ストーリーテキスト/武神降臨!加藤清正

ページ名:ストーリーテキスト/武神降臨!加藤清正

武神降臨!加藤清正

巨大兜、加藤清正が出現したとの報あり。
武神降臨の儀を経て絶大な力を得た
強敵を討伐せんがため、いざ出陣せよ。

前半

『君、臣を使うに礼を以てし、臣、君に事うるに忠を以てす――』

忠……忠とは……まことの忠誠とは、なんだ……?

在りし日に心より仕え、恩に報いるためにと働いたとしても――
主亡き後に袂を分かてば……不忠となろうか……?

ああ……そうだとも……無論そうであろうよ………。

やんぬる哉…………。
我が身を慰める言を求め……書をかきまわすこの姿に……。
忠などあろうはずがない――――

加藤清正
………………。

加藤清正
吾、は…………?

豊臣秀吉
ようやくオ目覚めカイ、虎之助。

加藤清正
…………!
その御声……よもや、太閤殿下で…………?

豊臣秀吉
おいオイ、魂ニ引っ張ラレ過ぎたカ?
コノ成りをヨク見ロ……俺ハ、オマエの旧主『ソノモノ』じゃネエよ。

豊臣秀吉
その器ニ宿る記憶ヲ辿って貰えバ、今更説明スル必要もない筈ダゼ?

加藤清正
…………。
………………あぁ。

加藤清正
なるほど、これは……数奇なことでありまするな……。

豊臣秀吉
状況が飲ミ込めたヨウデ、何ヨリだ。
デアレバ……今ノ主と果タスべき定めハ、言うマデモ無いダロウよ。

加藤清正
……委細承知に候。
殿下と同じく……兜の使命へ、忠義を捧げる身にございますれば。

豊臣秀吉
ナラ、結構サ……。

加藤清正
…………。
………………あぁ。

豊臣秀吉
然らば清正ヨ……オ前はその力を、何処デ振ルウ?

加藤清正
…………。
願わくば…………。

加藤清正
かつて殿下の元で、徳川と一戦交えた戦場……。
彼の地にて、主への戦功を上げて参ろうかと。

豊臣秀吉
そうかい……あそこヲネェ……。

加藤清正
……意外でございましたか。

豊臣秀吉
イヤ……。
随分、渋イところヲ選ンダと思ったダケサ。

加藤清正
……何処であろうと、所詮は初陣に過ぎませぬ故。

加藤清正
この力を以て孰れは日の本を制し、
殿下に捧げると思えば――――

豊臣秀吉
清正ァ……。

加藤清正
分かっております…………無論、全ては我らが悲願の為。

加藤清正
されども……其れは即ち、
同じ志に立つ、殿下への御役立てともなりましょう。

豊臣秀吉
…………。

加藤清正
火宅の妄言が過ぎましたな……申し訳ありませぬ。

加藤清正
この身も、御身も虚像に過ぎぬと知りながら……。
やはり某は…………。

豊臣秀吉
ナニ、文句ヲ言おうッテ訳じゃネエヨ。
仕事サエこなしてくれレバ、俺ァ別に構わねえノサ。

加藤清正
…………。
さすれば……『賤ケ岳の槍』として陣立てをしても、構いませぬな?

豊臣秀吉
ヘエ……驚いたネエ。
その名を嫌ッテイタお前が、ドウイウ風の吹キまわしダ?

加藤清正
別段深い理由もございません……戦へ向かう一兵として、
武功の心構えを胸に留めるだけのことでございます。

豊臣秀吉
なるほどネ……。
構わネエサ、お前ガ好きなヨウニ、武ヲ示すが良イ。

加藤清正
かたじけない御言葉…………では、某はこれにて。

豊臣秀吉
アア、イッテこい。
引き止めチマッテ、悪かったナ。

加藤清正
……殿下にこうして送られることが、何よりの僥倖でございますれば。

豊臣秀吉
ソウカイ…………。

加藤清正
立て、我が精鋭たちよ……!
世に再び……桐紋の威光を、燦然と輝かせるのだ!!


御意ッ!

兜軍団
出撃準備、完了!

兜軍団
今コソ仇敵ヲ討チ果タサンッ!!
 今コソ仇敵ヲ討チ果タサンッ!!
  今コソ仇敵ヲ討チ果タサンッ!!

