ストーリーテキスト/狙われし赤の要塞

ページ名:ストーリーテキスト/狙われし赤の要塞

目次

狙われし赤の要塞[]

狙われし赤の要塞 -序-

碧落の地に邪気を感じた千狐の上申を受け、
殿達は未知の地へと降り立つ。そこには
砦に攻め入らんとする兜軍団の姿があった!

前半
――亥の刻。
所領より遥か遠方の地。

兜軍団
イザ、進軍ッ!
赤キ材ヲ……奪エッ奪エッ奪エェェェェッ!

月夜の下で、
剣呑な怒気に染まった雄叫びをあげると共に、
無数の兜たちが一斉に歩を進める。

その矛先にそびえ立つ城塞の上に、
城下を見つめる二つの影が在った。

オレンジ城
まるで悪夢だ……。
あのような得体の知れぬ輩に、
我らの砦が攻め込まれるとはな……。

ゼーランディア城
まだ攻め落とされたわけじゃないけど、
このままじゃジリ貧だわ……。
どうする、オレンジ城?

オレンジ城
援軍を呼ぼうにも、ここら一帯は
あの正体不明の敵たちが埋め尽くしているしな……。
さて、どうしたものか。

ゼーランディア城
あぁ~もうっ……私は包囲網が大っ嫌いなのよぉ!
こんな状況じゃ、気がおかしくなりそうよ……。

オレンジ城
お前がそんな弱気になるなんて珍しいな、ゼーランディア城。

オレンジ城
なに、案ずることはない。
いざとなれば城内の火薬庫に砲弾をぶつけて
敵もろとも吹っ飛ばせばいい。

ゼーランディア城
……それは、
絶対に使うことのない
最後の手段にしてよね……。

オレンジ城
ハッハッハー!
任せておけ、ゼーランディア城。
このオレンジ城、ただでは負けんさ。

オレンジ城
ただでは、な……。

――同刻、所領。

千狐
……っ!?
な、なに……この感じは?
遠くで、大きな気の乱れが生じているわ……!

やくも
どうしたね、千狐?
まげに汗かいちょーけん、
悪いモンでも盗み食いしたがや?

千狐
ち、違うわよ!

千狐
そうじゃない……そうじゃないのよ、やくも……。
とても、恐ろしいことが起きてるの……。

やくも
せ、千狐……?

やくも
な、なんやよーわからんけど、
とにかく泣くんじゃないだに。
すぐに殿さんに相談するがや!

――明朝、所領。

千狐
殿……昨夜お話したように、
ここより遙か遠い地にて、兜の大軍が
不穏な行動を起こしているのを感じ取りました。

千狐
殿より、隊を整えて遠征する許可は頂きましたが、
これより向かう場所は日の本ではないかもしれませんわ……。
それでも行くと申されるのですか……?

殿
…………。

千狐
……愚問でしたね。
わかりました。では、さっそく向かいましょう。
やくも、あなたの力も貸してくれるわよね?

やくも
もちろんだに!
ちょんぼしだども、千狐の時空転移術の
手助けになーならうちの霊力を存分に使うがや!

千狐
ありがとう、やくも!

千狐
それでは、殿。
いきますよ……!

千狐
コンッ!!
秘技、時空……転移術なのーーーっ!!

千狐の術により辿り着いた先は、
赤き煉瓦でできた堅牢そうな要塞の上であった。

千狐
無事に転移は成功したみたいだけど、
一体ここはどこなのかしら……?

やくも
そんなことより殿さん、千狐!
はやくあっちを見るだに!

兜軍団
進軍ッ、進軍ッ、進軍ーーッ!
赤キ材ヲ、奪エッ、奪エッ、奪エェェェェッ!

千狐
あんなに多くの兜がいるなんて……!?
昨夜に感じた邪気は間違いではなかったようですね。

――その時、
驚く千狐の背に、聞き慣れぬ声がかけられた。

ゼーランディア城
あなたたちはいったい何者なの……?
答えなさい!
どうやってここに入り込んだの!?

