登録日:2021/02/10 Wed 11:55:20
更新日:2024/05/24 Fri 13:46:57NEW!
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説明台詞 メタ発言 創作 説明しよう! 説明役 説明 ナレーション 富山敬 説明セリフ
都内某所にて、電話の着信音が鳴った。
「はい、もしもし、アニヲタです。
あ、冥殿さん。23時に、家でくつろいでる俺のスマホに電話してくるなんて、どうしたんですか?
え?アニヲタwikiに『説明台詞』の項目を立てて欲しい?
そんな、ただのWiki篭りの俺が、あの4万以上の項目を持ち、10年以上の歴史を持つアニヲタWikiに項目建てなんて…
たしかに、半年以上ROMり、さらに1年間追記・修正してきましたけど、まだ早いかな…って。
え?冥殿さんのアナルを?わかりました、やってみます!」
そう言って、彼は満面の笑顔で電話を切った。
説明台詞(せつめいゼリフ)とは、↑こういう感じのセリフである。
■概要
我々は「常識」というものを持ち、それを利用することで会話をスムーズにしている。
例えば、筆者が「クリスマスの日、東京スカイツリーに一緒にいかない?」という問いかけをした時、日本人の女性なら「あ、その日は用事があるので無理です」と即答してくる。
これは、この問いかけにどういう意味があるのか、固有名詞である「クリスマス」や「東京スカイツリー」とは何なのか、お互いに常識により分かっているからである。
しかし、常識を共有できない相手、例えばイスラム圏の子供に同じことを言えば、
「クリスマスとはいつだ?東京スカイツリーとは何だ?どこにある?どうやって行く?いつ発動する?」
と返してくるだろう。
この場合、「グレゴリオ歴で12月25日にあたる日に、日本国東京都墨田区にある高さ634メートルの電波塔、東京スカイツリーに飛行機や電車を使って一緒にいかない?」と説明を交えて問いかける必要がある。
常識を共有できない相手としゃべる場合、こういった説明的な話し方が必要になるのだが、これはマンガ・アニメに登場するキャラと、我々現実世界の人間にも同じことが当てはまる。
架空の世界の人間と現実の人間とでは、常識にズレが生じるのは当たり前だからだ。
そのため、「作中世界では当たり前で省略すべきこと、あるいは、発言する必要のない・発言すべきではないことなのに、読者・視聴者に説明するためにあえて追加された発言」つまり説明台詞・説明セリフが登場するのである。
■説明台詞の種類
国語学によれば説明台詞は9種類に分類できるそうだが、分かりにくい分類や廃れた文化もあるため、当wikiでは、下記のように分類し、それぞれ説明していくこととする。
なお、これらの説明台詞は併用して使われることもある。
①解説型説明台詞
初めて読んだ漫画に
A「おい、[[氷帝>氷帝学園]]が[[不動峰>不動峰中学校]]に負けたらしいぞ!」
B「おいおい、嘘だろ?」
という会話があったとしよう。
この会話だけを聞いても、読者は「氷帝とかいう存在は、不動峰とかいう存在に負けるのがありえないくらい実力差があるらしい」ということが何となく伝わってくるぐらいが精々で、ほぼ何も分からないのが普通だろう。
なぜなら、それらのことも、この世界の常識についても、読者は何も知らないからだ。
↑この会話を解説型説明台詞に変換すると
↓こうなる
A「おい、中学テニスの地区予選で氷帝学園が不動峰中学校に負けたらしいぞ!」
B「あの、200名以上の部員数と圧倒的な予算を持ち全国大会常連の氷帝学園が、毎年地区予選敗退で部員数もギリギリの不動峰中学に敗北しただって?!冗談だろ?」
おぉ、分かりやすい。これなら何があって、それがどういうことなのか、我々にもばっちり分かる。
この、読者に状況を分かりやすく解説するために意図的に追加・延長されたセリフが解説型説明台詞である。
