ストーリーテキスト/武神降臨!直江兼続&上杉景勝

ページ名:ストーリーテキスト/武神降臨!直江兼続&上杉景勝

武神降臨!直江兼続

巨大兜、直江兼続が出現したとの報あり。
武神降臨の儀を経て絶大な力を得た
強敵を討伐せんがため、いざ出陣せよ。

前半

恥だ……恥だ。恥じても恥じても、限りがない。

愛を貫いた先に、何があったと言う?

結局……心から欲したものは、
最期まで手に入らなかったではないか。

負けて、生きて……平穏の中で死んだ。
あまりに愚かだ。あまりに恥ずかしい。

幾度も悔いる……そして思い返す。
もしも……もしもあの戦が違う結末を迎えていれば。
今頃、上杉家の頭上には――

――――

直江兼続
…………む。

直江兼続
景勝様は、何処に……?

豊臣秀吉
くくくっ……恐れ入ッタゼ。
最初に吐ク言葉がソレとはな。

直江兼続
貴方は……秀吉様ですか。

豊臣秀吉
自分ヲ差し置いて、主のコトばかり。
忠臣ト呼ばれる者タチの価値観には毎度……驚カサレル。

直江兼続
…………。

豊臣秀吉
オイオイ……だんまりは止メテくれよ、兼続。
記憶も概ね取リ戻シタんだろ?

豊臣秀吉
何ノ縁も無いッテわけジャナイんだ。
思イ出話に花ヲ咲かせたっていいダロウ?

豊臣秀吉
ソレトモ、俺が豊臣の名を授ケタことは……忘レ去ラレちまったのかい。

直江兼続
いいえ……覚えておりますとも。

直江兼続
ですが……申し訳ありません。
今の私には成すべき事があるのです。
そして、それは他の何よりも優先されなければならない。

豊臣秀吉
ッテこたぁ……早速、戦場へと赴くツモリかい。

直江兼続
……然り。その通りにございます。

豊臣秀吉
せわしない奴だ。モウ少し、
ココデゆっくりしていっても良イじゃねぇか。
お前ノ愛スル主様も、もうすぐオ目覚メになる頃だぜ?

直江兼続
だからこそ……急がねばならないのです。目覚めた景勝様が、
何をお求めになるかは……すでに理解しております故。

豊臣秀吉
……ホゥ。景勝が何ヲ求メテいるか……ダッテ?

直江兼続
武神降臨の儀を終えれば……自ずと、
景勝様も『あの地』へと足が向くことでしょう。

直江兼続
ですから私は……先んじて陣を構え、
軍の先鋒を務めねばならないのです。

豊臣秀吉
コノ期に及ンデ……主のために、身を尽クスわけか。

豊臣秀吉
マ……それが良イのかもしれねぇな。
モットモ、あの無口野郎のコトだ……目覚メタところで、
命令ラシイ命令なんかできるのカモ分からネェ。

直江兼続
ふ……お言葉ですが、秀吉様。
景勝様は、決して無口なわけではありませんよ。

豊臣秀吉
ホゥ……というと?

直江兼続
あの方は、本当に語るべきものを弁えているのです。
必要に迫られれば……自然と、沈黙は破られることになるでしょう。

豊臣秀吉
本当にお前は……心底、奴ヲ信頼シテルんだな。

直江兼続
ええ……疑ったことなど只の一度もありません。
あの方は、私の全てですから。

豊臣秀吉
……ナラバ、引き止めはするまい。
兜として最期マデ戦ッテくれりゃ、誰も文句は言ワナイだろうよ。

直江兼続
……御意。感謝いたします。

直江兼続
ゆくぞ……同胞よ。
我が主のため……そして、上杉家の繁栄のため!


――御意ッ!

兜軍団
出撃準備、完了!

兜軍団
今コソ仇敵ヲ討チ果タサンッ!!
今コソ仇敵ヲ討チ果タサンッ!!
今コソ仇敵ヲ討チ果タサンッ!!

