ストーリーテキスト/武神降臨!福島正則

ページ名:ストーリーテキスト/武神降臨!福島正則

武神降臨!福島正則[]

近江国に巨大兜が出現したとの報あり。
武神降臨の儀を経て絶大な力を備えた
強敵を討伐せんがため、いざ出陣せよ。

前半
――弱すぎる。

あまりにも脆すぎた。

刃を差し向け、腕を伸ばし、突き入れる。

生じたのは叫声と、返血と、微妙な痙攣。

――それだけ。

人を殺すなんざどうってことねぇ。

こんなにも……。

こんなにも命は呆気ねぇもんだと識っちまったから。

だから、俺は――。

福島正則
…………。

???
……ヨウヤク気付いたみてェだな。

???
具合ハどうだァ、市松?

福島正則
市松…………だと……?

福島正則
――っ!?

福島正則
まさか……あんた、

福島正則
親父殿、なのか……?

???
オイオイ、よしてくれ。
テメェみたいなガキを産んだ覚えはねェよ。

???
ダガ、そうさな……。

???
……浅からぬ縁がアルのは確かだろうよォ。

福島正則
その勿体振った喋り方……。

福島正則
……間違いねぇ。
あんたには確かに親父殿の面影がある。

福島正則
ということは、此処は冥府か?

福島正則
内府殿に同心したおれを罰しに来たと……そういうことなんだな!?

???
あァァ……ま、とりあえず落ち着け市松。

???
テメェん中には、此世での記録がちゃ~んと居座ってるんダ。

???
ジキにそれが殆どの疑問に応エテくれんだろうヨ。

福島正則
記録……?

福島正則
―――ッ!?

???
どうやらジワジワと混じり始メタみてェだなァ。

福島正則
…………。

福島正則
……兜、か。

福島正則
これまた怪態なもんに様変わったもんだなぁ……ええ、親父殿?

???
だがオマエにとっちゃ好きなダケ暴れられる身体ヲ手に入れられたッテコトだ。

福島正則
……違いねぇ。

福島正則
そうだ……。

福島正則
そうだよな、親父殿。

福島正則
こんだけ世界がぶっ壊れちまったんなら、

福島正則
あんたが逝っちまったことで生じたいざこざも
……すべて忘れ去ってもいいってことだよな?

???
アア……小姓の頃のオマエと何ら変わりなく、
ただ武功のみヲ求めて戦場ヲ駆けりャァいい。

???
後ハ……死ぬまで好きナように生きな、市松。

福島正則
……好きなように、か。

福島正則
なら、おれは抱えきれないほどの武功をあげてみせるよ。

福島正則
親父殿がまた――、

福島正則
俺を召し抱えたくなるほどに多くの首級を、な。

???
……悪くねェ詞だ。

???
きっと……あの御方モ、其レヲ望んでいるだろうからナ。

福島正則
――っしゃあ! 
それじゃあ行くぞ、此世の同胞たちよ!!


――御意ッ!

兜軍団
出撃準備、完了!

兜軍団
今コソ仇敵ヲ討チ果タサンッ!!
今コソ仇敵ヲ討チ果タサンッ!!
今コソ仇敵ヲ討チ果タサンッ!!

???
……。

???
…………。

???
また、召し抱えたくなるほど……か。

???
本当に昔から変わらねェ。

???
……オマエも佐吉も、大馬鹿野郎ダ。

???
こんな俺なんかヲ慕い続けてルんだからなァ。

――数日後。

その日、領内には凜然たる来訪者の姿が在った。

清洲城
殿、大変だよ!

殿
…………。

清洲城
うん……。

清洲城
もう『彼女』から報されているかもしれないけど、
近江に武神化した巨大兜が出現したんだ!

殿
…………!?

清洲城
そう……。

清洲城
冠する名は福島正則。

清洲城
豊臣秀吉に仕えた誉れ高き大名にして、
賤ヶ岳七本槍の筆頭たる豪勇無双の武人さ。

清洲城
……その名を冠する巨大兜ときみが、
既に幾度も戦ったことがあるのは知ってるよ。

清洲城
けれど、今のアイツはかつての巨大兜とは全くの別物……。

清洲城
同じような心持ちで戦いに臨めば敗北は必至だろう。

殿
…………。

清洲城
でも、心配しないで!

清洲城
この私にとっては元城主の虚魂だもん。
……それなりに手内はうかがい知れる。

清洲城
だから……。

清洲城
殿と一緒なら、必ずや勝機を掴めるはずだよ!

