ストーリーテキスト/異界門と白の帝国軍

ページ名:ストーリーテキスト/異界門と白の帝国軍

目次

異界門と白の帝国軍[]

八卦の投剣 -前-

やくもに呼び出された殿たちは、城娘がこつ然と
姿を消した、という報せを聞かされる。
すぐさま出立しその現場へと向かう一行だが……。

前半

――某日、所領。

柳川城
それで……、
いったい何が起こったというのですか。やくもさん?

千狐
何だか、すごく慌てていたようだけど……?

やくも
いや、実は……うちにもよー分かっとらんだに。
とにかく、この城娘が必死だったから、つい……。

殿
…………。

高田城
お、お初にお目にかかります、主様。
……ボ、ボクの名前は高田城と言います。

高田城
此度は、ちょっとした用事で所領に参ったのですが、
その途中で、大変な事態を目にしてしまって……!

千狐
大変な事態……?

高田城
それが……この所領の近くで、
城娘が、こつ然と姿を消してしまったんです!

殿
…………!

千狐
城娘が姿を……!?
……高田城さん、詳しい話を聞かせていただけますか?

――――

柳川城
――なるほど。ここが、
城娘が姿を消した現場ですか……。

高田城
はい……小柄で、可愛らしい容姿の子で……、
漂う力から、城娘であることが分かりました。

高田城
その子は何やら、険しい表情できょろきょろと、
周囲を見回しながら、早足で進んでいたのですが……。

高田城
突然……瞬き程度の僅かな間に、
姿を消してしまったんです……!

高田城
見間違いかも、と疑って調べてみたのですが、
ちゃんと足跡も残っていたし……ボク、何が何だか……!

千狐
…………。

やくも
手がかりは掴めないだに、千狐?

千狐
この辺りの空間に……得体の知れない、
歪みのようなものが感じられるわ。

柳川城
歪み……ですか。

千狐
このまま進んだ先では、
その気が更に強くなっているようです。

千狐
詳しいことはまだ分かりませんが、
この先で、何らかの異変が起こっているのは確かです!

高田城
それじゃ、すぐにでも進まなきゃ!
あの子を助けるために……!

千狐
……お待ちください!

殿
…………?

千狐
先も申し上げた通り、
状況の詳細はまだ掴めていません……。

千狐
ですから、このまま進んだ場合に何が起こるかは分かりません。
それは重々、承知しておくべきかと……!

柳川城
私たちも、高田城さんが目撃した城娘のように、
この場から姿を消すことになりかねない……ということですね。

高田城
でも……それじゃ、あの子を見捨てちゃうってこと?
そんなの……ボク……。

千狐
…………。

殿
…………。

殿
…………!

千狐
……そうですね。殿はそう仰ると思っていました。
どんな障害があろうとも、
城娘を見捨てるような決断は下さないと……。

やくも
心配は要らんがや、千狐!
何が起きたって、皆が一緒ならきっと大丈夫だに!

千狐
もう、やくもは……相変わらず能天気なんだから。

殿
…………。

柳川城
ですが、やくもさんの言う通りです。
これまでと同じように、皆で結束すれば必ず乗り切れるはずです。

柳川城
それでは、参りましょう……!

殿
…………!

やくも
離れ離れにならんように、手を繋いで進むがやー♪

高田城
あうぅ……不安と緊張で、足が震えて――

高田城
――あ、あれっ……急に辺りが暗く……?

殿
…………!?

やくも
うおおぉっ!?
こっ、今度は地面の感覚が無くなっただにぃ……!?

千狐
皆さん、繋いだ手は離さないようにしてくださいっ!
誰ともはぐれないように、しっかりと!

殿
…………!

柳川城
…………っ!

柳川城
(……私の手を包む殿の掌に、力が……!
 いえっ、今はそんなことを考えている場合では――)

――

――――

――――

高田城
ん、んぅ……ここは……?

やくも
んが……。
意識を失っとったみたいやね……?

殿
…………。

千狐
ひとまず、全員無事なようです。
安心しました……。

柳川城
ここは……船の上、ですか……。
先程の真っ暗な場所から、いつの間にこのような――

高田城
――あ、あれ……?

高田城
これはどういうことでしょうか……!?
周囲を雲が流れているのですが……!

やくも
おまけに青い空も広がっとるだにー♪

千狐
空を進む船、ですか……驚きましたね。
いったいどういう原理なのでしょう……。

殿
…………。

高田城
お、驚いたと言う割には……皆さん、落ち着いてますね。
この船が、次の瞬間に転覆する可能性だってあるのに……。

柳川城
ふふ、世には様々な城娘が居ますから。
中には、空を飛ぶ島に建っている……という方も居るのですよ。

高田城
はぁ……そんな方が……。
ボクも機会があったら行ってみた――

???
――貴様ら、何者だっ!

高田城
ひぇっ!? なんですかっ?

殿
…………!

???
見慣れぬ装い……。
貴様ら、帝国の者ではないな……?
いつの間に……どうやってこの飛空艇に乗り込んだ?

高田城
テイコク……?
何を言っているのでしょうか、この方たちは……?

柳川城
鎧に身を包んだ兵士……そして、指揮官と思しき女性。
あの方がこの船の主でしょうか……。

???
上手くこの飛空艇に乗り込めたというのに、想定外か。
気取られないよう、慎重に運ぶつもりだったが……。

???
……まぁ、過ぎたことはいい。
今考えるべきは、この者たちの処遇だ。
さぁ、どう料理してくれようか……!

