ストーリーテキスト/怪の子どもたちはみな踊る

ページ名:ストーリーテキスト/怪の子どもたちはみな踊る

目次

怪の子どもたちはみな踊る[]

怪の子どもたちはみな踊る -前-

寝転んで退屈を嘆くやくもと、それを叱る千狐。
そんな長閑な所領に突如、殿を呼ぶ声が響き渡った。
来訪した城娘は、奥州にて起きた異変について語る。

前半
所領――。

やくも
はーぁ……退屈だにぃ……。

やくも
何か面白い事件でも起こったりしないがや……。

千狐
やくもはまた、ごろごろして……。

千狐
こういった余暇も、殿の日頃の奮戦のお陰……。
今後の英気を養う、貴重な時間なのよ?

千狐
事件が起きてほしい、
なんて不謹慎なことを言ってたら本当に――。

不来方城
たのもーーっ!!

やくも
だにっ!?

不来方城
……殿、殿はいるかっ!?

柳川城
不来方城さん……。
そんなに慌てて、どうされたのですか?

不来方城
それが……俺の故郷の奥州で、厄介事が起きちまって。
……殿に力を貸してほしいんだ。

不来方城
ひとまず、話だけでも聞いてもらえないか?

千狐
…………。

殿
…………。

やくも
な、なんだに? 殿も千狐も、
どうしてうちをじとーっと見つめたりするがや?

千狐
いーえ、なんでも。

千狐
……不来方城さん、それでは詳細をお願いいたします。

不来方城
あぁ、助かるよ! 実は最近、奥州で――

――――。

――――奥州・某所。

柳之御所
はぁ……はぁ……。

柳之御所
兜の数は増える一方……。
どこかで攻めに転じたいところだけど……。

柳之御所
さすがの柳之ちゃんも、年貢の収め時ってやつかなぁ……。

柳之御所
ん、あの光は……?

千狐
到着しました! 転移成功ですっ!

不来方城
目的地まで一瞬とは、相変わらずすげぇ力だな。
……ってことはこの辺りに……おっ!

不来方城
あそこにいるのは……。
柳之姉さーん! 約束通り、救援を呼んできたぜー!

柳之御所
不来方ちゃん!
お館様を連れてきてくれたんだね……。

殿
…………!

柳之御所
お館様……。
私たちのために奥州まで赴いてくれて、どうもありがとう♪

柳之御所
このお返しは、宴の席で!
一段落したらいっぱいおもてなしするから、楽しみにしててね♪

殿
…………!

やくも
宴……おもてなし……!

柳川城
……お話は不来方城さんから概ね伺いました。
奥州に住まう妖怪の力を、兜たちが求めている、と……。

柳之御所
そうなの。奥州の地に、
古くから言い伝えられてる『座敷童子』っていう妖怪なんだけど……。

千狐
座敷童子……。

やくも
……ってことはまた、
兜と妖怪が一緒になって悪さしようとしてるってことだに?

千狐
確かに、すぐ傍から妖怪の気配が感じられますが……。

やくも
すぐ傍から……。

やくも
…………。

座敷童子
…………。

座敷童子
くすくす……。

やくも
!?

やくも
せんこせんこせんこ!

千狐
きゃっ……!? どうしたのよ、やくも?

やくも
見ただに、そこに座敷童子らしき子どもが突っ立ってるのを、
うちはこの目で見ただに! 怪しい笑みを浮かべてたがや!

千狐
ええ、少し離れた場所から私たちの様子を窺っているみたいです。
不思議なことに、あまり邪な力のようには思えないのですが……。

柳之御所
そう! その狐ちゃんの言う通り!

千狐
コンっ!?
千狐にはちゃんと千狐って名前があるの! 狐ちゃんじゃないのー!