オレンジ城
よさないか、ゼーランディア城。
そのような剣幕では彼らも話しにくかろう。

ゼーランディア城
だって……敵がついにこの砦に乗り込んできたのかと思って……。

千狐
わ、私たちは怪しい者ではありません!
兜たちの暴挙を察知し、
此の地に馳せ参じた次第です。

オレンジ城
兜……?
なるほど、どうやらあの珍妙な輩のことを
少なくとも我らよりは知っているというわけか。

兜軍団
――敵ヲ発見セリッ!!
穿テッ、穿テッ、穿テェェェェッ!

やくも
呑気に話をしてる場合じゃないがや!
兜たちがどんどんこの場所に近づいてくるだに!

オレンジ城
どうやらそのようだな……。
お前たち、見たところ武に覚えがあるようだ。
すまないが、此の地を守る為にキミたちの力を貸してくれないか?

千狐
元よりそのつもりでここに来たのです!
殿、兜たちを何としても食い止めましょう!

後半
オレンジ城

すごいじゃないか!
あの正体不明の敵を、こうも見事に退けるとはな。

ゼーランディア城
敵の撤退によって包囲網が瓦解していくわ……!?
本当にありがとう! これで少し元気がでたわ!

ゼーランディア城
…………でぇ、あなたたちは何者なわけ?

オレンジ城
ただ者でないことは間違いないようだ。
よかったら、名を聞かせてくれないか?

やくも
うちはやくもって言うね!
っで、こっちが千狐。
そして、ここにいる強くて男前なのが殿さんだにぃーっ!

オレンジ城
殿に千狐にやくも、か……良い名だな。
アタシはオレンジ城だ、よろしく頼む。

ゼーランディア城
私はゼーランディア城よ。
さっきは怖い顔しちゃってごめんね。
私、包囲網だけはどうしてもダメなのよぉ……あはは。

オレンジ城
だが少し気になることがある。
見たところキミたちはこの地の者ではなさそうだが……?

千狐
実は、千狐たちは日の本と呼ばれる地よりやってきたのです。

ゼーランディア城
日の本……聞いたことあるわ!
ここよりずっと遠くの、海を越えた先にある島国でしょ?

やくも
海を越えた先……!?

やくも
千狐の転移術はついに海すらも
越えてしまったんかや……。

オレンジ城
何はともあれ窮地を助けて貰ったのだ、
遠路はるばる来訪してきた諸君を歓迎しよう!

オレンジ城
とはいえ、見ての通り我らは満身創痍。
城娘としての力も発揮できない有り様だ。
悪いが大したもてなしはできんぞ、ハッハッハー!

千狐
城娘……っ!?
貴方たちからうっすらと城娘に似た霊気を感じてはいましたが、
あまりにも微弱なうえ、確信が持てませんでした……。

千狐
なぜ、城娘の力がそこまで弱まってしまったのですか?

オレンジ城
それは先程の敵……、
キミたちが言うところの兜と呼ばれる者たちによって
我らに縁のあるこの砦の赤煉瓦を奪われてしまったからだ。

オレンジ城
この砦と我らは深い部分で繋がっている……。
煉瓦を奪われるということは、
我らの臓腑(ぞうふ)をもぎとられていくようなものなのだ……。

やくも
でも、なんで兜さんたちは
煉瓦を奪っていくがや?

ゼーランディア城
それはこっちが聞きたいわよぉ……。

オレンジ城
兜たちの動きを見る限り、
無計画な侵攻とは到底言えない。
必ず何か意図があるはずだ……。

オレンジ城
だが、奴等の思惑など知らずとも
我らのすべきことはただ一つだ。

オレンジ城
奴等を屠り、奪われた赤煉瓦を全て取り戻す!
違うかな、ゼーランディア城?

ゼーランディア城
言うは易しよ、オレンジ城。
今の私たちでそれができるかどうか……。

千狐
あの……奪われた赤煉瓦を取り戻す手伝いを、
千狐たちも協力させてくれませんか?

ゼーランディア城
……え?

やくも
うちらはずっと兜たちと戦ってきたけん、
こういうことは慣れっこだに!
それに困ってるあんたらを放っておけないがや!

オレンジ城
……本気、なのか?

千狐
生半可な覚悟であれば、
今この地に千狐たちは立っていないでしょう。
どうか、信じてください。

オレンジ城
…………ふふ。

オレンジ城
ハッハッハー!
その言葉、そしてその力強い眼差しを受けて、
信じぬ訳があるまい!

