ストーリーテキスト/悲哀肯う嫁入り狐

ページ名:ストーリーテキスト/悲哀肯う嫁入り狐

目次

悲哀肯う嫁入り狐[]

悲哀肯う嫁入り狐 -序-

山形城にて催される、結婚式を模した宴会。
殿一行は鮭料理を肴に歓談を楽しんでいたが、
その時、不穏な女の声が辺りに響き渡る――。

前半
出羽国、山形城――。

やくも
宴会だに!

やくも
……と聞いて、喜び勇んで来てみたら――。

やくも
――机の上には鮭しか並んでいないって……これはどういうことだにぃ……。

殿
…………。

千狐
文句なら、主催者の方に言ってみたら……?

千狐
ほら、あそこで鮭を頬張ってる……。

山形城
もぐもぐ……もぐ、もぐ……!

山形城
鮭をたらふく食えるとは……なんと素晴らしい!

山形城
結婚とはめでたき晴れ舞台!
花嫁には祝いの言葉や品がたんまりと送られる!

山形城
お陰で鮭もこんなにどっさり! たまらんのう!

千狐
山形城さん主催で結婚式を模した宴を……。
と聞いて違和感を覚えましたが、そういうことだったんですね……。

柳川城
……なんだか、
結婚という催しを少々取り違えている気がします……。

千狐
ですが、よくこれだけの鮭を集めましたね……?

新田金山城
山形城さんの支城の方々や、
妹の霞城さんが用意してくださったそうです。日頃の感謝ということで……。

千狐
はぁー、なるほど……。

千狐
……ってあなたは!?

新田金山城
す、すみませんっ。
自己紹介を忘れていました……!

新田金山城
はじめまして。
……私は、関東七名城が一つ、新田金山城と申します。

新田金山城
大規模な石垣と石畳で、お殿様の守護に尽力いたします。
何卒、よろしくお願いいたします……。

殿
…………!

萩城
なんだ、新田金山城? 緊張しているのか?

新田金山城
するに決まってます!
お殿様とは初対面なんですから……!

柳川城
萩城さんもいらしていたのですね。

萩城
あぁ……花嫁衣装を着れると思ったら、
居ても立ってもいられず、押しかけてしまったのだ。

柳川城
そうだったのですね。
……花嫁衣装、とっても似合っておいでですよ。

萩城
本当か? ありがとう。
実は殿を前にして、少しだけ気後れしているところがあったんだ。

萩城
しかし、これで何の憂いもなく、
殿に迫ることができる……。

柳川城
…………?

千狐
新田金山城さんも、
花嫁衣装に身を包んでいらっしゃいますね。お似合いです!

新田金山城
ありがとうございます。
……私も萩城さんと一緒で、花嫁衣装には以前から憧れがあったんです。

新田金山城
……お、お殿様!

新田金山城
……私の花嫁衣装、いかがでしょうか。
一応私なりに、背伸びをしてみたつもりなのですが……。

殿
…………!

新田金山城
本当ですか……! わぁ、嬉しい……。

萩城
わ、私のも見てくれ! 感想を聞きたいっ!

萩城
どうだ? 殿の理想に近づけているだろうか?
問題があればすぐにでも直すぞ! なぁ、どうだ?

殿
…………。

殿
…………!

萩城
そうか! そうかそうか!
殿からお褒めの言葉を頂戴できるとは、これ以上の喜びはない!

萩城
一瞬、気まずい沈黙があったような気もするが、まぁ良しとしよう!

柳川城
…………。

柳川城
(花嫁衣装……いいなぁ)

柳川城
(それで、萩城さんのように、殿に迫ってみたりして……)

柳川城
…………。

柳川城
……や、やっぱり無理ですっ! 私に接近戦なんて!

萩城
なにが無理だって?

柳川城
……っ! いえ、なんでもありませんっ!

山形城
……皆の者! 楽しんでおるか?

山形城
歓談も悪くはないが、せっかくの宴じゃ。
用意した料理をもっと楽しんでくれ!

萩城
と言われても、全て鮭料理なのだが……。

新田金山城
どれも美味しいのですが、流石にこれだけ食べると、
飽きがきてしまいますね……。

やくも
本当がや……こんなに鮭ばっかりだって知ってたら……、
参加を見合わせてたかもしれないだに。

千狐
とか言いながら、やくも……。
箸を口に運ぶ手がさっきから止まってないようだけど……。

やくも
美味いからしかたないがや。
……それはそれ、これはこれ……だに。

千狐
それじゃ残りは全部、やくもに食べてもらうことにしましょうか……。

やくも
いくらなんでもそれは無茶がやっ!?

???
ふふ……ふふふ……。

千狐
ッ!?

千狐
…………? 今の声は……?

やくも
どうしたんだに? 千狐?

千狐
今、どこからか笑い声がしたような……。

やくも
うちが鮭ばっか食べてるのがそんなに可笑しいだに!?

千狐
やくも、多分違うから今は鮭に集中しててっ!

やくも
むぅ……わかったがや……。(むしゃむしゃ)

???
あぁ、なんて愚かな……。
それに憎たらしくて……目障りで……。

千狐
ほら、やっぱり……! 女の子の声が聞こえてきます……!

千狐
それに周囲に漂うこの……邪な気配は……!

???
貴方たちの言葉、行動、感情。
そのすべてが、私の魂を逆撫でする……。

???
心の奥底に押し込めようとしていた想いが……膨れ上がる……。

萩城
どなたかは知らないが、
こちらに敵意を持っていることは間違いないな……。

新田金山城
でも姿が見えないなんて……これはどういうことでしょうか……。

???
目障りだわ……。消えてしまえばいいのよ……。

???
そう……こんな催しは全て、ぶち壊しにしてしまいましょう。

新田金山城
ぶち壊しって……。

千狐
邪気が一気に勢いを増しました……!

兜軍団
ザザッ! ザザザッ!!

兜軍団
殲滅セヨ……。殲滅セヨ……。殲滅セヨ……。

萩城
か、兜だと……?

新田金山城
周囲に漂う邪気に、
引き寄せられてきたようです……!

山形城
これは、わらわも……鮭を食べてる場合ではないようじゃの。

殿
…………!

山形城
殿、共にゆくぞ! 下知を頼む!

後半
山形城

これで終いじゃっ!!

千狐
やりました!

???
あら……。もうやられてしまいましたの?

???
ですが、どうということはありません……。

???
止めどなく溢れてくるこの力を使って、じわじわとなぶってやりましょう……!

新田金山城
邪気を繰り、兜を従えてしまうなんて……。
あなたはいったい……?

???
私の名前が知りたいの?

???
あまり意味があるとは思えないけど……いいわ。
名乗ってあげるから、よく聞きなさい。

???
私の名前は……駒姫。駒姫と申します。

山形城
なんじゃとッ!?

???
以後お見知りおきを。……ふふっ♪

悲哀肯う嫁入り狐 -破-

兜を退けた殿一行に対し、女の魂は自らを『駒姫』と
名乗った。驚きの面持ちを浮かべる山形城は、
駒姫を襲った哀しい事件について語り始める――。

前半
山形城

駒姫じゃと……奴は確かに、今そう名乗ったな……?

萩城
山形城……駒姫という名に覚えがあるのか?

