ストーリーテキスト/夢幻に煙る羅

夢幻に煙る羅[]

夢幻に煙る羅 -前-

夕餉を終えた殿一行は所領で平穏な一時を
甘受していた。だが、突然ひどく慌ただし気な
足音を立てながら血相を変えた城娘が……。

前半
――所領。 やくも ぷあぁ～。 今日の夕餉も美味しかっただにぃ。 殿 …………。 柳川城 ふふっ、良かったです。 千狐 ……ふぅ、戻りましたわ。 やくも あれっ？　千狐、どこ行ってたがや？ 千狐 厨の煙があんまり凄いので窓を全開にして換気してきたのよ。 柳川城 あぁ……中にいた時は気づかなかったですけど、 一度厨を出たら霞むほど煙たかったのがよくわかりましたね……。 千狐 えぇ。調理中も一応窓は開けていたはずなんですけれど……。 ？？？ ――…………のぉぉ。 殿 …………？ 柳川城 どうかしましたか、殿？ ？？？ ――…………のぉぉぉぉぉ。 千狐 えっ、な、何かしら。 凄い勢いの足音と声が聞こえるけれど……。 郡上八幡城 殿ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ！？ 殿 …………！？ 柳川城 ぐ、郡上八幡城さん！？ 郡上八幡城 大丈夫！？　殿、大丈夫！？ 襲われてない！？　無事！？ やくも な、何がや？ うちらは夕餉を終えてまったりしてただけだに！？ 郡上八幡城 ……えっ？ 郡上八幡城 だ、だって、煙があんなに……。 千狐 煙？ もしかして先程魚を焼いた時のでしょうか？ 郡上八幡城 え、魚……？ 郡上八幡城 ……な、なぁんだ……びっくりしたぁ……。 やくも びっくりしたのはこっちもだに……。 柳川城 尋常でないご様子でしたが……どうしたのですか？ 殿 …………？ 郡上八幡城 何かあるなら話してみろ、って？ 郡上八幡城 ……う～ん、ホントはちゃんと一人で倒したかったけど……、 お騒がせしちゃった手前、黙ってるのは筋違いだもんね……。 柳川城 倒す……とは、穏やかな話ではないですね。 郡上八幡城 うん……実は、最近煙みたいな妖怪に襲われてて……。 殿 …………！ 郡上八幡城 あ、数も少ないし、なんとか撃退できてるから大丈夫よ。 郡上八幡城 ……でも、どうしても討伐はできなくて、 事あるごとに付きまとわれてて……。 千狐 あぁ……それで煙を見て所領に妖怪が出たのかと 勘違いしてしまったのですね。 郡上八幡城 うん……。 所領は大丈夫なんだって分かってるつもりではいたんだけど……。 郡上八幡城 寝ても覚めても出てくるから、つい、ね……。 柳川城 それでは気も休まらないでしょう、さぞかしお辛かったでしょうね……。 郡上八幡城 うん……。 郡上八幡城 しかも決まって出てくるのが寝入りかけた時とか、 ゆっくり休んでる時だから本当に鬱陶しくて……。 郡上八幡城 そのせいですっかり煙が嫌になっちゃって、 最近は冷たいご飯ばっかり食べてるのよ……。 やくも そ、それは一大事だに！ 柳川城 殿、まだ怪我こそしていないとはいえ、 このままでは郡上八幡城さんが可哀想です……。 