ストーリーテキスト/異界門と紅血の皇女

ページ名:ストーリーテキスト/異界門と紅血の皇女

目次

異界門と紅血の皇女[]

異界門と紅血の皇女 -前-

吸血鬼討伐の為に現地へと向かった城娘たち。
しかし、その悉くが失踪したという報を受け、
ついに殿一行が事件解決に乗り出す。

前半
???

生きるか死ぬか――それが問題にて候。

???
否、この物語……そしてこの舞台の上に限って言えば、
その実、誰と生死を共にするかが肝要なのかもしれぬ。

???
時刻は丑ノ刻――草木も寝静まる闇夜の中、
城娘たちは、美しき怪異の前に膝を屈していた。

???
ふふ……そんなに怖がらないで……。
抵抗しなければ、すぐに終わらせて差しあげますわ。

若松城
くっ、うぅぅ……ハァ、ハァ……、
な、何て強さだ……バケモノめ……っ。

小田喜城
見たこともない風貌に……異質な力。
……いったい貴方は何者なのですか……?

シルヴィア
我が名はシルヴィア。
永き眠りより目覚めたヴァンパイアのプリンセスですわ。

馬場城
う゛ぁ……う゛ぁんぱいあ……?

能島城
……ぷりん、しぇす?

シルヴィア
うふふ……吸血鬼と言えば、ご理解いただけるでしょうか?

滝山城
きゅ、吸血鬼じゃとっ!?
ということは昨今、巷を賑わせている怪異というのは――

シルヴィア
――ご明察ですわ♪

シルヴィア
では正解したご褒美に、貴方たちも
私のコレクションにして差しあげましょう!

備中高松城
きゃ……きゃぁぁ――っ!! 
お芝居と言えども痛いのはいやなのです――っ!

長浜城
だーれーかー! ていうか殿ぉーっ!
たーすーけーてーっ!! このままじゃ食べられちゃうーっ!

台本通りの大袈裟すぎる悲鳴も虚しく、城娘たちは皆、
シルヴィアという名の美しきヴァンパイアに翻弄されていく……。

そして――。

シルヴィア
うふふ……これでまた、食料の確保に成功ですわ♪
それに彼女たち城娘は愛玩用としても申し分ないですし。

シルヴィア
……あぁ、これからが楽しみですわ♪

――数日後。

千狐
殿! 大変ですわ!

千狐
数日前に、人々を襲う謎の怪異がいるとされる地へと
馬場城さんたちが向かったのは殿もご存知かと思いますが……。

やくも
調査へ行ったきり、全員行方不明になってしまったみたいだに!

柳川城
な、なんですって――っ!?
あれだけ大勢で出発したのに……全員行方不明なのですか!?

千代城
……こうしてはおれぬぞ、殿!
わらわたちで、仲間の皆を助けにいくのじゃ!

殿
…………。

殿
…………!

千狐
はい! それでは至急、出立の準備をお願いします!
行方不明になってしまった皆さんを探しに行きましょう!

――丑ノ刻・某所。

殿
…………。

千代城
おかしい……馬場城らの霊気の痕跡を追跡しながら、
千狐の時空転移術にて、この地まで辿り着いたというのに、

千代城
どれだけ探しても、ひとりとして仲間が見当たらぬとは……。

柳川城
そういえば、この地に現れるという怪異は、
人を食うとの噂もあるようですが……もしかして――

やくも
――城娘たちも食べられてしまったってことがや!?

???
失礼ですわね。
私はそんな野蛮なことはしませんわ。

千代城
むっ――何やつじゃっ!?

シルヴィア
我が名はシルヴィア。
貴方たちが来るのをずっと待っていましたわ。

柳川城
私たちが来るのを待っていた……?
ど、どういうことなのですか!?

シルヴィア
ふふ……貴方たちは探しに来たのでしょう?
私のコレクションの一部となってしまった、この娘たちを……。

鹿児島城
ウゥゥゥ……殿どん……わ、わたくしタチ……
気づいたら……シルヴィア様のケンゾクにナッテしまったようですのォ……。

三木城
シルヴィア様……ハラ、ヘッタ……。
……アイツラ、喰ッテモ…………イイカ?

