ストーリーテキスト/蛇鱗貫く風魔の誓

ページ名:ストーリーテキスト/蛇鱗貫く風魔の誓

目次

蛇鱗貫く風魔の誓[]

蛇鱗貫く風魔の誓 -序-

下総国に危機が迫っている……佐倉城からその
報せを受けた一行は、転移した先にて、兜の
軍勢に取り囲まれた城娘を見つけるが……。

前半
――下総国、某所。

ある城娘の要請により此地に転移した殿一行は今、
息を殺しながら森の中を進んでいた――

佐倉城
……本当に申し訳ございません、殿。
初対面の挨拶もそこそこだと言うのに、
救援に駆り出すような真似を……。

殿
…………!

やくも
殿さんの言う通り! 気にすることなんてないがや♪
急を要する事態なんやし、助け合うのが筋ってもんだに!

千狐
まぁやくもの一番の目的は、
その後に待ってる祝いの宴とごちそうなんでしょうけど……。

やくも
なっ!? 失礼なことを言わんでほしいがや、千狐!
うちはただただ一途に、此地の平穏だけを願ってるだに!

やくも
……そりゃたまに、
此地の名産品はなんやろなーとか、考えることはあるけど……!

佐倉城
しっ……! 大きな声は厳禁ですよ、やくもさん。

佐倉城
それから皆さん、
くれぐれも周囲への注意を怠らないようにしてくださいね。

佐倉城
特に……木々の隙間や、頭上に伸びる枝葉の影には……。

やくも
木々や枝葉?
そんなところに兜さんが隠れてるんだに?

佐倉城
……この地方一帯は元々、北条家の支配下にあった場所。
中でも此地は、風魔一族が権勢を誇っていました。

柳川城
風魔といえば忍の名家……。
では、それに類する力を持った兜が潜んでいるかもしれない、と?

佐倉城
その通りです……ですから今回の戦では、
一筋縄ではいかない曲者たちが相手になることと思われます。

やくも
はぇー……此地の背景から、
そこまで割り出してしまうなんて凄いだに……。

千狐
佐倉城さんは物知りなのですね……凄いです。

殿
…………!

佐倉城
いえ、大したことではありませんよ。

佐倉城
知識はどれだけあっても足りるということはありませんから、
謙虚な姿勢を忘れずに、
日々勉学を欠かさないようにしているのです。

佐倉城
まぁ、とはいえ……努力の結果と思えば、
多少は調子に乗っちゃっても罰は当たらないかもですね……えへへ……。

やくも
(いきなり謙虚な姿勢が忘れ去られそうになってるだに……)

柳川城
……それで、佐倉城さん。
兜が勢力を強めているというのは、この辺りで間違いありませんか?

千狐
危機が迫っているのは確か、
飯沼城さん……と言いましたか?

佐倉城
はい……飯沼城ちゃんとは北条傘下のよしみで、以前から仲良くしていて……。
無事でいてくれると良いのですが……。

千狐
そうですね……。
飯沼城さんをお守りするために、少しでも早く兜の気配を――

千狐
――コンッ!? この気配は!?

佐倉城
千狐さん、声は小さく……!!

千狐
はっ、そうでした……ごめんなさいなの……!

千狐
とにかく殿、大変です……。
すぐにあちらの方角へと向かってください……!

殿
…………?

千狐
はい、兜の霊気はもちろん……その付近には、城娘の霊気も……!

殿
…………!

柳川城
すぐに向かいましょう。
飯沼城さんの身に危機が迫っているかもしれません。

佐倉城
千狐さん! 案内をお願いします!

千狐
はい! こっちなのー!

やくも
(結局二人ともでっかい声で喋ってるだに……)

――――

飯沼城
はぁ、はぁ……。

兜軍団
城娘……討伐セヨ……。
   城娘……討伐セヨ……。
      城娘……討伐セヨ……。

飯沼城
なんという数……このままでは、
先にわたしの体力が尽きてしまいそうです……。

飯沼城
お願いです、道を空けてください!
わたしはただ、あなたたちの主さまにお会いしたいだけなんです!

飯沼城
…………。

飯沼城
(どこにいるのですか……氏康さま?)


隙ヲ見セタゾ! 今ダ、ヤレっ!

兜軍団
御意ッ! 御意ッ! 御意ッ!

飯沼城
っ!? 待って、わたしの話を――!!

佐倉城
危ないっ!!

佐倉城
はあああぁぁぁっ!!


ギャアアアアァァァ!!

飯沼城
さ、佐倉城さん? それに、あなたたちは……?

柳川城
間に合ったようですね……危ないところでした。

佐倉城
安心してください、飯沼城ちゃん。
さ、あとは任せて私たちの後ろへ……。

飯沼城
あ、でも……わたしは……!

佐倉城
飯沼城ちゃんの手当をする前に……殿。
まずはこの兜たちを一掃してしまいましょう。

殿
…………!

佐倉城
では殿、聡明なご下知をお願いいたします!

後半
佐倉城

やりました!討伐完了です♪

やくも
残った兜さんたちも、皆逃げ去っていっただに!

佐倉城
もう大丈夫ですよ、飯沼城ちゃん♪
安全な場所まで運んでさしあげますから、私に身を預けてください。

飯沼城
か、兜は……どこに……?

佐倉城
心配は要りません、皆倒してしまいましたから。
殿たちが力を貸してくださったお陰です。

飯沼城
皆、倒して……そう、ですか……。

飯沼城
仕方ないですよね……。
こうなってしまった以上、他に手立ては……。

飯沼城
でも、ぐす……うぅ、わたしには、そんなこと……ぐす……。

柳川城
飯沼城さん……大丈夫ですか? 気をしっかり……!

飯沼城
うぅ、氏康さま……どうして?
どうして、なのですか……?

飯沼城
うぅ……ぅ……。

飯沼城
…………。

柳川城
……気を失ってしまったようです。

殿
…………。

やくも
無理もないだに……うちらが来るまで、
ずっと戦いっぱなしだったんやろうし……。

千狐
ええ、そうね。飯沼城さんの力が消耗されて、
弱っているのが感じられるわ……。

千狐
少しでも早く回復するためにも……、
飯沼城さんに縁ある品を集めて、
力を得られれば良いのですが……。

やくも
縁ある品……。この格好を見るに、
忍と関係が深いように見えるんやけど……。

佐倉城
はい……彼女もまた、先程お話しした風魔一族に関わる城娘。
憧れの小峯城様に近づこうと日々鍛錬に励んでいる……、
以前、そう話していたことをよく覚えています。

千狐
なるほど忍ですか……でしたら、忍具……、
または忍の技を記した伝書……巻物のような物があれば、
うってつけなのですが……。

やくも
巻物……それがあれば、
飯沼城は元気を取り戻すんやね!
承知しただに!

佐倉城
…………。

佐倉城
それにしても、妙ですね……。

やくも
ん、何が妙なんだに? 佐倉城?

佐倉城
気のせいでしょうか……。
先程、兜に襲われている飯沼城ちゃんから、
抵抗の意志を感じられなかったのです。

佐倉城
それどころか、兜との対話を試みていたようにも見えて……。

柳川城
…………。

柳川城
私も同じようなことを考えていました。
飯沼城さんは元より、
兜を傷つける気がなかったのではないか、と。

千狐
それは……力を消耗して、
抵抗できなくなっていたのではなく……?

