ストーリーテキスト/第八回名城番付

ページ名:ストーリーテキスト/第八回名城番付

目次

第八回名城番付[]

開始[]

――越前国、某所。

越前大野城
ふわぁ……むにゃ。

前田利家
――というわけなんです!
如何です、越前大野城。わくわくしてきませんかっ?

越前大野城
ええ……そうねぇ。
私もかなり……ウトウトしてきたわ……。

前田利家
……越前大野城。

越前大野城
もぉ~、ちょっとくらい許してよ……。
貴方にさっき叩き起こされたばっかりなんだから。

越前大野城
……それで、なんでしたっけ?
兜娘の皆さんが、私の御城を一度見てみたいと仰ってる……、
とか、なんとか……。

前田利家
ええ! 何せ貴方は、日の本に誇る天空の御城の一つですからね!
貴方の城主・金森長近は私とも浅からぬ仲。
これが自慢せずにいられるでしょうか♪

越前大野城
高く買ってくださっているのは、ありがたいけど……。
――他にも気になることを言ってたわよね、利家ちゃん?
番付を開く、とか……?

前田利家
そうです! ……というのも、貴方を自慢した流れで、
皆さんに火が付いてしまったようで。
私の御城こそが最も素晴らしい! いや、私デース! ……と!

前田利家
そこで各地で投票を募り、
その結果を以て決することとなったのです!

越前大野城
……え。

前田利家
……まず、兜娘一堂が各地に散らばり、それぞれ予選を行います。
そして、各地方で上位に入賞したものたちで再度投票!
そこで最終的な番付を決するわけですね!

越前大野城
なるほど……これはまた、
規模の大きい催しになりそうねぇ……。

前田利家
はい! 私もすぐに、ここを発たねばなりません!
北陸の御城を一番に押し上げるためにも!

越前大野城
大変ね……ふわぁ。
私も陰ながら、応援してるわぁ……。

前田利家
よろしく頼みましたよ。
直に、此地に投票札が集まり始めるでしょう。
開票作業で人手が必要になりますから。

越前大野城
うんうん、そうよね……それは大変――

越前大野城
――ん。ちょっと待って?
今、信じがたい言葉が聞こえたんだけど……。
開票作業を、どこで行うって?

前田利家
もう時間がありません、出立しなければ!
細かな段取りはこの目録にまとめてあるので、
目を通しておいていただければと!

前田利家
ではでは、また後ほど♪

――――

越前大野城
……これは、不味いことになったわねぇ。

ルール[]

<名城番付の遊び方①>

「投票札」を集めて「投票所」からお気に入りの城娘へ投票しましょう!
見事上位入賞した城娘には素敵なご褒美が……!?

さらに、投票数が一定数を達成する度に、
様々なアイテムや新城娘『★5越前大野城』などの
報酬が手に入りますので、奮ってご参加ください!

<名城番付の遊び方②>

合戦後に過去イベントの城娘が仲間になることがあります。
※番付専用出兵及び復刻出兵の開催スケジュールや
 ドロップする城娘の詳細はお知らせをご確認ください。

<投票期間について>

予選では城娘が7組のグループに分かれており、
好きな城娘へ投票ができます。

予選で上位にランクインした城娘たちは決戦へと進み、
決戦で入賞する城娘が決まります。

▼『予選』投票期間
→2月22日(火)定期メンテナンス終了後~3月1日(火)12:59まで

▼『決戦』投票期間
→3月1日(火)定期メンテナンス終了後~3月8日(火)12:59まで

予選投票期間中は、各難易度7マップずつ開放されます。
決戦投票期間中は、決戦の段が追加で開放されます。

<グループ分けについて>

各城娘は地域別に分かれた7組のグループに属しています。

日本からは各地域上位6位、
海外・その他からは上位9位以内にランクインした城娘と
特別枠1名の合計46名が決戦へ進みます。

※特別枠には決戦投票に進出しない城娘のうち、
 投票数が最も多かった城娘が選ばれます。

※同票で同じ順位の城娘が複数いる場合は、
 それらすべての城娘が決戦投票に進出します。

▼投票対象外について
季節限定城娘やコラボキャラクターなど、
一部の城娘とキャラクターは投票対象から除外されます。

<結果発表について>

投票の中間結果は、毎日13:00に集計され、14:00に発表されます。
決戦投票の結果発表は、3月8日(火)17:00を予定しています。

<投票札について>

「投票札」は名城番付の合戦クリアやログインボーナスで入手することができます。
1枚1票として「投票所」から好きな城娘へ投票ができます。
※同時開催の復刻出兵にて入手した投票札も投票に使用することができます。

予選期間中に獲得した投票札は、決戦投票には持ち越しはできません。
投票期間を過ぎると消滅してしまうので、忘れずに投票しましょう!

また、決戦投票期間中に入手した投票札は、
3月8日(火)の定期メンテナンス開始時に消滅します。
余った投票札は無駄になってしまうため、ご注意ください。

<入賞城娘について①>

投票数に応じた各賞に入賞した城娘には、
イメージ武器やモチーフ施設などのご褒美を後日実装予定です!
※固定武器を装備した城娘の場合、固定武器を強化します。

▼最終結果 1位
→[絢爛]城娘を後日実装予定!
 ★5イメージ武器を作成!

▼最終結果 2位~3位
→★5イメージ武器を作成!

▼最終結果 4位~10位
→★4モチーフ施設を作成!

▼御城賞 予選 各46位
→★4イメージ武器を作成!

▼激戦区賞 予選で投票数が最多だった地域
→その地域の城娘のみが装備できる施設を追加!

また、最終結果上位3位と御城賞に入賞した城娘、
自分が一番多く投票した城娘からの返礼品を
後日プレゼントボックスにお届けいたします!

<順位の繰り上げについて>

過去の人気投票にて入賞歴があり、既にイメージ武器が
追加されている城娘が入賞した場合、「下位の城娘」を繰り上げて、
該当する城娘にイメージ武器を実装いたします。

※元の入賞した城娘には、
 イメージ武器の代わりにモチーフ施設を実装いたします。

また、過去既に[絢爛]として実装されている城娘が入賞した場合、
こちらも「下位の城娘」を繰り上げて、該当する城娘を[絢爛]として実装いたします。

例1)最終結果1位が2度目の受賞かつ[絢爛]未実装の場合、
   1位を[絢爛]城娘として実装、4位の城娘に新武器を実装いたします。

例2)最終結果1位が2度目の受賞かつ[絢爛]実装済みの場合、
   2位を[絢爛]城娘として実装、4位の城娘に新武器を実装いたします。

例3)予選46位が2度目の受賞の場合、
  予選47位の城娘に新武器を実装いたします。

※最終結果上位4~10位で既にモチーフ施設が存在する場合は、
 別のモチーフ施設の追加を予定しております。
※施設については入賞歴がある場合も実装いたします。

※返礼品は本来の最終結果上位3位、御城賞に入賞した城娘、
 自分が一番多く投票した城娘それぞれから届きます。

<過去の入賞城娘>

これまでに開催された名城番付にて、各賞に入賞した城娘たちには
イメージ武器やモチーフ施設がご褒美として追加されました!

※プラハ城は、入賞歴がありますが過去に武器の強化を行ってないため、
 今回入賞した場合は、固定武器の強化の対象となります。

今回のランキングはどうなるのでしょうか……!?
それでは、名城番付をお楽しみください!

予選[]

越前大野城
――という経緯なんだけど……。

殿
…………。

柳川城
各地で一番の御城――もとい城娘を決める番付、ですか。

千狐
そもそも、『兜娘』なる存在が居ることも、
千狐たちにとっては驚きなのですが……。

やくも
やけど、聞いた感じだと悪い子じゃなさそうだに!

柳川城
武将の魂が、巨大兜とは違った形で作用した結果……とのことですが……、
日頃は、兜の討伐のために力を貸してくれているのですよね?

越前大野城
ええ……故郷への想いも強いし、
城娘たちにも良くしてくれてた。
私も利家ちゃんにはお世話になってたわ。だけど――

柳川城
此度の騒動。日の本――どころか、
異国をも巻き込んだ投票……ですか。

殿
…………!

千狐
ええ……千狐たちも座しているわけにはいきませんね。
事態がどのように転じるか分かりませんし、
私たちも各地に赴き、様子を伺うことにいたしましょう。

やくも
だに~!
ついでに兜娘たちにご挨拶するがや♪

越前大野城
ありがとう、助かるわ。
ずっと頭を抱えてたの……私一人でどうすれば、って……。

柳川城
それで……その投票というのは、
どのような段取りで進んでいくのですか、越前大野城さん?

越前大野城
ええと……利家ちゃんが残した目録によると――、
まず、各地で予選が行われるみたいね。

越前大野城
集めた投票札は、どの地方の城娘に入れてもいいが……、
予選の間しか使用できない。この点をゆめゆめ忘れないこと。
――とあるわ。

柳川城
予選期間で手にした投票札が使えるのは、予選期間中のみ。
後に行われる決戦投票では使えない……ということですね。

やくも
決戦に連れていきたい『推し城娘』が居るなら、
ちゃんすを逃したらあかん、ってことやね……。

千狐
お、推し……?

やくも
最近はそう言うらしいだに。

殿
…………!

柳川城
……規則の確認は以上ですね。
それでは各地に赴き、各投票所の様子を確認しましょう!

名城番付 伊達の陣初級の段

東北地方の某所。ここでも兜娘による先導の下、
投票が進められていた。その最中、兜娘の
思いつきが大きな波乱を引き起こす……!

前半

――東北地方、某所。

此地では早速、
一人の兜娘を筆頭にして投票が始められていた――

伊達政宗
――うむ! 順調、順調♪

伊達政宗
思った以上に滞りなく、ことが運んだな。
もう一波乱あっても良かったくらいだ!

白石城
何を言いますか。
私たちにとっては波乱続きでしたよ。
突然姿を現したかと思えば『投票だ!』などと言い出して……。

伊達政宗
む……それは悪いことをした。
盛り上がった勢いで開催が決まってしまったのでな、
無計画なところはあったと思う。

仙台城
まぁ、良いじゃないか白石城。私は楽しかったぞ。
たまには、こうした余興に精を出すのも悪くない。

白石城
そ、それは……もちろん私だって、
政宗様とご一緒するのは、楽しかったですけど……。

伊達政宗
うむ、これも城娘たちの協力があってこそだ。
感謝するぞ! 仙台城、白石城……それから、千代ちゃん!