殿
…………!

千狐
それでは皆さんの準備が整い次第、すぐに出立と参りましょう!

柳川城
相手は武神化した巨大兜です……。
殿、可能な限り戦力を整えて事に当たるとしましょう。

――近江国。

北ノ庄城
くらいやがれ…………。

北ノ庄城
オラァァァアアアアアアッ!!

福島正則
――っ!?

福島正則
はっ、なんだよ今の一突はぁ?

福島正則
槍ってのはな――こうやって振るうんだよ!!

北ノ庄城
――ぐ、ぁァッ!?

北ノ庄城
ク、ソ……こんな、はずじゃ……。

福島正則
おい、何をぶつくさ言ってやがる?

福島正則
てめぇの名は北ノ庄城なんだろ?

福島正則
鬼柴田にまつわる威名を備えてんなら
もう少しくらい抵抗してみろってんだ――よぉっ!

北ノ庄城
――げ、ァ……がは……ぁ……ッ!?

福島正則
うははははははははははははははははっ! 
みっともなくえずきやがってだらしねぇ!

福島正則
ったくよぉ、城娘ってのも大したことねぇなぁっ!

北ノ庄城
――あ、ぅ……ぅぐ、ぅぁ……。

福島正則
だが…………その頑丈さは賞賛に値するぜ。

福島正則
痣はできるが血の一滴も飛沫ゃしねぇときたもんだ。

福島正則
なぁ、城娘……。

福島正則
てめぇらは、どこまでバラせば死ぬんだ? ああ?

北ノ庄城
……非力な兜には……私を殺すことなんざ、できやしねぇよ……雑魚が……。

福島正則
うひゃはははははははははっ!
一丁前に吠えるじゃねぇか!!

福島正則
いいぜぇ……なら試してみようじゃねぇかぁ!

福島正則
てめぇの身体で城娘の限界を見定めた暁にゃあ、
玄蕃や拝郷の城娘もすぐに殴殺してやっからよ。

福島正則
そう……賎ヶ岳なんざに収まらねぇ。

福島正則
此世すべての戦場で俺は一番槍の手柄を上げ続けてみせらぁ!!

北ノ庄城
……ひぐぁっ……ぁ――がぁっ、あ゛ぁぁああああああああっ!!

北ノ庄城
(や、やべぇ……視界が霞んできやがった………………)

北ノ庄城
(安土城……どうやら、もう……お前に服を作ってやれそうにねぇみたいだ……)

北ノ庄城
(……………………っ)

北ノ庄城
(今際にこんな阿呆なことを考えるなんざ……私も焼きが回ったもんだぜ……)

北ノ庄城
(日和った精神じゃ……そりゃあ、やられるわな…………ハハ………………)

???
――諦めちゃ駄目ノシ!

北ノ庄城
――っ!?

福島正則
ちぃ――ッ!!
いいところで邪魔しやがって……誰だてめぇは!?

亀居城
あたしの名は亀居城!

亀居城
ここで会ったが百年目――ッ!
おまえを止めるために此地に推参したノシ!

福島正則
……あぁ?
亀居城だと?

福島正則
知らねぇ名だな。

亀居城
……ノシ!?

北ノ庄城
惑うな亀居城……武神化を果たした所為で……虚魂が内包する
記憶が……兜としての内面を……上塗りしちまったんだろうさ。

亀居城
ということは……。

亀居城
あたしのことは、もう覚えてはいないノシ?

福島正則
ったりめぇだろうが! なにがノシだっ、くだらねぇ!

福島正則
(……が、あの餓鬼……どうやら、おれのことを知ってやがるみたいだな)

福島正則
(それに兜としての記録の中に、ヤツに関する事柄は確かに残っている……)

福島正則
(とはいえ、亀居城なんて城は俺が生きていた時代には存在していなかったはずだが……)

福島正則
……やれやれ。

福島正則
本当にふざけた世界だぜ……。
次から次へと珍妙なヤツらを遣わせやがってよぉ。

福島正則
…………亀居城だか何だか知らねぇが、
てめぇもそこの城娘と一緒にぶち殺してやるさ。

福島正則
おらぁっ!! 潰れろやぁああああああああっ!!

亀居城
――っ!

亀居城
ふっ! はぁぁっ!

亀居城
とぉりゃああ――っ! ノシノシ!!

福島正則
――なっ!?

北ノ庄城
(すげぇ……!)

北ノ庄城
(亀居城のやつ、あれほどまでの槍捌きをいつのまに!?)