千代城
鹿児島城に三木城!?
くっ……あの様子はただ事ではないのじゃ!

千狐
シルヴィアさん……貴方、いったい皆さんに何をしたのですか!?

シルヴィア
魅了の力で、心身の自由を奪っただけですわ。

シルヴィア
まぁ本当は、ヴァンパイアとして当然のように吸血すべきなのでしょうが、
故あって、今の私は『あの方』以外の血は吸わないと決めてしまってるの。

柳川城
う゛ぁんぱいあ――ですって!?

千代城
知っておるのか、柳川城!?

柳川城
はい! 前に手に入れた洋書の中に、
『う゛ぁんぱいあ』という名の怪物が
異国には存在すると記されていました……。

柳川城
……ですが、あくまでお伽話の類としての記述でしたので、
まさか、こうして実際に目の当たりにするだなんて信じられないです。

シルヴィア
ふふ、私の存在を知る者がいるとは驚きですわ♪

シルヴィア
千代城さんに柳川城さん、ですか。
あぁ……名前だけでなく見た目も実に麗しいですわ。

シルヴィア
うふふ……決めました。お二人とも、
私のコレクションとして永遠に可愛がってあげますわ♪

千代城
――なっ!? ふざけたことを申すな!
わらわは城娘! この心、この身体は城主だけのものじゃ!

殿
…………。

柳川城
そ、そうです!

柳川城
私だって心も体も……えっと、あの……、
ぜ、全部…………殿だけのものです!

殿
……。

殿
…………!

シルヴィア
殿……貴方、ずるいですわ。
そんなに愛らしい城娘たちを独占して……。

シルヴィア
いいでしょう。意地でも渡さないというのなら、
殿には少しだけ痛い目を見てもらいますわ!

殿
――っ!?

千狐
殿! シルヴィアさんが戦闘態勢に入りましたわ!
こちらも戦の準備を――っ!!

千代城
気をつけるのじゃ! シルヴィアに呼応するように
周囲から続々と奇妙なバケモノたちが出現し始めたぞ!

柳川城
ですが、何が現れようと我らは殿をお守りするのみです!
千代城さん、共に死力を尽くしましょう! いざ出陣です!

合戦中
シルヴィア

『シルヴィア』
アンデッドとヴァンパイア系の魔物は攻撃を与えた対象の動きを一定時間封じるの。
私は攻撃を行う度に貴方たちの耐久を吸い取っちゃうから気を付けてくださいね♪

 スキル『魔剣フルンティング』
 攻撃する度に与ダメージの5%耐久が回復

後半
シルヴィア

ふふふっ、柳川城さんに千代城さん……それに殿。
まさか、ここまでやるとは思いませんでしたわ。

柳川城
そ、そんな……。
あれだけの攻撃を受けても平然としているなんて。

千代城
じゃが、我らが僅かに圧している状況にある。
果敢に攻め続ければ、勝機はあるはずじゃ!

シルヴィア
うふふ……それは、どうかしら?

やくも
……え!?

千狐
殿、シルヴィアさんの様子がおかしいですわ!

シルヴィア
こんなにも月の美しい夜だもの……。
特別に、私の本当の姿をみせてあげますわ。

異界門と紅血の皇女 -後-

ついに真の力を解放した美しき吸血鬼シルヴィア。
その恐るべき力を前に気圧されながらも、柳川城と
千代城は死力を尽くして殿を守るため戦場に立つ。

前半
シルヴィア

こんなにも月の美しい夜だもの……。
特別に、私の本当の姿をみせてあげますわ。

千狐
そんな……シルヴィアさんの身体から、
恐ろしいまでの力が溢れてきてる……こ、こんなの有り得ないわ……!

シルヴィア
うふふ……この姿になったからには
もう手加減してもらえるなどとは思わないでくださいね?