山形城
覚えも何も……わらわの城主である、
最上義光公の娘御の名じゃ。忘れるはずもない。

山形城
かつて、豊臣秀吉公が秀次公に切腹を命じた際、
秀次の縁者も一人残さず処刑することを命じられた。

山形城
……その中には、
側室として迎え入れられたばかりの駒姫も含まれていた。

山形城
この時、駒姫は……まだ秀次との顔合わせも済んでいなかったという。

山形城
義光公が父として助命を嘆願したが、それも聞き入れられず……。

山形城
結局……駒姫は理不尽にも、命を奪われることとなってしまった。

山形城
(姫様……。
 確か、長谷堂城はそんな風に呼んでいたか)

山形城
(長谷堂城があのような形で顕現した以上、
 駒姫の魂とも、いつか巡り合えるかもしれないと思ってはおったが……)

山形城
(まさか、このような形で再会することになるとはな……)

新田金山城
なんて哀しい……そんな事件があったのですね……。

萩城
結婚に恨みとはどういう了見だ、
と初めは憤りを覚えたが……なるほど、納得した……。

やくも
…………。

やくも
(むしゃむしゃ……)

やくも
(うちが鮭に集中している間に、大変なことになってるみたいだに……)

新田金山城
この度の結婚式騒ぎが、
駒姫さんの魂を刺激してしまった……そういうことですね……。

駒姫
怒りよ……抑えようのない怒り……。

駒姫
いつから存在したのかも分からない、
この不確かな身体の、最初の記憶は……激しい怒り。

駒姫
際限なく湧き上がってきて、私を満たす。
放っておくと、頭がおかしくなってしまいそう……!

駒姫
ぶつける先は一つしかないわよね!?

駒姫
潰してやる……私の全霊をもって……!
お前たちのその浮かれた心を、何もかも……!

千狐
駒姫さんの力が強まっていきます……!
先程よりも強い……淀んだ力……。

柳川城
やはり、彼女を無力化しなければ、戦いは終わらないようですね……。

萩城
だが、奴の姿が見えないと、こちらも手の出しようがないぞ……!

山形城
姿を隠して一方的にとは、小癪な……!

山形城
霊体だからと高をくくっているようじゃが……。

山形城
わらわには感じ取れるぞ……。
おぬしとわらわは深い縁で結ばれているのじゃからな……。

山形城
…………っ!

山形城
……そこじゃっ!

駒姫
なっ!?

山形城
よし、捕らえたぞっ!!

駒姫
離しなさいっ! 離せっ!!

山形城
この好機、逃してなるものか!
貴様が力を使い果たすまで、決して離さんからな……!

柳川城
私たちには見えませんが……どうやら激しい戦いが繰り広げられているようです。

やくも
…………。

やくも
(山形城が一人で地面を転がり回ってるようにしか見えんだに……)

山形城
くそ、こいつ……思った以上に、この……!

山形城
く、ぐううぅっ…………!?

山形城
…………。

千狐
……山形城さん?

千狐
山形城さん……動かなくなってしまいました……。

萩城
……山形城? 無事か?

山形城?
…………。

山形城?
ふふふ……。

山形城?
ええ、無事ですとも。

新田金山城
……山形城さん?

山形城?
まったく……霊体の胸ぐらを掴むなんて……常識外れにもほどがあります。

山形城?
ですが、これで私の予定よりも円滑に、
ことが運んだわ……。ふふ……。

やくも
なんだか、山形城の様子がおかしいがや……。

柳川城
…………。

柳川城
あなた……山形城さんではありませんね?

山形城?
……あら、気づかれてしまったのですか。
もう少し楽しみたかったのに、残念。

萩城
ということは……。

山形城?
……お察しの通り、私は駒姫。
山形城さんの身体を、拝借させていただきます。ふふっ。

殿
…………!?

千狐
そんなっ!?

やくも
山形城の身体が乗っ取られてしまっただに!?

柳川城
どうやら、そのようですね……。

山形城?
あぁ……力が溢れてきますよぉ……。
この身体に刻まれた記憶が、私の内側を刺激する……!

千狐
コンっ!?

千狐
駒姫さんの邪気が、また強まっています……!


――ザザッ

兜軍団
ザザッ! ザザザッ!!

新田金山城
また兜まで集まってきました……!

萩城
山形城のことは心配だが、
今は目の前の危機を乗り越えることに集中した方が良さそうだな……。

殿
…………!

萩城
さぁ来い……!
この萩城が、一体残らず撃ち抜いてやる!

後半
山形城?

くっ……!全滅ですって?役立たずどもめ……!

山形城?
(まずい……感情にまかせて力を使いすぎてしまった……!)

千狐
皆さん、お見事です!
敵の力は弱まっていますよ……!

新田金山城
でも、駒姫さんは山形城さんの身体に取り憑いたままです……。

萩城
だな……どうすればいいんだ……?

山形城?
はぁ、はぁ……!

萩城
なにやら苦しんでいる様子だぞ……捕らえるか?

柳川城
…………。

柳川城
待ってください。

柳川城
……しばらく、様子を伺ってみましょう。

柳川城
駒姫さんは、元を正せばただの霊魂……。

柳川城
非業の死を遂げ……その記憶を刺激されたことで、
邪な力を宿してしまったにすぎません。

萩城
たしかに、荒事が避けられるならそれが一番だな……。

新田金山城
そうですね。力で抑え込もうとすれば、
逆に怨念を強めてしまう可能性も考えられます……。

山形城?
取り囲まれてしまったか……!
逃げ場は……兜どもは……?

新田金山城
落ち着いてください、駒姫さん……。

新田金山城
私は、あなたについて先程知ったばかりで、
そのお気持ちを理解できる、とは言えません……。

新田金山城
ですが、想像することくらいはできます。
……きっと、辛い出来事だったんですよね?

山形城?
…………っ。

新田金山城
もっと教えていただけませんか? 駒姫さんのこと……。

新田金山城
私……あなたと争わなくてはいけないとは、とても思えないんです。

山形城?
く……城娘め……私を懐柔するつもりか……!

山形城?
(だめだ、意識が……!)

山形城?
(力が持たない……ここまで、なのか……)

山形城?
……………………。

新田金山城
その場に崩れ落ちてしまいました……。

千狐
意識を失ってしまったようです……。

柳川城
身体にどんな影響が起きているかもわかりません。
ひとまず、介抱してあげましょう……。

悲哀肯う嫁入り狐 -急-

山形城に取り憑いた駒姫は、邪気を発散したことで
その力を弱めていた。一同は、意識を取り戻した
山形城と共に、今後の対処について話し合うが……。

前半
山形城?

…………。

山形城?
(ぱちり)

やくも
山形城が目を覚ましただに!
いや、今は駒姫だったがや!?

山形城
ま、待て待て!
わらわじゃ、山形城じゃ! 今はそう身構えんでもよい!

やくも
本当だに……?
実は駒姫で、うちらを騙そうとしているんじゃないがや……?