福島正則
見た目によらず……やるじゃねぇか、城娘。

亀居城
ふっふーん、当然ノシ!

亀居城
なぜなら、これまで積み重ねてきた調練は、

亀居城
全て此刻のためのものだったからノシ!

北ノ庄城
だがよ、亀居城……さすがに今回は分が悪すぎるぜ……。

北ノ庄城
ヤツらの軍勢を二人だけで押し返すのは……無謀ってもんだ……。

亀居城
ううん!
そんなことないよ北ノ庄ちゃん!

亀居城
だって、あたしたちは二人だけじゃないもん!

北ノ庄城
……え?

殿
…………!

清洲城
よかった……何とか間に合ったみたいだね!

清洲城
よぉし、こっから北ノ庄たちに加勢して、
一気にあの巨大兜を打倒するよ、殿!

北ノ庄城
あ、あいつらどうして此処が……。

北ノ庄城
まさかお前が喚んだのか、亀居城!?

亀居城
勿論ノシ!

亀居城
言ったでしょ?
此刻のために準備をしてきたって!

福島正則
…………んだよ。
これじゃまるで御伽話だぜ。

福島正則
あんな小娘が清洲城だって?

福島正則
いよいよもって何でもアリじゃねぇか。

清洲城
…………。

福島正則
……だが。

福島正則
かつての居城と手合わせできるなんざ死んだもんだけの特権ってな。

福島正則
いいぜ……ならこっから先は手加減無しでいかせてもらうぜぇぇぇ!!

柳川城
そ、そんな……。

千狐
霊気が尚も増大していくなんて!?

清洲城
当然さ……ここは福島正則にとって、
最も武勇を馳せた場所のひとつだからね。

清洲城
まだまだヤツの力は膨れあがっていくはずだよ。

北ノ庄城
ちっ……まさに規格外のバケモノじゃねぇか……。

清洲城
……北ノ庄。

清洲城
見たところかなり負傷してるみたいだけど、やれるか?

北ノ庄城
けっ……何をぬるいことぬかしてんだ、清洲……。

北ノ庄城
こちとら背負った名のためにも、いつまでも膝ついてる場合じゃねぇんだよ!

福島正則
――っ!?

北ノ庄城
おまえら二人とは異なる縁だが、私にも退けない理由があんのさ!

清洲城
はは、相変わらずだね北ノ庄は。

清洲城
ならば、共に往こう!

清洲城
此刻のために集った、我ら城娘の因果と抗するために!

北ノ庄城
いざ――っ!

亀居城
尋常に……。

福島正則
死合おうじゃねぇか城娘どもぉぉぉぉおおおおおおおお!!

後半
清洲城

いまだ北ノ庄!全力全開でいくよ――っ!!

北ノ庄城
応ッ!! ここでぜんぶ出し切ってやらぁ!!

福島正則
――ぐぅぅぅぁあああああっ!!

福島正則
どうしたぁぁっ! こんなもんじゃ俺は倒れねぇぞ!!

柳川城
な、なんて打たれ強さなのでしょうか……。
このままでは、押し切られてしまいます!!

亀居城
ハァ……ハァ……。

亀居城
まだ、まだぁ――ッ!!

福島正則
ちぃ――っ!!!
ちょこまかと……しつけぇクソ野郎だなぁぁぁっ!!

亀居城
もぉ~っ! 
野郎じゃないっテ、何度言えば分かっテくれるノシ? お父様ァ! 
ノシノシ~!

福島正則
――っ!?

福島正則
(なんだ、今のは……?)

亀居城
せぃやぁ――ッ!!

福島正則
――ぐ、ぁッ!!

福島正則
こ、のっ……調子に乗るんじゃねぇぇぞぉぉおおおおおおおッ!!

亀居城
お父様ァ~ッ♪
助けに来てくれたんだねぇ~ノシノシ♪

福島正則
――――っ!!?

福島正則
(――まただ)

福島正則
(なんだ、これは……?)

亀居城
正則ちゃんは、あたしが止めるノシ~ッ!!

福島正則
が、はぁ……ッ!

柳川城
――巨大兜が膝を屈した!?

北ノ庄城
亀居城! やるなら今しかねぇ!

清洲城
その槍をもって、とどめを刺すんだ!

亀居城
……とどめ。

亀居城
正則ちゃんに、とどめを……!

