ストーリーテキスト/海より来たりし鬼の若子

ページ名:ストーリーテキスト/海より来たりし鬼の若子

目次

海より来たりし鬼の若子[]

海より来たりし鬼の若子 -序-

未確認の巨大兜が出現したとの報あり――。
その巨大兜が、鬼ノ城という名の城娘を狙っている
と知った殿は、仲間と共に鬼ヶ島へと出立する。

前半
――かつて、大きな戦があった。

そこには慣れ親しんだ痛みと悲しみしかなくて、

だからこそ我らは海を越え、この地に逃れた。

吉備という名の美しき自然に溢れた地――。

住民たちは皆、優しかった。

我らの身上を耳にし、同情し、住処を与えてくれた。

だから、恩を返そうと思った。

対価は――比類無き叡智。

彼らが、より良く生きられるように。

奪うことなく幸せに暮らせるように。

――でも、

そうはならなかった。

過分なる智の譲与は、民の間に格差を生み、

やがて、その溝に憎しみが流れ始め、

内外問わず、無尽蔵に争いの火種が加えられていった。

而して――、

我々は再び黒き戦の渦に堕ちていく。

争いを避けんとし、海を越えてきたというのに。

やっと、わかり合えたと思ったのに。

結局は、こうなってしまうのだ。

諦念は嘆きへと転じ、いつしか涙を孕むと、

後はもう、止め処なく心が零れ落ちていった。

そうして、全てが枯れ果てたと識る頃には――

「わたし」は、人々から鬼と呼ばれるようになっていた。

???
…………。

???
……ふぇ?

???
あ、いけないいけない……わたしったら、
いつの間にか眠ってしまっていたようですの。

???
…………。

???
……それよりも、

???
ここはいったい、何処なのでしょうか?

???
あの~、誰かいませんか~?

???
うらら~。

???
……。

???
うぅ、舞えども呼べども誰も見つからないですのぉ。

???
……って、あれ?

???
そういえば、わたし……。

???
……何という名前、でしたっけ?

――同時刻・某所。

???
全員、揃ッタようだな。

桃形兜
……ヘイ、御頭。

兜軍団
皆、準備ハバッチリデスゼ!

兜軍団
デ、今度ノ標的ハ……?

???
極上の得物サ……。

???
俺たちのモノにすることが出来レバ……、
他の軍団と大きく差をツケラレル程のな。

桃形兜
――ト、言イマスト?

???
城娘ヲ捕マエル。

???
ソレモ、古代ノ鬼神伝承ヲ備えし城娘ダ。

桃形兜
古代ノ――

兜軍団
――鬼神!?

兜軍団
何ダカ、トンデモナク
ヤバソウナ城娘ノヨウデスガ……?

???
ダカラコソ追い求める甲斐がアルってもんだ。

???
ソレニナ、噂にヨレバその城娘は――

???
妖怪である鬼タチに作用スルチカラを持ってるって話ダ。

兜軍団
オオ!? トイウコトハ、
ソノ城娘ヲ掌中ニオサメルコトガ出来レバ――

???
――あのクソ生意気ナ鬼たちヲ制御デキルッテ算段ダ。

???
分カッタラ、スグニ準備をシロ!

兜軍団
――応ッ!!

――数日後・所領。

鬼ヶ城
お~い、千狐ぉ!
昨日買ったっていう豆はどこにあるんだ!?

千狐
えっと、確かそのあたりに――

脇本城
――見てください、やくもさん!
鬼のお面、いい感じに出来上がりましたよ!

やくも
どれどれぇ……。

やくも
って、それ鬼じゃなくてなまはげになっちょるだに!

脇本城
あ……す、すみません!
つい、なまはげ愛が暴走してしまって……。

やくも
相変わらずやね、脇本城は……。

やくも
でも、申し訳ないけど急いで作り直してほしいだに。
じゃないと来週の催事に間に合わんがやぁ……。

殿
…………。

柳川城
そうですね、殿。所領内での豆まき大会まであと一週間。
準備も段々と忙しくなってくる頃かと思います。

鬼ヶ城
なぁ、柳川城~! 殿とちちくり合ってるとこ悪ぃが、
こっち来て節分用の豆を炒るの手伝ってくれないか?

柳川城
ち、ちちくり合ってなどいません!

柳川城
――って、あれ?
鬼ヶ城さん、その格好……。

鬼ヶ城
ん……?

殿
…………!

鬼ヶ城
ああ、これか? へへ、格好いいだろ?

鬼ヶ城
節分は俺様にとっちゃ大きな催事だからな!
こんな時くらいは洒落込んだっていいだろ?

???
うんうん。とっても似合ってるよぉ、鬼ヶ城ちゃん。

鬼ヶ城
おう! ありがとよ――

鬼ヶ城
――って、お前……。
昨日所領に来たばっかのくせにやけに馴染んでんな、岡豊城。

岡豊城
それほどでもないよぉ~。

鬼ヶ城
それにしても、まさか所領の豆まき大会の噂を聞きつけて
お前ほどの城娘が出向いてくるとは思いもしなかったぜ。

岡豊城
ん? 豆まき大会? 

岡豊城
私、そんな理由でココに来たんじゃないよ?

鬼ヶ城
え? 

岡豊城
うんとね、実は頼み事があって殿に会いに来たんだけど、

岡豊城
みんな、とっても忙しそうだったから、
話を切り出せずにいただけなの。

鬼ヶ城
ってことは、急用ってわけじゃないのか?

岡豊城
ううん。わりと急ぎの用事だと思うの。

岡豊城
だって、新しい巨大兜が出現したって話だから――。

殿
…………!?

鬼ヶ城
おま……馬鹿野郎! 
何だってそんな大事なこと黙ってたんだよ!

岡豊城
だって、みんなが豆まき大会――

鬼ヶ城
――それに関しちゃ謝るから!
だから早く、その巨大兜のことを教えてくれ!

岡豊城
えっとね、まだ本当かどうかはわからないけど、

岡豊城
どうやら私と縁のある武将の名を冠してる巨大兜みたいなの。

岡豊城
しかもね……その巨大兜は、
とある城娘の力を狙ってるって話らしくて……。

岡豊城
鬼ノ城って名前の城娘らしいんだけど、知ってる?

鬼ヶ城
――鬼ノ城だとぉ!?

柳川城
ご、ご存知なのですか?

鬼ヶ城
知ってるも何も……。
鬼ノ城は俺様の――

鬼ヶ城
――いや、そんなことはいい!
とにかくすぐに助けにいくぞ!

岡豊城
うわわっ!? 鬼ヶ城ちゃん、引っ張らないでぇ~!
服がのびちゃうよぉ~!

殿
…………!

千狐
そうですね! すぐに我々も準備をして、
岡豊城さんと共に現地へ向かいましょう!

――半刻後。

千狐
鬼ヶ城さんの記憶を媒として、
なんとか転移術は成功しましたが……。

柳川城
見たところ、どこかの島……のようですね。

鬼ヶ城
油断するなよ、柳川城。岡豊城の入手した情報によると、
この地には封印を解かれた鬼たちがわんさかいるって話だ。

岡豊城
島全体に不気味な霊気が満ちてる……。
鬼ノ城ちゃん、大丈夫かな?

やくも
それに関しちゃ心配はいらんと思うだに!

やくも
だって鬼ヶ城と同じ、鬼の名を持つ城娘さんやけん、
きっととんでもなく怖くて凶暴で強い城娘に決まっちょるがや!

岡豊城
えぇ……。
そうだとしたら、ちょっと会いたくないなぁ。

鬼ヶ城
おい、それどういう意味だよ!

千狐
まぁまぁ、そんなに怒らなくても……。

鬼ヶ城
ったく、暢気なこと言ってられる状況じゃねぇんだぞ。

鬼ヶ城
いいか、鬼ノ城にはトンデモねぇ力が――

椎形兜
――アア、ソウサ。
鬼ノ城ニハ……御頭ガ欲スル程ノ絶大ナチカラガアルノダ。

やくも
か、兜さんがや!?

千狐
そんな……いつの間に我々の背後に!?

椎形兜
何処デ鬼ノ城ノコトヲ嗅ギツケタノカハ知ラヌガ、
邪魔立テスルノナラバ、貴様ラ全員ヲ排除スル。

椎形兜
ソシテ、御頭ノ野望ガ為、
必ズヤ鬼ノ城ヲ我等ガモノトシテクレヨウゾ!

鬼ヶ城
鬼ノ城をてめぇらのものにする……だとぉ?

鬼ヶ城
寝言はあの世でほざいてやがれ、クソ兜!!
二度とアホなこと言えねぇようにしてやらぁ――!

柳川城
あっ――ちょ、ちょっと鬼ヶ城さん!
あの数を相手に単身突っ込むなんて無謀すぎます!

岡豊城
駄目……ぜんぜん私たちの声が聞こえてないみたい。

柳川城
ならば、我々も鬼ヶ城さんに続きましょう!
殿、出陣の準備をお願いします!

後半
鬼ヶ城

おらぁっ!お前で最後だぜ!

椎形兜
グァァァァァァ――ッ!!

