登録日:2014/02/18(火) 17:22:44
更新日:2023/12/14 Thu 10:55:12NEW!
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短編 西岸良平 二重人格 ジキル博士とハイド氏 ジキル博士とホンダ氏
西岸良平の短編の一つ。
元ネタは勿論「ジキル博士とハイド氏」で、二重人格をテーマにした作品。
■あらすじ
本田健は、正義と真実のために戦うエリート新聞記者だったが、ある事件で左遷された。
そんな彼がある日、痔切(じきる)という博士が開発した二重人格を呼び覚ます研究について取材していく。
そこで、自分が実験体になってしまう……。
■登場人物
- 本田健
主人公。
正義感溢れて文武両道と完璧超人だが協調性がやや欠けている青年。
真実と正義のために新聞記者となるが、
政界汚職事件に深く関わってしまったことで上からの圧力で学芸部に左遷されてしまう。
実は捨て子。
- トモ子
健の元カノ。
彼が左遷されると知ると負け犬呼ばわりしてバッサリ切り捨てる。
- 痔切
二重人格の研究をしている博士。良くも悪くも研究者らしいは博士。
基本は温厚だが、酒を飲むとコイツも二重人格じゃね? と思うほど凶暴になる。
以下、ネタバレ含む
痔切博士が開発したのは、二重人格を呼び覚ます薬品「D-51」。
これは、どんな生物にも日頃抑圧されている潜在意識がある、つまり全ての生物は二重人格という学説を立証するための薬。
試しにネズミに投薬すると凶暴化し、同じカゴにいた猫を殺さんばかりの勢いで襲い掛かった。
人間にも試したところ、普段は大人しいが乱暴に、逆に乱暴な人が泣き虫になる結果が出た。
説明が終わると夜になり、博士は一杯交わしながら詳しい説明をすると居酒屋に健を連れて行く。
しかし、そこで博士は人が変わったように凶暴化して暴れ始めた。
二重人格のような博士に呆れる健だったが、自分の周りも本音と建前が違う「二重人格」なのではと考えていた。
その後、酔った博士を送り迎えしようとすると、
チンピラに絡まれてしまい見かねた健はチンピラ達を瞬殺する。
そこで健がヒーローのような性格と実力を持っていると知った博士は健を人体実験しようとする。
始めは断ろうとしたが、博士に押し切られる形で引き受けた。
偶に自分が何なのか解らなくなる時があるので内心は嫌ではなかった。
健のプロフィールを見た博士は今までの中で一番凶暴化すると断言し、
薬を投与した後に丈夫なクッションとその下に厚さ20センチの鉄板で覆われた部屋に閉じ込めた。
健は自分が二重人格でないと言い放ち、決して悪いところの無い人間と断言した。
そうして、「本田健」の人格は眠り、もう一つの人格が表れた……。
「本田健」が目を覚ますと、そこには瓦礫と化したワシントンで鉄骨を振り回していた自分の姿があった。
何が起きたのか解らず混乱した健だったが、ふと自分の体を見るとヒーローの様な衣装をしていることに気付く。
そして、全てを思い出した。彼の正体はスーパーマンだったのだ。
昔、遠い宇宙にスーパーマンが住むクリプトンという惑星があったが、天変地異により星が消滅してスーパーマンは絶滅した。
しかし、クリプトン最後の日にある科学者は産まれたばかりの子供をロケットで地球に送り込むことに成功したのだ。
その子供こそ、「本田健」。
しかし、彼は落下の衝撃で今の今まで自分がスーパーマンだったことを忘れていた。
ふと下を見ると新聞がありそこには、
一九八五年九月三十日
狂ったスーパーマンの恐るべき破壊により四百万人の人が死ぬ
人類の滅亡せまる
健が薬を投与したのは一九七八年。つまり、彼は七年もの間暴走していたのだ。
本来なら七時間しか効果が無い筈だが、スーパーマンには強く作用したのだ。
しかし、正義の味方であるスーパーマンにも心の底には抑圧された恐ろしい殺戮と破壊の心が潜んでいた。
スーパーマンの力は数億メガトンの水爆に匹敵する。
もし、スーパーマンが七年間も暴走していたら人類は……。
ばっばかな!
これはみんな夢だ!
あの薬で見ている悪夢なんだ!
そう言い聞かせた健は人類が滅亡した廃墟で一人佇んでいた……。
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▷ コメント欄
- すげー超展開w -- 名無しさん (2014-02-18 17:58:29)
- 気がついたら7年後とか…なにこれこわい -- 名無しさん (2014-02-18 18:15:59)
- スーパーマンがこうなったら・・・というIFがこれか。 -- 名無しさん (2014-02-19 09:44:39)
- パラレルワールドのスーパーマンか。こうなったら怖い。 -- 名無しさん (2014-02-19 10:01:57)
- 意外と博士は生きていてどこかで観察しているのかもな。 -- 名無しさん (2014-02-19 17:33:08)
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