合戦中

千狐
あ、あのですね……話すと長いのですが……。
ちゃんと事情を説明しますから、
千狐たちの話を聞いて欲しいの……!

やくも
うちらは怪しいもんじゃないだにー!

柳川城
……交渉に応じてくれる様子はありませんね。
分からないことだらけですが……戦いを避けることはできないようです。

殿
…………。

殿
…………!

高田城
はい! 任せてください、主様!
ボク……ちゃんと貴方のことを守り抜いてみせますから!

高田城
兵たちが異形に姿を変えた……!

やくも
人じゃないのは確かやったけど……、
妖怪の親戚みたいなもんだに?

千狐
確かにあの怪物は、人とは異なる存在でした。
でも、千狐がこれまで出会ってきたどんな敵とも似ていない……これは……?

柳川城
やはり……私たちが暮らしている世界とは、
かけ離れた所に来てしまったようですね……。

殿
…………。

柳川城
そうですね。消えてしまった城娘の行方も分かりませんし、
少しでも情報を得たいところですが――

レオナ
――何者だ、貴様らっ!!

やくも
ひぇっ……次はなんだに?
荒っぽいのはもー勘弁がや……!

後半

レオナ
あの装い、東の国の者か……?
出航時に紛れこんだか、
それとも報告にあった魔物が化けたか……。

殿
…………?

高田城
こ、これはどういうことでしょう。
あの女性……先ほどの戦でも見た覚えがありますが……?

やくも
異形に姿を変えた後、柳川城たちに倒されたはずだに……。

帝国歩兵
レオナ様、あの侵入者の処遇はどのように……?

レオナ
……そうだな。
抗戦の意思は今のところ見られないが……。

レオナ
……よし。では、先に捕らえたあの娘を連れてこい。
……一つ、確かめたいことがある。

八卦の投剣・死門 -後-

異形の存在を無事に退けた殿たちを再び
包囲したのは、見知らぬ兵士たち……衝突を
避けるべく、交渉を試みる殿たちだが――。

前半

帝国歩兵
連れてまいりました、レオナ様っ!

レオナ
では、そのまま前へ連れていけ。
……あの者たちに、少女の顔がよく見えるようにだ。

基肄城
――ちょ、いった~い!
レディーを手荒に扱うとか、まーじ無いんですけど!
抵抗しないってさっきから言ってんじゃん!

帝国歩兵
思いきり暴れているではないか……!

基肄城
とーにーかーく!
もっと丁重に扱ってって言ってんの!
アタシに手ぇ出したら、ただじゃすまないよ!

基肄城
大宰府サマにおーのっち、みっきーとかくくちゃんとか、
アタシのマブがどどーっと押し寄せてくるかんね!

帝国歩兵
自分ではやらないのか……。

基肄城
あったり前でしょ!
基肄城ちゃんは、親衛隊の応援担当なの!

基肄城
自慢じゃないけど、
腕っぷしの弱さにかけては誰にも負けないし!

帝国歩兵
この前は『切り込み隊長』と名乗っていた気がするが……。

基肄城
は、はぁ!?
切り込んだ上で応援すんの! 文句ある?

帝国歩兵
…………。

高田城
あ、あれ……あの子は、もしかして……!

千狐
高田城さん……あの子に見覚えがあるのですか?

高田城
はい……間違いありません。
ボクが消失を目撃したのは、あの城娘です!

殿
…………。

基肄城
お……おぉ!?

基肄城
そこに居るのは……?
もしかして柳川っち……それに殿っち?

殿
…………!

柳川城
あの城娘は、基肄城さん……。
確か、大宰府さんを護衛する御城の一角だったはず……!

基肄城
うおー!
殿っち~、会えて良かったよぉ~!

基肄城
アタシ、近所でヤバめな気配を感じてさ、
大宰府ちゃんに報告しようとガンダで向かってたんだけど……、
気がついたらこの船の上に居たの!

基肄城
おまけにこの人たち、日の本も城娘も、
なーんも知らなくてさ! 説明するほど、
怪しまれる一方だし! つらみがエグい!

基肄城
もう詰んだわーって感じで、
囚われの身のまま朽ちていくのかなーってメンブレしてたとこ!
マジで会えて良かった~! 超エモい!

基肄城
……あ、そだ! それからね、
アタシの他にも城娘が捕らえられてるんだけど――

レオナ
……なるほど。どうやら、
この娘と同じ国から来たということは間違いないらしい。

レオナ
話だけは聞いてやってもいいかもしれないな……。

千狐
良かった……交渉に応じてくれるみたいですよ……!

???
……お、お待ちください、レオナ様!

レオナ
……なんだ?

???
私は先程まで、その者たちと交戦しておりました。
間違いありません、奴らは侵入者……帝国の敵です!

殿
…………!?

高田城
う、嘘です! ボクたち、
皆さんに危害を加えるつもりなんてありません!

???
フフ、フフフ……。

千狐
……あの笑み。
もしや、先程倒した異形の一味では……?

やくも
仲間のフリをして、
あのお姉さんを騙そうとしとるんだに!

殿
…………。

レオナ
そうか……やはり奴らは、
帝国に危害を加える侵入者であったか……。

レオナ
ならば、まずは我らに反する行動を起こせない程度に、
無力化する必要があるだろう。話はそれからだ。

レオナ
全軍、臨戦態勢をとれ!

殿
…………!

高田城
そんなっ……!

合戦中

やくも
待ってほしいがや、お姉さん!
うちがそんな悪い奴に見えるだに!?
話せば絶対分かりあえるはずがやー!