岡豊城
すごい……噂には聞いてたけど、
鬼ヶ城ちゃんってあんなに強いんだ。

柳川城
それに、今日はいつも以上に鬼気迫るものを感じます……。

やくも
それだけ鬼ヶ城にとって
鬼ノ城っていう城娘さんは大事な存在ってことやね。

鬼ヶ城
おい、無駄話してねぇでさっさと行こうぜ!
雑魚共のせいで時間を無駄にしちまったからな。

千狐
は、はい……!

千狐
――って、あら?

岡豊城
どうしたの、千狐ちゃん?

千狐
この霊気……。

千狐
間違いありません! 城娘のものですわ!

岡豊城
ということは――

鬼ヶ城
――鬼ノ城、なのか!?

???
………………。

鬼ヶ城
あ、あぁ…………!

鬼ヶ城
鬼ノ城! やっぱり鬼ノ城だ!

鬼ヶ城
よかった、無事だったんだな!
ったく、心配させやがってこの――

鬼ノ城
――あの、貴方様は……誰なのでしょうか?

海より来たりし鬼の若子 -破-

兜たちとの戦を経て、ようやく鬼ノ城を
見つけ出すことに成功した殿一行だったが、
その背後には、恐ろしい鬼の姿があった――。

前半
鬼ノ城

――あの、貴方様は……誰なのでしょうか?

鬼ヶ城
……え?

鬼ヶ城
じょ、冗談はやめろよ鬼ノ城!

鬼ヶ城
俺だ! 鬼ヶ城だよ!
もしかして、忘れちまったってのか!?

???
残念ダッタナ……。
ソノ城娘ハ、記憶ヲ失ッチマッテルンダド。

鬼ヶ城
だ、誰だ――!?

鬼軍団
…………。

岡豊城
鬼……!?
それもあんなに沢山……。

岡豊城
そうだよね。ここは鬼たちで溢れかえってる島。
騒ぎを聞きつけて姿を現すのは不思議なことじゃない。

岡豊城
けど、どうして?

岡豊城
どうして、あの鬼たちは、
鬼ノ城ちゃんを守るように取り囲んでいるの?

鬼ヶ城
まさか……。

鬼ヶ城
お前たちも鬼ノ城の力を狙ってるってのか!?


狙ウ……?
可笑シナ事ヲ言ウナ。

鬼軍団
鬼ノ城ハ、鬼神様ガ造リシ城ダド……。

鬼軍団
ツマリ、オデ達ノ為ニコソ存在スル城娘ナノダ。

千狐
鬼神が建てた城ですって……!?

やくも
ほ、本当なんかや、鬼ヶ城!?

鬼ヶ城
真偽は定かじゃねぇが……。
鬼ノ城にそうした伝承があるってのは間違いない。

鬼ヶ城
だからこそ、危険なんだ。

鬼ヶ城
鬼ノ城の備える力が、鬼たちに強い影響を与えちまうからな……。

岡豊城
つまり、鬼たちを強化する存在にもなり得るって……こと?


オマエノ言ウ通リダド。
コノ城娘ハ……オデ達ノチカラヲ限界以上ニ引キ上ゲテクレル。

鬼軍団
ダカラコソ……オマエラ城娘ナンカニハ渡シハシナイ。

鬼軍団
ソシテ、兜タチニモナ……!!

桃形兜
――痛ッ! イタタ……ラ、乱暴ナコトハ止メテヨォ!


黙レ……オデ達ノ鬼ノ城ヲ掠オウトシタ盗人ナンダド。
殺サレナイダケ、有難イト思エ。

鬼軍団
イイカ? 鬼ノ城ヲ奪ワレナイヨウニ、協力スルンダ。

鬼軍団
分カッタラ、サッサト鬼ノ城ヲ後ロニ下ガラセルド!

桃形兜
ハ、ハヒィッ!

鬼ノ城
あのぉ……ずっと疑問だったのですが、
鬼さんたちは、わたしをどうするつもりですの?


オマエハ城娘……本当ナラバ喰ッチマイタイトコロダガ、

鬼軍団
オマエガ傍ニイルコトデ、オデ達ハイツモヨリ元気ニナレル……。

鬼軍団
ダカラオマエハ、コレカラ死ヌマデ
オデ達トズ~ット一緒ニ暮ラスンダド。

鬼ノ城
…………死ぬまで一緒に?

鬼ノ城
それって、結婚するってことですの……?


ハ? ケッコン? 

鬼軍団
ナンダ、ソレハ?

桃形兜
ア、ボク知ッテルヨ!

桃形兜
確カネ、結婚シタラ、
毎朝、味噌汁ヲ作ッテアゲナキャイケナインダヨ!


味噌汁?

鬼軍団
オデ達ガ、鬼ノ城ノ為ニ
毎朝早起キシナキャイケナイノカ?

鬼軍団
マァ、チカラヲ与エテクレルノダカラ、
ソレクライハ仕方ナイカ……。

鬼ノ城
…………?

鬼軍団
ヨシ、ケッコンダ!
鬼ノ城トケッコンダ!

鬼ヶ城
――ば、バカ言ってんじゃねぇぞ!
城娘と鬼が結婚とか……有り得るわけねぇだろ!

柳川城
お、鬼ヶ城さん! 真面目に取り合っては駄目です!

柳川城
それよりも今は、鬼ノ城さんを助けにいかなくては!

鬼ヶ城
言われなくたって……!

岡豊城
でも、さっきみたいに一人で突っ走っちゃだめだよぉ?

岡豊城
今度は私と一緒。い~ね?

鬼ヶ城
岡豊城……。

鬼ヶ城
お前みたいなのほほんとした城娘が、ほんとに戦えるのか?

岡豊城
むぅ……。

岡豊城
こう見えてもやるときはやるんだからねぇ!

岡豊城
岡豊城――変身っ!

殿
――っ!?

岡豊城
よぉし、準備かんりょーだよ!

岡豊城
殿、鬼ヶ城ちゃん、みんな。
一緒に鬼ノ城ちゃんを助けにいくよぉ!

後半

――グ、ヌヌ……ソンナ……。
鬼ノ城ノオカゲデ、オデ達ハ強クナッタハズナノニ……。

鬼軍団
ドウシテ、城娘ナンゾニ、負ケテルンダ……?

鬼軍団
グヌヌ……鬼ノ城ガ……鬼神様ノ城ガ……奪ワレチマッタド!

鬼ノ城
えっと……あの、ありがとうございます……鬼ヶ城、さん?

鬼ヶ城
ああ、そうだ。俺が鬼ヶ城だ。

鬼ヶ城
けど、そんな余所余所しい呼び方は止めてくれ。
さん付けするくらいなら呼び捨ててくれた方がマシだ。

鬼ノ城
じゃあ……。

鬼ノ城
鬼ヶ城……ちゃん?

鬼ヶ城
おう! それでいいぜ!

鬼ノ城
鬼ヶ城ちゃん……鬼ヶ城ちゃん……。

鬼ノ城
あの……ひとつ、質問なのですが。
貴方様は、わたしの味方……ですの?

鬼ヶ城
というよりは、ダチ……みたいなもんかな?

鬼ノ城
ダチ……?

鬼ノ城
よくわかりませんが、でも……。

鬼ノ城
鬼ヶ城ちゃんの傍は、何だかとっても落ち着きますの。

殿
…………。

殿
…………!

岡豊城
うんうん。二人とも嬉しそうで、本当によかったよぉ。

岡豊城
それじゃあ、そろそろここから脱出しようか、殿。

柳川城
そうですね。この島にはまだまだ大量の鬼たちが潜んでいるようですし、
鬼ノ城さんを救出できたのですから、一刻も早く所領へと戻りましょう。

千狐
では、転移術の準備をしますわ!
皆さん、千狐の傍に来てくだ――

???
――そう、上手く行くカナ神娘よ……。

鬼ヶ城
むっ……な、何だ、今の声は?

やくも
み、見るがや殿さん!
海の方から、何かが来るだにぃ!!

柳川城
あれは……きょ、巨大兜!?

岡豊城
…………そうか。

岡豊城
この霊気、やっぱり……あなただったのね。

???
ホウ……岡豊城も一緒とは面白い。
コレも抗い難き運命……ってヤツか。

海より来たりし鬼の若子 -急-

鬼ノ城を救出したのも束の間、
殿一行の前に新たな巨大兜が姿を現す。
その名は――長宗我部元親。

前半
???

ホウ……岡豊城も一緒とは面白い。
コレも抗い難き運命……ってヤツか。

岡豊城
やっぱり、元親ちゃんだったんだね。

鬼ノ城
元親ちゃん……?

鬼ヶ城
ってことは、もしかして――。

岡豊城
うん……。
長宗我部元親。私のかつての城主の名前。

岡豊城
けど、あれは本物なんかじゃない。元親ちゃんの魂に
似せただけの擬物……それを悪用してるだけだもん。

長宗我部元親
ヤレヤレ、悪用とは人聞きノ悪イ……。
こちとら何も好きで此ノ魂ヲ宛ガワレタ訳じゃナイってのにな。

長宗我部元親
……ダガ、此ノ魂は悪くネェ。

長宗我部元親
イヤ、俺にトッチャ最高と言ってもイイ。

長宗我部元親
何せコイツは、ただひたすらに強さを求めテヤガル……。

長宗我部元親
オカゲデ俺は迷わずニ最強を目指すコトが出来る。

長宗我部元親
その最初の足掛カリ……それが鬼ノ城、オマエだ。

鬼ノ城
…………えっ!?

