ストーリーテキスト/第34話_坂東太郎_~下総~

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第34話 坂東太郎 ~下総~[]

出会したるは佐竹義重の名を冠する巨大兜。
銃撃などでは怯みもしない豪胆な進撃に対し
己が全力の真っ向勝負で挑み、勝利を掴め!

前半
千狐

殿、この辺りに兜の気を感じますわ!
くれぐれも注意してください!

馬場城
(……佐竹のおじ様の魂を悪用する巨大兜……、
間違い無い……予感は今、確信に変わった……)

馬場城
(……此の心に、迷いが無いとは……言えないけれど……)

馬場城
ですが! 何が現れようと、私は全力で戦うのみでしゅ!

馬場城
――って、きゃぁあああっ!?
いきなりの落とし穴ですぅぅぅぅぅぅぅ!!

飛山城
馬場城ーー!!
あたいの手に掴まれっ!

馬場城
はぁ……はぁ……。
飛山城さん……た、助かりました……。
おかげで、底に落ちずにすみましたぁ……。

飛山城
ふぅ……何とか無事だったみたいだな。
つか、何でこんなところに馬鹿でかい落とし穴なんかがあるんだ?

小田喜城
しかも、穴の底には竹槍が無数に設置されてます……。

小田喜城
どっからどう見ても、対象を殺す気で作った罠……ですね。

???
おや、何がかかったかと思えば、町娘とは……これは驚いたな。

小田喜城
――あっ、あなたは!?

???
……ん?

小田喜城
大多喜城ちゃん!
大多喜城ちゃんじゃないですか!?

やくも
何や? 小田喜城の知り合いなんがや?

小田喜城
知り合いも何も、私の親族みたいなものでして……。
よかったぁ。大多喜城ちゃんと、またこうして会えるなんて夢みたいだよぉ!

???
……大多喜城?
はて、其方……何を言っておるのだ?

小田喜城
え? わ、私だよぉ……小田喜城……。
も、もしかして忘れちゃったの? ぐすっ……。

???
すまぬ……泣かれたところで、
知らぬものは知らぬのだ。

千代城
どうやら、城娘としての力を失っているために、
記憶まで抜けてしまっているようじゃな。

小田喜城
そ、そんなぁ……。

???
それよりも、其方たちは何故このような場所にいる?

???
此の地は既に兜に包囲されておる。
じきに戦いが始まる故、早々に立ち去るが良い。

やくも
それはこっちの台詞だに!

???
……なに?

やくも
あんた、今はただの人間と同じやけん、
兜さんのことは殿さんに任せてさっさと逃げるがや!

???
兜を前にしておきながら……我が、逃げる……だと?

???
ふざけるなぁっ――!!

やくも
――ひぃっ!?

???
戦が……戦が我を呼んでいるのだ!

やくも
……え?

???
罠も調略も既に数多用意しておる故、
我に手抜かりなど一切ないと断じよう!

???
それに、理由は分からぬが、我は戦いに生き、
戦いの中で果てるべきだと自覚しておるのだ!

???
よって、何人たりとも我の在様を邪魔をする者は許さぬ!
さぁ、兜よ、来るならば来い! 我と戦おうではないか!

飛山城
お、おい……何だかあいつ、ちょっとヤバいヤツなんじゃねぇのか?

千代城
記憶と力を失えど、その本質は大多喜城のまま……という訳か。

千代城
おそらく、あの濛々たる闘争心は、
自制することのできぬ本望みたいなものなのじゃろう。

小田喜城
すみません……大多喜城ちゃんは、
普段は心優しい娘なのですが、
戦のこととなると、ちょっと熱くなりすぎる一面がありまして……。

小田喜城
って、大多喜城ちゃん!
いったい何処にいくのですか!?

???
誰が大多喜城だ!
我を面妖な名で呼ぶでない!

???
いや、それよりも! 
今は眼前の敵を見据えるのだ!

小田喜城
……え? 
眼前の敵……?

千狐
殿、巨大兜ですわ!
我々が追っていた巨大兜が……ついに姿を現したようです!

――『それ』は、剛胆にして細心たる戦の生粋だった。

其の器量――只の兜ならず。
威、器に顕れ。意、豪にして隙間無し。

利根川の流れの如く雄々しく、
筑波山の勇姿を彷彿とさせる堂々たる器量を備えし純然たる武が、
今、夜叉羅刹を超え、未知の異形となりて殿の前に立ちはだかる。

佐竹義重
――ダッハッハッハッ! ヌシが殿かぁッ!?
ヨウヤット会えたのぅ! 思ったヨリモずっと早かったわィ!