豊臣秀吉
…………。

豊臣秀吉
ヤレヤレ……。
仕事ガ残ってイルと叩き起こさレタ、マデハ良かったガ……。

豊臣秀吉
最初ノ相手が、ヨリにもよってお前にナルトハナァ……清正ヨォ……。

豊臣秀吉
気負ウ必要も、思イ患ウ必要もなかったト……。
今の俺デハない俺ガ、オマエに言ッテやれたナラ……――――

――――

――数日後、所領。

柳川城
まさか、熊本城さんが御姉妹連れでいらっしゃるとは……。
先に知らせて下されば、お迎えにあがりましたのに。

熊本城
いえいえ、お気遣いなく!
買い付けにこの付近まで出てくる必要があったので、
ご挨拶だけでもと思った次第ですから。

熊本城
ふふ、でも三人で来た甲斐はありました~……って、あら……?

殿
…………?

柳川城
そ、そういえば、
先程から隈本城さんと肥後千葉城さんの姿が見えませんね。

熊本城
う~ん、くまったなぁ。
せっかく皆揃って、辛子蓮根でお茶ができると思ったのに……。

立花山城
…………(チラッ)

(僅かに開いた襖の裏)

肥後千葉城
(ね、ねえ……隈ちゃん……。
 流石に、そろそろ出ていった方が良いんじゃないかなぁ……)

隈本城
(今更そんな……熊本城お姉ちゃんの辛子蓮根は強烈に辛いからって、
 先にこっそり抜け出したのはお姉ちゃんじゃない……!)

立花山城
…………。

立花山城
(ま……私が口を出すのも野暮よね……)

千狐
殿~っ!
大変なの~っ!

殿
…………!

柳川城
千狐さん……?

熊本城
何やら、慌てている様子ですね?

隈本城
(わわ、お姉ちゃん……千狐さんが来る……奥に隠れて!)

肥後千葉城
(ふぎゅ……そ、そんなに押さないで隈ちゃん……!)

千狐
はぁ、はぁ……殿っ、一大事です!
尾張の国に、武神化した巨大兜が現れたとの知らせが!

殿
…………っ!

千狐
こちらが、その文です……!

柳川城
文の主は、小牧山城さん……。
そして、観測された巨大兜の名は――――加藤清正!

熊本城
なんですって…………!

隈本城
(あの巨大兜……)

肥後千葉城
(清正様の、武神化……!)

立花山城
書面の日付からして……丁度今頃、小牧山城は……。

殿
…………。

柳川城
はい、殿。
急いだほうが良いかと……!

熊本城
殿……武神討伐の出征、この熊本城も参ります。
宜しいでしょうか。

殿
…………!

柳川城
熊本城さんの参陣は心強いですが、その……良いのですか?
遠出の予定を妨げてしまうのでは……?

熊本城
武神出現という事態の前では、そのようなことは些事に過ぎません。
まして……それが加藤清正の名を冠する巨大兜であれば尚更……。

殿
…………。

熊本城
私がこうして所領に立ち寄ったのも……、
まさに今、可愛い妹たちが席を外しているのも、何かの縁でしょう。

熊本城
頼みます、殿。
私には、熊本城として為すべき仕事がある……そんな予感がするのです。

殿
…………!

隈本城
(熊本城お姉ちゃんの、あんな真剣な顔……初めて見た……)

肥後千葉城
(うん、私も……ねえ、隈ちゃん?)

隈本城
(……そうだね。私たちも一緒に――)

やくも
ぜぇ、ひぃ……あげに千狐の足が速いなんて、びっくりだに……。

肥後千葉城
(わわわ、隈ちゃん! やくもちゃんが来たよ~!)

隈本城
(ちょ、お姉ちゃん!?
 ま、まだダメ、心の準備がっ!)

やくも
……二人とも、何やっとるがや?

肥後千葉城
ひゃ――!?

(ばたんっ……どたどたどたっ!)

殿
…………!?

熊本城
まあ……!

柳川城
く、隈本城さんに、肥後千葉城さん……?

