SAND_LAND

ページ名:SAND_LAND
SAND LAND
ジャンルファンタジー
漫画
作者鳥山明
出版社集英社
掲載誌週刊少年ジャンプ
レーベルジャンプ・コミックス
発表期間2000年23号 - 36・37合併号
巻数全1巻
テンプレート使用方法 ■ノート

テンプレート:漫画

『SAND LAND』(サンドランド)は、鳥山明による日本の漫画作品。『週刊少年ジャンプ』(集英社)に2000年23号から同年36・37合併号まで連載された。単行本(ジャンプ・コミックス)は全1巻。

目次

概要[]

この作品は、鳥山明の作品『COWA!』や『カジカ』と同様に『ドラゴンボール』終了後、短期集中連載で描かれた作品であり、鳥山明が老人と戦車を描きたいということから創られた作品[1]

構想当初より全一巻の短期集中連載として企画されており、ストーリーも作者にしては珍しく最後まで決められ描かれた。この物語では、他の多くの鳥山明作品と同様に人間以外の知的生命体が多数存在し、主人公のベルゼブブもその一種族である魔物の少年である。僅か全1巻の短い連載ながら人気を博し、数カ国語で翻訳出版された。

本作は危機的な水不足を打開すべく人間の保安官ラオと魔物の王子ベルゼブブ、ベルゼブブのお守り役である物知りのシーフが幻の水源を探して旅立つ物語である。

なお、砂漠などの世界観は自作『鳥山明○作劇場』に収録の「PINK」から流用している。

鳥山は模型冊子投稿や無職時代にのちのファインモールドの社長となった旧友と毎日模型ばかり作っていたほど戦車プラモデル作りに熱心であり、本作にはそのこだわりが随所に見られる[2]

テンプレート:ネタバレ

あらすじ[]

人の行為と天変地異によってわずかな砂漠が世界の全てになった世界(作中に“日本産の魔物”というセリフが出てくることから地球と考えられる)。砂漠と荒野に覆われた大地に住む人々にとって生命線であった川が枯渇し、たった一つの水源を独占した国王によって水は法外な値段で取引され、国中の人々が乾きに喘ぐ中、この状況を打破すべく国王の水源とは別の水場「幻の泉」を探すために保安官ラオは腕の立つ魔物に加勢を求め、ベルゼブブシーフとともに、水源を探す危険な旅へと出発するのだった。

登場人物[]

水探しに旅立つ3人[]

ベルゼブブ悪魔の王サタンの息子である悪魔の王子。約2500歳。自称極悪非道の悪魔だが、人間を殺したことはなく、実質的には子供の悪戯程度のことしかしていない。むしろ渇きに苦しむ人間の子供に奪った水の一部を分けてやったり、思いやりのある優しい心根をしている。ゲーム好き。月の光を浴びることで闇の力を吸収する。闇のパワーを吸収した後ブチキレると、魔物としての本性が目覚め、戦闘力が増す。ダメージを受けたり傷を負っても、すぐに回復するらしい(他の魔物も同じ性質を持つかどうかは不明)ラオ(シバ)人間の保安官で初老の男。幾つかの証拠から幻の泉の存在を確信し、人々を救うために魔物に協力を求め旅に出る。格闘戦ではトンファーで戦う。ベルゼブブが今まで見てきた人間の中では一番目か二番目に強いらしい。保安官なのになぜか戦車の扱いにも長けている。その正体は、元国王軍の将軍・シバ。約30年前、自ら指揮してピッチ人を攻撃、予想外の大爆発によって妻と全ての部下を失うが、シーフの話から、それがゼウ達が水を独占して儲けるため、自分にさからうシバ達戦車隊と水を作り出せるピッチ人を同時に全滅させるための作戦だったと知り、ゼウ大将軍に対する怒りを燃やす。優秀な軍人であると同時に、敵にも温情深い紳士であり、武士でもあった。61歳。シーフ物知りな魔物。名前が示す通り盗みが得意。かなり臆病で、ベルゼブブに旅に着いて来るよう命令された時も嫌がっていた。盗みをする時は、なぜかサンタ服を着るが、その理由は「サンタの格好ならいざという時にごまかしがきくから」らしい。しかし、老人然とした外見と異なり、ベルゼブブよりもう少し年上、という程度の年齢であるとのこと。また、車や戦車の運転の際にはベルゼブブ同様はしゃいでいた。