――――

豊臣秀吉
…………。

豊臣秀吉
上杉家ノ繁栄のため、ネェ……。

豊臣秀吉
最期を決意シタ兜の姿ってのは面白イもんだ。
誰も彼もガ……違ッタ表情を見セテくれる。

豊臣秀吉
……はてさて。
忠臣の見送りが終ワッタところで、今度は主様の番だ。
そろそろお目覚めになる頃かな。

――――

――数日後。出羽国、某所。

千狐
――コンッ! 転移成功なのっ!

やくも
だにぃ……凶々しい気で、辺りはいっぱいがや……。

柳川城
しかし……周囲は静まり返っています。

柳川城
武神降臨の儀を果たした兜が、此地を侵攻している……、
との話でしたが、幸い開戦には間に合ったようですね。

殿
…………。

???
……早かったな、殿。
我々の求めに応じてくれたこと、感謝する。

殿
…………!

坂戸城
何分、ここまで強い気を感じたのは、初めてのことだったのでな。
主に助力を求めるのは少々気が咎めたが、
恥を忍んで……手紙を送った次第だ。

与板城
御屋形、お久しぶりです。
またお会いすることができて嬉しいです!

千狐
坂戸城に、与板城さん……そして、そちらに居るのは……?

鮫ヶ尾城
トノ……それから皆さん!
お初にお目に掛かるっす! 自分は鮫ヶ尾城って言うっす!

鮫ヶ尾城
話は春日山城サマや、支城たちから伺ってるっす!
此度の戦は、よろしくお願い奉るっす!

柳川城
坂戸城さんが、鮫ヶ尾城さんと……。
なるほど。これは事態の深刻さが伺えますね。

やくも
えっと……それはどういうことだに?

坂戸城
うむ。我々は上杉のお家騒動『御館の乱』で敵対した間柄。
本来であれば、私とは水と油にも等しい関係なのだ。

坂戸城
これまでなら……たとえ兜が相手でも、
手を結ぶことなど考えられなかった。

鮫ヶ尾城
……それは自分だって同じことっす!

鮫ヶ尾城
けど……坂戸城が動転するとこなんて初めて見たっす。

鮫ヶ尾城
(それに、あんなに深々と頭を下げてお願いされたら、
 自分だけ意地を張ってるのもなーって……)

坂戸城
……ん、なんだ? 何か言ったか?

鮫ヶ尾城
な、なんでもないっす!
今回は特別に力を貸すって言っただけっす!

鮫ヶ尾城
春日山城サマたちも、すぐ近くで戦ってくれてるって話っす。
だから別に、坂戸城のためってわけじゃ……!

鮫ヶ尾城
……と、というか!
上杉景勝といえば、自分の主、景虎サマの命を奪った憎き仇っす!
そんな奴がのさばってるって聞いたら、黙ってられるわけがないっす!

殿
…………!

柳川城
上杉景勝……! 此度は、
彼の巨大兜と相対することになるのですね……。

与板城
……それだけではありません。

与板城
数日前のことになりますが……坂戸城さんたちと同じく、
私も、兜の気配を感じたのです。
それは、やはり……今までに無いほど強大なものでした。

与板城
私が勘付いたのは、偶然ではないでしょう。
その兜との縁が、私に危機の訪れを報せたのです。

千狐
与板城さんと、縁の深い兜。つまり……。

与板城
――……っ!!

与板城
……おいでになったようですよ、皆さん……!

殿
…………。

殿
…………!

直江兼続
ほう……殿までいるではありませんか。

直江兼続
想像以上に動きが早い……。
やはり……先んじて出陣を決した判断に、
間違いはなかったようです。

坂戸城
此地より……兜の気配を感じた時に、思ったのだ。
『ああ、とうとうこの時が来たのか』と……。
上杉家の城娘たちは皆、似たような心地を覚えただろう。

坂戸城
上杉家の栄光を願う者ならば、
誰もが『ここで勝利を収めていれば』と考える。
……此地は、そんな場所なのだ。

与板城
貴方もそうだったのでしょう……兼続さま?

