ストーリーテキスト/第46話_風林火山_~甲斐~

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第46話 風林火山 ~甲斐~[]

鍋蓋城と乙女城に誘われ甲斐国へと辿り着いた殿。
そこで一行は新府城という名の城娘に出会うのだが、
雑賀城は彼女の様子にどこか不安を覚えるのだった。

前半
――甲斐国。

鍋蓋城
お屋形――っ!!
鍋蓋城と乙女城、ただいま帰還したぞ!

新府城
鍋蓋城さま……。
お屋形と呼ばないでくれと何度いえばわかるのですか。

鍋蓋城
そういうお前だって、いつまでも私らに敬語つかうなっての。

鍋蓋城
今の甲斐は新府城、おまえが背負ってるんだ。
他の者に示しをつけるためにも慣れてくれって。

新府城
わかってはいますが――いや、わかってはいるが、

新府城
どうにもしっくりとこないのだ……。
せめて呼び捨てるくらいに収めてくれないだろうか?

鍋蓋城
ったく、しかたねぇな……。

乙女城
あ、あの……それよりも鍋蓋城ちゃん……。
まずは殿たちのことを紹介しないとだよぉ。

鍋蓋城
――っと、そうだったな。
なぁ、聞いてくれよ新府城!

鍋蓋城
やっぱり、あの黒い城娘の言った通り、駿河に向かったことで、
兜から甲斐を守るための強力な助っ人と出会うことができたぞ!

新府城
ほ、本当なのか!?

殿
…………。

殿
…………!

新府城
――っ!?

新府城
あ、貴方は……。

新府城
誰、なのだ……?

殿
…………。

殿
…………。

鍋蓋城
新府城、おまえな……。

鍋蓋城
甲斐のことばかりに集中するのもわかるが、
少しは外のことにも意識を向けろってんだ!

乙女城
そ、そうだよぉ……勉強不足はだめ、です……。

乙女城
こちらの方々は、あの織田信長の名を冠する
巨大兜を討伐した殿一行なんですよ?

新府城
なんと……!

新府城
これは礼を失した。改めてこちらも名乗らせてもらおう。

新府城
私は新府城。この地――甲斐を受け継ぐ者である。

千狐
受け継ぐ……?

やくも
って、いったい誰からや?

新府城
それはもちろん、躑躅ヶ崎公にございます。

殿
…………。

殿
…………?

雑賀城
(そうか……此世のキミたちにとって、その名は――――)

雑賀城
それよりも新府城。まずは現状を把握したい。
いったい、この地では何が起こっているんだ?

新府城
それが……。

鍋蓋城
始まりは、あんたらが畿内で信長の名を冠する巨大兜を倒した頃のことだ。

乙女城
私たちの住むこの甲斐に……紅き巨大兜が姿を現すようになったのです。

柳川城
紅き巨大兜……!?

鍋蓋城
ああ、そうだ。

鍋蓋城
冠する名は、『武田信玄』。
……さすがにこの名を知らないなんてことはないだろ?

柳川城
――っ!?

雑賀城
やはり、その名が出てくるか……。

雑賀城
キミも知ってるだろう、殿? 甲斐の虎と称されし希代の戦上手。
生涯において数多の合戦に臨み、その殆どにおいて勝利を収めたとされる武将だ。

殿
…………。

雑賀城
ああ。戦国の世にあっては、織田信長を凌ぐに足る名とも言える……。

やくも
だにぃ!? そげに強そうな巨大兜さんがいるなんて聞いてないがやぁ!

