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『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』(だいかいじゅうけっとうガメラたいバルゴン)は、大映東京撮影所が製作し、テンプレート:和暦4月17日に公開された日本の特撮映画作品。『ガメラ』シリーズの第二作。同時上映は『大魔神』。総天然色、大映スコープ、101分。
バルゴンの舌によって根元から倒される神戸ポートタワー。
再び現れたガメラと新怪獣バルゴンとの闘争を描く、『ガメラ』シリーズの第2作。日本の怪獣映画としては初めて、「大怪獣決闘」と副題がつけられた作品である。「ゴールデンウィーク」興行作品。
昭和ガメラシリーズで唯一ストーリーに子供がからまない、一般向けの内容の映画である。大映東京撮影所作品。大映京都撮影所との分担制作による『大魔神』との「特撮二本立て」興行は、円谷英二一人が全特撮作品を担当していた東宝にも実現できないものだった。前作『大怪獣ガメラ』とのつながりを示すものとして、冒頭に新撮されたZ計画のロケットが登場するが、大きさ、形状が全く異なる。関西を舞台とする作品であるが、登場人物はごく一部を除き関西弁を話さない。ほとんどの撮影は調布の大映東京撮影所近辺で行われている。
前年公開の『大怪獣ガメラ』の大ヒットを受け、大型予算が組まれたため、本社の意向でデビュー3年目の湯浅監督は、国際放映に移籍した築地米三郎に代わって特撮専任となり、本編監督にはベテランの田中重雄が据えられた。しかし現場では本編監督が重視され、湯浅監督は「特撮担当だって監督なんだ、こっちのカットを変えないでくれ」と撮影所所長の元へ直接抗議に向かうこともあったという。大映のスタッフは縁故採用が多く、これに起因する近親憎悪だったと湯浅監督は語っている。
本作は興行的に大ヒットとなったが、特撮に予算を使いすぎて赤字になった。また大ヒットにもかかわらず、湯浅特撮監督らは内容に不満が多かったという。その理由は作劇が「主軸観客層である子供向けでないこと」であり、劇場での子供たちの反応を基にしてのスタッフの反省会では、「バルゴンが出てくるまでが長すぎて子供の集中力が続かない」、「大人向けのドラマは子供たちには退屈」などの意見が出された。こうして湯浅監督が全編監督となり、翌年制作された『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』(1967年)では、子供たちを飽きさせない演出が最重点に置かれ、子供を主役とする湯浅監督の理想とする作劇が徹底されることとなった。
半年前に打ち上げられたZプランロケットが宇宙空間で隕石に衝突し、中に閉じ込められていたガメラが脱出。ガメラは地球へと舞い戻り、エネルギーを求めて黒部ダムを破壊した後、噴火した火山に潜伏した。
一方、大阪で航空士のライセンスを得たばかりの平田圭介は独立して観光飛行機会社を設立するための元手を集めるために、勤めていた会社を辞めて兄・一郎の計画へと参加した。兄は戦時中にニューギニア奥地の洞窟で発見した巨大なオパールを隠しており、脚を痛めている彼に代わって仲間の小野寺、川尻と共に“戦死した友人の遺骨収集”を名目にした密輸計画が実行される事になる。
現地に到着した三人は洞窟へと続くジャングル手前の集落で村人達と住み着いている日本人医師の松下博士からその洞窟が「虹の谷」と呼ばれる魔境であり、行ってはならないと諌められるものの強引に突破していく。深いジャングルを進んで途中、小野寺が底なし沼に落ちるものの三人は何とか洞窟へと辿り着き、ついにオパールを発見した。
