AT_Lady!

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『AT Lady!』(オートマティック・レディ)はのむら剛(岡野剛)の漫画作品。

目次

概要[]

1988年、第28回赤塚賞入選作。集英社の漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』1988年33号に掲載。その後数回の読み切り掲載を経て、1989年52号から翌年(1990年)の11号まで連載された作品。著者のデビュー作にして初コミックス化作品。雑誌刊行元より「ジャンプ・コミックス」レーベルにて単行本発刊。全2巻。著者は次作品よりペンネームを現在の「岡野剛」に変えているため、デビュー時の「のむら剛」名義での唯一の単行本となっている。

連載の終了が何の前振りもない打ち切りであり、単行本も2巻の発行が遅れに遅れたため、当時さまざまな噂や憶測が飛び交った。この間、作者はバイク事故のため右手を負傷しており、そのため単行本のための加筆修正もままならなかった。2巻の作者コメントに事故についての記述あり、骨折した右手が完治していない状態で単行本作業を行っていたようで、2巻の発行の遅れはこのためと言われている。

作品内容は主人公である生まれたての美少女型ガイノイドによる、世間知らずであるが故の大ボケを主軸に据えたギャグコメディ。ギャグには低年齢レベルの下ネタ(糞便ネタ・スケベネタ)が多用され、整った線の美少女キャラと意外と本格的なSF的設定が、繰り広げられる内容との間に一種のギャップを生み出し、えもいわれぬ雰囲気をかもし出している。今で言うドジっ娘を中心にタイプの違う美少女キャラを多数登場させるなど、昨今の萌え路線を先取りしていたとも言える作品である。

テンプレート:ネタバレ

あらすじ[]

科学技術の高度化により、巷にロボットがあふれ出した近未来・2001年。より組織化・高度化した科学的犯罪が多発していた。この事実に業を煮やした警視庁はロボット刑事(Automatic-Tec / オートマティック・テック)プロジェクトを発令。その開発・現場運用主任として若き機械工学の天才・春田純一を警部に任命する。彼の活躍によりロボット刑事プロジェクトは一定の成果を収め、全6計画が立案・成功へと導かれた。そして春田はその6計画によって廃棄された部品を使い、オートマティック・テックの第7計画を立案した。AT7号の誕生である。

しかし、この7号はその出自が災いしてか、やる事なすこと大ボケの天然娘だった。刑事に向かないその性格で、問答無用に騒動を大きくしていく。かくて春田と7号、そして先輩ロボット刑事たちの愛と爆笑と苦難の大ボケコメディ生活が始まった。

登場人物[]

主人公[]

7号警視庁が7番目に開発したロボット婦警。Automatic-Tec 7号。しかし、その実態は各種先行計画によってできてしまった廃棄予定の余剰パーツを寄せ集めて出来上がったリサイクル・ロボットである。不足分の部品はファミコンなどの各種玩具類の廃棄物から寄せ集めて作られたとも言われており、そのためか遊ぶ事が仕事と思っている。非常に無邪気で天然。トンマで朗らかなお人よし。常にシャレでは済まされない大ボケをかます。しかし“6人の姉たち”が持ち得なかった「ひたむきさ」と「やさしさ」で、事件・犯罪に立ち向かって行く。彼女の人柄は、やがて姉達をも感化させ、姉妹によるチームプレーも生み出す事になる。ミニ四駆のごとく単三乾電池2本で起動し、7万馬力のパワーを誇るが、上記のような性格のため、トラブルの種にしかならない事の方が多い。所属は警邏課だが、開発されたばかりのため基本的に春田警部預かりである。低電圧(1.5V)なので朝に弱い。気が動転すると手近にある物を投げる癖がある。体が丈夫でどんな攻撃でも傷一つ付かない。製造されたばかりのクセに、警部の知能指数が600と聞いて「本郷猛と一緒」と驚いたり、容疑者と聞いて「夜汽車」を歌うなど、なぜか昔の事に妙に詳しい。警部が開発した、先輩達の専用マシンに憧れて、一晩で陸海空適応の万能マシンを作り上げて警部を驚かせた事も。座右の銘は『その内なんとかなるだろう』。