オレンジ城
長い戦いになるであろうが、
宜しく頼むよ、千狐、やくも……そして、総督!

やくも
そ、総督……!?

ゼーランディア城
私たちにとって、顔役の呼び名っていうのは総督なの。
悪いけど、こう呼ぶのを許してよね!
そ・う・と・く?

殿
……。

殿
……。

千狐
殿……これより慣れぬ地での戦いが始まります。
いろいろと不安なことはあると思いますが、
気を引き締めて参りましょう!

狙われし赤の要塞 -破-

オレンジ城達と合流を果たしてから数日後。
兜達は砦に向けて侵攻を再開させる。
赤煉瓦を取り戻す為にも、必ずや勝利せよ!

前半
――オレンジ城たちと合流してから三日後。

やくも
殿さん、殿さん、殿さーんっ!!
大変だに! 兜たちがまた攻めてきたがや!

ゼーランディア城
思ったより早かったわね……。
くっそぉ、これ以上赤煉瓦を奪われてたまるかってのよ!

オレンジ城
あまり気負うなよ、ゼーランディア城。
今の我らに戦う力はないのだ。
総督の邪魔にならぬよう自制に徹しろ。

ゼーランディア城
わかってるわよっ!
ほら、ちゃんと落ち着いてるでしょっ!!!

やくも
ぜんぜん落ち着いてないがやぁ。
すっごく怖いだにぃ……。

オレンジ城
……許してやってくれ、やくも。

オレンジ城
ゼーランディア城は普段はやさしい子だが、
自らを脅かす存在を近くに感じると
自己を抑制できなくなるきらいがあるのだ。

オレンジ城
とは言っても、
腸(はらわた)が煮えくり返っているのはアタシも同じだ。

オレンジ城
然らばキミたちに全てを託す!
どうか、兜たちから赤煉瓦を取り戻してくれ。

千狐
わかりました!
必ずや期待に応えてみせますわ!

やくも
そうとなれば、うちも殿さんを援護するだに!

やくも
ん~何か、手頃な武器はないがや~?

やくも
――あっ!?
ここに大砲があるだに!
うちが一発ドカンとかましてやるがやー!

オレンジ城
……大砲?
こんな場所に備え付けてなどいないはずだが……?

千狐
やくも!?
それは大砲じゃないわ! 
すぐに『そいつ』から離れるのー!

やくも
ふへ?

大砲型兜
――放テッ放テッ放テッ!
爆砕ッ粉砕ッ撃墜ィィッ!!

やくも
ひにゃぁあーーーっ!!
大砲に良く似た兜だにぃぃ!
と、殿さーん! 助けてほしいがやぁーっ!!

千狐
知らぬ間に兜が砦に侵入していただなんて……!
殿、すぐに兜を退治し、赤煉瓦を取り戻しましょう!

後半
やくも

し、死ぬかと思っただに……。
まさか大砲と兜を間違えるだなんて……。

やくも
殿さん!
うちを助けてくれて、だんだんね!

ゼーランディア城
それにしても、ほんとに総督ってば強いのね!
前回の勝利がまぐれじゃないのがはっきりとしたわ。

ゼーランディア城
そ・れ・に……じゃじゃーんっ!
見て見て、総督っ!
こんなにたくさん赤煉瓦を取り戻せたわよ!

千狐
やりましたね、殿!
この勢いにのって、どんどん取り返していきましょう!

オレンジ城
良い雰囲気に水を差すようで悪いが、
あまり喜んでいる暇はなさそうだぞ……。

千狐
どういうことですか、オレンジ城さん?

オレンジ城
千狐……キミは感じないか?
この不穏な気配を……邪悪な霊気を……!
さきほどから肌が粟立ってしかたがないのだ……。

ゼーランディア城
……ほんとだ。なに、コレ……。
こんな馬鹿でかい霊力をもったやつが
敵の中にいるだなんて……!

やくも
うぅぅ……うちは何も感じ取れないだに……。
千狐ぉ、何がそんなにまずいがや?