直江兼続
知ったような口を聞かれるのは、
癪ではありますが……その通り。
我が魂は何より、此地における勝利を欲していた。

直江兼続
出羽国において生じたあの戦は……、
上杉にとっては最後の活路と言えました。

直江兼続
伊達・最上軍を討ち、
北陸と東北の全てを支配下に収め……関東へと繰り出す。
上杉の栄華を取り戻すにはもはや、それ以外に無いと。

直江兼続
しかし、世の流れに逆らうことは困難でした。
皆が徳川に屈し……三成は敗北。
そして、関ヶ原には……。

与板城
だからと言って……今更、
此地を支配して何が変わるというのですか……兼続さま?

与板城
此世はもう……貴方の魂に刻まれた記憶とは、
違う道を歩んでいるのですよ?

与板城
貴方が勝ったって、上杉も民も……誰も幸せにはならない。
裏で糸を引いている『あの御方』とやらが笑うだけではありませんか。

直江兼続
……ならば、問いましょう。

直江兼続
与板城、お前は……。
上杉も民も……兜も城娘も、遍く全てを幸せに導く策が、
どこかにあるとでも言うのですか?

与板城
それは……。

直江兼続
事態は至極、単純なのですよ……与板城。

直江兼続
殿が死ぬか、兜が死ぬか。
勝って無念を晴らすか、負けたままを良しとするか。
……そのどちらかしかない。

直江兼続
私の胸中に思いを馳せるなど、お節介も甚だしい。

直江兼続
貴方たちは精々、
過去の無念に囚われた怨霊と戦っている……。
そう思っていればよろしいのです。

与板城
…………。

直江兼続
それでも私に同情するつもりなら……いいでしょう。
その優しさを抱えたまま、死んでいただきたい。

直江兼続
私と景勝様にとっては、最も都合が良い。

与板城
…………。

坂戸城
……与板城。

与板城
大丈夫です。
こうなることは……分かっていましたから。

与板城
あの方の掲げた『愛』と、私の『愛』……。
それらが相容れないものだった。
ただ、それだけのことなんですよね。

鮫ヶ尾城
兼続の奴……ここに来るまでに、
覚悟は決めてきたって感じっすね。
こうなったら……こっちも応戦するしかないっす。

殿
…………。

与板城
御屋形、ありがとうございます。
兼続さまと言葉を交わす機会をくださって。

与板城
ですが……これ以上の対話は無用です。

与板城
それでは、兼続さま……貴方の想いは、
この与板城の手で両断させていただきますっ!

後半

直江兼続
ぬぅ……ぬおおおおぉぉ……!!?

やくも
巨大兜が崩れ落ちていくがや……!

与板城
兼続さま……っ!

直江兼続
くそ……くそ……!
くそおおおおおぉぉぉッッ!!!

殿
…………!

直江兼続
身体から、力が……!
あれほどまでに満ちていた力が、失われていく……!

柳川城
ここまでの戦いで、貴方の身体は、
とうに限界を超えているはず。
直に崩壊へと向かっていくでしょう……。

与板城
……兼続さま。

直江兼続
なぜ動かん、なぜ立てん!
勝たねばならぬ……討たねばならぬのだっ!

直江兼続
今の私にはもう……これしかない!
景勝様のためにできることはもう、
勝つこと以外に残されていないのだ……!

直江兼続
景勝様からの御恩に報いるためには……もう――!

???
……そんなことはないぞ、兼続よ。

直江兼続
……!?

直江兼続
こ、この声は……!?

上杉景勝
見事な戦いだったぞ……兼続。

やくも
巨大兜が……もう一体現れたがやっ!?

鮫ヶ尾城
上杉景勝の名を冠する巨大兜……。

千狐
漂わせる強大な力……あの兜も、
武神降臨の儀を果たしているようです……!