殿
…………!

馬場城
……や、やはり……佐竹のおじ様だったのですね……。

佐竹義重
ほう……コイツぁ、驚いたッ! 馬場城カ……ダッハッハッハッ!
義宣と共に攻め入ったアノ日を思い出すわいッ!!

???
おい、バケモノめが……!
くだらぬ話に花を咲かせるのは其処までにしておけ!

佐竹義重
……アァン? 何ジャ貴様は?
人間風情が、ワシら兜と城娘の間に割って入るトハどういうつもりだ?

???
どうもこうもない……!

???
我が心魂が貴様を滅せと叫んでおるのだ!
さぁ、かかってこい兜よ。生涯最高の戦いにしようではないか!

佐竹義重
ソノ覇気……そして、ソノ心魂……成程ナ。
貴様ぁ、城娘ノ魂が失せた抜け殻というわけか。

佐竹義重
ダッハッハッハッ! 
その戦闘意欲はカッテやろう!

佐竹義重
ダガ、貴様のような脆弱な闘士トデハ勝敗は火を見るより明ラカ……。
純粋な戦いを望むのナラ、本来の貴様が持つべき力ヲ取り戻してから挑むノダナ。

???
何を言っているのだ! 我は兜たちを――

???
――ふぐっ!?

小田喜城
当て身…………ごめんね、大多喜城ちゃん。
あなたを死なせたくないから……ちょっと眠ってて。

やくも
(知り合いとはいえ、いきなり殴って気絶させるとは……!?
……小田喜城も、やるときはやる城娘だったがやぁ)

小田喜城
すみませんが、やくもさんに千狐さん! 
大多喜城ちゃんを安全な場所へ、連れて行ってください!

やくも
……ま、任せるだに!

千狐
殿、くれぐれも無理はなさらないように……ですわ!

殿
…………!

佐竹義重
ナァ、殿よ……。
こうしてワシら、対峙してミタわけだがァ……。

佐竹義重
正直なところ、今のワシにとっては、
貴様を倒スも倒さぬも変わりは無ぇんだなぁ、コレが……。

千代城
……なんじゃと?
どういうことだ、巨大兜よ!

佐竹義重
悪いガ、ワシは小田原に用があるんダ……ああ、そうさ。
コレも借りちまってる佐竹義重とかいう魂の囁きってやつナンダロウナ。

佐竹義重
トニカク、ワシの最終目標地点は此処じゃねぇワケダ。
だから、貴様らがこっから立ち去るってんなら、ワシは後を追ったりはしない。

殿
…………!

佐竹義重
フッ……そのツラじゃ、逃げるなんてのは端から選択肢にねぇってことカ。

佐竹義重
マァいいさ。ワシはワシの道を突き進むのみッテナ!
邪魔するヤツぁ、全て蹴散らすマデダッ!!

佐竹義重
総員、進軍開始ィッ!
イザ進めェッ!! 我に続ケヨヤァァアアッ!!

兜軍団
ウォォォオォオォッ!! 我等ガ惣領ニ続ケェ――ッ!!

千代城
――むっ!?
巨大兜め、ついに進撃を開始しよったぞ!

飛山城
はんっ! なんだい、あの鈍足はよぉ!
今なら、遠距離からの攻撃で
殿に近寄らせる前に倒せるんじゃねぇのか?

鹿児島城
そういうことでしたら、この鹿児島城にお任せですわ。

鹿児島城
ふふ……撃ち方、よしですのーっ!!

佐竹義重
――――っ!?

佐竹義重
ダッハッハッハッ! なんじゃ、その蚊の鳴くような銃撃はァッ?
ソレシキでこの鬼佐竹を止められると思ったら大間違いジャァッ!!

鹿児島城
あらぁ……困りましたわ。
あの巨大兜、銃撃程度では全く怯まないようですの……。

馬場城
でしたら、直接叩くしか手はないということですね……。

馬場城
こうなったら――

馬場城
――おじ様、お覚悟っ!!

小田喜城
私も共に参ります! 
はぁぁっーーー!!

佐竹義重
――クァッ!?
ダッハッハッハッ……その意気や善しッ!!

佐竹義重
だがァ…………。

佐竹義重
――効かんナァアあッ!!

馬場城
そん……な……っ!?

小田喜城
一撃で……やられてしまう、なんて……うぅぅぅ……っ!!

