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『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』(ガメラたいうちゅうかいじゅうバイラス)は、大映が製作・配給し、テンプレート:和暦3月20日に封切り公開された日本の特撮映画作品。
== ガメラシリーズの第四作目。大映東京撮影所作品。同時上映は『妖怪百物語』。72分、カラー、大映スコープ。テンプレート:ネタバレ ==
地球の植民地化を企むバイラス星人は、侵略のために宇宙船を送り込んだ。しかし、ガメラと遭遇した宇宙船一号は交戦の末、爆発炎上してしまった。しかし間を置かずに現れた宇宙船二号は、地球侵略の最大の障害であるガメラの排除を目標にしていた。
ファイル:Hayama coast 2.JPGロケに使われた「葉山海岸」
その頃、茅ヶ崎市海岸では日米のボーイスカウトがキャンプを行っていた。いたずら好きのボーイスカウト・正夫とジムの2人は、小型潜水艇で潜行中に海底のガメラと遭遇する。「子供の味方」であるガメラと遊ぶうちに突然2人はガメラもろともオレンジ色の光のドームに包まれてしまった。バイラス星人の宇宙船が発射したスーパーキャッチ光線に捕えられてしまったのである。ガメラは光線の把握力に抵抗して2人の潜水艇を脱出させた。
しかし、その間にガメラの記憶を分析したバイラス星人は、ガメラの最大の弱点が「子供」であることを知り、正夫とジムの2人を再び拉致する。2人を盾にされて手を出せないガメラに脳波コントロール装置がセットされ、バイラス星人に操られたガメラは黒部ダムや東京を破壊し始める。人類は、バイラス星人に降伏するか、人質の子供達を犠牲にして戦うか、という二者択一を迫られ、ついに国連は2人の生命を尊重してバイラス星人に降伏するという決定を下した。
そんな中、人質に取られた正夫とジムは、脳波コントロール装置とスーパーキャッチ光線のコイルをあべこべにつけ替えることでガメラを解放し、自分たちも脱出に成功する。自由をとり戻したガメラはバイラス星人の宇宙船への攻撃を開始する。ガメラの猛攻で爆発炎上する宇宙船。追い詰められたバイラス星人の司令官は、部下たちを合体吸収して巨大化する。見るまに2倍、4倍、32倍となり、遂に、ガメラと宇宙怪獣バイラスの死闘が始まった。
「ガメラ映画」は一作目の『大怪獣ガメラ』(1965年)が劇場公開された[1]以外、二作目、三作目はアメリカでは子供向け番組枠でテレビ放映された。第四作目である本作より、新作「ガメラ映画」はこのアメリカでのテレビ放映契約を織り込んだ制作体制となった。本作以降、ガメラ映画には主人公の少年と対にして、必ず白人の子役が起用されているが、これはテレビ放映を前提としたアメリカのバイヤーからの条件だった。これら外人子役は、調布市にあったアメリカン・スクールの生徒から選んだ。日本語が話せることが採用基準だったが、話せるはずで採用したのに全然駄目だったりと、苦労が多かった。ジムの母親役の女性も全くの素人で、台詞が下手で困らされたという。また、ボーイスカウト指導員役で、この年デビューした「大映新人三人娘」の八重垣路子、渥美マリ、八代順子が顔をそろえている。
ストーリーも、劇場よりも厳しいアメリカでのテレビ放送規制条件を満たすため、これに沿った、ガメラが悪役新怪獣の侵略と闘うという勧善懲悪テーマが強調された内容となっている。こういったこともあり、前作『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』よりさらに進んで、当作以降「ガメラシリーズ」は子供を主役に置いた、完全に子供向けの作風となった。一方で湯浅憲明監督は、「『バルゴン』で大人のドラマをやってみたが、劇場の子供達は走り回って全く見ていない。『ギャオス』では子供がガメラに乗る場面は大歓声だった。子供が冒険し、怪獣が出ずっぱりの『バイラス』が、シリーズ当初から本来やりたかった形だ」と述懐しており、プロデューサーの永田秀雅も同じコメントをしている。湯浅監督は、ラストで子供たちが大空を飛ぶガメラに手を振るシーンに、童話的なイメージを込めたという。