本来こういった前提知識は、本編とは別の場所で解説すべきことであろう。
しかし、マンガやアニメではページ数や放送時間に限界がある上、文字だらけのページや単調な解説は読者や視聴者に見向きもしてもらえないことが多い。
そこで、こういった会話を含めることで、わざわざ解説のためのページを設けたり、設定資料集を買わせたりすることなく、世界観を読者に伝えることができるのである。
吉本新喜劇ではこの解説型説明がギャグとしても使われる。
よくある例としては
- 借金取りが催促に来ると、舞台になる場所(喫茶店や旅館など)の買い上げを狙う不動産屋が買い上げを前提に借金の建て替えを相手に提案
↓
- 相手から何らかの形で矛盾(借金取りと不動産屋は初対面のはずなのにお互いの名前を知っている等)を指摘される
↓
- 最終的には借金取りが「あ~これ以上言うな!言うと我々と不動産屋がグルになってこの土地の買い上げを狙ってることがバレてしまう!」と長々説明台詞をしゃべりバレる
というものがある。他にも逃げてきた相手を隠す際、匿った場所の前に立ち「ここには絶対におらん❗」と叫ぶネタもあり、これも解説型の派生と言えよう。
②復唱型説明台詞
アニメにて、Aに電話がかかってきたとする。
A「はい、もしもし……え、なんですって!?……それで場所は?!分かりました、すぐに向かいます!」
こう応答したとしよう。
内容が完結していないが、電話なので片一方の話しか伝わっていないため、特におかしいことではない。
しかし、これだけ聞いたとしても、視聴者は「何かとんでもないことが起きて、Aはどこかに行くんだな」くらいしか分からない。電話の相手が何をしゃべっているか聞こえないからだ。
↑この言葉を復唱型説明台詞に変換すると
↓こうなる
A「はい、もしもし、毛利です。え、なんですって?!犯人から『暗号つきの爆弾を仕掛けた』との犯行声明が届いた、ですって?!なるほど、そこで名探偵である私、毛利小五郎の力を借りたい、というわけですね。それで場所は?!米花シティービルですか…分かりました、すぐに向かいます!」
おぉ、分かりやすい。聞こえていないにもかかわらず、電話の相手が何を言ったか、手に取るように分かる。
こういった「電話の相手が言ったことを復唱する」ことで、何を話していたかを読者にも説明させる現象が復唱型説明台詞である。
相手が何をしゃべったか、を視聴者に伝えたいのであれば、電話の内容をそのまま視聴者に伝えればそれですむのだが、以下の理由で度々用いられる表現でもある。
- 編集の都合
相手が何をしゃべっているか、いちいち電話相手にシーンを切り替えたり、相手の声を編集で差し込むのが面倒くさい、または技術的に難しい場合に。
- 演者の都合
しゃべっている相手の俳優・声優をまだ出演させられない(させたくない)場合。
- 演出の都合
電話の話し相手やセリフの内容を隠したり、読者・視聴者に想像させたい場合などに。特定のセリフを強調する効果もある。
逆に言えば、会話の内容を吹き出しで簡単に入れられるマンガでは、この表現はあまり見られない傾向にある。
なお、電話で聴いた内容をリアルタイムで周囲にいる人間に伝えるため、あえて復唱型説明台詞を使うのは現実にもよくある話だったり。
一昔前までは、こういった説明台詞は電話(稀に手紙も)でしか用いられなかったが、平成期以降急増しているのが主人公が喋らないゲーム作品におけるパートナーのセリフである。
主人公のセリフを表示できない関係上、主人公の相棒やヒロイン、会話相手が主人公の言った内容を要約した上で復唱することが増えてきているのだ。
A「え?一人じゃ危険だから私にもついてきて欲しいって?しょうがないわね、つきあってあげるわ!」
こんな感じである。
普段は主人公の言ったことをほぼ全部復唱するクセに、先のストーリーのネタバレ防止のため、大事な部分だけははぐらかすパートナーにイライラした人もいるのでは?
