ストーリーテキスト/甘味に添える恋慕情

ページ名:ストーリーテキスト/甘味に添える恋慕情

目次

甘味に添える恋慕情[]

甘味に添える恋慕情 -序-

越後国へ転移した一行は与板城に出迎えられるが、
その会話の最中、城娘たちが手間暇掛けて作り上げた
チョコが姿を消してしまったことが判明する……。

前半
――越後国、与板城の御城付近。

千狐
コンッ! 到着しました! 転移成功です!

やくも
ううぅぅぅ……ちょこ、ちょこぉ……。

やくも
うちの獲物は……ちょこはどこにあるだにぃ……?

殿
…………。

千狐
と、到着早々すごい食欲ね、やくも。
まるで狩りをする獣のような……。

やくも
当然だに! うちは今日のこの日のために、
お腹をぺっこぺこに空かせてきたがや!

やくも
この胃袋を甘ーいちょこれーとで満たすまで、
うちを止めることは誰にもできんだに!

千狐
もぉ、やくも……よだれが垂れてるわよ。
拭いてあげるからじっとして……。

千狐
それから、ちょこの食べすぎには気をつけるのよ?
ちゃんと殿や皆さんの分のちょこを残しておかなきゃ……。

???
その心配は無用です!

殿
…………?

柳川城
今の声は――?

与板城
ようこそいらっしゃいました、御屋形!

与板城
こうしてまたお会いできたこと、心より嬉しく思います♪

千狐
与板城さん! お出迎えにきてくださったのですね!

与板城
はい、そろそろ到着の頃合いかと思いまして!

与板城
……それから、千狐さん。
ちょこの量については心配なさらなくても大丈夫ですよ。

与板城
皆様にご満足いただけるよう、
ちょこは山ほどご用意していますから!

やくも
山ほど……それは夢のような話だに……!

与板城
そしてもちろん……量だけではなく、
味の方でも確実にご満足いただけることをお約束いたします♪

柳川城
なんともそれは……すごい自信ですね。

やくも
ほぉー? それは本当だに……?

やくも
自慢じゃないけどうちは、
前のばれんたいんにはフランスに飛んで、
現地の城娘が作ったちょこをたーんまり食べてるがや!

やくも
ちょっとやそっとの出来栄えじゃ、
この舌を満足させることはできんと思った方がいいだに!

千狐
こらやくも……失礼でしょ。千狐たちは、
殿のお供として呼ばれたに過ぎないんだから……!

与板城
ふふ、気になさらなくて大丈夫ですよ、千狐さん。
……そして、やくもさんの舌も必ず満足させてみせます!

与板城
何を隠そう……私たちのちょこれーと作りは、
フランスの城娘……シュノンソー城さんに教わったものなのですから♪

千狐
なんと……フランスの城娘から直接ですか?

与板城
はい! ばれんたいんに備え、
お菓子作りの得意な城娘をお招きしたのです♪

やくも
海の向こうからわざわざ……すごい気合の入りようだに!

千狐
そういえば……、
以前ばれんたいんを祝った大洲城さんのところでも、
先生を招待していましたね。

柳川城
ですが、慣れない異国のお菓子作りを何日も……、
大変な苦労があったのではないですか……?

与板城
そうですね……やはり、日の本のお料理とは勝手が違いますから、
先生から太鼓判を頂くまでには時間が掛かりました。

与板城
……まぁ、一番苦労したのは
シュノンソー城さんだったと思いますが……。

殿
…………?

与板城
あ、あぁいえ! なんでもありません!

与板城
……とにかく! 紆余曲折を経て……。
私たちはようやく、宴の開催を迎えることができました!

与板城
日頃の感謝を御屋形に伝え、城娘たちの交流を深める……。
私は今日の宴を、そんな会にできれば良いと思っています♪

与板城
ぜひぜひ、楽しんでいってくださいね! 御屋形さま♪

殿
…………!

千狐
ええ、楽しい会にしましょうね、与板城さん♪

やくも
フランス仕込みのちょこ……。
どんなのが食べれるのかと思うと、今からわくわくが止まらないだに!

やくも
……ところで、与板城。
さっきから気になってたんやけど……。

やくも
肝心のちょこは……どこにあるんだに?

与板城
……え?

与板城
どこに、って……何を言ってるんですかやくもさん。
ちょこれーとなら、ここにどっさり積み上げて――

与板城
――あら?

やくも
…………?

与板城
……あら、あらぁ?

与板城
…………。

与板城
……おかしい! おかしいです!
ここに山のように積み上げておいたんですよ!

与板城
それが綺麗さっぱり、消えてなくなっています!

やくも
……お腹が空いた時にぺろっと食べて、
忘れちゃってるってオチはないんだに?

やくも
うちも時々、おやつに何を食べたのか、
思い出せない時があるんやけど……。

千狐
そんなオチはやくも以外じゃ有り得ないから、考えなくていいわ……。

やくも
…………。

与板城
ですがそうなると……、
どうしてこうなったのか見当がつきません。

与板城
誰かが勝手に持ち出したか、でなければ本当に私がぺろっと――

桃形兜
ン~ン~、ン~ンン~♪

与板城
――ん?

桃形兜
ン……!?

与板城
ん……!?

与板城
兜、兜です! 御屋形、兜が居ます!

殿
…………!

桃形兜
ワ、ドウシヨ……見ツカッチャッタ……。

与板城
しかも、兜が抱えているのは、
私たちの手作りちょこではないですか!

柳川城
ちょこの消失は、兜の仕業だったのですね……!

やくも
おのれ……許せんだに。
うちが独り占めするはずのちょこを……!

千狐
だから独り占めはやめなさいと……。

桃形兜
ニ、逃ゲローー!

与板城
こらぁ、待ちなさーい!

柳川城
殿、私たちも後を追いましょう!

殿
…………!

――――

古桃形兜
シッカシ桃形ノ奴、遅イナ。
……イッタイ何シテルンダ?

烏帽子形兜
途中デコッソリ、
チョコヲ摘ミ食イシテルンジャナイカ?

古桃形兜
ソイツハ困ル……。
後デチャント中身ヲ改メナイトイケネェナ。

古桃形兜
城娘ノ手作リチョコレート……アノ中ニハ、
奴ラノ霊気ガ含マレテルンダカラナ。

古桃形兜
霊気ヲ瘴気デ染メ上ゲテシマエバ……、
俺タチニトッテハ格好ノ餌ダ。

烏帽子形兜
アア、他ノ部隊ハチョコヲ盗ムノニ成功シタヨウダシ、
コノ機会ニ俺タチノ霊気ヲ底上ゲシテ――

桃形兜
ウワアアアァァァァァァァ!!