鬼ヶ城
ふざけんなっ! だいたい何でお前らが鬼ノ城を狙う!?
鬼でもねぇ兜たちにとっちゃ、コイツの力は無用の長物だろうが!

長宗我部元親
アア。貴様ノ言う通り、
鬼ノ城は俺ら兜には直接的に力を与えはしネェ。

長宗我部元親
だが、鬼ノ城が鬼たちへ与エル
力の流れと様相を俺ガ変化させれば話は別ダ。

鬼ヶ城
流れ? 様相?
……お前、何を言ってやがる?

長宗我部元親
分カラねぇか……?

長宗我部元親
俺ラ兜の邪気を応用させれば、鬼ノ城を媒介トシテ、
鬼タチの行動を制御するコトも可能ダって言っテルのさ。

千狐
鬼たちの行動を制御する……ですって!?

鬼ヶ城
で、デタラメ言ってんじゃねぇ!
そんなことが兜にできるわけ――。

岡豊城
ううん、あの巨大兜が言ってること、たぶん嘘じゃないと思う。

鬼ヶ城
な、何でそんなことがわかるんだよ……!?

岡豊城
元親ちゃんはね、かつてその勇猛さから『鬼若子』と呼ばれてた……。

岡豊城
これまでの兜との戦でわかったことだけどね、ヤツらが悪用している魂に
付随する異名や風聞は奇妙な力へと変化する可能性があるの……。

岡豊城
名は力にして呪いにも成り得る――。

岡豊城
だからこそ、元親ちゃんの名を冠するアイツは、
鬼との繋がりが他の兜よりも深いの……。

柳川城
つまり、あの巨大兜であれば、鬼ノ城さんの力を使って
妖怪である鬼たちへ影響を与えることもできる……と?

岡豊城
うん。じゃないと、兜たちが
こんな危険な場所にまで出てくるわけがないもん。

長宗我部元親
流石ハ、コノ魂ト縁深き城娘だ……。
論理ヨリも先んずる実感によって状況ヲ把握シタようだな。

長宗我部元親
ソウサ……俺はコノ魂ニ宿る力と縁に因りて鬼ノ城の力を行使する。

長宗我部元親
ソシテ俺は他の巨大兜トハ一線を画し、
妖怪デアル鬼を従え、兜の頂点に立ツのさ。

鬼ヶ城
何が兜の頂点に立つ、だ……。

鬼ヶ城
てめぇ自身の非力を賄うために他人を巻き込んでんじゃねぇぞ!

岡豊城
……鬼ヶ城ちゃんの言う通りだよ。
私の知ってる元親ちゃんは、そんな格好悪いことしなかった。

岡豊城
行こう、鬼ヶ城ちゃん……。
鬼ノ城ちゃんのためにも、ここで巨大兜を倒さなきゃ!

鬼ヶ城
しゃぁぁあっ!! 行くぜ、殿! 岡豊城!
あのクソバカ兜を盛大にぶっ飛ばしてやろうぜっ!

後半
長宗我部元親

クッ……なるほど、ナ……。
他の巨大兜ドモが手こずるわけだ。

長宗我部元親
ダガ、予想以上というには程遠イ。

長宗我部元親
この程度ナラば……。
討ち取るコトは造作モねぇ。

長宗我部元親
総員、予定通り一時撤退ダ。
……大丈夫、奴らはこっから逃ゲラレやしねぇんだカラな。

兜軍団
承知デスゼ、御頭ァッ!!

柳川城
…………どういうことでしょうか?
兜たち、やけにあっさりと退いていったような気がするのですが……。

岡豊城
確かに、柳川城ちゃんの言う通りだね。
……何かの策、なのかなぁ?

鬼ノ城
だとすれば、まだ戦いは終わっていないのでしょうか?

鬼ヶ城
考えすぎだっての。状況は見たとおり。
俺様たちの力が圧倒的に兜よりも強かったってだけだろ?

岡豊城
うーん……。
そう、なのかなぁ?

鬼ヶ城
ま、何にせよ兜たちは退いていったことに変わりはねぇ!
今のうちに鬼ノ城を連れて所領に帰るとしようぜ!

鬼ヶ城
ってことで千狐! 転移術を頼む!
所領の綺麗な空気を吸えば、鬼ノ城の記憶もすぐに戻るだろうさ!

千狐
わかりました! 
それでは早速――

千狐
――コンッ! 時空、転移術なのーっ!!

千狐
…………。

千狐
……って、あ、あれ?

鬼ヶ城
おい何やってるんだよ、千狐!
今はふざけてる場合じゃねぇぞ!

千狐
ち、違います……千狐はふざけてなど……。

やくも
大丈夫がや、千狐?
どこか調子が悪いなら、ちゃんと殿さんに言わんと駄目だに。

殿
…………?

千狐
い、いえ……。
ご心配には及びませんわ。

千狐
では、気を取り直してもう一度……。

千狐
コン! 時空転移術なのー!

千狐
…………。

千狐
…………。

千狐
…………なのーっ!!

千狐
…………。

千狐
…………。

千狐
…………。

千狐
ど、どうしよう……。
時空転移術が、機能しないのぉ……。

鬼ヶ城
何だって――!?

柳川城
いったい、なにが起きているのでしょうか?

岡豊城
おそらく、元親ちゃんの仕業だと思う。

岡豊城
いつの間にか、この島全体に兜特有の瘴気が覆ってる……。
それが原因で、千狐ちゃんの力が上手く機能しないんだよ。

鬼ヶ城
んなバカなっ!?
あの巨大兜に島全体をどうにかできる力があるなんて信じられねぇぞ!

岡豊城
ううん。あの巨大兜と、この島だからこそだよ、鬼ヶ城ちゃん。

鬼ヶ城
……え?

岡豊城
ここに来て、そう多くの時間は経ってないけど、
この島には鬼たちを引き付ける何かがあるのはわかる……。

岡豊城
そうじゃなければ、あんなにも沢山の鬼たちが
理由もなくこんな島に集まったりなんかしないもん。

柳川城
だからこそ、鬼若子と称された長宗我部元親の名のもとに、
あの巨大兜はこの島において強力な力を行使することができると……?

岡豊城
うん……。

鬼ヶ城
んだよ……ここでも鬼の名がどうこうってやつが邪魔してくんのかよ。

鬼ヶ城
なぁ。だったら俺様や鬼ノ城にも何かできたりしねぇのか?

岡豊城
理屈から言えば、この島に二人が影響を与えることはできそうだけど、

岡豊城
今の鬼ノ城ちゃんは不安定な状態にあるから、ちょっと難しいと思う。

岡豊城
それに、鬼ヶ城ちゃんはそもそも
霊気を操ってどうこうってことは不得意そうだからぁ……。

鬼ヶ城
う、うっせぇな!
そういうこまけぇことは嫌いなんだ、仕方ねぇだろ!

鬼ノ城
ごめんなさい……。
わたしの記憶がちゃんとあれば、状況を打破できたかもしれませんのに。

鬼ヶ城
……気にすんな、鬼ノ城。
お前はゆっくりと自分を取り戻していけばいいんだ。

鬼ノ城
鬼ヶ城ちゃん……。

鬼ノ城
ありがとうございます。

殿
…………。

千狐
そうですね。
この島からの脱出が現状では不可能ということであれば、
やるべきことは一つですわ。

柳川城
再来が予想される
長宗我部元親の名を冠する巨大兜との戦に向けての準備……ですね。

鬼ヶ城
仕方ねぇ。そういうことなら、
俺は食料の確保にあたるわ。

岡豊城
鬼ヶ城ちゃん、あまり遠くへ行っちゃダメだよ?
このあたり、鬼たちがいっぱい潜んでるみたいだから。

鬼ヶ城
わかってるっての。
んじゃ、ちょっくら行ってくるぜ。

鬼ヶ城
鬼ノ城は、殿たちと大人しくしてろよな?
すぐに美味いもん見つけてくっからよ!

鬼ノ城
はい。大人しく待ってますの。

鬼ノ城
ですから、鬼ヶ城ちゃんも……気をつけてくださいね?

鬼ヶ城
おうよ!

殿
…………。

鬼ヶ城
殿、今のうちにあんたも身体を休めておけ。

鬼ヶ城
さっきの巨大兜は相当な切れ者だ。
……きっと、こっから長い戦になるぞ。

殿
…………。

柳川城
それでは、殿。暫しの休憩を取った後、
兜たちとの再戦に備えて行動することにしましょう。

海より来たりし鬼の若子-絶壱-

殿一行との戦から数日後――。
待機を命じられた兜たちは、暇つぶしのために
人間たちのとある文化を真似し始めるのだが……。

前半
殿一行との戦から数日後・兜軍陣所――。

古桃形兜
アァ~。暇ダナァ。

桃形兜
ダネェ。

古桃形兜
御頭ノ計画通リ、
殿一行ハ此ノ島カラ出ラレナイラシイカラ、

古桃形兜
――今ハトニカク待機ダ!