千狐
……大丈夫よ、やくも。

千狐
意識を失う以前に漂っていた邪気は一切感じ取れない……。
だから、今は千狐たちが知ってる山形城さんよ。

山形城
うむ……じゃが、安心はできん。

山形城
今もわらわの身体の中には、駒姫の魂が取り憑いたままじゃ……。

山形城
わらわの身体を再び乗っ取ろうと、隙を伺っておる。

萩城
つまり、いつ駒姫に身体を奪われてしまってもおかしくない状況ということか……。

山形城
駒姫は、今……憤怒の炎に身を焦がしておる。

山形城
激情に駆られて膨れ上がる力を……、
駒姫自身も御しきれていない部分があるようじゃ。

新田金山城
……解決策はないのでしょうか?

山形城
……答えは見えん。
見えんが、わらわの願いを言わせてもらうなら……駒姫を救いたい、と思っておる。

山形城
奴の身を襲った悲劇については……駒姫自身にはなんの否もない。
不運な定めという他ない事件じゃった。

山形城
そんな中で、
兜と同じように敵として奴を打ち倒してしまうというのは……あまりに忍びない。

山形城
じゃから……できるなら、
奴とじっくり話す機会を作れたらと思うのじゃ……。

山形城
……むっ!? ぐぅ、ぅっ…………!!

新田金山城
山形城さん、大丈夫ですかっ!?

千狐
やはり、また駒姫さんの力が……?

山形城
そのようじゃ……。ここまで早く力を取り戻すとは……。

山形城
この内側からあふれようとする邪気……。
わらわの力では、もう押し留めておくことができそうにない……!

兜軍団
ザザッ! ザザザッ!!

兜軍団
花嫁……征伐セヨ……。
   花嫁……征伐セヨ……。
      花嫁……征伐セヨ……。

萩城
兜の軍勢が集まってきているぞ!

千狐
駒姫さんの邪気に引き寄せられているようです……!

山形城
すまぬが、皆……。力を貸して……くれ……。

新田金山城
承知しました!
山形城さんにもてなしていただいた御恩、今ここで報いてみせましょう!

殿
…………!

新田金山城
お殿様!
ご下知をお願いいたします!

後半
新田金山城

やあああぁぁぁっ!!

兜軍団
ギャアアアァァァァ!!

萩城
はぁ、はぁ……。

萩城
軍勢は、これで……片付いたようだな?

柳川城
山形城さんの容態はっ?

山形城
…………。

新田金山城
また意識を失ってしまいました……。

萩城
こうして眠りながらも……意識の深層では、
駒姫と戦いを繰り広げているのだろうか。

やくも
だにぃ……解決策が見えないままがや……。

千狐
そうね……このままでは山形城さんも衰弱していくばかりです……。

千狐
いったいどうすれば……。

???
すみませぇーん! どなたかぁー!!

やくも
だにっ!?

???
すーみーま! せぇーん!
ここにぃ、王様がいるって聞いたんですけどーー!?

殿
…………?

やくも
びっくりしただに……。

千狐
こちらに駆け寄ってくるあの方は……城娘さんでしょうか?

???
いたいた……もー探しちゃったよ王様ぁ~!

柳川城
あなたは……アイリーン・ドナン城さん?

萩城
異国の城娘か。
わざわざ海の向こうからここまで……。

アイリーン・ドナン城
ほんっとーに長い道のりだったよ……。

アイリーン・ドナン城
所領に居ると思ったら留守で、
山形城さんっていう御城で開かれたパーティーに向かったって聞いて……。

アイリーン・ドナン城
海沿いにひたすら北へ進んでいればいずれ着く……、
とか言われたけど、全然見えてこないし……。

アイリーン・ドナン城
このまま遭難しちゃうかと思った、けど……やっと会えた!
本当に良かったぁ~!

柳川城
……それで、アイリーン・ドナン城さんは、
どのような御用でこちらまで?

アイリーン・ドナン城
そうそう、これを渡すのがミッションだった。えーと……。

アイリーン・ドナン城
あった! はい、どーぞ♪

千狐
これは、手紙ですか……?

アイリーン・ドナン城
うん! チャンドラ・マハルちゃんからお殿様たちに!

やくも
ちゃんどら・まはる……。

柳川城
初めて聞く名ですが、
やはり……異国の城娘なのでしょうか。

アイリーン・ドナン城
そうだよ! 国の名前は確か……アンベールっていってたかな?

アイリーン・ドナン城
わたしもこの前初めて会ったんだけどね、
遭難しかけてたところを助けてもらったの!

萩城
海の向こうでも遭難しかけてたのか……。

アイリーン・ドナン城
う……。それはその、未確認生物の影……っぽいものが見えたから、
夢中で追いかけてて……。

アイリーン・ドナン城
とにかく! 早く読んで読んで!
そのために頑張ったんだからー!

千狐
……では、僭越ながら千狐が読み上げますの。えーっと――。

――――。

チャンドラ・マハル
余はチャンドラ・マハルという!
アンベールと呼ばれる国の王族が住まう宮殿の城娘じゃ!

チャンドラ・マハル
突然じゃが、そなたらを余の宮殿に招待するぞ!

チャンドラ・マハル
……先日、星月を見て占ってみたところ、
結婚式を挙げるのに適した日が近づいている、と出たのじゃ。

チャンドラ・マハル
余の国の結婚式は非常に賑やかでな、
一度でいいから体験してみたいと思っていた。

チャンドラ・マハル
ごっこ遊びでも……雰囲気だけでも一度味わいたい、とな……!

チャンドラ・マハル
じゃが、あいにく余には相手となってくれそうな殿方がおらん……。
とそこで、日の本に居るそなたのことを思い出したのじゃ!

チャンドラ・マハル
というわけで王よ、
もてなしの準備を万全に整えて待っておるから、急いで来るように!

チャンドラ・マハル
首を長ーくして待っておるからな~♪

千狐
――だそうです……。

新田金山城
結婚式……のごっこ遊びですか。

萩城
海を越えた異国にも……同じようなことを考える者がいるとはな……。

アイリーン・ドナン城
もう準備は万端だよ!!

アイリーン・ドナン城
チャンドラ・マハルちゃんも踊りの練習とか、
儀式の準備とか……色々がんばってたんだから!

アイリーン・ドナン城
だから王様!
わたしと一緒に宮殿に行こ? ね?

殿
…………。

柳川城
はい。そうですね……。

柳川城
お誘いいただいたのは嬉しいのですが、
この状況で離れるわけにはまいりませんね……。

アイリーン・ドナン城
……えっ……もしかして、今取り込み中なの?

千狐
そうなんです……。

千狐
山形城さんの身にちょっとした……厄介事が起きてまして……。
それを放ってはおけない状況なんです。

やくも
残念だに……うちもぱーてぃーしたかったがや……。

萩城
…………。

萩城
いや、待て。それも一つの手かもしれないぞ。

萩城
駒姫は山形城城主の娘御。
この一件には、その深い縁が影響している。……そうだったな?

柳川城
……はい、間違いありません。

萩城
であれば、この城……山形城から距離をとることで、
駒姫の邪気を抑制できるのではないか?

千狐
確かに……。
その可能性は、大いにありえます。

千狐
それで駒姫さんの力を抑えられれば……山形城さんの容態も安定するはずです。

新田金山城
良い案かもしれません。
山形城さん……もとい駒姫さんは、ちょうど眠っていますし。

柳川城
ただ、異国のチャンドラ・マハルさんのもとへ、
厄介事を持ち込んでしまうのが心苦しいですが……。

萩城
…………。

萩城
それは、うむ……痛し痒し、という奴だな……。

萩城
……だが、今は山形城の身体を優先するべきだと思う。
千狐の力があれば、すぐにここを離れられるのだろう?

