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幕間3[]
三重城
…………。
三重城
あ……あの、大宮丸ちゃん？
ちょっと……話があるんだけど……。
鉄甲船 大宮丸
あら……私に話？ なにかしら？
三重城
うん……実はね。
みーから大宮丸ちゃんに、謝らなくちゃいけないことがあって。
鉄甲船 大宮丸
…………。
鉄甲船 大宮丸
もしかして……私の出港を阻んだことを、気にしているのかしら？
三重城
――っ！？
三重城
それ……気づいてたの……？
鉄甲船 大宮丸
ええ、もちろん。こう見えても私、結構注意深い方なのよぉ。
ちょっとのろまだから、
いっつも後手に回っちゃうんだけどね……うふふ♪
三重城
…………。
三重城
……だったら。どうしてみーのこと、責めないの？
鉄甲船 大宮丸
…………んー？
鉄甲船 大宮丸
ん～～～……。
鉄甲船 大宮丸
……どうしてかしらね？
三重城
お、大宮丸ちゃん……真面目に答えてほしいよ……。
鉄甲船 大宮丸
んー、それはきっとね。
私がみーちゃんのことが大好きで、
心から信じてるからじゃないかしら？
三重城
みーのことを、信じてるから……？
鉄甲船 大宮丸
いい、みーちゃん？
信じるっていうのは……覚悟することなの。
鉄甲船 大宮丸
どんな結果に至っても、
『それで良かった』って思える……。
そんな心構えを持つことなのよ。
三重城
……みーに裏切られちゃったとしても？
鉄甲船 大宮丸
ええ♪ みーちゃんが決断したことなら、それが一番なの。
鉄甲船 大宮丸
そもそも私は、裏切られたなんて思ってないわ。
みーちゃんが悪い子じゃないって、私はよぉく知ってるもの♪
三重城
大宮丸ちゃん……。
鉄甲船 大宮丸
みーちゃんの行いだって、
私のことを思ってやったものなんじゃないかしら。
どう……当たってる？
三重城
うん……実はそうなんだ。
大宮丸ちゃん、すっごいのんびりさんだから。
海に出たら、怪我しちゃいそうだなーって……。
鉄甲船 大宮丸
あら……そう。
『すっごいのんびりさん』ね……。
鉄甲船 大宮丸
それはそれで、複雑な気持ちだわぁ……。
――――
黒船 サスケハナ
…………。
黒船 ミシシッピ
そんな風にじーっと見つめていても、
誰かが話しかけてくれたりはしないと思いますわよ？
黒船 サスケハナ
……む。
黒船 サスケハナ
それは、分かっている……つもりだ。
黒船 サスケハナ
しかし……こうした雰囲気にどうも慣れなくてな。
元々、取り留めのない話をするのが苦手で……。
黒船 ミシシッピ
（昔っからこういうところは不器用だったのよね、この子は……）
黒船 ミシシッピ
（相手の気を惹くように振る舞えたらいいのだけど、
心にも無いお世辞を言うことが何より苦手で……）
黒船 ミシシッピ
……はぁ。
黒船 サスケハナ
……なぜため息をつく？
黒船 ミシシッピ
さぁ……どうしてかしら。
黒船 サスケハナ
……とにかく、心配は要らん。
お前にとやかく言われなくとも、上手くやってみせるさ。
黒船 ミシシッピ
……そう？
わたくしの力が必要になったら、
いつでも頼って良いのですからね……？
黒船 ミシシッピ
（と言っておけば、
この子は意地でも一人でやり抜こうとするでしょう）
黒船 ミシシッピ
（さて……どう転がるかしらね……）
――――
甘崎城
んー、んー♪ んー、んん～♪
？？？
……おい。
甘崎城
今日はさんさん良い陽気♪
お腹もいっぱいで最高の気分です～♪
黒船 サスケハナ
……おい、そこの城娘。
確か名は……甘崎城と言ったか。
甘崎城
――うぉわっ！？ な、何者ですかっ！
甘崎城
……って、サスケハナですか。
雰囲気が全然違うから、びっくりしたです……。
甘崎城
そ、それで……なんのご用でしょーか……？
わたしの名前を呼んだような気がしたですけど……？
黒船 サスケハナ
ご用？ ……ご用か。
黒船 サスケハナ
（そう問われると難しい。
実のところ……特に用は無いからな）
黒船 サスケハナ
（しかし、日の本の城娘たちは、
用など無くとも、雑談にいつも花を咲かせている……）
