星野スミレ

ページ名:星野スミレ

星野 スミレ(ほしの スミレ)は、藤子・F・不二雄の漫画『パーマン』・『ドラえもん』に登場する架空の人物。

目次

『パーマン』での星野スミレ[]

美少女アイドル歌手として幅広い世代に絶大な人気を誇る。年齢は須羽みつ夫と同い年なら11歳前後。歌番組のほか数々のCMやドラマなどに出演している、年収数千万円(平成劇場版では数億円)とも噂される売れっ子であり、女優として映画出演歴も持つ。小学生ながら分刻みのスケジュールで動く多忙な毎日を過ごしており、移動中の自動車の中で居眠りすることもしばしばだが、学業もおろそかにせず見事両立させている。

人気を呼ぶ一方で、学校にいても街を歩いていても常にアイドルとして特別扱いされてしまい、本当の自分を見てもらえず友達ができないことを寂しく思っている。

原作では家は大財閥かと疑うほどの超大邸宅で家族やお手伝いさんと同居している。シンエイ版アニメではミツ夫やブービーと同じ朝日が丘のマンションで一人暮らしをしており、母親や父親はニューヨークに住んでいる。マンションの部屋にはマネージャーと思われる女性が頻繁に出入りしており、同居もしくは身の回りの世話をしていると思われる。またペットとしてダックスフント・ロングが確認されている[1]。本名不詳、1960年代連載の原作では「鈴木伸子」という設定[2]もあったが、これは本編では一切明かされない。1980年代版ではクラスメートから「星野さん」[3]、母親から「スミレちゃん」[1]と呼ばれているため本名がそのまま芸名になっている可能性がある。苦手は料理や裁縫などの家事全般で電気炊飯器で炭の固まりを作ってしまうほどだが、アニメではミツ夫の好物であるホットケーキを作ったり、マフラーを編んだりするシーンも見られ、徐々に上達はしているようである。

1960年代版の原作では、パーマン3号との関連を容易に想像できるように描写されているものの、星野スミレとして直接物語に関わることはなく登場回数も少ない。これらのキャラクター設定・描写はほぼ1980年代版の原作によるものである。

テンプレート:ネタバレ

パー子[]

星野スミレのもうひとつの顔が、正義のヒーロー「パーマン」の3人目のメンバー・パーマン3号、通称パー子である。ある日現れた異星人・バードマンよりパーマンセットを渡され、パーマンに任命された。間に合わせに選ばれた1号・2号とは違い、パーマンとしての基本的な教育も施されている。マスクの色は赤、マントとバッジの色は緑。パーマンとして活動中は、コピーロボットが仕事または学業を担当する。当初は「3号」という番号や「パー子」と呼ばれるのを嫌い「パーレディー」を自称していた[4]が、呼ばれ続けるうちに「パー子」で馴染んでしまったようで、自分でも「パー子」と名乗ることが多くなる。

パーマンの掟として仲間以外に正体を知られることは許されないが、アイドルであることを知られて特別扱いされることを嫌い、仲間のパーマンにもその正体を明かすことはない。パーマンマスクを被った姿こそが本来の自分をさらけ出せる、「星野スミレ」にとっての素顔であると言える。そうすることでパーマン仲間といるときだけはのびのびできると感じており、スミレでいる時もバッジが鳴って呼び出しがかかるのを心待ちにしている。エピソードが進むにつれ、1号や2号から正体がスミレではないかと疑われるが、序盤においては力説まがいで否定するが、中盤以降はあえて否定しない事もあった。なお1967年放映のアニメ第1作の設定ではスーパーマンが「パーマンたちが素性の分からない仲間と上手くやっていけるか」を見るために、その指示で正体を隠している、ということになっている

マスクを被りパー子に変身すると、スミレの時とはうってかわってお転婆で短気な性格になる。これは性格が変わるというよりも、星野スミレとして抑えていた地の性格が出ているといった方が正しい。ことある毎に、自身の正体である星野スミレとは仲がよいと言及し(現に自身のコピーと同行している場面を1号たちも見ている[5])彼女をだしにつかう天邪鬼ぶりをアニメ版(1983年-1985年)や原作[6]で見せている。特にパーマン1号=須羽みつ夫とは頻繁に口喧嘩をするばかりではなく、ビンタやパンチ、投げ飛ばすなどの暴力に訴えることも多々ある。これは1号が手加減しているのではなく、1号自身が「腕力ではパー子に負ける」と言っている[7]。なお、パーマン仲間で海へ遊びに行く時、1号が帰りたがらない際には、1号は置いて彼のマントは持って帰るというなど、意地悪な面も。[8]そのため1号や2号からは常日頃「女の子らしくない」と指摘される。それに応えておしとやかに振る舞おうと努力することもあるが、あまり長続きはしない。