古桃形兜
ッテ、言ワレテモ……。
此ノ島、鬼ガ沢山イテ怖インダヨナァ。

桃形兜
ウンウン。当然ノ様ニ、
ボク達ノコトヲ喰オウトスルシネ。

椎形兜
シカモ、俺ラノコト下ニ見テルシ。

古桃形兜
ハァ~ア。
何カ一泡吹カセラレル方法ハナイカナァ?

椎形兜
ソノ事ナンダケドサ。実ハ俺、鬼ヲ
ギャフント言ワセル打ッテツケノ方法ヲ見ツケタンダ!

桃形兜
エッ!? 本当ニッ!?

椎形兜
アア! ソノ証拠ニィ……。

椎形兜
ジャ~ン!

桃形兜
オオッ! コ、コレハッ!?

桃形兜
……ッテ、タダノ豆ジャン!
コンナノデ、ドウシロッテイウノサ?

椎形兜
バーカ、知ラナイノカ?

椎形兜
人間ノ文化ノ中ニハ『豆撒キ』ッテ行事ガアッテナ、
鬼ヲ追イ払ウ為ニ、大量ノ豆ヲ撒キマクルラシイゼ。

桃形兜
ソンナコトデ鬼ガ追イ払エルノ!?

椎形兜
ミタイダゼ!

古桃形兜
ウーン。今イチ信ジラレナイナァ。

椎形兜
何ダヨ、セッカク俺ガ教エテヤッテルノニ疑ウッテノカ?

古桃形兜
ダッテ、豆ダゾ? 

古桃形兜
ソレモ、コンナニ小ッチャイ、オ豆サンナンダゾ?

椎形兜
マァ、ソウダケドサァ……。

椎形兜
ッタク、コンナニ疑ワレルト分カッテレバ、今日ノ戦ノ時、
鬼ヶ城ニ向カッテ豆ヲ、ブツケテミレバヨカッタゼ……。

桃形兜
……エ? 鬼ヶ城ニ、豆?

椎形兜
ウン。ダッテ、アイツモ鬼ミタイナモンダロ?

古桃形兜
マァ、変身スルト角トカ出チャウモンナ。

古桃形兜
――ン? ッテコトハ、チョット待テヨ。

古桃形兜
モシカシタラ豆ガアレバ、
鬼ヶ城ヲ俺タチノ支配下ニオケルンジャナイノカ?

桃形兜
エエッ!? 鬼ヶ城ヲ、ボクラノ支配下ニッ!?

椎形兜
ッテコトハ……ド、ドンナコトデモ命令デキチャウノカ!?

古桃形兜
アア! キット、コンナ感ジニナルハズダゼ――。

鬼ヶ城
(※兜製幻想形・鬼ヶ城)

鬼ヶ城
お、おい……! ちょっと待ってくれよ!
そんな大量の豆をぶつけるとか、冗談だよな?

古桃形兜
冗談カドウカ、試シテミルカネ?

鬼ヶ城
わ、わかったってば! 
お前らが本気だってことはちゃんと理解したから……!

鬼ヶ城
だから、とにかく豆から手を離せって……な?
何でも言うこと聞くから、許してくれよぉ……。

椎形兜
ナラ、今コノ場デ変身シテミセロ!

鬼ヶ城
は? へ、変身? 何だってこんなところで……。

古桃形兜
ツベコベ言ウナ! 逆ラウトイウノナラ――。

鬼ヶ城
や、やるって! 変身するから豆を握んなって!

古桃形兜
フン……。

鬼ヶ城
ほ、ほら……。
変身してやったぞ。こ、これでいいだろ?

古桃形兜
言イ方。

鬼ヶ城
……え?

古桃形兜
口ノ利キ方ガナッテイナイト言ッテルンダ!

鬼ヶ城
くっ……こっちが下手に出てれば、
調子に乗りやがってぇ――!!

古桃形兜
ヘェ、ソンナ態度トルンダァ。(豆撒キ――ッ!)

鬼ヶ城
ひぃっ――いた、イタタタッ!?
わ、悪かったって……頼むから豆は、豆だけはやめてくれよぉ!

古桃形兜
ダッタラ俺タチト一緒ニ来イ!
憎ッタラシイ殿ヲ倒シニイクゾ!

鬼ヶ城
え!? ちょ、この恰好でかっ!?

鬼ヶ城
ま、待ってくれって! 俺様にも心の準備ってものが――。

後半
古桃形兜

…………ナァンテ感ジデ、鬼ヶ城ヲ扱キ使エタリシテナ!

桃形兜
オオーッ! スゴーイッ! 夢ガ広ガルネ!

椎形兜
ヨーシ、ソレジャア手始メニ
ソコラヘンノ鬼ヲ捕マエテ豆ヲブツケテヤローゼ!

古桃形兜
オッ! 言ッテルソバカラ、
チョウドイイトコロニ鬼ガ来タゾ!

桃形兜
オ~イッ! チョット其処ノ鬼サ~ンッ!


……アン? 何ダ、オマエ達ハ?

桃形兜
エ、エット……アノォ……。
(ヒェ~、ヤッパリ近クデ見ルト怖イヨォ……)


ドウシタ? サッキ、オデノコト呼ンダダロ?
何カ用デモアンノカ?

古桃形兜
ア、エット……。

椎形兜
……呼ンダヨウナ、呼バナカッタヨウナ。

桃形兜
アハハ……。


ハッキリシネェ奴ラダド……ッタク。
次、同ジコトシタラ喰ッチマウカラナ!

桃形兜
キ、気ヲ付ケマス!


フン………。

古桃形兜
…………。

古桃形兜
イ、行ッタカ?

椎形兜
……ミタイダナ。

桃形兜
ハァ……ビックリシタ。ヤッパリ実際目ノ前ニスルト
豆ナンカ、トテモジャナイケド投ゲラレナイヨ。

椎形兜
ソレニ、仮ニ豆ヲ投ゲラレタトシテモ、
効キ目ガ無カッタラ俺タチ一瞬デ殺サレチャウダロウシナ。

古桃形兜
仕方ネェ……。
今日ノトコロハ御頭ノ言イツケ通リ、大人シク待機シテヨウゼ。

烏帽子形兜
――オ、何ヤッテンダオマエラ?
何ダカ賑ヤカジャネーカ。

桃形兜
アッ! 烏帽子形ジャナイカ!
イヤァ、実ハネ――――。

烏帽子形兜
ナルホドナァ。豆撒キカァ。

烏帽子形兜
ッテ、アレハ厄払イノ一種ダロ?
実際ニ鬼ニブツケルモンジャネーミテーダゾ。

桃形兜
ソ、ソウナノ!?

烏帽子形兜
マァデモ、鬼役ガイタラ、
ソレハソレデ盛リ上ガルラシイケドナ。

烏帽子形兜
ッテコトデ、ドウダ?
殿一行タチトノ戦ヲ前ニ厄払イシトカネ?

桃形兜
トイウト?

烏帽子形兜
俺タチダケデ豆撒キシナイカッテコトダヨ!

古桃形兜
イイネ! 面白ソウジャン!

椎形兜
ジャア、鬼役ハ――

桃形兜
――エエッ!? ボクナノッ!?

烏帽子形兜
ンナ顔スルナッテ。
鬼役ハ交代デヤレバイインダカラヨ。

桃形兜
ソ、ソウイウコトナラ……。

桃形兜
グォォォ! ボクハ鬼ダゾォ! 
怖クテ強~イ鬼ナンダゾ~!

椎形兜
ワーッ! 出ヤガッタナ~!

烏帽子形兜
喰ラエーッ! 鬼ハ外ーッ!

椎形兜
鬼ハ外ー!!

烏帽子形兜
オリャ~! 福ハ内ィ~!

椎形兜
福ハ内ィ~!

桃形兜
アタッ、タタタ……チョ、チョットハ手加減シテヨォ~!

古桃形兜
ヘヘ、二人トモマダマダダナ!
俺様ガ本当ノ豆撒キッテモンヲ見セテヤルゼ!

古桃形兜
オリャ~~~~~ッ!! 鬼ハ外~~~~ッ!!

古桃形兜
ッテ、ヤバッ――!
勢イ余ッテ豆ガ変ナ所ニ飛ンデ行ッチマッタ!?


――痛ァッ!?

古桃形兜
…………ア。


オメェ……。


ヨッポド喰ワレテェミタイダナァ!!

古桃形兜
――――ギャァァァァアアアアッ!!

海より来たりし鬼の若子 -離-

兜と鬼たちによる包囲の中、再戦に備える殿一行。
徐々に減っていく兵糧と過酷な状況に疲弊する
仲間を前に、鬼ノ城はある決心をする……。

前半
多くの物語は、こんな詞で始まると聞いた。

――昔々あるところに。

そして、結ばれる詞は――

――めでたしめでたし。

けれど、そんな詞で終われるほど、

生命とは陳腐なものなのか?

長宗我部元親
――否。

長宗我部元親
少なくとも、ソレは強者の終生にアラズ……。

長宗我部元親
大体なんダ? めでたしめでたしッテ。

長宗我部元親
曰ク――誉メ讃エルに値スル。立派でアル。見事でアル。結構でアル。素晴ラシイ。

長宗我部元親
どれも俺ノ詞デハナイ。

長宗我部元親
コンナもんは他所ガ語ッタ認識ダ。

長宗我部元親
畢竟――物語ってノハ俺のモノじゃない。

長宗我部元親
語られるソレら全ては、誰かにトッテ都合の良いモノで。

長宗我部元親
だからこそ、ねじ曲げられ、ボロボロになった、

長宗我部元親
戯言でシカナイ――。


……御頭?