坂戸城
景勝公……沈黙を貫いていたあの巨大兜が、言葉を……。

直江兼続
か、景勝様……私は、私は……。

上杉景勝
悔いていたのは……私の方なのだ。

上杉景勝
お前の働きに、もっと……感謝と労いを尽くすべきだった……とな。

上杉景勝
だから……言わせてほしい、兼続よ。

上杉景勝
最期まで世話を掛けたな……。
まことに……大儀であった。

上杉景勝
お前のような忠臣に出会えた幸運に、
私は……心から感謝する。

直江兼続
…………。

直江兼続
……ああ。

直江兼続
夢か、現か……。まさかこのようなことが、起こるとは。

直江兼続
背負った無念を抱えながら、
戦いに身を投じるのみだと思っていましたが……そうですか。
此世の定めはこのようなめぐり合わせを……与えてくれるのですね。

直江兼続
今……気づきました。私は、
出羽における勝利よりも、何よりも……、
ずっと、貴方の言葉を欲していたのですね。

上杉景勝
兼続……。

直江兼続
最期に、お会いすることができて……良かった。

直江兼続
私、は……、
上杉家にお仕えできたことを――幸福に……思い――

直江兼続
景勝……様…………。

直江兼続
…………。

直江兼続
……………………。

上杉景勝
…………。

与板城
兼続さま……。

千狐
直江兼続の名を冠する兜の力が……完全に……。

上杉景勝
…………。

上杉景勝
……殿よ。

殿
…………。

上杉景勝
……覚悟は良いな。

上杉景勝
私は……お前を斬るぞ。

武神降臨!上杉景勝

続けて出現した巨大兜が殿一行に襲い掛かる。
武神降臨の儀を経て絶大な力を得た
強敵を討伐せんがため、いざ出陣せよ。

前半

負けた……負けた。
思いは潰えて、塗りつぶされた。

忠臣も、民も……導くことができなかった。

上杉の意志は、生ぬるい平穏の中に溶けて……消え去った。

しかし、それでも……道は前にしか延びていない。

選んだからには……勝ったからには、
その責務を全うしなければならない。

だから……私は、最期の時まで――

上杉景勝
…………。

豊臣秀吉
おぉ……ヤットお目覚めかい。

上杉景勝
秀吉様……お久しぶりです。

豊臣秀吉
お久しぶり……か。妙ナ心地ダガ……確かに、
ソノ言葉が一番適切なのダロウ。

豊臣秀吉
にしても……。ドウヤラ、
随分苦労シタみたいジャネェカ……景勝。

上杉景勝
……いえ。秀吉様の無念に比べれば……私など。
私はただ、上杉家を背負う者としての役目を果たしたのみです。

上杉景勝
主の正しさを貫けぬまま……太平の訪れた世で、
のうのうと生き延びていたことを、ずっと悔いておりました。

豊臣秀吉
相変ワラズ、謙虚な奴だ……オ前は。

上杉景勝
…………む。

上杉景勝
それでは、そろそろ私は行きます。
……家臣が出立を待ちかねているようですから。

豊臣秀吉
……家臣? 兼続の奴ナラ、もう――

突撃式トッパイ形兜
――ッ! キ、気ヅカレタ……!?

豊臣秀吉
ん、アイツは……。

上杉景勝
此世においては、もう長い付き合いになります。
目覚めて間もない頃から、私を一重に信じてくれていました。

上杉景勝
私は幸運です。
家臣に主に、父上……いつの世においても、出会いに恵まれた。

上杉景勝
貴方様からも、多くのものを頂きました。
……移り変わる時代の中で、その意志を守れなかったことが心残りでしたが。

豊臣秀吉
……景勝。

上杉景勝
では、秀吉様……私はこれにて。

突撃式トッパイ形兜
景勝様……。

上杉景勝
…………。(こくり)

突撃式トッパイ形兜
…………!