乙女城
け、けど安心して、やくもちゃん……。

乙女城
その巨大兜はね、たしかに甲斐にはいるんだけど、
……でも、もう十日以上も動かずにじっとしてるの。

柳川城
長きに渡って不動を貫いている?
なぜそのようなことを…………。

鍋蓋城
曲がりなりにも信玄公の名を冠してるってことさ。

鍋蓋城
疾きこと風の如く。徐かなること林の如し。
侵掠すること火の如く。動かざること山の如し――ってね。

鍋蓋城
恐らくヤツは、我らが籠城によって疲弊するのを待ち、
攻め込むに足る隙が生じるのを期しているにちがいない。

乙女城
……とはいえ、今の我々には殿たちが加勢してくれています。
ここから機を見出し、攻めの思考をもとに勝利を掴むべきかと。

新府城
……それはそうかもしれぬが。

新府城
だが、早計に事を進めるのだけはまずい。

新府城
今はまだ……考えさせてくれ、乙女城。

乙女城
新府城ちゃんが、そう……言うなら……うん……。

新府城
皆もわかっていると思うが、我々にとって甲斐は命そのもの。
決して、あのような異形に奪われるわけにはいかない……。

新府城
だから何としても、私が……甲斐を守ってみせる。

新府城
そう……私が守らねば、いけないのだ…………!

殿
…………。

雑賀城
(新府城、か……)

雑賀城
(少々、気負いすぎな気がするが、はたして……)


――ほ、報告にございます、新府城さま!

新府城
何事だ!?


そ、それが……。


ヤツが――あの紅き巨大兜が突然、
こちらへ向かって進撃を開始しております!

新府城
なんだと!?

新府城
バカな!? どうしてこんな時に……!

雑賀城
ボクたちが甲斐に入ったから……。
それ以外に理由は考えられないだろう。

新府城
くっ……。

新府城
ならば、こちらも打って出るまでだ!

鍋蓋城
――おい、新府城!
待てよ! ひとりで突っ走るんじゃねぇ!

乙女城
そ、そうですよ! 無理はいけません!

新府城
無理なことなどあるものか……!

新府城
鍋蓋城……貴方だっていつも言っているではないか。

新府城
為せば成る……為さねば成らぬ、と!

鍋蓋城
馬鹿野郎! んなことをいま持ち出すやつがあるか!

鍋蓋城
って、駄目だ……ああなっちゃ新府城は止まらねぇ。

鍋蓋城
殿、悪いがすぐに準備をしてくれ!

殿
…………!!

――――。

武田信玄
……………………。

新府城
ついに、この時が来たのだな……。

新府城
貴方がたとえ武田信玄の名を冠しようと、手心を加える気はないぞ。

武田信玄
フム……。

武田信玄
勇まシキ武威の気色ヨナ……。
実に心地よき――ソシテ懐かしきモノなり。

武田信玄
だが……郷愁ノ念など今や無用……。

武田信玄
此処ハ過ぎ行くベキと定められシ地なれば、
邪魔立てハせんで欲シイと儂は詞ヲ放たん。

新府城
……ど、どういうことだ?
まさか戦わずして解を探ろうとでもいう気か?

武田信玄
然様……儂ニトッテ戦は目的デハナク手段……。

武田信玄
ダガ何事にも例を外れる事アリさば、現状ノ我が器、我が魂ノ
向かう先にて宿願を果たさんと欲スハ詮無きコトト思わぬか?

新府城
……何を言うかと思えば。
やはり兜の言は我ら城娘を惑わす事象なり!

新府城
縁ある魂に似せた虚ならばと一縷の望みを抱いた我が身を恥じるばかりぞ。

新府城
……然らば、今より我は甲斐の守護者として貴方を討ち取らん!

武田信玄
フ……惜シイものじゃ。基因となる質アレド、繰る術はエヌか。
……新府城ヨ……其れが其方ノ未熟さト識れ…………。

武田信玄
サテ……儂らにトッテ必要な気と智をエルため、
戯に臨むとスルかね……皆、武器ヲ執るがよイ。


――御意。

兜軍団
御意ッ……御意ッ……。

新府城
来い、兜ども……。
私こそが甲斐を受け継ぎし者であることを証明してみせる!

鍋蓋城
――っ!?
くそ、新府城のやつ……頭に血がのぼっちまってる!

乙女城
鍋蓋城ちゃん、すぐに加勢しないと……!

鍋蓋城
わかってるって! 乙女城、おまえも油断するなよ!

雑賀城
殿、ボクらも往くぞ……。

柳川城
とはいえ……敵は新手の巨大兜です。
まずは出方を窺うことも肝要かと……。

鍋蓋城
みんな、いきなりで悪いが支援を頼む。
こんなところで新府城を失うわけにはいかないんだ!