隈本城
あわわ……ごめんなさい!
その、部屋に入る時機を逸しちゃって……。

熊本城
……二人とも、聞いていたのね。

隈本城
…………。
はい……武神が現れたことと……。

肥後千葉城
……そしてそれが、加藤清正を名乗る兜だってことも……。

熊本城
そうですか……。

熊本城
…………今度の戦は間違いなく、とても危険なものになるわ。

熊本城
殿たちの出征には、私だけが同行します。
隈本城ちゃんと肥後千葉城ちゃんは、買い付けの続きを――

肥後千葉城
ううん、私たちも行くよ!

熊本城
肥後千葉城ちゃん……?

隈本城
私も……あの兜と決着をつけたいです。
かつて力を奪われ……二度までも及ばなかった、姉妹として……!

熊本城
で、でも……もし二人に何かあったら、私は……。

肥後千葉城
お願い、熊本城お姉ちゃん!
絶対、足手まといににはならないから……!

隈本城
私たちも、あれから更なる鍛錬を積んできました。
だから……きっと、お役に立ってみせます!

殿
…………。

立花山城
二人の決心は、固いみたいよ?

熊本城
…………どうやら、そのようですね。

熊本城
因縁に決着をつけるという意味では、妹たちも私と同じ。
であれば、同じ城娘として……止める理由はありません。

肥後千葉城
熊本城お姉ちゃん……!

隈本城
ありがとうございます……!

熊本城
二人のことは、私が責任をもって守り抜きます。
殿、宜しいでしょうか……?

殿
…………!

やくも
(はぇぇ……本物の熊本城と妹たちが喋ってるところ、
 初めて見ただに……)

柳川城
そうと決まれば……皆さん、早速支度を整えましょう!

千狐
準備が終わり次第、尾張の国へ転移ですっ!

――――

――数刻前。
――――尾張の国北部、某所。

加藤清正
……東軍と西軍の城娘が手を結び、吾を迎えるか。
面白い、そうこなくてはな。

小牧山城
ふん、柴田の尻尾風情が……。
大将自ら一番槍とは、舐めた振舞いをしてくれる。

犬山城
あれが武神化した清正なんだ……と、とっても強そうだね……。

小牧山城
(文が届いていれば、直に殿たちが駆け付ける頃合いじゃ。
 ……それまでは何としても我らで保たせるぞ、犬山城よ)

犬山城
(うん……殿の為にも、私頑張る!)

加藤清正
心は決まったか……城娘たちよ。

小牧山城
ほざけ――――
貴様を討ち滅ぼす算段など、既に済んでおるわ!

犬山城
先制砲撃……やっちゃえーっ!

加藤清正
その意気やよし……では、ゆくぞ……!

加藤清正
太閤殿下の、長片槍として――――

――――

――――――

千狐
――コンッ!
転移、無事成功しましたっ!

柳川城
小牧山城さんたちは……。
…………っ!

加藤清正
やはり来たか、殿よ……待ちわびたぞ。

殿
…………!

加藤清正
お主のことは、よく覚えておるとも……。
この器の記憶としても、魂の宿縁としてもな。

立花山城
……少し、遅かったみたいね。

小牧山城
くっ……すまぬ、殿よ……。
せめて、痛打を彼奴に食らわせておきたかったが……。

犬山城
はうぅ……全然、効いてなかったよぉ……。

千狐
お二人とも……!

やくも
こりゃあ大変がや……!
二人はこっちで、手当てするだに!

加藤清正
ふ……それにしても、実に胸のすく初陣であった。

加藤清正
当時……僅かな兵を以て殿下のお側に終始した吾が……。
今やかつての東西両陣営を相手取り、
その全てを掌握するほどの武を得たのだからな……!

殿
…………。

――――それは、過去の処遇に心残りがあった、ということですか。

加藤清正
ぬ…………。

熊本城
太閤殿下への忠義を重んじる……貴方らしくないお言葉ですね。

加藤清正
お前は……熊本城か……!

肥後千葉城
わ、私たちも居るんだからっ!

隈本城
兜の記憶があると言うのなら……。
私たち姉妹のことを、忘れたとは言わせませんよ!

加藤清正
そうか……そうか……。
ふふ、ハハハハ……!

熊本城
…………何が可笑しいのです。

加藤清正
なに……。
虚仮の奇縁も、魂の因縁も……糸の撚られるが如く此の地に集ったのだ。
可笑しいと思うのも、無理はないだろう。

殿
…………。

加藤清正
ふん……徒に言の葉を重ねるのは、主らの好みではないか?