烏帽子形兜
――オ、ヤット戻ッテキタミタイダナ。
何ヤラ叫ンデイルミタイダガ……ン?

桃形兜
助ケテエエエエエェェェェェェ!

古桃形兜
助ケテ、ッテ……オイオイ、
城娘タチヲ引キ連レテルジャネェカ、アイツ!?

――――

千狐
コンッ!?

千狐
前方を御覧ください、殿! 兜の軍勢が見えます!

柳川城
本隊との合流を図っていたのですね、あの兜は……!

やくも
ちょうどいいだに! みんなまとめてやっつけてやるがや!

殿
…………!

与板城
逃しませんよ……私の想いは必ず、
御屋形に受け取ってもらうんですから!

後半
与板城

これで兜は討伐完了……ちょこも取り返すことができました。

与板城
はぁぁ……良かったぁ~、ちょこが無事で……!

千狐
それにしても、
ちょこを盗むために兜が忍び込んでくるなんて……。

やくも
もしかして、兜さんも愛に飢えてたんだに……?

???
与板城ちゃん、与板城ちゃーーーん!

与板城
ん……?

柳川城
あちらから誰か、走り寄ってきますね……?

十河城
たいへんたいへん! 大変だよ、与板城ちゃぁーん!

与板城
十河城さんっ! どうしたのですか、そんなに慌てて?

十河城
とにかく大変なの、早く来てー!
論より証拠、百聞は一見にしかず!
でないと成都城ちゃんたちが――

十河城
――あ、御頭だ。こんにちはー♪
久しぶりだねぇ? お元気そうで何よりだよ!

殿
…………。

十河城
それでね、今向こうの方で、
シュノンソー城ちゃんと成都城ちゃんが兜とドンパチやってて――

十河城
――って、ええ!?
御頭がいるんだけど! なんでっ!?

与板城
なんで、って……元はと言えば、
御屋形に渡すちょこを作るために集まったんじゃないですか、私たち……。

十河城
あ、あぁ……そういやそうだったっけ。
ごめんね、突然兜が現れて、バタバタしてて……!

やくも
まさか、ちょこを盗もうとしていた、とかじゃ……?

十河城
そうそう! 大当たりだよやくもちゃん♪

十河城
ちょこ泥棒を見つけたアタシたちは、その後を追っかけてったんだけど……。
そしたら驚き! 兜の大軍が待ち構えてたの!

十河城
ってな訳で、二人が食い止めてくれてる間に、
アタシは救援を呼びに戻った、という次第でござる! ニンニンッ♪

やくも
ニンニン……。

柳川城
軽快にお話しされていましたが、
かなりの緊急事態ではありませんか、それは……?

殿
…………!

与板城
はい、すぐに参りましょう!
成都城さんと、シュノンソー城さんの許へ!

十河城
ありがたや! 感謝するでござる、御頭!

十河城
それじゃ現場に急行するから、
遅れないように着いてきてねっ! ニンニンッ!

甘味に添える恋慕情 -破-

チョコ泥棒を追った先で兜に囲まれ、危機に
陥ってしまった成都城とシュノンソー城。
果たして、殿一行の救援は間に合うのか……。

前半

城娘、討伐セヨ……。

兜軍団
城娘、討伐セヨ……。城娘、討伐セヨ……。城娘、討伐セヨ……。

成都城
はぁ、はぁ……。

成都城
この軍勢……なんという数なのでしょう……。

シュノンソー城
迂闊でしたね。これだけの兜が、
与板城さんの御城を狙っていただなんて……。

シュノンソー城
ですが、ここで果てるわけにはいきません……!

成都城
はい!
もうすぐ、十河城さんが与板城さんを連れて戻ってくるはず……、
それまでなんとしてでも、耐え抜きましょう……!

シュノンソー城
ですね……なんとしてでも……!

シュノンソー城
だって……ここで果ててしまったら、私が最後に口にした物が、
成都城さんの激辛チョコレートということになってしまいますもの……!

成都城
…………。

成都城
……え? 後悔するとこ、そこですか!?

シュノンソー城
当然です……このままでは死んでも死にきれません。

シュノンソー城
甘いチョコを心ゆくまで堪能できる、
バレンタインのパーティーが目前に迫っているのですよ。
なのに、最後の晩餐がチョコを象った劇薬……いえ、毒薬だなんて!

成都城
そこまで言わなくてもいいじゃないですか!
ひどいです……香辛料の量はかなり抑えたはずなのに……!

シュノンソー城
…………。

シュノンソー城
…………はぁ。

成都城
何かを諦めたような表情でため息をつくのはやめてください!

シュノンソー城
成都城さん……私はね、
そもそもチョコに香辛料を入れようという発想が、
尋常ではないと言っているのですよ。

シュノンソー城
主様に喜んでいただきたいというなら、
まずはそこを改めないと。

成都城
そうでしょうか……。
上手く扱えば良い個性になると思うのですが……。

成都城
…………。

成都城
私、思ったのですが……もしかして、
シュノンソー城さんの味覚の方がおかしいんじゃ……?

シュノンソー城
なっ! 馬鹿なことを言わないでください!

シュノンソー城
一応私、お菓子作りの腕を買われて、
此地に招かれているのですよ!

シュノンソー城
より良いチョコを作るつもりなら、
私の味覚だけは信用していただかないと――!

突撃式トッパイ形兜
オイ! 何ヲグダグダ言イ争ッテルンダ、オ前タチ!
自分ノ立場ガ分カッテルノカ!?

成都城
そ、そうでした。
兜の軍勢に囲まれてるんでしたね、私たち……。

突撃式トッパイ形兜
コノ戦力差……コノママ行ケバ、
オ前タチノ敗北ハ時間ノ問題……。

突撃式トッパイ形兜
ドウダ?
チョコヲ諦メテココヲ立チ去ルトイウナラ、
見逃シテヤッテモイイガ……。

シュノンソー城
……なんですって?

シュノンソー城
私たちが、チョコを身代わりに逃げてもいい、と……?

成都城
笑えない冗談ですね……。

シュノンソー城
今日のこの日を迎えるために、
皆さんは日々、大変な努力を重ねてきました……。

シュノンソー城
ここにあるチョコはどれも、
一つ一つが想いの込もった特別な贈り物!
兜に渡して良いものなど、一つとしてありません!