柳川城
そうとも考えられます……ただ、私たちが加勢に入った時点で、
飯沼城さんの手によって討伐された兜の姿は一体も見えませんでした。
それが先程から引っかかっていて……。

殿
…………。

殿
…………!

柳川城
……そうですね。
まずは飯沼城さんの傷を癒やすことを考えましょう。

やくも
だに! とにかく、身体を休められる場所に移動するがや!

蛇鱗貫く風魔の誓 -破-

一行が下総の地に到着してから数日。憂いを
帯びた表情を浮かべる飯沼城の姿を見つけた
佐倉城は、彼女に歩み寄り、声を掛ける……。

前半
――兜に襲われていた飯沼城を救出してから、数日後。

飯沼城の傷を癒やすため……そして、
いずれ襲来するであろう兜に備え、
一行は飯沼城の御城にて英気を養っていた――

飯沼城
…………。

佐倉城
飯沼城ちゃん……。

佐倉城
……もう、出歩いても大丈夫なのですか?

飯沼城
はい、皆さんのお陰ですっかり良くなりました。
立って歩くくらいでしたら、問題はありません。

飯沼城
ただ……城娘として戦場に立つまでは、
まだ時間がかかりそうですが……。

佐倉城
そうですか……。

佐倉城
空を見上げていたように見えましたが……どうかされたのですか?

飯沼城
はい……とんびが……。

佐倉城
とんび? ああ、確かに見えますね。
空の、遠くの方に……。

飯沼城
お部屋で休んでいたら鳴き声が聞こえたので、
様子を見ようと思ったんです……。

飯沼城
……皆、怯えているみたいです。
突然現れた、兜の軍勢に……。

飯沼城
中には、住処を追われた子も居るみたいで……。

佐倉城
…………。

佐倉城
飯沼城ちゃん、私は――

飯沼城
ねぇ佐倉城さん。
もう、どうにもならないのでしょうか?

飯沼城
兜との衝突を、避けることはできないのでしょうか……?

佐倉城
…………!
飯沼城ちゃん……。

飯沼城
分かっているんです。わたしが城娘として、
おかしなことを言っているということは……。

飯沼城
でもわたし……初めてのことなんです。
ここまで強く氏康さまの気配を感じるのは……。

佐倉城
氏康……? 北条氏康様ですか?
やはり、彼の名を冠する巨大兜が、此度の戦の発端だったのですね?

飯沼城
はい。まだ直接対峙してはいませんが……、
感じられるこの霊気は、氏康さまのものに違いありません。

佐倉城
そうですか……。

佐倉城
貴方にとっては……辛い戦になってしまいましたね……。

飯沼城
巨大兜の存在はこれまで、話には聞いていました。
兜たちを束ねる頭目のような存在であると。

飯沼城
そして……あの器には、
かつて名を馳せた将の魂を模したものが収められていることも……。

飯沼城
彼奴らの討伐は城娘にとっての悲願です。
より強い忍に、城娘にならんと……日々、鍛錬を重ねてきました。

飯沼城
……でも、よりによって氏康さまを相手に、
この力を向けることになるだなんて。

佐倉城
…………。

飯沼城
……氏康さまなんです。
器だろうと、許されざる仇敵であろうと、
わたしにとってはそうとしか思えないんです。

飯沼城
この方のためなら身命を賭してでも……。
かつてそう誓いを捧げた、主さまなんです!

佐倉城
…………。

佐倉城
殿にはもう、その話を……?

飯沼城
はい……昨日、お見舞いに来てくださった折に。

飯沼城
主さまからは、今はとにかく身体を休めるように、とだけ……。

飯沼城
それから腰に蛇を巻いた子……やくもさんと言いましたか。
あの子には、こっぴどく叱られてしまいました。

飯沼城
『どうしてそんなことが言えるんだに!
 自分の御城が襲われているのに……!』と……。

飯沼城
怒ったような、悲しんでいるような……。
複雑な表情を浮かべていました。

佐倉城
そう、ですか……。

飯沼城
……ねぇ、佐倉城さん。
わたしはどうすればいいと思いますか?

飯沼城
あなたがわたしの立場だったら……どうしますか?

佐倉城
…………。

――――

佐倉城
只今戻りました……。

千狐
佐倉城さん……。
飯沼城さんのお見舞いに行っていたのですか?

佐倉城
はい。辺りを散歩していたので、
少しお話しして……その後、お部屋までお送りしました。

佐倉城
今はまた……布団に入って身体を休めているはずです。

殿
…………?

佐倉城
はい……怪我の方はもうすっかり。
力も順調に取り戻しているようです。

佐倉城
ただ……心が酷く、弱っているようでした。

殿
…………。

佐倉城
悩んで、悩んで……答えなど出ないと、
分かっていながらもなお……悩み続けています。

千狐
風魔の影響を色濃く受けた、
飯沼城さんの業とでも言うべきでしょうか。
それが、此地を守るという役目と板挟みになっているのですね……。

佐倉城
…………。

佐倉城
私……何も言えませんでした。

佐倉城
あの子の震えた声を聞いていたら……、
何と言ってあげれば良いか、わからなくなってしまったんです。

柳川城
無理もありません。
主への忠義と、城娘としての使命……。
どちらを選ぶかなんて、あまりに難しい問いです。

千狐
…………。

千狐
ですが……この戦がどう転んでも、
飯沼城さんは何かを失う羽目になってしまうのですよね……。

やくも
…………。

やくも
今のうちには、巻物を集めることしかできんがや。
飯沼城の悩みをどうにかできたら良かったんやけど……。

千狐
気にすることないわ、やくも。
それは千狐だって同じことだもの。

千狐
千狐たちは、千狐たちにできることをやりましょう。ね?

やくも
だにぃ……。

千狐
さて……休憩もとったことだし、
また辺りを回って、飯沼城さんの回復に役立ちそうな巻物を――

千狐
――コンッ!?

柳川城
千狐さん……まさか、また兜たちが……?

千狐
どうやらそのようです。
大勢の兜が、こちらに迫っているのが感じられます……!

佐倉城
まったく……間の悪い輩ですね。

殿
…………。

殿
…………?

佐倉城
心配してくださるのですか、殿……。

佐倉城
お心遣い、ありがとうございます。
先程は少々取り乱しましたが、大丈夫です。

佐倉城
飯沼城ちゃんの苦しみは理解しています。
……ですが、兜に好き勝手を許すことなど、
できるわけがありません!

佐倉城
兜を討伐し、飯沼城ちゃんの代わりにこの戦を終わらせる。
……今の私たちにできることは、ただそれだけです。

柳川城
そうですね……飯沼城さんもお布団に入られたとのことですし、
お休みを邪魔しないようにさっさと倒してしまいましょう。

佐倉城
はい! 返り討ちにしてやります!

後半
佐倉城

やりました!これで周辺の兜は、皆――

千狐
まだ気は抜かないでください、皆さん!

千狐
先程よりも大きな力の接近が感じられます。
また、大勢の兜を引き連れて……!

佐倉城
大きな力? それって、まさか……!

北条氏康
後ひと押しのトコロと思ったが、マタ貴様らか。
マッタク、面倒事には面倒事が重なるものダナ……。

蛇鱗貫く風魔の誓 -急-

一行の前に姿を現した、巨大兜・北条氏康。
下総国に迫る危機を打ち払うべく、城娘たちと
共に出陣し、兜の軍勢を直ちに討伐せよ!