しかし、狂喜乱舞する川尻の脚に小野寺は毒サソリを見つけるものの、それを教えない。やがて川尻がサソリに刺されて死亡したのを機に、強欲な本性を現した小野寺は川尻の死に嘆く圭介ごと洞窟を爆破、一人オパールを持ち日本へ帰国する。
ファイル:通天閣.jpgバルゴンによって凍らされ破壊される大阪通天閣
マラリアと水虫を患った小野寺はあわじ丸の船医、佐藤の奨めによって赤外線による治療を行われる事になる。しかし、神戸港へ着いた夜に船員から麻雀に誘われて赤外線治療機の電源を切り忘れてしまう。赤外線は隠していたオパールに照射され、みるみるうちに変貌していき、中から一匹のトカゲが生まれた。これはオパールではなく、バルゴンの卵だったのだ。
同じ頃、中国から来た宝石ブローカーと共に神戸を訪れていた一郎は突然炎上、沈没したあわじ丸を見て弟の圭介の安否を気遣う。小野寺から事情を尋ねようとするも小野寺はニューギニアで谷に落ちたと嘘をつき、さらには目的のオパールがあわじ丸と共に沈んでしまった事も聞かされる。
その時、波止場の海面が紫[1]に変わり、神戸港に船のエネルギーを吸収して巨大化したバルゴンが上陸。港を破壊し尽くし、ポートタワーまでも破壊してしまい[2]、大阪にまで東進していった。
大阪へと一旦、引き上げた一郎と小野寺はオパールを回収する事で口論となり、さらに小野寺が思わず口を滑らせた事で圭介が彼に殺されたと一郎に知られてしまう。乱闘になる二人だが、脚を痛めている一郎は一方的に叩きのめされ、止めに入ってきた一郎の妻も小野寺の手にかかり、家具に押し潰されてしまう。金を奪った小野寺は一郎の家に火を放って逃走した。
大阪へとやってきたバルゴンは、冷凍液を使って数々の名所や建築物を凍らせ、関西方面防衛隊を全滅させる。人類は鈴鹿のミサイル基地から、遠方からの攻撃を試みるものの、動物的本能で危険を察したバルゴンは背中から「殺人虹光線」を放って周囲の人間を白骨化させ、焼き尽した。しかし、その光に誘われて大坂城に飛来したガメラと戦闘になる。炎に強い体で火炎放射を凌ぎ、一度は不意打ちのような反撃に遭ったものの、ガメラを完全に凍結させこれを退けた。バルゴンはそこから京都を目指して名神高速道路[3]を東進していった。
一方、ニューギニアで村人達の手で辛くも生還した圭介は松下博士の助手カレンを伴って帰国し、兄が小野寺に殺されたと知って乱闘になり、彼を殴り倒す。その後、防衛隊の作戦本部でバルゴンの弱点が水である事とカレンが携えていた代々バルゴンを殺すのに村人が用いたという巨大なダイヤモンドの光に惹かれる特性により琵琶湖へ誘導、沈める作戦が行われるが、何故かダイヤの光に目もくれず、京都への更なる東進を許してしまう。
作戦の失敗により圭介とカレンは大阪府知事から責められるが、作戦室を訪れた佐藤船医の証言により、今回のバルゴンは赤外線によって急激に成長した突然変異種である事が判明する。赤外線によって成長したバルゴンは赤外線を好む性質となっていたのだ。そこで殺人光線発射機を改造して、ダイヤを組み込み、その光でバルゴンを琵琶湖へ誘導、沈める作戦が実行された。その計画が実行されるまでバルゴンを足止めするため、人工雨が降らされ、これにより水に弱いバルゴンは冷凍液を吹く力を失う。
計画が実行されると、強まったダイヤの光によってバルゴンの誘導は見事成功し、琵琶湖畔まで辿り着いた。しかし、これを聞きつけた小野寺が琵琶湖に現れダイヤを強奪したことで作戦は中断、さらにはダイヤごとバルゴンに飲み込まれ失敗に終わってしまう。しかし、バルゴンの虹で破壊されたミサイル基地で、唯一溶けずに残されていた自動車のバックミラーから、殺人虹光線が鏡に反射する事が判明。自衛隊は、その反射を利用した巨大反射装置による「バックミラー作戦」をさらに決行し、バルゴンに重傷を負わせることに成功する。が、学習したバルゴンが殺人虹光線を封印したことで、この作戦も手詰まりとなってしまった。