乙女城
それでは、出陣と参りましょう……!
皆さんで力を合わせれば、きっと上手くいくはずです!

後半
新府城

くっ、うぅぅ……まだ、だ……ここは、通さぬ……ぞ……。

武田信玄
……ホウ……思いの外、やるようジャな……。
勝頼ノ影響を強く残す城娘にシテはなかなかに見所がある。

武田信玄
ダガ、将器に関シテは……粗末に過ギルと言わざるをエナいのぉ。

新府城
く、そ……言わせて、おけば――ッ!!

鍋蓋城
だから無茶はするなと言ってるだろ!
おまえはさっさと下がれ、新府城!

乙女城
鍋蓋城ちゃんの言う通りだよ……!
新府城ちゃん、ここは私たちに任せてください!

武田信玄
――――ヌっ!?

鍋蓋城
ふふっ、どうだ巨大兜?
今の一撃はなかなか効いただろ?

乙女城
どうやら……動きは、止められたみたいだけど。
……ここから、どう出てくるか……。

武田信玄
成程……勘助の気色スラ感じさせる城娘がイルとは、面白い……。

武田信玄
マァ、ここらが潮目じゃろう……地気は十二分に吸い取ッタしな……。
我が縁の地の未練あれど、それにも勝る宿願がアレばこそ、儂は往く。

武田信玄
邪魔ヲしたな……甲斐の城娘タチヨ……。
後は、オヌシらに此の地を任せるトシヨウ……。

兜軍団
撤退……撤退……。

鍋蓋城
なっ……どういうことだ!?
兜たちが次々と退いていくぞ!

雑賀城
鍋蓋城たちの攻撃がどうこうではない……あれは、
端から勝利を目的とした戦ではなかったということだろう。

新府城
本当に、手段としての戦だった……という、わけ……か……。

新府城
く、ぅ……どこまでも、私を……虚仮に、して…………うぅ……。

鍋蓋城
――お、おい! 
大丈夫か、新府城!

鍋蓋城
まずい、気を失ってる……。
乙女城、すぐに中に運ぶぞ!

乙女城
う、うん!

――数刻後。

殿
…………。

柳川城
新府城さん、大丈夫でしょうか?

千狐
とりあえず命に別状はないと思います。

千狐
新府城さんが倒れた理由は、外面的な負傷ではなく、
長きに渡る籠城による心的疲労が原因でしたから……。

やくも
何にせよ、早くよくなってほしいだに――

やくも
――って、あれ!?

新府城
…………。

柳川城
新府城さん!?
もう、起きて大丈夫なのですか?

新府城
ええ……心配をかけてしまい、すまない……。

鍋蓋城
ったく、ほんとに悪いと思ってるなら、
今日みたいな戦い方は二度とするなよ。

乙女城
焦る気持ちはわかるけど……死んだら、元も子もないですから……。

新府城
はい……。

新府城
…………。

新府城
私は、本当に……未熟ですね……。

新府城
どうして、いつもいつも上手くいかないのでしょうか。

新府城
せっかく、こうして甲斐を受け継いだというのに……。

新府城
……こんなことでは、いつまでたっても皆は私を認めてくれない。

新府城
いったい、どうしたらいいの……?

鍋蓋城
だからいつも言ってるだろ、もっと皆を頼れって。

鍋蓋城
甲斐を守らんとして気負うのもわかるし、
早くみんなに大将として認めてもらいたいのも理解する。

鍋蓋城
けどな、焦ったって事態は好転しねぇ。
信頼なんてのは即席でどうこうできるもんじゃねぇんだからよ。

新府城
すみません…………頭ではわかっているのですが……。

新府城
はぁ……。
駄目だ……やっぱり私には、無理なんだ……。

新府城
……こんなことなら、大将面して偉そうにするんじゃなかった……。

新府城
思えば、躑躅ヶ崎公のようになれるだなんて、どうして考えたのでしょうか……。

新府城
……高遠も、上田も、松代も……かつては、優しくしてくれましたが……、
結局……心の底では私のことなど全く認めてはいなかったでしょうし……。

新府城
はぁぁ…………もう、だめだ……私なんて……私なんて……ぐすっ……。

鍋蓋城
あちゃあ……。
新府城のやつ、また陰鬱状態に入っちまったな。

乙女城
こうなると……なかなか、立ち直れないですからね……。

柳川城
……ど、どうするのですか?