前半
北条氏康

後ひと押しのトコロと思ったが、マタ貴様らか。
マッタク、面倒事には面倒事が重なるものダナ……。

殿
…………!

千狐
とうとう姿を現しましたね……此度の元凶が……!

佐倉城
あれが……北条氏康の名を冠する巨大兜……!

佐倉城
許せない、飯沼城ちゃんをあんなに苦しめて……!

佐倉城
貴方は必ず、私の手で……!

柳川城
落ち着いてください、佐倉城さん!
殿のご下知があるまでは、まだ……!

北条氏康
佐倉城……千葉家の親胤ガ築城を試ミテいた、あの御城ダナ。
私に向けラレタこの怒気……何と凄マジイことか。

北条氏康
マァ良い……どれもこれも瑣末事に過ぎぬ。
如何ナル道程ヲ往こうとも、
タドリ着ク先は決まっておるのダカラナ。

北条氏康
私も貴様らも、所詮は傀儡……。
強者の決メタ筋書きに従う以外にナイノダ。

北条氏康
なぁ……貴様もソウ思ワヌカ、殿よ……!

千狐
コンッ!?
巨大兜のまとう力が、急激に増大していますっ!

柳川城
殿、合戦の準備を!

殿
…………!

後半
佐倉城

やあああぁぁぁぁっ!!

北条氏康
グウウウウォぉぉぉ!?

北条氏康
風向きが悪イナ。
ここは一度退キ、機ヲ改メルべきか……。

やくも
っ!! 巨大兜が撤退しようとしてるだに!

佐倉城
逃がすわけにはいきません! 後を追いましょう!

柳川城
待ってください、佐倉城さん!

柳川城
……相手も余力を残しています。
深追いすれば我々も、ただではすみません……!

佐倉城
で、ですが――

???
待ってえぇぇぇぇぇぇ!

北条氏康
ム……!?

佐倉城
……っ!?

佐倉城
今の声……まさか!

飯沼城
はぁ、はぁ……待って、ください……。

飯沼城
氏康さま……少し、
わたしの話を聞いていただけますか……?

北条氏康
…………?

佐倉城
飯沼城ちゃん、何をしているのですか!
相手は兜なのですよ!? すぐに退いて――!

飯沼城
待って、佐倉城さん!
わたし、どうしても……氏康さまと直接話がしたいの!

殿
…………。

北条氏康
(後詰が姿を現したかと思エバ、
 刃ヲ向けるデモナク、私に声を掛けてきたダト……?)

北条氏康
(ソレニこの城娘……マルデ脅威を感じぬ。
 力を失っている? イヤ、戦意が無イノカ……?)

飯沼城
氏康さま……わたし、飯沼城です。
この姿では、初めましてになりますが、
かつて、あなたの配下の御城としてお仕えしていました!

飯沼城
風魔孫右衛門さまの一党によって守護された、
常陸に向けての侵略の要!
城主には氏繁さまが任されておりました!

北条氏康
飯沼城。ソウカ……貴様がコノ御城の城娘ナノダナ。

飯沼城
……お聞かせください!
なぜこのようなことをされるのですか、氏康さま!

北条氏康
…………?

飯沼城
兜たちが人や城娘を敵視していることはわかります。
ですが……ただただ武力に訴えるばかりでは、
争いの火は勢いを増すばかりです。

飯沼城
このまま氏康さまが侵略を続けて……、
誰が救われるというのですか……?

佐倉城
…………。

飯沼城
わたしたちを攻め立てるからには、やはり目的があるのですよね?

飯沼城
あなたさまのお考えを聞かせてください……!

飯沼城
わたしは知りたいんです。
氏康さまのお心を……!

北条氏康
…………。

柳川城
(巨大兜が……思案している?)

柳川城
(応じるのですか?
 『知りたい』という飯沼城さんの求めに……?)

北条氏康
…………。

飯沼城
氏康さま……お願いです。答えてください……。

北条氏康
貴様……飯沼城と言ッタカ……。

飯沼城
え……ぁ、はい……!

北条氏康
マッタク……ナント哀れなことか。

北条氏康
コレマデ幾人もの城娘と相対してきたが、
お前ホド哀れで滑稽ナ城娘ハ……初めて目にかかる。

飯沼城
え……?

北条氏康
……ナゼこのようなコトをされるのですか、ダト……?

北条氏康
考えるマデもない。
ソレガ兜に与えラレタ役目だからに決まっているダロウ。

北条氏康
救いは無ク……意志モ意義モ無イ。
兜トハただ、そういう存在ナノダ。

飯沼城
……ま、待ってください、氏康さま!

飯沼城
確かに、今のあなたさまは兜……それは間違いありません。
ですがまだどこかに、氏康さまとしてのお心が残っているはずです!

飯沼城
お願いです……目を覚ましてください、
氏康さま! 氏康さまっ!

殿
…………。

北条氏康
目ヲ覚ませトハ、おかしなコトヲ言ウ。
……この氏康ハ、とうノ昔に正気だと言うノニ。

北条氏康
それに、モシお前の言うことが正シク……『目を覚ます』ことで、
カツテの記憶や意志ガ戻るとして、それが何ダト言う?

北条氏康
兜トシテの役目……それこそが我が運命。
私にトッテは、ソレダケが全てなのだ。

北条氏康
私の前ニハ、
タダ一本の道しか伸びてイナイノダ……!

北条氏康
この手デ貴様ラ城娘と人間どもを根絶やしにする、ソノ道だけガナ!

飯沼城
…………。

飯沼城
……そんな。

佐倉城
もうわかったでしょう、飯沼城ちゃん!
彼らには言葉など通じないのです!

佐倉城
ですからお願いです、これ以上はもう……!

飯沼城
嘘……嘘です……。

飯沼城
違う、氏康さまじゃない。
あの人は、氏康さまじゃ……。

北条氏康
必死ダナ、飯沼城……。
私が氏康デハナイと心底思っているのナラ、
躍起にナッテ私ヲ否定スル必要などないのデハナイカ?

北条氏康
お前モ理解しているのダロウ。
今ここにアル私の魂が……、
他デモない北条氏康に由来するものであるト。

飯沼城
…………っ。

北条氏康
見れば見るホド、哀レな城娘ダ……。
情ケを捨テルことも、自分ノ役目に服スルこともできぬトハ。

北条氏康
私のヨウニ定メに身を委ネテしまえば、
必要以上に苦しむコトもないというのに……。

北条氏康
ナドと……思イを馳せるコトにも恐ラク、
意味はないのダロウナ。

北条氏康
同ジなのだ。私ノ思いも、貴様らノ思いも。
……大イナルチカラを有した意志の前デハな。

北条氏康
サラバだ、哀れな雛鳥ヨ……。

北条氏康
次に会う時は、セメテ……、
苦シマヌように逝かせてヤロウ。


撤退、撤退ィーーー!

兜軍団
撤退ッ! 撤退ッ! 撤退ッ!

千狐
…………。

千狐
兜たちの撤退を確認しました……。

飯沼城
…………。

飯沼城
(……氏康さま)

殿
…………。

柳川城
大丈夫ですか、飯沼城さん?