やや頼りないものの正義感と責任感の強いみつ夫にほのかな好意を寄せており、みつ夫が同級生の沢田みち子をちやほやするのを見て女の子らしくない自分にコンプレックスを感じることもある。また、みつ夫が星野スミレの熱狂的なファンであるがゆえに、正体を明かせば一人の普通の女の子として扱われなくなってしまうことを恐れている。原作漫画では直接に好意を示すことはないが[9]、アニメ版(1983年-1985年)では好意を抱いているが素直になれない性格を示すことが多々ある。特に最終回「パー子の宝物ってなーんだ?」は、秘密の宝物を特別に見せてあげる、とみつ夫に手鏡を渡し、実は本当の宝物は鏡に映ったみつ夫自身だったという愛の告白をするストーリーであり、原作に比べてラブコメ色を相当に強くしている。

原作最終回でみつ夫が日本のパーマンの代表としてバード星への留学に旅立つ際、パー子はみつ夫にだけ素顔を見せ、笑顔で送り出した。この描写は1986年のてんとう虫コミックス第7巻発行時に加筆されたものであるが、それ以前にアニメ版(1967年-1968年)の最終回で同様の描写が存在する。

『ドラえもん』での星野スミレ[]

ドラえもん』では、大人になった星野スミレの姿が見られる。本作では少女アイドルとしての座は伊藤つばさに譲っているが、映画で主演をつとめるなどスター女優として成長している様がうかがえる。ドラえもん、のび太、さらにはスネ夫、ジャイアンともスミレの大ファンである。

初出は「オールマイティパス」(てんとう虫コミックス15巻)。このときはスターとしての登場のみで『パーマン』との関連は特に見られない。前述の主演映画が確認できるほか、オールマイティパスを使ったのび太・しずかと自宅の豪邸で談話をする。

次に登場する「影とりプロジェクター」(同19巻)では、二枚目スターの落目ドジ郎に言い寄られている。落目は芸能週刊誌にスミレの熱愛疑惑を吹き込んだり、勝手にスミレの自宅に上がり込むなどストーカー行為を繰り返していたが、ドラえもんとのび太により追い払われた。スミレはその礼として二人に秘密を明かしており、作中では「遠い遠い国」に好きな人がいることをほのめかすに留めている。

「めだちライトで人気者」(同24巻)では、芸能レポーターに追い回されるスミレの姿がある。めだちライトを浴びて同じく追い回されていたのび太と再会し海辺へ誘うが、そこで落としたロケットにはみつ夫の写真が収められており、スミレはのび太に「今は遠い世界に行っている、大切な人。いつかきっと帰ってくる」と説明する。みつ夫がこの時点までバード星から戻っていないことがわかる(正確には原作漫画版最終回直後に書かれた『帰ってきたパーマン』(長い間単行本未収録だったが現在は『藤子・F・不二雄大全集』に収録されている)で地球に帰ってきている)が、スミレの登場はこの話が最後であり、以後みつ夫と再会できたかどうかは描かれることがなかった[10]。『パーマンの真実』(ワニブックス、1993年)では、星野スミレが途中から登場しなくなりトップアイドルの座が伊藤つばさに移っていることから、「ミツ夫がバード星での研修を終えて帰ってきてスミレと結婚。引退」という説が提唱されている。

『ドラえもん』にはその他の藤子キャラクターもたびたびカメオ出演しているが、既に終了した作品の後日談が語られるのはこれらの星野スミレ登場編のみ[11]であり、藤子Fの『パーマン』及びスミレへの特別の思い入れをうかがい知ることができる。

作品内での時系列は『ドラえもん』が『パーマン』の後になるが、「めだちライトで人気者」が1980年であり、『パーマン』で星野スミレが大きく扱われるようになるのはその3年後の1983年からの連載である。『ドラえもん』で描かれた星野スミレの須羽みつ夫への想いが、新作の『パーマン』へと還元される形になっている。