突撃式トッパイ形兜
サァ者共、出陣ダ! 向カウハ出羽国!
コレヨリ始マルハ、上杉ノ行ク末ヲ左右スル決戦ト心得ヨ!


――御意ッ!

兜軍団
出撃準備、完了!

兜軍団
今コソ仇敵ヲ討チ果タサンッ!!
今コソ仇敵ヲ討チ果タサンッ!!
今コソ仇敵ヲ討チ果タサンッ!!

豊臣秀吉
…………。

豊臣秀吉
心残リ、か。……お前はソウ感じてくれるだろうと思ッテいたよ。

豊臣秀吉
オ前はよく出来た家臣ダッタ。
俺ヲ否定することなんざ……スル訳がねぇ。

豊臣秀吉
シカシ……お前にとっちゃソレはある意味、
呪イみたいなもんだったんダロウよ。

豊臣秀吉
ソイツを背負ワセちまったことを俺は……心のドコカで――

豊臣秀吉
…………。

豊臣秀吉
アバヨ……景勝。

――――

上杉景勝
……覚悟は良いな。
私は……お前を斬るぞ。

やくも
く、来る……来るだに!

鮫ヶ尾城
す、凄まじい気迫っす……まるで空気が震えるみたいっす……!

坂戸城
…………。

与板城
坂戸城ちゃん……良いのですか?
景勝さまは、貴方の――

坂戸城
……そうだな。
景勝公から受けた恩は、数え上げればキリがない。
話したいことは山程ある。

与板城
だったら……!

坂戸城
だから……すぐに始めよう。
私たちと景勝公の……最期の戦を。

与板城
えっ……?

坂戸城
言葉は不要だ。
答えは……刃と刃が擦れ合う、その刹那にある。

坂戸城
剣と共に生きた、私の生き様は……戦いの中でこそ語られる。

坂戸城
私たちはただ……勝利のみを見据え、進んでいけば良い。
かたじけないが、頼むぞ。
殿、柳川城……鮫ヶ尾城、与板城。

鮫ヶ尾城
言われなくてもやってやるっす!
あいつには、ぶつけてやりたい想いがたっぷりあるっす!

与板城
分かりました。坂戸城ちゃんがそう仰るなら……、
私も、全力を尽くすのみです。

殿
…………!

坂戸城
想いも、力も……、
私の持ちうる全てを、この戦に注ごう。
では……坂戸城、参るっ!

後半

上杉景勝
…………ッ!! グウウウゥ!!!!

突撃式トッパイ形兜
景勝様ッ!? 景勝様ァァッ!!

上杉景勝
…………。

上杉景勝
(く……もはや、ここまでか)

上杉景勝
(残ったのは、この兜のみ……。ならば――)

上杉景勝
…………。

突撃式トッパイ形兜
……景勝様?

上杉景勝
……お前ならば、分かるだろう。
私がお前に……何を求めているか。

突撃式トッパイ形兜
…………ッ!

突撃式トッパイ形兜
ナリマセン……ナリマセン!
主ヲ見捨テテ逃ゲルナド!
景勝様ガ最期ヲ迎エルナラバ、私モ……!

坂戸城
…………。

上杉景勝
無論、死んで残るものはある……。
だが、生きねば成せぬこともある。
お前もいつかは死するだろうが……今ではない。

上杉景勝
……これは命令だ。これ以上の口答えは許さぬ。

上杉景勝
ここから逃げて……生き延びよ。……さぁ!

突撃式トッパイ形兜
…………。

突撃式トッパイ形兜
……オ世話ニナリマシタ、景勝様。

突撃式トッパイ形兜
(――ダダッ!)

上杉景勝
(そうだ。逃げろ……生きろ)

上杉景勝
(どんな未来も、生き抜いた先にしか……延びていないのだ)

上杉景勝
(だから……見苦しくとも、悲しくとも。
 ……生きて、生き続け……て……)

上杉景勝
…………。

やくも
あぁ、兜が逃げてくだにっ!?

千狐
すぐに後を追いましょう。生き延びたら何をしでかすか……!