予算削減のため、ガメラがバイラス星人に操られて暴れまわるシーンは『大怪獣ガメラ』[2]『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』のバンク映像が使われている。バイラス星人がガメラのデータを探るシーンでも、過去3作の映像が流用されている。
『海外版』では、アメリカでの販売条件である上映時間(1時間半、9500フィート)を満たすため、流用映像の部分を長めにしてあるが、これは湯浅監督に無断で行われたことだった。一時期、国内版のフィルムが行方不明になった為に、海外版を使用して映像ソフト等が発売されていたが、現行のDVDや、一部のLDソフトでは、湯浅の協力により国内版が復元再編集されて収録してある。
本作はボーイスカウトが全面協力しているが、これは以前、湯浅監督がボーイスカウトのタイアップ映画を監督した[3]ことからのつながりである。茅ヶ崎での戦闘シーンでバックにそびえる白いビルは、当時上原謙・加山雄三親子が経営していたパシフィックパークホテルである。 湯浅監督によると、劇中に登場する小型潜水艇は、葉山のヨットハーバーにあったものを、撮影のために借りて使用したものである。Uボートを製作したドイツのメーカーの製品だったそうだが、ほとんど使い物にならず、水中で転覆すると復帰できないようなものだった。危険なのでスタッフが正夫役を吹替えで演じている。
大映本社の深刻な営業不振から、本作の制作予算は特撮予算を含まない一般映画クラス(前作の1/3)となり、湯浅監督らスタッフはいかに経費を抑えるかに腐心した。ことに撮影フィルムは通常5万フィートは必要なところ、3万フィートしか支給されないという極めて制約の多いものだった。バイラス宇宙船の「どこの部屋もみんな同じ造り」、「葉山海岸での舞台限定」など、こうした低予算が反映した設定だという。本作からプロデューサーに若い仲野和正が付き、湯浅監督のアイディアをすべて認めてくれ、高橋二三に「すべての制約をのんでください」と依頼。高橋もこれを汲んで脚本化してくれたという。
湯浅監督は前作に続いて本編・特撮両演出を一人でこなす奮闘ぶりを見せ、スタッフ一同、「これがガメラシリーズ最後の作品」との想いで本作をわずか25日で撮り終えた。湯浅監督は「こんな条件で撮れる監督は俺しかいないだろう」と、「半分は意地、半分はゲーム感覚でやった」と語っていて、クランク・アップ時は「やっと終わった」と感慨無量の思いだったという。しかし、公開されるや本作は子供たちに大評判となり、大ヒット。大映本社は翌年、次作『ガメラ対大悪獣ギロン』の制作を決定することとなった。
「日本コカ・コーラ」がタイアップしており、画面にコカコーラマークが頻繁に登場する。
詳細はガメラを参照
前作『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』と同じもの。この作品から、足だけを引っ込めてジェット飛行するミニチュアが使われ、以後の定番となる人気を集めた。
湯浅監督によると、この下半身ジェット飛行も予算対策のための苦肉の策だった[4] 。
造型はエキスプロ。頭が一体化した操演用のミニチュアと、頭の触手が分離した人間が入るぬいぐるみタイプのものとが造られた。ボスの声は若山弦蔵。(前作ではナレーションを務めている)。
デザインは間野重雄。「イカ」をモチーフにデザインされ、当初「ゲッソー」という名がつけられていた。決定名「バイラス」の名称は、「週刊少年マガジン」誌上での公募による。しかし湯浅監督によるとこれは「やらせ」だったといい、実際は「2倍、4倍」と巨大化することからつけられたものだったという。本作以後、『ガメラ対深海怪獣ジグラ』(1971年)まで、シリーズの敵怪獣の名は、同様にマガジン誌で公募された。アメリカではバイラスは「イカのような怪物」という名になっている。タイトルでは「宇宙怪獣」とされ、また他に「水中怪獣」[5]、「分裂怪獣」[6]などの表記名がある。より正確には「バイラス星人」という宇宙人である。