加藤清正
良い、良い……。
もとよりお主とは、本来交わらぬ世に生きた者同士……。

加藤清正
殿……そしてお主に付き従うかつての我が城たち……。
一つ所へ撚られた糸ほど、断ち切るには容易いものだ。

加藤清正
ならばこそ、全ての過去を此の地で清算し――
新世を拓く殿下の槍として……我が身を新たに定義しようぞ……ッ!

殿
…………っ!?

柳川城
く……武神の気が膨れ上がって……っ!

熊本城
(殿下……秀吉の槍……そうですか……やはり貴方は、まだ……)

隈本城
熊本城お姉ちゃん、武神が来ますっ!

熊本城
ええ……!
手筈通りに……二人とも、支援をお願いねっ!

加藤清正
熊本城に、その前身の二城……うむ、良い……!
殿下へ捧げる首級には……申し分なかろうぞ……!!

熊本城
世迷い事を……!
縁を断ち切ると吐きながら、悔いを抱え続ける貴方の妄執、
私たちが突き穿ってみせましょうっ!!

後半

肥後千葉城
てやぁああ――っ!

隈本城
これで――どうですかっ!!

加藤清正
おぉ…………武神降臨の儀を経た、この吾と渡り合うまでとは……!

加藤清正
腕を上げたのは真らしいな……だが――――!

隈本城
(――っ、この距離で見失った……!?
 そんな馬鹿な――)

肥後千葉城
隈ちゃん、後ろ!

加藤清正
未だ、我が器を凌駕するには至らぬ――

隈本城
しまった……!!

肥後千葉城
さ、させないっ!

加藤清正
動揺が太刀筋に出るようでは、まだ甘い……!

肥後千葉城
きゃ……う……。

隈本城
お姉ちゃん……ぐ……!

加藤清正
ふむ……相容れぬ仇といえども、感慨深いものだ……。
二度の対峙を経て……城の魂が、ここまで成長するものか……。

加藤清正
のう……熊本城よ……?

熊本城
…………。

加藤清正
前衛を二人にすげ替え、隙を伺っていたようだが……。
その程度の策、吾が気づかぬとでも……?

熊本城
……解せませんね。

加藤清正
吾が、か……?

熊本城
ええ……戦の最中ですら、冷静な分析を怠らず……
武に驕ることなく、狡猾に立ち回る貴方が――

熊本城
何故、虚ろで無意味な忠義に盲従しているのか……。
不思議でならないのです。

加藤清正
ふ……吾を煽り、間隙を生ぜしむるつもりか……?
無駄なことよ……!

加藤清正
吾とて、欺瞞だとは知っている……。

加藤清正
既に亡き、彼方の世で生きた太閤殿下へ……この身で贖うことなど……。

熊本城
ならば、なぜ……!

加藤清正
それでも……それでも、だ……熊本城よ……。
たとえ偽りの器に据えられし、忌むべき生だとしても……。

加藤清正
動く体躯に、目覚めし心あらば……。
悔いを残したまま留まることなど、出来はしないのだ……!

――――

私は、間違っていたのか……私は……。
恩義に背いた者として、このまま朽ち果てるのみだというのか……?

熊本城
…………。

熊本城
(分かっている、分かっているのです……清正公。
 貴方を見守り続けた私は、十分すぎる程に……!)

加藤清正
熊本城……お主に我が妄執が阻めるか――――
その身で、確かめてみよ!

熊本城
(でも……いえ、だからこそ――!)

熊本城
――――柳川城さん、今です! お願いしますっ!

柳川城
了解です!
はぁあああっ!!

加藤清正
ぬう、不意打ちか……?
否……金幕の吹雪……イチョウの葉、だと……。

加藤清正
(目眩ましなど……いや、この霊力は――――!)

肥後千葉城
――――遅いっ!

隈本城
捉えましたよ、清正様っ!

加藤清正
ぐ、ぉぉおおお……っ!?

加藤清正
お主ら……そうかっ……!
その葉は、あの日……彼の地で集めていた……!

隈本城
そう……貴方に奪われた城娘としての力を取り戻すために、
拾い集めたイチョウの葉です!

肥後千葉城
余った葉も、霊気を纏って朽ちずに残っていたんだ!
きっと、この日の為に……!

加藤清正
ぐぉああっ……こ、小癪な真似を……っ!

