登録日:2021/08/13 (金) 23:18:03
更新日:2024/06/03 Mon 13:35:38NEW!
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▽目次
バトルスーツとは、ウォーハンマー40Kに登場するタウ・エンパイアによって用いられる人型ロボット兵器のことである。
タウ・エンパイアのファイアウォリアーによって操作されるバトルスーツは、他種族よりも先進的な装備によって高機動、高火力を誇る機体性能を持つ。常に陣地を固定するのではなく、陣地を流動的に変えるタウ・エンパイアの戦闘思想を体現した兵器といっても過言ではない。
またバトルスーツは、単なる兵器としてではなく、全ての火のカーストの戦士にとって栄誉の象徴でもある。ファイアウォリアーは生身の体でいくつかの戦場を潜り抜け、新兵から武功を重ねて位階を駆け上り、そして〈火の試練〉を乗り越えた栄誉ある戦士には、バトルスーツが与えられるのである。
まさにバトルスーツはタウの軍事文化を象徴する兵器に他ならない。
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア6版」(codex:Tau Empire)P70,71 イラストより
概要
タウ・エンパイアは先進的なテクノロジーによる数多くの兵器を所有しているが、その中でもバトルスーツはタウが誇る技術力の結晶といっても過言ではない。数多くの武装と〈帝国〉のスペースマリーンに匹敵する装甲を持ちながらも、バトルスーツは圧倒的な機動力を誇り、歩兵や戦闘車両を容易に破壊する事が可能だ。
バトルスーツは数多くの機種が存在し、タウ軍の中で特定の役割が与えられている。タウ語でバトルスーツは「ハ=クス=ブル」すなわち人類の言葉で「英雄の外套」として知られている。
英雄の外套の名の通り、バトルスーツを与えられるファイアウォリアーの兵士は、数多くの戦場を潜り抜け、〈火の試練〉と呼ばれる試練に合格した栄誉ある兵士、すなわち「シャス=ウィ」に対して与えられるのだ。
【機体の特徴】
バトルスーツは先進的なパワーアーマーの一種であり、大型モデルとなると〈帝国〉のスペースマリーンが用いるドレッドノートよりもサイズが大きいが、その動きはドレッドノートよりも滑らかでかつ高機動である。機体は様々なサイズがあり、標準的なファイアウォリアーと変わらないサイズの機種もあれば、スペースマリーンの2倍以上の大きさを持つ機種まで存在する。
バトルスーツの役割は戦場での射撃支援から敵陣への潜入、更に後方での火力支援まで様々である。バトルスーツは基本的には一人のファイアウォリアーが着装して運用することを前提に設計されており、高度な武器やデバイスが機体に搭載されている。
隠れた敵を発見するのに便利な「マルチスペクトラム・センサー」や「スキャナー」をはじめ、移動中に軽量な兵器を正確に打つことができる反動吸収技術などが搭載されている。また、敵軍に使用されるのを防ぐための「アンチタンパリング・システム」も搭載されており、味方以外がバトルスーツを着装しようとすると、黒こげの死体となってしまうのである。
【バトルスーツの装甲】
全てのタウ・バトルスーツは、高密度の「ナノクリスタル合金」から造られ、アーマーの形状を取っている。この特殊合金は強い耐衝撃性と軽量性を兼ね備え、これによりバトルスーツ本体の軽量化が成しとげられ、多数の武装システムと支援システムを搭載することが可能となった。
各種バトルスーツの形状は、それ自体が実体弾を逸らすのに優れ、これに加えて機体表面に施された「液状金属コーティング」は、中程度のレーザーを弾き返すことができる。また一部の機体、例えば「XV88 ブロードサイド・バトルスーツ」や「XV104 リップタイド・バトルスーツ」には、何層もの「ナノレイヤー・コーティング」が追加され、アーマーの強固さをさらに強化している。
【バトルスーツ開発史】
バトルスーツの開発技術は、タウの銀河進出と足並みを揃えるように進歩してきた。最初期の試作品は、〈第一天球拡張〉の時代にフィールドテストが行われ、試験そのものは成功したものの、その後の進捗は遅々としたものであった。
化石燃料で駆動する原型機であった「T型」は、核分裂による動力炉を搭載した「V型」に速やかに取って代わられたが、放射線による悪影響は課題として残されたままであった。最初の急速拡張が終わりを迎える頃には既に、様々なハンター・ケードリの中にバトルスーツ・テクノロジーが一般に見られるようになってきた。
タウが幾多の大規模な戦闘で勝利を獲得したのは、ハンター・ケードリの精鋭部隊がバトルスーツの能力を理解しその戦術を磨き上げる頃、すなわち〈第一天球拡張〉の最終段階に至ってからであることは、驚くに値しないだろう。〈第二天球拡張〉の開始前に、バトルスーツ開発技術は再び大きな進歩を遂げる。
とりわけ動力源と搭載武器に関する部分に飛躍的な改善がなされたのだ。この時代の末期までには、「リパルサー・ジャンプジェット」装置が標準化され、各ハンター・ケードリはかつてない規模で惑星を征服していったのだ。
現在でもバトルスーツは絶え間ない改善によって多様化を続けており、新たな試作型バトルスーツも続々と開発されている。
【栄誉の証】
タウにとってバトルスーツとは、単なる強大な戦闘兵器以上の意味を持つ。それは、ひとつの偉業が成し遂げられたことを意味する、偉大なる象徴でもあるのだ。
パイロットとなるための位階である「シャス=ウィ」の称号にふさわしい武勲を、すなわちバトルスーツを身に纏うことだけの資格が自分にある事を戦いの中で証明してきたファイアウォリアーだけが、これを着装する事を許されるからである。その位階に就くことは大いなる偉業であり、ファイアウォリアーは文字通り、戦火に身を置くことでその試練を経ていくのだ。
バトルスーツこそは、火のカーストの戦士全員が抱く大志の象徴であり、〈火の掟〉を体現する存在であり、また〈大善大同〉への気高き奉仕の象徴に他ならない。
【機体の命名規則】
バトルスーツには機体に番号が振られている。XVはバトルスーツの分類という意味を持ち、その後には2つの番号で分類されており、一つ目の番号は機体の質量階級を表しており、 二つ目の番号は機体の役割を表す。
例えば、「XV22 ステルス・バトルスーツ」のXV22の番号を例に挙げると、
(バトルスーツ)「XV」、(質量階級2)「2」、(フィールドテスト中)「2」
最初の「2」は軽量スーツであることを示し、2番目の「2」はまだフィールドテストが行われていることを示している。
さらに中型バトルスーツ「XV88 ブロードサイド・バトルスーツ」のXV88の番号を例に挙げると、
(バトルスーツ)「XV」、(質量階級8)「8」、(8番目のバリエーション)「8」
となり、
大型バトルスーツ「XV104 リップタイド・バトルスーツ」では、
(バトルスーツ)「XV」、(質量階級10)「10」、(実践テストの最終段階である事を示す)「4」