千狐
……おそらくだけど、
巨大兜の気がすぐ近くまで来ているわ……。

やくも
ええーーっ!?
それは一大事だに! 早く備えるがや!

ゼーランディア城
その慌てようを見るに、
どうやら相当な敵のようね……。
総督、大丈夫なの……?

千狐
殿は負けたりしませんわ!
絶対に……絶対になんとかしてくれますわ!

オレンジ城
信頼されているな、総督。
すこし妬けるぞ。

オレンジ城
だが、油断はするなよ。
気の動きから察するに暫くの猶予はある……。
今のうちに戦備を整えておくのだ!

狙われし赤の要塞 -急-

ついに巨大兜がその姿を現した……!
その思惑は未だ判然としないが、
全力をもって、眼前の敵を討ち払え!

前半
オレンジ城

見ろ、総督!
ついに例の巨大兜なるモノが来たようだぞ。

オレンジ城の翡翠色をした両目の焦点が結ぶ先に、
その異形は在った。

藤堂高虎
遂ゲン……遂ゲン……遂ゲンッッッッ!!。
某ノ忠義ノ髄は、武技ノミに在ラズ!
築城モ又、某の宿世ノ片鱗ナリ……。

藤堂高虎
斯くも美シク、斯くも多用ニ、斯くも強キ城塞が在レバ、
骨子構造過程ニ技法、設計空間心理背景歴史諸々、全てを識ルハ我が宿業!!
なれば降レ、脆弱ナ魂ヨ。某ノ業果ヲ邪魔するな……邪魔をスルナァアアアッ!

ゼーランディア城
とんだ狂者ね……。
何言ってるかさっぱりだわ。

オレンジ城
概ね同意。だが、あの馬鹿でかい気と詞から察するに、
どうやらヤツは我らの城塞そのものに興味があるようだな。

千狐
巨大兜の思惑が分かるのですか?

オレンジ城
ヤツの魂の波形に沿って詞を詠んだだけだ。
なに、こう見えてもかなりの古城ゆえ、
そこらの城娘よりは器用なことができるわけだ。

ゼーランディア城
はいはい、詳しい説明は後よ、おばあちゃん!
まずは当面の脅威を早く取り除かないとでしょ?

オレンジ城
……む。誰が婆だ。
確かにお前の親のようなものではあるが……。

やくも
もぉー! 言い争い始めようとしてないで、
はよぉ戦いに備えるだに!

オレンジ城
仕方ない……委細は戦いの後だ。
我が知恵袋を披露する前に死んでくれるなよ、総督?

殿
……!

千狐
殿、いきましょう!
あの巨大兜をこれ以上のさばらせる訳にはいきませんわ!
全力をもって立ち向かいましょう!

後半
ゼーランディア城

すっごーいっ!?
あの巨大兜も倒しちゃうだなんて、
総督ってば、ほんとに強すぎじゃなーい!

やくも
ふっふっふぅ、殿さんの強さが
だんだんと分かってきたみたいやね?

ゼーランディア城
なーんでやくもちゃんが偉そうにしてんのよぉ!
ま、いいけどね。
あぁ、私も総督と一緒に戦えたらなぁ……。

千狐
皆さん、油断しないでください!
まだ巨大兜は完全には倒せていませんわ!

藤堂高虎
……未ダだ……この程度デハ……某は朽チヌ……。

藤堂高虎
……この赤キ城塞ノ、
何ト美しキ事カ……。
何ト堅牢な事カ……。

藤堂高虎
必ズヤ某が識り尽クシ喰らイ尽くシ……
……ソシテ、模シテみせる……。
某ノ忠義の、鮮烈ナル証明ノ為に……!!

オレンジ城
逃げられてしまったようだな……。
だが、この程度ですんだだけでも奇跡、か。

ゼーランディア城
で、戦いの前の話だけど、
結局あのでっかい兜は何の目的で
私たちの城塞を攻めてきてるのよ?

オレンジ城
ん? ああ、あれか。
なに、実に単純なことさ。

千狐
単純な……こと?

オレンジ城
そうだ……あの巨大兜はな、
我らのこの城塞に惚れ込み、
全てを知りたいと望んでいるだけだ。

ゼーランディア城
……はぁ?
それだけの為に、こんなことを……?

