待ちください！ 肥後千葉城 ――っ！？ 柳川城ちゃん、どうして止めるの！？ 柳川城 巨大兜の様子が……どこか、妙です……。 隈本城 ど、どういうことですか！？ 加藤清正 ……ほう……其処ノ城娘は、 吾が実力の一端ヲ解スル心眼ヲ有している様だな……。 殿 …………！？ 加藤清正 良かろう……貴様ラのチカラヲ真に見定めるため……、 ……今ヨリ、我がチカラを……解放せん……。

討伐武将大兜!加藤清正-後-

加藤清正の名を冠する巨大兜は、
真の力を解放し、再び殿たちに牙を剥く。
天下を睥睨せし邪なる蛇眼を討ち破れ！

前半
加藤清正 良かろう……貴様ラのチカラヲ真に見定めるため……、 ……今ヨリ、我がチカラを……解放せん……。 隈本城 な、なんですって――！？ 隈本城 ……有り得ない！ 先刻のは、本気ではなかったというの！？ 肥後千葉城 隈ちゃん……まずいよ……。 巨大兜の霊力が、どんどん膨れあがってる……っ！ 柳川城 ――肥後千葉城さん、隈本城さん！ 臆してはいけません！　 このままでは勝てる戦ですら負けてしまいます！ 肥後千葉城 柳川城ちゃん……。 隈本城 そう……ですよね。 隈本城 今の私たちは……。 隈本城 ――あの時とは違います！ 肥後千葉城 うん！ もう、殿に守られるだけだった私たちじゃないんだ！ 肥後千葉城 行こう、隈ちゃん！ あの巨大兜がどれだけの力を持ってたって、かまうもんか！ 隈本城 お姉ちゃん……。 隈本城 はい！ 私たちの全力を、あの巨大兜に叩きつけてやりましょう！ 殿 …………！ 加藤清正 ――シュゥゥゥウウゥウ……シュルルゥゥゥゥウルゥゥゥ…………。 加藤清正 往クゾ……城娘たちよ……。 加藤清正 ……己が武を以て……。 城娘トシテ生きると決した過去を……、 ……正しき道ダッタト……証明シテみせよ。
後半
加藤清正 ――シュゥゥゥウウゥウ……シュルルゥゥゥゥウルゥゥゥ…………。 隈本城 はぁ……はぁ……なんで、倒れてくれないの……っ！ 肥後千葉城 こんなに、攻撃してるのに……。 柳川城 ……このままでは、殿をお守りすることが……。 加藤清正 ――シュゥゥゥウウゥウ……シュルルゥゥゥゥウルゥゥゥ…………。 加藤清正 …………未だ……足りヌ……。 殿 …………？ 加藤清正 やはり……今の貴様等デハ……足りぬ……。 加藤清正 何れ来る……滅びに抗スルには……剰りにも、脆弱すぎル……。 加藤清正 殿よ……城娘を束ねし者トシテの……責務を果たせ……。 殿 …………！？ 加藤清正 より強きチカラヲ……より大いなる武ヲ……世に示せ……。 加藤清正 隈本と……肥後千葉ハ……その心魂を決シタ……。 加藤清正 なれば、貴様モ………………――――。 柳川城 …………ど、どうして？ 巨大兜が……撤退して、いく……？ 隈本城 ……何が、起きているというの……？ 肥後千葉城 わからないけど……でも、でもぉ……。 肥後千葉城 とにかく殿を守れたっていうのは、間違いないよ隈ちゃん！ 隈本城 どうやら……そう、みたいですね……。 隈本城 ぐすっ……よかった。 今回は、殿のために……力を奮うことができたんだ……。 肥後千葉城 隈ちゃん……。 肥後千葉城 うんうん、よく頑張ったね。 さすがは、私の自慢の妹だよぉ。 ？？？ ――お～～～いっ！　殿さ～～～～ん！！ 殿 …………！ やくも 遠くから見てたけど、 兜さんらはみーんな撤退していったんやね？ 殿 …………！ やくも さっすが殿さんだにぃ！ やっぱり、うちの殿さんは最強がや～！ やくも ほら、千狐も一緒に喜ぶだにぃ！ 千狐 …………うぅ。 やくも ――って、千狐……？ どうして木の陰なんかに隠れてるだに？ 千狐 ……もう、巨大兜……いない？ やくも 千狐ぉ……まーだ怖がっちょーとは、 よっぽどあの巨大兜さんが恐ろしかったんやね……。 柳川城 …………。 柳川城 （あの巨大兜が、 気まぐれに我々を見逃してくれたからよかったものの……） 柳川城 （あのまま戦いが続いていたら……私は、殿をお守りできなかったかもしれない） 殿 …………。 柳川城 （もっと……強くならねば）　 柳川城 （どんな敵であろうと倒せるほどの武を……殿のために、この身に……！！） 隈本城 それでは、殿。 ここら一帯の掃除と、兜との戦いはこれにて終了ですね。 殿 …………！ 隈本城 はい、それでは所領へと帰還することにしましょう。 肥後千葉城 ……あ、でも、隈ちゃん。 千狐ちゃん、あんな調子だけど、転移術って使えるのかな？ 千狐 …………うぅ。 隈本城 ……た、確かに。 隈本城 そ、それでは、千狐さんが落ち着き次第、 所領へと戻ることにしましょう。 殿 …………。 殿 …………！