千代城
……ぬぅ。政宗様はまた、
わらわのことを千代ちゃんなどと……。

伊達政宗
なんだ……未だに慣れぬのか?
どうしても気に入らないなら、別の呼び方を思案するが……?

千代城
……いや、呼ぶこと自体に異論はないのじゃ。
今は仙台城も居ることじゃしな。

千代城
しかし『千代ちゃん』はな。
そのような可愛らしい呼び名は、わらわには相応しくないというか……。

伊達政宗
ふふふ……。
相変わらず可愛い反応をしてくれるなぁ、千代ちゃんは。

伊達政宗
もう何度呼んだか分からんくらい呼んでいると言うのに、
その都度、顔を赤らめて恥じらってくれる……♪

仙台城
はぁ……。
あまり千代城をいじめないでくれよ、政宗様。

伊達政宗
……そうだな、今後は控えることにしよう。
あまり頻繁に呼びすぎると、恥じらってくれなくなってしまう。

白石城
そういうことじゃないと思いますけど……。

伊達政宗
……何にせよ、此度の投票は非常に良い経験となった!
城娘たちと協力する催しというのは、
アタシにとっても初めての試みだったからな。

千代城
うむ……。
後は、無事に投票が終わるまで見守るのみ、じゃな。

伊達政宗
これでアタシの御城が決戦に進んでくれたら、
言うこと無しなんだが……ん~、どうだろうな。

仙台城
私も同じ気持ちだが……。
そればかりは、票を投じる民に委ねるしかないな。

伊達政宗
だなぁ。伊達家の御城こそが一番、と言いたいところだが。
東北には名のある御城が少なくない。

伊達政宗
最上義光公の御城に、蒲生氏郷の御城……。
他にも数え上げればキリがない。いずれも劣らぬ名城ばかりだ。

伊達政宗
ま、それでもアタシは、
自分の御城たちが一番だって信じてるけどな♪

仙台城
政宗様……。

伊達政宗
……ん、待てよ?

伊達政宗
……ふふふ。

伊達政宗
喜べ、仙台城……。
アタシの頭に今、妙案が降りてきたぜ。

仙台城
妙案……?

白石城
嫌な予感しかしないです……。

伊達政宗
時に仙台城……お前、良い刀を持ってるな?

仙台城
うむ……戦場においては、
我が身を守り敵を討つ、掛け替えの無い相棒のような存在だ。

伊達政宗
……アタシもだ。
刀無しの人生なんか考えられねぇ。
刀の収集に凝ってたこともあったしな。

伊達政宗
そこで! これを使わない手はない、
アタシはそう思ったってわけだ!

仙台城
使う……? 私の刀と、政宗様の刀を?

伊達政宗
――ああ!
今はちょうど、票を投じるために、
民が列をなして並んでるだろ?

伊達政宗
こいつらに見せてやるんだよ。
アタシとお前のド派手な剣技をな!

千代城
なぁ、政宗様よ。一応聞いておきたいのじゃが。
これは剣技を見せるためのものであって……、
あくまで実践を模した稽古に過ぎない。そう考えて良いのか?

伊達政宗
安心しな!
流石に命を懸けさせるつもりはないぜ。

伊達政宗
もちろん、手加減をするつもりもないけどな!
ま、相手は仙台城だ。ちょっとやそっとで倒れたりはしないだろ♪

千代城
…………。

千代城
おぬしの予感は的中したようじゃぞ……白石城。

白石城
……はい。そのようです。

仙台城
……大丈夫だ。心配することはない。

仙台城
政宗様はああ言っていたが、ちゃんと考えているはずだ。
万が一の事態にはならないように、とな。

千代城
……そ、そうじゃな。相手は政宗様じゃしな。
ならば、そこまで不安を覚えることもないか……。

仙台城
……そもそも。
私もそう簡単にやられるつもりはないからな。

白石城
……え?

仙台城
このような機会はそうそうあるまい。
どちらの剣技が上か、明らかにしておいた方が都合が良いだろう。

仙台城
――では、出陣だ!

白石城
…………。

白石城
な、なんだか、
仙台城さんもだいぶ熱くなってるみたいなんですが……!

千代城
……見守るしかあるまい。
既に賽は投げられた。

伊達政宗
……お? どうやら覚悟はもうできてるみたいだな?
それじゃ、早速始めるぜ! 抜きな、仙台城!

後半

伊達政宗
おら、おらおらおらぁ!!

伊達政宗
太刀筋に力が通ってねぇ!
まさか、もうへばったりしてねぇよなぁ、仙台城!?

仙台城
戯言を! 私はまだまだ戦える!
政宗様の方こそ、油断していると足元を掬われるぞ?

仙台城
次はこちらが攻める番だ……!
はあああぁぁぁぁぁぁっ!!

殿
…………。

千狐
あぜん……なのー……。

越前大野城
到着したと思ったら、これはいったい……。

白石城
すみません……殿。
わざわざ足を運んでいただいて……。

白石城
ですが、心配には及びません。
投票自体は滞りなく進んでいますから……一応。

やくも
(と、滞りなくとは……?)

千代城
騒いではいるが、奴らは力比べを楽しんでおるだけじゃ。
無関係な民に危害を加えることだけは、決してしないじゃろう。

白石城
はい……ですので、
殿たちは次の投票所へと向かってください。
此地はもう大丈夫ですから……。

殿
…………。

柳川城
そうですね。
兜娘との挨拶も目的の一つではありますが……。

越前大野城
この様子じゃ、誰の声も届きそうにないものね……。

殿
…………!

千狐
承知しました。それでは出立いたしましょう。

千狐
……有事の際には、
遠慮なく頼ってくださいね、お二人とも。

千代城
うむ……その時には、甘えさせてもらおう。
ではな、殿。また会える日を楽しみにしておるぞ。

殿
…………!

名城番付 北条の陣初級の段

関東全域で行われる投票を配下の城娘たちに任せ、
小田原城たちは兜娘・北条氏康のもてなしに尽力
する。だが氏康はどこか不満げな顔を浮かべ――

前半

――相模国、某所。

ここでも、とある兜娘の提案に従い、
関東全域を舞台に投票が行われていた――

北条氏康
して……投票の進捗は如何ですか?

小田原城
万事順調ですよ、氏康様。
我らが北条家の城娘たちが、
関東各地に散らばり、役目を果たすべく力を尽くしています。

小峯城
ええ……投票の全てが完了し、
彼女らが集めた票が此地に集まるのも、時間の問題でしょう。

北条氏康
…………むぅ。

北条氏康
そう、ですか……。

小田原城
ですから、氏康様がご心配することは何もありません。
私たちと共に、相模国の観光をお楽しみください♪

北条氏康
はい……分かりました……。

北条氏康
…………。

北条氏康
……むー。

小田原城
…………。

小田原城
ねぇ、小峯城……。

小峯城
……ん、どうした?

小田原城
なんだか、氏康様……。
先程からずっと元気が無いみたい。
これって、私の勘違いじゃありませんよね?

小峯城
ああ、確かに。
私も先程からずっと気になっていた……。

小田原城
ですが、その理由を考えても思い当たるものがないのです……。
何か心当たりはありませんか、小峯城?

小田原城
私の見立てでは……ここまでのもてなしの中で、
何か手落ちがあったのではないか、と考えているのですが……!

小峯城
て、手落ち? わ、私も心当たりはないな。
私がやったことと言えば、自慢のかまぼこを贈ったくらいだが……。

小田原城
そうですか……。
それではやはり、私に原因があるのでしょうか。

小田原城
でも思い浮かぶことは……御城の案内と、相模国の観光。
それから、大好きなかまぼこを差し上げたくらい……。

小峯城
――小田原城も?
さ、さっきからかまぼこばかりじゃないか!?

小峯城
…………。

小峯城
……そ、そういえば飯沼城も、
土産としてかまぼこを贈っていたな。
『小峯城さんが贈るなら私も』と……。

小田原城
かまぼこばっかりじゃないですか~!!
揃いも揃って何をやっているんです、私たちは!?

北条氏康
…………。

北条氏康
……何やら二人とも、話に夢中な様子です。

北条氏康
……よし。
それでは、この機に乗じて――

小峯城
しかし……本当にそれが原因なのだろうか。
昨晩の夕餉の席……氏康様の様子を覚えているだろう?

小田原城
……た、確かに。

小田原城
……ちっちゃなほっぺたを、
パンパンに膨らませて、かまぼこを頬張ってましたよね。
美味しい、美味しいって言いながら……。

小峯城
謎は深まるばかりだな……。

小田原城
……では。いっそのこと、
直接伺ってみますか? 氏康様に……。

小田原城
従者たるもの、主の心の機微を察するのも役目のうち……。
ですが、今回はやむを得ません。

小峯城
そうだな……。
このまま不愉快な気持ちにさせ続けてしまうよりは、
幾らかマシかもしれない。

小田原城
……では、私からお聞きしましょう。
心の準備はよろしいですね?

小峯城
……ああ!

小田原城
それでは……こほんっ!

小田原城
氏康様っ、つかぬことを伺いますが――

小田原城
…………。

小田原城
……あれ?

小田原城
たたた、大変ですっ!
氏康様の姿がありません!?

小峯城
まさか……私たちが目を離している間に、
どこかへ行ってしまったのか……!?

小田原城
ど、どうしましょ……。
今頃、一人で迷子になって、べそをかいてるかも……!

小峯城
行くぞ! 北条家の城娘、総出で捜索だ!
一刻でも早く見つけるんだ!

後半

北条氏康
小田原城。それに小峯城も……。
……見つかってしまいましたか。

小田原城
……氏康様!

小峯城
……ありがとうございます、主!
ご協力いただいたお陰で、氏康様を見つけることができました!

殿
…………!

越前大野城
ふぅ……良かったわね。

柳川城
これで投票も再開できますし、一安心です……。

小田原城
申し訳ありませんでした、氏康様。
小峯城との会話に集中してしまって、
氏康様を蔑ろにするような真似を……。

北条氏康
いえ……私が勝手に、
辺りをうろついていただけですから。

小峯城
それでも、責任は私たちにあります!
貴方をお守りすることこそが、私たちの役目なのに、
主を放って、二人で話し込んでしまうなど……!

北条氏康
…………。

北条氏康
私を叱っては……くれないのですか?