千代城
くっ……あの馬鹿でかい鉄球による一撃は、
まさに必殺の一打というわけじゃな……。

千代城
城主よ、用心しろ!
ヤツめ、純粋な力のみで押し切ろうとする手合いのようじゃ!

千代城
この戦場においては、策に頼る意味はないじゃろう……。
ヤツの動きを身体で止め、全霊の攻撃によって打ち倒すのじゃ!

飛山城
要するに、力比べってわけかい……。

飛山城
いいぜぇ! そっちの方が、
あたいにとってはやりやすいってもんさ!

飛山城
さぁ、行こうぜ、殿!
どっちが強いか、はっきりさせてやろうじゃないか!

後半
大多喜城

ふむ……そうか、我は城娘であったな。
まったく、何故このような大事なことを忘れていたのだろうか。

小田喜城
――大多喜城ちゃーんっ!!
よかったぁ、記憶が戻ったんだねぇ~!

大多喜城
おぉ、これはこれは、小田喜城様……。
ええ、貴方様のおかげで何とか無事に力と智を取り戻せましたぞ。

大多喜城
……だが、先ほどの巨大兜を難なく倒してしまうとは、
其処におわす御方は、なかなかの武人とお見受けする。

殿
…………。

大多喜城
ふふっ、そのように謙遜することもあるまい。
記憶の無かった我を助けてくれたこと、深く感謝します。

大多喜城
して、これからどうするつもりでしょうか?
一先ず、脅威は去ったようにも見えますが……?

千代城
そうじゃな……当初の目的は完遂したと見て間違いないじゃろう。

千代城
……だが。

飛山城
だが……なんだよ?
気になるような言い方せずに、はっきり言ってくれよ。

千代城
……よかろう。

千代城
城主よ、わらわはこのまま南西へと進み、
小田原に向かうべきだと思うのじゃ。

飛山城
はぁ? 小田原……だと!?

馬場城
先刻のおじ様……巨大兜の言葉が気になるということですね。

千代城
うむ……。

千代城
ヤツは小田原に用があると言っていた上に、
我々との戦いを、さほど重要視していなかった。

千代城
此処からは推論じゃが、彼奴には己の中で
会わねばならぬと断じていた兜がいたのではないじゃろうか?

小田喜城
……会わねばならない……兜?

大多喜城
なるほどな……。

大多喜城
我がこうして姉さまとの再会を果たしたように、
城娘の魂同士は惹かれ合うとされているが……、

大多喜城
巨大兜も、高名かつ強力な存在の魂を利用している点からして、
我々と同じようなことが起きていると考えてもおかしくはないのかもしれぬな。

やくも
うぅぅ……段々とまた、話がよくわからなくなってきてるだにぃ……。

馬場城
えっと……つまりは小田原に、
先ほど戦った巨大兜の知り合いが潜んでいるかもしれない、
ということですよ、やくもさん。

やくも
そ、それは本当がや!?

やくも
だったら、千狐ぉ!
すぐに霊気を探ってみてほしいだにぃ!

千狐
言われなくてもさっきからずっとやってるわよ!

千代城
で、結果はどうなのじゃ?

千狐
…………はい。
あまり喜ばしいことではないですが、
たしかに、小田原に禍々しい存在の気を感じます。

飛山城
ま、マジかよ……。

飛山城
一難去ってまた一難とはこのことだな……はは。

大多喜城
先刻の戦で疲弊しきったというのならば、
後のことは我に任せてくれてもいいが?

飛山城
はんっ! この飛山城をなめてもらっちゃ困るぜ!

飛山城
こう見えても、体力と一途さには自信があるんだよ!

飛山城
――っしゃ! そうと決まれば、少し休憩した後に、
すぐに小田原に向けて出発しようぜ、殿!

殿
…………。

殿
…………!

こうして、関東地方における兜討伐は
新たな敵の存在の発覚により、
その進路をさらに南西へと向けることとなる。

……。

…………。

――数刻後、某所

???
…………。

兎形兜
報告……佐竹義重ガ……殿ニ敗レタヨウデス……。

???
……ソウカ。

???
……佐竹メ。
我らノ許へ辿り着く前に敗走スルトハ……。

兎形兜
恐ラク……殿一行ハ此方ニ向カッテ……進軍スルト予想サレマスガ……?

???
然らば…………皆に、伝エヨ。
最善にして最高ノ備えヲ以て敵を迎え討て……トナ。

兎形兜
……承知。

???
…………。

???
……殿、カ……。

???
何とも……面倒かつ厄介ナ人間ニ、目をツケラレタモノダナ……。



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