柳之御所
あはは、ごめんごめん。つい勢いで……。

柳之御所
でも、千狐ちゃんの見立てはぴったし当たってるよ。
座敷童子ちゃんっていう妖怪はね、悪さをするような子じゃないんだ。

柳之御所
妖怪の中には、人の生活に溶け込んで、穏やかな日々を送っている子もいる。
時には、人間の手助けをしてくれることだってあるの。

柳之御所
座敷童子ちゃんもその一つ。家に住み着いて、
そこに住む人々に幸や栄えをもたらしてくれる……そう言い伝えられてるんだよ。

やくも
ほぇー……守護霊みたいな力を持ってるんやね……。

柳川城
……ですが、もしその力を兜に奪われたら、
座敷童子さんが居る家からは、幸が失われてしまうのではありませんか?

柳之御所
そうなんだよ~!

柳之御所
座敷童子ちゃんが去った家には、不幸が訪れる……そんな伝承もあってね。
だから、此地を荒らそうとする兜たちを、どうしてもやっつけたいんだよ……。

不来方城
奥州の地を人知れず支えてきた座敷童子には、
これからも穏やかに暮らしていてもらいたいもんな……。

柳之御所
うん……一時的に、安全な場所に避難させられたら、
とも思ったんだけど、上手くいかなくて……。

不来方城
俺たちを警戒してるのか……。
それとも、慣れ親しんだ場所から動けないのか……。

柳川城
……いずれにせよ、迫りくる兜を退ける以外に手はないということですね。

柳之御所
そうなの。
お館様たちが助けに来てくれて、本当に助かったよ。


――ザザッ!

兜軍団
――ザザッ、ザザザッ!!

千狐
コンッ!?

千狐
来ました……兜の軍勢です……!

不来方城
よぉし!
ここは一つ、俺の金棒で兜どもを一掃して……!

柳之御所
気合が入っているのはいいけど、
金棒を振るう時は周囲に注意してね、不来方ちゃん!

不来方城
お? 周囲?

柳之御所
さっきも話した通り、
座敷童子ちゃんは此地の守護霊のような役割も担っているの。

柳之御所
だから、巻き込んで傷つけたりしないように注意して!
戦場には座敷童子ちゃんも居ることを忘れちゃだめだよ!

不来方城
そうだったな……兜ばかりに気を取られて、
助けようとしてる相手を傷つけちゃ目もあてられねぇ。

不来方城
承知したよ、柳之姉さん!

柳之御所
お館様も充分に気をつけてね! わかった?

殿
…………!

柳之御所
それじゃいくよ……!

柳之御所
心を静め……狙い澄まして、引き絞り……放つッ!!

後半
柳之御所

これでトドメだよっ!
はああぁぁぁぁーー!!


ギャアアアァァァァァァ!!?

不来方城
やったぜ! これで兜の軍勢は全滅だ!

柳之御所
よかった……これで被害も食い止めることができるかな……。

千狐
ですが、まだ遠方にはかすかに、兜の気配が感じられます。
時間を置いて、再び攻め入ってくるかと……。

殿
…………!

柳川城
……そうですね。殿の仰る通り、
次の戦いに備えて態勢を立て直すことにいたしましょう!

怪の子どもたちはみな踊る -後-

再び現れた兜の軍勢。彼らの狙いは座敷童子を奪い、
その利福を我が手に収めることであった。
罪なき妖怪と民を救うため、城娘と共に出陣せよ!

前半
兜を退けてから数刻後――。

不来方城
……ちくしょう、兜の奴らまだ攻めてこないのか。
俺はもう準備万端だってのに……。

柳之御所
不来方ちゃんは熱血だねぇ。
そんなにずーっと気を張ってたら疲れちゃうよ?

柳之御所
……ん?

柳之御所
……不来方ちゃん、不来方ちゃん。

不来方城
……なんだよ、柳之姉さん?
俺は今、戦に備えて精神統一を……。

柳之御所
あそこ、見てみて……。

座敷童子
…………。

不来方城
座敷童子か……。
こっちをじーっと見つめてるけど……それがどうかしたのか?