だが、ここに至って、バルゴンが撒き散らした冷凍液の影響が徐々に薄れ、凍らされた建造物の氷が解凍されガメラも復活、バルゴンの元へと飛来する。二大怪獣による琵琶湖を挟んだ「大怪獣決闘」が繰り広げられる事になる。
詳細はガメラを参照
本作にあわせてエキスプロが製作。鋭い目つきが特徴で、テンプレート:要出典範囲。ガメラは基本的に四足歩行するが、これは湯浅特撮監督の「動物的にリアルに見せたい」との意向によるもので、最初は必ず這わせ、戦いになって初めて二足になるよう演出したという。
「手足を引っ込めての回転ジェット」の飛行シーンは、前作ではアニメーションで描かれたが、本作から「迫力が違う」との湯浅特撮監督の意向で火薬を使ったものとなった。棒の先に火種を付け、四つの噴射口に同時に点火したが、タイミングが合わず、また撮影中に消えてしまうことも多く、苦労が多かった。1尺サイズと3尺サイズの回転ジェット用ミニチュアが作られたが、湯浅監督は迫力に拘り、なるべく3尺ミニチュアを使ったという。
一作目は大映特殊技術部のスタッフがガメラを演じているが、本作からは専門のスタントマンを起用している。本作から『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』までは荒垣輝雄が、『ガメラ対大悪獣ギロン』と『ガメラ対大魔獣ジャイガー』では泉梅之助がガメラを演じた。
ニューギニアの孤島にある魔境“虹の谷”に隠されていたオパールに似た卵から誕生した、現地で「千年に一度誕生する」と言い伝えられている伝説の怪獣。鼻先から前方へ伸びる大きな角を持つワニとオオトカゲを合わせたような外見の四足歩行生物である。カメレオンのような長い舌の先端からは零下100度の冷凍液を噴射し[4]。この冷凍液で大阪城および市街地とガメラを凍結させた。噴射直後にはバルゴンの歩き回った周辺が凍結することもある[5]。自分の身に何かしらの危険が迫ると、その殺気を遠くからでも敏感に感じ取れる程の優れた動物的本能や感覚を持つ。狡猾であり、ダメージを受けるとそれ以上自分が傷つくようなリスクを冒さない。
ファイル:Osaka Castle - 02.jpgバルゴンの冷凍液でガメラとともに大坂城が凍らされる
背筋に生えた光り輝くトゲからは虹色の殺人光線を放つ。この光線はあらゆる物質を破壊できるが、鏡の光を反射する性質で無効化される。体組織は水に弱く、長い間水中に留まると細胞が溶け出してしまい、同時に舌先からの冷凍液が噴射できなくなる。巨大な鏡で跳ね返された虹色光線で体表を負傷した際には相当なダメージを受けはしたものの、命を落とす事はなかった。
ダイヤモンドの放つ光に引き寄せられる習性がある為、ニューギニアの部族に伝わるバルゴン誘導の為の特別なダイヤが自衛隊の誘導作戦に使われるものの、本来は孵化から十年近い年月を経て成長するとされるところを、この個体は誕生時に赤外線治療機のライトを浴びていたため僅か数時間で巨大化した特異体質の変異個体である為、赤外線を当てて増幅されたダイヤの光でなければ認識できなくなってしまった。
ガメラを大阪ごと凍結させて1度は勝利するも、琵琶湖での戦いではガメラに湖に引きずり込まれた為に溶解死する。
『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』、『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』(海外版)、『ガメラ対大魔獣ジャイガー』、『宇宙怪獣ガメラ』にライブフィルムで登場。『宇宙怪獣ガメラ』の個体の戦いは編集の都合で大阪から直後に琵琶湖に移動するようになっている。