オレンジ城
ああ、それだけの為に、だ。

オレンジ城
だが、動機が単純なだけに
その妄執は比例して強大となっているのだろう。

オレンジ城
魂とは正邪に関係なくシンプルなものほど
強く、そして残忍になれる……そういうものだ。

やくも
ちょっと待つだに!
この城塞のことを知って、
あの巨大兜は何をするつもりなんや?

オレンジ城
わからないか?
何かを知るということは
実践の一過程でもある。

オレンジ城
つまり、この城を真似て、
自らの城を作ろうとしているのさ。

千狐
兜が……城を、造る……?
そんなこと、想像したこともなかった……。

千狐
ですが、それが実現されようものなら、
兜はより人間や城娘にとって厄介な存在となりますわ!
何としてでもここであの巨大兜を倒しましょう、殿!

ゼーランディア城
そうよ! いくらこの城塞が気に入ったっていっても、
無断で押し入って煉瓦を奪うなんて最低よ!
報いは必ず受けさせてやらないと……!

オレンジ城
当たり前だ。
我らの城塞を好む審美眼を有すモノとはいえ、
無粋に過ぎれば正してやるべきだ。

オレンジ城
と、いうわけでだ。

オレンジ城
兜たちの再来に備えて、
これより、取り返した赤煉瓦にて、
我らが城塞の補強作業を開始する!

ゼーランディア城
さんせーいっ!
戦えない憂さ晴らしを補修にぶつけてやるわ!

やくも
ふっふっふっふっふ……。

やくも
ついにうちの出番やね!
物作りには自信あるけん、任せるだに!

オレンジ城
ハッハッハー!
勇ましいな、やくも!
よし、共に頑張るとしようではないか!

やくも
だにー!
まげに頑張るけん、まかしときーっ!!

千狐
もう、やくもったらあんなに張り切って、
変なドジをしなければいいけど……。

千狐
殿、とりあえずは一息つけそうですね。
ですが、兜は必ずまたやってくるでしょう。
その時に向けて、共に準備を進めて参りましょう!

狙われし赤の要塞 -離-

兜達に城砦を奪われてしまった殿たち。
奪還の為に城砦へと向かう一行だったが、
城前には大量の大砲型兜が待ち受けていた!

前半
――オレンジ城たちと合流してから七日後。

やくも
……なぁ、千狐ぉ。

千狐
何よ、やくも……?

やくも
何よ、じゃないだに!
どうしてうちらが砦の外で
こんなひもじい思いをしてるがやー!

千狐
しょーがないでしょっ!!
やくもが補強作業中の砦の中に兜を
招き入れちゃったから占領されちゃったんじゃない!

やくも
ま、招き入れてなんかないがやぁ!

やくも
砦の警備に役立つと思って
そこらに落ちてた大砲を拾ってきたら、
それがたまたま大砲型の兜さんだっただけだにぃ……。

千狐
たまたま、って……。

千狐
前にも兜と大砲を間違えてたじゃないのー!

やくも
うちはわざとやったんじゃないだにぃー!
許してほしいがやぁ。

ゼーランディア城
まぁまぁ、ケンカはそこまでにしときなさいって。

ゼーランディア城
今は仲間同士で争ってる場合じゃないでしょ?

やくも
そげなこと言うても……
城砦を奪われた時に一番怒ってたのは
ゼーランディア城だったがや……。

やくも
あの時は殺されるかと思うくらい怖かっただにぃ……。

千狐
千狐も……、
あの時のゼーランディア城さんは
とっても怖かったです……。

ゼーランディア城
あ、あれはその……砦を奪われたショックで、
こう、カァってなっちゃったんだもん……。

オレンジ城
許してやってくれ千狐、やくも。
それだけ我らにとって
あの城砦は大事なものということだ……。

オレンジ城
そして今、ようやくここまで
砦に近づくことができているのだ。
我らの城砦を取り返す好機は今しかないぞ!

ゼーランディア城
待ってオレンジ城! 
あそこ……よく見て。
何か砦が不穏な動きを始めているわ……!

オレンジ城
……っ!? 
まずい! 全員頭を下げるのだ、急げ!

