ストーリーテキスト/第56話_紅蓮の火口_~薩摩~

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第56話 紅蓮の火口 ~薩摩~[]

巨大兜の討伐から時を経て、雑賀城から報告を
受ける殿一行。しかしその時、千狐が兜の
気を感じ取り、急遽出陣することに……!

前半
島津義弘

ヌゥ……うぐ……ウウウオォォォ!

島津義弘
人ヲ滅ボシ、此世ヲ統ベル……?
イヤ、儂が目指すんは、島津ノ家ば……薩摩国ば守るコト……!

島津義弘
分カラヌ……分カラヌ……!
この身ハ……儂ハ何ヲスレバ良か……!?

豊臣秀吉
ククク……居タ、居タ。
シカシどうしたことか。まるで、獣ノようジャナイカ……。

豊臣秀吉
魂ノ行方と、あの御方ノ意向。
二つのしがらみに苦シメられてイル様子……。

豊臣秀吉
薩摩の雄の名ガ聞コエテこないからと様子ヲ見に来テみれば、
コノヨウナことにナッテイタとはな……。

島津義弘
……誰ダ?

島津義弘
儂ン領地に、足踏ミ入レルんは……?

豊臣秀吉
アア、すみませんネ。怪シイ者デハありやせんヨ。
アンタからすれば、同胞ミタイナもんでさぁ。

島津義弘
同胞、ジャト……?

豊臣秀吉
俺ノ名は豊臣秀吉……。
といっても、今のお前に分かってモラエルかは分からねぇが……。

島津義弘
豊臣、秀吉……?
モシヤ太閤様……太閤様ナノカ……?

豊臣秀吉
ホゥ……多少の記憶は残ッテいるか……。

島津義弘
イヤ、儂に分カルんはタダ、貴方が……儂ヲ屈服サセ、
日の本ば統ベタ強キ者である、トイウことだけ……。

島津義弘
他は……思い起コソウとしても、
つながらん記憶の断片ば浮カブばかり……。

豊臣秀吉
(……ヤハリ、記憶の混濁が激シイか。
 ならば一つ、取り戻す機会を与えテミルカ……イヤ――)

豊臣秀吉
(――コイツは島津義弘……甘クみちゃイケネェ。
 下手に知恵や力を付ケラレルよりは、コノ状態の方が御しヤスイ……)

豊臣秀吉
…………。

豊臣秀吉
……よし。ナラバ義弘、俺がお前に道ヲ示シテやろう。

島津義弘
ヌ……貴方様が儂に、道ヲ……ソレハ真デスか?

豊臣秀吉
ナァニ、ソンナに畏マルことはネェ。
先んずる者ノ宿命ッテ奴サ……。

島津義弘
宿命……。

豊臣秀吉
あぁ。運命、因果、偶然……捉え方はソレゾレだが、
凡庸タル我々は、ソレラに流サレながら……楽シム術を求めるシカないのよ。

島津義弘
……ソシテ貴方が、儂の運命ば知ッテイル、と……?

豊臣秀吉
……ああ、ソウイウことだ。
では、本題に移ロウカ。今ノお前が向カウべきなのは――

――数日後、所領。

雑賀城
――報告は以上だ。
立花山城の尾行でボクが目にしたものは、これが全て……。

殿
…………。

柳川城
手紙を送り、祠でお参り……ですか。

やくも
立花山城の目的は、なんなんだに……?

雑賀城
…………。

立花山城
むしろ――

立花山城
――このままだと、柳川城が死ぬことの方が問題よ。

雑賀城
(…………)

雑賀城
(……いや)

雑賀城
(これについては、ボクの心にしまっておこう。
 情報の揃っていない現状では、混乱を招くだけだ……)

雑賀城
(それにボクは、立花山城がきっと……)

雑賀城
結局、立花山城の行動に、
どんな意図があったのかは分からなかった……。

雑賀城
でもボクは旅を共にする中で、
立花山城という城娘の心の一端を……垣間見た気がした。

雑賀城
ボクたちとは違う方法で、殿を支えたい。
……そう言っている気がしたんだ。

殿
…………。

雑賀城
いや……良くないな、こういう曖昧な物言いは。
ボクは、確かな情報を手に入れることはできなかった……それが全てだ。

雑賀城
尾行役を買って出たというのに、
役に立てず……申し訳無い。

柳川城
謝らないでください。
報告いただけた内容も、充分貴重な情報でした。

やくも
だに!
雑賀城以上に上手くこの任を果たせる城娘は、居なかったがや!