飯沼城
ありがとうございます……主さま、皆さん。

飯沼城
無茶な真似をしたのに、
見守ってくれたこと……感謝いたします。

佐倉城
でも……大丈夫なの、飯沼城ちゃん?
あの巨大兜は、また此地に来ると……。

飯沼城
大丈夫です。もう……よく、わかりましたから。

飯沼城
他に道はありません。
わたしは氏康さまと……戦います。

殿
…………。

飯沼城
次の戦までには必ず……、
心の整理を付けて、戦線に復帰しますから。

飯沼城
それでは……失礼します。

やくも
…………。

やくも
飯沼城……行ってしまっただに……。

千狐
言葉の上では毅然とされていましたが、
本当に、次の戦に出陣できるのでしょうか……。

やくも
うちはこれ以上、飯沼城が傷つくところを見たくないがや……。

殿
…………。

佐倉城
でも、飯沼城ちゃんは……、
事実と向き合うことを選びました。

佐倉城
私は信じています。
飯沼城ちゃんが自分の足で、前に進むことを。

柳川城
そうですね。待ちましょう……。

柳川城
主に刃を向けるなんて……そう簡単に下せる決断ではありません。
……私にも、想像することくらいはできます。

殿
…………。

柳川城
背中を押すでもなく、手を引くでもなく……、
飯沼城さんが追いつくことを信じて、ただ待ちましょう。

柳川城
私たちに今できるのは、それだけです……!

蛇鱗貫く風魔の誓 -絶壱-

巨大兜との戦から数日。飯沼城の様子が気になって
仕方ない佐倉城は、ここ数日、何かと理由を
見つけては、彼女の私室へと立ち寄っていた……。

前半
――北条氏康の名を冠する巨大兜を退けてから、数日後。

佐倉城
飯沼城ちゃん、お昼の支度ができましたよー?
飯沼城ちゃーん?

飯沼城
すー……すー……。

佐倉城
あら……お昼寝されていたのですか。

飯沼城
すー……すー……。

佐倉城
ふふ、安らかな寝顔です。
……どんな夢を見ているのかしら。

佐倉城
最近はずっと、悩んだり悲しんだりが続いていますし、
夢の中ではせめて、心休まるひと時を過ごせていたらいいのですが――

佐倉城
――ふあ、ぁぁ……。

佐倉城
……いけない、飯沼城ちゃんの顔を見ていたら、
私まで眠くなってきてしまいました。

佐倉城
傍に居るとつい、うとうとと――

佐倉城
…………。

佐倉城
…………ぐぅ。

――――

――――

佐倉城
ぐー……ぐー……。

???
――くら城さん、佐倉城さん。

佐倉城
んぅ……むにゃ……。

飯沼城
佐倉城さん、起きてください!!

佐倉城
――はっ!?

佐倉城
あれ……もう夕方ですか?

佐倉城
いや、そもそも私……いつの間に部屋の外に……?

飯沼城
わたしも、突然のことで何が何やら――

鬼ヶ城
よぉし、俺様が説明してやろう!
ここはなんと物語の中なんだぜ! お二人さん!

飯沼城
――きゃっ!?

飯沼城
ななっ、なんですかあなたは、突然に!?

佐倉城
漂わせる、その霊気。
貴方……城娘、ですね?

鬼ヶ城
おう、そうだぜ! 俺様の名は鬼ヶ城!
熊野灘を仕切ってる城娘だ!

飯沼城
それで……『物語の中』というのはいったい……?

鬼ヶ城
あぁ、物語ってのは――いや、
『夢の中』って言った方が正しいのか、この場合……?

鬼ヶ城
まぁいいか、細かいことは!
どっちでも似たようなもんだしよ! はははっ!

佐倉城
(貴方も細かいことは分かっていないのですね、要するに……)

飯沼城
この場所がどこなのかは、ともかく……。
わたしたちはなぜ、突然こんな場所に来てしまったのでしょうか?

鬼ヶ城
なんでお前らが俺様に出会ったか、ってことか?
そりゃーきっと鬼だからだろ、あたしが!

飯沼城
お、鬼だから……ですか……?

鬼ヶ城
鬼将軍や鬼十河、鬼石曼子に赤鬼、青鬼……。
鬼の異名を背負った者は、いずれも負けず劣らずの猛者揃いだ!

鬼ヶ城
つまり、鬼って名は強さの象徴と言ってもいい!
強い奴は鬼の名を背負う! 昔っからそう決まってんだ!

鬼ヶ城
ってなわけで、俺様は……この『鬼』って概念への執着が、
お前たちをここに導いたんじゃないか、って推測してるぜ!

飯沼城
強さへの執着……。

鬼ヶ城
ま、理由は他にあるかもしれないけどよ。
なんせ世は節分だしな!

鬼ヶ城
二人はもうやったか? 豆まき!

佐倉城
豆まき……。
知識としては知っていますが、触れたことはないですね。
……飯沼城ちゃんは?

飯沼城
ま、豆まき……?
それはいったい、どんな行事なのでしょうか……?

鬼ヶ城
難しいことはないさ!
要は一種の厄除け祈願だな!

鬼ヶ城
鬼はそとー、福はうちー、つってな。
邪なもんを払って、今年一年が健やかでありますようにと願うわけだ。
そんで――

鬼ヶ島
あぁん? だーれが邪だって?
誰を外に追い出すってぇ~!?

鬼ヶ城
お、鬼ヶ島の姐さん!?
いやいや、今のは話の流れってやつでさ……。

佐倉城
鬼ヶ島? 姐さん……?

飯沼城
(今度はもっと怖そうな城娘が出てきました……!)

鬼ヶ城
聞いて驚け、二人とも!
こちらにおわす鬼ヶ島姐さんは、すごい城娘なんだぜ!

鬼ヶ城
なんせ、百鬼を束ねる幻想の御城として、
多くの物語で語られてるんだからよ!

飯沼城
鬼の住処……そう聞くと、
とっても恐ろしい場所のように思えてしまうのですが……。

鬼ヶ島
おいおい。そんなに怖がられたら、
アタシゃ悲しくなっちまうぜ、お嬢ちゃん。

鬼ヶ島
鬼っていうのは本来、
『強くて恐ろしい存在』を示した言葉に過ぎねぇんだ。

鬼ヶ島
鬼の中にゃ、悪事を働かず、
世のため人のために生きてる奴だっているんだぜ!

佐倉城
確かに……鬼の中には、
神として崇められてるものもいますね……。

鬼ヶ島
そういうこった!
ってことであんまり身構えず、仲良くしてくれると嬉しいぜ!

鬼ヶ島
とまぁ、挨拶も済んだことだし……、
次はアンタの話を聞こうじゃねぇか、お嬢ちゃん。

飯沼城
え……わたしの話、ですか?