千狐
……はい。
いただいた手紙を媒介にすれば、すぐにでも転移できますわ。

柳川城
……苦渋の選択ではありますが、
山形城さんの御城と距離をとれるなら、それが何よりかもしれません……。

萩城
手をこまねいている猶予はない。
……何をおいても今は山形城の身を先に考えることだ。

萩城
到着した後のことは、私が力を尽くそう。
……山形城には、良くしてもらったからな。

新田金山城
ですね! 微力ながら私も力になりますよ!

柳川城
……それでよろしいでしょうか、殿?

殿
…………。

殿
…………!

千狐
……それでは、この手紙を媒介に、
チャンドラ・マハルさんの御城へ転移することにいたしましょう!

悲哀肯う嫁入り狐 -絶壱-

駒姫の問題が発生する数日前のこと。結婚式を
模した宴会が催される、と耳にしたある城娘が、
恐る恐る、山形城の門を潜ろうとしていた。

前半
山形城にて問題が発生する、数日前のこと――。

新田金山城
ここで合ってる……よね。

新田金山城
おじゃましまぁす……。

新田金山城
山形城さんに会いに来たのですが、
こちらでよろしかったでしょうかー……?

新田金山城
あ……あちらに城娘さんの姿が……。

山形城
おお、よく来たな! 待っておったぞ!
確か、おぬしの名前は――。

新田金山城
新田金山城です! 山形城さん、お初にお目にかかります。

新田金山城
この度は、面識もない私の参加をお許しいただき、ありがとうございます。

山形城
なに、礼を言うほどのことではない。

山形城
おぬしの名は由良成繁公の勇名と共に伝え聞いていた。
一度、こうしてお目に掛かりたいと思っていたところじゃ。

山形城
この宴を切っ掛けに、親交を深めることにしようじゃないか。
存分に楽しんでいくとよい!

新田金山城
はい!
私、この宴をとっても楽しみにしてたんです♪

山形城
そうかそうか♪
それでは付いて来るが良い! 宴の準備は整っておる!

新田金山城
はいっ!

???
…………って……れぇ……!

山形城
……ん、なんじゃ?

???
待ってくれぇぇぇぇーーーー!!

新田金山城
あちらの方から、誰かが猛然と駆け込んできますが……?

萩城
私も参加希望だあああぁぁぁーーーーー!

萩城
……間に合ったか? 結婚式はまだ始まっていないか?

山形城
おぬしは……?

萩城
私は萩城という。
山形城という城娘が結婚式を催すという噂を聞きつけて、ここまで馳せ参じたのだ。

山形城
萩城……? はて、
わらわが招待状を送った中にそのような城娘はおったかのう……?

萩城
……そうだ。私はあなたからの招待を受けてはいない。
噂を耳にして飛び込んできただけ……。

萩城
あまりに不躾な願いだとは自覚している。
しかし、結婚式と聞いて黙っているわけにはいかなかった……!

萩城
この機を逃すのはあまりに痛い! 痛すぎる!
よって恥を忍んでここまでやってきた……!

萩城
無論、あなたから許しがいただけなければ、
ここは黙って引き返すが……。

山形城
…………。

萩城
…………。

萩城
…………!

山形城
(曇りなき瞳、何という意志の強さ……。
 こやつを突き動かす何かが、結婚式にはあるということか……)

新田金山城
…………。

山形城
うむ、よかろう! 元々、多ければ多いほど良いと思って、
手当たり次第に送った招待状じゃ! 存分に楽しんでいくがいい!

萩城
……ありがとう! ご厚意、感謝する!

山形城
では早速中へ案内するぞ!
結婚式気分を味わうなら、装いも変えねばならんしのう。

萩城
……ま、まさか!! 花嫁衣装かっ!?

山形城
……ふふ、それはお楽しみじゃ♪ まぁ、付いてくるがよい。

萩城
承知した……!

――。

――――。

萩城
こ、これは……!

萩城
私か……? 本当に私なのか……!?

新田金山城
萩城さん、とってもお似合いです♪

萩城
そうかな……?
……お、そういう新田金山城もよく似合っているじゃないか。

新田金山城
本当ですか? なんだか、むずがゆいです。
私がこんな華美な装いに身を包むなんて……。

萩城
ふふ、何を言う。
花嫁衣装に憧れて山形城のところまで来たのだろう?

新田金山城
それはそうなのですが……いざ身を包んでみると、
私じゃないみたいで、妙な居心地の悪さがあって……。

新田金山城
……それに比べて、萩城さんはすごいです。

萩城
すごい? 私が?

新田金山城
はい、私には無いものを持っているように思えます。
凛々しさというか、強さというか……大人っぽい、そんな魅力があって……。

萩城
そうか? 私と新田金山城ではなんというか、土俵が違うと思うが……。

山形城
いいや!

山形城
新田金山城の言うことには一理ある。

山形城
殿方の隣に立つからには……強さを備えていなければならん。
それから、殿を守り抜いて見せるという自負、自信……。

新田金山城
確かに……。山形城さんからは溢れんばかりの自信を感じます……。
それが私の感じた魅力の正体……!

山形城
うむ、その通り!

山形城
支城たちの長という立場にある以上、
下した決断や行いには、相応の責任を持たねばならんからな!

山形城
己を信じる強さも、自ずと備わってくるというもの!

山形城
ということで……ここは一つ、
おぬしらにわらわが稽古を付けてやろう。

山形城
二人とも! 武器を持て!

新田金山城
は、はいっ!

萩城
私もか!?

山形城
さぁ、始めるぞ! どこからでも掛かってくるがよい!

後半
新田金山城

ありがとうございました……!

山形城
うむ、良い動きじゃった。
腕は充分、あとは自信が備わればなお良し!

山形城
不安に思うことはないぞ、新田金山城。
おぬしはもう、充分に魅力的じゃ!

山形城
これはもしかしたら、殿がひと目で恋に落ちてしまう、
なんてこともあるかもしれんのう。くっくっく。

新田金山城
そんな……恐れ多いです……。

萩城
謙遜することはない。新田金山城は誰もが花嫁にしたくなるような、
魅力的な城娘になった。私もそう思うぞ!

萩城
凛々しく、美しく……それでいてどこか、
守りたくなるような儚さも秘めて……。

萩城
いや、待てよ……?

萩城
(つい新田金山城の相談に乗って、
 色々と助言をしてしまったが……それでいいのか、私?)

萩城
(自信を付けた新田金山城は……間違いなく魅力を高めている……)

萩城
…………。

新田金山城
…………?

萩城
(もしかして、私……。
 自分の手でとんでもない強敵を作り上げてしまったのではないか……?)

新田金山城
どうしました……萩城さん? 何か不安なことでも?

萩城
(まずいぞ萩城……、
 このままでは殿の正室の座が遠ざかるばかりだ……!)

萩城
(いや……もういっそのこと側室でも……。)

萩城
(な、何を弱気なことを考えている!
 私の花嫁姿だって負けていないぞ! しっかりしろ萩城!)