殿 …………！ 郡上八幡城 た、退治を手伝う？　ほんと？ 殿 …………。 殿 …………！ 郡上八幡城 うぅ、ありがとうね、殿…………。 千狐 それでは戦支度が整い次第、すぐに出立と参りましょう！ ――数刻後。 郡上八幡城 ……うん、これだけ広いところなら大丈夫かしらね。 全方位見渡せるから、煙がどこから来ようと問題ないはず。 柳川城 あとは煙さえ起こせば、郡上八幡城さんの言う煙の妖怪は 例えどこだとしても現れるはず、でしたね……。 千狐 いえ、待ってください……兜がおります！ 殿 …………！ 桃形兜 ……ヨシ、即席カマドニ火ヲ着ケテ、ト。 コレデ『煙々羅』トカイウ妖怪ヲ呼ベルハズダナ。 桃形兜 …………ン？ 桃形兜 ト、殿ダーーーーーッ！！ 敵襲！　敵襲ーーーーッ！！ 郡上八幡城 もう！　兜なんかに構ってる場合じゃないのに……！ 郡上八幡城 こうなったら先に兜を……！ 柳川城 ……郡上八幡城さん、お待ちください。 郡上八幡城 ど、どうかしたの？ 柳川城 あのかまどから立ち昇る煙……、 何かおかしくないですか？ 郡上八幡城 えっ……？ ……………………。 ？？？ …………フェッフェッフェ…………。 殿 …………！ 千狐 えぇ！　千狐にも聞こえましたわ……！ 煙々羅 …………フェッフェッフェ…………！ やくも で、出ただにぃぃぃぃぃぃ！！ 郡上八幡城 う、嘘！？　どこどこっ！？ 千狐 どこ、って目の前ですよ！？ 郡上八幡城 えぇっ！？　ただの煙にしか見えないわよっ！？ 煙々羅 ……フェッフェッフェッ…………。 千狐 物凄い煙の量……！ 殿、用心してください。 千狐 一度纏いつかれてしまえば 著しく視界の妨げとなり、苦戦するやもしれません。 殿 …………！ 柳川城 と、とにかく迎撃しましょう、殿！ 殿 …………！
後半
煙々羅 ……フェッフェッフェッ…………。 柳川城 け、煙が目にしみて……、うぅっ……！ 煙々羅 ……フェッフェッフェッ…………。 煙々羅 フェッフェッフェッフェッフェッフェッフェッ……！ やくも ……というか、そもそも妖怪の数が増えてる気がするだに！？ 郡上八幡城 えぇと、えぇと、多分、そっちの方向なのよね……？ 郡上八幡城 ええーい！！ 殿 …………？ 煙々羅 フェッフェッフェッフェッフェッフェッフェッ……！ やくも 郡上八幡城！　それはただの煙だに！ 郡上八幡城 え、えぇ？　全部同じに見えるわよぉ……！ 千狐 郡上八幡城さん、ひとまず落ち着いてください！ そうすればきっと……！ 煙々羅 フェッフェッフェッフェッフェッフェッフェッ……！ 柳川城 ゲホッ、ゲホッゲホッ！！ うぅっ、息が…………！ 郡上八幡城 あっ……ああっ……柳川城ちゃんっ！ 郡上八幡城 （こ、こんな状態で落ち着くなんて無理よぉ～～～～っ！） 柳川城 私なら、だいじょうっ……ゲホッ、ゴホゴホッ！！ 郡上八幡城 （どうしようっ、どうしようっ、どうしようっ…………！） 煙々羅 フェッフェッフェッフェッフェッフェッフェッ……！