鬼ヶ島
さっき鬼ヶ城もちょろっと話してたが、
アタシんとこに来る奴は……自分の弱さへの苦悩や、
強さへの憧れ。そういうのを抱えてる奴が多いんだ。

鬼ヶ島
だから……心に秘めてる淀みがあるんなら、
ここで吐き出していくといい。
アタシにできることがあるかもしれねぇからさ。

飯沼城
…………。

飯沼城
そう、ですね。
ではせっかくの機会ですし――

――――

飯沼城
――というわけなんです……。

鬼ヶ島
かつての主と、か……。

鬼ヶ城
…………。

鬼ヶ島
……そうか。そりゃ辛かったな。

鬼ヶ島
話を聞いてよく分かった。
お嬢ちゃんは、優しくて……誠実な城娘なんだな。

鬼ヶ島
だから今も、変わり果てた主に、
かつての尊敬を向けちまってる……。

鬼ヶ島
そしてお嬢ちゃんは、まだ心のどっかで願ってるんだ。
『主さまも城娘たちも幸せ、笑顔で溢れた大団円を迎えられたら』……ってな。

飯沼城
それは、わたしがまだ弱いから……。

鬼ヶ島
いいや。そいつは違うぜ、お嬢ちゃん。

鬼ヶ島
お嬢ちゃんがこれから先、どれだけ強くなっても……。
今持ってるそれは、決して捨てちゃなんねぇ。

鬼ヶ島
幾ら強くたって、そこに優しさと誠意が乗っかってなかったら、
ただの暴力になっちまうんだからよ。

飯沼城
それじゃわたしは、どうすれば……?

鬼ヶ島
正解なんてもんの無い問題だ……難しい話だよな。

鬼ヶ島
まぁ、ただアタシからお嬢ちゃんに言えることがあるなら、
選ぶことから逃げても、つまんないことにしかならないぜ……、
ってことくらいだな。

飯沼城
選ぶことから、逃げる……。

鬼ヶ島
確かに今、アンタの目前に伸びてる道はどれも、
不幸につながってるのかもしれねぇ。

鬼ヶ島
けどそれは……見方を変えりゃ、
『塞がってはいない』とも言えるわけだ。
不幸か、また別の不幸か……どれかを選ぶことができる。

鬼ヶ島
そんな中で……自分でぶちのめすか、
誰かにぶちのめしてもらうか選べるなら……、
自分でやる方を選びたいけどな、アタシは。

鬼ヶ島
ま、ぶちのめしにいこうとして、
逆にやられちまうかもしれないけどよ! はっはっは!

鬼ヶ城
そいつは笑えない結末だぜ、姐さん……。

鬼ヶ島
まぁとにかく! 要は思い切りだよ、思い切り!

鬼ヶ島
なんと言ったらいいか……ん~、言葉で伝えるのは難しいが――

鬼ヶ島
――そうだ、名案を閃いたぜ!
アタシが直々に、アンタを鍛え上げてやるよ!
模擬戦ってやつだ!

佐倉城
も、模擬戦ですかっ!?
……そんなこと、突然言われても……。

鬼ヶ島
そりゃ突然に決まってるぜ! 今閃いたんだからよ

鬼ヶ島
心の強さってもんは往々にして、戦での振る舞いに現れるもんだ!
アタシとの戦でぶつかりあえば、
アンタも少なからず得られるもんがあるはずだぜ、お嬢ちゃん!

鬼ヶ島
ついでにアタシは戦を楽しめる! 一石二鳥だ!

飯沼城
……そうですね。
それではここは、胸を借りる気持ちで一つ……!

鬼ヶ島
よぉし、そうと決まれば準備だ準備!
佐倉城も! さぁ、変身しやがれ!
鬼ヶ城もついでにかまってやるよ!

後半
鬼ヶ島

やるじゃねぇか。二人とも。
アンタたちの強さ……見せてもらったぜ。

鬼ヶ島
こいつはもう、お嬢ちゃんなんて呼ぶのは失礼ってもんだな。
付き合ってくれてありがとな、お二人さん♪

飯沼城
……こちらこそ、ありがとうございました。
鬼ヶ島さんからも、鬼ヶ城さんからも、
同じ城娘として、学ぶことが数多くありました。

飯沼城
それに……佐倉城さんもお疲れ様でした。
突然のことだったというのに――

佐倉城
ぐぅ……ぐぅ……。

飯沼城
えぇ、寝てるっ!?

飯沼城
急にどうしたのですか佐倉城さん、佐倉城さんっ!?

鬼ヶ島
起こさなくていいぜ。
……いや、起こしても無駄って言うべきか。

鬼ヶ島
一度元の世界に戻っちまったら、
こっちから幾ら呼びかけても、目を覚ますことはねぇんだ。

飯沼城
なるほど……。
元の世界での覚醒が近づいているのですね。

飯沼城
言われてみたら……わたしもどんどん、眠気が……。

鬼ヶ島
もう少し話ができたら良かったんだが……。
ま、さっきの様子を見た感じ、心配は要らないだろう。

飯沼城
ありがとうございました、鬼ヶ島さん。
わたし……やってみようと思います。
自分にできる限りのことを……!

鬼ヶ島
ああ、思いっきりやったらいいさ。
アンタの優しさと誠意を、そのいけすかねぇ巨大兜にぶつけてやれ♪

飯沼城
はい! わたし……忘れません!
ここで過ごした時間を、絶対に……!

鬼ヶ島
あばよ、飯沼城ちゃん。
いつかまた、どこかで再会できることを楽しみにしてるぜ。

飯沼城
はい。必ず……いつか、また――

飯沼城
すー……すー……。

鬼ヶ島
…………。

鬼ヶ城
……行っちまいましたね。

鬼ヶ島
ああ……。

鬼ヶ島
絶対に忘れない……か。

鬼ヶ島
ははっ、嬉しいことを言ってくれるじゃねぇか……飯沼城ちゃん。

鬼ヶ島
でも……いいんだよ、アタシのことは忘れたって。

鬼ヶ島
ここで得たものを覚えていてくれりゃ……アタシはそれで充分さ。

鬼ヶ城
姐さん……。

鬼ヶ島
頑張れよ……二人とも。

蛇鱗貫く風魔の誓 -離-

皆の協力の甲斐あって、飯沼城は無事に城娘
としての力を取り戻した。しかし一行は彼女の心に
巣食う問題への懸念をまだ、払拭できずにいた。

前半
飯沼城

…………。

飯沼城
それでは、参ります……。

殿
…………。

飯沼城
変……身っ……!

――――

飯沼城
……ふぅ。

飯沼城
久々の変身なので少々不安がありましたが、
問題はないようです……。

飯沼城
これも一重に、皆さんが巻物を集めてくださったお陰です。
ありがとうございます♪

飯沼城
これでわたしも憂い無く、次の戦に臨むことができます!

千狐
…………。

千狐
(良かったです、飯沼城さんが元気になって……。
 でも、千狐はそれを心から喜ぶことができません……)

千狐
(飯沼城さんがまた、先日のような辛い思いをするのかと思うと……!)

殿
…………。

柳川城
では、やはり……。
あの巨大兜と戦うつもりなのですね、飯沼城さん。

やくも
……だにぃ。

やくも
……辛いなら、何も無理して戦わなくても――

飯沼城
いいえ……戦いたいんです。辛くても、無理をしてでも……。

飯沼城
正直言うと……まだ、心の整理は付いてません。
きっとこの先も苦しむことはあるのだと思います。

飯沼城
……でも、それでもいいんです。

飯沼城
悩んじゃだめだ、迷いを捨てなきゃ……、
そんなことを考える必要なんて、始めからなかったんです。

殿
…………。

飯沼城
悩みも迷いも……わたしにとっては、
大事なものなんだって……今はそう思えるから。

千狐
飯沼城さん……。

佐倉城
飯沼城ちゃんがそう決めたのなら、止めたりなんかしません……。

佐倉城
この戦を勝利で飾るためなら私、
どんなことだって――ぐす、うぅぅ……!