となっている。
また、特定のバトルスーツには若干の変更を加えられたマイナーチェンジ版が存在する。例を挙げると、「XV85 クライシス“エンフォーサー”バトルスーツ」では、末尾に5が付随されており、「XV8 クライシス・バトルスーツ」の強化版である事を示す。
XV02 パイロット・バトルスーツ
【概要】
XV02 パイロット・バトルスーツは、現在試験的に開発、運用されているタウ族のバトルスーツの一種である。一般的なバトルスーツよりもはるかに小型で、タウの戦闘車両に搭乗するパイロットを対象としている。
通常のパイロットスーツと異なり、戦闘車両とパイロットをインターフェースを通じて直結させて操作や火器管制を行う。そのため、追加のパイロットやクルーは必要とせず、単体のパイロットをのみで車両を運用することが可能だ。
画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「Longstrike」 商品画像より(2021/08/13閲覧)
ステルス・バトルスーツ
【概要】
ステルス・バトルスーツは、敵の陣地に浸透作戦を行う場合や、潜入作戦を行う際に有効なバトルスーツである。ステルス・バトルスーツで構成された「ステルス・チーム」は、所属ケードリの本体から独立して単独行動を取る、いわば一匹狼的な特殊部隊である。
隠密行動に長ける彼らは、敵防衛線の向こう側へ浸透し、敵の脆弱部に対して破壊工作を施すのだ。誰にも見られることなく敵の勢力圏内に対して潜入するためにステルス・チームは、可視光を屈折する「ディスラプション・テクノロジー」が搭載された流線形のステルス・バトルスーツを着装する。
このスーツに増設された「クローキング・フィールド発生装置」はステルス・チームの足音さえもかき消し、感熱センサーさえ欺くため、彼らは敵に奇襲警報を発せられることなく、難なく敵地の奥深くへと潜入することが可能だ。敵が何もいないと思っていた場所から突然姿を現すと、ステルス・チームは一斉射撃を放ち、あらかじめ定められていた標的を無効化、あるいは完全に殲滅する。
【潜入を支える光学技術】
ステルス・チームの任務を支えるのは、XV15およびXV25ステルス・バトルスーツの技術だ。ステルス・バトルスーツの装甲は薄く、ファイアウォリアーたちの装備するアーマーより若干厚い程度だが、着装者のボディアーマーを隠すある種の“覆い”が、搭載された「ステルスフィールド・ジェネレーター」から投射されている。
それはあらゆる光の波長を搔き乱し、いかなる探知装置のセンサーをも沈黙させ、着装者の動きに気付かせることなく周囲の環境に溶け込ませてしまうのだ。彼らの位置を特定することは困難であるため、ステルス・チームは遮蔽物が何一つない場所でさえ、少なくとも一定時間は姿を隠していることが可能だ。
森林や、瓦礫の積み重なった市街地などの遮蔽物がある場所であれば、彼らは実に見事に風景へと溶け込んでしまう。敵にとって彼らは、発見することも捕捉し続けることも極めて難しい標的なのだ。
【装備】
より大型のXV8 クライシス・バトルスーツと同様、ステルス・バトルスーツの装甲にはナノクリスタル合金が用いられ、強力なバーストキャノンを装備している。さらなる火力強化のため、ステルス・チームの一人は「フュージョンブラスター」を装備することもある。
この短射程の武器は、重装甲の標的や車両を攻撃する際に極めて有効だ。チーム内に「シャス=ヴレ」の位階にあるファイアウォリアーがいれば、追加装備として「マーカーライト」や各種ドローン、あるいはXV8 クライシス・チームにより正確な射撃を行わせるための「ホーミング・ビーコン」を駆使することも可能だ。
いくつかの家門、とりわけタシュヴァール家門において顕著なのは、ステルス・チームに「マーカードローン」を装備させる戦術だ。これはマーカーライトを照射する前にまずステルス・チームがバーストキャノンによって敵の兵数を減らし、残った敵をケードリ内の他の部隊が確実に始末するという戦術で、大規模なオルク軍に対して用いられることが多い。
ひとたび奇襲攻撃を開始したステルス・チームは、ジェットパックによる跳躍を繰り返しながら、反転に転じた敵の射撃をかわし、次々と新たな標的を仕留めてゆくのだ。
【変わり者たちの部隊】
作戦行動の性質上、ステルス・チーム専用に様々な武器や装備が用意されている。大抵の場合ステルス・チームは、司令部から命令を受けることもままならない通信状況下で行動し、沈黙のうちに索敵や情報収集を行わねばならないため、部隊独自の判断で行動することが許されているからだ。
このような任務に志願するシャス=ウィはいささか風変わりで、伝統的な慣習に従おうとしない者たちであることが多い。緻密に構築され、階級の秩序を重んじるタウ社会においては、そのようなシャス=ウィが広く理解を得るのが困難だからだ。
ステルス・チームで長年戦い抜き、シャス=ヴレの称号を勝ち取るような者たちは例外なく、独創的な戦術を編みだすことで名高く、また敵戦線の奥深くに敢えて飛び込むような“変わり者”と呼ばれる者たちである。タウ・エンパイアに敵対する種族の多くは、高度なテクノロジーによって姿を隠したバトルスーツ自軍の真っただ中に出現することを警戒している。
〈タロス征戦〉においては、神出鬼没のステルス・チームが〈帝国〉の補給線を粉砕し、帝国防衛軍が本格的な進撃を開始する以前にパニックや混乱の種を蒔いた後、再び潜伏場所へと消えた。帝国防衛軍の諸連隊はその後、ことごとく自暴自棄になって戦線維持の任務を放棄し、撃退されたのである。
【主なバリアント】
- 「XV15 ステルス・バトルスーツ」
【概要】
XV15は、タウがこれまでに使用した中で最小のバトルスーツの1つとして知られている。XV15のチームは、独立した敵部隊の待ち伏せや味方部隊への支援を得意としており、特定の戦略目的ではなく広範な数値に沿って、独立した部隊として活躍する。
XV15は他のバトルスーツと同様に「マルチスペクトラム・センサー」と反動吸収技術を搭載し、それに加えて「ジェットパック」と「ステルスフィールド・ジェネレーター」を装備しており、ホログラムによるクローキング・フィールド発生装置により敵から発見させるのを困難にしている。このスーツは着装者の体力を向上させ、接近戦での打撃力を高め、バーストキャノンの使用を可能としている。
現在このステルス・バトルスーツは古いモデルであり、現在では〈第三天球拡張〉時に製造されたXV25が主流となっている。しかし、X15がファイアウォリアーの歩兵とバトルスーツ部隊の中間的な役割を持っているため、今でも使用されてることも珍しくない。
- 「XV25 ステルス・バトルスーツ」
【概要】
XV25 ステルス・バトルスーツはXV15よりも大型であり、スペースマリーンよりも幅が広いサイズとなっている。着装者は変わり者や一匹狼のような気質を持った者が多く、ステルス部隊または単独行動で活動を行っている。