大砲型兜
――敵ヲ発見セリ!
放テッ放テッ放テッ!
爆砕ッ粉砕ッ撃墜ィィッ!!

やくも
ひぇぇぇっ! 
いつの間にか兜さんに見つかってるだにぃ!

千狐
な、なんて数の大砲型兜なの……!?

ゼーランディア城
私たちを一歩たりとも
城砦に近づけさせないってことね……!

ゼーランディア城
くっそぉ……城砦に忍び込んでの奪還は
これで不可能になったというわけか……。

オレンジ城
だがここで逃げるわけにもいかないな……。
こうなったら腹をくくるしかないぞ、総督!

千狐
いきましょう、殿!
何としてもオレンジ城さんたちの城砦を取り返しましょう!

後半
千狐

やりましたね、殿!
大砲型兜を全て倒すことができましたわ!

ゼーランディア城
よーっし、もう私たちを止めるものは何もないわ!
みんなでこのまま砦を奪還するわよー!

やくも
おおーっ!
うちが一番乗りするだにー!

オレンジ城
待つのだ!
勝利に酔いしれて忘れきっているようだが、
まだ大型兜が控えているのだぞ!

やくも
そ、そうやったね……。
勝ったことが嬉しくてすっかり忘れてただに。

ゼーランディア城
やくもちゃんに同じく……。
私としたことが、とんだ失態だわ。

オレンジ城
喜ぶのは無理もない。
それだけ激しい戦いだったからな。

オレンジ城
かくいうアタシも今すぐに城砦に
突っ込みたいくらいなのだ。

オレンジ城
だが、あの巨大兜は一筋縄ではいかない相手だ。
ここで今一度しっかりと
武具や陣形を整えた方がいいだろう。

千狐
オレンジ城さんの言うとおりですね。
殿、城砦奪還は目前です!
ここできちんと準備してから次の戦いに臨みましょう!

狙われし赤の要塞 -結-

機、熟せり……。
城砦奪還を阻止せんと現れた巨大兜を
今こそ全身全霊の力でもって討ち果たせ!

前半
千狐

殿、準備は整いましたね。
オレンジ城さんたちも既に――。

千狐
――って、あれ?
オレンジ城さんはどこですか?

やくも
千狐、あっちだに!
砦に向かって何か言おうとしてるみたいがや。

オレンジ城
巨大兜よ!
今すぐに姿を現せ!
貴様の真意を問いただしてくれるわ!

やくも
そんな呼びかけで巨大兜が砦から出てくるわけ……。

藤堂高虎
…………某ヲ呼ぶハ誰ぞ?

やくも
ええーーっ!?
どういうことがや!?
巨大兜が呼びかけに応じてるだに!

千狐
おかしなことじゃないのかもしれないわ……。
だってあの巨大兜は、オレンジ城さんたちの城砦に
引き寄せられて此の地にきたんだもの……。

やくも
ど、どういうことがや?

千狐
あの城砦に縁のあるオレンジ城さんと、
その城砦に魂を魅了された巨大兜だからこそ、
互いの心魂を共鳴させることができているのよ……!

やくも
なるほど……よくわからんだに!

ゼーランディア城
つまりオレンジ城とあのでっかい兜との会話が
成立しちゃいそうな感じってことでしょ?

千狐
か、簡単に言えばそういう事です……。

やくも
って、そんなこと言っちょる隙に、
オレンジ城と巨大兜がなんや色々話してるだに!

オレンジ城
……ほう。貴様は名を藤堂高虎というのか。
日の本屈指の築城の妙手と自負する者がなぜ我らの城砦に目をつけた?
他にも城はごまんと在るだろうに。

藤堂高虎
……某ハ、至極ノ城ヲ建テンと望ム者……。
我が主ヘノ忠義ヲ、コノ世に永劫刻まンと欲シ……、
此の赤キ城砦の輝キコソ、我ガ望に足ル器と目スルに至レリ……!

オレンジ城
貴様の御眼鏡に適ったのは喜ぶべきことかもしれぬ……。
だが生憎、我らの城は貴様の夢の懸け橋ではないのだ。

オレンジ城
然らば、疾く去ね!
今ならば貴様の粗相を看過してやるぞ?