柳之御所
さっきよりも、距離が近づいてると思わない?
戦いの前は、姿を見せずにこっちの様子を窺っていたのに。

不来方城
確かに、そうだな……俺たちが兜を退けたから、
少しだけ警戒を緩めてくれてるんじゃないか?

柳之御所
それもあるだろうけど……。
私は、一緒に遊びたいんじゃないかなぁーって思ったんだよね。

不来方城
……一緒に遊びたい?

柳之御所
ほら、手に鞠を持ってるでしょ。

座敷童子
…………。

柳之御所
鞠と、不来方ちゃんを交互に見て……。

座敷童子
…………。

柳之御所
何か言いたげな表情で、こっちを見つめてる……でしょ?

不来方城
……お、俺か? 柳之姉さんの間違いだろ?
俺みたいなぶっきらぼうより、優しい雰囲気の姉さんに惹かれるはずだ……。

柳之御所
そんなことないよ、まっすぐ不来方ちゃんの方を見てるもん。

柳之御所
不来方ちゃんがちっちゃくて可愛いから、
親しみを抱いてるんじゃないかな?

不来方城
俺は可愛くなんかないぞ、勇ましく猛々しい城娘だ!
ちっちゃいかどうかはさておき!

不来方城
そもそも、
俺が鞠遊びなんていう子供じみた遊戯に付き合うなんて……。

柳之御所
だめだよ不来方ちゃん、そんなこと言ったら……。

座敷童子
…………。

柳之御所
あ、しゅんとしちゃった……。

不来方城
…………。

座敷童子
(とてとて、とてとて……)

柳之御所
あぁ、帰ってっちゃった~……。

不来方城
ぅ…………。

柳之御所
ね? やっぱり不来方ちゃんと一緒に遊びたかったんだよ。

不来方城
……そんなこと言われても、俺は奥州を守るためにここに居るんだ。
座敷童子と一緒に遊ぶためじゃない……。

不来方城
柳之姉さんも準備しないと――。


――ザザッ!

兜軍団
――ザザッ、ザザザッ!!

千狐
来ました、兜です!
皆さん、戦いの準備をっ!!

柳川城
先程よりも数が多い……増援を連れてきたのですね……。

兜軍団
怪……ガ……利福ヲ……手ニ……

不来方城
……柳之姉さん。あいつら、ぶつぶつと何か言ってるみたいだぜ……?

兜軍団
怪異ガモタラス利福ヲ、我等ガ手ニ……。
  怪異ガモタラス利福ヲ、我等ガ手ニ……。
    怪異ガモタラス利福ヲ、我等ガ手ニ……。

柳之御所
…………!

柳之御所
そうだったのね……。 

柳之御所
兜たちは奥州の民から幸を奪うだけでなく、
座敷童子ちゃんがもたらす幸を、我が物にしようと考えている……。

柳之御所
ひどいことを……座敷童子ちゃんの幸は親愛の現れ。
家族のような絆で結ばれてるからこそ、家主のために力を使ってくれる……。

柳之御所
それを横取りすることなんて、できるわけないのに……。

柳之御所
許せない……あの子は、絶対に傷つけさせない……!

不来方城
その通りだぜ、姉さん!
そんな非道がまかり通っていいわけがねぇ!

座敷童子
…………。

不来方城
うぉ、座敷童子!? なんでお前がここに居るんだ!

座敷童子
…………?

不来方城
もうすぐ合戦が始まる!
ここに居ると危険だから、お前はあっちに行ってろ! いいな?

座敷童子
…………。(しゅん)

座敷童子
(とてとて……とてとて……)

不来方城
行っちまった……。

不来方城
(もうちょっと優しく言った方がよかったかな……)

不来方城
……じゃなかった! そんなことより!

不来方城
皆、座敷童子の奴がとてとて歩き回ってるみたいだ!
兜に攻撃する時は、巻き込まないように気をつけてくれよ!