討伐武将大兜!加藤清正-絶-

――何故、巨大兜は自分たちを見逃したのか。
隈本城の脳裏に浮かんだ疑問は、
やがて肥後千葉城の、或る答えを導き出す。

前半
――加藤清正の名を冠する巨大兜との戦いから数刻後。 肥後千葉城と隈本城は、 所領内の一室にて、寝る準備をしていた――。 肥後千葉城 お布団よ～し、枕よ～し！ 肥後千葉城 そしてぇ～、隈ちゃんよ～しっ！ 隈本城 ――きゃっ！？ ちょ、ちょっとお姉ちゃん！　 私、まだお布団敷いてるんだから抱きつかないでよぉ……！ 肥後千葉城 ええ～？　どうして離れちゃうのぉ？ 肥後千葉城 それに、まだお布団敷いてるって言っても……。 肥後千葉城 隈ちゃん……すでに半時くらいやってるよね？ 肥後千葉城 もう、さすがに終わってもいいんじゃないかなぁ？ 隈本城 ――いいえ！　 まだ、掛け布団の角度が気に入りません！ 肥後千葉城 ……か、角度？ 隈本城 そうです！　角度です！　 隈本城 ほら、見てください！ 敷き布団との、この微妙なずれ！　気になりませんか！？ 肥後千葉城 う、う～ん……？ お姉ちゃんにはちょっとわからないなぁ……。 肥後千葉城 隈ちゃんは……気になっちゃうの？ 隈本城 はい！　これでもかってくらい気になります！ 隈本城 こんな乱れたお布団では、 お姉ちゃんの隣で寝るのに相応しくないです！ 肥後千葉城 そっかぁ。気になっちゃうかぁ……。 隈ちゃんって時々、妙なところに拘るよねぇ。 肥後千葉城 でも、そんなきっちり隈ちゃんも、 お姉ちゃんは大好きだよぉ～♪ 隈本城 ――ひゃふっ！？ 隈本城 だ、だからぁ……抱きつくのは駄目ですってばぁ……ぅぅ。 肥後千葉城 どうしてぇ？　二人きりになったら、 抱きついても良いって隈ちゃん今日言ったよぉ？ 隈本城 そ、それは……そうですがぁ……。 肥後千葉城 じゃあ、観念しないとね、隈ちゃん♪ 隈本城 ……もう、お姉ちゃんはいつも強引なんだから。 隈本城 ……でも、お姉ちゃん。 すごく良い匂いがする……。 肥後千葉城 えへへ、さっき一緒にお風呂入ったんだもん。 当たり前だよぉ～♪ 隈本城 そうじゃなくて……何て言うか、 お姉ちゃんはね、すごく安心する匂いがするの……。 肥後千葉城 ふふっ、じゃあも～っと安心させちゃうよぉ！ ぎゅっぎゅ～っ♪ 隈本城 …………。 隈本城 ねぇ……お姉ちゃん。 肥後千葉城 ……なーに？ 隈本城 今日の巨大兜のことなんだけど……。 隈本城 清正様の名を冠する、あの巨大兜は……、 どうして私たちを見逃してくれたのかな？ 肥後千葉城 ……うーん。 肥後千葉城 あれね、私も色々と考えてみたんだけど……。 肥後千葉城 たぶん……。 肥後千葉城 隈ちゃんが可愛すぎたから、 傷つけたりして泣かせちゃうのがイヤになっちゃったんだと思うの。 隈本城 …………それは一理あるかも。 隈本城 ――って、え？　ええ！？　わ、私が可愛いから？ 隈本城 な、何を言ってるのですか、お姉ちゃんは！？ あまりに突拍子もないこと言うから、 ついつい肯定しちゃったじゃないですか！！ 肥後千葉城 だってぇ、それ以外に考えられないんだもん。 隈本城 はぁ……まったく、お姉ちゃんらしいというか、何というか……。 隈本城 だいたいですね……。 もし巨大兜が同情心から そういう行動に出たとしても―― 隈本城 ――その時は、お姉ちゃんの可愛さによって退くにきまってます！ 肥後千葉城 え～？　絶対に隈ちゃんだよぉ～！ 肥後千葉城 その証拠にさぁ、今日の兜たち、 みーんな隈ちゃんばっかり狙って動いてたじゃん！ 隈本城 ……そ、そうでしたっけ？ 肥後千葉城 そうだよぉ～！ ほらぁ、よーく思い出してごらんって！ 肥後千葉城 今日の戦いって、こんな感じだったでしょ～？