新田金山城
あの……萩城さん? 本当に大丈夫ですか?

萩城
あ、あぁすまない……。少し考え事をな。は、はは……。

萩城
それはそうと!
私、殿に伝えてなければいけないことがあったのを思い出した!

山形城
殿に? 殿なら、先日招待状の返事が――。

萩城
というわけで私は、所領に向かうことにする! 今すぐに!

新田金山城
今すぐ? 着替えている余裕もないのですか?

萩城
あぁ! この格好で迫るからこそ意味があるのだ!
この格好でなければいけない!

新田金山城
迫る? わ、私よく意味がわからないのですが……?

萩城
説明は後回しだ! それでは失礼する!

新田金山城
あ、ちょっと……萩城さーん!!

新田金山城
……行ってしまいました。
なんて速さでしょう……先程現れた時と比にならないほど……。

山形城
……まったく、忙しないやつじゃ。

山形城
しかし、萩城をそこまで焦らせるとは……。
やはり、新田金山城の魅力は充分な域に達しているということじゃのう。

新田金山城
えっ、私ですか?

山形城
可愛らしく小首を傾げおって……。
無知も一つの魅力と言えるかの。くっくっく。

山形城
……じゃが、このままいくと萩城が不戦敗を喫することになりそうじゃな。

新田金山城
不戦敗? それはどういうことです?

山形城
実は、殿からはすでに招待状の返事が届いておってな。
そろそろこちらに到着しようか、という頃合いなのじゃ。

山形城
つまり、萩城とは入れ違いになってしまうわけじゃ。

新田金山城
そんな……!
このままだと萩城さん、所領まで全力で突っ走ってしまいますよ!?

山形城
わらわの言葉に耳を貸さなかった奴の責任じゃろ。

山形城
それに、所領からトンボ返りしてくる萩城の姿を想像すると……。
くくく、今から笑いが止まらん。

新田金山城
何を言ってるんですか、今なら追いかければ間に合います!
待ってください、萩城さーん!

山形城
城娘が増えると賑やかで楽しいのう。退屈せんでいいわ。

新田金山城
萩城さーーん! 止まってーーー!

新田金山城の叫びは猛然と走り続ける萩城の耳に届くことはなく、
出羽国の空に虚しく響き渡るばかりであった……。

悲哀肯う嫁入り狐 -離-

招待状を媒介に転移を行った殿一行は、主催者である
チャンドラ・マハルの歓待を受ける。しかしその時、
山形城の中で眠っていた駒姫が再び目を覚ます――!

前半
千狐

転移成功です!到着しました!

チャンドラ・マハル
おぉ! そなたらは!

チャンドラ・マハル
日の本の城娘だな!
到着を待ちわびていたぞ~♪

殿
…………。

チャンドラ・マハル
そして……そなたが王か!
余の招待に応じてくれたこと、感謝するぞ!

殿
…………!

チャンドラ・マハル
そなたもご苦労じゃった、アイリーン・ドナンよ。
よくぞ、王たちをここまで案内してくれた!

アイリーン・ドナン城
いえいえ、遭難しかかっていたところを救っていただいたお礼です♪

萩城
それで……チャンドラ・マハル。
始めに伝えておきたいことがあるのだが……。

チャンドラ・マハル
……ん? なんじゃ?

萩城
……実は私たち、少々厄介事を抱えているんだ。

新田金山城
めでたい催しを前に、申し訳ないのですが……。

チャンドラ・マハル
厄介事? ……霊や魂の類か?

新田金山城
そうです。……分かるのですか?

チャンドラ・マハル
うむ。邪な気配が感じ取れたのでな。
此地に到着した時から、気には掛けておった。

チャンドラ・マハル
その源は、察するに……。
そなたの背中で眠っておる、その城娘じゃな?

萩城
……そうだ。

萩城
全てお見通しということなら、あえて説明するまでもないな。
迷惑を掛けることになってしまうと思うが……。

チャンドラ・マハル
そう気に病むことはない!
邪気など、余の宮殿で夜通し踊り明かして払ってしまおうぞ!

萩城
踊りで? そんな馬鹿な……。

チャンドラ・マハル
心配は要らーん!
余の結婚式の準備には抜かりがない! 完璧に仕度を整えておる!

チャンドラ・マハル
よって余の結婚式は、
ちょっとやそっとの問題で揺らぐような代物ではないわけじゃ!

柳川城
(本当に大丈夫でしょうか……?)

チャンドラ・マハル
余の国では、伝統的に結婚式という催しを重んずる!

チャンドラ・マハル
まずは占いで結婚に最適な日を決めるところから始まり……。

チャンドラ・マハル
式を挙げるとなれば、一週間から一ヶ月ほどは掛ける。
それから、参加者は毎晩踊って結婚を祝い――。

山形城?
…………。

山形城?
……ん?

山形城?
な……どこよここ? 山形城じゃないわね?

新田金山城
その話し方は……。
萩城さん、駒姫さんが目覚めたようです!

萩城
ぅわ、おい暴れるなっ! 落っこちるぞ!

駒姫
元より降りるつもりです! 離しなさい!

チャンドラ・マハル
おっ、なんじゃなんじゃ?
そなた、元気が有り余っておるようじゃのう?

駒姫
答えなさい、貴方たち……ここはどこなの?

チャンドラ・マハル
ここはアンベール。日の本の遥か西、海を越えた先にある国じゃ。

駒姫
あんべ……遥か西っ……?
異国に連れて来られたということ?

駒姫
こんなところにつれてきて、
私をどうするつもりよっ!?

チャンドラ・マハル
どうするもこうするも、皆で一緒に踊り明かすのじゃ。
もうすぐ結婚パーティーが始まるからの♪

駒姫
ぱーてぃー?

駒姫
理解したわ……貴方も結婚式のごっこ遊びを楽しもうっていう、
おめでたい城娘の一員ってことね?

チャンドラ・マハル
その通り! じゃが尻込みする必要はない!
余の国では、部外者の飛び入り参加も認めておるのでな!

チャンドラ・マハル
じゃが! ごっこ遊びといえど結婚式!
手を抜くことは決して許さんぞ! 覚悟しておけ!

やくも
会話が噛み合ってない気がするだに……。

駒姫
何なのよ、この城娘……見ているだけで苛立ってくる……。

駒姫
(それにしても、大きく力が削がれたこの感じ……。
 あの地から離れた影響は大きいということか……。)

駒姫
……でも!
この城娘たちの浮かれた格好……それを目にしている内に湧き上がる怒り……。

駒姫
この感情を燃やせば、力はいくらでも湧いて出てくるわ……!


――ザザッ!

兜軍団
ザザッ!  ザザッ! !

兜軍団
花嫁……征伐セヨ……。
   花嫁……征伐セヨ……。
      花嫁……征伐セヨ……。

千狐
兜の軍勢が集まってきました!

チャンドラ・マハル
この感情は……憤りと、悲しみ……。
それも、凄まじく強い……。

チャンドラ・マハル
そなた……何をそこまで怒ることがある?
余にきかせてみよ。何か力になれるかもしれんぞ!

駒姫
余計なお世話です。
私に協力するつもりなら、黙って死んでいただけますか?

チャンドラ・マハル
穏やかではないのう!
よかろう、余がそなたの相手をしてやる!