小田原城
え……?

北条氏康
小田原城も小峯城も……私に言葉を返そうとしません。

北条氏康
投票が始まった時から、ずっとそうです。
一つの異論もなく、私の我儘に付き合ってくれている。
嫌な顔一つすることなく……。

小峯城
それは、他ならぬ氏康様の命ですから……!

北条氏康
そうですね……。
そなたらに命じたのは、他ならぬ私。そなたらの行いが、
私を思うがゆえのものであったことも……理解しています。

北条氏康
ですが……なぜでしょう。私は、寂しさを覚えたのです。
不意に、そなたらとの間に距離を感じ……悲しくなってしまった。
ふふ、自分勝手なものですね。

小田原城
氏康様……。

北条氏康
私の身には今……二つの魂が宿っています。

北条氏康
そなたらが敬愛する……北条氏康。
そして、氏康の魂と出会い、
役目に身を捧げることを選んだ『私』……。

北条氏康
両者の想いを切り分けることは、もはや困難です。
ですが……確かなこともあります。

北条氏康
私は……嬉しかったのですよ。
小田原城、小峯城。

北条氏康
そなたらが私を好いてくれていることが……心底、嬉しかった。

北条氏康
かまぼこも美味しかったですし。

やくも
……かまぼこ?

千狐
……どこに反応してるのよ。
もっと他に反応するべきところがあったでしょう。

殿
…………。

北条氏康
ゆえに私は、そなたらと仲を深めたかった。
かつてのそれよりも対等な……、
お友達のような関係でいられたらと、願ってしまった。

北条氏康
すべては私の自分勝手……ご迷惑をお掛けしました。

小峯城
……知りませんでした。
氏康様が、そのような想いを秘めていたなんて。

小田原城
…………。

小田原城
お友達のように、ですか。
そうですか……氏康様が私たちに、そのようなことを。

小田原城
……ですが、それを叶えるのだとしたら、今回の捜索騒動……。
不問に付すわけにはいきませんよね。

小田原城
北条家の城娘たちはもちろん、
殿たちにだってご迷惑をお掛けしているのですから。

小峯城
小田原城……。

北条氏康
……ええ、その通りです。

北条氏康
手加減は無しで頼みますよ。
そうすることで、初めて私の願いが叶うのですから……。

小田原城
分かっています……。
それでは遠慮なく、力いっぱい――!

(――がばっ!)

北条氏康
…………っ!!

小田原城
……氏康ちゃんのばかっ!
一人で勝手にウロウロして……!
(ぎゅううぅぅぅぅ)

小田原城
も~……私、ほんっとに心配したんですからね!
ほんとに……ほんとに無事で良かったですぅ……!
(ぎゅううぅぅぅぅぅぅううううう)

北条氏康
ぐふ……ぐ、苦じい……。
こ、こきゅ……呼吸がぁ……!

北条氏康
こ、降参です……分かりました……!
私が悪かったです……ですから、離してくださいぃ~……!

小田原城
いーえ、離しません!
私の想いを全て吐き出すまでは、絶対に!

越前大野城
…………。

越前大野城
……主と居城。兜娘と城娘。
変わったものと、変わらないもの……。
まったく……難儀なものね。

やくも
…………。

やくも
……かまぼこ?

千狐
いつまで言ってるの……。

殿
…………。

柳川城
……承知しました。次の地へと向かいましょう。
皆さんのお邪魔をしないよう、静かに……。

名城番付 前田の陣初級の段

北陸地方の某所に転移した殿一行を迎え入れる
兜娘・前田利家。加えて、利家に甲斐甲斐しく
世話を焼こうとする城娘が姿を現して……。

前半

――北陸地方、某所。

千狐
――コンッ! 転移成功なの!

柳川城
さて……兜娘らしき気を追って、ここまで来ましたが――

やくも
ま、また変な騒ぎになってたりしないだに……?

越前大野城
ここは北陸……となれば、
此地の投票を仕切っているのは、おそらく――

???
――おや。
そちらにいらっしゃるのは、もしや……?

殿
…………?

前田利家
貴方が……殿ですね。
ようこそいらっしゃいました。

千狐
貴方は、もしや兜娘の――?

前田利家
その通りです。私は、前田利家の魂を宿した者。
どうぞお気軽に利家とお呼びください。

前田利家
殿のお話は伺っております。
聞けば、投票開催の報を受けて以来、
各地を奔走し、問題が生じていないか確認してくださっているとか……。

殿
…………!

前田利家
……申し訳ありませんでした。
今更申し上げても、言い訳にもなりませんが……。
殿の手を煩わせるつもりはなかったのです。

前田利家
ですが、ここまで大きな催しとなっては、
城娘たちの協力は不可欠……。

前田利家
となれば、殿たちが動くのは当然のこと。
もう少し頭を働かせて、事前に断りを入れるべきでしたが、
話の勢いでつい、熱くなってしまって……。

越前大野城
……利家ちゃん。

殿
…………。

やくも
こんなに規模の大きい投票を催すんやから、
どんなお祭り娘が出てくるかと思っとったけど……。

千狐
真面目な方だったの……びっくりするくらいに……。

殿
…………。

殿
…………!

柳川城
そうですね。初めこそ驚きはしましたが、
私たちにとっても良い機会だった……と、
前向きに考えることもできます。

千狐
ええ! 結果的に、
兜娘の皆さんとの顔合わせも出来ましたからね。

柳川城
ですから……利家さん。気に病む必要はありません。
どうか存分に、この催事を楽しんでください。

前田利家
……ありがとうございます。
そう言っていただけると、気持ちも少し軽くなります。

越前大野城
それで……。
投票の進行は如何なの、利家ちゃん。
問題とかは起きていたりしない?

前田利家
ああ、それでしたら大丈夫です。
城娘の皆も快く協力してくれて――

???
――利家様、お茶が入りましたよ~。

???
――あら、お客様かしら?

殿
…………?

前田利家
――と、良いところにいらっしゃいました。

前田利家
殿、此方は小丸山城。私のかつての居城です。
此度の投票でも、真っ先に協力を申し出てくれました。

小丸山城
まぁ……貴方が殿くん?
初めまして♪ お会いできて嬉しく思うわ。

小丸山城
ちょうど良かったわ。お茶が入ったところだったの。
ささ、飲んで飲んで♪

殿
…………♪

前田利家
いつもいつも世話を掛けますね。
――と言いたいところですが……、
少々働き過ぎではありませんか、小丸山城?

小丸山城
……あら?

前田利家
毎朝毎晩……私より早く起き、私より遅く寝る。
知り合って以来、そんな生活をずっと続けているではないですか……。

小丸山城
いいのいいの♪
利家様をお傍で支えるのが、楽しくてやってるのよ。
好きなことをやってるんだから、疲れるわけがないでしょう?

前田利家
そうでしょうか……?

小丸山城
そうなの。いいから利家様は、
ご自分のお役目のことを考えて……ね?

前田利家
――む、そうでした。
投票の巡回を行う時間です。

前田利家
皆の親切に甘えてばかりではいけません……。
自らの足で、投票の様子を見て回らなければ。

やくも
おお♪ それじゃうちもご一緒するだに~!

殿
…………!

前田利家
……それはありがたい。皆さんとは、
まだまだお話ししたいことが沢山あったのです。

前田利家
それでは……我が故郷のご案内も兼ねて、
共に参るとしましょうか♪

後半

前田利家
――ふぅ。
何処にも問題は見当たりませんでしたね。
この調子なら、投票も無事に終えることができそうです。

やくも
だに♪ みんなの様子を見とったら、
うちまで投票の結果が楽しみになってきちゃったがや!

小丸山城
投票が済んだら、
北陸の各地から投票札を集めて、集計場に運んで……。

小丸山城
……ふふ、まだまだやることが山積みね!
ここから一層頑張らなくちゃいけないわ♪

越前大野城
……そ、そうだったわ。忘れてたけど、
各地の投票札は私の御城に集まってくるのよね……。

前田利家
……小丸山城。むしろ貴方は、
すでに頑張りすぎなくらいだと思うのですが。
やはり一度、長めの休みを取った方が……。

小丸山城
いいえ、そんな勿体ないことできないわ。
だって、目の前に利家様が居るのよ?

小丸山城
私ね……嬉しかったの。

小丸山城
利家様との再会が叶った時、
涙が出ちゃいそうになるくらい……嬉しかったのよ。

前田利家
小丸山城……。

小丸山城
『前田利家の出世城』なんて呼んでいただけるのは、
誇らしいことだと思っていたわ……でもね。

小丸山城
私が利家様と一緒に居られたのは、わずか二年のこと。
私の御城を発っていく貴方を見送って……それっきり。

小丸山城
なのに、利家様とこんな風に、
肩を並べて戦ったり、笑い合うことができるなんて!
こんな嬉しいことはないわ♪

前田利家
…………。

小丸山城
だから私は、今日も明日も利家様のために頑張るの。

小丸山城
いつかお別れの日が来た時……悔いることのないようにね♪

殿
…………。

柳川城
……利家さん。
私は部外者なので、
聞き流していただいて構いませんが……。

柳川城
可能な限り……小丸山城さんのご意思を、
尊重していただけないでしょうか。

前田利家
柳川城さん……。

柳川城
私には、小丸山城さんのお気持ちが理解できます。

柳川城
もし私が……小丸山城さんと同じ立場だったら、
同じようにしていたと思うのです。
ですから……お願いします。

前田利家
…………。

前田利家
……承知しました。
ひとまず、小丸山城のやりたいようにしてもらいましょう。

前田利家
……ですが、無理は禁物ですからね。小丸山城?

小丸山城
分かってますとも。
体調を崩したら、
利家様の傍に居られなくなっちゃいますから♪

越前大野城
――さて。
そろそろ、次の投票会場へと向かいましょうか。
お願いできるかしら……千狐ちゃん?

千狐
――はい、承知しました!
それでは殿、出立の準備を始めましょう!

名城番付 石田の陣初級の段

近畿地方の投票会場は妙な緊迫感に包まれていた。
殿一行と現地の城娘と、兜娘・石田三成。どこか
ぎくしゃくとしたやり取りをする彼女らだが……。

前半

――近畿地方、某所。

殿
…………。

石田三成
…………。

村人たち
(ざわざわ……ざわざわ……)

やくも
うひぃ……。

やくも
なんだか、ここ……他の投票所よりも、
随分賑わっとる気がするんやけど……気のせいだに?