熊本城
そして……イチョウの縁で力を得るのは、私も同じこと!!

加藤清正
――――っ!

熊本城
そこです――――はぁああああああっ!!!!

加藤清正
ぐ……がっ…………!!

柳川城
熊本城さんの一太刀が、巨大兜を貫きました!

千狐
致命打です……!
武神の霊力が、急速に失われていますわ……!

加藤清正
ふ、はは…………やりおるな……熊本、城…………!
ぬかった、わ…………。

熊本城
…………。

加藤清正
……殿、下…………。
申し訳…………ありま、せぬ………………。

加藤清正
………………。

やくも
でっかい兜さんが、崩れ落ちただに……!

千狐
霊力の消滅を確認……!
加藤清正を名乗る兜の、完全沈黙……つまり、我々の勝利ですわ!

殿
…………!

柳川城
熊本城さんに、肥後千葉城さんたち……お見事です……!

隈本城
お姉ちゃん……これって……。

肥後千葉城
うん……隈ちゃん……!
やったんだよ……私たち、やっとあの兜に……勝てたんだ!

加藤清正
…………。

熊本城
(清正公……。
 忠義の在り方に苦悩し、焦り、盲目となった太閤の旧臣ではなく……)

熊本城
(城を知り尽くした、知略鋭敏なる本来の貴方であれば――――
 私たちは、負けていたかもしれませんね……)

犬山城
うぅ~、終わっちゃったぁ~!
私たちはやられっぱなしなんて、ちょっと悔しいなぁ……。

小牧山城
そう気に病むでない。
此度は我らではなく、あの兜と因縁深き、
熊本城たちが担う役目だった……というだけのことじゃ。

小牧山城
余もおぬしも、自身の務めは果たした……誇って、良いのだぞ。

犬山城
……ふっふ~、分かった!
小牧山城ちゃんって、実は優しい子なんでしょ~?

小牧山城
こ、こりゃ、いきなり抱きつくでない……!
まだ傷が……あたたた……!

犬山城
えへへ~~あいててて~~♪

千狐
あわわ……!
応急処置しかできていないんだから、安静にしていて下さい!

立花山城
小牧山城たちも一度所領に戻って、
治療に専念した方が良さそうね……。

柳川城
そうですね……速やかに帰還しましょう!

熊本城
肥後千葉城ちゃん、隈本城ちゃん……ごめんなさい……。
結局、あなたたちを危険に晒すことになってしまって……。

肥後千葉城
そんな、気にしないで……!
私たち、二人で決めたことだもん!

隈本城
熊本城お姉ちゃんを信用していたから、
私たちも勇気を出せたんですよ……!

隈本城
それくらい、今日のお姉ちゃんは……いててっ。

熊本城
ふたりとも……所領に戻ったら、ちゃんと手当をしてもらうのよ。

肥後千葉城
え……熊本城お姉ちゃんは?

熊本城
まだ……お姉ちゃんには、やることがあるから……。

隈本城
そんな……傷だらけなのは、熊本城お姉ちゃんも同じなのに…………。

熊本城
殿、妹たちを頼みますね。

殿
…………!

千狐
皆さん、準備は良いですか……では、参ります!

千狐
コンッ! 秘技・時空転移術なのぉ――っ!!

――

――――

『君、臣を使うに礼を以てし、臣、君に事うるに忠を以てす――』

忠……忠とは……まことの忠誠とは、なんだ……?

在りし日に心より仕え、恩に報いるためにと働いたとしても――
主亡き後に袂を分かてば……不忠となろうか……?

ああ……そうだとも……無論そうであろうよ………。

やんぬる哉…………。
我が身を慰める言を求め……書をかきまわすこの姿に……。
忠などあろうはずがない――――

熊本城
清正公……。

加藤清正
む…………熊本城、か……。

加藤清正
そうか…………。
またしても……この地で……功を上げることは、叶わなかったな……。

熊本城
貴方は……それほどまでに、悔やんでいたのですね……。
徳川へ下ったことを……。

加藤清正
ふ……何を、今更……。
お主は、見てきたであろう……我が老境の、醜き悔恨を……。

熊本城
ええ……。

熊本城
でも、それは……。
私が知っている清正公の、一つの側面に過ぎません。

加藤清正
…………。

熊本城
私にとっての、貴方は……誰かの臣下ではないのです。
そんなことは、どうでも良かった……。

熊本城
私の中では、ただ……。
民の為に力を尽くした名君、『せいしょこさん』として――――
ずっと、この胸に残り続けているのですから。

加藤清正
…………。
不思議な、ことだ……。

熊本城
え……?