バルゴンの美術・造形[]ぬいぐるみは高山良策によって造型され、エキス・プロダクションが細部の仕上げを行った。バルゴンの瞼は横方向に開くが、これは当時の撮影所所長をモデルにしたものだった。湯浅監督によると、この所長は実際にそういうイメージの顔をしていたそうである。またバルゴンの頭が大きいのは人間体型を出来るだけ隠すためで、撮影では足元を映さないよう気をつけたという。ラストの琵琶湖に沈むシーンではぬいぐるみがなかなか沈まず、ハサミで腹を切り裂いて水を入れ、最後はほぼ頭だけの状態にしてようやく目的を達した。これには見学に来ていた子供たちも大笑いしたという。
ぬいぐるみと同サイズで、垂れ目気味で上半身だけの、舌が伸びるギミック入りのギニョールも高山によって作られた。舌を伸ばす仕掛けは、三人がかりで行うものだった。卵から生まれる幼体のバルゴンはギニョール人形を使い、下から手を入れて動かしている。ギニョール制作はエキスプロ。孵化シーンで漂う煙には煙草が使われ、幼体バルゴンを覆うねばねばした粘液は、アメリカ製の特注素材を使っている。大型予算を受け、大坂城のミニチュアセットはフルスケールで作られたが、縮尺を正確にしすぎてセットに入りきらなくなってしまったという。エキスプロの八木功らは本作ではミニチュア操演も担当している。
A級予算が組まれた作品だが、湯浅監督によると、東宝ほどの予算編成は望めないため、特撮は出来るだけ現場で処理したそうで、バルゴンが噴射する冷凍液には光学合成ではなく消火器を使い、虹色光線も自分で現像所に行って焼きこんだという。東洋現像所も導入したばかりのオプチカル・プリンターの実験を兼ね、グロス受注で虹光線の合成を行ってくれた。バルゴンが通り過ぎる旅館の中を逃げる人影は、16mmフィルムで逃げる人々を撮影し、建物内に映写したものである。
小野寺が飲み込まれるシーンのために、実物大のバルゴンの頭が作られた。日本の怪獣映画としては初めての、人間が怪獣に食べられる様を描写した作品である。 湯浅監督の「東宝のゴジラとは違う画を創ろう」との意向で、怪獣同士の戦いにも、切ったり突いたりといった絡みが採り入れられ、円谷英二の方針で流血を避けた東宝の怪獣映画と差別化され、本作以降、ガメラシリーズでは怪獣の流血描写が頻繁に見られるようになった。バルゴンの角もそういった意向でデザインされている。
経緯は不明だが、ガメラとバルゴンの鳴き声は、『ゲゲゲの鬼太郎 (アニメ)第二作目』(1971年)の「妖怪牛鬼」の鳴き声や、『マジンガーZ』(1972年)の「機械獣」の声など、東映動画作品に頻繁に流用されている。また、バルゴンの高音部分の鳴き声は、同年制作の円谷特技プロのテレビ映画、『ウルトラマン』(TBS)に登場した怪獣「グビラ」のもの、低音部分の鳴き声はアレンジされて、同じく円谷特技プロが翌年制作したテレビ映画『ウルトラセブン』(TBS)に登場した怪獣「恐竜戦車」のものにそれぞれ流用されている。
≪特殊技術≫
1980年代には地上波で度々放送されたが、1995年から1999年までの平成ガメラ三部作が作られた折に、日本テレビ系列の『金曜ロードショー』などでガメラシリーズが放送された際、本作は見送られた。2009年にHDリマスター版が日本BS放送にて放映された際は、冒頭で「芸術性と当時の時代背景を尊重し、そのまま放送する」旨のテロップを表示している。神戸のテレビ局サンテレビなどでは現在も時折再放送されている。
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テンプレート:Movie-stubfr:Gamera contre Barugonit:Attenzione! Arrivano i mostrinl:Gamera vs. Barugon
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