ストーリーテキスト/第30話_独眼竜_~陸奥(陸前)~

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第30話 独眼竜 ~陸奥(陸前)~[]

奥州異事の元凶たる巨大兜・伊達政宗現る。
天を喰らうが如き荒々しき野心を打ち砕き、
兜たちから此の地を救う為、いざ出陣せよ!

前半
――陸奥国中南部、某城内。

其処では、ひとりの娘が異形と対峙していた――。

千代城
…………。

千代城
分かっておった……。
ずっと、わらわには分かっておったのじゃ。

千代城
奥州すべてを覆うほどの、憎悪が……怒りが、
誰の者であるのかを……。

千代城
……のう、政宗?

――『それ』は、無極たる野心の剣尖であった。

真鍮蛾眉、其の伊達者を猶々孤高に。
玄蒼甲冑、其の躯心魂を猶々超然に。

時に忌まれ、刻に蝕まれた紅紫の眼光が瞬き、
今此処に天己朔たりと大望の顎門が明放する。

伊達政宗
……千代城、か。

伊達政宗
城娘としての力を失った貴様ガ、俺の前ニ立つとはな……。

伊達政宗
フッ……まさか、俺ヲ止めに来たとでも言うノカ?

千代城
だとしたら、どうするというのじゃ……?

伊達政宗
無論、滅すマデ……。

千代城
……政宗。

千代城
未だ、天を欲すか?

伊達政宗
……当然ダ。

伊達政宗
今この時世コソ……俺ガ望んでいた真ノ戦国……。

伊達政宗
秀吉への偽りの忠義も、家康との約束も、最早すべてが意味を失った……。

伊達政宗
……世が、俺ニ囁いているのだ。

伊達政宗
今コソ天下ノ覇者トナレ、とな……。

千代城
……偽りと言えど、その魂が欲すは不変……か。

千代城
だがわらわは知っている……おぬしが真に欲していたのは――。

伊達政宗
――それ以上ノ言を吐くなッ!

千代城
……わらわの言の葉に臆すか、政宗?

伊達政宗
黙れと、言っていル……!

千代城
……此方の意を汲み、解する気は無いということか。

伊達政宗
政重の城の言葉を……俺ガ信ずると思うてカ?

千代城
……否。

千代城
端から紛いの魂にわらわの辞が通ずるとは思っておらぬ!

伊達政宗
ならば何故……俺ノ前に立った、千代城ッ!?

千代城
時の重なりを、わらわは待っていたのじゃ!

伊達政宗
なん……だとッ!?

千代城
見ろ、政宗!
わらわの待ち人は、今まさに此の地に来たのじゃ。

殿
…………。

伊達政宗
貴様……。

伊達政宗
俺は貴様を知っているぞ……。

伊達政宗
俺の野望を阻む者……そして、俺ガ討つべき存在……。

殿
…………。

千狐
殿、危険ですわ! それ以上前に出てはいけません!

やくも
な、なあ……巨大兜の近くにいるあの娘はいったい誰なんや?

脇本城
このあたりの町娘……というには、何か様子がおかしいです!

黒川城
慌てるわけでもなく……それでいて気負っているわけでもない……。

黒川城
いったい、何者なのでしょうか?

千代城
…………。

大宝寺城
こ、こっちに来るよ!?

矢留ノ城
巨大兜も攻撃はしてこないようですが……。
……い、いったいどういう事なのでしょうか……?

千代城
ようやく、会えたのぅ。

殿
…………。

千代城
語るべき事は山ほど在るじゃろうが、今は時が足りぬ。

千代城
だが、わらわはあの巨大兜……伊達政宗と所縁在る城娘とだけ伝えておく。

脇本城
――城娘っ!?

千狐
ですが、彼女からは城娘としての力を殆ど感じません……。

脇本城
成る程……貴方はかつての私と同じように、
記憶だけはあるが、城娘としての力を失った者……というわけですね?

千代城
理解が早くて助かるのじゃ。

根城
そんなことより、あなたは早く安全な場所に下がったほうがいいって!

不来方城
ああ、そうだぜ。
……後は俺たちに任せとけ。

千代城
勿論、そうさせてもらう腹積もりじゃ……。

千代城
じゃが、気をつけよ。

殿
…………?

千代城
政宗は……。

千代城
奴は、強いぞ。

殿
…………。

殿
…………!

伊達政宗
どうやら……死出ノ覚悟は出来たヨウダナ。

伊達政宗
蒲生氏郷を凌ぐ貴様の力……今此処デ俺に示セ、殿……。

千狐
殿、兜が刀を構えましたわ!

伊達政宗
天をも喰ラウ、我ガ独眼竜ノ剣技……死ヲ以テその身に刻メッ!!

後半
千代城

城主よ、よくぞ政宗を討ち破った。

千代城
……正直、ここまで力をつけているとは思わなんだ。

千狐
あの……殿のことをご存じなのですか?

千代城
……む?