長宗我部元親
気にスルナ……。
此ノ器に宿る魂が放ッタ雑言にすぎねぇ。

長宗我部元親
ナァ……オマエ、「桃太郎」って話を知ってるか?


エエ、マァ。


人々ヲ苦シメル鬼ヲ、桃太郎ッテノガ退治スルッテヤツデスヨネ?

長宗我部元親
ああ、ソウダ……。

長宗我部元親
ソシテ、其れは鬼ノ城にトッテ切っても切れない物語。

長宗我部元親
――故に、ソレが業の一部となってヤツを苦しめる。

長宗我部元親
アイツのような弱者は、逃げられやしネェのさ。

長宗我部元親
人を苦シメタ鬼たちの住処――鬼神ノ城トシテの名からはな。

――数日後。

鬼ヶ城
くそ……ダメだ。
近くに兜や鬼たちが大勢いるせいで、迂闊に出られやしない。

柳川城
日に日に、鬼たちの姿も増えてますし、
兜らの監視も緩む気配が見えませんね……。

千狐
これじゃあ、食料を確保することも難しいですわ。

やくも
うぅぅ……お腹空いただにぃ。

岡豊城
やくもちゃん……すごくツラそう……。

岡豊城
――あ、そうだ!
ちょっと待ってね。

岡豊城
え~っと……。

岡豊城
あっ! あったあった!
ほら、見て。節分用の豆、持ってきてたの忘れてたよぉ。

やくも
おおっ!? さっすが岡豊城だにぃ!
これで少しはお腹の虫を黙らせることが――

やくも
――あ、でも。
うちはこれ、食べられないだに。

岡豊城
…………え?

やくも
これは鬼ノ城にあげてほしいがや。
うちはまだ我慢できーけん気にしないでほしいだに。

岡豊城
やくもちゃん……。

岡豊城
ふふ、えらいえらい♪
さすがは神娘のやくもちゃん。見直しちゃったぁ。

やくも
そげに大げさなことじゃないだに。
鬼ノ城はまだ記憶が戻ってないけん、気ぃつかうんは当然がや。

鬼ノ城
…………。

鬼ノ城
ごめんなさい、皆さん。

鬼ノ城
わたしのせいで、こんな思いをさせてしまって……。

鬼ヶ城
ばーか。んなこといちいち気にすんなっての。

鬼ヶ城
俺たちにとっちゃ、兜たちとの戦なんてのは日常茶飯事なんだ。
こんくらいで音を上げたりなんかしねぇよ。

殿
…………。

殿
…………!

鬼ノ城
……で、でも。

鬼ヶ城
鬼ノ城……。

鬼ヶ城
お前はまだ、自分自身を定められていねぇんだ。
だから、無理して気苦労を重ねることはない。

鬼ヶ城
ココには百戦錬磨の柳川城や岡豊城もいる……。
それに俺だってついてるんだ。何も心配することはねぇよ。

鬼ノ城
……鬼ヶ城ちゃん。

鬼ヶ城
(だが、いつまでもこの状況を続けてる訳にもいかない……)

鬼ヶ城
(眼前には鬼や兜らがいるが、本当の敵はその実、時間だ……)

鬼ヶ城
(兵糧が尽きるまで、あと幾許もない……)

鬼ヶ城
(……どうする?)

鬼ヶ城
(何か策を……此の状況を打開する策を探さないと……)

――夜。

鬼ノ城
わたし……どうしたら、いいのでしょうか。

鬼ノ城
皆さん、とても心優しい方ですの……。

鬼ノ城
なのに、わたしのような者のために、苦しい思いをしている。

鬼ノ城
……こんなの、おかしいですの。

???
――鬼メ。

鬼ノ城
……え?

???
――鬼……人々ヲ苦シメル鬼……。

鬼ノ城
ち、ちがう……わたしは、そんな……。

???
――悪鬼……醜キ怪異メ……。

鬼ノ城
どうして、斯様に禍々しき声が……私の中から、聞こえてくるの……?

???
――貴様サエイナケレバ……。

鬼ノ城
……うぅぅ。

???
――貴様サエイナケレバ……誰モ傷ツカズニ済ンダ……。

鬼ノ城
鬼ヶ城ちゃん……。

鬼ノ城
……怖い……怖いよ……。

???
――貴様サエイナケレバ……。

鬼ノ城
わたし……皆さんを、これ以上苦しめたくない……。

???
――贖エ。

鬼ノ城
…………。

???
――己ガ犠牲ヲ以テ、其ノ罪ヲ贖エ。

鬼ノ城
…………。

鬼ノ城
そう、だったのですね……。

鬼ノ城
わたしが、皆さんのためにできることが……ひとつだけ、ありますの。

――翌日。

鬼ヶ城
殿、大変だ!!

殿
…………!?

鬼ヶ城
鬼ノ城のヤツがいねぇんだ!

岡豊城
昨日、寝るまでは確かにいたはずなのに……。

鬼ヶ城
クソッ! いったいこんな時にどこほっつき歩いてやがるんだ……。

鬼ヶ城
殿、すぐに探しに行こうぜ!

???
――ソノ必要はない、城娘ヨ。

鬼ヶ城
なっ……お、お前は!?

長宗我部元親
……ククク。


――ザザッ!

兜軍団
ザザッ、ザザザッ!

鬼ヶ城
兜……。
ちくしょう、こんな時に攻めてきやがってぇ……!

千狐
いえ、兜だけではありませんわ!


…………。

鬼たち
…………。

鬼ノ城
…………。

鬼ヶ城
き、鬼ノ城……?
どうしてそんなところにいるんだよ……!?

鬼ノ城
ごめんなさい、鬼ヶ城ちゃん。

鬼ノ城
でも、こうするしかなかったのです……。

鬼ノ城
それに、この巨大兜は約束してくれました。

鬼ノ城
わたしが言うことを聞けば、皆さんを解放してくれると。

鬼ヶ城
な、何を言ってるんだ、鬼ノ城……。

鬼ヶ城
それじゃあお前のことは、誰が助けるんだよ……!?

鬼ノ城
もう、じゅうぶん助けていただきましたの。

鬼ノ城
だから……これで、よかったのです。

鬼ノ城
少しの間でしたが、一緒にいられて楽しかった……。
さよなら、鬼ヶ城ちゃん……。

鬼ヶ城
お、おい! 待て、鬼ノ城!
行くな! お前の居場所はソコじゃねぇ……。

鬼ヶ城
鬼ノ城――っ!!

鬼ノ城
…………。

長宗我部元親
別レノ挨拶はすんだカ?

鬼ノ城
はい……。

長宗我部元親
ソレジャア、行くとスルか……。

長宗我部元親
総員ニ告げる……。

長宗我部元親
一斉に敵陣へと攻め込み、殿一行を屠レ。

兜軍団
――御意ッ!

鬼ノ城
……えっ!?

鬼ノ城
ち、違う……約束が違いますの!
あなたたちの言うことを聞けば、鬼ヶ城ちゃんたちは解放してくれるって……。

長宗我部元親
アア、解放シテやるさ……。

長宗我部元親
奴ラノ感じている飢えや恐怖も、何もカモ……。

長宗我部元親
ソノ純然たる死を以て、俺が解き放ってヤルのさ。

鬼ノ城
…………そ、そんな。

長宗我部元親
案ズルナ。悲しむ暇ナンテ与えやしねぇよ……。

長宗我部元親
なんせ、貴様ノチカラを使ってヤツらを葬るんだからな。

鬼ノ城
――っ!?
ど、どうして……力が……勝手に……っ!?

長宗我部元親
抵抗しても無駄ダ……。
貴様ノ不安定な心は既に俺ガ掌握シテるんだからな。

長宗我部元親
名ハ呪い……。
貴様ノチカラも、存在も……等シク我ガ覇道成就ノ礎トシテ使ってやる。

鬼ノ城
外道……。

鬼ノ城
……あなたは、鬼ですの。

鬼ノ城
わたしや妖怪の鬼なんかとは違う……。

鬼ノ城
兜の身でありながら、あなたは悪鬼に堕ちたのですわ。

長宗我部元親
ソウサ……俺タチ兜は絶対的な悪と定めラレシ此世の怪異。

長宗我部元親
ナラバ強く……ひたすらに強くアラネば、生きテハイけぬ。

長宗我部元親
安心シロ。貴様は最後マデ俺と共に在る……。

長宗我部元親
此世の果てが訪れる其ノ日まで……共に修羅の道をユク……。

長宗我部元親
強者に従イ、使ワレ、タダ生カサレルことこそが……。
貴様ら弱者にとっての幸福ナノさ。

???
させねぇ……。

長宗我部元親
……ン?

鬼ヶ城
んなふざけた妄言、聞くんじゃねぇぞ、鬼ノ城!

鬼ヶ城
兜や鬼どもをぶっとばして、俺様がすぐに迎えにいく……。

長宗我部元親
フッ……ほざけ城娘。
置カレタ状況ヲ理解していないようだな。

長宗我部元親
俺の手中ニハ此の島すべての鬼と鬼ノ城の力がアルんだぜ?