殿
…………。

坂戸城
待て……待ってくれ。私の言葉を聞いてくれないか……。

坂戸城
頼む……奴のことは、見逃してやってほしい。

鮫ヶ尾城
……坂戸城。

坂戸城
あの兜が敵であることは理解しているつもりだ。
見逃せば、どんな危険があるのかも……。

坂戸城
だが……今の奴を背中から斬りつけることは……私にはできん。

坂戸城
それをしてしまったら……、
私は、私でなくなってしまう。
そんな気がするのだ。

与板城
…………。

坂戸城
奴のことは、此度の後始末が終わり次第……私が決着をつけよう。

坂戸城
有事の折には、この命で責任を取る。
だから……頼む。この通りだ。

殿
…………。

殿
…………!

柳川城
そうですね……過酷な戦で皆、疲弊しています。
これ以上の深追いは、私たちにとっても大きな危険を伴うものになります。

柳川城
坂戸城さんの言葉を信じ……、
此度の戦はこれにて、幕引きといたしましょう。

坂戸城
ありがとう……寛大な処遇に感謝を――うぅっ!

与板城
坂戸城ちゃん、大丈夫ですか!?

鮫ヶ尾城
もしかして、さっきの戦で怪我を……!?

千狐
すぐに所領へ転移し、手当をしなければ……!

坂戸城
平気だ……大した傷ではない。

坂戸城
それに……今は、
自分の身よりも案じなければならぬものがある。

坂戸城
すでに散々力を借りて、
守るほどの誇りが残っているかは分からないが……、
必要以上の世話を掛けるわけにはいかないのだ。

坂戸城
だから、頼む……ここから先は、私たちに任せてほしい。

殿
…………。

殿
…………!

坂戸城
重ね重ね……感謝する。
始めから最後まで、我儘ばかりだな……私は。

やくも
みんな……もしものことがあったら、うちらに頼るだに。
無理は絶対禁物だに……やから――

鮫ヶ尾城
承知っす! 坂戸城のことは自分がちゃーんと見張っとくっす!
無理を通そうとして共倒れになっちゃ、元も子もないっすから!

与板城
それに、坂戸城ちゃんの傍には、この与板城も居ります!
お節介は私の十八番ですから、ご安心ください!

坂戸城
上杉の城娘たち皆で力を合わせ、
必ず此地を復興に導くと……約束しよう。

殿
…………。

殿
…………!

柳川城
……はい。それでは私たちは、所領へと帰還しましょう。
千狐さん、お願いできますか?

千狐
……はい、承知しました! では――!

千狐
――コンッ!
秘技・時空転移術なのぉ――っ!!

負けた……負けた。
思いは潰えて、塗りつぶされた。

忠臣も、民も……導くことができなかった。

上杉の意志は、生ぬるい平穏の中に溶けて……消え去った。

しかし、それでも……道は前にしか延びていない。

選んだからには……勝ったからには、
その責務を全うしなければならない。

だから……私は、最期の時まで――

上杉景勝
…………。

坂戸城
景勝公。……景勝公。
私の声が、聞こえているか……?

上杉景勝
…………。

上杉景勝
これ以上、お前たちと何を語ることがある……?

坂戸城
特段、聞きたいことがあるわけでもない。
だが……これで最期なのだ。敵同士といえど、
多少言葉を交わしたって罰はあたらないだろう。

坂戸城
どんなことでもいい。
思い浮かんだことがあれば……聞かせてほしい。

上杉景勝
どんなことでも……。

上杉景勝
…………。

上杉景勝
私の無念が……お前に伝わっているか、坂戸城。

上杉景勝
私を見ろ……見るのだ。
想いを遂げることなく、悔いと恨みに塗れて朽ちる……、
この無残な姿を、その目に焼き付けよ。

坂戸城
…………。

上杉景勝
お前たちは……私に勝った。
故に……下らぬ死に方は許されぬぞ、坂戸城。

上杉景勝
道を外れて安穏に暮らすことも……同罪だ。
そのようなことがあれば、どんな手を使ってでもお前に誅罰を下す。

上杉景勝
退くことも、立ち止まることも許されぬ修羅の道。
他者を蹴落とし、勝利を手にした者には、
それ以外の道は全て、閉ざされるのだ。……分かるか、坂戸城。

鮫ヶ尾城
…………。

与板城
貴方もそうだったのですか……景勝さま?