柳之御所
わかったよ! ありがとう不来方ちゃん!

不来方城
いくぜ殿! 準備はいいか?

殿
…………!

不来方城
よぉし!
俺の視界に入った兜どもは、全員叩き潰してやるぜ!

後半
柳之御所

はああああぁぁぁぁぁぁ!!


ギャアアアアァァァァァァ!!

柳之御所
これで兜はすべて片付けた……。
座敷童子ちゃんは……?

不来方城
ね、姉さん姉さーんっ!!

柳之御所
っ!?

不来方城
座敷童子のやつが、
俺を追っかけてくるんだけどーっ!?

千狐
座敷童子さんも無事のようです……。

柳之御所
ほっ……良かったぁ……。

不来方城
柳之姉さんってば、聞いてるー?

柳之御所
一緒に遊んであげればいいじゃない。
戦は終わったんだから、もう断る理由はないでしょ♪

不来方城
ったく、仕方ねぇな……。

不来方城
柳之姉さんは無茶言って……。
戦を終えたばかりで疲れきってるっていうのに。

不来方城
わかった……それじゃ俺がいっちょ遊んでやるよ……。

座敷童子
…………!

不来方城
だが、気は抜くんじゃねぇぞ。
たとえ鞠遊びであろうと、全力を尽くす。それが俺の流儀だ……!

座敷童子
…………!

やくも
うちも混ぜてほしいだにー!

千狐
千狐も一緒に遊ぶのー!

不来方城
いいぜ、人数は多いほど盛り上がる……!
全員、この鞠の許に集まりやがれー!

やくも
だにぃーー!

柳川城
全員って、私もですかっ!?

殿
…………。

柳之御所
……お館様♪

柳之御所
今回の戦い、素晴らしい采配だったよ。
奥州の地と座敷童子を守り抜くことができたのも、
お館様のお陰……本当にありがとう♪

柳之御所
妖怪と城娘が共に戯れる……。
なんて、お館様にとってはちょっと見慣れない光景かな?

柳之御所
種族の違いはあれど、
仲良くできるならそれに越したことはないよね。

殿
…………。

柳之御所
そうだ、まだ帰ったりしちゃダメだからね?

柳之御所
ゆっくり休んだら、この後は宴……。
約束通り、私の城でいっぱいもてなすんだから♪

殿
…………!

不来方城
柳之姉さん、なにやってんのー!

不来方城
姉さんも一緒に遊ぼうぜ! あんだけ俺のことを煽ったんだからさ!

柳之御所
はいはーい、今いくよー!

柳之御所
……それじゃまた後でね、お館様♪

殿
…………。

この後、城娘たちの掛け声と鞠が跳ねる音が、
夜が更けるまで辺りに響き続けるのだった――。

怪の子どもたちはみな踊る -絶-

平穏が訪れた奥州にて、鞠を打つ音が響く。蹴鞠に
魅せられた不来方城は、日夜を問わず特訓に
明け暮れていた。そこに一人の城娘が姿を現す――。

前半
奥州に平穏が訪れてから、数日後――。

浪岡城
ふんふーん、ふんふふーん♪

不来方城
よぉし、もう一回だ!

浪岡城
……あれ? あそこに居るのは……。

浪岡城
不来方城さんじゃないですか~。
こんなところでお会いできるなんて、奇遇ですね♪

不来方城
お、浪岡城! 久しぶりだな!

浪岡城
北畠氏が浪岡に入部する際は、お世話になってしまって……。

不来方城
まったくお前は、会う度にそうやって頭を下げて……。
困った時はお互い様だろ?