柳川城
はい……人の数が尋常ではありません。

千狐
行列もすごい長さなの……。

佐和山城
無理もあるまい。織田に豊臣、徳川……そして石田。
力を持った勢力の御城が、集中しているのだ……。

敦賀城
いわば激戦区……。
票を投じる民の熱が高まるのも必然。

石田三成
だが、心配は要らぬ。
私が今もこのように、
問題が生じないかと目を光らせているのでな。

殿
…………。

柳川城
そ……そうですか、それは安心ですね。

石田三成
……うむ、そうだ。安心なのだ。

殿
…………。

石田三成
…………。

柳川城
(先程から……)

石田三成
(間が持てんなぁ……)

石田三成
……こほんっ。

石田三成
何やら、先程から空気が張り詰めているな……。
皆、もう少し肩の力を抜いてもらいたいのだが。

佐和山城
言葉を返すようだが、その空気は……正しく、
貴殿が発しているものだと思うぞ、三成様。

石田三成
わ、分かっている。
だから先程から言っているのだ……、
肩の力を抜いてほしい、と。

殿
…………。

石田三成
今の私は兜娘……、
お前の手足となって動くべき立場なのだ。

石田三成
いちいち遠慮していては、この先不都合もあろう?

柳川城
そ、そうは言いますが……。

石田三成
……まぁ、そう簡単にはいかぬだろうな。
難しい要求をしていることは、理解している。

石田三成
(仮に、私が殿下から同じようなことを言われたとしても、
 それをすぐさま行動に移せるとは思えんしな……)

石田三成
(しかし……このままで良い、とも思えぬ。
 はて、どうするべきか――)

若い男
――俺じゃねぇよ!
後ろの奴がぶつかってきたんだ!

石田三成
……む?

壮年の男
どうだかな……どうせ、
自分が投票する御城が負けそうだからって、
俺を列から押し出そうとしたんじゃねえのか?

若い男
冗談じゃねぇ!
そんなことしなくても俺の――城ちゃんは、
絶対に負けねぇ! 近畿の予選だって易易と突破して――!

村人たち
(がやがや、がやがやがや……!)

やくも
が、がやがや……。

佐和山城
……なんだ? 言い争いか?

敦賀城
はい……列の中で小競り合いが起きているようです。
また、そこを中心にして周囲にも混乱が広がっている様子……。

石田三成
……こういう事態に陥った時、
群衆の混乱は驚くほどの速さで拡散していく。

石田三成
不味いな。
下手を打てば投票の進行もままならん。
……すぐに動くぞ。佐和山城、敦賀城。

佐和山城
うむ、承知した。

敦賀城
御意のままに。

殿
…………。

殿
…………!

石田三成
いや……手伝いは無用だ。
そもそも、兜娘の勝手で始まったもの。
ここでお前の手を煩わせるわけには――

石田三成
…………。

石田三成
――いや。そうか……そうだな。

石田三成
……気が変わった。
ここはお前にも力を貸してもらうことにしよう。
頼めるか、殿?

殿
…………!

柳川城
――はい、承知しました!
騒ぎの中心へと向かいましょう!

後半

柳川城
ふぅ……やっと落ち着きましたか。

敦賀城
驚きましたね……騒ぎを治めるのに、
ここまで手こずることになるとは。

佐和山城
今の我らが民の願いに支えられていると考えれば、
この熱量……納得できるところもあるがな。

千狐
なんにせよ、大事に至らず安心しました……。

石田三成
……ふっ。

石田三成
ふ、ふふ……ふはははっ……。
揃いも揃って、人混みに揉まれて右往左往か。
皆、全身砂埃まみれじゃないか。

石田三成
だが……今の私には相応しい格好かもしれぬな。

殿
…………。

石田三成
巡り合わせ……。
全ては巡り合わせなのだ……殿。

石田三成
確かに……かつて、この三成は、
お前にとって敬うべき立場にあったのかもしれない。

石田三成
だがそれは偶然の産物。
運命の悪戯によって、お前の数歩先を歩んでいたに過ぎない。
そして、今の私とお前も同じこと。

石田三成
皆を統べる主……。
そして兜娘という身を得た私。
過去は過去、今は今だ。

殿
…………。

石田三成
私とお前の関係は、
そう簡単に変わるものでもないとは思うが……。

石田三成
私は今後も……今日のような思い出を、
増やしていけたらと願っている。

石田三成
何かを無理強いするつもりは無い。
だが、私がそう思っているということくらいは、
心に留めておいてほしい。……頼めるだろうか?

殿
…………。

殿
…………!

名城番付 毛利の陣初級の段

中国地方で催される投票の状況を伺いに来た、
殿一行。そこに猛然と駆けつける吉田郡山城。
どうやら誰かを探している様子の彼女だが……?

前半

――中国地方、某所。

吉田郡山城
あら、あらあら?
そこにいらっしゃるのは、もしや殿ではありませんか?

殿
…………!

千狐
吉田郡山城さん! こんにちは!

やくも
お久しぶりだに~♪

吉田郡山城
不躾で申し訳ありませんが……。
皆さん、元就様の姿を見てはいませんか?

柳川城
元就様……ですか?

吉田郡山城
ええ。中国地方に名高き、
毛利元就様の魂を宿した、兜娘の一人です!

吉田郡山城
長い銀髪とおでこがとっても素敵な、
可愛らしい子なのですが――

吉田郡山城
――って、その疑問が浮かぶということは、
ご存じない、ということですね……。

吉田郡山城
はぁ……本当に、どこに行ってしまったのかしら。

吉田郡山城
お邪魔しました……。
申し訳ありませんが私、先を急いでおりますので。
……では!

(ぴゅーーーーーーー)

殿
…………。

越前大野城
――もう大丈夫よ、元就ちゃん。

毛利元就
(ひょこっ)

毛利元就
……ふぅ。
すみません。ご迷惑をお掛けしました。

千狐
ご迷惑だなんて、とんでもないです。
なんと言えばいいか……た、大変そうですね、凄く……。

毛利元就
最初、『おはようからおやすみまでご一緒します♪』
と言われた時には……、
一つのたとえかと思っていました。ですが……。

毛利元就
本当に朝から晩まで傍に居るものですから……。

やくも
……ちょっとした恐怖体験だに。

殿
…………。

毛利元就
彼女の手から逃れることは、
此の身に宿した、毛利元就の知略をもってしても難しい。
逃れようと隠れようと、立ちどころに看破されてしまうのです。

越前大野城
大変ねぇ、それは……。
私たちにも何か力添えができたらいいんだけど。

やくも
……むぅ~。
にしても、一つ腑に落ちんことがあるんよね……。

柳川城
腑に落ちない……ですか?

やくも
吉田郡山城がご執心だったのは、幼い城娘のはず……。
やけど、元就が幼いようにはとても見えんがや。

越前大野城
んー、そうかしら? 私の目には、幼く見えるけど。
吉田郡山城が言っていた可愛らしい子、という評もしっくりくるわ。

毛利元就
――っ!?(びくっ)

越前大野城
いや、怖がらないで大丈夫よ。
私は素直な感想を口にしただけだから……。

毛利元就
……すみません、つい。

千狐
『私の心が震えたら、それはもう幼き城娘なのです』
以前、耳にした話では、
吉田郡山城さんはそんな風に仰っていたそうです……。

柳川城
加えて、毛利元就といえば吉田郡山城さんにとっては縁の深い御方。
容姿に関わらず、我が子のように愛情を注ごうとすることにも、
納得できるところはありますが……。

吉田郡山城
……そうですねぇ。
実を言うと……私自身にも、明確な線引きはできていないのですよ。
やはり、感情とは理屈よりも先に動いてしまうものですから。

毛利元就
――っ!?

越前大野城
ふむ……結局のところ、
真相は吉田郡山城ちゃんの心のみぞ知る、ということね。

吉田郡山城
そういうことですね、ふふっ♪

越前大野城
――って、吉田郡山城ちゃん!
どこから出てきたの!?

毛利元就
(だだだだだだだ)

千狐
元就さんっ!!

吉田郡山城
もー、元就様ったら……。
そんなに慌てて走ったら、転んじゃいますよ。

吉田郡山城
何度も言っているじゃありませんか。
そんなに急いでるなら、
私が抱っこして運んであげる……と。

吉田郡山城
これはいけませんね。
お怪我をしてしまう前に、私が保護してあげないと――!

やくも
――ああっ!?
吉田郡山城が元就の後を追っかけ始めたがやっ!!

殿
…………!

柳川城
承知しましたっ!
私たちもお二人の後を追いましょう!

後半

越前大野城
見つけたわ!
元就ちゃんと吉田郡山城ちゃんはあそこよ、殿!

殿
…………!

毛利元就
はぁ、はぁ……。

毛利元就
追い詰められましたか……っ!

吉田郡山城
…………。

吉田郡山城
……元就様。

吉田郡山城
元就様は……そんなに、
私と一緒に過ごすのが嫌なのですか……?

毛利元就
…………。

吉田郡山城
ごめんなさい……私、
元就様とお会いできたのが嬉しくて……本当に嬉しくて。

吉田郡山城
その想いが高じて、
つい、周りが見えなくなってしまっていたみたいで……。

千狐
(『つい』で済む程度を超えている気がするの……)

吉田郡山城
でも……元就様がご迷惑だと言うなら、私も改めます。
遠くから、こっそり見守るだけ……とか。
ですから、許していただけないでしょうか?

柳川城
(遠くからでも監視は続けるのですね……)

毛利元就
……吉田郡山城。

毛利元就
私からも……謝らせてください。

吉田郡山城
…………!

毛利元就
本来なら……逃げ回ったり、隠れたりする前に、
もっと貴方と言葉を交わすべきでした。

毛利元就
なのに私は、貴方がその――若干危険だと、
一方的に決めつけてしまっていた……。

越前大野城
(その判断は、あながち間違ってはいないような……)

毛利元就
思えば……貴方が傍に居ることで、
助けられていることは、沢山ありました。

毛利元就
貴方は、自分の役目だってあるはずなのに、
兜娘としての力を得て、右も左も分からない私を支えてくれた。

毛利元就
中国、四国における投票が順調に進んでいるのも、
貴方が中心になって協力してくれたからこそ。
本当に……感謝しています。

毛利元就
……ですから今後は、言葉を交わしながら、
お互いにとって適切な距離感を――

吉田郡山城
――ええ、そうですね!
こういうのは、メリハリが大事ですから!!

