登録日：2022/03/17 Thu 22:30:09
更新日：2024/06/18 Tue 11:42:10NEW!
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ゴールドシチーとは、日本の元競走馬。
『ウマ娘 プリティーダービー』におけるゴールドシチーはこちら→ゴールドシチー(ウマ娘 プリティーダービー)
【データ】
生年月日：1984年4月16日
父：ヴァイスリーガル
母：イタリアンシチー
調教師：清水出美
馬主：友駿ホースクラブ
生産者：田中茂邦
産地：門別町
生涯獲得賞金：1億7,588万円
通算成績：20戦3勝
主な勝鞍：86'阪神3歳S(G1)
【誕生】
1984年4月16日生まれの牡馬。父ヴァイスリーガル、母イタリアンシチーで、母父テスコボーイ、父父ノーザンダンサーというかなりの良血に生まれる。
尾花栗毛の好馬体を持って生まれ、「いかにも走りそうな気配」があると生まれの牧場主から言われたが気性が非常に激しく、調教師を務めた清水出美氏は「気性の激しさがいい方向か悪い方向に出るかで、この馬の一生が決まると漠然と思った」と話していたそうな。
「シチー」冠名で知られる友駿ホースクラブ*1のクラブ馬としてデビューしたが、入厩の際には、「走らないようだったらディズニーランド*2に寄付して乗馬にしよう」とまで言われていたらしい*3。
またゴールドシチーは「気性難」だけではなく「起床難」でも知られており、通常競走馬の調教は日の出前(季節によって4-6時)スタート、というかなり早い時間から行なわれるのだが、ゴールドシチー号は「早く起こそうとすると暴れる」というレベルで寝坊癖が酷く、皆調教も終わってそろそろお昼という時間になってやっと調教に姿を見せる有様だった。そのため付いたあだ名は「午前10時の男」。
ところでJRAの第一レースの発走時刻(2022年)は一番早いもので9時55分である。本番にも間に合わない……。
【戦歴】
デビュー3戦目で初勝利を飾り、5戦2勝の3番人気で迎えた阪神3歳ステークス*4。発走前から前に行きたがる素振りを見せていたが、最終コーナーで先頭に立つと気を抜いたのか失速しかけるも後続2頭に並ばれると再び加速、3頭はもつれるようにゴールへ。
写真判定の末アタマ差の勝利を掴み、これが騎手、調教師、馬主、生産牧場において初のG1勝利となった。
3歳シーズンは休養に充て、クラシックに備えることに。なお最優秀3歳牡馬にメリーナイスとともに同時選出された。
1987年の始動は皐月賞トライアルとなるスプリングステークス。パドックでは観客から失笑が漏れるほど激しく焦れこんでいたのが響きマティリアルの6着。
皐月賞本番では1番人気にマティリアル、2番人気には弥生賞を制したサクラスターオーが入り、ゴールドシチーは11番人気と大きく下げることに。
しかも4日前に疳痛を起こし体調が万全とは言えないなかで、サクラスターオーを見るように進出を開始するも直線鋭く抜け出したサクラスターオーに及ばず2着。
続く東京優駿では両前脚の繋靭帯炎を発症したサクラスターオーは不在。当日は2番人気に推されるが、向こう正面の出口で手を抜く悪癖が出てしまい位置を大きく下げてしまう。最終直線を後方から追い込むも、2着に6馬身差もの差をつけ独走したメリーナイスの4着。
余談だが、この時の東京優駿は映画『優駿』に使う映像を撮るために撮影班が待機しており、優勝した馬が主役馬であるオラシオン号役をやる事が内定していた。まあスタッフのポカで肝心な部分は撮れていなかったわけだが。
結果は栗毛四白流星のメリーナイスだったため仔馬時代役の馬にメイクする等苦労したそうだが、つまり万が一ゴールドシチーが勝っていた場合、尾花栗毛のオラシオンが爆誕していた事に…。
夏の休養を挟み、9月の神戸新聞杯から始動。鞍上はこれまで騎乗してきた本田優から猿橋重利に交代。
レースは終始3番手を追走するも、同期の二冠牝馬マックスビューティーと逃げたヒデリュウオーを捕えきれず3着。
続く菊花賞トライアルの京都新聞杯ではスタート直後に斜行し他馬を転倒させてしまい、3位入着になるも失格。しかも鞍上の猿橋騎手は騎乗停止処分を受けてしまったため、菊花賞本番は河内洋に乗り替わることに。
菊花賞はメリーナイスに次ぐ2番人気に推され、5番手から6番手を追走するも、皐月賞以来の出走となったサクラスターオーに半馬身届かず2着。
