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幻想体名 路地の番犬
観察レベル 観察レベルⅡ
本文 これは雷鳴りのごとき泣き声を持ちけり。
より詳細に言うなれば、 世界中の雷鳴りと稲妻がこの身に降り注がんようにそれを集めしに、唸りと雷鳴りが共にしていると言えども過言にやあらず。
自然とこれの電気がいずこよりものしつるか、知りけり。
これは動く蓄電池がごとし。 落つる稲妻をさながら身体に抱き、それを自分の力として使いけり。
されどその力を使用するは、 自ずから強くならんためなぞにあらず。
その集めし電気の指し示すかたへ動くようなり、あたか も天の意に動きし錯覚をおぼゆ。
さなる物思いに耽りしに、 ファウスト嬢が幻想体にそのような所感を持つことは正しくないと私を覚ましけり。 感傷的に移ろいなんとするを、 報告は以上で終いけり。

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