生命維持には窒素が必要で、そのため大気に窒素が豊富に含まれる地球に目をつけた。自らを「宇宙で最も優秀な生物」と豪語し、「他の生物は不要」とさえ言い切る程の自信家である。一方で正夫らの「怪獣(つまり彼らのボス)が暴れてる」といった嘘に全員あっさりだまされたり、使っている機械も回路の+と-を逆にしただけで逆の効果を発揮したりと、高い知能を持つ故か、妙な部分で単純な所がある。イカに似た姿をしているが足は6本で、イカのような吸盤を持ち、先端はゾウの鼻の様に把握力を持っている。眼は人間に似ており一対、まぶたは下から上に閉まる。口部は嘴状。頭は三つの花弁状に分かれているが、一つにあわせると硬化し槍状になる。水中および空中を、イカの様に水平に滑走して槍状の頭部で攻撃する。槍状の頭部は非常に硬く、ガメラの甲羅を貫くほどの威力を持つ。当初はボスだけが3m程度の「バイラス星人」の姿でいたため、子供たちに「宇宙動物園に送られる生物」と誤認された。「バイラス星人」として活動している際にはほぼ等身大だが、複数の個体が合体して巨大化することが出来る。
人間などの他の知的生命体に「ユニフォームのように」寄生し、行動を支配することが出来る。寄生された人間は暗闇で目が光り、腕がちぎれてもすぐに元に戻る。この「医者らしい男」たちは、シルエットに目だけが点灯する不気味な姿で登場するが、このシーンは、俳優の瞼にアイマスクと豆球を貼り付け、直接光らせて撮影した。このため夏木章ら俳優は、豆球の熱で瞼を火傷したそうである。正夫らに投げ縄で捉えられる男を演じたのは、映画『大魔神シリーズ』(1966年)で「大魔神」を演じた橋本力。
ガメラの腹部を突き刺し勝利したかに見えたが、絶大な生命力を持つガメラは(バイラスが刺さったまま)回転飛行で遙か上空に上昇。バイラスは低温下で凍り付き、身動きがとれなくなる。そのまま高速回転したガメラから振り落とされ、動けないまま海上に墜落して砕け散った。
個性的な「バイラス宇宙船」のデザインは、バイラスと同じく間野重雄による。黄色と黒の縞模様の球体5つをドーナツ状に繋いだ形状をしており、球体は一つずつ切り離すこともできる。「スーパーキャッチ光線」を放射して、船外の生物をオレンジ色の半透明のドーム内に捕らえ、対象物が人間サイズなら船内に転送ができ、ガメラのように大きなものは動きを止めることができる。また球体を反転させてガメラのジェット噴射を消火できる黄色いガスを噴出する。船内では脳波イメージ装置により、欲しいと思ったものが自由に手に入るが、宇宙船に危害を与える物(爆弾など)を求めると警報が鳴るようになっている。3尺サイズのミニチュアが制作された。
『ガメラ対大魔獣ジャイガー』、『宇宙怪獣ガメラ』にも映像を流用し登場。蕪木版ノベライズ本『ともだち 小さき勇者たち ~ガメラ~』には「Gバイラス」が登場する。
特撮班
本作からオープニングに主題歌『ガメラマーチ』が登場。これは、大映専務の永田秀雅プロデューサーが独自に『ガメラマーチ』を作詞。企画会議で朗読し、「みんな感激してたから曲をつけてくれ」と湯浅監督に持ちかけ、劇中主題歌としたところが大ヒット。以後、シリーズ共通の主題歌として使われた。
歌唱している『大映児童合唱団』とは、湯浅監督によると「そこらへんの子供たちに歌ってもらったもの」だそうで、実際には存在しない団体である。
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fr:Gamera contre Virasit:Il mostro invincibilenl:Gamera vs. Viras
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