千代城
よもや、これほどの力を有する怪異が存在しようとはな。
計算外じゃ……今度ばかりは、勝てぬかもしれぬ……。

柳川城
弱気になっては駄目です、千代城さん!
私たちが諦めてしまったら、誰が殿を守るというのですか!

千代城
柳川城……。

千代城
そうじゃな!
わらわとしたことが柄にも無い詞を吐いたものじゃ。

千代城
ならば共に往こう、柳川城よ!
おぬしとならば必ずや殿を守れるはずじゃ!

殿
…………!

シルヴィア
ふふ、心の準備はできたようですわね?

シルヴィア
それでは、第二幕――開始ですわ!

合戦中
シルヴィア

『シルヴィア』
この姿になった私は、攻撃を行う度に相手の耐久をすっごく吸い取っちゃうの。
耐久、攻撃、防御も増加しているので、皆さんも本気で来ないと怪我しますわよ?

 覚醒スキル『吸血剣フルンティング』
 攻撃する度に与ダメージの20%耐久が回復

後半
千代城

今じゃ、柳川城!
互いの全力をもって一気に勝負をつけるぞ!

柳川城
はいっ! 
この一撃で終わりにしましょう、千代城さん!

シルヴィア
――くぅ、ぅぅッ……そ、そんな……っ!
二人のこの力は……いったい……!?

殿
…………!

やくも
や、やったがや……?

千狐
殿、ご覧ください!
シルヴィアさんの様子が――!!

シルヴィア
ふぅ……もう、やめですわ。これ以上戦ったら、
殺してでも奪いたくなってしまいますもの。

千代城
どうやら、戦闘態勢を解除したようじゃな……。

柳川城
では、私たちの勝利ということで……いいのでしょうか?

殿
…………!

シルヴィア
ええ。素直に貴方たちの強さを認めます。
私を此処まで本気にさせるなんて大したものですわ。

千代城
じゃあ、城娘たちを解放してくれるのじゃな?

シルヴィア
そう……ですね。
本当は返したくないですが、仕方ありません。

シルヴィア
それに、貴方たち二人の殿への忠誠心を目の当たりにしたせいかしら。
無理に城娘たちを自分のものにするのは、何だか気が引けますわ……。

柳川城
よかった……それでは、
これで皆さんと無事に所領に帰れるのですね!

殿
…………!

シルヴィア
殿……。

殿
……?

シルヴィア
貴方にも、そして貴方の仲間たちにも、
随分と迷惑をかけてしまいましたわ……。

シルヴィア
お詫びと言ってはなんですが、
この『魔剣フルンティング』をお受け取りください。

殿
…………!?

シルヴィア
……聞けば、貴方たちは兜や妖怪といった
強敵たちと戦っているそうではないですか。

シルヴィア
だからきっと、この剣が役に立つはずですわ。
……大事に、してくださいね?

殿
…………!

シルヴィア
では、そろそろ私も自分の在るべき場所ヘと帰りますわ。
殿、そして愛らしき城娘の皆さん……いつかまた会いましょう。

シルヴィア
今度は、客人として……ね♪

殿
…………。

殿
…………!

こうして美しき吸血鬼シルヴィアは闇夜に溶けるように姿を消し、
囚われていた城娘たちは皆、大好きな殿の許へと戻ることができた。

而してその後、『魔剣フルンティング』を受け取った殿たちは、
その比類無き魔剣の力を駆使して兜たちを全滅させると、

その余勢を駆って、日の本をちゃっかり統一し、
たくさんの城娘たちと共に末永く幸せに暮らしましたとさ――。

クロンボー城
――めでたし、めでたし。

クロンボー城
これで私たちの劇は終わりだよ、王様。
……どう? 演劇って、けっこう面白いでしょ?

殿
…………。

殿
…………!

鹿児島城
ふぅ、ようやく終わりましたね、殿どん。
吸血鬼に襲われる役だなんて、とってもドキドキしましたわ。

馬場城
でも、皆さんと一緒にお芝居ができて楽しかったですぅ。
何だか病みつきになっちゃいそうですねぇ♪

千代城
じゃが、吸血鬼……か。

千代城
実際に戦わねばならなくなった場合、
いかにして城主を守るか今のうちに考えなくてはじゃな。

能島城
あーもう、そんな小難しいこと考えてないで、
今は演劇の感想について語ろうぜ、千代城?