黒船 サスケハナ
（こういう場合は……どう切り出すべきか。
改めて考えると、難しいな……）
黒船 サスケハナ
むぅ……。
甘崎城
…………。
甘崎城
（な、なんで黙りこくってるです……！？）
甘崎城
（話しかけてきたのはそっちです……意味わかんねーです……！）
甘崎城
――はっ。
甘崎城
（まさか……あれですか？
さっきペロッとつまみ食いした、あの件……？）
甘崎城
（それとも、昨日の……いや、一昨日の……？）
甘崎城
…………。（がたがたがたがた）
甘崎城
（た、大変なことになってしまったです……！）
甘崎城
（サスケハナのことはよく知らねーですけど、
怒ったらやべー奴なのは間違いないですぅ……！）
甘崎城
（口にするのもはばかられるような、
おぞましい拷問が、わたしを待ってるですぅ……！）
甘崎城
うう、うううぅぅぅぅ……。（ぽろぽろ）
黒船 サスケハナ
……っ！ な、なぜ泣き出す！？
甘崎城
う、うぅゔぇ……ご、ごべんなざいぃ……。
どうか……どうか命だけはぁ……！
黒船 サスケハナ
（こ、これはどういうことだ……！？）
？？？
おい、サスケハナ！ 何やってんだよ！
黒船 サスケハナ
――む？
安宅船 日本丸
甘崎城が号泣してるじゃねぇか、可哀想に！
甘崎城
うううぅぅぅうぅ……！（ぽろぽろ）
安宅船 日本丸
お前のことだ……大方、
お頭の懐に入ったのを良いことに、
一人一人始末しようって魂胆なんじゃねぇのか……？
黒船 サスケハナ
い、いや違うぞ……。
甘崎城のは……急に泣き出したから、
私も驚いていたところで……！
？？？
――そうよぉ、日本丸ちゃん。
サスケハナちゃんに悪気はないわ。
いちゃもんを付けたりしちゃダメ。
黒船 サスケハナ
（次から次へと……今度は誰だ？）
鉄甲船 大宮丸
私はちゃーんと気づいてるもの♪
サスケハナちゃんの、本当の気持ちに……。
安宅船 日本丸
サスケハナの……本当の気持ちだぁ？
黒船 サスケハナ
（た、助け舟か……これで風向きが――）
鉄甲船 大宮丸
甘崎城ちゃんと一緒に遊びたかったのよね……サスケハナちゃん？
黒船 サスケハナ
……ん？
鉄甲船 大宮丸
それで、言葉に詰まって……悩んで。
甘崎城ちゃんが勘違いして、怖くなっちゃった。
……でしょ？
黒船 サスケハナ
いや……そういうわけでは――
黒船 サスケハナ
（――いや。否定はしない方が良いのか、この場合……？）
黒船 サスケハナ
（ああ……そうだ。
日の本の城娘と交流を持とうとしていたのは、
事実なのだからな。となれば……よし）
黒船 サスケハナ
…………。
黒船 サスケハナ
そ、そうだ……私は、その……。
甘崎城と遊びたいと思っていた……のだ。
甘崎城
え……？ ただ、遊びたかっただけ……？
甘崎城
それじゃ……、
つまみ食いしたわたしを折檻するためじゃ、
なかったってことですか？
黒船 サスケハナ
つまみ食い……？
ああ、そちらは私の預かり知らぬことだが……？
安宅船 日本丸
――ん？ つまみ食い？
ちょっと待てよ、甘崎城。
安宅船 日本丸
おい……それって、あたしの茶菓子のことじゃねぇか？
安宅船 日本丸
どこに消えたのかと思ってたら……そうか。
甘崎城の胃袋の中だったってわけかよ……！
甘崎城
……あ。
安宅船 日本丸
となれば……きっちり、
あたしが躾けてやらないといけないよな……甘崎城？
甘崎城
ぎ、ぎ、ぎぇえ……！
甘崎城
ぎぇぇぇええええ！
ごめんなさいですぅぅぅぅぅううう！！
安宅船 日本丸
こらぁああ！ 待ちやがれぇぇええ！
黒船 サスケハナ
…………。
黒船 サスケハナ
……結局、話す機会は逃してしまったな。
黒船 サスケハナ
……いや、
少し言葉を交わせただけでも、
前進と捉えるべきか……。
鉄甲船 大宮丸
ふふ……サスケハナちゃんは、ちっちゃな城娘が好きなのね。
いつか甘崎城ちゃんと、一緒に遊べると良いわねぇ♪
黒船 サスケハナ
（こっちはこっちで面倒な勘違いをされている気がする……）
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