〈ダモクレス征戦〉で初導入されて以来、XV25はXV15に代わって活躍している。XV15同様に、バーストキャノンやジェットパック、ステルスフィールド・ジェネレーターなどの標準的な装備はもちろん、サポートシステムによる援軍要請やドローン支援攻撃、シーカーミサイルの直接発射などの機能も備えているのだ。
XV25 ステルス・バトルスーツは、XV15に比べて大型化したフレームと増強された可動部によって、フュージョンガンやバトルスーツ・サポートシステムを装備することが可能となっている。それに加えてステルス・チームのリーダーは、マーカーライトと装備することがあるそうだ。
優れた隠密性能と高火力を持つ反面、〈帝国〉の持つボルトウェポンをはじめとした大口径の小銃に対する防御性能は持ち合わせていない。
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア6版」(codex:Tau Empire)P43 イラストより
- 「X22 ステルス・バトルスーツ」
【概要】
コマンダー・シャドウサンことオ=シャセラに送られた試作型バトルスーツで、体に着装する形で運用する。〈第三天球拡張〉時における最新鋭のステルス・クローク技術、攻撃目標補足システム、小型シールドジェネレーターなどを搭載している。
搭載されたクローキング・テクノロジーによって、着装者は周囲の風景に溶け込み高い防御効果を得られ、込み入った地形に隠れれば、敵は着装者を標的にすることはほとんど不可能となる。このバトルスーツが承認されて一般利用されるようになるかは、〈第三天球拡張〉の戦闘の中で行われる性能テストによって決定されるだろう。
これまでのところ「XV22 ステルス・バトルスーツ」は上々の上々の評価を得ており、特に“影の太陽”が、〈ム=グラースの入り江〉の戦いにおいて帝国防衛軍の「レマン=ラス戦車」の縦隊を待ち伏せ攻撃した時には、極めて優れた戦闘性能を発揮した。この戦闘においては、轟音を上げて前進していた重戦車のいずれもが、「フュージョンブラスター」によって一方的な攻撃を受け、なおかつ地形に紛れて姿を消す隠密能力によって敵は着装者の位置を特定できず、反撃を繰り出すことすらできないまま撃破されていったのだ。
また試作兵器である「MV52 シールドドローン」が展開するフォースシールドは、現在までに制作された中で最も強力な性能とされ、従来型ならば爪痕を残したであろう敵戦車からのキャノンの一撃を、易々とはね退けた。加えて新作の「コマンドリンク・ドローン」も、その有用性をいかんなく発揮した。
コマンドリンクにより、着装者は周囲のチームの射撃をより効率的に連携させ、敵を容赦ない一斉射撃で撃滅することが可能となったのである。これらの試作兵器が大量生産されるようになるのは、時間の問題かもしれない。
だが、これらのバトルスーツがいかに強力であったとしても、主な着装者であるコマンダー・シャドウサンは清流たる司令の教えを常に思い出すだろう。「剣を導く精神こそが、刃よりも危険な武器である」との格言を。
X22 ステルス・バトルスーツとこれらの新型ドローンが承認されるかどうかはコマンダー・シャドウサンの残す戦果にかかっており、また彼女自身の命運もこれらの新兵器の性能にかかっていたのだ。
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア6版」(codex:Tau Empire)P58 イラストより
- 「XV22 ストーカーアップグレードバリアント」
【概要】
XV22 ステルス・バトルスーツのアップグレード版。〈呪われし傷跡〉が銀河に形成されて以来、シャドウサンは性能が強化されたストーカーバリアントを着装し、〈第五天球拡張〉以降の戦闘で用いるようになった。
画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「Commander Shadowsun」 商品画像より(2021/08/13閲覧)
- 「XV95 ゴーストキール・バトルスーツ」
【概要】
タウ軍が配備しているステルス・バトルスーツの中でも最大級のサイズを誇る大型バトルスーツがゴーストキールだ。XV95は〈第三天球拡張〉の開始時に至高導師「アゥン=ヴァ」自身の指示により、ンドラス家門にて開発された。
XV95の最初の任務は、「ヴァーデンフォール基地」の破壊工作や「ボシュ枢機卿」の暗殺など、極めて隠密性の高いものであった。困難な任務を達成できる性能の高さから後にゴーストキールは、“ンドラスの亡霊”の異名で知られるようになっていく。
やがて亡霊の名を持つXV95の需要は飛躍的に高まり、戦場でごく一般的に投入されるようになった。
【亡霊の如き浸透】
XV95は、通常のスペースマリーンの3倍をも超える全高であり、コマンダー・シャドウサンが着装しているXV22のバトルスーツと似た意匠を持つ。機体には「フュージョン・コライダー」や「サイクリック・イオン・レイカー」をはじめとし、2門の「フュージョンブラスター」などの武器が装備されており、隠密能力と高い火力を兼ね備えている。
敵陣へと潜入したゴーストキールは、着用者と強い意志で結ばれている数機の「ステルス・ドローン」が幾重にも形成するステルスフィールドによってその姿を消すことができ、敵からほとんど探知されなくなる。そしてどこからともなく姿を現したかのように見せるXV95は、激しき火力の奔流を敵へと放ち、敵陣が混乱している中で颯爽と退却していくのである。
このように「XV95 ゴーストキール・バトルスーツ」は、敵陣へと浸透し、突発的な混乱と破壊をもたらすことを主な目的として設計されている。まさにゴーストキールは亡霊の如く敵陣に浸透して破壊工作を行うその姿は、タウの基本戦術の一つである「モント=カ」を体現している機体であると言っても過言ではない。
【機体とパイロットとの絆】
ゴーストキールには、数多くの激戦を潜り抜け、選抜された「シャス=ヴレ」(英雄の階級)が着装者として選ばれる。着装者は統合されたAIシステムによるサポートを受けることが出来、バトルスーツの複雑な操作を補助するだけでなく、着装者自身の心理的な健康状態をも把握することが可能だ。
戦場においてゴーストキールの着用者は、敵陣で長期間孤立して活動することで知られており、多くの着用者がゴーストキールのAIと強い絆で結ばれている。そのため、多くのゴーストキールの着用者は内向的な性格となっていき、リアルでの交流を避けてAIシステムとの付き合いを好むようになっていくのである。
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア8版」(codex:Tau Empire)P65 イラストより
XV46 ヴァンガードヴォイド・バトルスーツ
【概要】
タウが宇宙空間や「特異航宙体」(スペースハルク)での活動が出来るように地のカーストによって開発された小型バトルスーツ。狭い残骸の合間を通りに抜けられるように設計されており、タウ・エンパイア内ではまだ普及していない。