なお、『ドラえもん』にはパーマン1号と一緒にパー子が登場するシーンがある。のび太と同程度の身長であり、上記の内容を考えると年代的に矛盾が生じている。『パーマン』自体は1979年に特別編『ドラ・Q・パーマン』で再登場し(アニメ化は1980年)、ドラえもんやオバケのQ太郎らと競演している。そして1983年には先述の通り、再びレギュラー放送でアニメ化と同時に新設定で漫画が連載され、時系列をドラえもんに合わせざるを得ない状況になった。これらの競演は、単なる読者サービスと考えた方が良い。

キャラクターデザイン[]

新旧の原作で、星野スミレの外見上のデザインは大きく異なる。唯一の共通点は頭に着けたカチューシャと、後頭部の横に突き出た髪の毛である。

1960年代版の原作では、スミレは他のキャラクターとは異なり少女漫画風の絵柄で描かれていた。髪の毛はベタ・トーンなどの処理はされず、白地に髪の流線を何本か描き込むかたちで表現されている。黒目が大きく、まつげが多い。

1980年代版では、絵柄は他のキャラクターと同様の児童漫画風のものになっている。顔のパーツは、やや吊り目で黒目がちの大きな目と上向きの尖った鼻で構成されている。

声の出演[]

  • パーマン
    • アニメ1作目 (1967-1968) - 栗葉子
    • アニメ2作目 (1983-1985) - 増山江威子
    • アニメ映画 (2003, 2004) - 増山江威子
  • 『ドラえもん』
    • 「オールマイティーパス」(1979年7月26日) - 不明。
    • ドラ・Q・パーマン」(1980年4月8日) - 栗葉子
    • 「影とりプロジェクター」(1980年4月30日) - 横沢啓子
    • 「めだちライト」(1993年5月28日) - かないみか
    • 「ニヒキメドジョウ」(2002年5月31日) - かないみか
    • 「オールマイティーパス」(2005年5月6日) - 松井菜桜子
    • 「人気スターがまっ黒け」(2007年7月13日) - 松井菜桜子
    • 「スクープ!のび太と秘密のデート」(2007年7月27日) - 松井菜桜子

脚注[]

  1. 1.01.1 てんとう虫コミックス『パーマン』5巻「さらわれてバンザイ」
  2. 虫コミックス『パーマン』4巻カバー裏の図解コーナー
  3. てんとう虫コミックス『パーマン』6巻「パー子の秘密」
  4. てんとう虫コミックス『パーマン』1巻「はじめましてパー子です」
  5. 藤子・F・不二雄大全集パーマン7巻「巨大ロボットの襲撃]
  6. 藤子・F・不二雄大全集パーマン4巻「女のたたかい」
  7. てんとう虫コミックス『パーマン』6巻「パー子の秘密」
  8. 藤子・F・不二雄大全集パーマン3巻「無人島で暮らそう」7巻「宝物見つけた」
  9. てんとう虫コミックス『パーマン』7巻「パー子のすきな人」において、テレビ番組でのインタビューで、司会者に「好きな人はいるのか」と聞かれ、はっきりと「いる」「私が好きだって事に気付いていない」とまで言い切っているが、当然名前は出さない。ちなみにその番組はミツ夫も観ており、スミレの気持ちも知らずに同情するという皮肉なシーンでもある。また同話においてスミレは、1号が3号に対して「どうしていままで気づかなかったんだろう。こんなすてきな人が身近にいたなんて!」と言っている夢を見ている。また、1号に気に入られようとおしゃれをして出動する姿が描かれている。
  10. このエピソードはアニメ版ではみつ夫を匂わす部分が消され、「海外に行っている人」ということになっている。なお、「めだちライトで人気者」のリメイクとして2007年7月27日に放映された「スクープ! のび太と秘密のデート」では、ロケットにはみつ夫の写真が収められており、原作に近い形となった。
  11. 『ドラえもん』の「神成さん」では、のび太が神成さんを看病する話があり、その際、かつていた友人としてドロンパ(『オバケのQ太郎』の登場人物)のようなシルエットが浮かぶが、それ以上は語られていない。逆に前日談では『21エモン』の18エモンが登場する話がある。

関連項目[]



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