滝山城
そうじゃよ、千代ちゃん。先刻見せてくれた
大立ち回りは後世に残るほど素晴らしかったぞ?

千代城
だから千代ちゃんって言うなと何度申せばわかるのじゃ、おぬしは!

小田喜城
ふふ、相変わらずですね、千代城さんと滝山城さんは。

長浜城
ほんと、あの二人はいっつも仲良しさんだよねぇ~♪

備中高松城
そういえば、今回の演劇は脚本も演出も監督も
ぜーんぶクロンボー城さんが担当されたんですよね?

クロンボー城
……うん。今日までの準備はね、けっこう頑張った。

クロンボー城
それに、ヴァンパイア役をやるにあたって、
色々と勉強もして、役作りもしたの。

若松城
だからかぁ。とんでもねぇ迫真の演技だったせいか、
劇中のクロンボー城は殆ど別人にしか見えなかったぜ!

クロンボー城
役に入り込むと、人が変わるって……よく言われる。

クロンボー城
でも、一つ心残りがあってね。

長浜城
……心残り?

クロンボー城
うん。実はね、伝承にあるヴァンパイアは、
美しい女の子の血を吸いたがるらしいの。

クロンボー城
だから、最初に書いた脚本の中ではね、
実際に私が備中高松城ちゃんの首筋をかぷかぷする予定だったの。

クロンボー城
でも嫌がると思ったから……ボツにしちゃった。がっかり。

備中高松城
え、えっとぉ……甘噛みするだけでしたら、
少しは我慢できたかもですけどぉ……?

クロンボー城
――えっ!? ほんとに!?

備中高松城
あ、あんまり痛くしないって……約束してくれるならですけど……。

クロンボー城
んー。でも、やっぱり城娘同士でかぷかぷするのは、
いけないことのような気もするしぃ……うーん。

能島城
んなこと言っても、ここにいる三木城は
お腹が空きすぎるとふつーに噛んでくるけどな。

三木城
むぅ! たまにしかしないもん!

クロンボー城
否定はしないんだ……。

三木城
ねぇねぇ、それよりさー!
終わったら皆で宴会やるんでしょ!?

三木城
今日はそれが楽しみで頑張ったんだから、
所領に戻ったらいっぱい食べるぞーっ!!

やくも
うちも三木城に負けないくらい食べるだにぃ!
殿さーんっ! はやく所領に戻るがやー!

千狐
もう、やくもったら。ほんとしょーがないんだから。

千狐
それじゃあ皆さん!
各々で劇に使った道具を分担して持ち帰りましょう!

柳川城
では、この重そうな棺桶は私が運びますね!

柳川城
……って、あれ?

柳川城
(棺桶の中に、先ほどお芝居で使ったものとは異なる洋風の剣が入ってる……!)

柳川城
(うーん……小道具にしては、あまりにも出来が良すぎるような気が……?)

若松城
おーいっ、柳川城ぉー!
早くしないと置いてっちまうぞー!?

柳川城
ま、待ってください!
私もすぐに帰る準備をしますから、置いていかないでくださいよぉー!

そうして、柳川城が棺桶を持ち上げると共に、
中から一匹の蝙蝠が飛び立っていったのだが、
誰も、それに気づくことはなかった――。

異界門と紅血の皇女 -絶-

クロンボー城主催の演劇が終わった後、城娘たちは
それぞれ自室へと帰っていくのだが、片付けをする
ために残っていた柳川城はある物を見つけてしまう。

前半
――深夜。
クロンボー城主催の海辺での演劇を経て行われた、
所領内での大宴会も終わりが見え始めていた時のこと。

三木城
はぁ~、美味しかったぁ。
これだけ食べれば明日の朝までは胃袋が保ちそうだね!

能島城
だね! ……じゃねぇよ!
お前ひとりだけで三日分くらいの食料が消えちまったぞ!