レオナ
この船には陛下も同乗している。
危害が及ぶ可能性は、万に一つであろうと摘まねばならない。

レオナ
もし抵抗するようなら、容赦は要らない。
……全隊、進軍せよ!

殿
…………!

柳川城
こうなっては衝突は避けられませんね。
極力、敵を傷つけないようにしながら、被害を最小限に……。

基肄城
――アタシも力になるよ、殿っち!

高田城
基肄城さん、いつの間にこちらへ!?

基肄城
えへへっ♪ オジサンが油断してたからね、
腕にがぶーって噛み付いて、
その隙に逃げ出してやったの! マジで草♪

基肄城
とりま、アタシが来たからには安心!
大宰府サマ親衛隊の力、見せてやるんだから!

レオナ
そこまでだ! 全員、武器を収めよっ!

帝国歩兵
…………!

殿
…………!

レオナ
その力……一介のドッペルゲンガーが、
持ち得るものを遥かに越えている……。

レオナ
加えて、そこまでの力を持ちながら、
我が軍を過度に傷つけることを避け、
防衛に徹したあの振る舞い……。

レオナ
…………。

レオナ
ひとまず、帝国への侵略が目的でないことは理解した。
危険な侵入者という認識は改めることにしよう。

千狐
良かった……千狐たちの思いが、
あの方たちに伝わったようです……!

後半

レオナ
まずは、手荒な対応をとってしまったことを詫びよう。

レオナ
……私の方が魔物に惑わされてしまうとは。
陛下を守らんとするばかりに、
気が急いてしまったようだ……。

殿
…………。

柳川城
いえ、突然乗り込む形となってしまいましたし、
怪しまれてしまったのも無理はありません……。

高田城
はぁ、分かっていただけて良かったですぅ……。

レオナ
先に捕らえていた城娘たちの証言によれば、
日の本という国から突如、この船の上に転移したとのこと。

レオナ
日の本、城娘、兜……いずれも聞き覚えのない言葉だ。
もしかしたら……我らの知り得ぬ世界と思いがけず繋がり、
迷い込んでしまったのかもしれないな。

基肄城
……で、でもさ!
殿っちたちがこっちに来たってことは、もう安心っしょ?

高田城
安心、と言いますと……?

基肄城
だってほら、千狐ちゃんは転移術を使えるんだもん!
その力でびゅーんとひとっ飛び! んで解決……だよね?

千狐
それが……。

千狐
……実は先程から、
こちらに来る際に感じた歪みを探っているのですが……、
それらしいものは、未だ掴めていないのです。

基肄城
……はにゃ?

千狐
つまり、今は千狐の力を用いても、
元の世界へ帰ることができない……ということです。

基肄城
……それ、マ?

千狐
マ、なの……。

高田城
ボクたち、遭難しちゃったってことですか……?

???
――おや、戦いはもう終わってしまったのか?

殿
…………?

レオナ
……遅いぞ。何も起こらなかったから良かったものの、
陛下に危害が及んでいたらどうするつもりだ。

メフィスト
いやぁ、すまない。
こちらのお嬢さんがなかなか面白い話をするものだから、
つい夢中になってしまってな。

メフィスト
だが残念……そのせいで、
良いところを見逃してしまったようだ。

メフィスト
ところで、あちらの殿方と娘たち……、
基肄城と仲良く話をしているようだけど、
あれも君の仲間なのか? ……ブダ城?

???
……ん?

ブダ城
……あら!
貴方はもしかして……王様ではありませんか?

異界門と白の帝国軍 -絶壱-

レオナからの嫌疑を払い、異国の城娘・ブダ城
との邂逅を果たした一行だが、落ち着く間もなく、
次なる戦いに巻き込まれることに……!

前半

ブダ城
……あら!
貴方はもしかして……王様ではありませんか?

殿
…………!

ブダ城
初めまして……わたくしの名前はブダ城と申します。
まさか、噂に名高きあの王様と、
このような場所でお会いすることになるとは……。

柳川城
異国の城娘ですか……いったい、
どういった経緯でこちらへ?

ブダ城
きっかけは……温泉。そう、温泉ですわ。

やくも
……温泉?

ブダ城
わたくし、日の本の温泉に、以前から憧れておりまして……!
意を決して祖国を出立し、日の本へと向かったのです。

ブダ城
ですが、その途中で道に迷ってしまったのです。
王様の所領のすぐ近くにまで、
来ていたはずなのですが……不思議ですねぇ。

基肄城
き、緊張感なさすぎだって、ブダっち……。

ブダ城
良いではありませんか。皆さん、
憎き敵というわけでもないのですから。
いつも通り、落ち着いているのが一番です。

ブダ城
基肄城さんのように暴れなければ、
皆さん、優しくしてくださいますし……。

基肄城
ぅぐ、それを言われると耳が痛いっす……ぴえん。

???
――争いはまだ収まらないのか……レオナ。

レオナ
……っ、陛下!
危険ですから下がっていてくださいと申し上げたのに!

白の皇帝
いつまで経っても報せが無いからだ。
状況を報告しろ。

レオナ
……はっ、承知しました!

殿
…………。

柳川城
まとう風格、周囲の応対……。
間違いありません、あの男がこの軍を統べる長……!

やくも
また話が拗れなければいいんやけど……。

白の皇帝
そうか……忍び込んだドッペルゲンガーを、
我が軍の代わりに……。

メフィスト
その上、レオナまで退けたというのだから、驚きだな。
その勇姿を見られなかったのは残念だが――

メフィスト
――そうだ。それなら、陛下とそこの殿……、
二つの軍で演習を行う、というのはどうだ? 