千代城
当然であろう?
あの蒲生氏郷との戦いは、此の地に
名声を轟かせるには十分すぎる勲功じゃった。

黒川城
でしたら、何故すぐに殿に救援を求めなかったのですか?

千代城
おぬしらが氏郷の戦いの後、
すぐに此の地に来るべきではなかったからじゃ。

脇本城
来るべきでは、なかった……?

千代城
ああ、そうじゃ。

千代城
だからこそ、残っていたわらわの城娘としての力を使って、
此の地に、ある仕掛けをさせてもらったのじゃ。

千代城
わらわは、此処らの地気や依代を利用し、
政宗の禍々しき霊気を外界へ漏らさぬよう制御したのじゃ。

黒川城
……制御?

黒川城
だからこそ、千狐さんが此の地にいる巨大兜の存在に
なかなか気づけなかったというのですか?

千代城
明察じゃ。

大宝寺城
そんなすごいことって、簡単にできることなの?

矢留ノ城
簡単じゃ無いけど……自分と強い縁がある地ならば、
できないことは……ないと思います……。

大宝寺城
ふーん、そうなんだぁ。

大宝寺城
でもさ、何でわざわざ私たちを遠回りさせたのさ?

千代城
戦力は大いに越したことはないからのぅ。
まずは陸奥に潜在していた城娘を覚醒させて欲しかったのじゃ。

不来方城
つまりは俺や根城姉さんが必要だったってことだな。

不来方城
千代城、お前のその読み……結果としてだが実に冴えてたぜ!

千代城
うむ、伊達に此の地の城娘をやっておらんのじゃ!

不来方城
……そこは笑うところか?

千代城
偶然じゃ。あまりつっこむでない。

千代城
それとな、此処に来る直前には、
必ず陸奥北部の霊域に立ち寄らせたかったのじゃ。

根城
っていうと、あたしと殿が出会ったところだね。

千代城
彼処は日本屈指の霊場じゃ。
政宗ほどの邪気と戦うとなれば、可能な限り万全を期したかった。

黒川城
……まさか、そこまでのことを考えていらしたとは……。

黒川城
この黒川城、感服致しました!
千代城さん、是非とも貴方の叡智を御殿様にお貸し頂けませんか?

千代城
元よりその意向じゃ。
まだまだ未熟者じゃが、この力を城主の為、尽くすとしよう。

やくも
(な、なぁ千狐……)

千狐
(なによ、やくも……?)

やくも
(脇本城や黒川城よりももっと頭良さそうな城娘が仲間になっただに……)

千狐
(……だから何よ?)

やくも
(このままだと千狐が講釈する機会がますます無くなりそうがや……)

千狐
(コンッ! いよいよ以て許せないのぉっ!)

千狐
(――って、何言わせるのよ!
そんなこと全然ほんとにこれっぽちも思ってないのー!)

やくも
(いひゃいだにぃーっ!
だからほっぺをつねるのは反則って言っちょーがやぁっ!!)

不来方城
ったく、仲良いなお前らは……。

不来方城
ま、これでほんとに東北での兜討伐は終わりってことだな。

根城
そうみたいね!

根城
と言ってもあたし、あんまり活躍の機会は無かったけど……。

矢留ノ城
そんなことないです……私よりもずっと殿のお役にたってました。

大宝寺城
何言ってるんだよ、矢留ノ城!

矢留ノ城
……え?

大宝寺城
みーんな頑張ったし、みーんな殿の役に立ててたよ!

大宝寺城
私ちゃんと見てたから分かるもん!

大宝寺城
ぶおお~ん! ぶおおお~ん!

黒川城
ええ、大宝寺城さんの言うとおりですね。

黒川城
誰ひとり欠けても、この勝利は掴み得なかった……。

黒川城
それは間違えようのない事実です!

不来方城
みんなで掴んだ勝利、か……。

不来方城
へへ、まさに正義の味方って感じだな!

脇本城
……そうですね。

脇本城
本当に……本当に、よかったです……。

脇本城
大事な東北の地を守ることが出来て……ぐすっ……、
本当に……ほんとうに、良かったですぅ……ふぇ~~~ん……っ!

不来方城
本気泣きかよっ!?

柳川城
仕方ありませんよ、だって……、

柳川城
脇本城さんの手紙から、この遠征は始まったのですから。

千狐
そうですわ! 脇本城さんが殿へ文を送って下さったから、
千狐たちは今この地に立ち、皆さんの力になれたのです!

脇本城
ぐすっ、ひぐ……そんな、たいそうなこと……してないれすぅ……うぅぅ。

千代城
何はともあれ、皆がひとりひとり此の地を想い、
そして行動をしたことが勝利に繋がったのじゃ。

千代城
じゃが、それを纏め上げ、一つの力としたのは、紛れもなくおぬしじゃ。

殿
…………。

殿
…………!

千代城
此の地の城娘として、改めて我が心の辞を贈ろう。

千代城
ありがとう、なのじゃ!



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