また、電話を切った後に他の登場人物に説明をするパターンもある。こっちの方が自然である。
③伏線的解説台詞
巨大な氷を目の前にしたA達
A「この氷、リザードンの炎で溶かせないか?」
B「こんな巨大な氷、リザードンだけじゃ何時間もかかる。それじゃ間に合わない」
こんなシーンを想像して欲しい。
リザードンという炎を出せる何かをBは持っているようだが、どうやら力不足らしいことが分かる。
これを①で紹介したような解説型に変換することもできるが、この項で紹介するのはそうではない。この会話に伏線としての解説を仕込むのである。
↑この会話を伏線的説明台詞に変換すると
↓こうなる
A「この氷、リザードンの炎で溶かせないか?」
B「こんな巨大な氷、例え 伝説の炎ポケモン、エンテイがいたとしても何時間もかかる。それじゃ間に合わない」
言っている内容は全く同じだが、エンテイ、なる新たなる存在を読者に提示している。
エンテイが何者なのか、どんな能力なのかはAやBは常識として知っているようだが、読者には分からないし、この場合、分かってもらう必要もない。
しかし、このセリフ一つで、読者の中では「エンテイってのはリザードンよりもすごいのか、どんなヤツなんだろう」と想像を膨らませることができ、
また、実際にエンテイが登場した際には「あ、こいつがBの言っていたエンテイか!」と伏線のような役割を果たすのである。
この伏線の便利なところは、必ずしも回収する必要がないことである。
普通であれば、伏線を用意したのに回収しないと「あの意味深な会話はなんだったの?」「結局、あの手紙はなんだったんだ」とモヤモヤが読者に残るが、伏線的説明台詞であれば最後までエンテイとやらが登場しなくても、おかしな話ではない。
この点で、伏線としては気軽に扱いやすい部類に入る。
もちろん伏線として用意した以上、後で「リザードンよりすごい炎を出せるポケモンはいない!」なんて矛盾した説明をしてしまわないようには気を付けなければならないが。
④ナレーション・天の声
え? と思われる人もいるかもしれないが、ナレーションも説明台詞の一種である。
本来、作中で
A「日本中を旅している我々ですが、ご隠居、そろそろ紀伊の国に入りますよ」
という解説型説明台詞が入るところを、
↑これをナレーションに変換すると
↓こうなる
ナレーター「日本行脚の旅を続けるご老公様一行は、紀伊の国に足を進めている所であった」
こんな感じの文章が、作中の人物ではなく、ナレーターによって語られるのだ。
我々は表現として慣れ切ってしまっているので違和感は無いものの、こんな説明がどこからともなく、誰の声かもよくわからないままされているのは、冷静に考えればおかしいと言えよう。
作中の登場人物がナレーションが流れていることに気づきもしないのも、改めて考えれば不気味に思えてくる。
実際、生活水準があまり高くない国の貧しい人たちにテレビの映像を見せると、口の動きと声が合っていないこと、人が映っていないにもかかわらず声が聞こえてくることに混乱・恐怖することも少なくないという。*1
小説では地の文・ト書きの形になるところも、映像作品では画面に文章を表示して視聴者に読ませる、という表現はとりにくいのである。
しかし、何でもかんでも作中の人物に説明させていたのでは演者の負担が大きくなる上、セリフが増えるにつれ、重要なセリフの印象が薄くなる問題がある。
取るに足らないようなことであれば、ナレーションでサラッと流してしまうのも致し方ないだろう。
また「その時点では、登場人物の誰もその事実を知らない」ような内容を解説する場合、作中の人物に話させるワケにもいかないため天の声の出番になる。
■説明台詞の問題点
読者・視聴者に分かりやすく状況や物事を説明してくれる説明台詞だが、なんといっても「不自然」という大きな問題がある。
キャラが「あの鍛冶師の悪事を王様に報告しよう!」と言えば済むところを、
「やっぱり鍛冶師のホルグレンは、貴重な鉱石エルニウムを横領していたので、今すぐミッドガルド国 首都プロンテラの北にある王城へ行って、王様であるトリスタン3世様に報告しなければならない!」
などと長ったらしい説明台詞を喋り出せば、受け手としては違和感が拭えなくなってしまう。