殿
…………?

メフィスト
城娘とやらと剣を交える機会は、二度とあるかも分からない。
力を競わせることは、互いにとって良い経験になること間違いなしだ。

メフィスト
有益度1000%の素晴らしい提案だと思うが……どうだろう?

白の皇帝
……いいだろう。

白の皇帝
俺も、そこのお前……殿とやらの力を、
この目で確かめたいと思っていた。

白の皇帝
そちらも乗り気なように見えるが……俺の思い違いか?

殿
…………。

殿
…………!

白の皇帝
フッ……面白い奴だ。
では、準備を始めよう。

合戦中

やくも
結局、また戦うことになっとるだに……。
せっかく敵じゃないって、分かってもらえたとこやのに。

千狐
安心して、やくも。
これは演習だから大した危険は無いはずよ……たぶん

ブダ城
演習ですか……それでは、
わたくしは王様の兵として参加させてもらおうかしら。

ブダ城
うふふ、
王様と一緒に戦えるなんて夢みたいですねぇ。
心が踊りますわ♪

ブダ城
――と。戦いの前に、
わたくしの力について説明しますね。

ブダ城
わたくしが持つ武器・戦棍は、
目前の敵を足止めして攻撃を行い、
手隙の折には味方の回復を行います。

ブダ城
つまり、攻撃と回復の双方で王様のお役に立てる、
とーっても素敵な力……ということですね♪

ブダ城
……ふふ、いっぱい貢献してみせますから、
期待してくださいね、王様♪

メフィスト
神官戦士に似た力を持つわけか……面白い。
さぁ、陛下の采配にどう応じるか、
見せてもらおうじゃないか。

今回登場の白の皇帝は防御無視の攻撃を行います。
また、白の皇帝は敵軍の白の帝国ユニットの攻撃と防御を30%上昇します。

今回登場のパトリシアは攻撃対象の動きを一定時間封じます。

白の皇帝
両軍、そこまでだ。

白の皇帝
皆の熱も高まっている。
……これ以上は、演習では済まなくなってしまう。

殿
…………。

白の皇帝
お前のそうした姿を見てみたい気もするが……フッ。
ここまでにしておこう。

殿
…………!

後半

ブダ城
はぁ……楽しかったですわぁ。
異界の兵隊さんたちの戦術も、
実に興味深いものでした♪

メフィスト
両軍ともに一歩も譲らぬぶつかり合い!
あぁ、良い戦いだったね……今の興奮をパーセントで表すなら――

白の皇帝
実に見事な戦いぶりだった。
俺の部下として置いておきたいくらいだ。

基肄城
殿っちやアタシたちは日頃から、
民を兜から守って、世に安寧をもたらすため、
いっぱい戦ってんだよ! とーぜんとーぜん♪

白の皇帝
……随分と重い使命を背負っているのだな。

白の皇帝
……先の演習、存外に実りの多い時間となった。
お前たちの意志や信念、この心に刻ませてもらう。

殿
…………!

レオナ
間もなくこの飛空艇は、我らの拠点に到着する。
あてがないのなら、しばらくはそこで過ごすといい。

白の皇帝
この先の手立てが見つかるまでは力になろう。
……任せたぞ、レオナ。

レオナ
はっ!

基肄城
これまでの捕虜みたいな扱いと比べたら、
天国みたいなもんじゃん! よいちょ~♪

ブダ城
異界での暮らしは、まだまだ続くようですね。
ふふ、どんな出会いがあるのかしら♪

柳川城
ですが、あまり悠長に構えてはいられませんね。
少しでも早く、元の世界に戻る手立てを考えないと。

高田城
そうですよね。主様が不在のままでは、
元の世界がどうなってしまうことか……。

基肄城
アタシもアタシもー!
大宰府サマを放っておくことなんてできないしー!
ちょっぱやで故郷に帰らなきゃ!

千狐
とはいえ、手がかりが無いことも事実です。
今はとにかく、こちらに来る際に感じた歪み……、
あの感覚を、注意深く探り続けるしかありません……。

やくも
全ては千狐の肩に掛かっとるってことやね……!

高田城
が、頑張ってくださいね、千狐さん!

千狐
あ、あんまり緊張させないでほしいの……!
できる限り頑張りますが……。

殿
…………。

レオナ
さぁ、拠点はもう目前だ!
全軍、着陸の準備に入れ!

ヘクセンナハト -前-

魔物の侵入を退けた殿たちは、帝国軍の拠点に
無事到着する。だが帝国元帥・レオラとの邂逅を
果たした直後、さらなる波乱が一行を襲う……。

前半

多少の異変に見舞われながらも、
殿一行を乗せた帝国軍の飛空艇は、
目的地である拠点に無事、到着した――

柳川城
ここが帝国の皆さんの拠点ですか……。

やくも
ふぃー……ようやく地上に帰ってこれただに。

高田城
改めて……この巨大な船が、
空を飛んでいたと思うと、驚きですよね。

基肄城
なんかこの感じ……アタシらの世界の、
異国の風景に結構似てるかも!

殿
…………!

やくも
ところでこの拠点……食堂はどこにあるんだに?
うち、お腹がもうぺこぺこなんやけど……。

千狐
やくもったら……。
食い意地を張ってる場合じゃないでしょう?

やくも
な、何を言うだに千狐!