鍋蓋城
そうだな……。

鍋蓋城
仕方ない。こうなりゃ荒療治だ。

鍋蓋城
新府城。これは命令だ。
一度おまえさんは甲斐を離れろ。

新府城
……え?

鍋蓋城
でもって明日、お前は殿や私と共に越後に向かい、
あそこらへんの兜を片っ端から片付ける。いいな?

新府城
越後……!? 
ばかな、いきなりどうしてそんな話になるのですか! 
荒唐無稽も甚だしい!

鍋蓋城
お前は甲斐のことばかりで越後の現状を知らないんだろうが、
あっちにも新手の巨大兜が出現してるって話なんだよ。

新府城
越後に巨大兜……?

柳川城
――まさか!?

鍋蓋城
ああ……冠する名は、『上杉謙信』。

雑賀城
今度は謙信か。やれやれ……。
驚き以上に納得の方が強いなんて皮肉なものだね。

鍋蓋城
仕方ねぇさ。何せその名は信玄公にとっちゃ番のそれに近い。
巨大兜として現れる時期が同じでもなんら不思議はないさ。

鍋蓋城
となれば、越後にいるであろう坂戸城たちは、
少しでも戦える者を必要としているはず……。

新府城
だが、私がここを離れてしまっては甲斐は……。

鍋蓋城
いいや、違うね。今みたいな状態のお前だからこそ
一度甲斐を離れるべきなんだよ。

鍋蓋城
内からの景色だけじゃ、これ以上の成長なんて望めやしない。

鍋蓋城
新府城……、少しでも甲斐のためにと
自分を高めたいと思うなら外の世界を見てこい。

鍋蓋城
これはな、先達としての助言だ。

新府城
……だ、だけど……。

鍋蓋城
まだ納得できねぇみたいだな。

鍋蓋城
いいか、新府城?
私もお前と同じように甲斐のことを心底から案じている。

鍋蓋城
なればこそ、この地を守るためにも、
何としてもお前には将としての器となってもらわなくちゃ困る。

鍋蓋城
そのためにも、お前は甲斐の外の世界を見るべきなんだよ。

新府城
…………。

新府城
…………承知した。
貴方がそこまで言うのなら、何か理由があるのでしょう。

鍋蓋城
ああ……いい子だ、新府城。

新府城
や、やめてください……皆が見ている前で、頭など撫でないで……んぅっ……。

乙女城
(ふふ、何だかんだでやっぱり新府城ちゃんは鍋蓋城ちゃんの前では素直ですね……)

乙女城
……って、あれ? 
でもそうなると新府城ちゃんの代わりはどうするのですか?

鍋蓋城
ん? おいおい、今さら何を言ってるんだよ?

鍋蓋城
乙女城が、一時的にここの大将をやるに決まってるだろ?

乙女城
……ふぇ?

乙女城
わ、私が……?

鍋蓋城
ああ、よろしく頼むぜ!

乙女城
む……むむっ、無理ですよぉ~!

鍋蓋城
なに言ってるんだよ、お前には充分な経験と知恵があるじゃねぇか!

鍋蓋城
それに、新府城と同じように
お前にも足りないものを補ってもらう良い機会だ。

鍋蓋城
いわば、自信ってやつだな!

乙女城
そ、そんなぁ……。

乙女城
私、鍋蓋城ちゃんと離れたくないのに……。

鍋蓋城
うっ……。

鍋蓋城
そう言われると、さしもの私も心が揺れる……。

鍋蓋城
っていかんいかん。乙女城。これも甲斐のためだ。
少しばかり我慢と頑張りってやつをみせてくれよ。

乙女城
……うぅ。

乙女城
わかりました……。
そういうことなら……少しの間だけ、ですからね?