上杉景勝
無論だ。戦国に生きた大名の多くがそうであったように……私も。

上杉景勝
迷いが生まれた時……足を止めそうになった時。
……その度に、奴の視線を感じた。

坂戸城
……奴?

上杉景勝
……景虎だ。
私が通り過ぎていった道の……遥か後ろから、
景虎の視線を感じたのだ。

鮫ヶ尾城
……っ! 景虎サマの……?

上杉景勝
向き合え、戦え……進め。奴の視線が、そう訴えかけていた。

上杉景勝
私の今は……無数の死と敗北の上に、成り立っている。
その事実を、片時も忘れることが無かったのは、景虎のお陰だ。

上杉景勝
だから、何度でも言おう。私の死を……決して忘れるな。

上杉景勝
この魂が、これからどこへ向かうかは分からぬが、
私はお前たちをいつまでも見ているぞ。

上杉景勝
所詮、私は……時代の敗者。
言い残せる……ことなど、その程度……。

坂戸城
……景勝公!

上杉景勝
いや、むしろ私にしては……喋り過ぎたくらいか……。

上杉景勝
おそらく……私は、
最期に、お前たちと……話せたこと、を……。

上杉景勝
ふ、……ふふ……。

上杉景勝
…………。

上杉景勝
……………………。

坂戸城
…………。

与板城
…………。

与板城
……坂戸城さん。

坂戸城
……ああ。逝ってしまったようだ。

鮫ヶ尾城
…………うぅ。

鮫ヶ尾城
うううぅ……うぅ、ぅぅ……!

坂戸城
鮫ヶ尾城……涙が……。

鮫ヶ尾城
泣いてなんか……泣いてなんかないっす……。

鮫ヶ尾城
こいつは、景虎サマを手に掛けた、最低な奴っす。
こんな奴のために流す涙なんて、自分には一滴だって無いっす……。

鮫ヶ尾城
でも……でも……。
こいつは、ずっと覚えてたんすね。

鮫ヶ尾城
景虎サマの想いも背負って……。
ずっとずっと、戦ってたっす。

鮫ヶ尾城
だから……だから、
景虎サマが生きてたことは無駄じゃなかったんだって、分かったっす。
そう思ったら……勝手に……。

坂戸城
そうだ……そして、次は私たちの番なのだ。
……鮫ヶ尾城、与板城。

坂戸城
私たちもまた、先人の死を心に刻まねばならない。
斬ってきた者たちの死をも、背負って生きていくのだ。

与板城
それは、とても……苦しい道のりですね。

坂戸城
そうだ……どこまで続くかも分からない、苦しき道だ。

坂戸城
しかし……私たちには仲間が居る。
気休めにしかならないのかもしれない。
だが、それでも……支え合って進んでいく他にないのだ。

坂戸城
…………。

坂戸城
私の歩みを……見ていてくれ、景勝公。

坂戸城
……言われなくとも、忘れることなどあり得ないさ。
私の心も……身体も、
元を正せば、貴方の願いによって作られているのだから。

坂戸城
だから……安心してほしい。坂戸城は最期の時まで、
上杉の名に相応しき生き様を貫くと……ここに誓おう。

坂戸城
さらばだ……我が主よ。

上杉景勝
……………………。



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裏]真田丸(チャリン……チャリン……チャリン……)……貴殿か。今日は、話をしたい気分じゃない。足を運んでくれたのに、すまない。一文……二文……三文……四文……五文……六文……銭を数えていなければ、一瞬...