駒姫
また馬鹿にして……!

チャンドラ・マハル
余の舞について来れるか? さぁ、パーティーの始まりじゃ!

後半
チャンドラ・マハル

甘いぞ、そなたら!
余の舞を見習えぇぇ!

兜軍団
ギャアアアアァァァァァァ!!

アイリーン・ドナン城
すごいよチャンドラ・マハルちゃん!
まるで舞うような動きで兜を次々と……!

駒姫
くぅ……これでも、これでもまだ足りないというの……!?

チャンドラ・マハル
足りないことなどないぞ!
そなたの舞もなかなかのものじゃった!

駒姫
……馬鹿にして!
私はすぐにでも、貴方たちを叩き潰さなきゃいけないのに……!

チャンドラ・マハル
…………。

チャンドラ・マハル
……そなた、駒姫と言ったか。

チャンドラ・マハル
……のう、もう戦うのは止めにせんか?
先程も言ったが、余は……そなたの話が聞きたい。

駒姫
……話? そんなの願い下げよ。
結婚結婚と浮かれている貴方たちなんかに、私の気持ちが……!

チャンドラ・マハル
分かるとも。そなたの気持ち……痛いほど伝わってきた。

チャンドラ・マハル
悲しかったんじゃろう?

チャンドラ・マハル
戦いの最中……余はそなたの気を感じていた。
その中に込められた感情もな……。

駒姫
…………。

駒姫
……貴方、泣いているの?

チャンドラ・マハル
そなたは悪くない。思い出せばいいのじゃ……何度でも……。

チャンドラ・マハル
たとえ負の感情に暮れるだけだとしても、
過ぎたことを振り返る時間は必要じゃ……。

チャンドラ・マハル
もっと教えてくれ……そなたの気持ちを……。

駒姫
ど、同情するな!
私は貴方たちに理解してもらいたいわけじゃない……!

駒姫
(く……力が足りない……このままではまた、意識まで……!)

駒姫
はぁ、はぁ……!

駒姫
…………。

新田金山城
また意識を失ってしまいました……。

チャンドラ・マハル
ぐす……いかん、涙が止まらん……。

アイリーン・ドナン城
チャンドラ・マハルちゃん……大丈夫?

チャンドラ・マハル
ん……あぁ、大丈夫だ。
この涙は余が背負う業でな……。

チャンドラ・マハル
かつての城主が、命を救う活動に没頭したことから、
余も少なからずその思いを受け継いでおるのだ……。

チャンドラ・マハル
……して、その城娘――山形城と言ったか――容態の方はどうなのじゃ?

千狐
……山形城さんの御城の傍に居た時と比べて、力は落ちています。
先程の戦いでも大きく消耗したようです……。

萩城
では私たちの狙い通り、
駒姫は遠からず力を使い果たすということだな。

新田金山城
…………。

新田金山城
……でも、この一件を解決するには、
山形城さんから駒姫さんを引き剥がすだけでは終わらないんですよね……。

萩城
そうだな。駒姫を救いたい……それが山形城の願いだった。

柳川城
……どうすれば良いのでしょうか……。

悲哀肯う嫁入り狐 -結-

激情に任せて邪気を放出した駒姫にはもう、山形城の
身体を支配する力は残っていなかった。困窮する
駒姫だが、彼女に対し山形城は優しく語り掛ける。

前半
山形城?

…………む。

萩城
目を覚ましたか。
……今は駒姫と山形城……どっちなんだ?

山形城
安心してくれ。わらわじゃ、山形城じゃ……。

新田金山城
山形城さん、ここはチャンドラ・マハルさんの御城で……。

山形城
説明は無用じゃ……。

山形城
不思議なことじゃが……大体の事情は掴めている。
駒姫の記憶を共有しておるような……そんな感覚じゃ。

柳川城
そうでしたか。
駒姫さんは……今も山形城さんの身体の中に?

山形城
……いや、奴の力は感じ取れん。

山形城
察するに、わらわの抵抗を抑え身体に留まるだけの力すらも、
失ってしまったということなのじゃろう……。

山形城
のう、そうじゃろう駒姫……?

???
…………。

山形城
そこに居るのはわかっておる……じゃから、声を聞かせてくれ。

駒姫
……今更、私と何を話すというの?

山形城
……この戦いの中で、おぬしが何を思っていたのかを知りたい。

山形城
強制するつもりはない……じゃから、
話す気が無いのなら、沈黙を貫いてくれれば良い。

駒姫
…………。

山形城
駒姫……おぬしはやはり、
自らの運命を呪っておったのじゃな……?

駒姫
…………。

駒姫
理解は……していたつもりでした。

駒姫
自分の力では抗うことのできない運命……。
私の人生はここまで、と自らを納得させました。

チャンドラ・マハル
…………。

駒姫
でも……やはり、割り切れない思いもありました。

駒姫
生きていれば、もっと楽しい出来事が待っていたかもしれない。
そもそも、私が死ぬ理由なんて一つもない……あまりに不条理だと……!

駒姫
……そんな思いを抱えたまま霊魂と化し、
山形城に身を寄せて世の移り変わりを眺めていた……。

駒姫
そんな折、山形城で催されたあの宴……。

山形城
…………。

駒姫
負の感情が込み上げて、膨らんで、抑えることができなかった。

駒姫
許せない。恨めしい……腹立たしい……。
そんな気持ちが、畳み掛けてきて……!

千狐
……コンッ!?

千狐
駒姫さんの邪気が強まっているの……!

兜軍団
ザザッ! ザザッ!

兜軍団
花嫁……征伐セヨ……。
   花嫁……征伐セヨ……。
      花嫁……征伐セヨ……。

やくも
兜さんもえっぱい集まってきたがや……!?

山形城
駒姫……。

駒姫
ごめんなさい……この思いはもう、
私自身でも抑えることができなくて……!

山形城
抑える必要などない! すべてわらわにぶつけてみろ!

山形城
……すまない、殿。今回の一件を片付けるためには今一度、
駒姫と向き合わねばならんようじゃ……。

殿
…………。

殿
…………!

山形城
……おぬしなら、そう言ってくれると思っておった。

山形城
感謝するぞ、殿! この礼は鮭で返すことにしよう!

山形城
それでは、ゆくぞ!

後半
山形城

これで最後じゃ!!


ギャアアアアァァァァァァ!!

山形城
はぁ、はぁ……これで、兜は全て片付けたな……?

駒姫
はぁ、はぁ、はぁ…………。

山形城
……どうじゃ、駒姫?
まだ力が残っておるなら、相手をしてやるが……。

駒姫
ええ……もうすっからかん……。
何があってもしばらく悪さはできそうにありません。

山形城
そうか……くくっ、もう少し遊んでやっても良かったんじゃがのう。

駒姫
……でも私は、
またいつ、激情に駆られるかわからない。

駒姫
そうなれば、今日のような騒ぎを起こしてしまうかもしれません……。

山形城
……何が言いたい?

駒姫
ですから……私のような者は今ここで退治しておくべきだと……。

山形城
何をしょぼくれたことを抜かしておる。

山形城
今回おぬしがわらわに負けたということは、
同じような問題が起きたところで容易に抑え込める、ということじゃろうが。

駒姫
山形城……。

山形城
わらわの身体で良ければ、いつでも貸してやる。
……じゃから気にするな、駒姫。

チャンドラ・マハル
そうじゃ。暴れたくなったらまた来るとよい♪

チャンドラ・マハル
余がいくらでも相手をしてやるぞ。無論、夜通しじゃ!