シュノンソー城
きっちり耳を揃えて、返していただきますよ……!

成都城
そうですね! シュノンソー城さんの言う通りです!
一つ残らず取り返してやりましょう!

突撃式トッパイ形兜
………ッ!

突撃式トッパイ形兜
ナンデ、ナンデ……!

突撃式トッパイ形兜
ナンデ、ソンナコト言ウンダヨォ!?
少シクライクレタッテイイジャナイカ!!

成都城
っ!?

突撃式トッパイ形兜
モチロン、チカラハ欲シイサ。
ソノタメニ、チョコノ強奪ヲ計画シタンダカラナ……。

突撃式トッパイ形兜
デモ、ソレ以上……ソレ以上ニ……。
オ前タチノ作ッタチョコガ、僕タチノ心ヲ掻キ立テルンダ……!

突撃式トッパイ形兜
チョコガ欲シイ、チョコガ欲シイ……。
ソンナ気持チガ、湧キ上ガッテクルンダヨ!


ギブミー……チョコレート……。

兜軍団
ギブミー……チョコレート……。
   ギブミー……チョコレート……。
      ギブミー……チョコレート……。

突撃式トッパイ形兜
モウ目的ナンテドウダッテイイ!
俺タチダッテ、俺タチダッテ……チョコガ欲シインダ……!

突撃式トッパイ形兜
サァ行クゾ、皆ノ者! チョコヲ我ガ手ニ収メルタメニ!

兜軍団
ウオオオオオォォォォォォーーーーーー!

成都城
か、兜の力が高まりました!
それに、士気も急激に――

与板城
――成都城さん、シュノンソー城さん!

成都城
与板城さん!? それに――

十河城
助っ人見参でござる! ニンニン♪

殿
…………!

千狐
間一髪……今にも戦が始まりそうなところだったの……。

柳川城
ですが、何とか間に合ったようですね……。

やくも
な、何だか兜さんの様子が……。
いつもより殺伐としてる気がするだに?

シュノンソー城
与板城さん、それに主様たちも……。
そうですか……もう到着されていたのですね!

十河城
もう安心して大丈夫だよ、お二人さん!
みんなで力を合わせて、兜を討伐しちゃお!

シュノンソー城
そうですね……チョコを取り返すため、
全力をもって兜たちを討ち果たしましょう!

シュノンソー城
主様、ご命令をお願いいたします!

後半
十河城

やったねっ!
御頭の大勝利でござるー♪

与板城
それにしても、
なぜ兜は私たちのチョコレートを狙ったのでしょうか……。

シュノンソー城
おそらく……チョコに宿った力が目的だったのでしょう。

シュノンソー城
私たち城娘が持つ霊気を、瘴気で侵すことで……、
兜にとって有用な力へと還元できる。
そう聞いたことがあります。

成都城
渡す相手への想いが詰まったチョコレートは、
兜にとっては力の源……ということですね。

与板城
そうだったのですね……知りませんでした。
ですが、これで安心して――

十河城
ややっ! 待って待って!

十河城
兜たちが立ち上がり始めたよ!? 御頭、気をつけて!

殿
…………!

突撃式トッパイ形兜
戦エ……! 戦ッテ、勝チ取ルンダ……!

突撃式トッパイ形兜
諦メナイ……。
チョコヲ手ニスルマデハ、コノ身ガ果テテモ……!

甘味に添える恋慕情 -急-

満身創痍の身体を引きずりながらも立ち上がり、
同志たちを鼓舞して戦いを続けようとする兜たち。
いったい何が、彼らをそうも突き動かすのか……。

前半
突撃式トッパイ形兜

諦メナイ……。
チョコヲ手ニスルマデハ、コノ身ガ果テテモ……!

兜軍団
ギブミー……チョコレート……。
   ギブミー……チョコレート……。
      ギブミー……チョコレート……。

柳川城
あれだけ傷ついて……まだ立ち上がるなんて……!

やくも
ちょこの何が……兜さんをあそこまで駆り立てるがや……!?

千狐
兜たちがこちらに迫ってきています!
皆さん……連戦続きで辛いかと思いますが、
どうか力を貸してください……!

殿
…………!

成都城
もちろんです!
勝利はもう目の前……主様、
どうか聡明なご下知をお願いいたします!

後半
成都城

これで兜は……全て片付きましたか?

千狐
……はい、周辺には兜の気配は感じられません。

千狐
此地の兜は、全て討伐しました!
皆さん、お疲れ様でした! 

十河城
やりぃー♪ 皆で掴んだ大勝利だね~♪

柳川城
これで無事にバレンタインの宴を開き、
ちょこの交換を行うことができますね。

成都城
そうですね。
……ひとまず、与板城さんの御城に戻りましょうか。
身体も休めたいですし……。

やくも
それじゃ出発しんこー! だに♪

――――

与板城
…………。

与板城
皆さん、もう行ってしまいました……よね?


…………。

与板城
(兜たちは皆、動かなくなってしまいました)

与板城
(あとは器の崩壊を待つのみ、ですか……)

与板城
…………。

与板城
本当はこんなこと、必要ないのかもしれません。でも……。

与板城
ちょこ、一つだけ……置いていきますから……。

与板城
ですから、どうか……安らかに眠ってください……。


…………。

与板城
それでは、私はこれにて――

シュノンソー城
……与板城さん。

与板城
――シュノンソー城さん……見ていたのですか。

シュノンソー城
はい……。
与板城さんが立ち止まってるのが見えたので、
気になってしまって。

シュノンソー城
兜に……チョコをお供えしていたのですか?

与板城
…………。

与板城
……はい。

与板城
今際の際に見せた、ちょこへの想いを見て、
何もせずに立ち去るのは忍びないと……。

与板城
城娘としては……正しくない行いだったかもしれません。

シュノンソー城
与板城さん……。

シュノンソー城
私は……正しくない行いなどとは、決して思いませんよ?

シュノンソー城
勝敗は決し、チョコも取り戻せました。
私たちの戦はそれでおしまいです。

シュノンソー城
……ですから、その後に与板城さんが誰に何をしても、
責める人など居ないと思いますよ。

シュノンソー城
そして何より……私は、
与板城さんの行いを見て素敵だな、と思いましたから♪

シュノンソー城
だから、良いじゃないですか。
ちょこは少しだけここに置いていく……。
そうしましょう……ね?

与板城
シュノンソー城さん……。


…………。

――――

与板城
さぁ、宴の準備は整いました!

与板城
それでは皆さん、私たちの手作りちょこを存分にご堪能ください!