魔物[]

残酷で悪さばかりすると人々の間で恐れられている種族。ただしそれは昔から何か悪いことが起きると人々が魔物のせいにしてきたためで、実際は人間に多少の危害を加えることはあっても殺すことはなく、ある意味人間よりも純粋な存在。ただし、やっていることは、国王軍の水運搬車を襲ったりすることを除けば、ほとんどは子供のイタズラ程度の悪さだが、本人達は大悪党気取り。脳で会話することが可能で、相手の心を読んだり、心の「透明度」を測ることも出来る。様々な姿の魔物がいる。聖水に弱い(日本産の魔物であるカマイタチを除く)。ベルゼブブとシーフに関しては「水探しに旅立つ3人」の項を参照のこと。

サタン魔物を束ねる王。ベルゼブブの父親。作者の代表作である『ドラゴンボール』に登場する、ダーブラそのままの見た目。超巨体で、息子のベルゼブブなどは彼のスネくらいまでしかない。かまいたちベルゼブブとともに国王軍から水を奪った日本産の魔物。鎌が武器でスピードが速い。日本産の魔物なので聖水が効かない。グレムリンベルゼブブとともに国王軍から水を奪った魔物。その拳(爪)は車のボンネットも打ち抜き、コードを引きちぎって作動不能にしてしまった。スライムうっかり強い日差しの中で昼寝をして蒸発、死ぬ。ゴーストなまりきっている為、長距離は飛べず旅に同行しなかった。ガーゴイルゴーストに同じ。半魚人川が干上がって以来、泳げなくてストレスが溜まっている。河童半魚人に同じ。

国王軍[]

国王砂漠の王国を治める馬鹿な王。もういい歳だが子供じみた性格で、国政も放り出しゼウ大将軍の言いなりになっている。ゼウ大将軍馬鹿な王に代わって、何十年も前から、実質砂漠の王国を取り仕切っている男。ずる賢く様々な悪事を画策してきた。老人のシバに「まだ生きていたのか!」と言われる程の高齢だが、機械人間となって未だ元気。最後は、シバを戦車ごと爆弾で倒そうとするが、駆けつけたアレ将軍の砲撃によって撃墜され、爆発して死亡する。シバ将軍かつて国王軍戦車部隊を指揮していた、正義感に溢れ数々の功績を打ち立てた伝説的な英雄軍人。30年前、国を破壊しようと企むピッチ人を止めるための作戦に戦車隊と共に出撃し、その時起きた大爆発で死んだとされる。妻は、人気セクシー女優のテリアだったが、彼女もその爆発に自宅もろとも巻き込まれ死亡している。アレ将軍国王軍の将軍。30年前シバの戦車部隊にいて、大爆発で死亡した軍人アポの息子。ゼウ大将軍の命令でベルゼブブ達を追うが、シバとシーフによって30年前の真実を知り、シバのゼウ大将軍打倒とダム破壊に手を貸す。ドクター・ポセ国王軍の科学者。虫人間を作り出したが、まだ完全にコントロールできないことを理由に、ゼウの虫人間の使用を止めようとしたが、ゼウ大将軍に押し切られた。

スイマーズ[]

砂漠で有名な悪党。名前の通り全員がいつも水泳パンツ姿だが、パパ以外は実際に泳いだことが無く、したがって当然泳げない。全員ベルゼブブにぶちのめされるが、水源を見つけ開放しようとするベルゼブブ達を信じ、最後には水源のダムを破壊する手助けをし、水が戻った川で4人とも水泳を楽しんでいる。息子3人は、能力的にはちょうどベルゼブブの持つ能力を、弱体化して3つに分けた感じである(パイク:「目と耳が利く」しかし「ベルゼブブの方が上」、シャーク:「超俊足」しかし「ベルゼブブに追いつかれた」、グッピー:「パワー」しかし「ベルゼブブに投げ飛ばされた」)。3人の息子の名前の由来は、全て魚の名前(パイク=カワカマス、シャーク=サメ、グッピー=グッピー)。