福島正則
……ぐ、ぅ…………。

福島正則
……なにを、手間取ってやがる。

福島正則
見ろ……いまのヤツは隙だらけじゃねぇか。

福島正則
へっ…………やっぱりただの小娘だ……。

福島正則
この隙にその顔面を殴り飛ばしてや――

亀居城
今度会う時は、あたしだって……――――

福島正則
…………。

亀居城
…………。

福島正則
馬鹿野郎……。

福島正則
今度会ウ時ハ、情ケヲカケナインジャナカッタノカヨ?

亀居城
――ッ!?

亀居城
正則ちゃん、もしかして記憶が――

福島正則
うるせぇ――ッ! 
今そんなことは関係ねぇだろうがッ!!

亀居城
……で、でも…………。

福島正則
俺は兜で……てめぇは城娘……。

福島正則
この世界では抗敵の宿命でしか在り得ない。

福島正則
おまえは……もう、覚悟を決めてんだろ……?

亀居城
そうだけど……あたしは……あたしはぁ……。

福島正則
ぐ、ぅぅぁ……こ、これ以上は……俺様でも……虚魂を押さえつけてられねぇ。

福島正則
……やるなら……さっさとやりやがれぇぇぇええ!!

亀居城
正則ちゃん……。

福島正則
ふざけた話だ……。

福島正則
――前田利家。

福島正則
――佐久間玄蕃。

福島正則
――拝郷五左右衛門。

福島正則
あのあたりで虎之助たちと第一の大手柄は誰ぞと語り合ったってのに。

福島正則
それが今じゃなんだ……。

福島正則
此世の賎ヶ岳においちゃ、

福島正則
俺様こそが、これ以上ないほどの手柄首になっちまってるんだからよぉ。

亀居城
――――――――。

福島正則
まぁ、いいさ…………。

福島正則
お前になら喜んでくれてやるぜ。

福島正則
……亀居城。

亀居城
はぁぁああ――っ!!

殿
…………!?

福島正則
ぐっ……ぁぁ…………………………。

福島正則
………………よく、やった…………。

福島正則
…………やれば、できんじゃねぇか……クソ野郎………………………………。

福島正則
………………………………………………………………………………。

亀居城
………………。

亀居城
………………。

千狐
巨大兜の霊気の消滅を確認……………………。

柳川城
では……。

千狐
はい!

千狐
福島正則の名を冠した巨大兜を、我々は討ち果たすことができたのですわ!

殿
…………。

殿
…………!

清洲城
これでまたひとつ、巨大兜の脅威を取り除くことができたわけだね。

北ノ庄城
にしても、最後に見せた巨大兜の言動はいったい……。

亀居城
…………。

殿
…………。

清洲城
いずれにしても、このまま巨大兜の器を残したままでは危険だ。

清洲城
後のことは私が――

亀居城
――あたしがやるノシ!

清洲城
……え?

亀居城
だめ、かな……?

清洲城
…………。

清洲城
いや、そうだね。

清洲城
此刻においては私よりもきみの方が適任かもしれない。

清洲城
……ちゃんと務めを果たせるね、亀居城?

亀居城
うん……。

殿
…………。

柳川城
それでは、殿。

柳川城
北ノ庄城さんの手当てもあります……、
先に安全な場所へと移りましょう。

殿
…………!

千狐
承知しました!
では、急ぎ所領へと帰還するとしましょう!

千狐
コンッ! 秘技・時空転移術なのぉ――っ!!

……。

――弱すぎる。

あまりにも脆すぎた。

刃を差し向け、腕を伸ばし、突き入れる。

生じたのは叫声と、返血と、微妙な痙攣。

――それだけ。

人を殺すなんざどうってことねぇ。

こんなにも……。

こんなにも命は呆気ねぇもんだと識っちまったから。

だから、俺は――。

亀居城
――戦い続けることを選んだの?

福島正則
……亀居、城…………?

福島正則
そうか……これが音に聞く巨大兜の今際ってやつか……。

亀居城
…………。

亀居城
……あたしでガッカリしたノシ?

福島正則
さぁな……。

福島正則
けど、仕方ねぇだろ。

福島正則
……冠する名の主には、広島城との記憶はねぇんだ。

福島正則
看取ってもらったところで、虚魂の残滓は消えきらねぇさ……。

亀居城
……なら、あたしだって同じノシ。

亀居城
本当ならあなたには、亀居城の名だって解せないはずなのに。

亀居城
それでも最後には、ちゃんとあたしのことを思い出してくれた。

亀居城
それは……巨大兜としての自我が虚魂の本質を凌駕した証拠ノシ。

福島正則
……だが、おかげで大事なところでしくじっちまった…………。

亀居城
後悔……してるノシ?