吉田郡山城
会えない時間が、想いを育てる……。
元就様はそういうことを言いたかったのですよね?

殿
…………?

やくも
……そ、そうなんだに?

毛利元就
いえ、私が言いたかったのは――

吉田郡山城
――それでは、元就様。
早速……抱っこさせてもらってもよろしいでしょうか?

毛利元就
……すみません。
『それでは』の意味がよく分からないのですが……。

吉田郡山城
メリハリの『ハリ』ですよ!
最近は全く元就様と触れ合えてません!
ですから、しっかり均衡を取らなければ!

毛利元就
き、均衡……?

毛利元就
…………。

毛利元就
……まぁ。

毛利元就
節度を守るというなら、今日くらいは……。

吉田郡山城
(がばっ!)

吉田郡山城
はぁ、はぁ……!
元就様ぁ……すん、すんすんすん……。

毛利元就
ゃ、吉田郡山城……ちょ、
息が荒いのですが……?

吉田郡山城
すんすんすん……すんすんすんすん……。

殿
…………。

やくも
あのぉー、結局のとこ、
なんにも解決しとらんような気がするんやけど……?

越前大野城
とはいえ、元就ちゃんの反応も、
まんざらでもない感じに見えるわねぇ……。

柳川城
深い縁で結ばれているのは、元就さんから見ても同じ。
仲良しでいたい気持ちはあった……ということかもしれませんね。

越前大野城
元就ちゃんの言う『適切な距離感』に落ち着くかは、
まだ分からないけどね……。

殿
…………。

千狐
そ、そうですね。千狐たちは今のうちにお暇しましょうか。
投票も滞りなく進んでいるようですし……。

名城番付 黒田の陣初級の段

殿一行を迎えるなり、盛大な酒盛りを始めた
兜娘・黒田長政。先行きに不安を抱えたまま
殿たちを見守る城娘たちだが、果たして――?

前半

黒田長政
ごく、ごくごくごくごく……。

黒田長政
……くぅ~~~~~♪

黒田長政
ん~、美味いっ! ほんっとに、
伊丹城ちゃんには感謝しないといけませんねぇ♪

殿
…………。

黒田長政
えへへ……お殿様ぁ、楽しんでおいでですかぁ?

殿
…………。

殿
…………!

黒田長政
うんうん、それなら良かった♪

黒田長政
せっかくお会い出来たんですからぁ、
今日はめいっぱい楽しんでいってくださいね♪

殿
…………!

殿
…………。(ぐびぐびぐび)

黒田長政
おぉ~、良い飲みっぷり!
惚れ惚れしちゃいます♪

やくも
…………。

やくも
……千狐。

千狐
……ええ。
これは不味いことになってしまったの。

有岡城
すみません、皆さん。
長政様は以前より大の宴好きで……。

千狐
……九州地方の投票はすでに完了が見えているとのことですし、
千狐たちはそろそろ次の地へと向かいたいところですが……。

越前大野城
そう簡単に席を立てる雰囲気じゃ……ないわよねぇ。

柳川城
ご心配には及びませんよ、越前大野城さん。

柳川城
長政さんの宴に参加することは殿が決断したのですし、
私たちも一緒に楽しんでしまいましょう。

福岡城
ふっく~も宴は大好きだよ~!
あとね、お酒を飲んでる長政タンも陽気で大好き~♪

有岡城
……福岡城さんは、わたしの傍から離れないでくださいね。
それから、わたしが淹れたお茶以外は、くれぐれも口にしないように。

福岡城
は~い♪

越前大野城
貴方も大変ね……有岡城ちゃん。

有岡城
いえ、今となっては慣れたものです。
ですが、皆さんにとっては間が悪かったですね……。

有岡城
お友達の伊丹城ちゃんが時々、
故郷の伊丹酒を差し入れてくれるのですが、
長政様は以前からこれを大層気に入ってらして……。

有岡城
飲みすぎないように、と言って聞かせているのですが、
ちょっと目を離した隙に、伊丹城ちゃんと酒盛りを始めていたらしく……。

千狐
そうだったのですね……。

やくも
で、その伊丹城はいったいどこに……?

有岡城
分かりませんが……おそらく、
わたしの接近を察知して、逃げ出したのでしょう。
叱られることは分かりきっていますからね。

越前大野城
……まぁ、こうなってしまったら腹を決めるしかないわね。
柳川城ちゃんが言った通り、殿も宴には乗り気のようだし。

柳川城
はい、そうですね。
ですから私たちも、息抜きだと思ってこの宴を――

殿
…………!(ぐび、ぐびぐび)

殿
…………♪(ぐびぐびぐびぐび)

柳川城
…………。

柳川城
……すみません。訂正させてください。

柳川城
頃合いを見計らって、
殿を止めた方が良いような気がしてきました。

有岡城
ふふ……大丈夫ですよ、柳川城さん。

有岡城
(ご安心ください。
 殿の飲み物はお水にすり替えておきましたので)

有岡城
(直に長政様が酔いつぶれて、宴はお開きになるはずです)

柳川城
なんと、そうでしたか。
流石です、有岡城さん……!

黒田長政
は~、最っ高♪
貴方と一緒にお酒を楽しめるなんて。

黒田長政
お酒も美味しいし、今日は本当に良い日です。
ぐび、ぐび……ぐび――

黒田長政
――ん?

黒田長政
なにこれぇ! 水じゃないっ!?

黒田長政
大変です、有岡城!
誰かがこの宴に、水を混入させていますよっ!?

有岡城
何もそんな勢いでまくしたてなくても。
毒を盛られたわけじゃないのですから……。

黒田長政
む……まぁ、言われてみればそうですね。

黒田長政
ただ一瞬、嫌な想像が頭をよぎってしまったのですよ。
お殿様が今までずーっと、
水を飲んできたんじゃないか……ってね。

殿
…………。

柳川城
(す、鋭い……)

黒田長政
――ぃよ~し、では気を取り直して!
宴はここからが本番ですよ!

黒田長政
さぁお殿様、付いてきて!
お庭に出掛けましょう!

殿
…………?

黒田長政
部屋の中でじっとしてるだけなんて、面白くないです!
青空の下で歌でも歌いましょ♪

福岡城
あははっ、ふっく~も一緒に歌う~!

黒田長政
ん~……良いでしょう! 許可します!
それではお庭に向けて、出発しんこ~♪

殿
……――っ!?

柳川城
……た、大変ですっ!
殿が連れ去られてしまいましたっ!

やくも
ま~たとんでもない酒豪が現れたもんだに。
これまで出会ってきた城娘たちにも劣らないがや……。

越前大野城
言ってる場合ですかっ!
すぐに後を追い掛けましょ、殿を取り戻すの!

後半

[兜娘]黒田長政
すぴー……すぴー

[兜娘]黒田長政
えへへ、お殿様ぁ……もっと歌いましょー……。

有岡城
やれやれ……ようやくお休みになりましたか。

柳川城
これにて宴はお開き……ですね。

福岡城
え~、もうおしまいなの?
ふっく~はまだまだ歌い足りないのに~。

有岡城
ふふっ、わたしが後でお付き合いしますよ。

有岡城
その前に、お手伝いをお願いできますか?
長政様を床の間まで運ばなければなりません。

福岡城
うんっ、わかった~♪

有岡城
皆さん……此度はお付き合いいただき、
ありがとうございました。

有岡城
あの……信じてはもらえないかもしれませんが、
いつもはここまで酔ったりはしないのですよ?

やくも
まったく信じられんだに……。

有岡城
……ですよね。

有岡城
やはり……殿とご一緒できたのが相当嬉しかったのかと思います。
お陰で、普段よりも酒が進んだのかと……。

殿
…………。

殿
…………!

有岡城
『楽しかった』……ですか?
ありがとうございます。
そう言っていただけると、わたしも嬉しく思います。

有岡城
……長政様のことはご心配なく。

有岡城
酔いを覚ました後は必ず、
投票札を集計場まで持っていかせますから。

越前大野城
貴方も大変ねぇ……本当に。

有岡城
いえ……慣れたものですから。
そして何より、わたし自身が望んで行っていることです。

やくも
…………。

やくも
……にしても、不思議だに。

千狐
不思議……なんのこと?

やくも
有岡城が、黒田長政っちゅう兜娘と仲良ぉしとることがや。
うちの記憶じゃ、そんな縁は無かったような気がするんやけど……?

千狐
(や、やくも……忘れてしまったの?)

千狐
(縁ならあるじゃない……。
 長政さんのお父上はかつて、有岡城さんの牢で一年間も――)

有岡城
――どうしたのですか、お二人とも?

千狐
――コンッ!?

有岡城
わたしの名が聞こえたような気がしたのですが……、
気のせいかしら?

やくも
…………!

千狐
……い、いえ。なんでもないの……!

殿
…………。

名城番付 シュテファンの陣初級の段

幼さと可愛さを兼ね備えた彼女は正に、金の卵。
シュテファンPと新人アイドル、頂点を目指す
彼女たちのサクセスストーリーが幕を開ける……?

前半

――日の本から海を越えた、遥か先。
ヨーロッパの某所。

シュテファン
イエス、イエスイエスイエ~ス!
誠に素っ晴らしいダンスデース♪

シュテファン
流石はペレシュ城デース! やはり、
私の目に狂いはありませんデーシタ!

城塞都市ルシュノフ
(ぱちぱちぱちぱちぱち)

ペレシュ城
はいはーい。お褒めに預かり光栄で~す♪

ペレシュ城
えへへ♪ どうだった、ルシュノフ?
ペレシュのパフォーマンスは♪

城塞都市ルシュノフ
ええ、とっても可愛かったですよ。
ペレシュ城ちゃんにこんな才能が隠れてたなんて、
わたしびっくりです♪

ペレシュ城
まぁね~、それほどでもあるけど♪

ペレシュ城
アイドル活動とか何それ? って、
最初は思ってたけど、
実際やってみたら結構面白くてハマっちゃった~♪

ペレシュ城
シュテファンさまの話によれば、
ペレシュのことを可愛がってくれる人が増えるって話だし……。
いや~、これからが楽しみねー♪

城塞都市ルシュノフ
…………。

城塞都市ルシュノフ
(こういうところは可愛くないんですよねぇ……)

城塞都市ルシュノフ
ですが、シュテファン様……よろしいのですか?