警視庁AT部隊[]

7号も所属しているATの専門部署。ATはここの他に己の特殊装備に適した部署の所属でもある。なお、開発されたATたちの動力源は核融合反応炉である(1号 - 6号)。また、警視総監の趣味から全員が女性型になっている(8号を除く)。なお、単行本第2巻の没設定紹介に男性型で尚且つ、ロボット然とした外形のAT0号が紹介されている。

春田純一(はるた じゅんいち)警視庁の警部。知能指数600を誇る機械工学の天才でAT部隊の運用主任でもある。27歳独身。高校卒業後に無銭旅行にて渡米。MITにて掃除夫をしながらロボット工学の講義を盗み聴き、それを基礎としてほとんど独学で同分野を極める事に成功した。帰国後、警視庁に通常入庁。機械工学分野の天才である事に目をつけられ、AT計画の開発と運用を命じられる。その業績は非常に高く評価されるべきものだが、よりにもよって最後の最後で7号を作ってしまったがために、もはや出世は見込まれない。それどころか7号が巻き起こす大ボケとソレに伴う被害(警視庁舎全壊など)の弁済のために向こう300年全額減俸(ただ働き)の身分となってしまう。しかし7号に対しては生みの親の責任として、よき上司たろうと彼女の良い部分を常に評価し伸ばす事に腐心している。しかし、やはり7号のボケ倒しに振り回される毎日である。その名は姓名共同じの俳優に由来する。1号最初に計画されたAT Lady。すごい巨乳のおねーさん。100万ボルトの高圧電流を発する能力を持ち、それを通電させるムチが主武装である。多少ヒステリックな性格。少年好き。少年課に所属。悪の戦闘員からのエロ攻撃を受けて妹達共々悶える様に松戸狂授から「男好きする外見だが所詮生まれて間もない生娘」と評価される。7号のおかげで、長女としての自覚していく。2号スーパーコンピュータを内蔵した頭脳派AT Lady。眼鏡着用。高度演算処理能力に優れ、過去のあらゆる事件のデータを記憶。作戦立案・指令などの戦略的能力にも長けている。冷静沈着で論理的思考を持ち、情報収集が趣味。刑事総務課所属。3号格闘(もしくはケンカ)が趣味の肉体派AT Lady。かなりの巨乳。熱核ジェットエンジンによる飛行能力を持つ。豪快でいいかげんでケンカっ早いが腕は確か。乱闘になれば彼女に適うものはいない。ややひねた性格で、人間に対して不信を抱いている節があるが、妹7号に対しては優しい一面を見せる。捜査4課(暴力団担当)所属。4号走り屋的性質を持つAT Lady。黒髪のショートボブで、男勝りのボク少女。多少、自惚れが目立つときがある。加速装置が内蔵されており、単独自走でマッハ2.5の移動が可能。車が大好き。交通課所属。5号各種高度武装を目的として作られたAT Lady。X線レーザーキャノンを特殊装備として持ち、これを接続している間は通常視認ができなくとも百発百中の命中率を誇る。他にも様々な武器のアタッチメントが可能で軍用兵器すらも軽く使いこなしうる能力を持つ。なお勝気でわがままで反抗的な面もある。赤毛のツインテールでソバカスがあり、そこそこナイスバディ。機動隊所属。6号常に鳥(オウム)を連れている無口なAT Lady。レーダー、ソナーなどの探知機類や暗視装置などのような異知覚装備を持つ。ちなみに連れている鳥も実は特殊装備のレーダーバードである。一人で鑑識の仕事を全てこなす事が可能。鑑識課所属。引っ込み思案だが、松戸博士のメカに妹7号が痛めつけられた時は激怒し、他の姉達と共に松戸博士に反撃を喰らわせている。8号(チビ)7号が拾った暗殺用ロボット犬をベースに再改造されたAT犬。ATでは初の犬型。正確にはサイボーグである。常に7号と共に行動する警察犬。通常の犬の500倍の嗅覚を持つレーダーノーズ、時速800kmを叩き出す脚力、小型ロケットポッド・レーザー砲を内蔵している。2巻「8号誕生!」より登場。警視総監変態中年。前述の通りATが女性型になったのはこの人の趣味。AT達にセクハラや覗き行為をはたらいては袋叩きに遭っている。読み切り版と連載でデザインが異なる。