滝山城
別によいではないか。三木城の食べっぷりを肴に
美味なる酒を飲めたのじゃから……なぁ、千代ちゃん!

千代城
わらわは酒など一滴も呑んでないのじゃ!
というか千代ちゃん言うな。

若松城
ふぁ~ぁ……ちょっとばかし調子に乗って飲み食いしすぎたかな?
何だかすげぇ眠たくなってきたぞ……。

小田喜城
では、そろそろ私たちは部屋へ戻るとしましょうか。

長浜城
そうだね! それじゃあ殿ぉ、また明日ねー♪

殿
…………!

長浜城らの退室を契機として
一人、また一人と広間から寝床へと城娘たちは帰っていった。

クロンボー城
……そして、誰もいなくなった。

柳川城
え?

クロンボー城
あ、違った。柳川城ちゃんは、
宴会の片付けがあるから、まだ残ってたんだ。

柳川城
私のことはお気になさらず、
クロンボー城さんもお休みになってください。

柳川城
遠き地より、我々の許へと遊びにいらして数日が経ったとはいえ、
まだまだ日の本での生活は不慣れかと思います……。

柳川城
今宵はしっかりと身体を休めて、明日への活力としてください。

クロンボー城
うん。ありがとう、柳川城ちゃん。

クロンボー城
……それじゃあ、お言葉に甘えて今日はもう寝るね。

柳川城
はい。おやすみなさい、クロンボー城さん。

柳川城
…………。

柳川城
…………って、あれ?
クロンボー城さんの座ってた所に、何か落ちてますね。

柳川城
よいしょっと……何かの本、でしょうか?

柳川城
――っ!?
こ、これは……!!

柳川城
『真・異界門と紅血の皇女――原作:クロンボー城』と書かれてますね。
今日の演劇の台本とは何だか表題がやや異なるような……?

…………そして、柳川城は何とはなしに
クロンボー城が忘れていった脚本を読み始める。

シルヴィア
――さぁ、覚悟しなさい、殿!
この姿になったからには手加減はできませんからね!

殿
…………!

千狐
ま、まずいですわ!
シルヴィアさんの力は我々の力を遙かに凌駕しています!

千代城
このままでは全員殺されてしまうのじゃ!

やくも
くぅぅぅ! こんなことなら、
台所にしまっておいた大福を食べておくんだったがやぁ!

柳川城
殿……。

殿
…………。

柳川城
最後になるかもしれないから、言わせてください……。

柳川城
私は、出会った時から……ずっと、ずっと貴方のことが――

???
――そこまでよ、ヴァンパイア!

シルヴィア
な――貴方はいったい……!?

???
私……? 私が誰かですって……?

クロちゃん
人は私のことを、ヴァンパイアハンター・クロちゃんと呼ぶ!
さぁ、この私が来たからには貴方の命も――ジ・エンドよ!

やくも
だにぃーっ! 何だかよくわからんけど、
すっごく強そうな助っ人が来てくれたがやぁ!

千代城
よぉぉしっ! これなら勝てるぞ、柳川城!
愛の告白などしとらんで、さっさと武器を取るのじゃ!

柳川城
え? あっ……は、はいっ!

殿
…………!

シルヴィア
ヴァンパイアハンター・クロちゃん……。
なるほど、確かにかなりの強者のようですね。

シルヴィア
ならば、私も全力でいかせてもらいますわ!
はぁぁぁあ――っ!!

千代城
なん、じゃと……!?
いきなりシルヴィアが分身し始めたのじゃ!!

クロちゃん
霧分身を使うとは……貴様、かなりの格を有するヴァンパイアだな!

クロちゃん
いいわ! そういう猛者を私は探していたのっ!
貴方ならば相手にとって不足はないっ!

クロちゃん
ヴァンパイアハンター・クロちゃん! 
幕開けからクライマックスな感じでぶっ放すわよっ!

後半
シルヴィア

――クッ、ぅぅ……。
そんな……この私が、こうも圧倒されるなんて……!