雑賀城
……ありがとう。
期待に沿う働きができるよう、今後も力を尽くすよ。

殿
…………!

雑賀城
彼女の動向は引き続き追うことにする。
新しい情報を掴んだら、すぐに報告しよう。

柳川城
…………。

柳川城
(立花山城……)

柳川城
(その名を聞く度、胸の内に走る……疼痛)

柳川城
(彼女が私……柳川城と、
 深い関わりを持っていることは間違いない)

柳川城
(でも私は……それを思い出すことができずにいる。
 いったい何故……)

やくも
柳川城……何か心配事だに?

柳川城
あっ……いえ、なんでもありません。
今後のことを考えていました……。

雑賀城
今後のこと……か。難しいね。今分かっている情報だけだと、
次にどのような手を打つべきか判断がつかない。

柳川城
はい……柴田勝家の名を冠する巨大兜との交戦以降、
兜側の足取りが掴めない状態が続いています……。

やくも
このまま待機していても焦りが募るばかり、がや。
……なぁ、千狐もそう思うだに?

やくも
…………。

やくも
……あれ、千狐? そういえば、さっきから千狐の姿が――

千狐
殿、殿ぉ~~~!

千狐
大変、大変なのー!

やくも
どうしただに、千狐? そんなに慌てて……。

千狐
所領を出て周辺の見回りをしていたら、強い霊気を感じたの!
……間違いありません、巨大兜です!

殿
…………!

雑賀城
巨大兜の霊気……場所の特定はできているのかい?

千狐
はい、大まかな位置は把握できました。
接近すれば、より詳細な情報も得られるかと思います……!

雑賀城
ボクも同行するよ。
情報収集よりも、巨大兜を討伐する方が優先度は高そうだ。

殿
…………!

柳川城
承知しました! すぐに出陣いたしましょう!
それでは千狐さん、案内をお願いします!

千狐
はいっ! 承知しました!

――――

飫肥城
はぁ、はぁ、はぁ……。

飫肥城
なんて強い力……巨大兜の力が、
これ程のものだったなんて……。

島津義弘
コノ景色……潮風……覚えトル。確かに儂はココに居った……。

島津義弘
ソシテ、その記憶に伴ッテ浮かんできよる、
苛立チ、悔シサ……その感情にも覚えばアル。

島津義弘
だが、ソレダケ……今の儂に分カルんはただ、ソレダケ……。

飫肥城
…………?

島津義弘
島も……山も……答エテはくれん。
儂が歩ムベキ道も、闇に閉ざされトル……!

島津義弘
グゥ、何故ジャ……こうしていても……憤りば募ルばかり……!
グ、ウゥ……ゥォオ……!

島津義弘
アアアアアアアァァァァァァァ!!

飫肥城
きゃあぁっ!?

飫肥城
地震……巨大兜の咆哮に呼応するように……?

飫肥城
ここにきて、更に力を増すなんて……!

飫肥城
このままでは、私も長くは保たない……。
応援を呼ばなければ――!

千狐
――見えました、殿!
千狐が感じ取った気は、あの巨大兜のもので間違いありません!

飫肥城
……っ! 貴方たちは……!?

飫肥城
そういえば、話に聞いたことがあります。
兜たちと戦いながら各地を巡っている、という……。

千狐
その通りです!
巨大兜の気を感じて、こちらに急行しました!

やくも
助太刀しに来たんだに!

やくも
……にしても、さっきから山がゴロゴロいったり、
地面が揺れたりしてるけど……。
これも、あの巨大兜の力なんだに……?

飫肥城
あの器に収められた魂の名は、島津義弘。
薩摩の国の主君として名を馳せた将の一人……!

飫肥城
そして此地、桜島は……、
島津氏の領地として深い縁で結ばれた場所なのです。

柳川城
その深い縁が、島や山に影響を与えているのですね……。

飫肥城
はい。火山の活動は活発化し、
兜たちはその力を我が物としています。

雑賀城
なるほど……今回の戦では、
兜の動きに注意を払った方が良さそうだね……。

千狐
これ以上此地を荒らされてしまう前に、巨大兜を討たなければ……!

島津義弘
…………。

島津義弘
増エタ……不思議な力ば漂ワセテ、
儂ノ道ヲ遮るモンが、マタ……。

島津義弘
ソレニ、あの軍ノ長と見ラレル男。
奴トハ初めて会うた気がセン……。

島津義弘
イヤ、関係はナカ。
儂の邪魔スルつもりなら、蹴散ラスだけだど……!