1回だけなら「説明乙!!」というツッコミが入るくらいで済むが、何回もやると「なんで登場キャラは、みんな読者を認識していちいち説明を入れているんだ?」とメタ発言として扱われ、いっきに白けてしまうことになるだろう。
とある漫画家も自身の著書で、
「キャラクターとしてではなく作者として、読者にこびへつらう様なことをしゃべらせた途端、作品全体からリアリティーやキャラクター性が失われていく。」
「そのキャラが言わないような説明くさいセリフや、とってつけたようなカッコツケたセリフは逆に読者に何も伝えられない」と綴っている。
また、文章量、あるいは発声量が増えることで、読者・視聴者がかえって理解しにくくなる場合もあるだろう。
説明しすぎた結果、読者の想像の余地がなくなったり、逆に説明不足な部分が浮き彫りになる弊害もありうる。
こういった問題を抱えないためにも、過度な説明台詞の使用はできる限り控えたいところである。
■解説キャラ
説明台詞は基本的に忌避されているが、説明台詞をしゃべっても違和感のないキャラ、つまり解説キャラを出すことで解決できる場合もある。
彼らは主人公に説明する、という体で、間接的に読者に分かりやすく状況を説明してくれるのだ。
解説キャラとしては、以下の様な人物がなりやすい。
- 理系や物知り、ヲタク・・・自分の知識をひけらかすのが好き。時には誰も聞いてないにもかかわらず、ぶつぶつと独り言を言ってでも読者に解説してくれることも
- 先生やコーチ・・・人に物を教えるのが仕事であり、読者・視聴者すらも教育対象の例外ではない
- 冒険者ギルドの受付や異世界ではじめて出会った人・・・異世界転生モノに多い。親切でおせっかい焼きな彼らは主人公と読者にその世界のことを快く案内してくれるだろう。
- 口数が少ない人物の周囲の人・・・状況や心境を誰かが慮らなければ物語が進まない
- 味見役
- 参謀・知恵袋ポジション
- 言動の全てがメタ発言のキャラクター
■有名な説明台詞&解説キャラ
- ナレーター
しゃべるセリフが全て説明台詞。
ヤッターマンの様にわざわざ「説明しよう!」と前置きしながら語りかけてくるパターンも存在。
基本的にはナレーターはナレーターでありキャラ付けはされないのが基本だが、中には馴れーションの様に、妙な人気を確立することもある。
一方、ナレーターのしゃべりが視聴者にウケず、作品自体の評価が下がることもある。
やめとけ!やめとけ!
荒木先生は説明台詞を使わないんだ!
「どういうこった」って疑問に思ってもネタバラシが遅れるんだか遅れないんだか…
『ロバート・E・O・スピードワゴン』25歳 独身
説明は基本モノローグでそつなくこなすが今ひとつ違和感のない手段……
なんか一人で理解してるっぽい気配ただよう顔と態度をしているため結局敵には勝てるが
スピードワゴンだけは*2大声で解説ばかりさせられているんだぜ
悪いやつじゃあないんだがこれといって特徴しかない……印象の強い男さ
説明台詞としては特殊なパターン。作中、突然に自分の能力について説明をはじめる。しかし、これは読者のためなどではなく、彼の能力「命の音」の発動条件であるため。
このように説明台詞であっても、何かしらの理由をつけることで不自然さを軽減することができる一例。
とはいえ、HUNTER×HUNTERは1ページ丸ごと説明台詞で埋め尽くす、とかやったりもしているのだが…
- カードゲーマー、デュエリストのみなさん(遊戯王等)
カードを使うたびにその効果を口で説明している。
説明は義務ではないし、カードの効果について質問することもない。でも説明する。その習性を逆手にとって、あえて効果を説明しないのは勿論、嘘の情報を流して相手デュエリストや視聴者に騙し討ちを行ったキャラすらいる。
遊戯王のデュエルディスクにはカードの効果を確認する機能が無いわけではないようだが、その機能が適切に利用されたことは数少ない。
逆にデュエルディスクで効果確認をしようとしたところ、わざと効果を隠したりしたことも。隠した当人いわく「余興」。よって任意で隠したり公開できるようだ。
また、「自分の作戦を説明するセリフないしモノローグが入ると、結局それを実行できずに負ける」というジンクスもある。
いわゆる「説明はフラグ」。
HA☆GA「これでお前のモンスターは全て攻撃終了!
