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幕間2[]
三重城
…………。
殿
…………。
三重城
穏やかな海……次の島に着くまで、これが続くといいね……。
殿
…………？
三重城
怪我……さっきの戦いの？
うん、みーのことなら大丈夫さー。
三重城
それよりもみーはね、国王にお返しがしたいの。
三重城
さっきの戦いで国王に助けてもらったでしょ。だから、そのお返し。
身の回りのお世話でも、お喋りの相手でも……なんでもするよ。
殿
…………。
三重城
……なんだか、不思議な気分だなぁ。
三重城
普段、御城に居る時のみーはね、
海へ漕ぎ出す船を見送る役目を担ってるの。
三重城
無事に帰ってこれますように……、
ってお祈りするのがみーの毎日だったんだ。
三重城
だから……御城から離れてる今は、
ちょっと落ち着かないさー。
殿
…………。
柳川城
（そ～）
柳川城
……殿と三重城さんが二人きり。
いったい何を話しているんでしょう……？
立花山城
……はぁ、何をしているかと思えば。
立花山城
こんな役回りばかりね……貴方。
柳川城
む……立花山城さんだって同じことじゃないですか。
立花山城
……私は良いのよ、望んでここに居るんだから。
今考えるべきは、貴方の押しの弱さについてで――
柳川城
……だ、黙っていてください。
二人の声が聞こえないじゃないですか……！
――――
殿
…………！
三重城
励ましてくれるの？
えへへ……ありがとね、国王。
三重城
……でもみーには、
国王に優しくしてもらう資格は、
無いのかもしれない……。
殿
…………？
三重城
みーは一つ……悪いことをしちゃったの。
三重城
さっき……軍船の子の話をしたでしょ？
日本丸ちゃんのお友達だっていう……。
三重城
その子がここに居ないのはね……みーのせいなんだ。
殿
…………！
三重城
その子はとってものんびり屋さんだから……。
みーが隙を見計らって、
櫂を壊して……出航できないようにしたの。
殿
…………！？
三重城
みーの役目は船出の無事を祈ることさー……でもね、
本当に無事でいたいなら、海になんか出ない方が良い……。
三重城
だって、海は神様のおわすところ。
何が起きるか分からない、
とっても恐ろしい場所なんだから……。
殿
…………。
三重城
みーは……怖いの。
三重城
きっとこれから、良くないことが起こる。
海の向こうに悪い気を感じるんだ……。
三重城
だからお願い、国王……みんなを止めてよ。
三重城
海には出ないで、ずっとみーの傍に居て？
みんなで一緒に暮らそう？
そうしたら、みーが国王のことを幸せにしてあげるから。
殿
…………。
三重城
お願い……お願い。お願いだよぉ……。
――――
柳川城
…………。
立花山城
…………。
安宅船 日本丸
なるほどなぁ……そういうことだったのか。
首里城
みーちゃん……そんなに溜め込んでたんだねぇ……。
柳川城
――日本丸さん、首里城さんっ！？
安宅船 日本丸
確かに海ってのは危険な場所だからなぁ。
船出を見送り続ける立場にゃ、辛いところもあるだろう……。
安宅船 日本丸
気晴らしがてら……今度、茶会にでも誘ってやるかな。
首里城
いいねいいね、スイも参加するよー♪
立花山城
……それよりも今は、考えるべきことがあるんじゃない？
安宅船 日本丸
考えるべきこと？ ……ってなんだ？
立花山城
あの子が、この船旅を阻害する可能性についてよ。
殿を守るために……また、同じことを繰り返すかもしれないでしょ？
安宅船 日本丸
おいおい……仲間を疑うつもりかよ、立花山城？
立花山城
……当然よ。殿を守るためだもの。
事が起こってから悔いたって、どうしようもないじゃない。
首里城
立花山城ちゃん……。
柳川城
……すみません、立花山城さん。
言いにくいことを言わせてしまって……。
立花山城
……いいのよ。
私が言わなきゃ、誰も言わないでしょう。
貴方たちや殿が意地でも信じようとするのは、目に見えているもの。
首里城
でも……そうだよね。もしもってこともあるもんね。
首里城
じゃ……みーちゃんのことは、スイに任せてもらえないかな？
柳川城
首里城さん……。
首里城
みーちゃんはね、きっと……自分の行いを後悔してたんだよ。
首里城
けど……罪を隠したままじゃ、
国王と一緒にいられない……心から笑えない。
そう思ったから、自分のやったことを正直に告白したんじゃないかな。
立花山城
それは……私だって、信じたいとは思ってるわよ。
三重城が悪い子だとか、そんな風に考えてるわけじゃないから……。
首里城
うんうん、ちゃんと分かってるさー。
立花山城ちゃんのそういうとこ、スイは好きだよ♪
立花山城
な、何よそれ……。
安宅船 日本丸
……ま、重たく考えたって仕方ねぇ。
三重城については、あたしらに出来ることをやろうぜ。
疑うだけでも、信じるだけでもいけねぇ……そういうことだろ？
安宅船 日本丸
それに……、
三重城が出航を遅らせたっていう城娘も、
直に追いつくだろうしさ。
柳川城
ああ、軍船の……。
日本丸さんのお友達……なのですよね？
安宅船 日本丸
……ああ。
名を『大宮丸』って言ってな。
三重城が言ってた通り、とんでもないのんびり屋でよ――
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