クロちゃん
此処が年貢の納め時よ、シルヴィア!
お米でもパンでもいいから、とにかくあるだけ出しなさい!

千代城
……本当に納めてもらおうとしてどうするのじゃ、馬鹿者。

クロちゃん
まぁ、何にせよ!
シルヴィアとの戦いはこれで終わりよ!

クロちゃん
そして、これからは! 人とヴァンパイアが仲良く手を取り合って
きゃっきゃウフフな感じで生きていける時代を模索するとしましょう!

柳川城
え!? いきなりヴァンパイアハンター廃業宣言!?

クロちゃん
ふふっ、時代は絶えず流れるものよ、柳川城。

クロちゃん
たしかに、変化するってことには恐怖がつきまとうものだけど……。

クロちゃん
でも、その痛みを乗り越えた先で迎える明日は――

クロちゃん
――きっと、私たちが想像もできないくらい輝かしいものに違いないわ!

…………などと、それっぽい台詞を最後に述べて完結させる予定。

深夜のテンションで書いたから、浄書は朝起きてからしよう――――おやすみなさい。

柳川城
(……って、此処で記述が終わってる…………)

柳川城
…………うーん。

柳川城
よし。見なかったことにしましょう!

クロンボー城
…………(じぃ~)

柳川城
――きゃっ!? く、クロンボー城さん!
いつから其処にいらしてたんですか!? 

クロンボー城
柳川城ちゃんが、私のボツにした脚本を床から拾い上げたところから。

柳川城
最初から見てたのなら、声をかけてくださいよぉ!

クロンボー城
……だって、柳川城ちゃんが涎垂らしてハァハァしながら夢中で読んでたから。

柳川城
断じてそんなことしてませんっ!

クロンボー城
で、感想は?

柳川城
……え、え~っと。

クロンボー城
…………(じぃ~)

柳川城
……お、面白かったです。

クロンボー城
本当に……?

柳川城
……は、はい。

クロンボー城
……本当の本当?

柳川城
本当の本当です!

クロンボー城
…………(じぃ~)

柳川城
…………むむむ。

クロンボー城
…………そっか。

クロンボー城
じゃあ、柳川城ちゃんのために、続編……いつか書くね。

柳川城
……え?

クロンボー城
次作ではね、ヴァンパイアハンター・クロちゃんの相棒は、
日の本から来たヤナちゃんって娘にしてバディものを書く。

柳川城
ちょ、ヤナちゃんって……それ、もしかして私ですか!?

クロンボー城
ふふふ……それは、できてからのお楽しみ。

クロンボー城
ただ、イメージはもう大体きまってるの――

ヤナちゃん
――悪・即・射ァッ!! この揺るがぬ信念の下、
私が全てのヴァンパイアを根絶やしにしてやるわ!

クロンボー城
……って感じにする予定。乞うご期待。

柳川城
ええっ!? ちょっと待ってください、クロンボー城さん!

柳川城
今の何ですか!? 私、あんな顔できないですよぉ!
お願いです! お願いですから続編は書かないでくださいぃ~!

クロンボー城
ふふふ……。

クロンボー城
今度の主役は貴方。そして、ヒロインは私。

クロンボー城
そうやってまたいつの日か、みんなで楽しい演劇ができたらいいな。

……そう言って、私ことクロンボー城は、最後の台詞を口にするのでした。


              おしまい



特に記載のない限り、コミュニティのコンテンツはCC BY-SAライセンスの下で利用可能です。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。


最近更新されたページ

左メニュー

左メニューサンプル左メニューはヘッダーメニューの【編集】>【左メニューを編集する】をクリックすると編集できます。ご自由に編集してください。掲示板雑談・質問・相談掲示板更新履歴最近のコメントカウン...

[裏]真田丸

裏]真田丸(チャリン……チャリン……チャリン……)……貴殿か。今日は、話をしたい気分じゃない。足を運んでくれたのに、すまない。一文……二文……三文……四文……五文……六文……銭を数えていなければ、一瞬...