やくも
食は文化の象徴!
うちはただ、皆の暮らしに興味があるだけがや!
むしろ、この飽くなき探究心を讃えてほしいだに!

千狐
言い訳が苦しいの……。

やくも
とにかく! うちは疲れ切ってくたくたなんだに!
もうお腹を満たすまで、それ以外のことは絶対に――

レオラ
ふふっ、そんなに焦らないで?
ご飯の準備なら整ってるわよぉ。

殿
…………!

やくも
ほ、本当だに、お姉さんっ!?
お腹いっぱいご飯を食べさせてもらえるがや!?

やくも
うちら、船の上じゃずーっとドンパチの連続で……!

レオラ
飛空艇でドンパチ……ふぅん……?

レオナ
姉さん……出迎えに来てくれたのか。
わざわざすまない。

レオラ
うふふ、可愛い妹に少しでも早く会いたかっただけよぉ。
それに、陛下のご無事も確認したかったから。

白の皇帝
レオラ……拠点の留守役、ご苦労だった。

レオラ
いえいえ、お安い御用よぉ♪
それで……こちらの方々は、いったいどちら様かしら?

レオナ
ああ……こちらは殿、それから城娘の皆さんだ。
詳しいことは分かっていないが……、
何かの拍子に、飛空艇の上に転移してしまったらしい。

メフィスト
おまけに移動の最中、飛空艇に魔物が侵入してね。
ちょっとした騒ぎになってしまったんだ。

メフィスト
陛下に危害が及ぶことなく、
無事にここに辿りつけたことは幸いだったがね。

基肄城
殿っち指揮の下、魔物の大軍を、
バッタバッタとなぎ倒して大勝利をあげたんだから!

メフィスト
その後は陛下率いる帝国軍と、
殿たちとの間で模擬戦も行われてね。

メフィスト
熱い戦いに、興奮度もうなぎのぼり……。
私も混ざっておけば良かった、と後悔しているくらいだよ。

レオラ
そうだったの。そんなことが……。

レオラ
異界からの迷子ねぇ……ふふ、それは興味深いわ。
私もその力、お目に掛かりたいものだわぁ♪

レオラ
良かったら……この拠点の、
兵士たちのお相手もしてもらえないかしら?

殿
…………?

レオラ
そうね……船の上で兵士たちを可愛がったように、
この拠点の子たちもしごいてあげてほしいの。

レオラ
皆、お留守番ばかりだったから、
退屈してるみたいなのよねぇ。

殿
…………。

殿
…………!

レオラ
ふふふ、どうもありがとう♪
今は疲れも溜まっているだろうから、
休息を取った後にでも――

帝国歩兵
報告っ、報告です!

レオラ
……何事かしら?

帝国歩兵
内紛です! 拠点の各所にて、
兵士同士の争いが起きています!

帝国歩兵
混乱は大きくなるばかり……。
その騒ぎは間もなく、こちらにまで及んでくるかと……!

レオナ
内紛……反乱の企てか……?

レオナ
いや、違う……先刻と同じく、
魔物が帝国の兵に化けているのだな。
……またしても、小賢しい真似を。

レオナ
……姉さん、演習の件だが、
この騒ぎが収まるまでは一度先送りに……。

レオラ
そぉねぇ、んー……。

レオラ
でも……別に、
気にする必要なんて無いんじゃないかしら?

メフィスト
レオラ……どういう意味だ?

レオラ
言葉通りの意味よぉ。状況を考えると、
このまま演習を開始するのが得策だと思うの。

レオラ
……細かく説明したいところだけど、時間が足りないわ。
全隊、殿ちゃんの軍勢に向けて、進軍を!

合戦中

レオナ
……陛下はこの状況、どのように考えますか?

白の皇帝
この拠点の指揮はレオラに任せている。
それ以上言うことはない。

レオナ
…………。

レオナ
分かった……。
姉さんの考えに従い、演習を開始しよう。
殿……頼めるか?

殿
…………!

レオナ
……感謝する。

レオナ
だが、心配はいらない。
姉さんは無闇に危険な真似をする人ではないからな。
何か考えがあるのだと思う。……おそらく。

やくも
(今、ちっちゃい声で『おそらく』って付け加えただに……!)

今回の合戦では殿側ユニットの全ての近接城娘の足止め数が1増加しています。

レオラ
魔物の大半はこれで撃破できたようね。

レオナ
……なるほど。そういうことだったのか。

レオラ
分かってくれたみたいね、レオナちゃん。

レオナ
……標的を一つに絞って兵の行動を統一すれば、
混乱という喫緊の問題は解消できる。

レオナ
そして、兵の中で命令に逆らう者がいれば、
自然と魔物があぶりだされていく……。

レオラ
うふふ……その通り♪
ついでに、兵士に混じっている魔物の処理は、
殿ちゃんたちがこなしてくれるっていう寸法よ。

高田城
あのぉ、その作戦……。
ボクたちが魔物たちにやられちゃう、
っていう想定は……?

レオラ
ふふふ。そういえば、その想定が抜けていたわねぇ。
殿ちゃんたち、とっても強そうだったから。

レオラ
まぁ……もしそんなことになったとしても大丈夫。
その頃には魔物も疲弊しているだろうから、
私たちで処理することは容易いでしょう。

基肄城
おいおい……。

やくも
可愛い顔してエゲツないことする人だに……。

後半

レオナ
一応、混乱の鎮圧はできた。
だが……全ての魔物を掃討するには、骨が折れそうだな。

レオラ
一人一人検めていたら、
日が暮れてしまうものね――あ、そうだわ♪

レオラ
申し訳ないけど、
あと少しだけ力を貸してもらえるかしら、殿ちゃん?
私にちょっと考えがあるの。

殿
…………。

殿
…………!