福島正則
んなこたぁねぇさ……。

福島正則
……俺様はもう、とうに疲れ果てちまってたんだよ。

福島正則
ガキの頃にアイツを刺してから今まで、狂ったように人を殺めてきた。

福島正則
……番匠の小倅の人生なんざ高が知れてる。

福島正則
だから、何者かになりたかったんだ……。

亀居城
その手段が戦の中にしかなかったとしても?

福島正則
……ああ。

福島正則
俺様にとって立身出世の起点はとどのつまり殺人だ。

福島正則
……わかんだろ?

福島正則
もともとイカれてたのさ。

亀居城
…………。

福島正則
昔はよかった……。

福島正則
虎之助と戦場を駆けづり回って人を殺しまくれば、皆が俺様を認めた。

福島正則
酒に酔い、女を抱き、戦で孕んだ火照りを冷まし、

福島正則
そして親父殿の背を追いかけ、再び殺戮の地平を駆け巡る。

福島正則
単純にして、もっとも心地の良い人生の循環さ……。

福島正則
……けれど。

福島正則
親父殿が死んでから、全てが変わっちまった……。

福島正則
……結局、三成の阿呆が調子に乗ったことで、家康は俺に話を持ちかけたわけだが、

福島正則
大坂城や秀頼様をはじめ、

福島正則
親父殿の残したものを守れると思って、俺様はあの狸を信じたってのに……。

亀居城
……結果として、大好きだった主様を裏切る形となってしまった。

福島正則
……。

福島正則
……ふっ。

福島正則
おかしな話だぜ。

福島正則
兜としての智の所為か……。
この頭には関ヶ原以後の歴史が存在している。

福島正則
……果ては惨めなもんだ。

福島正則
広島城も奪われ、お前も失って……。

福島正則
……残ったのはたったの二万石たぁな。

亀居城
それでも――。

亀居城
それでも、あなたのおかげで……あたしは産まれることができた。

亀居城
お父様のおかげで、今はこうして仲間と笑い合うことができてるノシ。

福島正則
…………。

亀居城
それに、あの世界では互いに出逢うことはなかったけれど、

亀居城
姿を変えて……こうしてお父様とも出会えたノシ。

亀居城
だから、ね。

亀居城
あたしは……産まれてきたことを後悔したくないノシ。

亀居城
たとえこれが泡沫のような世界だって。

亀居城
あなたをお父様と呼べた、あの刻を……。

亀居城
あたしは……無駄だったなんてぜったいに思わないノシ。

福島正則
…………ったく。

福島正則
………………俺様の娘だってんなら、
人前で泣いてんじゃねぇよ、ばか野郎。

亀居城
ぐすっ……野郎じゃ、ないもん……うぅぅ……。

亀居城
ひぐっ……あたしは……ふぅぁ……亀居城…………。

亀居城
どうしようもないくらい……城娘、なんだもん……。

福島正則
ああ……。

福島正則
…………解ってるよ。

福島正則
だからこそ考えちまう。

福島正則
躯が、魂が、もしひとつでも掛け違えていたのなら――。

亀居城
――――――。

福島正則
満月を肴に、コイツと酌み交わす夜を過ごすことだって――。

亀居城
お父様……?

福島正則
――なんて…………有り得ねぇよ……なぁ…………。

福島正則
……それこそ……夢みてぇ、な……世界……だ……。

亀居城
――待って! まだ、眠っちゃ駄目ノシ!

亀居城
あたし……話したいこと……まだまだいっぱい……いっぱい、あるノシ……!

福島正則
ああ……俺様も、だぜ…………。

福島正則
………………ったく、よぉ……。

福島正則
今さらになって……気づくなんて……なぁ………………。

福島正則
はぁ…………。

福島正則
……此世のことも……。

福島正則
夢のまた……夢…………か……。

福島正則
さすが…………親父殿…………。

福島正則
……言い得て妙……って、やつ……だ…………ぜ…………。

福島正則
………………………………………………………………。

亀居城
…………お父様。

亀居城
お父様ぁぁぁぁぁぁああ――っ!!

福島正則
……………………………………………。

………………………………。

……………………。

……………。

……。

ノシ。



特に記載のない限り、コミュニティのコンテンツはCC BY-SAライセンスの下で利用可能です。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。


最近更新されたページ

左メニュー

左メニューサンプル左メニューはヘッダーメニューの【編集】>【左メニューを編集する】をクリックすると編集できます。ご自由に編集してください。掲示板雑談・質問・相談掲示板更新履歴最近のコメントカウン...