やくも
だにいぃぃ~~♪

シュノンソー城
…………。

シュノンソー城
成都城……成都城さんの姿は、どこに――

成都城
はい、主様♪ どうぞお受け取りください!

成都城
試行錯誤を経て完成した、私の自信作です! どうぞ遠慮なく、一口でぱくっと♪

シュノンソー城
――っ!?

シュノンソー城
成都城さんのチョコが、主様の手に渡ろうとしている……!?

シュノンソー城
待ってください、主様! そのチョコには……主様ぁっ!

殿
…………。(もぐもぐ)

殿
…………?(もぐもぐもぐもぐ)

シュノンソー城
あぁ……そんな。

成都城
シュノンソー城さん?
……どうしました、そんなに慌てて?

シュノンソー城
(間に合わなかった……守れなかった……!)

シュノンソー城
(申し訳ありません……主様。
 こうなることは始めから予期していたのに……)

殿
…………。

殿
…………!

成都城
美味しい……ですか? わぁ、嬉しいです♪
良かった、主様に喜んでもらえて!

シュノンソー城
……!?

シュノンソー城
美味しい?
成都城さんの作ったチョコが美味しい、
そう申されましたか、今?

シュノンソー城
これはいったい……?
主様の身を案じた何者かがちょこをすり替えたのか、それとも……。

成都城
ふふ、安心してください、シュノンソー城さん。
今渡したチョコに、香辛料は入っていませんから。

シュノンソー城
え……?

シュノンソー城
な、なぜですか? あんなに辛くすることに拘っていたのに……。

成都城
はい、確かに拘っていました。
でも……流石にあれだけ注意されれば、
私だって思うところはあります……。

成都城
本当は香辛料を活かしたちょこが作れれば文句なしだったのですが、
何よりも大事なのは……主様から『美味しい』の言葉をいただくことです。

成都城
ですから今日のところは……お菓子作りの先生である、
シュノンソー城さんの教えに従うことにしたんです!

成都城
お陰で、その目標を達成することができました。
シュノンソー城さんのお陰です! どうもありがとう♪

シュノンソー城
そ、そんな大したことはしていません。
成都城さんが作るチョコの異常さは、
お菓子作りに詳しくなくとも、誰もが感じていましたし……!

成都城
あれ、もしかして照れてます? 照れてますね?

シュノンソー城
こ、こほん……。
ところで、他の城娘たちのチョコの出来栄えが気になりますね。
与板城さんや十河城さんは大丈夫でしょうか……?

成都城
与板城さん?
そういえば宴の開会を宣言してから、姿が見えないような――?

与板城
御屋形! 大変です、御屋形ぁーーー!

殿
…………?

千狐
どうしたのですか、与板城さん!?

与板城
大変なんです!
聞いてください、御屋形……それに、成都城さんも!

成都城
わ、私ですかっ!?

与板城
はい。実は先程、お手紙が届きまして……、
その内容が、成都城さんの御城に関するものだったのです!

与板城
差出人は、白帝城さん……。
成都城さんの祖国から送られたものです。

成都城
白帝城さん……。
古くから仲良くしていただいている、私のお友達です!

成都城
私が日の本に行っている間、
お留守番を頼んでいたのですが……何かあったのでしょうか……?

与板城
はい……このお手紙によれば、
成都城さんの御城が兜の軍勢に狙われている、と……!

殿
…………!

成都城
兜の軍勢に……!?
見せてください、そのお手紙っ!

千狐
手紙に書かれているのは、
兜による侵攻……ただそれだけ、ですね……。

やくも
これだけ書くのが精一杯だった、という風に見えるだに……。

成都城
でも兜の軍勢が、どうして――あぁっ!?

与板城
何か……思い当たることでも?

成都城
出発直前までチョコ作りに熱中してたので……、
私の御城、試作品のチョコがいっぱい転がってるんですよね……。

十河城
ってことはつまり、
成都城ちゃんの霊気でパンッパンのチョコが、あっちこっちに……。

やくも
それが原因だに、間違いなく……。

シュノンソー城
意外とズボラなところがあるのですね、成都城さん……。

成都城
だ、だって知らなかったんですもん!
ちょこに籠もった霊気が兜を引き寄せるなんて!

十河城
とにかく、すぐに成都城さんの御城に向かおうよ!
兜をズバーッと討って、白帝城ちゃんを助けなきゃ!

殿
…………!

千狐
承知しました!
準備ができ次第、すぐに転移しましょう!

成都城
白帝城さん……お願い、無事でいて……!

甘味に添える恋慕情 -絶壱-

バレンタインの宴が催される数週間前。与板城の
御城に集った城娘たちはシュノンソー城の教えに
従い、ちょこ作りの練習に励んでいた……。

前半
――殿一行が与板城の御城に到着する、数週間前。

与板城を中心に集った城娘たちは、
来たるバレンタインに向けてチョコ作りの練習に励んでいた……!

シュノンソー城
――と、ここまで説明したものが、チョコ作りの概要となります。

シュノンソー城
ということで。ここから先は、
ここまで教えたことを頼りに実際にチョコ作りを行っていきましょう。

十河城
承知しました! 師匠!

シュノンソー城
それでは、始めてください!

――――

与板城
ええと、手順によれば次は……。

十河城
あれ、どこにしまったかなぁ。
確かに持ってきたはずなんだけどぉ……。

成都城
うーん……。
もうちょっと量を減らした方が良いでしょうか……。

シュノンソー城
…………。

シュノンソー城
(皆さん、真剣にチョコ作りに打ち込んでいるようですね……)

シュノンソー城
(特に与板城さん……。
 日頃からお料理を嗜んでいるだけあって、
 調理器具の扱いは慣れている様子)

シュノンソー城
(この調子でしたら、完成までそう時間はかからないでしょう)

シュノンソー城
さて、次は十河城さんの様子を見てみましょうか――

――――

十河城
あったあった!
こんなとこに隠れてたんだねぇ、愛しのうどんちゃん♪

十河城
今日はいっぱい活躍してもらうからね、よろしく頼みますよ~♪

シュノンソー城
……うどんと言いますと確か、日の本の麺料理でしたか。

十河城
そう! 讃岐国の誇り、引田城ちゃんのお手製うどんだよ!

十河城
シコシコちゅるるっとしたのど越しは天下一品!
これとちょこの甘みを組み合わせれば、
いまだかつて無い極上甘味が完成するはずだよ~!