飯沼城
さ、佐倉城さん? 泣いているのですか……?

佐倉城
だって、仕方ないじゃないですかぁ……。
飯沼城ちゃんの心境を思ったら、込み上げてきちゃって……!

飯沼城
佐倉城さん……。

佐倉城
勝ちましょうね、飯沼城ちゃん。
氏康様の名を冠する、あの巨大兜を……倒すんです。

飯沼城
はい、わたしも勝利のために力を尽くして――

飯沼城
――っ!?

飯沼城
……などと、言葉を交わしている余裕はないようですね。どうやら……。

やくも
それって、つまり……?

飯沼城
近づいてきているみたいです……兜たちが……。

千狐
分かるのですか、飯沼城さん?
千狐はまだ、何も感じませんが……。

飯沼城
はい……軍勢の規模は分かりませんが、
巨大兜の存在だけは、ありありと感じ取れます。
これも氏康さまとの縁ゆえ、でしょうか。

飯沼城
まだ距離はありますが、この御城へ着々と……。

やくも
それなら話は早いだに!
こっちから出向いて、迎え撃ってやるがや!

殿
…………!

柳川城
そうですね。
接敵することが分かっている以上、
手をこまねいている理由はありません。

佐倉城
ええ! 万全の準備を整えて、返り討ちにしてやりましょう!

飯沼城
…………。

飯沼城
主さま、そして皆さん……。
ここまで支えてくださり、本当にありがとうございました。

飯沼城
皆さんが居なかったら……私も、私の御城も、
とうの昔に滅ぼされてしまっていたと思います。

飯沼城
ですから主さま、ここからはその恩返しとして、
風魔の力を受け継ぎしこの飯沼城が、
あなたのために……力を尽くして働きます。

飯沼城
どのようなご命令でも……何なりと。

殿
…………。

殿
…………!

飯沼城
承知しました……それでは、参りましょう!

後半
飯沼城

はあぁっ!!


ギャアアアァァァァァ!!

千狐
飯沼城さん、凄い動きなの……!

やくも
だにぃ……!
忍のまねっこをしてるやっかいな兜さんまで、次々倒していくがや……!

飯沼城
忍の姿を真似ていても、所詮は兜!
わたしのこの目を欺くことはできませんよ!

佐倉城
ですが……兜の勢いが一向に衰えません!
もうかなりの数を倒しているというのに!

柳川城
まだまだ戦は長引きそうですね……!

飯沼城
そうですね……むしろ、本番はここから……!

殿
…………!

北条氏康
愚カナ城娘ドモが……。
仮初メの自由ガそこまで嬉シイというのか。

蛇鱗貫く風魔の誓 -結-

姿を現した巨大兜を前に、緊張が走る。
未だ割り切れぬ思いを抱える飯沼城だが、彼女は
それでも兜と対峙することを選ぶのだった。

前半
北条氏康

愚カナ城娘ドモが……。
仮初メの自由ガそこまで嬉シイというのか。

殿
…………!

佐倉城
やはり現れましたね。
北条氏康の名を冠する巨大兜……!

飯沼城
…………。

北条氏康
ホゥ……逃ゲ出シテはイナカッタのか、飯沼城。
その表情ヲ見ルニ、私を倒す決意を固メタようにはトテモ思えぬが……。

飯沼城
……そう、ですね。

飯沼城
やっぱり迷いは……捨てきれていません。
辛いことがあればまた、涙が溢れてきてしまうかもしれません。

飯沼城
でも私は……この戦の結末と向き合うって、決めたんです。

飯沼城
この先に何が待っていても、
自分の手で氏康さまを倒すって……決めたんです!

佐倉城
飯沼城ちゃん……!

北条氏康
まったく、理解に苦しむ……。
苦悩多キ道ヘト、自ラ足を踏み入れようトハ。

北条氏康
マァ良イ。それを望んでいるトイウノナラ、
私の手で幕を引イテやるとしようではナイカ。

北条氏康
城娘たちモ、殿モ……一人残らズ、
私ノ手で片付けてやロウ……!

後半
飯沼城

はあああぁぁぁっ!

北条氏康
うぐ、オォ……!?

やくも
巨大兜が膝をついたがや!

千狐
巨大兜の力が、弱まっています!

飯沼城
氏康さま……。

北条氏康
…………。

北条氏康
……見ルナ。

北条氏康
ナンダ……なんなのだ、その目は!

北条氏康
コノ後に及ンデなお貴様は、
私への情ケを捨テキレズニいるというのか!

北条氏康
ソノ目を向けるな!
情けの籠もった生ヌルイ視線ヲ、私に送ルナ!

殿
…………。

柳川城
(動揺している……北条氏康の名を冠する巨大兜が……)

北条氏康
無駄なのだ……強大ナチカラ、定めの前デハ、全てが無意味なのだ!

北条氏康
何代ニモ渡ッテ積み重ネテきた歴史モ……、
集め、鍛え上ゲタ軍も……崩レル時は一瞬! 一瞬だ!

北条氏康
如何ナル道程ヲ辿ろうトモ、
いずれ訪れる終ワリに逆らうことはできぬ! それが運命ナノダ!

飯沼城
…………。

飯沼城
だから氏康さまは……諦めることをお選びになったのですか?

北条氏康
ソウダ……諦観に至ルのは必定ダ。
苦シミ、迷いから逃レルための唯一の方策ナノだから!

北条氏康
貴様にはソレガ分からぬトイウノカ……飯沼城!

飯沼城
…………。

飯沼城
……分かりません。

飯沼城
わたしは……氏康さまのように優れた力も、
深き洞察力も持ち合わせておりません。

飯沼城
それでも……氏康さまが仰ることが正しいとは思えません。
諦めるのが正しいだなんて、思いたくありません。

飯沼城
だって、わたし……諦めなかったお陰で、
氏康さまとこんな風にお話しすることができました。

飯沼城
ほんの僅かかもしれないけど、氏康さまのお心を知ることができました。

飯沼城
わたしにとっては本当に……尊い時間でした。

北条氏康
……ソレガ仮初め、マヤカシだと言っているのだ。
私と貴様が言葉を交ワシタからといって……イッタイ何が――グゥっ!?

北条氏康
(ぬぅ……身体ノ自由がキカヌ……)

北条氏康
(……コノ器の崩壊が、迫ッテいるのか)

北条氏康
(…………)

北条氏康
(何故だ……分カラヌ。
 何故あの城娘の言葉は、コウモ私ヲ揺サブルのか……)

北条氏康
(何ナノダ、この行き場ノ見当たらナイ怒りの正体ハ……!)

北条氏康
(……怒リ? 怒リだと?)

北条氏康
(……ソウカ。
 私は今、怒ッテいるのか……)

北条氏康
(私は怒っていたノダ。
 他ナラヌ……私自身に……)

北条氏康
(忘レテいた……イヤ、忘れようとしていたのダロウ。
 目を背ケ、執着セヌようにと自らを抑え込ンデいた)

北条氏康
(ソノ結果がコノ有様か……ふ)

北条氏康
(コレに気ヅイテもなお、
 諦観を保っていられれば良かったのだが……。
 ドウヤラ、ソウイウわけにもいかないらしい)

北条氏康
マッタク、真に……面倒なことコノ上ナイ……!

北条氏康
うう……オオ……!