千狐
巨大兜の力が膨らんでいく……!
殿、ご下知をお願いします!

殿
…………!

後半
飫肥城

食らいなさい!やあああぁぁぁっ!

島津義弘
グオオオオオォォォォァァァァ!?

柳川城
飫肥城さんの矢が巨大兜を捉えました!

島津義弘
コレハ……身体ガ動かん。意識も、遠ノイテ……。

島津義弘
どうスレバ……儂はドウスレバ良イ……!
教エテクレ、太閤様ァ……秀吉様アアァァァ!

飫肥城
…………。

島津義弘
何処にオラレル……! 儂はマダ戦エル、まだ働ケル……!

島津義弘
立チ止マレヌのじゃ……頼む、戦ワセテくれ……薩摩武士の誇りのタメに……!

島津義弘
太、閤……様……!

島津義弘
…………。

島津義弘
……………………。

千狐
…………。

千狐
巨大兜の霊気消失を確認しました……。

やくも
火山から感じられたイヤな気も、
薄れていってるみたいだに……。

やくも
にしても……今回の巨大兜は、
何だか様子がおかしかっただに……。

千狐
確かにそうね……。
今まで対峙してきた巨大兜と比べると、
理性の無い怪物のようで……。

雑賀城
おそらく、魂に刻まれた記憶の大部分が、
まだ取り戻されていなかったのだろう。

雑賀城
顕現して間もなかったのか……それとも、別の理由があったのか。
今となっては、推測することしかできないけどね。

飫肥城
…………。

飫肥城
島津義弘……あの巨大兜は、
ずっと苦しんでいるようでした。

飫肥城
わからない、答えがほしい、と。
ずっと、そう繰り返して……。

飫肥城
巨大兜は強くて、怖くて……。
討伐すべき脅威であることは、分かっていました。

飫肥城
でも、少し……ほんの少しだけ……。

飫肥城
助けられたら良かったのにって、
そんなことを思ってしまいました……。

やくも
…………。

千狐
……飫肥城さん。

雑賀城
……器の崩壊によって、島津義弘の魂は解き放たれた。
それは捉えようによっては、救われたと言ってもいいと思う。

飫肥城
…………。

雑賀城
だから……落ち込むことなんてないんだよ、飫肥城。

雑賀城
君は、自分のやったことに胸を張っていいんだ。

飫肥城
雑賀城さん……。

やくも
だに! うちらの到着まで、
よく持ちこたえてくれたがや!

殿
…………!

千狐
今後、兜の動きを察知した際には遠慮なく、
千狐たちを頼ってくださいね!

飫肥城
皆さん……! はい、ありがとうございます!

雑賀城
記憶が戻れば、器との定着は高まり……、
それに伴って力も増していく。

雑賀城
島津義弘という名高き将をここで討てたのは、
ボクたちにとって幸運だったと言えるだろう。

柳川城
…………。

柳川城
(戻らない記憶。
 失った記憶を求めて……苦しむ……)

柳川城
(それは城娘にも……同じことが言えるのでしょうか……)

やくも
ほぇー……雑賀城は物知りなんやね……。

千狐
ほぇー、って……今の話、理解できたの? やくも?

やくも
ったりまえだに!

やくも
よーするに、あれだに。そのー……。

やくも
兜さんには、色んな兜さんがおる! っちゅーことがや!

殿
…………。

雑賀城
すごく大雑把だけど……まぁ、間違ってはいないね。

千狐
大雑把にもほどがあるの……。

雑賀城
今回のように理性なく破壊を繰り返す者がいれば……、
水面下で策を巡らせる者も居る。そういうことだ。

飫肥城
策を巡らせる……。

雑賀城
例えば――そう。今回、
島津義弘の名を冠する巨大兜を焚き付けた者が居たようにね。

やくも
焚き付けた……それって……?

柳川城
…………。

柳川城
先程、巨大兜が口にしていた……秀吉。
それは正しく、かつて日の本を統べた者の名前……。

千狐
彼の名を冠する兜が動き始めた……ということですか……。

殿
…………。

雑賀城
すでにボクたちは、奴の思惑に乗せられている。
……そう考えた方が、良いのかもしれない。

殿
…………。

柳川城
そうですね。どうやら今の私たちに、
安堵している余裕はないようです。

柳川城
次なる戦に備え、
私たちも動き始めることにいたしましょう……!



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