夢幻に煙る羅 -後-

新たな妖怪、煙々羅に翻弄される殿一行。
しかし郡上八幡城はある一つの打開策を
思いつく。彼女と共に敵を打ち払え！

前半
煙々羅 フェッフェッフェッフェッフェッフェッフェッ……！ 郡上八幡城 （何で、何で今の私には見えないの……？ 　この前は見えてたのにぃ……！） 郡上八幡城 （私なんかじゃ……やっぱり、お姉ちゃんみたいには……！） ――貴方は、貴方の…………。 郡上八幡城 （……私、なんか） 郡上八幡城 （……………………） 郡上八幡城 （そうだ……随分前……大垣城お姉ちゃんは…………） ――――――――…………。 ―――――……。 ――或る時。 郡上八幡城 はぁ～……いつ見ても落ち着きがあって……。 大垣城お姉ちゃん、カッコいいわ～！ 大垣城 そう……？ 大垣城 ……嬉しい。 郡上八幡城 あぁ～、嬉しいって口では言ってるのに 表情がそうそう変わらないところも好きぃ～！ 大垣城 …………。 大垣城 もう少し、笑えるように頑張るね……。（むにむに） 郡上八幡城 ほっぺむにむにして表情を無理に変えようとしなくても、 大垣城お姉ちゃんはそのままがいいのぉ～。 郡上八幡城 ……はぁ。どうやったら私も冷静沈着な城娘になれるのかしら？ 郡上八幡城 私もお姉ちゃんみたいに、かっこよくて、冷静で、 落ち着きがあって、かっこいい城娘になりたいわぁ……。 大垣城 …………。 大垣城 ……先ほどの言葉、お返しするね。 郡上八幡城 へっ？ 大垣城 ……郡上八幡城は、そのままがいいよ。 郡上八幡城 今のままじゃダメなのぉ～！ 郡上八幡城 だって私は大垣城お姉ちゃんみたいになりたいんだもの！ 今のままだったら全然なれないじゃない～！ 大垣城 私を参考にするのはいいけど……。 大垣城 自分の良さを磨くのも、とっても大事なこと……。 郡上八幡城 ……でも、自分の良さって言ったって、 私は落ち着きがないし、困った時もお姉ちゃんみたいに冷静に対処できないのよぉ。 大垣城 手段は……常に一つとは限らないの。 大垣城 貴方にしかできないことだってあるし……、 やりようによっては、私より優れた方法かもしれない……。 大垣城 だから……貴方は、貴方のままでいいんだよ。 郡上八幡城 …………？ 大垣城 今は分からなくてもいい……。 大垣城 きっといつか、分かる時が来るから……。 郡上八幡城 …………。 ―――――……。 郡上八幡城 （…………） 郡上八幡城 （そう……きっと、今がその時なのね……！） 郡上八幡城 おろおろしてる場合なんかじゃない！ 私には、私にしかできないことを……！ 柳川城 ゲホッ、ゴホッ……！ 煙が……凄くて……もう、周りが、見えません……。 煙々羅 フェッフェッフェッフェッフェッフェッフェッ……！ 殿 …………！ 千狐 こ、このままでは柳川城さんが……！ 郡上八幡城 えええーーーーーーーーーーーーーーい！！ 殿 …………！？ やくも ぐ、郡上八幡城？ やたらめったらに槌を振り回しても当たらないんじゃ……。 煙々羅 フェッ……ォ…………。 煙々羅 オォォ…………オォォ…………。 千狐 ……いいえ！　郡上八幡城さんの槌を振り回す動きで生じた 衝撃波による空気の動きで煙が払われていっているわ！ やくも あんなしっちゃかめっちゃかな動きでも効いてるがや！？ 柳川城 う…………？ 柳川城 なんだか、視界が開けて、息が楽に……？ 郡上八幡城 あっちいけーーーーーーーーーーーーーー！！ 煙々羅 オォォ…………オォォ…………。 柳川城 郡上八幡城さん！ 郡上八幡城 ごめんね、柳川城ちゃん！ 私やっと分かったわ！ 郡上八幡城 冷静に対処ができないなら、 もっとめっちゃくちゃに暴れてやればいいんだって！ 郡上八幡城 今の私にできることは、踊ってる時みたいに 無我夢中になることだけよー！ 煙々羅 オォォ…………オォォ…………。 殿 …………！ 郡上八幡城 勿論よ殿！ もし私が間違った方向に行きそうになったら知らせてね！ 郡上八幡城 いっくわよーーーーーーーーー！！
後半
郡上八幡城 多分っ、これでっ、最後ーーーーーっ！！ 煙々羅 オォォ…………オォォ…………。 煙々羅 オォ……オォ……。 ………………。 千狐 ……霊気の消失を確認しましたわ！ 柳川城 ということは、無事討伐完了ということですね……！ 殿 …………！ 郡上八幡城 ふぅ……ふぅ……。 郡上八幡城 な、なんとかなって良かったぁ……。 柳川城 えぇ、本当に……。 柳川城 ……あ、あれ……少し、くらくらします……。 殿 …………！？ 千狐 そ、そうですわ！　先ほどまで大量に煙を吸ってらしたのですから……！ 柳川城 う…………。（バタッ） やくも や、柳川城が倒れただにぃ！ 郡上八幡城 大変！　所領に連れて帰って手当てしなきゃ！ 郡上八幡城 よいしょっと。（ひょいっ） 殿 …………！？ 郡上八幡城 え？　柳川城ちゃんをおんぶして重くないのかって？ 重くないわよ。むしろ軽い軽い。 郡上八幡城 柳川城ちゃんは私が所領まで運んであげるわ！ 迷惑もかけちゃったしね。 殿 …………！ やくも あれ？　郡上八幡城も少しは煙吸ってたはずなのに元気がや。 郡上八幡城 ふふっ、体力なら負けないんだから♪ 何なら所領まで、柳川城ちゃんをおんぶしたまま踊りつつ帰ってもいいわよ！ 千狐 流石にそれは……。 郡上八幡城 ま、冗談だけどね♪ 郡上八幡城 さっ、殿！　早く帰りましょ！ 殿 …………！