浪岡城
あはは……いつものことと思いつつも、
つい言ってしまうんですよね。

浪岡城
ええと……そちらは二本松城さん、でしたよね?
ご無沙汰しております♪

二本松城
おひさしぶり~♪

不来方城
そうか、浪岡城は二本松城とも知り合いだったんだな。

二本松城
うん……といっても、顔見知りってくらいだけどね。

二本松城
あたしは蒲生氏郷様の領地に建ってたんだけど、
氏郷様は南部氏とは同じ勢力に属してたから、その縁でちょこっとね。

二本松城
というわけで今後ともよろしくね、浪岡ちゃん♪

浪岡城
はい、よろしくお願いします♪

浪岡城
先程、威勢の良い声が聞こえましたが……鞠遊びですか。

不来方城
そう、蹴鞠だ!
最近、すっかり嵌っちまってな……。

二本松城
妖怪ちゃんのあまりの上手さに感銘を受けて以来、
それを目指して頑張ってるんだって。

浪岡城
妖怪?
妖怪と言いますと……この子のことですか?

座敷童子
くすくす……。

二本松城
ぅわっ!? いつの間に!

浪岡城
なるほど、この妖怪さんも鞠をもってますね。
この子が縁で蹴鞠に出会ったと……。

座敷童子
(ぽーん、ぽーん、ぽーん……)

浪岡城
おー、じょうずじょうず!

不来方城
実際やってみると、ここまで上手くはいかないんだけどな……。

二本松城
不来方ちゃん、全然上達しないもんね……。

不来方城
うるさいなっ! それだけ難しいってことだよ!

不来方城
……浪岡城も、どうだ? せっかくだし遊んでいこうぜ?

浪岡城
いいんですか! ぜひやってみたいです♪

浪岡城
蹴鞠の経験はないのですが……この子がやってるみたいに、
鞠をまっすぐ上に蹴り上げればいいんですよね?

不来方城
そうだ。鞠が地面に付くまでに、これを何回繰り返せるか……。
単純なんだが、これが途轍もなく難しい。

浪岡城
なるほど、なるほど……。それじゃ、やってみますね。

浪岡城
……ふ、ほっ……た、やっ……よっ、と――。

二本松城
わっ、すごいすごい! 

不来方城
っ!?

浪岡城
あちゃー、五回かぁ……続かないものですね。
不来方城さんが言う通り、上達には時間が掛かりそうです……。

不来方城
…………。

不来方城
おい、浪岡城……お前、蹴鞠は本当に初めてか?

浪岡城
え、そうですよ? 先程も申し上げた通りですが……。

不来方城
そんな馬鹿な……。

浪岡城
……えっと、ちなみに、不来方城さんの記録は?

不来方城
…………。

不来方城
…………んかい……だ。

浪岡城
……えっ? すみません、
声が小さくてよく聞こえなかったのですが……。

不来方城
三回! 三回だ!
血の滲むような努力を経て到達した、奇跡の三回! 悪いか!?

浪岡城
いえいえ! 悪いなんてことは決して!

座敷童子
くすくす……。

不来方城
笑うなぁー!

不来方城
くぅ……かくなる上は……。

不来方城
二本松城、お前も挑戦するんだ!

二本松城
えっ、あたし!?

不来方城
さっきは俺が全然上手くならないとかなんとか……。
二本松城も、蹴鞠の難しさを身を持って知るべきだ!

二本松城
できるわけないよぉ。
あたし、ここで不来方ちゃんが遊んでるのを眺めてただけだもん。

不来方城
最初は誰だってそうなんだ! 浪岡城は特別才能があったのかもしれないが、
誰もが、下手なところから少しずつ上達していく……。

不来方城
その気持ちを二本松城、お前も味わうんだ、な!?

二本松城
もー、必死になっちゃって……。
そこまで言うならやるけど、本当に下手っぴだからねー?

不来方城
それでいい! そうでなきゃ困る!

二本松城
それじゃ、いきまぁす。それっ……!

二本松城
いち、にぃ……さん! しぃ……ご――。
わ、ととっ……。

二本松城
うそ、五回も続いちゃった……。

浪岡城
すごいすごい!
やりましたね、二本松城さん♪ 私とおんなじです~♪

二本松城
いや、この場合は続かない方が良かったような……。

不来方城
どうして勝っちゃうんだよぉ!?