飯沼城
氏康、さま……?

北条氏康
ウウウおおおォォぉぉぉぉぉ!!

飯沼城
きゃあぁっ!?

佐倉城
飯沼城ちゃんっ!!

やくも
巨大兜が立ち上がっただにっ!?

千狐
そんな……ここにきて更に力を強めるだなんて……!

殿
…………!

柳川城
千狐さん……これはまさか、
巨大兜の魂の定着が……。

千狐
ええ、そうとしか考えられません……!

千狐
飯沼城さんとのやり取りをきっかけに、
巨大兜の記憶が呼び覚まされ……魂の定着が強まったようです……!

北条氏康
ふううううゥゥゥゥゥ……。

北条氏康
良イ……実に良イ気分ダ……。

北条氏康
あの御方にしてミレバ、
これも筋書きの一部ナノだろうが……それでも良イ。

北条氏康
叶ワヌと知りナガラ手を伸ばす。
……それが私の定め、ということなのダロウ。

飯沼城
氏康さま……。

北条氏康
しかし……ココに至ってしまった以上、
あの御方モ私を放置シテハおかぬだろう。

北条氏康
私の結末はモウ、目の前まで近づいている。
残された時間は、もう長クはナイ。

北条氏康
箱庭ノ傀儡に何がデキルかはわからぬが……。
せめて、最期はこの魂の……北条氏康の名に恥ジヌ姿を示したいものだ。

北条氏康
……サテ、撤退するぞ。

北条氏康
――イヤ、その前に……飯沼城。

飯沼城
…………?

北条氏康
お前には礼を言う。
ソシテ――お前と言葉を交わせたことを、嬉シク思う。

飯沼城
…………っ!

北条氏康
次に私が城娘たちと対峙スル際は、
雌雄を決する場となるだろう。覚悟してオクガ良い。

飯沼城
……はい。承知しました。

北条氏康
では……サラバだ。


撤退、撤退ィ――!

兜軍団
撤退ッ! 撤退ッ! 撤退ッ!

千狐
兜の撤退を確認……。

飯沼城
…………。

飯沼城
さようなら……氏康さま……。

佐倉城
…………。

佐倉城
去りゆく間際、あの巨大兜が見せた力……。

佐倉城
あれ程の力とも向き合わなければならないなんて……!

柳川城
はい……急激な霊力の上昇に一瞬、
武神化を果たしたのかという恐怖がよぎってしまいました……。

千狐
次に邂逅する時は、
今以上の力を得ているに違いありません……!

殿
…………!

飯沼城
すみません、皆さん……。
わたしのせいで氏康さまが力を増すようなことに……。

やくも
謝ることなんかないがや!
飯沼城は、飯沼城にできることをやっただけだに!

柳川城
そうです。
北条と縁のある城娘が各地で顕現している以上、
こうなることは避けられませんでした。

柳川城
ですから、飯沼城さんが責任を感じることはないのですよ。

佐倉城
そうですよ、飯沼城ちゃん!
ひとまず今は、この勝利を喜びましょう♪

殿
…………。

殿
…………!

飯沼城
…………。

飯沼城
そうですね……。
不安ばかりを数えていてはキリがありませんよね……。

飯沼城
……それでは皆さん、
今晩はわたしの御城で勝利をお祝いしましょう!

飯沼城
盛大におもてなししますから、
大いに楽しんでいってください♪

やくも
だにぃ~! お言葉に甘えまくるがやー!

蛇鱗貫く風魔の誓 -絶弐-

巨大兜を退け、下総国に平穏が訪れてから数日。
御城付近の森林にて飯沼城は一人、次なる
戦いに備えて自己の鍛錬に励んでいた……。

前半
――北条氏康の名を冠する巨大兜を退けてから、数日後。

飯沼城
はぁ、はぁはぁ……。

飯沼城
まだです。日が暮れるまであと少し……。
もっと、自分を追い詰めないと……!

飯沼城
次にまた、いつ戦が起きるかわかりません……。
その時に備えて、もっと過酷な――

???
……ちゃーー……ーん……!

飯沼城
……ん?

飯沼城
(今、誰かの声が聞こえたような……?)

飯沼城
…………。

飯沼城
気のせい……みたいですね。

飯沼城
思えば、一人になるのは随分久しぶりのような気がします。
良くも悪くも、ここ数日は騒々しかったですから……。

飯沼城
……佐倉城さんも、此度の顛末を周辺の御城に伝えるために、
この御城を発ってしまいましたし……。
わたしも成すべきことを成さねば――

玉縄城
飯沼城ちゃあああぁぁぁぁぁん!!

飯沼城
きゃあああぁぁぁっ!?

玉縄城
生きてますよね? お化けとかじゃないですよね?
幻覚とかじゃないですよね!?

玉縄城
いいえ、なんだっていいんです!
飯沼城ちゃんが無事ならなんだって!

玉縄城
会えて良かった……本当に良かったです。
あぁ、飯沼城ちゃん……!
もっと強く抱きしめさせてください!(ぎゅううぅぅぅぅ)

飯沼城
もが……っ! も、もごぉ……!?

平井城
ほっ……どうやら、
無事だったようね、飯沼城さん……。

玉縄城
平井城ちゃん、見えますか?
私が今抱きしめてる飯沼城ちゃんの姿が、見えていますかっ!?

平井城
ええ、もちろん見えてるわ。
……ただ玉縄城、そろそろその腕を緩めてあげた方が良いと思うわよ。

平井城
そのまま締め上げていたら、
飯沼城が天に召されてしまうから……。

玉縄城
……え?

玉縄城
きゃぁっ!?
ごめんなさい飯沼城ちゃん、今離しますから――

――――

飯沼城
……はぁ。

飯沼城
本当に天に召されるかと思いました……。

玉縄城
ごめんなさい、飯沼城ちゃん。再会できたのが嬉しくて……。

玉縄城
でも、安心しましたぁ……巨大兜の脅威を退けられたようで……。

平井城
私たちよりも早く、殿たちが救援に訪れていたのね。

飯沼城
はい……佐倉城さんが主さまに声を掛けてくださって……。

玉縄城
あたしたちも、もっと早く来れたら良かったんですけど、
遅くなっちゃってごめんね、飯沼城ちゃん……。

玉縄城
実はあたしたちの御城も兜たちに襲われてて、
そちらの対処に追われていたの。

飯沼城
なんと……そうだったのですか……。

平井城
…………。

平井城
(北条氏康の名を冠する巨大兜に起こった変化。
 そして活性化する兜……)

平井城
(これは、小田原城様と小峯城様にも、
 詳細を報告する必要があるわね……)

玉縄城
でも……飯沼城ちゃん。
しばらく会わない間に、随分逞しくなったんじゃないかしら?

飯沼城
逞しく……本当ですか?

玉縄城
ええ! 巨大兜との戦を乗り越えたことで、
一回り成長したんですよ、きっと♪

飯沼城
嬉しい……!
お褒めに預かり光栄です♪

飯沼城
ですが、まだまだ精進を続けねばなりません。
先日の戦いでも、自身の未熟さを思い知らされたばかり……!

飯沼城
今日も、今後の戦に備えて、
鍛錬に励んでいたところなのです。

玉縄城
戦を乗り越えたばっかりなのに、また鍛錬とは。
相変わらず飯沼城ちゃんはがんばり屋さんなんですねぇ……。

飯沼城
……あ、そうです!