ヴァンガード・バトルスーツは主にフレイマーとバーストキャノンを装備することが多く、中には金属製の残骸を切り裂く威力を持つ「フュージョントーチ」を装備することも可能だ。しかし、XV46の装備の中で最も注目すべきものは、高密度の「フィオ=トーク・ナノクリスタル・アーマー」である。
この頑丈かつ軽量な装甲により、宇宙空間での迅速な活動や、マンタやオルカといった降下艇からの素早い展開が可能となっている。また、XV46は「DX-11 エクスプロラトリー・ドローン」が一般的に配備されている。
XV8クライシス・バトルスーツ
【概要】
攻撃能力、防御装甲、機動性、汎用性、全てにおいて完璧なるバランスを備えた、XV8 クライシス・バトルスーツ。このバトルスーツの身長は、着装者であるファイアウォリアー自身の二倍にも達する。
XV8の装甲に使用されているのは、地のカーストが有する脅威のテクノロジー、すなわち「高密度ナノクリスタル合金」だ。打撃に対する耐久性や被弾効率を比較した場合、〈帝国〉のスペースマリーンが用いるパワーアーマーの素材の一つ「セラマイト合金」にも匹敵する強度を持つが、その重量はセラマイトに比べて遥かに軽量である。
アーマーは対人用の兵器に対して優れた防御力を発揮し、着装者を保護する。しかし、「アサルトキャノン」や「ラスキャノン」といった対物用兵器に耐えられるほどの防御力を持ち合わせてはいない。
その巨体に比して素早い動作が可能なXV8は、機体に搭載された「リパルサー・ジェットエンジン」によって、極めて高い運動性を備えている。このジェット推進システムと反重力テクノロジーの融合技術もまた、地のカーストによって開発されたものだ。
XV8はこれらの強力なブースター噴射によって戦術の障害物を苦も無く飛び越え、跳躍移動によって敵が先んじて有利な射撃位置を確保し、敵の砲撃からいち早く身をかわす。またスラスター噴射で低速降下することによって、クライシス・バトルスーツは戦場へ戦闘降下させることも可能である。
オルカやマンタなどの航空機から、空挺戦術を駆使して直ちに戦場へと到着するのだ。
【多彩な装備】
タウの高度なテクノロジーはXV8 クライシス・バトルスーツに高性能の防御装甲と機動性だけでなく、多彩な武器と支援システムを搭載する能力ももたらした。これによりクライシス・バトルスーツは極めて高い汎用性を持つに至り、敵にとってはこの上なく危険な存在となっている。
クライシス・バトルスーツの搭載武器は、出撃する作戦内容に応じた(あるいは操縦者の個人的な嗜好をより色濃く反映した)柔軟な換装が可能だ。また追加装備としては、「マルチトラッカー火器管制システム」から「ホーミング・ビーコン」、あるいは「シールドジェネレーター」まで豊富であり、この強大なバトルスーツの戦闘能力をさらに拡張することができる。
機体には3つのマウント用のハードポイントが設けられており、それぞれに用途の異なる武装を装備することが可能だ。
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア6版」(codex:Tau Empire)P40 イラストより
【クライシス・バトルスーツの基本スペック(異端審問庁「純血の団」(オルド・ゼノス)調べ)】
シリアルナンバー | 85673-908158 | 主兵装 | プラズマライフル |
形式番号 | XV8 | ||
機体のコードネーム | クライシス | 副兵装 | ミサイルポッド |
機体の種類 | バトルスーツ | ||
乗員 | 一人 | トラヴァース | 120° |
重量 | 2.5t | 仰角 | -90°から+90° |
全長 | 1.7m | 弾薬 | 複種類 |
幅 | 1.9m | アーマータイプ | 高密度ナノクリスタル合金 構成不明 |
全高 | 2.8m | ||
最高速度(ジェットパック使用) | 50km/h |
【主なバリアント】
- 「XV8 クライシス・バトルスーツ」
【概要】
一般的なクライシス・バトルスーツ。バトルスーツの中でも汎用性に優れ、様々な装備が選択できる。
XV8の機体で構成されたチームは、「クライシス・チーム」の名称で知られている。クライシス・チームは、タウのあらゆるバトルスーツ・フォーメーションにおいて、最も幅広く採用されている編成である。
というのも、機動性、柔軟性、高火力を兼ね備えたクライシス・チームは、タウの行う戦闘の全てを体現しているからだ。彼らは精鋭部隊であり、しばしばハンター・ケードリの急先鋒を担うこともある。
またコマンダーは彼らを強力な予備戦力として温存し、敵の攻勢にカウンターを与えたり、あるいは敵の中枢に鉄鎚の如き一撃を打ち下して一気に戦局を打開させることもある。単独行動の訓練を受けることもあるが、基本的にはクライシス・チームは二人ないし、三人の編成で訓練されることが多く、戦場で様々な役割を果たすべく、各々が多種多様な装備を搭載している。
例えば、大群を成す敵と戦うことになったチームは、バーストキャノンを複数選択するだろう。敵の軽装甲歩兵部隊を効率的に刈り取るうえで、最適な射撃武器だからだ。
より強大な、あるいは重装甲の敵に対しては、セラマイト装甲ですら融解させる「プラズマライフル」が選択されるはずだ。一方で、タンクハンターの役割を担うチームは、至近距離からのフュージョンブラスター射撃でこれを達成するだろう。
【バトルスーツ部隊の編成】
出身家門によって、武器や支援システムの嗜好は異なる、それは特定の戦術を指定した各々の家門に適合する形で成り立っているのだ。例えば、ヴィオルラ家門のクライシス・チームは、〈白日の炉〉(サンフォージ)と呼ばれる編成を好んで取ることが多いが、これは三体のXV8 クライシス・バトルスーツが一体となって行動する「タ=ロッチャ」、すなわち三位一体の作戦行動を意味している。
この編成を成す戦士たちは、全員が「ツインリンク・フュージョンブラスター」と「ターゲット・ロック」を装備することで知られ、この組み合わせによって、惑星ダルイスにおける反撃戦の際、レマン=ラス戦車の重戦車中隊は無数の溶解スラグの山へと変わった。また惑星「ニムボサ」の廃墟で繰り広げられた市街戦では、フレイマーとバーストキャノン、そして「興奮剤投与装置」(ローンハンター仕様)を搭載したバトルスーツを着装した単独の戦士が、帝国防衛軍歩兵たちを効率的にバリゲートの外へとあぶり出したのである。
【クライシス・ボディガード・チーム】
伝統的に多くのコマンダーは、古参の経験豊かな戦士をXV8 クライシス・チームの中から何人か選抜し、自らのボディーガード部隊を編成する。彼らはタウ語で「サズ=ナミ」と呼ばれ、これを直訳すれば「側近護衛部隊」の意味を持つ。
完全無欠と称されるほどの戦歴を有し、シャス=ヴレの位階に至った猛者たるファイアウォリアーたちだけが、コマンダーのボディーガードとなる資格を認められるのだ。クライシス・ボディーガードチームは、火のカーストの戦士たち全員から最大級の敬意を払われる。