シュノンソー城
故郷の名産品と組み合わせたわけですね。
なるほど……。

十河城
溶けたちょこにうどんを絡ませてー……、
はいっ、あっという間に完成~♪

十河城
……ってなわけでどうぞ、シュノンソー城ちゃん!
ちょことうどん……この奇跡の出会いをぜひ、味わってみて♪

シュノンソー城
ぅぐ……少し抵抗はありますが……。

シュノンソー城
日の本以外では味わえない体験だと思えば……えいっ!

シュノンソー城
ちゅる、ちゅるちゅる……。

シュノンソー城
…………。

シュノンソー城
あら……? 意外といけますね、この味……。

十河城
でしょでしょ! えっへへ~、
讃岐のうどんは何と組み合わせたって絶品なんだから♪

シュノンソー城
はい、味の方は申し分ありません。
ただ……一つ、別の問題がありますね……。

十河城
別の問題……?

シュノンソー城
この見た目だと、どうしてもうどんが主役に見えてしまいます……。

シュノンソー城
バレンタインの贈り物に適しているかと問われると、少し……。

十河城
う……確かに、言われてみれば……。

十河城
チョコ食べてるってよりは、うどん食べてるって感じだよねぇ……。

十河城
でもでも、ご心配は無用!
実は他にも、案を用意してるんだよ!

十河城
例えばこの……手裏剣チョコ!
それから、苦無チョコ!

シュノンソー城
手裏剣、苦無……。
チョコを武器の形に似せた、ということですね?

十河城
そのとーり!
だけど模しているのは形だけじゃないんだなー、これが!

シュノンソー城
まさか、実際の手裏剣などと同じように、
武器としても使用できると……?

十河城
御名答~♪ ある時は非常用の兵糧として!
またある時は敵を倒すための武器として!

十河城
懐に一つ忍ばせておくだけで、生存確率がぐぐっと上昇!
一石二鳥の品となっております!

十河城
いずれはバレンタインを問わず、
所領中の城娘が持ち歩く必需品になると思うの!

シュノンソー城
……なるほど。
ご自身と縁ある武器を模したチョコ、
というのは良い案だと思います。ただ……。

十河城
……ただ?

シュノンソー城
その、いくら固く鋭利に作ったとしても、
懐に忍ばせていては溶けて柔らかくなってしまうので、
武器として扱うのは無理があるかと……

十河城
…………。

十河城
……あぁっ!
そっか~! 確かにそうだったよぉ……。

シュノンソー城
はぁ、先が思いやられますね……。

シュノンソー城
さて、次は成都城さんの様子を見にいきましょう……。

――――

シュノンソー城
(あら……どれも見事な出来栄えではありませんか)

シュノンソー城
(見栄えの綺麗さだけなら、与板城さん以上かも……)

成都城
シ、シュノンソー城さん。
そんなにじーっと見られると恥ずかしいです……。

シュノンソー城
あら、気にしなくて良いのですよ。
どれもよくできているではありませんか。

成都城
確かに、見た目は上手くできました。
でも……まだ味の方で悩んでいて……。

シュノンソー城
あら、そうでしたか。
……それでは、味の方を見させてもらってもよろしいでしょうか?

成都城
はい、ぜひ!
自分でも何が良いのか分からなくなってて……。
感想を聞かせてもらえますか?

シュノンソー城
承知しました。それでは、お一つ……。

シュノンソー城
もぐ、もぐもぐ……。

シュノンソー城
…………!

成都城
その……いかが、でしょうか……?

シュノンソー城
……かはっ!? こほ、こほこほっ!

与板城
えぇっ! シュノンソー城さんっ!?

十河城
大変だっ!
シュノンソー城ちゃんがぶっ倒れちゃったよ!?

シュノンソー城
だ、誰ですか……。
成都城さんのチョコの中に、毒物を混入させたのは……?

与板城
成都城さんのちょこに毒物っ!? それは確かですか!?

シュノンソー城
間違いありません……一口食べただけで分かりました。

シュノンソー城
すでに味からして、
私のよく知るチョコとは大きく異なっています!

シュノンソー城
何なのですかこの……、
『只の痛み』としか認識できないほどの、苛烈な辛味は……?

成都城
…………。

成都城
あのぉ……。

成都城
シュノンソー城さんが仰っている『毒物』というのが、
辛味を指しているなら、なのですが……。

成都城
それを入れたの、私です……。

シュノンソー城
成都城さんがこの毒を……!?

シュノンソー城
いったいどのような企みを?
私にどんな恨みがあって?

成都城
違います、恨みなんてまったく!
というより、そもそも毒なんていれてませんから!

成都城
私がチョコに混ぜたのは故郷名産の香辛料です。
これを上手く扱えば、私らしいチョコが出来上がると思って……!

シュノンソー城
し、信じられない……。

シュノンソー城
何者かが毒物を混入させたのではなく、
狙い通りに作り上げてここに至った、ということですか……!?

シュノンソー城
あぁ……何だか私、頭痛が……。

シュノンソー城
すみません。
私、あちらの方で休憩をとらせていただきます……。

――――

与板城
シュノンソー城さん、どうぞ……お水です。

シュノンソー城
ありがとう、与板城さん。
貴方のお陰で随分楽になりました……。

与板城
その……何と言えばいいのかわかりませんが……。

与板城
仮に十河城さんと成都城さんのちょこが失敗したとしても、
シュノンソー城さんのせいではないと思います……。

シュノンソー城
与板城さん、なんて優しいの。
ああ、貴方の優しさが心に染み渡ります……。

シュノンソー城
ですが、やはり……。
この状況を見過ごすわけにはいきません。

シュノンソー城
だって……この状況を打破できるのは、
私しか居ないのですから!

シュノンソー城
でないと……主様の許に、
とんでもないチョコが贈られることになってしまう……!

シュノンソー城
皆さん、よく聞いてください!!

シュノンソー城
特にそこの二人……十河城さんと、成都城さん!

成都城
…………?

十河城
…………?

シュノンソー城
……この惨状の責任は、私にあります。

シュノンソー城
自由にわいわい作りながら、失敗を積み重ねていけば、
パーティーまでには必ず間に合う……そう思っていました。

シュノンソー城
でも……それは違った。違ったのです!

シュノンソー城
お菓子作りは非常に繊細な作業!
時にはたったの一秒、1グラムの誤差が命取りになるのです!

シュノンソー城
ですからまずは、レシピに忠実に従うこと!
これを徹底していただきます!

シュノンソー城
独自の工夫を凝らすのは……、
金輪際止めていただきたい、と言いたいところですが、
とにかく後回しです! 良いですか!