シュテファン
ん……何がデースか?

城塞都市ルシュノフ
今は各地で投票が行われている最中です。
アイドル活動よりもまず、そちらを優先すべきでは……?

シュテファン
ふっふっふ……甘いデースね、ルシュノフ。

シュテファン
私が何の考えも無く……ペレシュ城に、
パフォーマンスを仕込んでいたとでも?

城塞都市ルシュノフ
ええと……すみません。そう思ってました……。

シュテファン
ご存知の通り……今、世界各地で投票が行われていマース!
ルーマニアの城娘たちの名を売るには、格好の機会デース!

シュテファン
ここでペレシュ城の可愛さが知れ渡れば……!
必然、彼女の順位はうなぎ登りするデショウ!

ペレシュ城
ぴーすぴーす♪

シュテファン
よってこれも、投票の今後を見据えた活動なのデース!
最も優先すべき事柄と言っても過言ではありまセーン♪

???
――過言に決まっとるじゃろうが、たわけ者が。

シュテファン
――む。

ブラン城
――只今帰ったぞ。

ペレシュ城
あ、ブラン城おかえりー。

城塞都市ルシュノフ
ブラン城ちゃん。お帰りなさい♪
投票の方はどうです? 順調に進んでますか?

ブラン城
うむ、滞りなく進んでおる。

ブラン城
……ところで、ルシュノフ。
今、そこの其奴が気になることを言っておったのだが……。

シュテファン
な……なんですかブラン城、何やら怖い顔をしてマースが?

ブラン城
妾が何に怒っているか分からないのなら、
それこそ本物のたわけ者だな……。

城塞都市ルシュノフ
ご、ごめんなさい……ブラン城ちゃん。
投票であなたが奔走してる時に、こんなこと。
わたしもつい、夢中になってしまって……。

シュテファン
そうデース! 誰もペレシュ城の魅力には逆らえまセーン!

ペレシュ城
そうだそうだ~♪

ブラン城
…………。

ブラン城
(ぎろり)

ペレシュ城
――ひっ。

ブラン城
……ペレシュ城。
今、我々が何を優先するべきか、お前なら分かるな?

ペレシュ城
…………。

ペレシュ城
え、えぇ~、なんのことぉ? 
ペレシュよく分かんな~い♪

ペレシュ城
というか、今のペレシュはアイドルの卵? なんだよ?
だから一番に優先すべきお仕事はぁ、アイドル活動だと思うの♪

シュテファン
その通り! テッペンを目指すには、これが一番の近道なのデース!

ブラン城
いや……じゃからな。
そのアイドル活動で投票がままならなくなっては、
本末転倒だと言っているのだ。

ブラン城
アイドルのプロデュースは、貴殿の趣味。
此地における投票の統括は、貴殿の役目。
そうじゃろう……シュテファン?

シュテファン
むぅ……手強いデース。

ペレシュ城
……ね、ねぇシュテファンさま。
ブラン城のこの感じ、冗談が通じる空気じゃなさそうなんだけど。

ペレシュ城
この流れ……。
ペレシュも投票のお手伝いした方がいいっぽい……よね?

シュテファン
…………。

シュテファン
て、撤退デース……!

ペレシュ城
撤退っ?

シュテファン
今のブラン城を相手にするのは分が悪いデース!

シュテファン
だが、ここで夢を潰えさせるわけにはいきまセーン!
よってここは一度退き! 好機を見計らうのデース!

シュテファン
それでは……撤退!

ペレシュ城
え、えええっ!?
ちょっとぉ、置いてかないでよシュテファンさまー!

ブラン城
(がしっ)

ペレシュ城
…………っ!?

ブラン城
……ペレシュ城。

ペレシュ城
…………。

ペレシュ城
……はい。

ブラン城
残念ながら……今の妾には、冗談に付き合っている余裕がない。
シュテファンの肩を持つなら、加減はできないだろう。

ブラン城
貴殿が愚かな選択を取らぬことを、
妾は願うばかりじゃが……どうする?

ペレシュ城
…………。

ペレシュ城
は、はぁ~い、ブラン城の意見にさんせ~♪
ペレシュも投票のお手伝い頑張りまーす♪

城塞都市ルシュノフ
よ、世渡り上手ですねぇ……ペレシュ城ちゃん……。

ブラン城
……よし。では最初の仕事だ。
あのたわけ者を捉えるぞ……!

後半

シュテファン
ま、参りマーシた! 私の負けデース!
ごめんなさい……ごめんなさいデース!

シュテファン
く……裏切りマーシたね、ペレシュ城……!

ペレシュ城
ごめんねシュテファンさま。
だってブラン城の目つきがただ事じゃないんだもん♪

殿
…………。

越前大野城
お、驚いたわ。
到着して早々、壮絶な追いかけっこが始まってて……。

ブラン城
騒がしくしてすまなかったな、王よ。
じゃが、事態は収束した。
各地の投票を無事に終わらせ、集めた札を日の本へと送ろう。

殿
…………。

殿
…………?

柳川城
あの……ブラン城さん。
もし大変そうでしたら、お手伝いしましょうか?
日の本を除く世界各地で投票を行う、というのは大仕事かと思いますし……。

シュテファン
おお、それはありがたいデー――

ブラン城
――ならぬ。

ブラン城
そんなことになれば、此奴は隙を見つけて
プロデュースにうつつを抜かしてしまうだろう。

シュテファン
なっ……そんなことは決して――

ブラン城
(ぎろり)

シュテファン
――オゥッ!? ハハッ、いやデースね、
ジョークですよ、ジョーク。ハハハ……。

ブラン城
もとを正せばこの投票は、兜娘たちが始めたこと……。

ブラン城
そしてシュテファン……貴殿は、
海外における投票の統括を任された。そうだろう?

ブラン城
自分が責務を背負っている、その事実を忘れるな。
他の者に任せてことを収めるのでは、筋が通らぬのだ。

シュテファン
…………。

シュテファン
そ、そうデースね……ブラン城の言う通りデース。

シュテファン
私が好き勝手に動いていては、
皆に示しがつきまセーン……。

シュテファン
私はまず、自身の責務を果たすことにしマース。

ブラン城
ふー……やっと分かってくれたか。

ブラン城
……なに、心配は要らぬ。
ここには妾やルシュノフ、ペレシュ城が居るのだ。
貴殿のためなら、協力は惜しまないさ。

城塞都市ルシュノフ
もちろん、わたしもお手伝いしますよ。
シュテファン様♪

シュテファン
あ、ありがとうございマース……!

ブラン城
――ということで、言質も取れたことだし、
早速仕事をしてもらおうか、シュテファン。

シュテファン
…………。

シュテファン
……は?

ブラン城
集まった札の確認、
各地の会場における状況の把握……やることは山積みじゃ。

ブラン城
これまで呆けていた分のツケも含めて、しっかり働いてもらう。
全てが終わるまで、休みはないぞ……覚悟しておけ♪

シュテファン
…………。

シュテファン
ノォ……ノオオオォォォォォ~~~……!!

シュテファン
どうかお許しを……お許しをぉ~~~~~~……!

殿
…………。

やくも
(むごいだに……)

千狐
そ、それでは殿、千狐たちは日の本に戻り、
投票札が届くのを待つことにしましょうか……?

殿
…………!

決戦[]

越前大野城
ふぅ~……やっと予選の集計が完了したわ……。

越前大野城
けど、まだまだ気は抜けないわ。
これから、各地の予選を越えてきた城娘たちで、
決戦投票が行われるんだもの……。

越前大野城
期待と好奇に満ちた空気……。
皆が投票の行方に注目してるわ。

越前大野城
……よし、ここからが本番ね。

越前大野城
私たちは、この催事の主催として、
投票を無事に完遂する義務を背負ってる……。
気合を入れなきゃ!

越前大野城
……さて!
それじゃこれより、決戦投票を開始するわよ♪

名城番付 決戦初級の段

各地から票を集め、開票作業に勤しむ一同。
しかし、兜娘たちは揃いも揃って曲者ばかり。
何の問題も起きずに進むはずもなく――

前半

――越前国、某所。

兜娘たちの思い付きで始まった投票も、いよいよ大詰め。

此地では今、投じられた札を皆で分け合い、
着々と集計が進められていたのだが――

越前大野城
ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ……いつ、むぅ、なな――

伊達政宗
はーはっは!
いいぞーシュテファン、もっと踊れ~♪

シュテファン
回る、回る回る回るッ! 者共、刮目せよ!
ここが私のメインステージなのデースッ!!

越前大野城
…………。(ぴき)

やくも
越前大野城、投票札がまた届いただに~。

越前大野城
ありがとう、やくもちゃん。
後で数えておくから、そこに置いといてもらえる?

やくも
了解だに~♪

北条氏康
(もくもく、もくもく……)

北条氏康
……よし、と。

北条氏康
柳川城さん……こちらの札、集計完了しました。

柳川城
あ……どうもありがとうございます。

越前大野城
――さて。気を取り直して……。

越前大野城
ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ……。

黒田長政
ねーねー、お酒はぁ?
お酒はどこなんです、千狐ちゃん?

千狐
え……ええと、
宴のために幾らか備えはありますが……。

黒田長政
……お? その口ぶり……さては千狐ちゃん、
お酒の在り処をご存知ですね?

千狐
コンッ……し、知らないの!
それに……たとえ知っていたとしても、
千狐の口からは答えられないの!

越前大野城
いつ、むぅ、なな、やぁ……。

黒田長政
堅いこと言わないでよぉ~。
こんな単純作業、お酒でもなきゃやってられませんって!

黒田長政
ねー、そうでしょ千狐ちゃん。
せーんこーちゃーん♪

千狐
ひゃっ……く、くすぐったいの……!
やめてほしいの~!!

越前大野城
…………。(ぴきぴきぴき)

柳川城
(ま……まずい)

柳川城
――深呼吸!
こういう時は深呼吸ですよ、越前大野城さんっ。

越前大野城
……深呼吸。

越前大野城
……そうね。熱くなったって、良いことないものね。

越前大野城
すぅぅ~~~……はぁ~~~……。

前田利家
…………。

前田利家
(圧……)

前田利家
(越前大野城から、途轍もない圧を感じる……)

前田利家
(私には分かる……この調子で進めば、
 越前大野城の雷が落ちるのは、時間の問題……!)