というのも、いかなる犠牲を払ってもコマンダーの身を守ろうとする彼らは、〈大善大同〉の理念のために戦う姿を最も忠実に体現しているからだ。彼らはコマンダーを狙って放たれた敵の砲撃の前にさえ、進んで身を投げ出そうとする。
コマンダーに襲いかからんとする巨大怪物の前に、あるいはコマンダーを狙った強力なエネルギー兵器の砲弾の前に、自ら進んで飛び込んでゆく彼らの英雄譚は、タウの戦史のいたる所で溢れているのだ。必要とあらば、ボディーガード・チームは己が命を犠牲にしてでも、コマンダーを死から救おうと試みるだろう。
コマンダーが戦死したにも関わらず、自らが生き残ってしまうことほど、ボディーガードにとって不名誉なことはない。そのような不名誉を託ってしまった者は、余生の全てを、決して贖いようのない罪を贖おうという試みに費やすのだ。
【試作型を身に纏うボディガード】
XV8 クライシス・ボディーガード・チームはまた、標準装備となる以前の、試作段階にある最先端のバトルスーツ用装備を選択することも可能だ。ダルイス家門の“曙星たる司令”(コマンダー・ドーンスター)は、他のコマンダーですら賄うのが難しい高機能かつ貴重な「XV82-02 クライシス・イリジウム・バトルスーツ」を自らのボディーカードに着装させている。
だがこれは、全くもって道理にかなった決断である・・。コマンダーが勇猛果敢であればあるほど、クライシス・ボディーガード・チームの寿命は短くなるのが実情だからだ。
【清流たる司令の教え】
カゥヨン戦法に従って最前線に赴いて戦う場合でも、あるいはモント=カの鉄鎚を振り下ろす場合でも、チームに降りかかる危険は増大する。戦術の奥義を極めたと讃えられる“清流たる司令”(コマンダー・ピュアタイド)は、何度となくバランスの重要性を説いてきた。
このような大胆な戦術を積極的に取る姿勢に対しては、しばしばピュアタイドが残した「賢明なる将たる者、あらゆる戦力が最大限の力を発揮する時宜と領域と学ばねばならない」という警句が引き合いに出される。この叡智が示唆するところから、コマンダーはバトルスーツを着装し、同じくバトルスーツを着装した二人のシャス=ヴレを伴った形が、敵の射撃を凌ぎ、多大な火力を敵にぶつけるための最も理想的な部隊構成であると認識されるに至ってる。
だがいかなる編成であるにせよ、このような貴重な部隊を失うリスクは、決して見過ごされてはならないものだ。
画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「XV8 Crisis Battlesuit Team」 商品画像より(2021/08/13閲覧)
- 「XV82-02 クライシス・イリジウム・バトルスーツ」
【概要】
希少なイリジウム合金製の装甲で身を包んだクライシス・バトルスーツであり、通常のモデルよりも高い耐久性を誇る。〈惑星クロデイト制圧作戦〉において「コマンダー・ブライトスター」が敵狙撃兵の放った弾丸によって戦死を遂げ、残された火のカーストの戦士たちは撤退を余儀なくされた。
その後、地のカーストは試作段階にあったイリジウム合金を用い、ごく少数の小型バトルスーツの装甲板を製造する事に成功した。XV8-02試作機は、火のカーストの指揮官とそのボディーガードたちに対して、最高の防御効果をもたらすだろう。
画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「XV8 Crisis Battlesuit Team」 商品画像より(2021/08/13閲覧)
- 「XV85 クライシス“エンフォーサー”バトルスーツ」
【概要】
XV8-05はコマンダーが着装する標準的な仕様のクライシス・バトルスーツである。通常のクライシスよりも大型でかつ耐久性も向上している。
プラズマライフルをはじめとし、フュージョンブラスター、エアバースト・フラグメント・プロジェクター、サイクリック・イオン・ブラスターなどの多彩な武器を装備している。
画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「T'au Empire Commander」 商品画像より(2021/08/13閲覧)
- 「XV86 コールドスター・バトルスーツ」
【概要】
XV86はエンフォーサーの発展形機体であり、コマンダー専用のバトルスーツとして用いられる。流線型のフィンで機体が覆われており、戦場において高速戦闘を実現している。
機体に搭載された「フォトン・カウンターメジャー」と「テレメトリ・スイート」は、コールドスターの着装者に膨大な情報を提供する。コールドスターの機体から送られてくる情報は、素人目ではもはや把握できないほど膨大な量であり、コマンダーはこれらを素早く把握して戦闘や指令に役立てている。
コールドスターを着装したコマンダーは、敵のターゲッティング・システムが捕捉できないような素早く優雅な動きで敵を翻弄することが可能なのだ。
画像出典:ゲームズワークショップ公式通販サイト「T'au Empire Commander」 商品画像より(2021/08/13閲覧)
- 「XV88 ブロードサイド・バトルスーツ」
【概要】
ハンマーヘッド・ガンシップの強力無比なるレールウェポン・テクノロジーと、比類なき成功を収めたXV8 クライシス・バトルスーツの組み合わせは、XV88 ブロードサイド・バトルスーツとなって結実した。長距離火力支援を目的としたその機体は、当初の予測をはるかに上回る機体性能を持っていたため、各ハンター・ケードリの主力兵器となり、無数の敵戦闘車両を壊滅させた。
ブロードサイド・バトルスーツの「ヘヴィレールライフル」が放つ射撃は、粒子加速器からエネルギーを供給されており、分厚い「プラスティール」製の掩蔽壕をも貫通する。しばしば貫通した砲弾が防壁の反対側にまで穴を穿って飛びぬけるほど強力なのだ。
XV88が搭載する武器は、ハンマーヘッド・ガンシップに搭載されるレールガンほど大型では無いが。その射程距離と破壊力は決して侮れない。「ツインリンク・ヘヴィレールライフル」を機体に搭載するにあたり、地のカーストの技術者たちはXV8を改造する必要性に迫られた。
武装システムの追加によって重量が増大したため、XV8用のジェットパックを機体から取り除かねばならなかったが、XV88は移動距離と機動性を犠牲にする事で、従来には考えられなかった高火力と射程距離を得たのである。実践投入された試作機は、敵の射撃を回避する性能に乏しいことがすぐさま明らかとなり、より強固な装甲が追加されることとなった。
その後もXV88は機体姿勢制御装置と射撃反動軽減システムの改善が続けられており、近年でも、地のカーストはXV88の肩部分に固定されていたヘヴィレールライフルを両腕で構える形に改造している。
【ブロードサイド・チーム】