成都城
なんだかすごく怒ってます……シュノンソー城さん……。

シュノンソー城
十河城さんと成都城さんには、
美味しいチョコを作り上げるために、
これからみっちり修行していただきますから!

シュノンソー城
では始めますよ……覚悟しなさい!

十河城
よくわからないけど……望むところだよ!

十河城
シュノンソー城ちゃんを満足させるちょこを、
絶対作ってみせるんだから!

後半
十河城

はぁぁ、難しいよぉ~……こんなに正確に作らなきゃいけないなんて……。

シュノンソー城
さぁ、休んでいる暇はありません!
まだまだ修行は続きますよ!

シュノンソー城
(必ず育て上げてみせます……。
 この二人を、一人前のパティシエに!)

シュノンソー城
(そして……じきに此地を訪れる主様に、
 無事にバレンタイン乗り切っていただくのです……!)

甘味に添える恋慕情 -離-

千狐の転移により成都城の御城に到着した一行は、
留守を任されていた白帝城と合流する。しかし
その時、身の毛もよだつような叫びが響き渡る。

前半
――中国・成都城の御城。

救援の求めに応じ、急遽転移した殿一行は、
手紙の差出人である白帝城の姿を探していた――

成都城
白帝城さん!
返事をしてください、白帝城さーん!

白帝城
成都城……ここだ。私はここにいるぞ……!

成都城
白帝城さんっ!
良かった、無事で……怪我はしていないですか?

白帝城
ああ。力は使い果たしてしまったが……大事はない。

白帝城
私の送った手紙が届いたのだな。
殿も、他の城娘たちも……救援に来てくれたこと、感謝する。

殿
…………!

白帝城
しかし……すまない成都城。
其方に任せられた留守の役目を、
私は果たすことができなかった……!

やくも
それじゃ、この御城はもう……!

白帝城
ああ……なんとか持ちこたえてはいたのだが、
つい先程……兜の侵入を許してしまった。

シュノンソー城
そんな……!

白帝城
その結果、残念ながら……、
成都城が作ったチョコの殆どが奪われてしまった。

白帝城
……いや、この場合は残念というより、
幸いなことにと言うべきか……。

成都城
そんなことはいいんです!
チョコよりも白帝城さんの身体の方が大事ですから……!

成都城
……って、あれ。
今、『幸いなことに』って言いました、白帝城さん?
それはどういうことで……?

白帝城
ああ、つまりだな……。
成都城のチョコに救われる形となったというか……。

???
ギャアアアァァァァァーーーーー!?

殿
…………!

千狐
今の叫び声……兜のものです!

与板城
兜がこの近くに……?
まさか、またこの御城のチョコを狙って攻めてきたのですか!?

白帝城
いや、それはないと思うが……。

殿
…………!

柳川城
はい、すぐに向かいましょう!

――――

桃形兜
辛、辛、カラアアァァァァァァ!

十河城
見て、あそこ! 兜が地面をのたうち回ってるよ!?

シュノンソー城
…………。

シュノンソー城
……なるほど。そういうことですか。

古桃形兜
ドウシタ!? 何ガ起キタンダ、桃形!

桃形兜
辛イ、辛イヨ……ウ、ウウ……!

桃形兜
オ願イ……殺シテ……殺、シテ……!

桃形兜
(ガクリ)

古桃形兜
オイ、オイ!? 返事ヲシロ!
桃形ッ! 桃形ィィィーーー!

やくも
…………。

千狐
…………。

与板城
……き、聞きました?
殺して、って言ってましたよあの兜……。

十河城
すごい断末魔……。
見てるこっちまで恐ろしくなっちゃうくらいだったよ。

白帝城
ああ、真に恐ろしい……あんな物が、
この御城のあちこちに転がっていただなんてな……。

与板城
なるほど……兜に深手を与える何かを、
御城の中に仕掛けていたのですね。
それを兜に食べさせて――

与板城
――はっ。もしかしてそれって……!

白帝城
そう……あの兜を苦しめていたのは、
成都城が作った激辛チョコレートだ。

千狐
信じられません。そもそも兜は、
食事を必要としていないはずですし……。

柳川城
兜がちょこれーとを食べて苦しむ……。
そんなことが有り得るのでしょうか?

白帝城
香辛料は調味料の一種として知られているが、
それはあくまで、適切な分量を扱う場合の話だ。

白帝城
種類や量は不明だが、あれを単純に刺激物として考えた場合、
成都城のチョコが奴らの身体にどう作用したとしても、
不思議はないと私は思う……。

シュノンソー城
そんな馬鹿な……と言いたいところですが、
おそらく、その見通しは正しいでしょう。

シュノンソー城
納得はできます。私も一応、
この身で激辛チョコの恐ろしさを味わっておりますので……。

与板城
それにしても……いったいどれだけの香辛料を使えば、
あそこまで兜を苦しめられるんでしょう……?

成都城
ですね……作った私も驚いてます……。

成都城
一応、どれも安全なはず……なんですよ?
私自身、ちゃんと味見した上で作っていますし!

やくも
今となっては、そんなの何の保障にもならんだに……。

シュノンソー城
ええ、成都城さんの舌が、
あてにならないことは立証済みですからね……。

成都城
うぅ……そうかもしれませんけど……。

柳川城
しかし……シュノンソー城さんが成都城さんに、
正しいチョコの作り方を教えてなかったらと思うと……恐ろしいですね。

十河城
今頃、アタシたちや御頭が、
あんな風にのたうち回っていた……かもだよね。

殿
…………。

???
辛、辛アアァァァァァァァ!

???
何コレ、何コレエエエェエェェェ!?

シュノンソー城
あぁ……あちこちから兜の悲鳴が……。

十河城
次々と犠牲者が出てるみたいだね……。

やくも
今回ばかりは、
兜さんたちが可哀そうに思えてしまうがや……。

千狐
……い、いえっ。だめよやくも、
むしろこれを好機と捉えないと、千狐たちは!

千狐
兜たちに生まれたこの隙を見逃す手はありません!
畳み掛けてしまいましょう、殿!

殿
…………。

殿
…………!

成都城
そうですよね……また攻め込んでくるかもしれないし、
ちょっと狡いかもしれないけど、ここで叩かなきゃ……!

シュノンソー城
ええ、参りましょう成都城さん! この御城を守るために!

後半
成都城

はぁ、はぁ……やりましたか!?

千狐
これで周囲の兜はすべて片付いた、でしょうか……?

与板城
待ってください皆さん! 今……兜の方に動きが!