加藤清正
今になって……その相貌が、よく見える…………。
熊本城……お前は……これほどまでに、美しかったのか…………。

熊本城
…………っ。

熊本城
当たり前じゃないですか……!
だって……だって、貴方様が築いた御城ですもの……!
強く、美しくあって……当然です!

加藤清正
は、は……!
吾の……手掛けた城、ながら……口が、上手いものよ……。

熊本城
貴方の手掛けた御城は――
民の願いを受け止めて、世を守り続けます……!

熊本城
これまでも、これからも…………!
だから――――

加藤清正
よい、熊本城……もう、よい…………。

熊本城
…………っ。

加藤清正
…………ふ。
忠ならずとも……遺るものは……あるもの、だな……。

加藤清正
あぁ…………それも…………悪く……ない……………。

加藤清正
………………。

熊本城
……うぅ……。

――――

…………。
静かだ……。

この静けさ……。
そうか……裏切者、不忠者……そう耳元で囁く声が、途絶えたのだ……。

何だ……木漏れ日の温もりが……頬に落ちるのを、感じる……。
ああ……イチョウの黄金が……青空に映えるのも、しかと見える……。

美しき城……静寂の領…………。
…………聴こえる……。

民の快活な声が……吾の、名……を……――――

――――

熊本城
…………。

熊本城
清正公……どうか、安らかに……。

熊本城
…………。
さて……私も、戻らないといけませんね……。

熊本城
妹たちが、待って……うぐっ……っつう……!

隈本城
わわ――熊本城お姉ちゃん、しっかり!

熊本城
え……隈本城、ちゃん……?

肥後千葉城
一緒に帰ろう、お姉ちゃん……!

熊本城
肥後千葉嬢ちゃんまで……ふたりとも……残っていたの……?
それとも……また夢か、幻なのかしら……?

肥後千葉城
何言ってるの、本物だよ、本物!

隈本城
言いつけを破ってしまったことは、謝ります……。

隈本城
でも、お姉ちゃんだけ置いていくなんて……やっぱりできませんから!

肥後千葉城
さあ隈ちゃん、お姉ちゃんに肩を……!

熊本城
そう……そうなの……。
そんなに傷だらけで……もう、困った妹たちね……!

肥後千葉城
それはお互い様だよ……あててっ!

隈本城
……おや?
いつもみたいに、『くまった』って言わないんですね。

熊本城
あらあら……お姉ちゃんを茶化すだなんて……。

熊本城
うふふ……本当に、くまった妹たちなんだから…………。

熊本城
(……貴方の為した、民の暮らしを安らげる国造り。
 この災厄を退けた暁に、必ず私たちが取り戻して見せます……)

熊本城
(だから、安心してお休みくださいね……せいしょこさん)

変身[]

加藤清正
太閤殿下の御為……肥後の虎と渾名されし我が武功、
異形の巨躯を以て、天が下に轟かせん……!



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[花嫁衣装]鮫ヶ尾城

]鮫ヶ尾城はあ……春日山城サマの祝言、想像するだけでドキドキしてしまうっす!ね、ちびサマ~♪……ん?どうしたっすか、トノ?えっ、『主城のことより自分はどうなのか』っすか……?うぐ……これは痛いことを言...

[花嫁衣装]許昌城

]許昌城うーん……。ううーん……。……おや、殿か?すまない、考え事をしていて来訪に気づいていなかった。この間、殿と話してから、結婚に関して城娘達と話をしたのだ。繁栄という目的へ至る手段としての婚姻……...

[花嫁衣装]萩城

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[花嫁衣装]秋田城

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[花嫁衣装]春日山城

]春日山城うーん……。……うーん? ……うん?……殿?すみません! お越しいただいていたのに、今の今まで気づかずにいて!実は先日、坂戸城と謙信公の昔話をしてたのですが、その際、跡継ぎの話題が出たのです...

[花嫁衣装]新田金山城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< [花嫁衣装]萩城 - [花嫁衣装]アイリーン・ドナン...