夢幻に煙る羅 -絶-

煙々羅との戦いから数日後。柳川城が心配で
所領に留まっていた郡上八幡城だが、新たな
悩みが脳裏に飛来していた……。

前半
――煙々羅との戦いから数日後。 郡上八幡城 ……柳川城ちゃんも落ち着いたみたいで良かったわ。 郡上八幡城 ……私も、少しは成長したかしら？ 郡上八幡城 ……………………。 郡上八幡城 ……そうそう変わらないかぁ。 はぁ、大人になりたい……。 掛川城 あら……？　郡上八幡城ちゃん？ ため息なんかついてどうしたの？ 郡上八幡城 ああっ、掛川城お姉ちゃん！ へっあー！ 郡上八幡城 まさか所領で会えるとは思わなかったわ！ 何の用事で来てたの？ 掛川城 ちょっとしたご用事よ。 ついでに家事手伝いなんかもしてきたところだったの。 郡上八幡城 そうだったんだぁ……。 郡上八幡城 ところで……今、時間あるかしら？ またこの前みたいに相談に乗ってほしいんだけど……いい？ 掛川城 もちろんよ♪ 郡上八幡城 あのね……大人って、何かしら？ 掛川城 お、大人？ 郡上八幡城 うん。 掛川城 随分急な質問ねぇ……何かあったの？ 郡上八幡城 ……ちょっと前に、殿や柳川城ちゃんたちと煙の妖怪と戦ったんだけど、 その時に大垣城お姉ちゃんの言ってたことが役立ったの。 郡上八幡城 『貴方は貴方のままでいい』って……。 掛川城 まぁ、いい言葉～。 郡上八幡城 だから、私なりにとにかく暴れてみたら結果的には勝てたんだけど……、 柳川城ちゃんが煙を吸い過ぎて体調を崩しちゃって……。 掛川城 あぁ、それで柳川城ちゃんは昨日まで寝込んでたのね。 郡上八幡城 うん……。 郡上八幡城 私が未熟だったばっかりに迷惑かけちゃったし、 もっと成長しなきゃって思ったから……。 掛川城 なるほど。だから大人って何か、 つまり、何ができれば大人かって聞きたかったのね？ 郡上八幡城 そう！ 掛川城 うぅ～ん……大人、ねぇ……。 掛川城 例えば、普通は元服を迎えたら大人の仲間入りって言われるけれど……。 郡上八幡城 元服したらみんなすぐ大人なのかしら？ ただ大人扱いってだけじゃなくて？ 郡上八幡城 それに……元服って男性だけじゃ？ 城娘の場合は？ 掛川城 あぁ～、確かに城娘で元服した子がいるとは 聞いたことがないわねぇ……。 郡上八幡城 掛川城お姉ちゃんはそりゃ、見てれば大人だなって分かるけれど……。 郡上八幡城 ……………………。（じー） 掛川城 郡上八幡城ちゃんから見たら、私は大人なの？ 郡上八幡城 だって私よりおっきいし……色々…………。 掛川城 まだまだ成長するかもしれないわよ♪ 郡上八幡城 こ、これよりもっと……！？ 掛川城 うふふ♪ 掛川城 とはいえ、体が大きいから絶対大人というわけではないけれどね。 郡上八幡城 確かにそうなんだけどぉ……。 掛川城 大人……というと、私としては強いという言葉が浮かぶかしら。 郡上八幡城 え？　強ければ大人ってこと？ 掛川城 そうねぇ、すごーくふわふわした言い方をすると……、 掛川城 肉体的にも強くて、精神的にも強い。 それが大人かしらね？ 郡上八幡城 むむむ……肉体も精神も強い……。 郡上八幡城 体力には自信あるけど……、 精神的には少し自信ないわね……。 掛川城 でも、考えようによっては、 あとは精神さえ鍛えれば大人になれるんじゃないかしら？ 郡上八幡城 大人……！ 郡上八幡城 そしたら、きっと数日前の妖怪との戦いの時だって、 ばったばったと敵をなぎ倒せてたのかしら？ 郡上八幡城 そう、こんな感じで――――。