古桃形兜
許セン……許センゾ、城娘ドモ……。

古桃形兜
弄ンダナ……俺タチガ、
チョコヲ狙ッテイルコトヲ知ッテ……!

古桃形兜
チョコヲ求メル俺タチノ気持チヲ弄ンダナ……!

やくも
怒ってるだに……兜さんたちの怒りが、
メラメラ燃え上がってるがや……。

シュノンソー城
……どうやら、そう簡単には終わらせてもらえないようですね……!

甘味に添える恋慕情 -結-

激辛チョコに苦しみながらも、殿たちへの
憎しみを募らせる兜たち……城娘たちを
連れて出陣し、成都城の御城に平穏を取り戻せ!

前半
突撃式トッパイ形兜

行クゾ!
我々ノ心ヲ弄ンダ憎キ城娘タチニ、裁キノ鉄槌ヲ!

兜軍団
裁キノ鉄槌ヲ!
   裁キノ鉄槌ヲ!
      裁キノ鉄槌ヲ!

千狐
か、兜たちがこちらに押し寄せてきています……!

成都城
…………。

成都城
許せない? 弄んだ……?
何を言っているのですか、貴方たちは……。

成都城
そもそも、私の御城に攻め入ってチョコを盗んだことが、
全ての始まりじゃないですか!

成都城
貴方たちに恨まれる筋合いなど、
これっぽっちもありません!

成都城
……そもそもなんですか、さっきから黙って聞いていれば!
私が作ったチョコを寄ってたかって毒薬みたいに!

殿
…………。

千狐
(そ、それについては……)

やくも
(うちらも味方はできんがや……)

シュノンソー城
…………。

シュノンソー城
申し訳ありません、成都城さん。
気休めでも、何か言ってあげられたら良かったのですが、
私、言葉が見つかりません……。

成都城
謝らないでくださいよ、余計に悲しくなるじゃないですかー!

成都城
もうこうなったら……!
この悲しみや怒りを全部、この戦にぶつけてやりますから!

成都城
さぁ……覚悟しなさい!

後半
成都城

はぁ、はぁ、はぁ……。

成都城
どうしたんですか……もう、終わりですか?

成都城
立ち上がる元気がある者は……私が相手になりますよ……!

白帝城
落ち着け、成都城……。
もう戦は終わった、終わったんだ……。

千狐
ええ……兜の気配はもう感じられません。
安心して大丈夫ですよ、成都城さん。

成都城
そう、ですか……終わったのですね……。

成都城
皆さん……急なことだったというのに、
救援として駆けつけてくださってありがとうございました。

成都城
お陰で……私の御城と、
白帝城さんを守ることができました……!

白帝城
私からも改めて礼を言う……本当にありがとう。

成都城
今日は私の御城で、休んでいってください♪
此度の戦いのお礼も兼ねて、おもてなしさせていただきます!

十河城
……お? ってことは……。

十河城
はいはいはーい! それじゃアタシから一つ提案でーす!

十河城
だったらついでに、勝利のお祝いってことで、
宴を開いちゃうのは、いかがでしょうか!

十河城
もちろん、その宴で並ぶのは……アタシたちの手作りちょこれーと!

やくも
おお! 与板城で中断されてしまった宴の続きをやるんやね!

シュノンソー城
良いですね♪ 兜たちが激辛ちょこで自滅してくれたお陰で、
私の方は体力に余裕がありますし!

成都城
素直に喜べないです……。

白帝城
その上、御城も必要以上の損傷を負うことも無かった。
奴らがチョコの脅威に気づかず、奪うことだけを目的としていたお陰だな。

成都城
素直に喜べないです~……!

十河城
しかも、成都城ちゃんが試作品のために用意してた材料を使えば、
今すぐちょこを作ることもできると! もう完璧ですな!

与板城
それでは早速、
動ける者たちで手分けして準備を始めましょう!

こうして、急遽……、
バレンタインの宴が開催されることになったのだった――

――――

十河城
ふぅ……とっさの思いつきでやることになった宴だけど、
みんな楽しんでくれているみたいだね……!

千狐
ええ、シュノンソー城さんの指示のお陰で、
ちょこ作りも円滑に進めることができました。

やくも
にしても、あれやね……。

やくも
成都城のちょこが混ざってるかもしれんと思うと、
変な緊張感が生まれてしまうだに……。

千狐
こら、そんなことを言ったら失礼でしょ、やくも。
成都城さんが一生懸命作ったちょこなんですから……。

千狐
成都城さん、先程も随分落ち込まれていたようだし……。

やくも
そうかもしれんけど、事実は事実だに!
うちは自分の命の方が大事がや!

殿
…………。

成都城
あはは……大丈夫ですよ、千狐さん。

成都城
ちょこ作りへの無念は、
さっきの戦で思い切り身体を動かして……、
すっきり発散しちゃいましたから。

成都城
今考えているのは……どうすればもっと、
美味しいちょこが作れるのか……ただそれだけです!

千狐
そうですか……それなら良いのですが……。

成都城
それから、やくもさん。ちょこの方は安心していいですよ。
今回作ったものには、香辛料は入れてませんから。

やくも
なんと! そうだったんだに!?

やくも
そういうことなら、こんなところでぼさっとしてるわけにはいかんがや!
宴が終わる前に、他のちょこも食べ尽くさんと!

千狐
あ、待ちなさいやくも!
皆さんの分も残しておくこと、忘れちゃだめですからね~!

――――

与板城
……シュノンソー城さん……シュノンソー城さん!

シュノンソー城
あら、与板城さん……。

シュノンソー城
主様には、もうチョコをお渡しになったのですか?

与板城
えっ! ええ、と……それは後で、というか。
心の準備が整ってからにしようかと……!

シュノンソー城
ふふ、そうですか。……それで、私に何かご用でも?

与板城
はい……これを、シュノンソー城さんにお渡ししたくて!

シュノンソー城
この包みは……開けても良いのですか?

与板城
はい、もちろんです!

シュノンソー城
では、失礼して――あら、これは……!

シュノンソー城
可愛らしいチョコレート……とてもよくできていますね。

シュノンソー城
宴で振る舞う物とは別に……私のために?

与板城
此の度、ちょこ作りの先生を引き受けてくださったことへのお礼です!

与板城
ちょこ作りの術を知る者は日の本にはまだ少なく……、
ばれんたいんは知っていてもちょこを渡せない、
そんな城娘が数多くおります……。

与板城
斯く言う私も、その内の一人でした……。
そんな私を、シュノンソー城さんが救ってくださったのです!