鬼ヶ城
だからどうした?

鬼ヶ城
俺様が助けるって言ったら、ぜってぇー助けるんだよ!

長宗我部元親
ソノ目……ソノ威勢……。

長宗我部元親
面白イ。自分コソが絶対的ナ強者であると確信してヤガル。

長宗我部元親
イイぜ……まずは貴様カラだ鬼ヶ城!
鬼タチよ! 鬼ノ城の力と共にヤツを討ち果たせ!

後半
鬼ヶ城

ハァ……ハァ……く、そ……次から次へと湧いて来やがって。


……グガ、ガ……。

鬼たち
……城娘ヲ……打チ倒ス……。

鬼たち
…………覚悟、スルド…………。

鬼ヶ城
うるっせーっ! 俺は、こんな所で立ち止まってらんねぇーんだよぉ!!

長宗我部元親
力のみデ押シ通ルカ……クハハッ、ヤルじゃねぇか鬼ヶ城!

長宗我部元親
ダガ、貴様ニ鬼ノ城は渡さねぇ!

長宗我部元親
此奴ノ力を以て、俺は最強ノ座に着くんだからナァッ!!

柳川城
くっ……だめです、殿。
鬼の数が多すぎて、鬼ノ城さんのもとへ到達できません!

岡豊城
さすがに、ちょっとまずい、かも…………。


……グガ、ガ……。

鬼たち
……城娘ヲ……打チ倒ス……。

鬼たち
…………覚悟…………覚悟…………。

鬼ノ城
もう、やめて……。

鬼ノ城
お願い……誰も……傷つけたくなんかないの、に……。

鬼ヶ城
鬼ノ城――っ!!

鬼ノ城
……鬼ヶ城、ちゃん…………。

鬼ヶ城
逃げるな……。

鬼ヶ城
泣いて、俯いて、目蓋を閉ざしたって、
世界は何にも変わりゃあしねぇ…………。

鬼ヶ城
この状況を変えられるのはお前だけだ!
お前の力で、俺たちを……いや、お前自身を救うんだ!

鬼ノ城
……む、無理ですの……。

鬼ノ城
わたし、鬼さんたちに、力を……与えちゃう……。

鬼ノ城
こんな力で、皆さんを助けるなんて……できませんの。

鬼ヶ城
無理だなんて簡単に言うんじゃねーよっ!

鬼ノ城
…………っ!?

鬼ヶ城
力の使い道なんざてめぇで決めやがれ!
誰かに使われるなんざ阿呆でもできらぁ!

鬼ヶ城
桃太郎の伝承が何だ!

鬼ヶ城
悪い鬼たちが住んでいた城?

鬼ヶ城
そんな物語は、後からいくらでもこじつけられる。

鬼ヶ城
俺たちは、たしかに鬼の名を持つ城娘さ……。

鬼ヶ城
でもな……だからって生まれた時から
生き方を決められてるわけじゃねぇ!

鬼ヶ城
鬼の名は……俺たち自身の意味は、
俺たちで決めりゃあいいじゃねーかっ!!

鬼ノ城
そんなの……。

鬼ノ城
そんなの、綺麗事ですの……!

鬼ノ城
わたしたちは、どうしたって鬼の名からは逃れられない……。

鬼ヶ城
そうだよ! 綺麗事さ!
けど、だからこそ俺様は身を以て証明したいんだよ!

鬼ヶ城
誰だって、綺麗なもんが好きだ……。

鬼ヶ城
俺は、城娘としてこの美しい国を守るって決めた。

鬼ヶ城
殿の笑顔を守るって誓った。

鬼ヶ城
綺麗な自然も、ソコで生きる奴らも、みんなまとめて幸せにしてやる。

鬼ヶ城
それに……それにさ……。

鬼ヶ城
俺様に鬼の名を説いたのは、かつてのお前なんだぜ?

鬼ノ城
――っ!?

鬼ヶ城
今は忘れちまってるかもしれねぇが……。
それでもお前の言葉に俺は助けられた。

鬼ヶ城
だから、今度は俺が救う……。

鬼ヶ城
何度だって、この手をさしのべてやる!

鬼ノ城
……鬼ヶ城ちゃん。

鬼ノ城
あなたは……本当に、昔から……変わらないね。

柳川城
(あの口振り……!?)

岡豊城
(うん、間違いない……鬼ノ城ちゃんの霊気が、澄み渡ってる……)

千狐
(ええ。あれこそが、記憶を取り戻していっている証左ですわ!)

長宗我部元親
――なッ!?
鬼ノ城、貴様……何をシテいる!?

鬼ノ城
長宗我部元親の名を冠する巨大兜よ……。

鬼ノ城
今、わたしが何をすべきか……はっきりと理解しましたの。

鬼ノ城
わたしの名は鬼ノ城……。

鬼ノ城
此の名、此の力を以て、
鬼たちに更なる力を与えますの……はぁぁぁあ――っ!!

海より来たりし鬼の若子 -結-

ついに自身の在り方を自覚した鬼ノ城は、
取り戻した真の力を以て殿と共に巨大兜と対峙する。
雌雄を決するため、いざ凶悪な巨大兜を討伐せよ。

前半
鬼ノ城

此の名、此の力を以て、
鬼たちに更なる力を与えますの……はぁぁぁあ――っ!!


……ン、ガッ……!?

鬼たち
凄イド……チカラガ、溢レテクル……!

長宗我部元親
ドウイウコトダ……?

長宗我部元親
己が意思で鬼たちを強化スルトハ、
鬼ノ城……貴様、やはり人に徒なす城娘ダッタということか?

鬼ノ城
勘違い、してほしくないですの……。

鬼ノ城
わたしが与えた力……その向かう先は――。


……兜…………。

鬼たち
…………兜ヲ……。

鬼たち
………………打ッ倒スド……!

長宗我部元親
な、何ヲシテイルッ!?
貴様らの敵ハ――

鬼ノ城
無駄ですわ! わたしの権能によって、
鬼たちの力は全てあなたに向いてますの!

長宗我部元親
バカな……曖昧な状態でアル貴様に、
ソノような技ヲ行使スルことなどデキルわけ――

長宗我部元親
――ま、まさカ!? 鬼ノ城……。
貴様、記憶ヲ取り戻シタというのか!?

鬼ノ城
完全には未だほど遠いですが……。
あなたと対峙するには充分な叡智ですの!

長宗我部元親
其ノ顔……そして、其ノ澄み切った霊気……。

長宗我部元親
自ラノ意思ニよって、己が業を善ナル路へ転ジサセタって訳カ。

長宗我部元親
ヤルじゃねぇか、鬼ノ城……。
そんな生き方ハ強者にシカ出来ねぇ。

長宗我部元親
自己犠牲という名の思考停止で戦うコトを放棄した
嘗テノ貴様ハ、もう何処にもいねェ……。

長宗我部元親
認めてヤル……。アア、認めてヤルとも……。

長宗我部元親
鬼ノ城……貴様は今までアッタどの城娘よりも生命として美シイ。

鬼ノ城
黙りなさい……あなたに認められたとて、嬉しさなど微塵も感じませんの。

鬼ノ城
さぁ……覚悟なさい、巨大兜!
わたしは此の力で、鬼ヶ城ちゃんたちを守ってみせますの!

鬼ノ城
――お願い、鬼さんたち!
もう少しだけ、あなたたちの力を貸してください!


……鬼神様……。

鬼たち
…………オデ達ガ、守ル…………。

鬼たち
全力デ……行クド…………!

兜軍団
ヒィッ……鬼タチガ、此方ヘ攻メテキテマス……!!

長宗我部元親
狼狽エルんじゃネェッ! 
個々の力は強大だが連携も取れてネェ寄せ集めダ! 

長宗我部元親
長宗我部隊の結束を示セッ!
野郎共、俺ニ続けェェェェエエ――ッ!!

兜軍団
応ォォォォオッ!!

柳川城
……な、なんという光景でしょうか……。

やくも
鬼さんと兜さんたちが戦っちょるだに……。

千狐
けど、おかげで我々へ向いていた気が逸れたわ!

岡豊城
殿、今のうちに鬼ノ城ちゃんを助けにいくよぉ!

殿
…………!

鬼ヶ城
鬼ノ城!

鬼ノ城
鬼ヶ城ちゃん……!

鬼ヶ城
怪我は……痛いところはないのか?

鬼ノ城
はい! ぜんぜん大丈夫ですの!

鬼ノ城
それよりも鬼ヶ城ちゃんの方が……。

鬼ヶ城
気にすんな。こんな傷、ツバでもつけときゃ勝手に治らぁ。

鬼ヶ城
んなことよか、鬼ノ城。
お前、記憶が……。

鬼ノ城
ええ……まだ多くのことがあやふやですけど、
大事なことは思い出せた気がしますの。

鬼ノ城
わたしは、吉備国の城娘――鬼ノ城。

鬼ノ城
温羅と呼ばれし鬼神の伝承を受け継ぎし者にして、
人々の恐怖により彩られた業を備えし城娘ですの。

鬼ノ城
そして、同時に――吉備の発展に多くを献じ、
英雄と賞された温羅の叡智を授かりし者でもありますわ。

岡豊城
そうか……私、その話、すこしだけ聞いたことがある。

岡豊城
異国における戦を避けて、海を渡ってやってきたとされる温羅は、
自らを受け入れてくれた吉備国の人たちのために、様々な技術を伝授したって。

岡豊城
そうして豊かになった吉備国の土地や技術は他国の権力者に狙われ、
ついには攻め入られたことで争いが起こり……温羅は敗者となった。

岡豊城
歴史は勝者が決めるって……誰かが言ってたけど、
温羅や吉備に起きたことも、そういう例の一つなのかもしれない。

柳川城
……つまり、攻め入った者たちの横暴を正当化するために、
桃太郎のお話は作られた、と?