[裏]真田丸

裏]真田丸(チャリン……チャリン……チャリン……)……貴殿か。今日は、話をしたい気分じゃない。足を運んでくれたのに、すまない。一文……二文……三文……四文……五文……六文……銭を数えていなければ、一瞬...

[裏]淀城

]淀城あ~……。あ゛ぁ~……きもちわる。夢見は悪いし、頭はズキズキ痛むし……。ほんっとに最悪な日よ、今日は。誰でも良いから……。どつき回して、ぐちゃぐちゃにしたい気分。…………。……で、なに?そこに突...

[裏]桜尾城

]桜尾城殿……どうかしましたか?……ふふ、今回は間違えませんでしたよ。あなたの安らぐ顔もまた、私の喜びなのですから。私は今……海を見ていました。このどこまでも凪ゆく、厳島の海を……。厳島周辺は神域とい...

[裏]川越城

]川越城お客様かしら……どうぞ。貴方は、確か……ちょっと待ってね……。うん……たぶん、『殿』よね……?やっぱり……人違いでなくて、良かったわ。ふふ。今丁度、過去の私が遺した日記を読み返していたのよ……...

[裏]小田原城

]小田原城…………。……あら、殿。ようこそいらっしゃいました。ああ……いえ、ご心配なく。少し考え事をしていただけですから。今、ちょうど……。昔の出来事に思いを馳せていました。今の私を形作る、原点とも呼...

[裏]小牧山城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 所持特技1.4 [改壱]所持特技1.5 計略1.6 [改壱]計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3...

[裏]室町第

裏]室町第殿……ふふふ。どうせまた来るって、そんな気はしていたわ。私がどんなに忠告をしても、貴方は自分の信念を曲げない。本当に……つくづく、強い人ね、殿は。私のせいで、どれほど悪いことが起こっても殿は...

[裏]大宰府

]大宰府おお、殿か。よく来てくれたな。今な、手紙を整理しておったのじゃ。最近は毎日、誰かしらから届くのでな……。この手紙は……、『大宰府ちゃん親衛隊』を自称する者たちからじゃな。大野城、鞠智城、基肄城...

[裏]坂本城

]坂本城大殿様……また来たのね。ふふ……別に、追い返したりしないわよ。というより……私も今ね、大殿様と話せたら、って考えてたところだったの。だから……少しの間、私の話し相手になってくれるかしら?……ふ...

[裏]佐和山城

]佐和山城……また来たのね、あなた。足を運んでくれたところ悪いけど、面白いものは何も見れないわよ?相変わらず、大坂城様のらいぶに向けて、準備をしているだけだもの。……ん、なに?『なぜ、そこまで大坂城様...

[裏]伊勢長島城

]伊勢長島城も~、なんなのあいつら!信じらんない!寄ってたかってライブの邪魔をして!いったいどこから情報が漏れたの?もしかして、殿じゃないでしょうね……!?……そんなわけないか。あたしは、あんたにな~...

[花嫁衣装]鹿児島城

目次1 性能1.1 特技1.2 計略1.3 [改壱]計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< ロケト城 - [花嫁衣装]シャンティイ城 >[花嫁衣...

[花嫁衣装]鮫ヶ尾城

]鮫ヶ尾城はあ……春日山城サマの祝言、想像するだけでドキドキしてしまうっす!ね、ちびサマ~♪……ん?どうしたっすか、トノ?えっ、『主城のことより自分はどうなのか』っすか……?うぐ……これは痛いことを言...

[花嫁衣装]許昌城

]許昌城うーん……。ううーん……。……おや、殿か?すまない、考え事をしていて来訪に気づいていなかった。この間、殿と話してから、結婚に関して城娘達と話をしたのだ。繁栄という目的へ至る手段としての婚姻……...

[花嫁衣装]萩城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< [花嫁衣装]チャンドラ・マハル - [花嫁衣装]新田...

[花嫁衣装]秋田城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< 延岡城 - [花嫁衣装]ロンドン塔 >[花嫁衣装]秋...

[花嫁衣装]春日山城

]春日山城うーん……。……うーん? ……うん?……殿?すみません! お越しいただいていたのに、今の今まで気づかずにいて!実は先日、坂戸城と謙信公の昔話をしてたのですが、その際、跡継ぎの話題が出たのです...

[花嫁衣装]新田金山城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< [花嫁衣装]萩城 - [花嫁衣装]アイリーン・ドナン...