XV88 ブロードサイド・チームは、一人から三人で構成され、タウ軍の大多数の部隊とは異なり、固定の射撃陣地を必要とする。コマンダたちは、この長射程を誇る狩人らの射撃陣地を固定することの重要性を学んでおり、細心の注意を払って配置を行う。
というのも、戦闘中に射撃位置を変更することになれば、貴重な射撃時間を浪費してしまうのみならず、彼らの主力武器から射撃精度を奪ってしまう愚を犯すこととなるからだ。このような不利を補うために、彼らは副武装として「スマートミサイルシステム」を装備する。
センサーの有効範囲内に位置する標的に向かって射撃を浴びせられるスマートミサイルは、視界に捕捉していない標的にさえ命中させることが可能だからだ。
【恐るべき砲火】
タウと戦端を開いた種族は、このような重武装のバトルスーツと対峙したとき、恐怖を覚えずにはいられないであろう。〈ダモクレス征戦〉の際、XV88 ブロードサイド・バトルスーツが装甲車両に対する極めて大きな脅威であることを、〈帝国〉は認識した。
〈帝国〉の兵士たちが特に恐れたのは、ヘヴィレールライフルの銃口から放たれる超音速の弾丸が放つ、鈍い鞭打ちのような射撃音だ。その特徴的な射撃音を耳にした時点で、弾丸は既に命中し、装甲を貫いていたからである。
とりわけ、「タロス」や「イッセンハイム」の氷原などの開けた戦場においては、XV88は敵戦車部隊の全体を無力化し、速やかに煙を上げる残骸へと変えるほどの戦力を見せた。ティラニッドの巣窟艦隊「ゴルゴン」との戦いにおいても、ブロードサイド・バトルスーツは巨大生命体との戦闘時に特に高い適応力を発揮し、副武装の変更後にはさらなる戦果を上げた。
搭載されていた「ツインリンク・プラズマライフル」を「ツインリンク・スマートミサイル」に乾燥したXV88は、ティラニッドの巨大な戦闘個体である「バイオタイタン」との戦闘において、優れた戦闘効率を見せたのだ。
【装備】
あらゆるバトルスーツと同様、XV88 ブロードサイド・バトルスーツを着装するのは歴戦の猛者たちであり、洗練された支援システムも追加装備できる。近年、XV88の主武装として新たな選択肢が加えられたのは、〈大同盟戦争〉のことである。
この戦いにおいて、XV88のヘヴィレールライフルはツインリンク型の「ハイイールド・ミサイルポッド」に換装されたのだ。〈大同盟戦争〉当初、絶え間なく押し寄せるオルクの大波に対して、タウは劣勢に立たされていた。
タウは直感的にヘヴィレールライフルで敵の車両を攻撃し、一定の成果を上げたものの、膨大な数で進撃し続けるオルクを退けることはできなかったのだ。ハイイールド・ミサイルポッドは射程距離と貫通力をある程度犠牲としているものの、大規模な集中砲火を放つことを可能としており、粗雑で急造品として作られたオルクの戦闘車両を破壊する上でも申し分ない結果を出したのである。
この時以来、多くのコマンダーがこの武器を搭載したブロードサイド・バトルスーツをケードリに組み込んでおり、自らのバトルスーツ、あるいは自らの率いる部隊のブロードサイド・バトルスーツ部隊にこの武器を装備させる場合もあるようだ。
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア8版」(codex:Tau Empire)P64 イラストより
XV9 ハザードクローズサポート・バトルスーツ
【概要】
近接支援を目的として設計されたバトルスーツで、〈第三天球拡張〉期に導入された。非常に強力な火力を誇る機体だが、XV9の運用法はタウの軍事思想と相反するため、導入にあたっては内部で激しい論争が繰り広げられた。
XV9の主な核となる戦術は、短距離接近戦用の兵器プラットフォームとしての運用であり、その強化された機体は他のバトルスーツよりも大型のサイズを持つ。機体に搭載されたジェネレーターは実験的な技術を用いており、コンパクトなエネルギーコアを動力源とするため、強力な出力を持つ武装が搭載されている。
このハザードクローズサポート・バトルスーツが装備されている武装が論争の対象となっており、タウの軍事的な思想に反するだけでなく、製造にかなりの資源が要求されているため問題となっている。伝統的な価値を重んじている「霊のカースト」と「地のカースト」からは、「XV9に使用されるリソースはもっと実績のある武器の製造に使った方が良い」と主張しているが、XV9を使用している火のカーストの戦士、特に「ケルシアン家門」出身のファイアウォリアーからは、「XV9は反撃の能力を果たす能力を備えている」と主張しているのである。
XV9の操縦には高度な技術が要求されるため、機体を操縦する着装者は経験豊富なシャス=ヴレのみとなっている。彼らは通常、チームリーダーを含む1~3名のチームを組んで行動をする。
【装備】
XV9の標準的な仕様では、2基の「ツインリンク・バーストキャノン」を備えており、防御用装備として「フォトン・グレネード」を発射する「フォトン・キャスター」を内蔵している。跳躍移動を実現するジェットパックに加えて、機動性を更に高めるための「ベクター・レトロ・スラスター」を装備しており、危険時の緊急離脱が出来るように備えられている。
その他サポートシステムとして、「マルチトラッカー」、「ブラックサンフィルター」、「ドローンコントローラー」、「ターゲットロック」、「シールドジェネレーター」のいずれかを装備することが可能だ。
【主なバリアント】
- 「XV9-01 ハザードクローズサポート・バトルスーツ」
【概要】
メルタウェポンの一種である「フュージョンカスケード」を装備した機種。近接戦闘で特に力を発揮し、フュージョンカスケードから放たれる強力な熱線で敵を焼き払うのだ。
画像出典:ForgeWorld公式通販サイト「XV9 with Fusion Cascades」 商品画像より(2021/08/13閲覧)
- 「XV9-04 ハザードクローズサポート・バトルスーツ」
【概要】
イオンウェポンの一種である「フェーズドイオンガン」を装備した機種。フェーズドイオンガンは通常のイオンブラスターよりも安定しており、より強力な徹甲効果を実現する。
画像出典:ForgeWorld公式通販サイト「XV9 with Phased Ion Guns」 商品画像より(2021/08/13閲覧)
XV104 リップタイド・バトルスーツ
【概要】
〈第三天球拡張〉の「アグレラン戦役」にて初投入された大型バトルスーツ。幸先の良い初陣を飾ったXV104 リップタイド・バトルスーツには、大きな期待がかかっていた。
地のカースト脅威のテクノロジーにより、XV8の倍近くの身長を有するにもかかわらず、XV104の動作は、小型のバトルスーツたちと寸分違わぬ滑らかなものを実現し、〈人類の帝国〉が用いるウォーカーのような、ぎこちないサーボモーター駆動の歩行兵器群とは似ても似つかないものであった。リップタイドは10クラスの大型機であり、無数の武器と支援システムを搭載しているものの、れっきとしたバトルスーツの一種であることは変わりない。