後半
隈本城 ――いやいやいやいやっ！ お姉ちゃんの説明と今日の戦い、ぜんっぜん違うじゃないですか！？ 隈本城 というより、宇土城さんと熊姉さんが戦場にいる時点でおかしいですって！ 肥後千葉城 えへへ、何か久しぶりに会いたいな～って思ってたら、 ついつい戦いの中に参加させちゃったよぉ～。 隈本城 させちゃったよぉ～、じゃないですって！ 隈本城 いいですか、お姉ちゃん？ 百歩譲って、宇土城さんと熊姉さんはいいとして……。 隈本城 そもそも巨大兜自体、説明に出てきてないじゃないですか！ 肥後千葉城 だってぇ……何か、話に出すと、 また姿を現しそうで怖かったんだもん……。 隈本城 …………あ。 隈本城 （そうだ。お姉ちゃんだって、今日の戦いは怖かったんだ……） 隈本城 （せっかく、戦いを終えて、二人きりになれたっていうのに……。 私……自分からお姉ちゃんを嫌な気分にさせちゃってる……） 隈本城 ごめん……お姉ちゃん。 肥後千葉城 ……え？ 急にどうした――きゃぁっ！？ 隈本城 怖かったよね……つらかったよね……。 隈本城 なのに私……また、思い出させるようなこと言って……。 隈本城 ごめんなさい……お姉ちゃん……。 肥後千葉城 ……隈ちゃん。 肥後千葉城 いいんだよぉ、そんなことくらいで謝ったりしないで。 肥後千葉城 それに、隈ちゃんから抱きついてくれるなんて滅多にないから、 お姉ちゃんは今、すっごく嬉しいよぉ♪ 隈本城 …………。 隈本城 また、あの巨大兜が現れた時は、 私が絶対にお姉ちゃんを守ってみせるから……。 隈本城 もう絶対に、傷つけさせやしないから……。 肥後千葉城 ……うん。 肥後千葉城 でもね、無理はしちゃだめだよ、隈ちゃん。 肥後千葉城 それに、いつも言ってるでしょ……？ 肥後千葉城 私たちは、二人で一人前……。 どっちが欠けても、どっちが多すぎても、きっとダメになっちゃう。 肥後千葉城 だから……二人で強くなっていこ？ お互いのためにも。そして、殿のためにも。 隈本城 ……うん。 肥後千葉城 ふふっ、いいこだね、隈ちゃんは。 肥後千葉城 それじゃ、今日はもう寝よっか。 肥後千葉城 朝からい～っぱいお掃除したし、 わるーい兜も追い払ったし、お姉ちゃんはもうクタクタだよぉ。 隈本城 そうだね、お姉ちゃん……。 じゃあ、灯り消すよ？ 肥後千葉城 は～いっ♪ 隈本城 …………。 肥後千葉城 …………。 隈本城 ねぇ、お姉ちゃん……。 肥後千葉城 ……なーに？ 隈本城 一緒の布団で寝ても……いい？ 肥後千葉城 いいけど、せっかく布団の角度に拘ったのに……無駄になっちゃうよ？ 隈本城 お姉ちゃんのお布団で寝られるなら、 そんな些細なことはどうでもいいのです……。 肥後千葉城 そっか。些細なことかぁ……。 肥後千葉城 うん、ならお姉ちゃんのところにおいで、隈ちゃん♪ 隈本城 ……ありがとう、お姉ちゃん。 肥後千葉城 えへへ♪ 今日は隈ちゃんの方が、甘えん坊さんだね。 隈本城 お姉ちゃんは、私が甘えん坊だったら……いや？ 肥後千葉城 まさか……。 肥後千葉城 今日はい～っぱい甘えなさい、隈ちゃん♪ 隈本城 ……うん。 隈本城 …………大好きだよ、お姉ちゃん。 こうして、殿たちの与り知らぬところで、 隈本城と肥後千葉城は、より深い絆で結ばれていくのであった。

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