飯沼城
玉縄城さま、平井城さま……。
もしよろしければ、なのですが、
わたしに一つ、稽古を付けてはくれませんか?

玉縄城
稽古ですか?

飯沼城
はい、一人でこなせる鍛錬にも限りがありますから……、
お二人の力を借りることはできないかと!

玉縄城
なるほど♪ そういうことなら、喜んで力を貸しましょう!

玉縄城
戦の救援には間に合わなかったことですし……。
稽古のお相手を務めてあげるくらいなら、お安いご用です!

飯沼城
ありがとうございます、玉縄城さま!

平井城
そんなこと言って……玉縄城。
あなたの本領は後衛からの支援なのだし、
飯沼城の手本になれるような動きは、見せられないんじゃないの?

玉縄城
えっ、それは……えーっと……。

玉縄城
いえ? そんなことはありませんよ!
何せ、五色備の赤を担うあたしには、
胸の内で燃えたぎるこの情熱がありますから!

玉縄城
そもそも、飯沼城ちゃんはあたしにとっては妹も同然!
この子の頼みを断る選択肢なんて、初めっから用意されていないんです!

平井城
(あなたの場合、
 情熱と行き当たりばったりを取り違えてる気がするんだけど……)

平井城
まぁいいわ。遅れてしまった埋め合わせをしたい、
という思いは私も同じだもの。

平井城
そして、何より……。
飯沼城の力になりたいという思いは、
玉縄城にだって負けていないわ♪

平井城
ということで……飯沼城。
その稽古、私もぜひ参加させてもらうわ。

飯沼城
はいっ! よろしくお願いします♪

平井城
私の槍と、城主譲りの軍略の知恵……。
惜しみなく見せてあげるから、好きなだけ盗んでいきなさい♪

玉縄城
ふふっ♪ なんだかんだ言いながら、
最後はちゃんと力になってくれるんですよね、平井城ちゃんは♪

平井城
さぁいくわよ、飯沼城! 準備はいい?

後半
平井城

ふぅ……ひとまず、ここまでにしておきましょうか。

飯沼城
ありがとうございました! 玉縄城さま、平井城さま!

平井城
日頃の鍛錬の成果は、確実に出ていると感じたわ。
これからもがんばってね、飯沼城。

玉縄城
ええ! 本当に素晴らしい動きでしたよ、飯沼城ちゃん♪

玉縄城
素早い身のこなしに、卓越した苦無さばき……!
つい……小峯城様の姿を重ねてしまった程です!

飯沼城
……そんな、恐れ多いです!
小峯城さんの足元に及ぼうだなんて、夢のまた夢ですし……!

玉縄城
この慌てよう……ふふっ、
小峯城様への尊敬は相変わらずなのですね♪

平井城
この様子はもはや尊敬……を通り越して、
崇拝に近いというか――

平井城
――あ、そういえばこの前、
小峯城様が飯沼城のことを気にされていたわよ。
『あの子はどうしているのでしょうか』って。

飯沼城
っ!? 小峯城さんがっ!?

玉縄城
風魔に縁ある城娘同士……特別な思いがあるのでしょう。
弟子のように思ってくれているのかもしれませんね?

飯沼城
で、弟子だなんて。それこそ恐れ多いです……!

玉縄城
ふふっ、飯沼城ちゃんったら可愛い。
途端に顔が真っ赤になってしまいました♪

玉縄城
成長して逞しくなった飯沼城ちゃんも素敵ですが、
わたわたしてる飯沼城ちゃんも、あたしは好きですよ♪

飯沼城
うぅ……からかわないでください……。

平井城
でも、真面目な話……一度顔を合わせて、
今後のことを話し合っておく必要はあるでしょうね。

飯沼城
今後の話……ですか?

玉縄城
そうね……。
北条氏康の名を冠する巨大兜が、力を高めたわけですから。

玉縄城
小田原城様、小峯城様はもちろんのこと……。
五色備を始めとする北条家ゆかりの城娘たちも含めて、
今後の方策を練る必要はあるでしょう。

平井城
魂と器の定着が高まったということは、
今後、兜の侵攻が更に苛烈になることが予想されますからね。

玉縄城
となれば、善は急げです。
小田原城様と小峯城様に宛てて手紙を送り、
判断を仰ぐことといたしましょう。

飯沼城
手紙ですね、承知しました。
すぐに準備いたします!

こうして……かつて北条配下にあった各地の城娘たちは、
近く訪れるであろう決戦に備え、動き始めるのだった――



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[裏]室町第

裏]室町第殿……ふふふ。どうせまた来るって、そんな気はしていたわ。私がどんなに忠告をしても、貴方は自分の信念を曲げない。本当に……つくづく、強い人ね、殿は。私のせいで、どれほど悪いことが起こっても殿は...

[裏]大宰府

]大宰府おお、殿か。よく来てくれたな。今な、手紙を整理しておったのじゃ。最近は毎日、誰かしらから届くのでな……。この手紙は……、『大宰府ちゃん親衛隊』を自称する者たちからじゃな。大野城、鞠智城、基肄城...

[裏]坂本城

]坂本城大殿様……また来たのね。ふふ……別に、追い返したりしないわよ。というより……私も今ね、大殿様と話せたら、って考えてたところだったの。だから……少しの間、私の話し相手になってくれるかしら?……ふ...

[裏]佐和山城

]佐和山城……また来たのね、あなた。足を運んでくれたところ悪いけど、面白いものは何も見れないわよ?相変わらず、大坂城様のらいぶに向けて、準備をしているだけだもの。……ん、なに?『なぜ、そこまで大坂城様...

[裏]伊勢長島城

]伊勢長島城も~、なんなのあいつら!信じらんない!寄ってたかってライブの邪魔をして!いったいどこから情報が漏れたの?もしかして、殿じゃないでしょうね……!?……そんなわけないか。あたしは、あんたにな~...

[花嫁衣装]鹿児島城

目次1 性能1.1 特技1.2 計略1.3 [改壱]計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< ロケト城 - [花嫁衣装]シャンティイ城 >[花嫁衣...

[花嫁衣装]鮫ヶ尾城

]鮫ヶ尾城はあ……春日山城サマの祝言、想像するだけでドキドキしてしまうっす!ね、ちびサマ~♪……ん?どうしたっすか、トノ?えっ、『主城のことより自分はどうなのか』っすか……?うぐ……これは痛いことを言...

[花嫁衣装]許昌城

]許昌城うーん……。ううーん……。……おや、殿か?すまない、考え事をしていて来訪に気づいていなかった。この間、殿と話してから、結婚に関して城娘達と話をしたのだ。繁栄という目的へ至る手段としての婚姻……...

[花嫁衣装]萩城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< [花嫁衣装]チャンドラ・マハル - [花嫁衣装]新田...

[花嫁衣装]秋田城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< 延岡城 - [花嫁衣装]ロンドン塔 >[花嫁衣装]秋...

[花嫁衣装]春日山城

]春日山城うーん……。……うーん? ……うん?……殿?すみません! お越しいただいていたのに、今の今まで気づかずにいて!実は先日、坂戸城と謙信公の昔話をしてたのですが、その際、跡継ぎの話題が出たのです...

[花嫁衣装]新田金山城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< [花嫁衣装]萩城 - [花嫁衣装]アイリーン・ドナン...