藤堂高虎
笑止ィィィィィ――――ッ!!
某ノ忠義ヲ妨げル者ハ全テ排除スルッ!
某ガ排除スル! 某が、ガガ……某ガァぁッ排除スルゥゥゥッ!!

オレンジ城
言葉は通じれど理解には届かぬか……。
総督、すまない……我が城を不浄の躯と魂で汚した
あの不作法な巨大兜を、どうか退けてほしい。

ゼーランディア城
総督、私からもお願いするよ。
あなたのその力を……私たちの為に奮ってほしい。

千狐
殿……オレンジ城さんたちの為にも、
今ここで巨大兜を倒し、城砦を取り戻しましょう!

後半
ゼーランディア城

やったわーっ!
総督が巨大兜を倒したわよーっ!

やくも
さっすが殿さんやね!
これで城砦を取り戻すことができるだにぃー!

千狐
皆さん、まだ気を抜いては駄目ですわ!
無力化したとは言え、
巨大兜にはまだ意識があるようです!

藤堂高虎
――ガッ、ガガ……某ガ……敗レル……?
某ノ夢ガ……忠義ガ……潰エる……?

藤堂高虎
……成ラヌ……。
某ノ……夢……未だ……
見果てタトハ……言エヌ……。

ゼーランディア城
ちょっと、どこいくのよ!
そう簡単に逃がすと思ってるの!!

オレンジ城
待て、ゼーランディア城!
総督たちも疲弊しきっている……。
無闇な追撃は後陣の思う壺だ。自制しろ!

ゼーランディア城
でも……このまま逃したらまた襲ってくるかも……。

オレンジ城
心配するな、ゼーランディア城!
もう二度と我らの城砦を奪わせたりはしない!

オレンジ城
まだ完全ではないとはいえ、
取り返せた赤煉瓦と共に我らの力も戻ってきているのだ。
兜たちにだってもう遅れはとらんぞ!

ゼーランディア城
そっか……気づけばけっこうな数の
赤煉瓦を取り返してたのね……。

ゼーランディア城
うん! わかったわ、オレンジ城!
もっともっと砦の守りを強固にして、
兜が二度と近づく気にならないくらいにしてやるわ!

やくも
乗りかかった船だに!
うちもまだまだ協力するがやー!

千狐
コンッ!
千狐もいっぱいいっぱい協力するのー!

ゼーランディア城
……コン?

オレンジ城
……のー?

千狐
えっ、あ、あの、えっと……あはは。
その……千狐も微力ながら
助勢させて頂きますということですわ……。

千狐
それに、千狐たちは
まだまだ此の地のことをよく知りません。

千狐
せっかく海を越えて来たのです。
殿、城砦の修繕や防備が盤石なものとなった暁には、
この地を散策してみませんか?

ゼーランディア城
お、いいわねぇ!
助けてくれたお礼にいろいろ案内してあげるわよー!

やくも
なぁなぁ、もしかして美味しいものが
えっぱい食べられる場所とか知っとるがや?

ゼーランディア城
もっちろんよ!
やくもちゃん、食べ物に関しては
ほんっとぉーに期待してていいわよ~♪

やくも
わ~いだにぃ!
なら煉瓦集めも城砦の修繕も
今まで以上に頑張るがやー!

オレンジ城
……そうだな。
兜たちの脅威が無くなった際は、
是非とも我らの地を紹介させてくれ、総督。

殿
…………。

殿
…………!

千狐
良かったですね、殿。

千狐
海を越えて出会えた城娘たちの縁を、
これからも大切にしていきたいですね!

ゼーランディア城
よ~しっ、それじゃあ私たちの城砦へと戻りましょう!

ゼーランディア城
ほら、総督もぼやっとしてないで一緒に来て!
『私たち』には総督たちも含まれてるんだからね?

オレンジ城
総督、此度の戦。
誠にご苦労であった。

オレンジ城
その武勇に心からの敬意と感謝を表しよう!

ゼーランディア城
本当にありがとね、そ・う・と・く♪



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[裏]真田丸

裏]真田丸(チャリン……チャリン……チャリン……)……貴殿か。今日は、話をしたい気分じゃない。足を運んでくれたのに、すまない。一文……二文……三文……四文……五文……六文……銭を数えていなければ、一瞬...