パパシャーク、パイク、グッピーの父親。マッチョで、水泳帽にゴーグル、マント姿。元反乱軍だが、シバのせいで負けたらしい。パイクナベをかぶってネクタイをしている。はるか85キロ先の砂漠の彼方にいる戦車と乗員の顔が見えエンジン音が聞こえる位、目と耳がいい。スケッチが得意。会話の内容から、シャークより年上(つまりは兄)と思われる。シャークを呼び捨てにし、スケッチブックを取るよう命令している。また、痩身だが身長はシャークより高い。シャーク帽子(ハット)をかぶり、背広の上着のようなものを着ている。めちゃくちゃ脚が速いのが自慢で時速180キロ出せる。痩身で4人では最も小柄。グッピー非常に大きくぽっちゃりした体格を持ち常に水中メガネをしている。大型の銃を持ち、弾は結構高級なものを使っているらしい。通称「人間戦車」。背中に巨大なツボを背負っているが、何が入っているのかは不明。

ピッチ人[]

おだやかで友好的、かつ頭のいい種族。砂漠の人々のために大量の水を精製するマシンを作ろうとしていたが、それを作られると国民から金を搾れないと考えたゼウ大将軍により、破壊のための機械を作っていると汚名を着せられた挙句に、大爆発する危険がある水を作る機械を、ゼウ大将軍に騙されたシバ将軍の戦車隊に攻撃され、ゼウの思惑通り機械は爆発、攻撃の実行部隊であったシバの部隊もろとも全滅した。しかし、実はピッチ人は砂漠の中のオアシスに少数であるが生き残っていた。

虫人間[]

魔物を根絶すべくゼウ大将軍の命令により、国王軍の研究所で造られた生物兵器。ドクター・ポセの研究。戦車砲すら効かない装甲と、(通常の)ベルゼブブをも圧倒する力を持つが、未完成で、完全にコントロールできない。ブチキレたベルゼブブによって戦闘不能になるが、とどめを刺される前に、体内に埋め込まれたリモコン爆弾をゼウ大将軍が作動させたことによって爆発、巻き込まれたベルゼブブも大ダメージを受ける(が、じきに回復)。

ゲジ竜[]

砂漠に棲む巨大な生物。ムカデの様な体に竜の様な頭とケラの様な前足が付いた姿で、体が物凄く長い。砂漠の穴に潜み、獲物が近くを通ると、爆発する様な大きな音と共に出現、襲い掛かる。動きがとてつもなく早く、車でさえ、フルスピードで走ってやっと振り切れるほど(それも、重い荷物を引いていると逃げ切れない)。あのベルゼブブをして「あんなの、このオレにもたおせないぞ!!!」と言わしめるほどの怪物。ラオが車の後部の荷台を切り離して軽くすると同時に荷台をゲジ竜にぶつけることで、辛うじて振り切った。しかし、その代償として、いきなり水と食料と燃料を全て失ってしまった。

メカニック[]

戦車[]

非常に車高が高く、前面と両側面にハッチがある。このため内部は広々としており、実在の戦車に比べると抜群に居住性は良い。キャンピングカーのように何日間も車内で寝泊まりできるほどである。かなりの重量であることは、装備されている4つの反石の目盛りを最大限にしても1562キロ(1.5トン以上)もの重量であることからわかる。ズングリとした砲塔やボディは鋳造構造らしく、ザラザラとした曲面構成でリベットやネジは見当たらず幾何学的な継ぎ目がある。足回りはスプロケットホイール、アイドラーホイールが各1対に転輪が4対、それにサイドスカートが付いている。大きな反石が4つ使われていて、相当の重力コントロールができるらしい。砲塔は上から押しつぶしたような半球状で、車長用の大型キューポラがある。また、半円柱状の砲盾に主砲同軸の機銃を備える。主砲は車体に比してやや小口径だが、非常に発射速度が高く、イージス護衛艦の速射砲のような精密連射が可能。ラオ曰く、高級な装備のわりに主砲はそれほどでもないらしい。砂漠が作品の舞台なので、カラーリングはサンディブラウンである。全車とも金属レーダーを装備しており、間接照準による砲撃が可能。王国軍戦車隊4号車(104)ラオとベルゼブブらが乗り込む、本作の主役メカ。登場する戦車は全てこれと同型である。「新型」であるとされ、元々アレ将軍の戦車隊の所属車両だったが、12地区で単独行動(運搬船の護衛)していたところをラオたちが虜獲して使用する。ラオは、その卓越した戦闘技術により、敵戦車の砲盾と無限軌道のみを正確に撃ち抜いて次々に無力化していく。金属レーダーを持っていないためアレ将軍に苦戦するかと思われたが、ベルゼブブが観測機の役割を果たして標的の位置を知らせた。元々国王軍で、他の4両同様アレ将軍の戦車隊の所属車両であるにもかかわらず、なぜラオ達が乗った4号車にだけ金属レーダーが付いていないのかは不明。王国軍戦車隊1号車(101)2個小隊規模の戦車隊を率いるアレ将軍の隊長車。この車両だけ主砲が長砲身(74ミリ砲)で、T字型マズルブレーキを備える。王国軍戦車隊2号車(102)1号車と共に4号車を狙撃しようとするが、1度通過してから全速でバックしてきたラオの4号車によって、砲盾と右起動輪を瞬時に撃ち抜かれ擱座、行動不能となる。王国軍戦車隊3号車(103)左方向から砲撃してきたラオの4号車によって、砲盾と右起動輪を瞬時に撃ち抜かれ擱座、行動不能となる。王国軍戦車隊5号車(105)左方向から砲撃してきたラオの4号車によって、砲盾と右起動輪を瞬時に撃ち抜かれ擱座、行動不能となる。

