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序幕[]
――――
遥か海原に広がるは……夢幻の泡沫。
あるいは、無限の――
甘崎城
ぎょあぁぁああああっ！？
なんですなんです！ 砲撃ですぅっ！？
？？？
放てーーーーーー！！
どっかああぁぁぁぁぁぁぁん！！！
甘崎城
のわぁぁぁぁぁああ！！？
？？？
ぃよーし……これで少しはやる気になるだろ。
？？？
…………。
？？？
……ちょっとやりすぎたか？
――――
やくも
もぐ、もぐもぐ……。
にひ……今日のうちはツイてるだに。
この後にまだお昼が待っとるなんて、最高――
柳川城
またつまみ食いですか……やくもさん。
殿
…………。
やくも
――っ！？ 柳川城……！
柳川城
何度も何度も……どうして罪を重ねるんです？
いずれ発覚して、千狐さんに叱られることは目に見えているのに……！
やくも
ち、違うがや……今日のは違うんだに！
やくも
なんでか知らんけど、
今日の昼餉はいつもより多めに作られてたんだに！
だから大丈夫！ ちゃんとご飯は四人分残っとるがや！
柳川城
いつもより多めに……？
殿、千狐さん、やくもさん、私……なるほど。
四人分残っているのなら、何も問題は――
柳川城
――あれ？ ちょっと待ってください。
立花山城さんの分は、どこにいったんです……？
やくも
…………！
やくも
すっきり忘れとっただに……！
やくも
どーするだに……千狐に加えて、
立花山城にも怒られることになっちゃったがや……！
柳川城
もう、知りません……二人にしっかり叱られてください。
殿
…………。
千狐
ぱたぱたぱた～っと。
お掃除お掃除～……なの。
千狐
ふぅ……今日も所領は平和そのものね。
千狐
残った憂いは、
やくもがちゃんと更生するかどうかくらい……。
やくも
し、失礼なこと言わんでほしいがや！
うちはつまみ食い以上の悪さはしたことないだに！
柳川城
『つまみ食い』と呼べる規模ではありませんよね……。
下手をすれば食料危機に発展します。
殿
…………！
やくも
そ、それは流石に言い過ぎだに！
うちだって少ーしずつ改善できるよう、努力を――
立花山城
殿ぉ～～～！！
大変よ、大変なの！
やくも
なんだに……立花山城。
うちは今、所領の食料問題について熱い議論を――
立花山城
冗談を言ってる場合じゃないの！
――この手紙、救援の要請よ！！
城娘に危機が迫っているって！
立花山城
詳しい話は後回し！
とにかく現地へ転移しなきゃ！
……お願い、千狐！
千狐
――承知しましたっ！
秘技・時空転移じゅつ――
――――ザザッ
千狐
――なの、ぉ……お？
殿
…………？
千狐
（……あれ？ お、おかしいの。
転移術が、行使できない……？）
やくも
なーにぼーっとしとるだに、千狐！
早く転移しないと、手遅れになるがやー！
千狐
……いいえ！ そんなはずないわ……もう一度！
千狐
――コンッ！
秘技・時空転移術なのぉーーっ！！
――
――――
――――
千狐
転移、成功……なの？
なんだったのかしら、さっきの感覚は……？
柳川城
……火薬の匂いがしますね。
立花山城
皆、気をつけなさい……。
おそらく敵は、そう遠くない場所に――
甘崎城
ど、どのぉぉぉぉおおお……！！
殿
…………！？
甘崎城
やばいですやばいです！
このままだと、みーんな黒焦げですぅぅ！
さっさと助けやがれですぅぅぅ！！
柳川城
みんな黒焦げ……？
兜たちは今、力を弱めているはず。
いったい誰に襲われたのです？
？？？
白い城娘、黒い城娘。
狐の神娘に蛇の神娘……。
？？？
……話に聞いた通り。
噂の『殿』がようやくおいでなすったわけだな！
殿
…………！
？？？
船出の時は近い……。
遠からず訪れる荒波を越える力を持っているか、
あんたらを試させてもらう！
安宅船 日本丸
さぁ……思いっきりやり合おうぜ。
かの太閤様から『最も優れた』という名を賜った、
最強の軍船たる、このあたし……日本丸様とよ！
殿
…………。
千狐
にほんまる……ぐんせん……。
やくも
ぐんせんっちゅーのは……どういう意味だに？
立花山城
軍船というのは、つまり……。
読んで字の如く『戦う船』という意味……よね？
柳川城
はぁ……ふね、ですか。
殿
…………。
殿
…………！？
一同
――ふ、ふねっえええええ！？
天下を統べたと称しても、
世界は広く……限りなく続いている。
そして、これより始まる物語は――
大洋の彼方より、潮風と共に訪れる。
第二部夢幻航海開幕
――――
ざわざわ……ざわざわ……。
見物に来た城娘
わぁ……おっきい……。
見物に来た城娘
あれは……船、ですよね？
大きさはちょっと現実離れしていますけど……。
見物に来た城娘
巻き上がる煙……黒き船体。
あの武威が私たちに振るわれたら、
どうなるかなど……想像もしたくないな。
？？？
…………。
？？？
……さぁ、幕を上げようか。
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