与板城
シュノンソー城さんには幾らお礼を言っても言い足りないくらいです。
本当に、ありがとうございます!

シュノンソー城
ふふ……どういたしまして。

シュノンソー城
私も……貴方のような真心と、
ひたむきさを忘れないようにしなくてはいけませんね……。

シュノンソー城
……あ、そうです。ちょこ作りを教えた代わりに、
と言ってはなんですが……、
一つお願いをしても良いでしょうか。与板城さん?

与板城
はい! 私にできることでしたら、何なりと!

シュノンソー城
実は、与板城さんの御城で生活している内に、
日の本のお料理に興味が湧いてしまって……。
よろしければ今度、作り方をご教授いただけませんか?

与板城
なんと、日の本の料理にですか!
でしたらもちろんこの私が、先生役を務めさせていただきますよ♪

シュノンソー城
与板城さんが先生でしたら、安心ですね。ふふっ♪

こうして、急遽開催の運びとなった宴は大いに盛り上がり、
その後、夜遅くまで続いたのであった――

甘味に添える恋慕情 -絶弐-

バレンタインの宴が終わった後、深夜のこと。
片付けを終えた城娘たちは、薄暗い城内を歩み
ながら、宴での出来事を振り返っていた……。

前半
――成都城。

バレンタインの宴が終わった後、深夜――

成都城
はぁー♪ 今夜の宴は大成功でしたね!

シュノンソー城
ええ。急に決まった開催だったので、かなり慌ただしかったですが……、
今振り返ると、それも良い思い出です。

十河城
うんうん、最高の宴だったね!
ちょこうどんも御頭にすっごく喜んでもらえたし!

与板城
結局採用されたんですね、それ……。

シュノンソー城
以前も申し上げましたが……十河城さんは、
変わり種で勝負することから離れるべきだと思います……。

十河城
んー、シュノンソー城ちゃんが言うことも、
もっともだと思うんだけどねー……。

十河城
綺麗に丁寧に作ったとしても、今の腕だと、
シュノンソー城ちゃんに敵わないのは分かりきってるじゃない?

十河城
だからアタシは、今回のばれんたいんで爪痕を残すためには、
変わり種で勝負するしかないかなーって考えたんだよね!

成都城
確かに、一理ありますね。
味や見た目以外で特徴を出すべきではないか、と……。

十河城
いやいや、成都城ちゃんのは、
変わり種っていう程度を超えちゃってるけどね!?

シュノンソー城
成都城さんも諦めていなかったのですね、香辛料の件……。

成都城
それは、もちろん……。
私の故郷が誇る文化の一つですから。

成都城
それに、問題は単純なんです!
要は、香辛料の適切な分量が分かれば良いのですから。

成都城
ということで近い内……、
一般的な味覚を持つ方の、好みを探ろうと思うのです。

成都城
例えば、甘口、普通、中辛、大辛……おまけに激辛を用意して、
食べた感想を聞かせていただく、など……。

シュノンソー城
なるほど、確かに良い案だと思います。しかし……。

成都城
し、しかし……?

シュノンソー城
いったい、誰がその試食会に参加するのでしょう……。

十河城
試食会というより、命を掛けた運試しだもんね……それ。

与板城
これまでの出来事を振り返ると、
甘口を引いても惨いことになりそうです……。

成都城
そんなぁ……そこまで言わなくても……。

十河城
まぁ、成都城ちゃんのちょこはともかく!
御頭を一番喜ばせたのは、
アタシの独創性溢れるちょこうどんだから! ぜったい!

与板城
待ってください! 一番喜ばせた、というお話なら、
私のちょこを忘れられては困ります!

与板城
私のちょこに書かれた『愛』の文字を見た時の、御屋形のお顔……!

与板城
あれは正しく……私の想いが、
御屋形の心に深く刻まれたことを示しています!

成都城
ちょっとちょっと!
私のチョコだってなかなかの物だったと思いますよ!

成都城
辛くすることは一旦諦めましたけど、
その点以外は完璧な出来です!

成都城
皆さんだって、美味しそうに食べてくれてたじゃないですか!

シュノンソー城
……その話、私も譲ることはできませんね。
これまで培ってきた技術で作りあげた、私のチョコが一番です!

十河城
むむむ……強情だね、みんな……!

十河城
こうなったら……残された手は一つだけ……!

十河城
残ったちょこを食べ比べして、
誰が一番美味しいか決めようよ!

シュノンソー城
良いでしょう……望むところです!

後半
十河城

うどんだってばー!

与板城
いえ、愛です! 愛!

成都城
激辛ですよ! 激辛!

シュノンソー城
分からない方々ですね……。
どんな分野も大事なのは、礎となる技術なのです!

シュノンソー城
正道を知らぬ内から邪道を覚えては、
主様を喜ばせることなど到底できないと――!

すたすたすたすた……!

――がらがらっ!ばんっ!

殿
…………。

与板城
はっ……御屋形……!

殿
…………。

与板城
も、申し訳ありません……騒がしくしてしまって。

殿
…………?

シュノンソー城
いえ、何でも……少し歓談が盛り上がってしまって……!

成都城
そ、そうですね!
すぐに寝室へ向かいますので、はい!

殿
…………。

殿
…………!

がらがら……。

すた、すた、すた……。

与板城
…………。

十河城
あちゃー……怒られちゃったね……。

成都城
言い争いに夢中で、
声が大きくなっちゃってました……。

与板城
…………。

与板城
思えば、御屋形からの特別扱いを望むなど、
おこがましい願いだったのかもしれません……。

シュノンソー城
そう、ですね……。
競うものでも、言い争うものでもありませんよね……。

十河城
うんうん……御頭からはお褒めの言葉を頂けたし、
みんなで御頭に、日頃のお礼を伝えられたって思えば!

成都城
欲張るのはいけませんね。
私たちの力で主様を笑顔にできただけでも、
素晴らしいことなのですから♪

成都城
……と、ここで立ち話を続けていては、また主様のご迷惑になってしまいますね。

成都城
さぁ、それでは皆さん、寝室へご案内しますね! こちらへどうぞ!

こうして、愛と感謝の贈り物を主に渡した城娘たちは、
心地の良い達成感を胸に床へと就くのだった――

ただ、一人の城娘を除いては……。

柳川城
…………。

柳川城
……はぁ。

柳川城
(殿……ちょこを貰ってとっても嬉しそうでした……)

柳川城
(ちょこ、私も作れば良かったかなぁ……)



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