ブダ城
わたくし、なんだか嫌な予感がするのですが……。

ヴァルプルギスナハト -後-

混乱を鎮圧した後、拠点に侵入した魔物の掃討に
向け、引き続き警戒を続ける殿一行。そんな中、
レオラが皆に向けてある策を提案する。

前半

高田城
それで……レオラさん。
先程仰っていた良い案とは、いったい……?

レオラ
それほど難しいことではないわ……。
このまま、演習を続行していただきたい、
ってお願いしようと思っただけよ。

基肄城
ちょ、それマ!?
いい加減アタシたちも体力の限界なんだけど!

レオナ
姉さんが先程も言った通り、
一人ずつ確認するような余裕は残っていない……。

レオナ
となると……先程と同じく、
殿を共通の標的とすることで、
内部の敵をあぶり出すのが有効……と考えたわけか。

レオラ
私の命令に逆らう者がいれば、
帝国に歯向かう意志の現れ……。
魔物の一党であることは明らかだわ。

レオラ
そして、城娘ちゃんたちにやられて、
アッサリ倒れる者がいれば……これも偽物。

レオラ
我が軍の精鋭は、
日頃から鍛え上げているからひと目で分かるはずよ。
最後まで立っていた者が我が軍の同胞、というわけ。

帝国歩兵
…………。

帝国重装歩兵
…………。

ブダ城
あの……レオラさんの仰る『我が軍の精鋭』が、
あちらで言葉を失っているのですが……?

メフィスト
兵士の鍛錬、偽物の排除。
双方を一挙に成す策、ということか。
……このまま演習を開始してもいいかな、陛下?

白の皇帝
構わん。好きにしろ。

やくも
聞いた感じ、良い策なのはわかるだに……。

やくも
けど、うちらの労力も勘定に入れてほしいがやぁ……。

千狐
いかがいたしましょうか、殿……。

殿
…………。

柳川城
そうですね。
疲れはありますが……休んでいる場合ではありませんね。
この拠点が落とされれば、私たちに未来はないのですから。

柳川城
勘違いで諍いが起きたことはさておき……、
帝国の皆さんには、客人として手厚くもてなしていただきました。

柳川城
ご厚意に甘えてばかりではいられません。
何かお返しをしなければ。

殿
…………!

柳川城
承知しました。
それでは私たちも……力の続く限り、戦いましょう!

レオラ
ふふ、上手くいったわぁ♪
殿ちゃんならお受けしてくれると思っていたのよ。

レオナ
嬉しいのは分かるが……姉さん、今は非常事態だ。
魔物の掃討が最大の目的であることは忘れぬように――

レオナ
――ん……なんだ?
今、遠方で何かが光ったような……?

レオナ
人影のように見えるが、新たな侵入者か?
いや、違うな。もしやあれは――?

王子
…………。

レオラ
あそこに見えるのは……王子ちゃん? 王子ちゃんよね?
どうして突然、あんなところに……?

白の皇帝
事情は知らんが……ちょうどいい。
このまま奴にも力を貸してもらおうではないか。

王子
…………。(こくり)

白の皇帝
ふ……どうやら、
奴もそのつもりらしい。話が早くて助かる。

合戦中

メフィスト
その……レオラ。
一つお願いがあるんだが、聞いてもらえるか?

レオラ
あら……どうしたの、メフィストちゃん?

メフィスト
もし良かったら、なんだが……。
此度の演習の指揮を、私に任せてもらえないだろうか。

メフィスト
ここまで、殿の戦いを横から眺めることしかできていないからな……。
一度、肌で味わってみたいと思ったんだ。

レオラ
……さっきも言ってたものね。
『私も混ざっていれば』って……。

レオラ
……分かったわ。それじゃ、
この演習の指揮はメフィストちゃんに任せましょう。
存分に楽しんでいらっしゃい♪

メフィスト
感謝するよ。……レオラ。

メフィスト
模擬とは言えど、戦いは戦い……。
帝国魔神団長の力、味わってもらおうではないか。

今回の合戦では殿側ユニットの全ての近接城娘の足止め数が1増加しています。

帝国歩兵
もう、一歩も……。

やくも
動けんだにぃ……。

殿
…………。

柳川城
正に死屍累々、という状況ですね……。

レオラ
ふふっ。だけど、
これで忍び込んだ魔物は全て掃討されたわ。
殿ちゃん、城娘ちゃん。協力してくれてどうもありがとう♪

後半

こうして……殿や帝国軍、
魔物たちが入り乱れた演習は無事に終わり――

帝国の拠点内に侵入していた魔物たちは、残らず掃討された。

柳川城
王国軍の皆様……急なお願いにも関わらず、
ご協力いただきありがとうございました。

アンナ
困った時はお互い様です。
先日、日の本においては、
皆様に力を貸していただいたことですし。

アンナ
……ですが、申し訳ありません。
我々はそろそろ、王国に戻らなければ……。

やくも
もう帰っちゃうんだに?

アンナ
日の本の皆さんをこのままにしておくのは心苦しいですが、
これ以上、王国を留守にするわけにはいきませんので……。

白の皇帝
気にするな。こちらのことは任せておけ。

殿
…………!