[裏]淀城

]淀城あ~……。あ゛ぁ~……きもちわる。夢見は悪いし、頭はズキズキ痛むし……。ほんっとに最悪な日よ、今日は。誰でも良いから……。どつき回して、ぐちゃぐちゃにしたい気分。…………。……で、なに?そこに突...

[裏]桜尾城

]桜尾城殿……どうかしましたか?……ふふ、今回は間違えませんでしたよ。あなたの安らぐ顔もまた、私の喜びなのですから。私は今……海を見ていました。このどこまでも凪ゆく、厳島の海を……。厳島周辺は神域とい...

[裏]川越城

]川越城お客様かしら……どうぞ。貴方は、確か……ちょっと待ってね……。うん……たぶん、『殿』よね……?やっぱり……人違いでなくて、良かったわ。ふふ。今丁度、過去の私が遺した日記を読み返していたのよ……...

[裏]小田原城

]小田原城…………。……あら、殿。ようこそいらっしゃいました。ああ……いえ、ご心配なく。少し考え事をしていただけですから。今、ちょうど……。昔の出来事に思いを馳せていました。今の私を形作る、原点とも呼...

[裏]小牧山城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 所持特技1.4 [改壱]所持特技1.5 計略1.6 [改壱]計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3...

[裏]室町第

裏]室町第殿……ふふふ。どうせまた来るって、そんな気はしていたわ。私がどんなに忠告をしても、貴方は自分の信念を曲げない。本当に……つくづく、強い人ね、殿は。私のせいで、どれほど悪いことが起こっても殿は...

[裏]大宰府

]大宰府おお、殿か。よく来てくれたな。今な、手紙を整理しておったのじゃ。最近は毎日、誰かしらから届くのでな……。この手紙は……、『大宰府ちゃん親衛隊』を自称する者たちからじゃな。大野城、鞠智城、基肄城...

[裏]坂本城

]坂本城大殿様……また来たのね。ふふ……別に、追い返したりしないわよ。というより……私も今ね、大殿様と話せたら、って考えてたところだったの。だから……少しの間、私の話し相手になってくれるかしら?……ふ...

[裏]佐和山城

]佐和山城……また来たのね、あなた。足を運んでくれたところ悪いけど、面白いものは何も見れないわよ?相変わらず、大坂城様のらいぶに向けて、準備をしているだけだもの。……ん、なに?『なぜ、そこまで大坂城様...

[裏]伊勢長島城

]伊勢長島城も~、なんなのあいつら!信じらんない!寄ってたかってライブの邪魔をして!いったいどこから情報が漏れたの?もしかして、殿じゃないでしょうね……!?……そんなわけないか。あたしは、あんたにな~...

[花嫁衣装]鹿児島城

目次1 性能1.1 特技1.2 計略1.3 [改壱]計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< ロケト城 - [花嫁衣装]シャンティイ城 >[花嫁衣...

[花嫁衣装]鮫ヶ尾城

]鮫ヶ尾城はあ……春日山城サマの祝言、想像するだけでドキドキしてしまうっす!ね、ちびサマ~♪……ん?どうしたっすか、トノ?えっ、『主城のことより自分はどうなのか』っすか……?うぐ……これは痛いことを言...

[花嫁衣装]許昌城

]許昌城うーん……。ううーん……。……おや、殿か?すまない、考え事をしていて来訪に気づいていなかった。この間、殿と話してから、結婚に関して城娘達と話をしたのだ。繁栄という目的へ至る手段としての婚姻……...

[花嫁衣装]萩城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< [花嫁衣装]チャンドラ・マハル - [花嫁衣装]新田...

[花嫁衣装]秋田城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< 延岡城 - [花嫁衣装]ロンドン塔 >[花嫁衣装]秋...

[花嫁衣装]春日山城

]春日山城うーん……。……うーん? ……うん?……殿?すみません! お越しいただいていたのに、今の今まで気づかずにいて!実は先日、坂戸城と謙信公の昔話をしてたのですが、その際、跡継ぎの話題が出たのです...

[花嫁衣装]新田金山城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< [花嫁衣装]萩城 - [花嫁衣装]アイリーン・ドナン...