飛行運搬船[]

水源から、販売用の水を運搬するための専用飛行機。前部左右に機関砲を1門ずつ、計2門装備している。また、真下には爆弾を落とすための発射口が付いている。本体の斜め前後左右には長いフックが付いていて、これを水のタンクに引っ掛けてつかむような形でタンクを運搬する。運搬船の運用は、アレ将軍が取り仕切っているらしく、また、2機しか存在しない。1号機は、ベルゼブブとシーフによって持ち上げられたラオの戦車の真上への砲撃により撃墜され、飛行不能になって不時着。2号機は、1号機を撃墜されたアレ将軍を迎えに行った後は、水源に置かれているのが確認できる。6億円分の水が詰め込まれた巨大タンクをつかんで飛行運搬できるほどのパワーがある。

水運搬用タンク[]

正式名称不明。飛行運搬船のフックを引っ掛けて運搬する、丸い巨大タンク。警備のため、側面にはタンクの直径を囲むように、兵士が立つための足場が設置され、さらに、その足場の左右にも、運搬船と同じような機関砲が1門ずつ、計2門装備されている。足場には上に向かってハシゴが伸びていて、運搬船でタンクをつかんだ時、運搬船の入り口から下に上る短いフックとぴったりつながるようになっている。1個はラオの戦車によって穴を開けられたため、運搬船から切り離されて大破。水源に置かれているものにこの大破した1個を含めると、少なくとも4個は存在する模様。最大でどの程度の量の水を詰め込めるのかは不明だが、アレ将軍が運搬していたものには、6億円分の水が詰め込まれていた。

ゼウ大将軍[]

機械人間となったゼウ。足はなく、丸い機械から頭と両手が出ている形。右目と目から上の頭部は半分以上がメカで、鼻には、何やら左耳の代わりに付けられた機械から伸びた管が繋がっている。手の下にあるボタンを押すことで、虫人間の体内のリモコン爆弾を爆発させたり、機銃を使用できる。足元当たりには機銃が装備され、真下からは、戦車を壊せるくらいの威力を持った小型爆弾を落とすための発射口が付いている。また、仕組みは不明だが、飛行が可能。用途は不明だが、後部の下方にはアンテナのようなものが付いている。

サブタイトル一覧[]

  1. 出発
  2. 盗賊団
  3. 戦車
  4. 飛行タンク
  5. 闇の真相
  6. ラオのお守り
  7. 戦車戦
  8. シバ将軍とアレ将軍
  9. 砂嵐のみつけたもの
  10. 幻の泉
  11. 水源の秘密
  12. 悪魔のベルゼブブ
  13. 決戦の行方

脚注[]

  1. 単行本表紙カバー折り返しで著者が記述するところによる。
  2. 単行本カバー折り返しの記述で、ディテールの細かい戦車の絵を描くことに関してはやはり骨が折れ面倒だったとコメントしている。
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