二本松城
(やっぱり……)

不来方城
ここは二本松城が最下位になり、
ぺろっと可愛く舌を出して丸く収まる、そういう流れじゃないのか?

不来方城
なのにどうして!
禄に練習もしてない二本松城が俺より上手いんだぁ~!

二本松城
そんなことを言われても……。

不来方城
このままでは終われない……勝負だ。
勝負で決着をつけるしかない……!

二本松城
(不来方ちゃん、蹴鞠への情熱が変な方へ向かっちゃってる……)

不来方城
座敷童子!
この勝負、お前にも参加してもらうからな!

座敷童子
…………!

不来方城
座敷童子にはとことん走り回ってもらうぜ……。

不来方城
俺が蹴った鞠の行き先は予測不能……。
いくら上手かろうと、すべてを拾うことはできまい、ふふふ……。

二本松城
得意げに言うことじゃないよね……。

浪岡城
ふふっ、不来方城さん元気いっぱいですね♪
面白くなってきました!

不来方城
皆で輪を作り、鞠を自分以外の誰かに向かって蹴り上げる。
最初に地面に落としてしまった者が負け……。

不来方城
決まりごとは以上だ!

二本松城
もー、わかったよぉ……。

二本松城
浪岡ちゃん、
巻き込んじゃって申し訳ないけど、もうちょっと付き合ってね……。

浪岡城
いえいえ、とっても楽しいですよ♪

不来方城
それじゃいくぜ! 準備はいいな?

浪岡城
はい! 勝負開始です~♪

後半
不来方城

そんな……一度も勝てないだなんて……。
嘘だ、嘘だあぁぁぁ!

二本松城
(不来方ちゃんが勝手に自滅してるだけなんだけど……)

浪岡城
座敷童子さんと不来方城さんを見比べると、
力が入りすぎなように見えますね……。

不来方城
うぅ……日頃めいっぱい金棒を振り回してるから、
その調子でやってしまうのかもしれないな……。

二本松城
確かに、威力は申し分ないけどね……。

不来方城
決められた場所に向けて、
鞠を蹴り込むような競技だったらいいんだけどな……。

不来方城
まだ時代が俺に追いついてないみたいだ……。

二本松城
何を言ってるの、もう……。

浪岡城
……でしたら、考え方を変えてみるのは如何でしょう。
勝負ではなく、目標に向けて協力する遊戯だと捉えるんです。

不来方城
遊戯……?

浪岡城
つまり……『最初に落とした人が負け』ではなく、
『皆で、できるだけ長く続けよう』と考える、ということです。

浪岡城
やることに変わりは無くても、
そう考えるだけで鞠を制御することへの意識が高まるのではないかと♪

不来方城
お、おぉ……!
確かに、そう考えたらいけそうな気がしてきた!

不来方城
浪岡城の助言を参考に、もう一度! もう一度やろう!

浪岡城
はい! お付き合いしますよ♪

不来方城
……それじゃ行くぜ、二本松城!
お前めがけてまっすぐ蹴っ飛ばすからな!

二本松城
まっすぐ……蹴っ飛ばす……?

二本松城
なんだか嫌な予感が……。
あたしの本能が警告を発してるんだけど。

不来方城
喰らえぇぇぇぇぇえ!

二本松城
きゃぁあぁぁぁっ!?

二本松城
あっぶなぁ~……。
ちょっと不来方ちゃん、浪岡ちゃんの話聞いてた!?

二本松城
あんな弾丸みたいな勢い、どうやって受け止めろっていうの!?
あたしのどてっ腹に風穴開けるつもり!?

不来方城
今の威力……なるほど、上半身の使い方が肝ってわけか。
感覚を掴んだ気がするぜ……。

二本松城
話を聞けーーーッ!!

座敷童子
くすくす……。



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