後半
郡上八幡城 ……………………。 掛川城 どうしたの？　急に話すの止めちゃって……。 郡上八幡城 なんていうか……違う気がして。 郡上八幡城 掛川城お姉ちゃんの言う通りなんだとしたら、 大人ってみんな強くなくっちゃいけなくなるわよね？ 郡上八幡城 じゃあ、弱い人は？ 体が弱い人とか、意志が弱い人とかは大人じゃないの？ 掛川城 ううん、それも違うと思うわ。 掛川城 一口に強いと言っても色々あるもの。 例えば忍耐力だったり、優しさであったり、知恵であったり……。 掛川城 もう少し言うなら……生きる力が強い人が大人なんじゃないかしら。 郡上八幡城 生きる力……？ 郡上八幡城 城娘のみんなって生きる力が強いと思うけど、 城娘は全員大人ってことなのかしら？ 掛川城 ……ある意味、大人って呼べるのかもしれないわ。 郡上八幡城 大人って奥が深いわね……。 郡上八幡城 ……そうだ、掛川城お姉ちゃんにとっての大人は？ 掛川城 私？　そうねぇ……。 掛川城 常々言っているけれど見性院様がお手本ね！ 掛川城 良き妻として夫を支え、 賢い母として子を育てる……それが私にとっての大人かしら♪ 郡上八幡城 りょーさいけんぼ…………。 郡上八幡城 ……うぅーん。 掛川城 もちろんあくまで私にとってだから、 必ずしも郡上八幡城ちゃんの思う大人の姿と同じとは限らないと思うわ。 郡上八幡城 そうね……。 掛川城 どちらにしても、大人ってすぐに分かるものじゃないと思うの。 掛川城 もしも郡上八幡城ちゃんが今、自分を子供だと思っているなら、 今の内に子供時代をたくさん楽しむのも大事よ？ 掛川城 だって、一度大人になっちゃったらもう子供には戻れないもの。 郡上八幡城 ……………………。 郡上八幡城 それもそうね。 じゃあ、今悩んでても仕方ないのかしら。 掛川城 そうねぇ。 きっと大人って、ある日突然なってたって気づくものかも？ 郡上八幡城 そっかぁ。 掛川城 でも、ちゃんとした大人になりたいのなら、 やっぱりいろいろなことへの努力は必要だと思うわ。 郡上八幡城 うん、まずはできることからやってみるわ！ 掛川城 その意気よ～！ 掛川城 もちろん、私にも何かできることがあるなら言ってね？ 何だってお手伝いしちゃうんだから！ 郡上八幡城 なら早速、ひとついい？ 掛川城 あらあら、何かしら？ 郡上八幡城 一緒に白鳥踊りを踊ってほしいの！ 郡上八幡城 気分は明るくなるし、体力もつくから、 手始めに踊るにはすごくいいと思うのよ！ 掛川城 うふふっ、それ、郡上八幡城ちゃんが踊りたい気分なだけじゃなくて？ 郡上八幡城 うっ。 郡上八幡城 ……やっぱり、だめ？ 掛川城 いいわよ、一緒に踊りましょうか。 郡上八幡城 やったぁ、ありがとう！ 郡上八幡城 あーしっちょいしっちょい！ 掛川城 しっちょいしっちょい～♪ ――微笑ましく郡上八幡城を見つめる掛川城。 一緒に踊りながらも、まだまだ無邪気なままの郡上八幡城に、 温かな眼差しを投げかけるのだった。

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