犯罪者たち[]

悪の組織「悪の組織」[]松戸狂授(まつどきょうじゅ)悪の組織である組織「悪の組織」の首魁。恐怖のマッド・サイエンティスト。ゼンマイ動力研究の第一人者。表の顔は善良な農家。自らのしたい研究をするために強盗を計画。悪の道に走る事に。その後関わった7号の大ボケでますますひねくれていく事になる。春田並みの頭脳を誇り、様々な悪の発明を行う。なお逮捕されても、その都度裁判で「責任能力なし」とされ釈放されてしまうタチの悪い男でもある。また「人類の中で最も怪獣に近い体質の持ち主」であり、某国に拉致されて怪獣化された事がある。助手が一人いるが、こちらは外見・言動共にいたってマトモな青年であり、何故狂授に付き従っているのかは謎。悪の戦闘員松戸狂授によって作られたミニロボットたち。かわいい顔でらぶりぃだが、とてもスケベでエロ本窃盗専門。動力はゼンマイで、毎日彼らのゼンマイを巻くのが狂授の日課である。7号とは仲良くなってしまい「7ちゃん」と呼んでいる。ブラッディ・ミサ(ヒットロイド33号)松戸狂授が対AT Lady用に製作した美少女ロボ。外観はヘビメタ少女。盗み出した新素材をかき集めた最先端の技術で作られており、AT1 - 6号の能力を全て持ち合わせているが、動力はやはりゼンマイである。何故か土佐弁でしゃべる。誕生直前の人工知能争奪戦時の春田警部の一言で春田警部に惚れてしまい、7号を恋敵として付け狙う。ちなみに彼女の出生のエピソードは読み切り時と連載時で2回描かれているが、内容はほぼ同じであり、単行本には連載版のみ収録されている。仮面ライダーアマゾンのギギの腕輪らしき物を腕に装着している。バイク乗りであり、愛車「ザイダベック号」を駆ってさすらっていた時期があった。

メカ[]

ATの専用マシン[]

7号以外のマシンは全て春田警部が作った物である。連載の扉絵を飾るぐらいで作中では大した活躍は無い。

あさぼらけ号7号が自ら製作した専用マシン。外観・構造共に「でっけぇミニ四駆」であり、「でっけぇ単三電池」で走る。ツインモーターなので、信地旋回(直角にまがる)および超信地旋回(くるくる回転する)が可能。更にオプションパーツの組換えで不整地・水上・地底・空中・海中でも運用可能。また、ミニ四駆の速度(時速20km弱)を人間の乗る車の大きさ(約32倍)に換算したスケールスピードそのままに、時速640kmで走行する。さらにスピードギアに変速すると、軽くマッハを超える(最高速度マッハ1.2)という怪物マシンだが、劇中では食い逃げ犯の追跡に使われただけだった。電気自動車のため無公害。皇号(すめらぎごう)1号の専用マシン。バイク(サイドカー)。魁号(さきがけごう)2号の専用マシン。移動司令車。飛燕号(ひえんごう)3号の専用マシン。小型飛行機。韋駄天号(いだてんごう)4号の専用マシン。パトカー。国産唯一の水平対向12気筒エンジンを積んでいる…が、7号に「きとうが12個もある」と評されてしまう。毘沙門号(びしゃもんごう)5号の専用マシン。装甲車。雷神号(らいじんごう)6号の専用マシン。大型輸送ヘリ。
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