左メニュー
左メニューサンプル左メニューはヘッダーメニューの【編集】>【左メニューを編集する】をクリックすると編集できます。ご自由に編集してください。掲示板雑談・質問・相談掲示板更新履歴最近のコメントカウン...
幕間1[]
やくも
ふぃー。
荷造りはおしまい……と。
これでいつでも出発できるがや！
安宅船 日本丸
気をつけろよ。忘れ物はしないようにな。
やくも
分かってるだに。
これからは千狐に頼るわけにもいかんし、
江戸城たちには迷惑を掛けんように――
やくも
――ってうぉおっ！？ なにもんだに、あんたっ！
いきなり気安く話し掛けてきたから、
うっかり普通に答えちゃったがやっ！
安宅船 日本丸
いやいや、あたしだよあたし！ 日本丸！
なんだその反応は……どっかで頭でも打っちまったのか？
やくも
あ、ああ……日本丸だったがや……。
すまんだに、だいぶ雰囲気が変わっとったから……。
安宅船 日本丸
そ、そんなに驚くほどかよ……ちょっと傷つくぜ……。
やくも
じぃぃぃぃーーーーー
安宅船 日本丸
……な、なんだよ。その視線は？
おまけに『じー』って口で言ってるし……。
この装いが似合ってないってか？
やくも
いやぁ……不思議だにーって思って……。
船やのに、城娘だなんて。
安宅船 日本丸
……あたしの存在を揺るがす話だな、そりゃ。
まぁ、真っ当な疑問ではあるけどよ。
柳川城
最初に名乗りを聞いた時は、
声を合わせて驚きましたからね、私たち……。
安宅船 日本丸
けどよ、御城っつーのはつまるとこ、
敵からの攻撃を防ぐ建物のことだろ？
安宅船 日本丸
そこに人々の願いが乗っかって、
あーだーこーだして城娘が生まれた……だよな？
立花山城
凄まじくおおざっぱな理解だけど……まぁ、そうね。
安宅船 日本丸
そういうことなら、日本丸だっておんなじだよ。
形は違えど、人々の願いを背負ってることにゃ変わりない。
安宅船 日本丸
それによ、聞いた話だが……此世のどっかじゃ、
物語でのみ語られた、幻想の御城が顕現してるらしいぜ。
安宅船 日本丸
つまり、あたしが思うに『願い』ってのは、
皆が考えてるよりずっとデタラメなもんなんだよ。きっと。
柳川城
確かに……『願い』という力のほどは、
私たちもよく知っています。
立花山城
ええ……それを信じられたから、
私たちはあの決戦を越えられたんだものね。
殿
…………。
安宅船 日本丸
ま、細けえこたぁいいんだよ。
生まれてくる前に何をしてたか……なんて、
明日の航路にゃ関係ねーからな。
やくも
むぅ……納得できたような、
うまいことごまかされたような……。
千狐
そんなことより、やくも。出立の準備はできてるの？
まもなくここを発って、江戸城さんと合流するんでしょう？
千狐
というより……本当に行くの、やくも？
考え直すなら、まだ――
やくも
……だに、もう決心したがや！
やくも
こんな機会でも無かったら、
殿さんや千狐と離れることなんて、有り得なかったがや。
きっとこれは、うちにとっては成長の好機なんだに！
やくも
ちなみに、千狐の方は……大丈夫だに？
うちが居なくても、ちゃんと上手くやれるがや？
千狐
な、生意気なことを言って……！
千狐がやくもの世話になったことなんて、一度も無いでしょう！
やくも
にひひっ、冗談だに♪
そんなのよぉく分かっとるがや！
やくも
……楽しみにしとくだに、千狐！
次に会う時はうち、今よりもすんごい神娘になっとるがや！
千狐
う、うん……わかったわ……。
――――
千狐
コォン……。
安宅船 日本丸
…………。
安宅船 日本丸
千狐の奴、すっかり元気をなくしちまってら……。
安宅船 日本丸
どうにか、力になれねぇもんかな。
いやーでも、口出ししない方が良い気も……。
安宅船 日本丸
あたしみたいな新参じゃ、力になれるかどうか……。
どうすっかなぁ、んー……んぅぅ～……！
安宅船 日本丸
――やめだやめだ！
無ぇ頭を絞ったって、答えなんか出るわけねぇ！
安宅船 日本丸
とりあえず、声を掛けてから考えよう！
適当に冗談でも言えば和むだろ……たぶん！
安宅船 日本丸
そうと決まれば、善は急げ！
千狐の元気はあたしが取り戻す……よっしゃ、行くぜっ！
――――
千狐
コォン……なのぉ……。
殿
…………。
立花山城
……情けないことだけど、
掛ける言葉が見つからないわね。
柳川城
やくもさんと千狐さんは、
母娘のような、姉妹のような……不思議な関係でした。
柳川城
心に空いた穴は、
そう簡単に埋まるものではないと思います……。
殿
…………。
立花山城
そうね。どうしたものかしら――あら？
立花山城
見て、柳川城……日本丸が千狐に歩み寄っていくわよ。
安宅船 日本丸
おーい。大丈夫か、千狐？ 船酔いでもしたか？
千狐
……日本丸さん。
いえ、そういうわけでは……。
安宅船 日本丸
……なーんてな。分かってるよ。
やくものことを考えてたんだろ？
千狐
…………。
千狐
……ごめんなさいなの。
気を遣わせてしまったようで……。
安宅船 日本丸
……ん～。
安宅船 日本丸
こういう時、気の利いた文句が浮かべばいいんだけどな。
生憎あたしは、そんなに頭が良くねぇ。
安宅船 日本丸
ま、なんというか……あれだ。
安宅船 日本丸
きっと今頃やくもも……千狐と同じように、
寂しい気持ちを抱えてると思うんだよな。
安宅船 日本丸
それでもあいつが自分から、
千狐のもとを離れようと決めたのは、
きっと……『変わりたい』って強い決意があったからだ。
千狐
強い、決意……。
安宅船 日本丸
だから、千狐もさ……今より、
ちょっとだけ前向きになってみようぜ！
今の自分に何ができるか、ってさ！
安宅船 日本丸
でないと、
やくもに置いてきぼりを食らっちまうぜ。
そんなの嫌だろ？
千狐
…………。
千狐
……はいっ、そうですね！
このままずーっとくよくよしていたら、
やくもに笑われてしまうの！
千狐
今日からはむしろ、
千狐の方がやくもを置いてきぼりにする勢いで、
もりもり頑張りまくるのー！
柳川城
立ち直れたようですね……千狐さん。
立花山城
……日本丸も、思ってたより頼りになる子じゃない。
今後も上手くやっていけそうね、殿？
殿
…………！
特に記載のない限り、コミュニティのコンテンツはCC BY-SAライセンスの下で利用可能です。