それは一人の戦士によって着装され、操作される兵器なのである。リップタイドの製造には長い時間を要する。
高密度のナノクリスタル合金装甲の素材を確保することは容易ではなく、それを大量に必要とするリップタイドは、実に希少な兵器となるのだ。この強大にして貴重なバトルスーツを着装できるのは、クライシス・バトルスーツ・ボディーガードのように、コマンダーに対して気高き奉仕を務める者たちだけである。
リップタイドは着装者を支援する洗練されたAIシステムを搭載している。マルチトラッカーと神経接続式通信網は、リップタイドの操縦者とケードリの総司令かとの間に安定した通信回線を確保することが可能だ。
リップタイドはまた、新たに開発されたドローンである二機一組の「シールデッド・ミサイル・ドローン」によって支援を受けることがある。これはミサイルポッドとシールドジェネレーターを搭載した強力なドローンだ。
【発端】
この重量級バトルスーツ開発の嚆矢は、ヴィオルラ家門に対するオルクの大侵攻に遡る。火のカーストからは長い間、大型バトルスーツ開発を望む声が上がっていた。
敵と対峙した時、さらなる強力な武器で立ち向かいたいという声が途絶えることはなかった。粗雑で乱暴に作られていたオルクの原始的な兵器である「ストンパ」や「ガルガント」がくり出す圧倒的な火力は驚異的であり、タウはこれに太刀打ちできなかったのだ。
また〈ダモクレス湾征戦〉のさなか、火のカーストの戦士たちは完全武装した〈人類の帝国〉と相対し、「巨重戦車」(スーパーヘヴィータンク)や巨人機(タイタン)と最初の遭遇を果たした。科学技術レベルではタウが上であったが、それでもこの異種族の巨大兵器が放つもう火力には目を見張るものがあった。
タウの用兵思想には、人海戦術よりも機動力を重視し、また防御施設に立てこもるよりも一撃離脱戦術を取るべしとある。賢明なるコマンダーは、兵数で何倍にも勝る敵に対して恐れを見せることは無く、また敵がいかに巨大で凶悪な戦闘兵器を投入して来ようとも動揺する事は無い。
組織的な戦術や、厳格な統制と緻密なる戦闘計画があれば、そのような敵を相手に戦う不利を覆すことは不可能ではないからだ。しかし、事ここに至ると、いかなる戦いも制してきた百戦錬磨の名称である“清流たる司令”でさえも、ケードリが敵の大火力に対抗するための、重量級バトルスーツの開発の必要性を率直に認めたのである。
【継続される改善】
このような重要な要望が相次いだにもかかわらず、地のカーストの試みはことごとく失敗した。初期に作られた鈍重な試作機は〈火の掟〉の戦術には全く適応できず、着装者自身(及び彼が立つ大地自体)に計り知れない危険をもたらしたのである。
最終的にXV104の問題克服が実現できたのは、暗黒物質と融合させ小型の恒星に匹敵するほどのエネルギーを生み出すことが可能な、「小型ノヴァ反応炉」の試作型が登場したことによってであった。この装置は、風のカーストが操る大艦隊により強力な力をもたらしたが、近年に至るまで小型化が叶わなかったのである。
厳密には未だ試作段階ではあるものの、ノヴァ反応炉は高い安定性を示し、いくつかの問題は残っているものの、膨大なエネルギーを安全に生み出すことに成功している。リップタイドに備わった様々な高次機能は、無限といっても過言ではないほどの力を生み出すこの反応炉からエネルギーを分岐させることによって使用可能となる。
ただし、危険性が皆無というわけではない。シールドやジェットパックのブースト、あるいは武器をチャージする場合、XV104 リップタイドは過負荷によって危険なエネルギー漏出を起こし、操縦者の肉体を損傷したり、最悪の場合生命に危険を及ぼす可能性が残っているのだ。
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア8版」(codex:Tau Empire)P66 イラストより
XV107 ル=ヴァーナ・バトルスーツ
【概要】
先進的な装備を誇る試作型バトルスーツ。XV104 リップタイドの発展型であり、機動性を犠牲にした重装甲と2基の「パルスサブムニッション・キャノン」による高火力を持つ機体として設計された。
XV107を設計したケルシアン家門の地のカーストの技術者は、製造にかかるその莫大なコストのために、ル=ヴァーナの開発をほとんど放棄せざるを得なかった。この問題を解決したのは地のカーストの中でも最高ランクの技術者「フィオ=ウォ」の位階を持つケルシアン出身の「ショー=アウン」であった。
彼は「XV109 イ=ヴァーラ・バトルスーツ」や「KX139 リップタイド・バトルスーツ」を設計したとして名高い技術者であったが、導師評議会への反発を行ったことでも有名な悪名高き技術者としても知られていた。彼はステルス性と潜入性を向上させたユニットの開発を導師評議会から要求に目を向け、XV107の開発プロジェクトに新たなステルススーツの開発を目的とするためのリソースを割り当てたのである。
こうして完成したプロトタイプのXV107は早速、早速ケルシアン家門へ侵攻してきたティラニッドの巣窟艦隊への攻撃の際にロールアウトし、各主要都市でティラニッドの大軍を退けることに成功する実績を残した。しかし、後にショー=アウンが評議会に対する欺瞞が明らかになってしまうのだった。
画像出典:ForgeWorld公式通販サイト「XV107 R'Varna Battlesuit」 商品画像より(2021/08/13閲覧)
XV109 イ=ヴァーラ・バトルスーツ
【概要】
XV109 イ=ヴァーラ・バトルスーツは、ル=ヴァーナ・バトルスーツの成功を受けて急遽導入されたクラス10のバトルスーツであり、壊滅的な強襲をもたらすために設計されている。この目的を果たすため、機体には硬化セラミックをも蒸発させることが可能な「3連装フェーズドプラズマ・フレイマー」と、敵の機甲兵器を無力化するための巨大な「EMPディスチャージキャノン」を装備している。
イ=ヴァーラの機体に組み込まれた複雑な機構を持つ、「ベクトード・スラスタ・アレイ」により戦場の中を長距離飛行することができ、最も敵が密集している地点へと強襲をかけ、敵の多大なるダメージを与えた後にその場を素早く離脱することが出来るのだ。XV109の設計を担当したのはXV107 ル=ヴァーナ・バトルスーツと同じくショー=アウンであり、この機体はケルシアン家門における軍事思想を覆すパラダイムシフトを象徴している。
ケルシアン家門は長年にわたって異種族(ゼノ)からの攻撃を受け続けてきたことで、そこに住む者たちは堅実な現実主義と包囲網の精神が育まれた。その思想を反映したXV109は、ケルシアン家門を襲撃する敵に対抗するために設計されており、おそらくタウ・エンパイアが軽視していた東部の境界線における新たな拡張の段階を示すものである。
画像出典:ForgeWorld公式通販サイト「XV109 Y'Vahra Battlesuit」 商品画像より(2021/08/13閲覧)