[裏]淀城

]淀城あ~……。あ゛ぁ~……きもちわる。夢見は悪いし、頭はズキズキ痛むし……。ほんっとに最悪な日よ、今日は。誰でも良いから……。どつき回して、ぐちゃぐちゃにしたい気分。…………。……で、なに?そこに突...

[裏]桜尾城

]桜尾城殿……どうかしましたか?……ふふ、今回は間違えませんでしたよ。あなたの安らぐ顔もまた、私の喜びなのですから。私は今……海を見ていました。このどこまでも凪ゆく、厳島の海を……。厳島周辺は神域とい...

[裏]川越城

]川越城お客様かしら……どうぞ。貴方は、確か……ちょっと待ってね……。うん……たぶん、『殿』よね……?やっぱり……人違いでなくて、良かったわ。ふふ。今丁度、過去の私が遺した日記を読み返していたのよ……...

[裏]小田原城

]小田原城…………。……あら、殿。ようこそいらっしゃいました。ああ……いえ、ご心配なく。少し考え事をしていただけですから。今、ちょうど……。昔の出来事に思いを馳せていました。今の私を形作る、原点とも呼...

[裏]小牧山城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 所持特技1.4 [改壱]所持特技1.5 計略1.6 [改壱]計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3...

[裏]室町第

裏]室町第殿……ふふふ。どうせまた来るって、そんな気はしていたわ。私がどんなに忠告をしても、貴方は自分の信念を曲げない。本当に……つくづく、強い人ね、殿は。私のせいで、どれほど悪いことが起こっても殿は...

[裏]大宰府

]大宰府おお、殿か。よく来てくれたな。今な、手紙を整理しておったのじゃ。最近は毎日、誰かしらから届くのでな……。この手紙は……、『大宰府ちゃん親衛隊』を自称する者たちからじゃな。大野城、鞠智城、基肄城...

[裏]坂本城

]坂本城大殿様……また来たのね。ふふ……別に、追い返したりしないわよ。というより……私も今ね、大殿様と話せたら、って考えてたところだったの。だから……少しの間、私の話し相手になってくれるかしら?……ふ...

[裏]佐和山城

]佐和山城……また来たのね、あなた。足を運んでくれたところ悪いけど、面白いものは何も見れないわよ?相変わらず、大坂城様のらいぶに向けて、準備をしているだけだもの。……ん、なに?『なぜ、そこまで大坂城様...

[裏]伊勢長島城

]伊勢長島城も~、なんなのあいつら!信じらんない!寄ってたかってライブの邪魔をして!いったいどこから情報が漏れたの?もしかして、殿じゃないでしょうね……!?……そんなわけないか。あたしは、あんたにな~...

[花嫁衣装]鹿児島城

目次1 性能1.1 特技1.2 計略1.3 [改壱]計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< ロケト城 - [花嫁衣装]シャンティイ城 >[花嫁衣...

[花嫁衣装]鮫ヶ尾城

]鮫ヶ尾城はあ……春日山城サマの祝言、想像するだけでドキドキしてしまうっす!ね、ちびサマ~♪……ん?どうしたっすか、トノ?えっ、『主城のことより自分はどうなのか』っすか……?うぐ……これは痛いことを言...

[花嫁衣装]許昌城

]許昌城うーん……。ううーん……。……おや、殿か?すまない、考え事をしていて来訪に気づいていなかった。この間、殿と話してから、結婚に関して城娘達と話をしたのだ。繁栄という目的へ至る手段としての婚姻……...

[花嫁衣装]萩城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< [花嫁衣装]チャンドラ・マハル - [花嫁衣装]新田...

[花嫁衣装]秋田城

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[花嫁衣装]春日山城

]春日山城うーん……。……うーん? ……うん?……殿?すみません! お越しいただいていたのに、今の今まで気づかずにいて!実は先日、坂戸城と謙信公の昔話をしてたのですが、その際、跡継ぎの話題が出たのです...

[花嫁衣装]新田金山城

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