王子
…………。(こくり)

その後、一行は祖国へと帰る王子たちを見送った。
……そして――

千狐
それにしても、驚きましたね。
千狐たちが迷い込んだ先が、
王子さんたちが暮らしていた世界だったなんて……。

柳川城
なんとなく、そんな気はしていましたが……。
まさか再びお会いすることになるとは、思ってもいませんでした。

やくも
やけど……これで魔物は全部片付いたがや!
一件落着だに!

殿
…………!

殿
…………。

殿
…………?

基肄城
……はにゃ? そんで、
これからどうすんだっけ、アタシたち。

ブダ城
無事に平穏を取り戻したものの、
元の世界に帰る手がかりは、掴めぬまま……ですわね。

柳川城
ひとまず、王子さんたちが姿を現した場所に来てみましたが……。
千狐さん、何か手がかりは掴めますか?

千狐
…………。

千狐
微かではありますが、感じられます。
上手く掴むことができないか、先程から試してはいるのですが……。

高田城
成果は出ず、ですか……。

千狐
ごめんなさいなの……。

メフィスト
そんなに暗い顔をするな、千狐。
折角の可愛い耳と尻尾が台無しだぞ?

千狐
コン……何を言っているのか、分からないの……。

メフィスト
悩んだところで、状況は変わらない。
ならばもう少し、建設的な思考に頭を使うべきだ。

メフィスト
たとえば千狐……君が、
その耳と尻尾をどのようにケアしているのか、とか。

千狐
……きゃっ! メフィストさん、くすぐったいの……!

メフィスト
ふふ、いいぞ。
さっきよりも元気が出てきたじゃないか。

千狐
こ、これはただくすぐったがっているだけで――

メフィスト
それにしても、素晴らしい触り心地だな……。
期待以上だ……ますます興味が湧いてきたぞ。
これは、ケアの方法をキュウビの奴に共有してやらなければ!

千狐
――ひゃっ!?
や、やくも~! 助けてぇ~!

やくも
助けてって言われても……。

メフィスト
なんだ……まんざらでもなさそうじゃないか。

千狐
やっ、これ以上は、もぅ……!

千狐
とにかく、離してくださぁーーーい!!

殿
…………!

メフィスト
む、この光は……?

基肄城
ちょっ、千狐っちが輝き放ってんだけど!? 何事!?

白の皇帝
…………!

――――

メフィスト
…………。

メフィスト
…………あれ?

レオラ
殿ちゃんたちが……消えてしまったわ……?

――

――――

――――

千狐
すー、すー……。

千狐
ぅ……ここは……?

やくも
何だか、見慣れた場所なような気がするだに……?

千狐
ええ、気の所為じゃないわ!
戻ってこれたのよ、元の世界に!

基肄城
火事場の馬鹿力が発動したんだねっ!
千狐っちパねーっす♪

ブダ城
喜ばしくはありますが、
皆さんとお別れの挨拶を交わせなかったのが、残念ですわ……。

柳川城
そうですね。
自由に行き来できる場所ではありませんから……。

高田城
でも……良かったです。
向こうの世界に転移してしまった基肄城さんとブダ城さんを、
助け出すことができましたから。

千狐
そうですね……行方不明だなんて、
初めはどうなることかと思いましたが。

基肄城
え゛っ!?
殿っちたちがあっちの世界に行ったのって、
アタシらのためだったの?

殿
…………!

基肄城
うわー……。
殿っちたちに迷惑掛けたなんて大宰府サマに知られたら、
激おこ案件かも……しょんどい。

やくも
むむ、むむむ……。

千狐
どうしたの、やくも?
なんだか難しい表情を浮かべているけど……?

やくも
いや……なんかこう、なんか……!

やくも
頭の中にいめーじが湧き上がってきて、止まらないだに!

高田城
い、いめーじ……ですか?

やくも
異界で出会った人たち! 帝国との演習!
どれもこれも、普段はお目に掛かれんもんばっかりがや!

やくも
その刺激が今!
うちの創作意欲を燃え上がらせとるんだに!

やくも
……こーしちゃおれんだに!
すぐに工房に行って、この衝動を形にせんといかんがや!

千狐
あ……やくも!
そんなに急がなくても、
皆で所領に向かうんだから……!

やくも
こういう記憶は、時間が経つと鮮度が落ちてしまうんだに!
その前に、工房に戻って早ぉ形にするがやー!

千狐
あ、こらやくも! 待ちなさーい!

柳川城
……ふふ。やくもさんったら、帰って早々賑やかですね。

殿
…………。

柳川城
……ですが、やくもさんの思いには同感です。

柳川城
異なる世での出会い、戦、絆……。
夢のように素敵な時間でした。

柳川城
いつまでも忘れることなく、心に留めておきたいものですね。

殿
…………。

殿
…………!

柳川城
……はい! それでは私たちも所領へと帰ることにしましょうか。

柳川城
……殿、此度の遠征、誠にお疲れ様でした。

異界門と白の帝国軍 -絶弐-

殿一行が帝国の拠点を去ってから、数日後。
帝国の面々は、挨拶の間もなく、突然の別れに
なってしまったことを酷く残念がっていた……。

前半

――殿一行が帝国の拠点を去ってから、数日後。

レオラ
…………はぁ。

レオラ
残念ねぇ……。

メフィスト
残念だなぁ……。

レオナ
何をだらけているんだ……二人とも。
名残惜しんでいても、
殿たちが帰ってくるわけではないだろう?

メフィスト
それはそうだけど……、
割り切れない感情は生まれてしまうものだよ。
挨拶する間もなくお別れだなんて、残念度1000%だ……。

レオラ
あんな出会い、願ったってできるものでもないもの……。
……レオナちゃんは残念だって思わないの?