前田利家
…………。

前田利家
み、皆さーん。歓談も結構ですが、
開票作業を疎かにしないよう、お気をつけてー。

石田三成
そうだな……口を動かしても終わりは遠ざかるばかりだ。
何より、票の計上には集中が求められる。

石田三成
……ま、誰がどのように票を投じようが、
我が近畿の御城が、
頂点の座に着くことは分かりきっているがな♪

石田三成
――お。言っている傍から。
これは織田家を敬愛する者からの投票のようだな。

前田利家
……おお、信長様の!

毛利元就
……ふぅ。

毛利元就
織田信長……ですか。
嫌な名前を思い出してしまいました。

毛利元就
とはいえ……大した脅威とは思えませんね。

前田利家
……は?

毛利元就
如何なる功を打ち立てようと、素晴らしい御城を残そうと、
上ばかりを見た末に、家臣に足元を掬われるなど。
つまるところ、実力の程は知れていると言いますか……。

前田利家
…………。(ぷっちーん)

前田利家
……あっれー? 今のは聞き違いですかねー?
どこからか心無い言葉が飛んできたのですけれども?

前田利家
まー、聞き違いでしょうねー。
そうじゃなかったら大変ですからねぇ?

前田利家
信長様を侮辱したらどうなるかなんて、
分かりきってますもんねぇ?
そんな阿呆が此の場にいるわけありませんよ……ねぇ?

毛利元就
やけに大きい独り言ですこと。
……文句があるなら、面と向かって言えば良いのです。

前田利家
……分かりませんか?
私は貴方に、機会を差し上げたんですよ。
先程の言葉を取り下げる機会を。

毛利元就
無用な気遣いです。先の言は紛うことなき私の本心。
取り下げることなどありえません。

北条氏康
(もくもく、もくもく……)

北条氏康
(我関せず、我関せず……と)

前田利家
ほー? ほうほう、なるほど?

前田利家
ならば私も無視するわけにはいきませんね?
私もしかるべき対処を取らなければ――

越前大野城
――利家ちゃん。

越前大野城
ご歓談はそこまでにしませんか?

前田利家
歓談などではありませんよ、越前大野城!
そこの毛利とかいう恐れ知らずが、信長様を愚弄したのです!

越前大野城
……恐れ知らず? 何を言っているの利家ちゃん。

越前大野城
恐れ知らずというなら……、
そこかしこに居るじゃないの。

越前大野城
自分が思い付いた余興のために、
奔走する者たち……それを尻目にふざけ倒す貴方たちは、
恐れ知らず以外の何者でもないわよねぇ~?

前田利家
(さ、殺気……!)

越前大野城
……ねぇ、利家ちゃん。

前田利家
は、はい……なんでしょう?

越前大野城
本の背表紙って……固いのよね。
皆が思ってるよりも、ずぅっと固いの。

越前大野城
だから……人にぶつけたりするのは厳禁なのよ……。

前田利家
そ、そうですね! 私もそう思います!

越前大野城
そ……分かってもらえてうれしいわぁ。

越前大野城
他の兜娘たちとも、ちゃーんとお話ししないとね。

越前大野城
私が何を思ってるか分かってもらえれば、
きっと力を貸す気になるはずだもの。

越前大野城
それじゃ、ちょっと行ってくるわね~♪

前田利家
…………。

前田利家
……皆さん、どうかご無事で。

後半

越前大野城
――ということだから。
ここから先は、開票作業に集中すること。

越前大野城
お酒も言い争いも、くるくる回るのも……一旦禁止。
分かってもらえたかしら、兜娘の皆さん?

兜娘一同
――はっ!! 承知しました!

殿
…………。

千狐
結局こうなってしまいましたか……。

やくも
うちらも怒らせんように、
気をつけんといかんがや……。

殿
…………!

柳川城
はい、私たちも開票のお手伝いに戻りましょう。
越前大野城さんばかりに働かせてしまうわけにはいきませんから。

名城番付 決戦中級の段

越前大野城の提案により集められたのは、
同じ陣営に属していた――ことのある兜娘たち。
気まずい雰囲気が漂うが、その原因とは……?

前半

柳川城
兜娘たちを……二組に分ける?

越前大野城
考えてみれば、七人が一堂に会しているのが悪かったのよ~。

越前大野城
あれだけ濃い面々が、思い思いに過ごしていたら、
騒がしくなるのも仕方のないことだわぁ。

千狐
なるほど。人数を分散すれば、
多少は静かになるのでは……ということですか。

殿
…………。

柳川城
そうですね……もはや兜娘の皆さんに、
反抗する意思はないかと思いますが……。

やくも
だに……ポッキリ折られとるがや。
越前大野城の恐ろしさを思い知らされて……。

――――

越前大野城
――とは言ってたけれど、どうかしらねぇ。

越前大野城
こっちで集計作業に励んでいるのは、三名……。
利家ちゃん、三成ちゃん。それから長政ちゃん。

越前大野城
昔話に花を咲かせるには、おあつらえ向きの面々だけど……さて。

越前大野城
(そぉ~)

前田利家
…………。

石田三成
…………。

黒田長政
…………。

黒田長政
…………ふぅ。

越前大野城
……あら、これは意外ねぇ。
皆、黙々と作業に打ち込んでるわ……。

越前大野城
てっきり、長政ちゃん辺りが『酒ぇ~』とか言って、
暴れてると思っていたけど。

黒田長政
ちょっと……。
私の印象ってそんな感じなんですか?

石田三成
しかし、越前大野城の言うことには一理あるな。
どうしたのだ、長政……さっきから黙りこくって?

黒田長政
ぅぐ……。

黒田長政
そ、その理由って……私の口から言わないといけませんか?

石田三成
何を言う、当然だろう?
気兼ねは要らん。秘めた想いがあるなら言ってくれ。

黒田長政
もー……この人は相っ変わらず、
人が悪いんですから……。

石田三成
ん……なんだ?
誰かが私の悪口を言ったようだな?

黒田長政
…………。

石田三成
利家殿……其方か? 其方だな?

黒田長政
私ですっ! 私が言いましたー!

黒田長政
はぁ……『気兼ねは要らん』ってその台詞、貴方が言うんですか?
私が貴方に何をしたか、忘れたわけではないでしょうに……。

石田三成
『何をしたか』? どれのことだろうな?
思い当たる節は、ないでもないが。
……利家殿、心当たりはあるか?

前田利家
はて……分かりませんね。ただ、二人の顔を見ていると、
胃がずきずきと疼痛を発し始めるのですが、
何か関係はあるのでしょうか……?

黒田長政
大いにあります! 正にそれです!
さっきからそれのことを言っているのですよ、私は!

黒田長政
……そりゃ、気まずくもなるでしょう。
私が貴方にした行いを思えば――!

石田三成
……思えば?

黒田長政
――っ。

黒田長政
……上手く言葉にならないです。
とにかく、戸惑ってるんですよ……。

黒田長政
急に貴方の方から、
グイグイ来られる私の身にもなってください……。

石田三成
いや……そんなことを言われてもな。
察するに、お前は私と積極的に関わるつもりはなかっただろう。
グイグイ行かないと、話が転がらんではないか。

黒田長政
話を転がす必要はあるのか、と私は問いたいです……。

石田三成
ならば……目を背けるが良し、とするべきか?

黒田長政
…………。

石田三成
お前の言いたいことは分かる。おそらく、
利家殿も……お前と私に対して、思うところはあるだろう。

前田利家
…………。

石田三成
しかし……それはそれだ。
今の私は……往時の遺恨に駆られるよりは、
兜娘としての生を謳歌したい。そう願っている。

黒田長政
…………。

石田三成
お前はどうだ?
お前の素直な想いを……聞かせてくれ。

黒田長政
…………。

黒田長政
…………酒。

石田三成
ん……酒?

黒田長政
投票が終わったら……酒を飲みましょう。

黒田長政
そうすれば……『素直な想い』とやらも、
口にできそうな気がします。

石田三成
そうか。それは楽しみだ。……なぁ、利家殿?

前田利家
ふふっ……そうですね。
私は私で、先程の件について、
元就に言ってやりたいことが山程ありますし。

石田三成
なるほど。
それは少々、荒々しい宴になりそうだな。

黒田長政
怪我人沙汰は御免ですよ……。

石田三成
ほう、随分と優しいことを言うではないか?
黒田長政ともあろう方が。

黒田長政
優しいも何も……。
腹を割った話し合いがしたいのでしょう?
貴方が言ったのではありませんか。

石田三成
確かにそうだが……利家殿が言っていたような、
譲れぬ部分でのぶつかり合いも、
あって然るべきだと思うぞ、私は。

石田三成
兜娘という身を得た今、
個々人の力を比べてみたい……という純粋な興味もあるしな。

前田利家
力比べ……ですか。
確かに、それも面白そうです。

石田三成
そうだ。たとえば……、
広大な合戦場に、我ら兜娘たちを放つ。

石田三成
そして持ち前の知略や
兜娘としての力を存分に振るうのだ。

石田三成
そうなると……さて、どのような結果に至るかな。
私の予想を述べるとするなら、そうだな――

後半

石田三成
――と、少しばかり話が盛り上がってしまったな。

石田三成
……ほら、手が止まっているぞ長政。

黒田長政
あ、すみません……つい。

前田利家
ほら……見てください。先程からじぃーっと、
越前大野城さんがこちらを見つめていますよ。

越前大野城
(じぃぃぃぃーーーー)

黒田長政
…………っ!

石田三成
忘れたわけではあるまい。
……本の背表紙は、
我々が思っているよりも遥かに固いのだぞ。

黒田長政
そ、そうですね……そうでした……!

越前大野城
ひとまず……問題なし、と。

越前大野城
背負った業と共に、悩みや葛藤を抱えてしまうのは、
城娘も兜娘も……同じことなのねぇ。

越前大野城
……さてと。
あちらの開票作業の方はいかがかしら。

越前大野城
利家ちゃんたちみたく、
睨んでいるだけで伝わればいいんだけどねぇ……。

名城番付 決戦上級の段

開票をそっちのけに歓談を楽しむ兜娘たち。
その場に駆けつけた越前大野城は、
すかさず待ったを掛けようとするが――

前半

越前大野城
さて、別の場所で開票を行っている
もう一組の兜娘たちだけど……どうなってるかしら。

越前大野城
シュテファンちゃんに政宗ちゃん。
それから……元就ちゃん、氏康ちゃん。
さっきの騒ぎっぷりを思うと、こちらの方が不安が大きいわね……。

越前大野城
これは、私も覚悟をしておいた方がいいかも――

――――

伊達政宗
ひぃふぅみぃ……お?
まーた聞き慣れない御城が出てきたな、こりゃ。

伊達政宗
……なぁシュテファン、
この御城はどこの御城なんだ?