バリスティック・スーツ
【概要】
バリスティック・スーツは、バトルスーツの中でも特殊な部類に属する。通常のバトルスーツは高機動戦闘、高火力の特徴を持つが、バリスティック・スーツは超高火力、長射程、低機動力を特徴としており、今までのバトルスーツとは一線を画す。
その姿はもはや人型兵器というよりも歩行戦車といってもいい代物で、大型化した機体にはジェットパックが搭載できないため、通常のバトルスーツよりも機動性に乏しい。そのため、タウ軍が得意とする高機動戦闘に向いた機体ではない。
しかし、バリスティック・スーツは巨体から放たれる超高火力、長射程の攻撃は、強力な火力と装甲を持つ「超重戦車」(スーパーヘヴィータンク)や「巨人機」(タイタン)に対して絶大な効果を発揮する。また、標準的なハンター・ケードリを大きく上回る規模の敵に対しても、バリスティック・スーツが導入されることも珍しくない。
【主なバリアント】
- 「KV128 ストームサージ」
【概要】
ストームサージは、タウ・エンパイアが誇るタイタンキラーとして設計された重火器プラットフォームである。タウ軍が〈帝国〉の巨人機や超重戦車といった超火力兵器に対して劣勢を強いられたことにより、地のカーストの「フィオ=イシュ=ロン」によって設計された。
KV128 ストームサージはバリスティック・スーツと呼ばれるタウの最初の新世代重装甲兵器であり、リップタイドよりも鈍重であるが、その搭載されている武器は絶大なる威力を誇る。機体には反動を抑えるためのスラスターと格納式のグラウンドアンカーが搭載されており、ストームサージが持つ火力の高さを物語っている。
ストームサージはかなりの重量があり、運搬時には特別に改造された「マンタ駆逐艦」によって輸送されるのである。実のところストームサージはバトルスーツというよりも歩行戦車といってもよいものであり、バトルスーツとしては珍しく二人乗りとなっている。
バトルスーツの操縦の経験を積んだシャス=ヴレがストームサージ本体を操作し、「ヴェス=オニ=ヴァシュ」と呼ばれる軍事アカデミー出身のパイロットが火器管制のシステムを操作する。ストームサージに搭乗することは通常のバトルスーツに乗ることよりも格式が低いと言われている。
そのため、操縦を担当するシャス=ヴレは自身の髪の毛を三つ編みにして、少しでも自らの高い位階を示そうとしているのだ。
【装備】
ストームサージの主武装は「パルスドライバー・キャノン」または「パルスアーク・キャノン」であるが、その他にも二基の「クラスターロケットシステム・ポッド」、四基の「デストロイヤー・ミサイル」、二門の「エアバースト・フラグメント・プロジェクター」、二基の「スマート・ミサイル・システム」、二門の「バースト・キャノン」、「ツインリンク・フラマー」など、数多くの副次的な武器システムが装備されており、圧倒的な弾幕と高火力で敵を圧倒する。
また、以前は宇宙船でしか運用されていなかった巨大で重量のある試作型兵器の実地テストを行う兵器プラットフォームとしても定期的に使用されている。
画像出典:コデックス「タウ・エンパイア8版」(codex:Tau Empire)P67 イラストより
- 「KX139 タウナール スプレマシーアーマー」
【概要】
タウ・エンパイア最大級のバトルスーツであり、タウに襲いかかる未知への脅威に対抗するために設計された巨大決戦兵器である。また拡大するタウの版図内の惑星を、他の異種族による脅威から防衛するためにも用いられる。
〈帝国〉のインペリアルナイトからティラニッドの巨大なバイオタイタンに至るまでありとあらゆる脅威に対抗できるように設計されたKX139は、他のバトルスーツ同様に高い機動力を持ってはいない。しかし、スプレマシーアーマーには大規模な破壊力を持つ長射程の武器を搭載しており、固定陣地からの攻撃や防衛を目的としている。
機体を設計した地のカーストの天才エンジニア「ショー=アウン」は、タウ・エンパイアの敵に対してダイナミックかつストイックな防御を行うためにKX139を開発したと語っており、通常のバトルスーツとは異なる設計思想を持っている。今まではマンタ駆逐艦のようなタウの重飛行艇は、敵の重攻撃部隊に対して劣勢を強いられてきた。
それらに対抗するため、高火力でかつ高耐久性を持ったスプレマシーアーマーが開発されたのである。
【装備】
KX139には豊富な武装が施されており、主武装としては機体背面に搭載された「パルス・オードナンス・マルチ・ドライバー」または「ネクサス・ミサイル・システム」を用いる。副武装として、両腕に三門の「イオン・キャノン」または「フュージョン・エラディケーター」、胸部に「バースト・キャノン」と「ミサイル・ポッド」を搭載した「ヴィジレンス・ディフェンス・システム」と呼ばれる二基の武装プラットフォームが備わっている。
その他の武器オプションとして、「ネクサス・ミサイル・ランチャー」や、「フラグメント・クラスター・シェル・ランチャー」が付随されている「ヘビー・レール・キャノン」などがある。防御用装置として「バリア・シールド・ジェネレーター」が搭載されており、タイタン級の武器の直撃にも耐えることができる。
画像出典:Warhammer Community記事「Warhammer Fest Live Blog」(2017/5/27)イラストより(2021/08/13閲覧)
小ネタ
余談だがタウ・エンパイアのバトルスーツのモデルとなったのは日本のアニメであり、劇中でよく題材にされる戦闘用人型ロボットを参考にしている。バトルスーツの頭部がVF-1 バルキリーっぽいのはマクロスを参考にしてるのかもしれない。
出典:月刊ホワイトドワーフ2001年10月号の「アンディ・チェンバース」氏の発言より。
追記・修正はシャス=ウィ(古参兵)の称号を得てからお願いします。
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- >>最高速度(ジェットパック使用)50km/h オイオイ、速度がドレッドノートの5倍出てるよ。 -- 名無しさん (2021-09-20 05:44:06)
- ↑クライシス・バトルスーツ(2.5t)はドレッドノート(12t)の重量に対して1/5以下の軽さでかつ、ジェットパックによる高速移動ができるので、ただの歩行機械であるドレッドノートの5倍の最高速度が叩き出せるのよ。 -- 名無しさん (2021-09-26 13:11:30)
- 「戦士達の栄誉の象徴」ってことは、種族そのものが全体主義の傾向が強く貴重な資源を多用する長い製作工程を要するのも相まって奪われでもしようものなら酷い不名誉と重罪として扱われるんじゃ……(味方以外が操縦を試みると問答無用に抹殺される機構もあるから強奪や分析も難しいんだろうけど) -- 名無しさん (2022-05-08 06:47:52)
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