[裏]淀城

]淀城あ~……。あ゛ぁ~……きもちわる。夢見は悪いし、頭はズキズキ痛むし……。ほんっとに最悪な日よ、今日は。誰でも良いから……。どつき回して、ぐちゃぐちゃにしたい気分。…………。……で、なに?そこに突...

[裏]桜尾城

]桜尾城殿……どうかしましたか?……ふふ、今回は間違えませんでしたよ。あなたの安らぐ顔もまた、私の喜びなのですから。私は今……海を見ていました。このどこまでも凪ゆく、厳島の海を……。厳島周辺は神域とい...

[裏]川越城

]川越城お客様かしら……どうぞ。貴方は、確か……ちょっと待ってね……。うん……たぶん、『殿』よね……?やっぱり……人違いでなくて、良かったわ。ふふ。今丁度、過去の私が遺した日記を読み返していたのよ……...

[裏]小田原城

]小田原城…………。……あら、殿。ようこそいらっしゃいました。ああ……いえ、ご心配なく。少し考え事をしていただけですから。今、ちょうど……。昔の出来事に思いを馳せていました。今の私を形作る、原点とも呼...

[裏]小牧山城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 所持特技1.4 [改壱]所持特技1.5 計略1.6 [改壱]計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3...

[裏]室町第

裏]室町第殿……ふふふ。どうせまた来るって、そんな気はしていたわ。私がどんなに忠告をしても、貴方は自分の信念を曲げない。本当に……つくづく、強い人ね、殿は。私のせいで、どれほど悪いことが起こっても殿は...

[裏]大宰府

]大宰府おお、殿か。よく来てくれたな。今な、手紙を整理しておったのじゃ。最近は毎日、誰かしらから届くのでな……。この手紙は……、『大宰府ちゃん親衛隊』を自称する者たちからじゃな。大野城、鞠智城、基肄城...

[裏]坂本城

]坂本城大殿様……また来たのね。ふふ……別に、追い返したりしないわよ。というより……私も今ね、大殿様と話せたら、って考えてたところだったの。だから……少しの間、私の話し相手になってくれるかしら?……ふ...

[裏]佐和山城

]佐和山城……また来たのね、あなた。足を運んでくれたところ悪いけど、面白いものは何も見れないわよ?相変わらず、大坂城様のらいぶに向けて、準備をしているだけだもの。……ん、なに?『なぜ、そこまで大坂城様...

[裏]伊勢長島城

]伊勢長島城も~、なんなのあいつら!信じらんない!寄ってたかってライブの邪魔をして!いったいどこから情報が漏れたの?もしかして、殿じゃないでしょうね……!?……そんなわけないか。あたしは、あんたにな~...

[花嫁衣装]鹿児島城

目次1 性能1.1 特技1.2 計略1.3 [改壱]計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< ロケト城 - [花嫁衣装]シャンティイ城 >[花嫁衣...

[花嫁衣装]鮫ヶ尾城

]鮫ヶ尾城はあ……春日山城サマの祝言、想像するだけでドキドキしてしまうっす!ね、ちびサマ~♪……ん?どうしたっすか、トノ?えっ、『主城のことより自分はどうなのか』っすか……?うぐ……これは痛いことを言...

[花嫁衣装]許昌城

]許昌城うーん……。ううーん……。……おや、殿か?すまない、考え事をしていて来訪に気づいていなかった。この間、殿と話してから、結婚に関して城娘達と話をしたのだ。繁栄という目的へ至る手段としての婚姻……...

[花嫁衣装]萩城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< [花嫁衣装]チャンドラ・マハル - [花嫁衣装]新田...

[花嫁衣装]秋田城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< 延岡城 - [花嫁衣装]ロンドン塔 >[花嫁衣装]秋...

[花嫁衣装]春日山城

]春日山城うーん……。……うーん? ……うん?……殿?すみません! お越しいただいていたのに、今の今まで気づかずにいて!実は先日、坂戸城と謙信公の昔話をしてたのですが、その際、跡継ぎの話題が出たのです...

[花嫁衣装]新田金山城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< [花嫁衣装]萩城 - [花嫁衣装]アイリーン・ドナン...