岡豊城
そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

岡豊城
けど、鬼ノ城ちゃんの中には、
それら全てが内包されているんだと思う。

岡豊城
だから、どちらを自分の物語とするかで、
鬼ノ城ちゃんの内奥は大きく変化する可能性があって……。

岡豊城
その選択の結果が、今ここにあるんだと思う。

やくも
うぅぅ、何だかよくわからんけど……。

やくも
つまりは、鬼ノ城はうちらの仲間ってことでええんかや?

鬼ノ城
ええ。簡単に言えば、そういうことですの!

鬼ノ城
その証拠に、わたしの力は斯様なものへと転じましたの!

柳川城
……っ!?
こ、これは……!

岡豊城
すごい、先刻の戦いで受けた傷が、治っていくよぉ!

鬼ヶ城
それに、身体の奥底から力が沸いてきやがる!
これならどれだけの敵を相手にしたって負けることは――

鬼ヶ城
――って、そういえば巨大兜たちは!?

長宗我部元親
――ウォラァァアアアッ!! これで最後の一匹ダァッ!!


グァァアアッ!?

千狐
そ、そんな……あれだけの数の鬼をすべて倒したというの?

岡豊城
さすがは元親ちゃんの名を冠するだけのことはあるの。
……あの巨大兜、前に戦った時とは霊力の桁が違う。

長宗我部元親
クハハハ……コレで、漸く邪魔者はいなくなったようダナ。

長宗我部元親
それじゃあ……ソロソロ、雌雄を決すとしようじゃねぇか!!

殿
…………。

鬼ヶ城
ビビることはねぇぜ、殿。

鬼ヶ城
俺様の力と、鬼ノ城の舞があれば、
あんなヤツに負けるなんてありっこねぇ。

鬼ヶ城
そうだよな、鬼ノ城?

鬼ノ城
はいですの!

鬼ノ城
それでは参りましょう、皆さん!
わたしの舞で、皆さんを援護しますのぉ!

後半
岡豊城

元親ちゃん――これ以上、好き勝手はさせないんだから!

長宗我部元親
ガァ、ァ……岡豊城、貴様ァ――ッ!!

鬼ヶ城
っしゃぁあ! 巨大兜が怯んだぞ! 一気に勝負を決めるぞ!

長宗我部元親
ク、ソ……なめんじゃねぇぞ、城娘ドモがぁあああッ!!


オ、オマチクダサイ御頭ァッ!!

兜軍団
サスガニ、此処ラガ潮時デスゼ!

兜軍団
ソレニ、コレ以上ハ隊ノモノタチモ保チマセンヨ!

長宗我部元親
チッ……。

鬼ノ城
…………。

長宗我部元親
アノチカラは惜しいが……
俺は、コンナ所デやられるワケにはいかねぇ……。

長宗我部元親
撤退ダ、野郎ども! 
次ノ策ニテ俺たちは再び最強を目指すぞ!

兜軍団
応――ッ!!

千狐
…………。

千狐
…………兜たちが、海を渡って退いていきますわ!

やくも
やっただにぃ! 殿さんの大勝利がやぁ!

鬼ノ城
よ、よかった……。
これで、皆さん……無事に……うっ、ぅ…………。

鬼ヶ城
おい、鬼ノ城! 大丈夫か!?

鬼ノ城
心配、しないで……鬼ヶ城ちゃん……。

鬼ノ城
ちょっとだけ力を使いすぎただけですから……。
……すぐに変身を解けば、何とか、なりますの。

鬼ヶ城
ったく、無茶しやがって……。

鬼ヶ城
けど、それでこそ俺様のダチだぜ!

鬼ノ城
えへへ……。

やくも
にしても、鬼さんたちを使役できるなんて鬼ノ城の力はすごいがや!

柳川城
そうですね。あれほどの力があれば、
今後の戦いがきっと楽になるはずです。

鬼ノ城
あ、あの……お喜びになっているところ言いづらいのですが……。

鬼ノ城
今のわたしには、もう鬼さんを操る力はありませんの。

鬼ノ城
あれは、兜の邪気とこの地の地気が織り成した奇跡の産物……。

鬼ノ城
それに、不安定な状態にあった
わたしの心が生じさせた異能だったようですの。

やくも
ってことは、回復の力も、もう無いってことがや?

鬼ノ城
いいえ。皆さんを癒やす力は、今もなお健在ですの。

鬼ノ城
何故なら、それこそが本来のわたしの力なのですから。

殿
…………?

鬼ノ城
はい。此の力をもって、
これからは皆さんのお力になりたいと思っていますの。

鬼ノ城
ですから、その……。

鬼ノ城
皆さんの仲間として、御側にいてもよろしいでしょうか?

殿
…………。

鬼ノ城
…………。

殿
…………。

殿
…………!

鬼ノ城
感謝ですの、お殿様!
わたし、いっぱいいっぱい頑張りますのぉ!

岡豊城
でも、まずはちゃ~んと身体を休めなきゃダメだよぉ?
いまの鬼ノ城ちゃん、霊力が空っぽ寸前なんだから。

鬼ノ城
は、はいですのぉ……。

岡豊城
それに、私もちょっと頑張りすぎて……ふぁ~あ、
何だか、すっごく眠くなってきちゃったのぉ……んぅ――。

やくも
――わわっ!? ちょっと、岡豊城!
こげなところで寝たら風邪ひくがやぁ~!

岡豊城
でもぉ、すっごくねむねむなのぉ…………すやすや……。

やくも
って、変身も解けとるし……もぉ、誰が運ぶと思ってるがやぁ!?

千狐
こればっかりは仕方ないわ、やくも……。

柳川城
そもそも、岡豊城さんは昼間は殆ど眠ってる城娘ですからね。
むしろ、今まで起きていたのが奇跡といいますか……。

鬼ヶ城
つまりは、俺たちのために気を張っていてくれたってことか……。

鬼ヶ城
っしゃ! そういうことなら、岡豊城も鬼ノ城も、
まとめて俺様が担いでいってやらぁ!

殿
…………?

鬼ヶ城
へへ、こいつらが背負ってるもんに比べりゃ軽いもんさ。

鬼ヶ城
んじゃ、そろそろ帰るとしよーぜ、殿。

鬼ヶ城
俺様たちの所領によ!

殿
…………。

殿
…………!

海より来たりし鬼の若子-絶弐-

所領内、豆まき大会当日――。
今か今かと開始を待ちわびる城娘たちの前に、
突如、奇妙な鬼役の姿が現れる……。

前半
――長宗我部元親の名を冠する巨大兜との戦いから数日が経過していた。

鬼ヶ城
しゃあぁぁっ! いよいよ豆まき大会の開始だぜ!

能島城
どわぁっ――ったくもぉ! 声がでかすぎんだよ、鬼ヶ城!
嬉しいのは分かるけど、耳ぶっ壊れたらどーすんのさ!

鬼ヶ城
そん時は鬼ノ城がちゃちゃっと治してくれんだろ!

鬼ヶ城
だから、安心してぶっ壊れろ。

鬼ノ城
はい、気楽にぶっ壊れろですのー。

能島城
さりげなく、鬼ノ城まで怖いこと言ってんじゃねぇよ!

引田城
せっかくの催事ですからね、
怪我しないように注意しましょうね?

防己尾城
それに今日は客人も来ているのだ。
あんまり無茶なことはしないように気をつけてくれよ。

鬼ヶ城
……え? 客? んなの、何処にいんだよ?
もしかして、岡豊城のことじゃないだろーな?

岡豊城
んーん。私じゃなくて、こっちの城娘だよぉ。

備中松山城
お初にお目にかかります、殿。
私の名前は備中松山城と申します。

備中松山城
今日はお招きいただき感謝しております。

殿
…………!

鬼ヶ城
おぉ!? 備中松山城って、あの三大山城のひとりか!?
こいつはすげぇ客人だなぁ、おい!

鬼ヶ城
……けど、ずいぶんと急じゃねぇか。
そんなに豆まきしたかったのか?

備中松山城
えっと、たしかにそれもあるのですが、

備中松山城
実を言うと私、ずっと前から
鬼ノ城さんに一目会ってみたかったのです。

鬼ノ城
……え? 
わたし、ですの?

備中松山城
ええ。鬼ノ城さんは一説によれば、
三大山城を凌ぐほどの山城だったとか。

備中松山城
だから、大先輩の鬼ノ城さんに
どうしてもご挨拶したかったのです。

鬼ノ城
そんなぁ、大先輩だなんて……。

鬼ノ城
えへへぇ~♪

やくも
(め、めちゃめちゃ嬉しそうだに……)

千狐
(所領内では、みんなに子供扱いされてるから……かしら?)