駒姫
…………ふふっ。

駒姫
その言葉、忘れませんからね。

駒姫
それから……お殿様。

殿
…………。

駒姫
今回の件……私の感情で貴方を振り回してしまう形になってしまったこと……。
誠に申し訳ありませんでした。

駒姫
……そして、ありがとうございます。

殿
…………!

駒姫
そう、ですか……。
器の大きい方なのですね、貴方は。

殿
…………。

駒姫
……ねぇお殿様。これだけは覚えておいて。

駒姫
抗うことのできない運命の流れというものは、確実に存在するものなの……。

駒姫
……この先、
貴方の努力を裏切るような未来が待ち受けているかもしれません。

駒姫
これまでの道のりは何だったんだ……。
そう叫びたくなるような、悲しい運命が。

駒姫
……けれど、そんな状態にあっても、
私たちにできることは、前に進む以外にない。ないのだと……思うしかない。

駒姫
一瞬一瞬を後悔のないように生きる……そうするしかないんです。

駒姫
だから貴方は、いつまでも……自分を信じて、歩みを進めて。

駒姫
運命の濁流に道を阻まれた時、後悔しなくて済むように……。

殿
…………。

殿
…………!

駒姫
そんな理不尽に満ちた此世を、共に生きていきたい。

駒姫
……その願いの許に結ぶ契りを、夫婦と呼ぶのでしょうね……。

駒姫
……そろそろ限界のようです。
こうして皆様とお話ししている余裕もなくなってきました……。

山形城
うむ。一度、わらわの身体の中に受け入れよう。
わらわの城に戻るまで、しばし大人しくしているがよい。

駒姫
ええ、そうさせていだきます。……それでは、またお会いしましょう。
素敵なお殿様と、城娘の皆さん。

殿
…………!

チャンドラ・マハル
…………よーし! これにて一件落着じゃ!

チャンドラ・マハル
そなたら、今夜は一人たりとも眠ることは許さんぞ!
夜通し踊り続けるのじゃ~!

アイリーン・ドナン城
やったぁぁ~!

やくも
踊るだにぃー! 食うだにぃー!

こうして……山形城の結婚式ごっこに端を発した騒動は落着し、
チャンドラ・マハルの宮殿にて、長い長い宴が始まるのだった……。

悲哀肯う嫁入り狐 -絶弐-

駒姫の問題が発生する数日前のこと。花婿役探しに
行き詰まったチャンドラ・マハルは頭を抱えていた。
そんな時、とある城娘が彼女の宮殿を訪れる……。

前半
山形城にて結婚式ごっこが催される、数日前のこと――。

チャンドラ・マハル
まいったのう……。

チャンドラ・マハル
結婚式を挙げるのに最適な日が迫ってきているというのに、
その相手が見つからんとは……。

チャンドラ・マハル
どこかにおらんかの……おあつらえ向きの、良い殿方は……。

チャンドラ・マハル
…………ん?

チャンドラ・マハル
なんじゃ、
何者かが余の宮殿に近づいているようじゃが……?

アイリーン・ドナン城
こんにちは~……。

チャンドラ・マハル
なんじゃ、城娘か?

チャンドラ・マハル
どうした? なにやら疲れ切っている様子じゃが?

アイリーン・ドナン城
うん……わたし、アイリーン・ドナン城っていうんだけど……。
スコットランドから、旅の最中で……。

チャンドラ・マハル
スコットランド? 遠路はるばる、よくぞここまで……。
じゃが、どうしてそんな遠出を?

アイリーン・ドナン城
わたし、未確認生物の捜索を生きがいにしてるんです……。
ときどき遠くに足を伸ばして、調査をしているの。

チャンドラ・マハル
……ふむふむ。
とはいえ、足を伸ばすというには遠すぎる気もするが……。

アイリーン・ドナン城
うん……今回は、
足を伸ばしたまま転がり落ちて、帰ってこれなくなった、みたいな……。

アイリーン・ドナン城
ようするに遭難、っていえばいいのかな……あはは……。

チャンドラ・マハル
なるほど、そういうことだったのか……。

チャンドラ・マハル
あいにく、未確認生物とやらの情報はもっていないが……。
疲れているということなら、余の宮殿で身体を休めていくといい。

アイリーン・ドナン城
ほんとっ! ありがとう、助かるよぉ~!

数刻後――。

アイリーン・ドナン城
生き返ったぁ……。本当に感謝だよぉ。
日の本に到着する前に行き倒れちゃいそうだったもん……。

チャンドラ・マハル
……ほう。
そなた、日の本を目指しておったのか?

アイリーン・ドナン城
そうだよ。久しぶりに王様の顔を見たい、と思って出発したの。
ついでに未確認生物も見つけられたらいいなぁー、と思って。

チャンドラ・マハル
なるほどな。
その王様、というのは確か……日の本の城娘たちを束ねている者のことだったか?

アイリーン・ドナン城
うん。前にね、
わたしの故郷で問題が起きた時に力を貸してくれたの!

アイリーン・ドナン城
他の土地でも、兜と何度も戦いを繰り広げて……、
沢山の城娘さんを助けてあげてるみたい!

チャンドラ・マハル
そうか……なるほど、日の本の王か……!

チャンドラ・マハル
……その手があった。
その王とやらを巻き込んでしまえば、余の憂いも晴らすことができる……!

アイリーン・ドナン城
王様を巻き込む……? それはどういうこと?

チャンドラ・マハル
ちょうど余の宮殿で結婚式を挙げようと考えていてな。
花婿役を担える者が見つからず、頭を抱えていたのじゃ。

チャンドラ・マハル
じゃが王なら花婿に適任じゃ!
余の国のお見合い婚なら、結婚当日に初対面も珍しくないしの!

アイリーン・ドナン城
えぇっ!? チャンドラ・マハルちゃん、
王様と結婚するつもりなの!?

チャンドラ・マハル
なに、ごっこ遊びじゃよ、ごっこ遊び。

チャンドラ・マハル
……じゃが、ごっこ遊びじゃからこそ、本気でやらねばならん。

チャンドラ・マハル
式を挙げるとなれば、
整えなければならん準備が山積みなのじゃ。

アイリーン・ドナン城
結婚式かぁ……なんだか楽しそう♪

チャンドラ・マハル
そうじゃろう、そうじゃろう♪ そなたも一緒に楽しんでいくとよい。
こうして巡り会えた縁を大切にしようではないか♪

アイリーン・ドナン城
ほんとっ!? やった~♪

チャンドラ・マハル
じゃが……そのためにはまず、
嗜みとして覚えておかねばならんことが一つある。

アイリーン・ドナン城
嗜み? チャンドラ・マハルちゃんの国の礼儀作法みたいな?

チャンドラ・マハル
うむ、それはな……。

アイリーン・ドナン城
(…………ごくり)

チャンドラ・マハル
ずばり、ダンスじゃ。

アイリーン・ドナン城
だ、だんす?