レオナ
それは……確かに、
あの殿という男の戦いにおける振る舞いは、
参考になるところも多い……。

レオナ
もう少し交流を深められたら、と思わないこともないが――

白の皇帝
――いつまでも共にあることだけが、絆の形ではない。

レオナ
っ……! 陛下……!

白の皇帝
生きてさえいれば……いつかまた巡り合える。
そう信じて、日々を懸命に生きるしかあるまい。

レオラ
…………。

レオラ
……そうね。いつまでも立ち止まっているわけにはいかないわ。

レオラ
今この時も、殿ちゃんたちは、
世界を守るために戦っているんだもの。
遠く離れた、どこかの世界で……。

メフィスト
世界を支配しようとする邪悪と戦っている……。
そんなことを話していたな。

レオラ
次に機会があったら、また手合わせを願いたいものね。
先日の演習では、殿ちゃんは実力の底を見せていないようだったから……。

メフィスト
殿と帝国、互いが総力を尽くして戦ったらどうなるか……。
ふ……確かに、それは興味深いな。

レオラ
ふふふ……そうねぇ。私の見立てだと、
おそらく戦いはこんな風に展開するんじゃないかしら――

後半

基肄城
――ってな感じで、アタシの活躍で大勝利っしょ!
基肄城ちゃんしか勝たん♪

――時を同じくして、所領。

こちらの世でも城娘たちが、
帝国の者たちと似たような話題に花を咲かせていた。

高田城
そ、そんなに上手くいくでしょうか。
というより、ボクはもう演習とかは御免したいのですが……。

ブダ城
そうですね。演習での熱い戦いにも、
もちろん心は惹かれますが……わたくしは、
あの世界をもっと巡ってみたいですわ。

ブダ城
空飛ぶ船に、人に化ける魔物。
どれも、こちらではお目に掛かれないものばかりでしたから。

基肄城
それなー♪ 振り返ってみても、
帝国の人に噛み付いてた記憶ばっかりだし!

高田城
比喩じゃなく、本当に噛み付いてましたもんね……。

ブダ城
……振り返ってみれば、不思議な体験ばかりですわ。
初めはあのようなことになるなんて、思いもしていなかったのに。

基肄城
あーね……元々ブダっちは、
日の本の温泉を目当てにやってきたんだっけ?

ブダ城
そうですわ。
そのためにはるばる日の本までやってきたのです。
お気に入りの水着も用意して……。

高田城
……水着? 温泉に水着が必要なのですか?

ブダ城
ええ、わたくしの故郷では、
温泉に入る際に水着を着用するのですよ。

ブダ城
もちろん、こちらでは日の本流に倣い、
一糸まとわぬ姿で入るつもりではあったのですが……。
どうにも、踏ん切りがつかなくて。

高田城
それ、分かります……。
ボクも温泉でお肌を晒すのは何だか、
照れてしまって……。

高田城
ですが、ちょっと意外です。
ブダ城さんなら笑顔を浮かべながら、
躊躇いなく脱ぎ去るものだと思っていました……。

基肄城
ブダっちなら隠す必要なんて無くない?
誰もが憧れちゃうような、わがままボディを持ってんだからさ! 

高田城
わがままぼでぃ……。

基肄城
ゆうて、殿っちも一人の男の子!
水着なんてしない方が、
絶対喜んでくれるはずだよ! 滾る~♪

ブダ城
あの……基肄城さん? 水着を脱ぐことと、
王様に見せることは別のお話では……?

高田城
あ、でもボク……やくもさんから聞きましたよ。
最近、殿と一緒に温泉に入るかどうかで、ひと悶着あったって……。

基肄城
ほらー!
やっぱ、覚悟は決めておいた方がいいんだって!
混浴の可能性もあるんだから!

基肄城
とにかくまずは、殿っちを温泉に誘ってもろて♪
九州の名所で良かったら、アタシが案内したげるし!

ブダ城
それは非常にありがたいです……でも基肄城さん、
大宰府さんのところに戻らなくても良いのですか?
怒られるかも、と仰っていましたけど……。

基肄城
へーきへーき!
アタシと大宰府サマはマブ中のマブ!
堅い絆で結ばれてるし!

基肄城
……ってなわけで、
すぐに殿っちを誘って皆で温泉に――

柳川城
…………。

柳川城
――何の話をしているのですか?

基肄城
おおっ♪ 柳川っち、ちょうどいいとこに!
今ね、殿っちを温泉に誘おうかって相談してたんだけどさ!

柳川城
……その前に、こちらを。
お手紙が届いたので、お渡しにきました。
大宰府さんから基肄城さんに宛てて……。

基肄城
大宰府サマから? いったい何の御用かなっ?

高田城
なんだかボク、嫌な予感がするのですが……。

基肄城
えーと、なになに……。

大宰府
何をしておる、この馬鹿者!
こちらは異界門のあれやこれやで、
やばばな状況じゃというのに!

大宰府
油を売っとらんでさっさと帰ってこんか!
ひとまず、そちに任せる予定の仕事は残してあるので、
急ぎ帰還するように! ガンダじゃガンダ!

大宰府
サボっとった分のツケは、自分で払うのじゃぞ!

基肄城
…………だって。

ブダ城
凄まじい筆圧……。
筆使いに怒りが漲っておりますわ。

高田城
これはご立腹だ……ご立腹だよぉ……。

基肄城
…………。

基肄城
…………ぴえん。



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