鬼ヶ城
よーし、それじゃあ備中松山城の挨拶もすんだみてぇだし、
そろそろ豆まき大会を始めるとすっか!

やくも
お~っ! いよいよ始まるんやね!

柳川城
時間をかけて準備してきましたからね。
今日はいっぱい楽しみましょうね、殿。

殿
…………!

鬼ヶ城
んじゃ、さっき配っておいた豆を手に持ってくれ。

鬼ノ城
は~い、ですのぉ。

備中松山城
わわっ……す、すごい量ですね。
こんなにいただいちゃっていいのでしょうか?

三木城
いいんだよぉ~。もぐもぐもぐ……。
あたしとしては、まだまだ足りないくらいだし……もぐもぐもぐ。

岩国城
そーだねぇ……せめてこの三倍はもらわないとぉ……もごもごぱりぱり……。

鬼ヶ城
こるぁあっ! 三木城! 岩国城!
いきなり豆ぜんぶ食ってんじゃねーよ!

岡豊城
すぅすぅ……もう食べられないよぉ…………むにゃむにゃ……。

鬼ヶ城
って……岡豊城も、豆こぼしながら寝てんじゃねー!

岡豊城
……んぅ?

岡豊城
ふぁ~あ……いけないいけない……。
今日はちゃんと起きてなきゃ、いけない日……。

岡豊城
でもぉ……まだ、ねむねむなのぉ…………すぅすぅ……。

鬼ヶ城
立ったまま寝るとか……どうなってんだ、あいつ……。

やくも
兜さんとの戦いん時はあんなにかっこよかったのに、
所領に戻ってから、いっつもぼうっとしちょるだに。

不来方城
まぁ、いいじゃねぇか。
眠りたいやつは寝かしとけって。

不来方城
それよか、覚悟しろよ鬼ヶ城?

不来方城
今日はこの不来方城が、
鬼役のお前を徹底的に豆攻めにしてやっからよ!

鬼ヶ城
……おいおい、何を勘違いしてんだよ、不来方城。
今日の鬼役は俺様じゃねぇぞ?

不来方城
……え?

鬼ヶ城
へへ、見て驚くなよ?
なんと今日の鬼役は……こいつらに頼んであるんだ!

兜軍団(?)
よろしく頼むでござるよ!

不来方城
――はぁぁあ!? 
な、なんで兜が所領内にいるんだよ!?

備中松山城
なんということでしょうか……!
この清浄なる地に兜が攻め入ってくるなんて!?

備中松山城
ですが! この程度なら私だけで充分です!
覚悟しなさい、兜たち――!!

殿
…………。

殿
…………!

備中松山城
ど、どうして兜の前に立つのですか、殿!?

不来方城
……え? こいつらは兜じゃない?

兜軍団(?)
ふふ……。


実は、拙者たちでしたー!

不来方城
……は?

三木城
おぉっ!? ってことはそれ、
もしかして着ぐるみなのか!?

能島城
すっげぇっ! 良く出来てんなぁ!


やくも殿と裁縫が得意な城娘の皆さんの協力によって完成した傑作にござる!

岡豊城
なるほどぉ~。
これなら、鬼ヶ城ちゃんがいなくても鬼役には困らないねー。

不来方城
んだよ。せっかく鬼ヶ城とやり合えると思って
ワクワクしてたってのによ……鬼役じゃねぇのか。

不来方城
はぁ……何だか妙に洒落込んでやがるし、
鬼ヶ城のやつも丸くなっちまったもんだな。

鬼ヶ城
……あ?

鬼ヶ城
誰が丸くなっただってぇ――っ!?

鬼ノ城
ちょ、ちょっと鬼ヶ城ちゃん!

鬼ノ城
今日は鬼役やらないって決めてたでしょ?
落ち着かなきゃ駄目ですのぉ……!

鬼ヶ城
うるせぇっ! 
不来方城にナメられんのだけは我慢ならねぇんだよ!

不来方城
へへ……そうこなくっちゃ煽った甲斐がねぇってもんだ!

鬼ヶ城
てなわけで、鬼ヶ城――装いも新たに、変身!!

岡豊城
わぁ、何かいつもとちがう~。
い~なぁ。かっこいいなぁ。

鬼ヶ城
へへ、俺様にとっちゃ晴れ舞台だからな!
変身姿もちっとばかし気合い入れてみたってわけよ!

島原城
ふふ、殿の前だからって張り切っちゃってまぁ。
……意外と乙女なのね。

鬼ヶ城
ち、ちげぇし!
別にそんなんじゃねーから!

不来方城
んなことよか、さっさと始めようぜー、鬼ヶ城!
こっちは今すぐにでも豆をぶつけたくてウズウズしてんだからよ!

鬼ヶ城
分かったから、落ち着けって……。
えー、コホン――。

鬼ヶ城
それじゃあ、みんな! 
今日は邪気を祓うってな名目ではあるんだが、

鬼ヶ城
そんな難しいことは考えなくていいからよ。
とにかく頭からっぽにして豆まいて、日頃の鬱憤を晴らしてくれや!

殿
…………!

鬼ヶ城
っしゃぁぁあああ!
んじゃ、いよいよ豆まき大会の幕開けだぜぇ――っ!!

後半
鬼ヶ城

――どらぁっ!! 
殿ぉ、食っちまうぞぉ……ってか?

殿
…………!?

柳川城
――っ!

柳川城
させませんよ。鬼ヶ城さん!
殿は、私が御守りします!!

鬼ヶ城
痛ぁ――っ!? 

鬼ヶ城
や、柳川城――い、痛ぇって!! 
ちょっと……ま、豆……そのぶつけ方、まじで洒落になってねぇぞっ! 

不来方城
す、すげぇ……壁や地面に豆がめりこんでる……。
柳川城のやつ……手加減無しの全力投豆してんな、あれ……。

柳川城
あ……ご、ごめんなさい鬼ヶ城さん……!
殿の身に危険が迫っていると思って……つ、つい……。

備中松山城
なるほど。催事とはいえ、
主の窮地を察知したが故の力ですか。

備中松山城
ふふ、殿は実に良き家臣をお持ちですね。

殿
…………。

殿
…………!

柳川城
うぅ……お恥ずかしい……。

鬼ヶ城
はぁ……ったく。
柳川城の前じゃ迂闊に殿を襲えねぇな。

不来方城
誰の前だろうが、主君を襲っていいわけねぇだろ。

鬼ヶ城
でもよぉ……殿のやつ、近頃はぜんぜん
俺様とのケンカにつきあってくれねぇし、つまんねーんだよ。

鬼ノ城
もぉ、お殿様とケンカなんて駄目ですよぉ、鬼ヶ城ちゃん。

鬼ノ城
それに、せっかくお洒落してるのですから、
今日ぐらいはお淑やかにしないとぉ……。

鬼ヶ城
わ、分かったからそんな悲しそうな顔するなよ、鬼ノ城……。

備中松山城
ふふっ、どうやら荒々しい鬼ヶ城さんと言えども、
鬼ノ城さんの涙にはかなわないようですね。

岡豊城
それに、あの二人はとっても仲良しさんだからねぇ。
見ててとっても和むのぉ。

殿
…………。

鬼ヶ城
って、何をぼけっとしてんだよ、殿!
まだまだ豆をまいてないところは沢山あるんだぜ?

鬼ヶ城
ほら、みんなも待ってるからよ、
さっさと続きやろーぜ、続きぃ!

やくも
だにぃ! うちもまだまだえ~っぱい豆まきするがや~!

鬼ヶ城
あ、だけど、こっからはちょっと趣向を変えさせてもらうぜ?

不来方城
ん? いったい何をどうするってんだよ?

鬼ヶ城
なぁに、ちょっとばかし掛け声を変えるだけさ。

鬼ヶ城
ほら、今までは『福は内、鬼は外』だっただろ?

鬼ヶ城
だけど、今の所領には鬼ノ城がいる。

鬼ノ城
それに、鬼ヶ城ちゃんだっていますのぉ。

鬼ヶ城
だから、掛け声は。

鬼ノ城
福は内~、鬼も内~。

鬼ヶ城
そんでもって、兜は外ぉ、だ!

殿
…………。

殿
…………!

柳川城
はい。面白き掛け声ですね、殿。

不来方城
でもよ、そんな掛け声で効果あんのか?

岡豊城
その点は心配ないと思うよぉ。

備中松山城
たしか、節分にて放つ言葉は
その土地土地の縁起によって多種多様と聞きますし。

岡豊城
だから、今の所領内にとって縁起の良い言葉こそが、
邪気払いとして最も効果を発揮するんだと思うのぉ。

不来方城
そういうことなら仕方ねぇ……。

不来方城
今日だけは特別に、鬼も内にいれてやらぁ。

鬼ヶ城
へへ、ありがとよ、不来方城。

鬼ヶ城
それじゃあ、鬼ノ城。
最初の掛け声はお前に任せたぜ。

鬼ノ城
はいですのー!

鬼ノ城
それでは、皆さんご一緒にぃ――

――福は内、鬼も内、兜は外。
そんな風変わりな掛け声と共に、所領内の豆まきは
よりいっそう賑やかなものとなっていくのだった。



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