12月の鳴尾記念では自身初の重賞1番人気に推されるも、タマモクロスの6着と惨敗。
その後も1989年宝塚記念まで7戦戦うも、結局阪神3歳S以降一度も勝ち星を挙げることができず、宝塚記念10着を最後に現役を引退。通算戦績は20戦3勝。
【引退後】
引退後は種牡馬になることなく、宮崎県で乗馬として、あわよくば障害飛越馬に転身すべく繋養されていた。
しかし、気性の悪さが出てしまったのか馬同士でも全く馴染めず、喧嘩を繰り返していた。
そんな中、1990年5月1日に牧場で骨折しているのが発見され、予後不良と診断され安楽死となる。享年7歳という夭逝であった。
なお骨折の瞬間を見た者はおらず、関係者の間では「他の馬を挑発して逃げる途中で転倒」「他の馬に蹴られた」「柵に激突した」と様々な可能性が検討されたが、結論は出せなかったという。
そして彼の属していた87年クラシック世代は、前述した皐月賞と菊花賞を取ったサクラスターオーがその年の有馬記念で左前脚を脱臼、治療が試みられるも翌年春に安楽死。
「シンボリルドルフ並の素質馬」と期待されていたマティリアルも1989年秋にスプリングステークス以来2年ぶりの勝利を挙げるも入線直後に骨折、治療中に死亡している。
このサクラスターオー、マティリアル、そしてゴールドシチーと皐月賞1,2,3着馬が揃って予後不良で夭逝という出来事から「悲劇の世代」という呼び声がついてしまっている。*5
【創作作品での登場】
容貌に優れたウマ娘という種族の中でも100年に一度の美貌と言われており、走る傍らでモデルをしている。通称「シチーガール」
しかし自身は(モデルの仕事を嫌っている訳ではないものの)そんな自分の美貌ばかり着目され「競技者」としての自分を見て貰えない事に辟易している。
そんな真意を見通したプレイヤーがその夢を支えようと追いかけてきたことで、半ば吹っ切るように彼/彼女と契約を結ぶ事になる。なおこの時スカウトに情熱を燃やすトレーナーは完全にストーカーのそれである
ユキノビジンやマヤノトップガンなどその美貌に憧れるウマ娘も多い。また、ギャル繋がりでトーセンジョーダンとも仲が良い様子。これらのせいでどの世代のウマ娘なのか分からなくなることもある。
ゴールドシチー自身は本作の開始直前に引退しているのだが、なぜか死後霊界から降臨したヘビメタロッカー(時々最期の地ゆかりの九州弁混じり)として登場。普通にしていれば金髪碧眼のイケメン馬なのに色々と台無しである。
「走るベルばら」トウショウファルコ等自分と似たブロンド(尾花栗毛)の鬣を持つ馬が活躍する度に現れ、彼らを自分のバンドへと勧誘している。但しなぜか尾花でもタイキシャトルは作画的に茶髪なせいか勧誘されなかった。
【余談】
戦績としては歴史上枚挙に暇がない「早くにG1勝ったけどそこからいいとこなかった馬」であり、子孫を残す機会も無かったため、後世において彼が話題に上るとすれば専らその走りではなく、「尾花栗毛の美しい馬」「気性（起床）難」になりがちである。
実はゴールドシチーという名前の競走馬はもう1頭いる。2代目は2014年生まれの騸馬で、2016年9月に阪神2歳新馬戦でデビュー。中央で6回出走するも勝利には届かず公営岩手競馬へ移籍。2度の勝利を収めた。2代目ゴールドシチーの名前の由来は父・ゴールドアリュールと母父・タップダンスシチーを組み合わせたもので、往年のGI勝利馬と同じ名前ということでデビュー時はちょっとした話題になった。
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*2 『優駿』1987年6月号より。なお東京ディズニーランドは開業が1983年4月15日と誕生日のちょうど1年前であった。
*3 気性難で早々に立ち消えになっている。なお東京ディズニーリゾートでは開業以来、本物の馬を運用していない（実際に運用されているのはアメリカ・フロリダの「ウォルト・ディズニー・ワールド」、アナハイムのディズニーランドとフランス・パリのディズニーランドである）。
*4 現在の阪神ジュベナイルフィリーズ。1990年までは牡牝混合戦だった。
*5 とはいえダービー馬のメリーナイスやクラシックに乗り遅れたタマモクロス・古馬期に大井から移籍したイナリワンは長生きして子孫を残しており、スターオー・タマモ・イナリと3年連続で同世代から年度代表馬を輩出してもいるのだが。
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