シュテファン
ああ、それはデースね――

北条氏康
こうして数えてみると、驚かされますね。
世にはこれほど多くの御城があるのだと……。

毛利元就
ええ……私も水軍を有し、
船での移動は慣れたものでしたが、
旅を楽しむ余裕はありませんでした。

北条氏康
私もです。自身の役目を果たすことで精一杯でしたから。

北条氏康
……感謝しなければなりませんね。
兜娘としての生を頂いたことで、
新たな出会いに恵まれた。

シュテファン
それは私も同じことデース!
日の本は誠に素っ晴らしい!

シュテファン
日の本は、欧州とは全く違った独自の文化を築いているデース。
それから、四季によってまったく違った表情を見せる自然……!

シュテファン
驚きにつぐ、驚き……晴天の霹靂デース!
これ程素晴らしい国があったというのに、
一度も足を運んだことがなかったなんて!

伊達政宗
そうかそうか!
日の本を気に入ってくれて嬉しいぜ、シュテファン。

伊達政宗
だが、日の本の見どころは他にもあるんだぜ。
いやー、一度アタシの故郷にも連れてってやれたら良いんだが♪

シュテファン
オォー! それは誠デースか!?
なんと素晴らしい提案デショウ♪

越前大野城
…………。

越前大野城
思った通り……。
またお喋りに夢中になってしまってるじゃない。
ここは私から、一言物申さなければ――

越前大野城
ちょっと~、そこの皆さん?
今はお喋りよりもやるべきことが――

シュテファン
オゥ! 越前大野城!
会いたかったデース!

シュテファン
私は貴方にも、お礼を言わなければなりまセーン!

越前大野城
――えっ、私っ?

シュテファン
山頂というこの立地……まるで、
雲に浮かんでいるみたいデース!

シュテファン
足元には流れる雲、美味しい空気と豊かな緑!
見事な風景は、此世のものとは思えないほど!

シュテファン
これらと出会えたのは……貴方が我ら兜娘を、
受け入れてくれたお陰!! 感謝感謝デース!

越前大野城
……シュテファンちゃん。

北条氏康
(こ、この空気……)

毛利元就
(この空気……またこっぴどく叱られるのでしょうか……)

越前大野城
……貴方っ――

越前大野城
――分かってるじゃない! 良い目をしてるわ~♪

越前大野城
そうなのよ~!
越前大野城は本っ当に素敵な御城なの♪

越前大野城
雲海といえば、竹田城ちゃんや備中松山城ちゃんを、
思い浮かべる方も少なくないでしょう……でもね!

越前大野城
それだけじゃないのよ、越前大野城の素晴らしさは!

シュテファン
なんと! それだけではない!?
お願いするデース、越前大野城!
もっと話を聞かせてくだサーイ♪

越前大野城
ええ、もちろん♪

越前大野城
野面積みの石垣に、天守の傍にあるお福池。
本丸に至る一本道の百間坂……。

越前大野城
それから……城下の素晴らしさが、
『北陸の小京都』と讃えられたこともあるのよ♪

越前大野城
他にも紹介してあげるわ♪
そうね、たとえば――

後半

越前大野城
――とまぁ、こんなところかしら♪

シュテファン
知られざる魅力がそんなにいっぱい……驚きデース。

越前大野城
ふふっ、興味を持ってくださるなら、
私が案内しながら、説明してあげても――

越前大野城
…………。

越前大野城
……って。
何を熱く語ってるのよ、私は……!

越前大野城
今は開票作業の最中……。
一緒になって楽しんでどうするのよ、私のばかぁ~……!

シュテファン
ハハ、何を反省することがあるデースか!
愛の籠もった素晴らしい熱弁デーシタよ?

伊達政宗
だが、少々驚いたぜ。
真面目な城娘だと思っていたが、
なかなか可愛いところもあるんだな?

越前大野城
そ、それは……。

毛利元就
おそらく……私たちのせいでしょう。

毛利元就
……越前大野城さんはずっと、
此度の催事のために、力を尽くしてくれていました。

シュテファン
殿の助力を取り付けて、各地を回り……。
その苦労は……想像を絶するものデース。

伊達政宗
……だなぁ。その上、
面白い奴ばっかり現れるもんだから、
アタシもつい騒いじまってよ……。

北条氏康
なんだか、反省しているように聞こえませんね……。

北条氏康
とにかく……私たち兜娘は、
越前大野城さんに多くの迷惑を掛けてしまった。
この事実は、しっかりと胸に刻まねばなりません。

シュテファン
デース……。

越前大野城
ちょ……ちょっと~?
そんなに暗くならないでちょうだい?

越前大野城
もちろん、反省はしてもらいたいけど……。
悪いことばかりでもなかったのよ?

越前大野城
御城がこんなに賑やかになるのは、久しぶりのことだったもの。

越前大野城
普段は、一人でぷかぷか浮かびながら眠ったり、
本を読むくらいしかすることがなかったから……。

越前大野城
とはいえ、まぁ……できることなら、
これ以上は何も起きてほしくないけど。

北条氏康
……ですね。
越前大野城さんに気苦労を掛けないよう、
我々も力を尽くさなければ。

毛利元就
少なからず、因縁で結ばれた間柄ではありますが……、
兜娘同士で言い争いをしている場合ではありませんね。

シュテファン
『良い思い出になった』……催しの全てが終わった後、
越前大野城にそう思ってもらえるようにしたいデース!

伊達政宗
……ならば! アタシたちが、
成すべきことはハッキリしているな!

シュテファン
……この開票作業を円滑に終わらせて……、
フィナーレを盛大に祝うこと、デースね!!

越前大野城
…………みんな。

伊達政宗
よっしゃ! それじゃ力を合わせて、
さくっと終わらせちまおうぜ!

兜娘たち
おおー!

その後、兜娘たちの団結により、
越前大野城の懸念する問題も起こることなく、
開票作業は円滑に進んでいったのだった――

終了[]

前田利家
――完了! 完了ですっ!

前田利家
此度の投票、
全日程が完了したことをここに宣言します!

越前大野城
――ふわぁ。
ようやく終わったのねぇ。大仕事だったわ~……。

北条氏康
ご協力感謝します、越前大野城さん。
私も当初は、
まさかここまで大きな催しになるとは考えていませんでした……。

毛利元就
ですが……非常に有意義な時間になりました。
この催事を通して、多くの出会いに恵まれましたから。

石田三成
うむ、そうだな。兜娘だけでなく、
殿たちや縁遠い城娘たちとも、交友を深めることができた。

越前大野城
そぉね~……さて、それで投票の結果は――?

シュテファン
――待つデース! 越前大野城っ!

シュテファン
此度の投票は……多くの者から票を募った、一大イベント!
その結果の発表も、規模に見合ったものにするべきデース!

黒田長政
その通りっ! 盛大に、
ド派手に発表しないとですね!

伊達政宗
――っつーわけで。まずは、
入賞した城娘たちに声を掛けるぞ……さ、出発だ!

シュテファン
了解したデース!!

北条氏康
……行ってしまいました。

越前大野城
……ふわぁ。

越前大野城
それじゃ私は……御城のお布団で、
ゆっくり眠ることにしようかしら。
……おやすみなさぁい。



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[裏]室町第

裏]室町第殿……ふふふ。どうせまた来るって、そんな気はしていたわ。私がどんなに忠告をしても、貴方は自分の信念を曲げない。本当に……つくづく、強い人ね、殿は。私のせいで、どれほど悪いことが起こっても殿は...

[裏]大宰府

]大宰府おお、殿か。よく来てくれたな。今な、手紙を整理しておったのじゃ。最近は毎日、誰かしらから届くのでな……。この手紙は……、『大宰府ちゃん親衛隊』を自称する者たちからじゃな。大野城、鞠智城、基肄城...

[裏]坂本城

]坂本城大殿様……また来たのね。ふふ……別に、追い返したりしないわよ。というより……私も今ね、大殿様と話せたら、って考えてたところだったの。だから……少しの間、私の話し相手になってくれるかしら?……ふ...

[裏]佐和山城

]佐和山城……また来たのね、あなた。足を運んでくれたところ悪いけど、面白いものは何も見れないわよ?相変わらず、大坂城様のらいぶに向けて、準備をしているだけだもの。……ん、なに?『なぜ、そこまで大坂城様...

[裏]伊勢長島城

]伊勢長島城も~、なんなのあいつら!信じらんない!寄ってたかってライブの邪魔をして!いったいどこから情報が漏れたの?もしかして、殿じゃないでしょうね……!?……そんなわけないか。あたしは、あんたにな~...

[花嫁衣装]鹿児島城

目次1 性能1.1 特技1.2 計略1.3 [改壱]計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< ロケト城 - [花嫁衣装]シャンティイ城 >[花嫁衣...

[花嫁衣装]鮫ヶ尾城

]鮫ヶ尾城はあ……春日山城サマの祝言、想像するだけでドキドキしてしまうっす!ね、ちびサマ~♪……ん?どうしたっすか、トノ?えっ、『主城のことより自分はどうなのか』っすか……?うぐ……これは痛いことを言...

[花嫁衣装]許昌城

]許昌城うーん……。ううーん……。……おや、殿か?すまない、考え事をしていて来訪に気づいていなかった。この間、殿と話してから、結婚に関して城娘達と話をしたのだ。繁栄という目的へ至る手段としての婚姻……...

[花嫁衣装]萩城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< [花嫁衣装]チャンドラ・マハル - [花嫁衣装]新田...

[花嫁衣装]秋田城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< 延岡城 - [花嫁衣装]ロンドン塔 >[花嫁衣装]秋...

[花嫁衣装]春日山城

]春日山城うーん……。……うーん? ……うん?……殿?すみません! お越しいただいていたのに、今の今まで気づかずにいて!実は先日、坂戸城と謙信公の昔話をしてたのですが、その際、跡継ぎの話題が出たのです...

[花嫁衣装]新田金山城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< [花嫁衣装]萩城 - [花嫁衣装]アイリーン・ドナン...