チャンドラ・マハル
余の国の結婚パーティでは夜通し踊るのじゃ。
よってダンスは必須の技能と言える!

アイリーン・ドナン城
そ、そうなんだ……。

アイリーン・ドナン城
だけど、わたしあんまり自信ないよぉ……。
踊りの間だけ隅っこに隠れてちゃダメかなぁ?

チャンドラ・マハル
ならん! ならんぞアイリーン・ドナンよ!

チャンドラ・マハル
踊りから目をそむけることだけは、この余が決して許さん!

チャンドラ・マハル
上手さ下手さなど、後付けのまやかしに過ぎん!
踊り手を輝かせるのは、もっと本質的な部分にある!

アイリーン・ドナン城
よくわかんないよ~!

チャンドラ・マハル
ならば教えよう……まずは形からじゃな……。
そなたにも花嫁気分を味わってもらえば、根っこの意識も変わるはずじゃ。

アイリーン・ドナン城
えっ!? ちょっとチャンドラ・マハルちゃん!
どこに連れて行くつもりなのー?

チャンドラ・マハル
さぁ来い! そなたにぴったりのドレスを余が仕立ててやろう!

――。

――――。

チャンドラ・マハル
うむ! よく似合っておるぞ!

アイリーン・ドナン城
す、すごいよチャンドラ・マハルちゃん!
とっても綺麗で……なんだかわたしじゃないみたい!

チャンドラ・マハル
じゃろ?
今のそなたなら、パーティーの主役を張るのにふさわしい! あとは踊るだけじゃ!

アイリーン・ドナン城
結局、決め手は踊りなんだ……。
なんだか無理やり乗せられてるような気がするけど……。

チャンドラ・マハル
ともあれ、まずは身体を動かしてみることじゃ!

チャンドラ・マハル
技術などは頭の片隅に追いやってしまえ、情熱に身を任せてみよ!

チャンドラ・マハル
余計なことは考えず、レッツダーンス、じゃ!

アイリーン・ドナン城
了解! れ、レッツダーンス!

後半
アイリーン・ドナン城

はぁ、はぁ……踊りきれた……。
へたっぴだったけど……。

チャンドラ・マハル
素晴らしい舞であったぞ!
そなたの情熱が充分に感じられた!

アイリーン・ドナン城
えへへ、王様にも魅力的って思ってもらえるかな?

チャンドラ・マハル
お、それは花嫁役である余への挑戦と受け取ってもよいな?

チャンドラ・マハル
ふふ、余も花婿を奪われないように腕を磨かねばならんな……。

チャンドラ・マハル
さぁ、これから忙しくなるぞ~♪
舞台を整える他にも、ご馳走はたんまり用意せねばならんし、それから――。

アイリーン・ドナン城
それから、王様に手紙を送ることも忘れないようにしなきゃ!

チャンドラ・マハル
む、確かにそうじゃ。失念していた……。

チャンドラ・マハル
しまったぞ……。
王の居場所が分からなければ、手紙も出しようがないではないか……。

アイリーン・ドナン城
でしょ?
だから、わたしが王様に手紙を届けに行ってこようと思うの。

チャンドラ・マハル
よ、良いのか……?

チャンドラ・マハル
また、かなりの長旅になってしまうと思うが……。

アイリーン・ドナン城
大丈夫だよー。日の本には何度か足を運んだことあるから!

チャンドラ・マハル
というより、また遭難して、手紙が届かないのではと心配で……。

アイリーン・ドナン城
大丈夫だよぉー!!

アイリーン・ドナン城
今回チャンドラ・マハルちゃんに助けてもらったのはたまたま!
普段はもっと危険なミッションに挑戦してるんだから!

チャンドラ・マハル
そ、そうか……ならば任せることにしようかの……。

アイリーン・ドナン城
王様から参加の返事をもらえたら、一緒に戻ってくるよ!

チャンドラ・マハル
承知した! その間、余は結婚式の準備を整えておくぞ!

アイリーン・ドナン城
みんなが揃ったら夜通しパーティーだね!
それじゃ行ってくるー!

チャンドラ・マハル
うむ、気をつけてな!

そして数日後……。
アイリーン・ドナン城は日の本にて無事、遭難を果たすのであった――。



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[裏]小田原城

]小田原城…………。……あら、殿。ようこそいらっしゃいました。ああ……いえ、ご心配なく。少し考え事をしていただけですから。今、ちょうど……。昔の出来事に思いを馳せていました。今の私を形作る、原点とも呼...

[裏]小牧山城

目次1 性能1.1 特技1.2 [改壱]特技1.3 所持特技1.4 [改壱]所持特技1.5 計略1.6 [改壱]計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3...

[裏]室町第

裏]室町第殿……ふふふ。どうせまた来るって、そんな気はしていたわ。私がどんなに忠告をしても、貴方は自分の信念を曲げない。本当に……つくづく、強い人ね、殿は。私のせいで、どれほど悪いことが起こっても殿は...

[裏]大宰府

]大宰府おお、殿か。よく来てくれたな。今な、手紙を整理しておったのじゃ。最近は毎日、誰かしらから届くのでな……。この手紙は……、『大宰府ちゃん親衛隊』を自称する者たちからじゃな。大野城、鞠智城、基肄城...

[裏]坂本城

]坂本城大殿様……また来たのね。ふふ……別に、追い返したりしないわよ。というより……私も今ね、大殿様と話せたら、って考えてたところだったの。だから……少しの間、私の話し相手になってくれるかしら?……ふ...

[裏]佐和山城

]佐和山城……また来たのね、あなた。足を運んでくれたところ悪いけど、面白いものは何も見れないわよ?相変わらず、大坂城様のらいぶに向けて、準備をしているだけだもの。……ん、なに?『なぜ、そこまで大坂城様...

[裏]伊勢長島城

]伊勢長島城も~、なんなのあいつら!信じらんない!寄ってたかってライブの邪魔をして!いったいどこから情報が漏れたの?もしかして、殿じゃないでしょうね……!?……そんなわけないか。あたしは、あんたにな~...

[花嫁衣装]鹿児島城

目次1 性能1.1 特技1.2 計略1.3 [改壱]計略2 画像3 ボイス4 イベント4.1 イベント14.2 イベント24.3 イベント3性能< ロケト城 - [花嫁衣装]シャンティイ城 >[花嫁衣...

[花嫁衣装]鮫ヶ尾城

]鮫ヶ尾城はあ……春日山城サマの祝言、想像するだけでドキドキしてしまうっす!ね、ちびサマ~♪……ん?どうしたっすか、トノ?えっ、『主城のことより自分はどうなのか』っすか……?うぐ……これは痛いことを言...

[花嫁衣装]許昌城

]許昌城うーん……。ううーん……。……おや、殿か?すまない、考え事をしていて来訪に気づいていなかった。この間、殿と話してから、結婚に関して城娘達と話をしたのだ。繁栄という目的へ至る手段としての婚姻……...

[花嫁衣装]萩城

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[花嫁衣装]秋田城

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[花嫁衣装]春日山城

]春日山城うーん……。……うーん? ……うん?……殿?すみません! お越しいただいていたのに、今の今まで気づかずにいて!実は先日、坂戸城と謙信公の昔話をしてたのですが、その際、跡継ぎの話題が出たのです...

[花嫁衣装]新田金山城

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