鍋蓋城
ああ。それまでに越後での用事はぱぱっと済ませてくるからよ。

鍋蓋城
ってことだ、殿。ちょっとばかし性急ではあるが
明日には出発しようと思う。で、問題ないか?

殿
…………。

殿
…………!

雑賀城
まったく……次から次へと息つく暇もない……。

柳川城
けど、ここら一帯を深く知る者と同行し、
未だ解放しきれぬ地を兜から取り戻す好機でもあります!

やくも
そうやね! ここで気張れば
それだけ色んな人たちを助けることもできるってもんだに!

殿
…………!

千狐
では、明朝の出発に向け、今日はここで休むとしましょう。

――その夜。

鍋蓋城
…………。

雑賀城
……隣、いいかな?

鍋蓋城
なんだ、誰かと思えば雑賀か。

鍋蓋城
……って、その様子だと、
単に夜風にあたりにきたってわけじゃなさそうだな。

雑賀城
…………。

雑賀城
鍋蓋城……ひとつ訊かせてくれ。

鍋蓋城
ん?

雑賀城
キミは……。

雑賀城
どうして、あれほどまでに新府城にこだわる?

鍋蓋城
というと?

雑賀城
……しらばっくれるな。

雑賀城
キミたちには新府城ではなく、
真に甲斐の城娘を束ねる強者がいたはずだ。

鍋蓋城
……なんだ、そのことかよ。

鍋蓋城
別にしらを切ってるつもりはない。

鍋蓋城
ただ単に、躑躅ヶ崎館さまは
未だ此世に存することを許されてはいない……それだけ。

鍋蓋城
だからこそ、あいつが――新府城が甲斐を守らなくてはいけなくなったのさ。

雑賀城
…………。

鍋蓋城
よくわからないって顔してるな。

鍋蓋城
けどな、私たちから言わせりゃ、
お前たちの先の畿内遠征だって疑問ばかりだ。

雑賀城
ボクたちの……?

鍋蓋城
ふふ、当事者には違和が強くならないようにでもなってるのかね?

鍋蓋城
ならわかりやすく訊いてやるよ。

鍋蓋城
あんたらの畿内遠征には――、

鍋蓋城
どうして『安土城』がいなかったんだ?

雑賀城
それは……。

雑賀城
(たしかに、そうだ……)

雑賀城
(織田信長の名を冠する巨大兜を討伐するなら、
あの刻、あの場所は安土城こそが在るべきだった……)

雑賀城
(おかしい……どうして、そのような当然の思考にボクは至らなかった?)

雑賀城
(いや、そもそもなぜ安土城の所在をボクは知らない……?)

雑賀城
これは、いったい……どういう、ことだ……?

鍋蓋城
さてね。お前が何を問い、何を欲してるのかなんて
今の私にはわからないし、わかりたいとも思わない。

鍋蓋城
けれど、一つだけ言えるのは――。

鍋蓋城
此世はそれだけ醜く出来てるってことさ。

雑賀城
…………。

鍋蓋城
さて、それじゃあ私はそろそろ行くとするよ。

鍋蓋城
明日は早い……ちゃんと寝ておけよ、雑賀。

雑賀城
……ああ。

雑賀城
……………………………………。

雑賀城
(いけない……これは余計な思考だ)

雑賀城
(刻がくれば、必要なことは多聞山城や信貴山城がボクに報じるはず……)

雑賀城
(今までもそうだった……)

雑賀城
(……そしてこれからも、それは変わらない)

雑賀城
(だから、今は……ただ――――としての役目を果たすのみ……)

雑賀城
それだけ……。

雑賀城
それだけのこと……なのに……。

雑賀城
………………………………。

――同時刻・甲斐国某所。

???
……雑賀の業を持つ城娘。

???
貴方のようなやさしい子が、悲しみを覚える必要なんてないのにね。

???
…………。

???
そうよ……。

???
……真に苦しむべきは、彼女ただひとりでいい。

???
ねぇ、貴方もそう思うでしょ?

???
…………殿。



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