ポイズン・バタフライの効果でお前のライフはゼロだwwwヒョーッヒョッヒョッヒョwwwwヤッターwwwww俺の勝ちだー!!!」
ATM「何勘違いしているんだ?」
「教会についたぞ」←周囲には誰もいません
「そういえば聞いたことがある」
……とはあんまり言ってないが、アニメ版の影響もあって「テリーマンといえば解説」という印象を持つ方も多いだろう。
「ぬうっ、あれは薛瞑是の理符!よもや現存していたとは…」
「知っているのか雷電!?」
清の初代皇帝である太祖ヌルハチは武道を貴び、盛んに天覧試合を行った。
それに名乗りを上げた当代の達人、薛瞑是(せつ めいぜ)は並み居る武芸者をただ一撃のもとに破って名を挙げたのだが、そのあまりにも鮮やかな動きを見た者は誰しも目を丸くし、何が起きたのか分からない有様であった。
試合での動きを太祖に問われた薛瞑是は自分がいかにして相手の攻撃をさばき、急所に打撃を加えられたのかを的確によどみなく答えた。
太祖はこれを聞いて大いに喜び、高禄をもって薛瞑是を近衛兵の教官に召し抱えた。
薛瞑是は自らの武術の要諦を理符(りふ)と呼ばれる書簡に書き残した。これは武術を鍛錬する者に伝えるものとして簡潔にして過不足ない文言であり、こうして鍛え上げられた精兵により太祖は清帝国の繁栄の礎を築き上げたのである。
清帝国はその後の歴史の動乱の中に滅んだが、時宜に合った情報を間違いなく伝えることを良しとする薛瞑是の理符の精神は現代を生きる我々の中にも確かに息づいている。
民明書房刊『中国史に学ぶ文武両道の達人たち』より
きみは ゆくえふめいに なっていた マックじゃないか
これに限らず、関連作品を含め、X3のエックスは説明台詞が多い。
「それにしても第1話だというのにこれだけ状況をわかりやすく説明できるのは
改変素材として優秀というほかはない」
■無知キャラ
このように「解説キャラ」というのは便利なものだが、これにも限界はある。
まず、「解説できる内容は、ある程度他の人物も知らないような話題に限られる」という問題。
いくら物知りで自己顕示欲の強い人物でも、(読者・視聴者は知らないが)作中で誰でも知っているような常識をペラペラと話し始めるような奴はいない。
それは解説キャラを通り越してただの変な人である。
また、キャラ付けの一環となってしまうため、その人物に強く依存してしまう問題もある。
そのキャラを常時同行させるのも展開が縛られすぎるが、かと言って別の解説キャラを作るのも難しい。
何よりキャラクターのアイデンティティーに関わる部分であり、必ず解説キャラを入れるとなるとキャラの性格付けの幅が狭まってしまう。
そのため、よく見られるのは「何も知らなくて当然のキャラクター」を作ることである。
何らかの理由で作中で知っているはずの事柄を知らないとなれば、周りの人間がフォローのために教えてやるというシチュエーションも不自然でなくなる。
「解説キャラ」と呼ばれてしまうような作為的なキャラクターを入れずとも、適当な周囲の誰かに言わせればよいので展開の幅も広げられる。
説明に「なんだ、お前そんな事も知らねぇのか?」などと前置きを付けてやれば、それがその世界の常識であることが強調でき、キャラ付けにも繋がってなお良い。
無論、無知キャラと解説キャラが両方見られるような作品も少なくない。
具体的には以下のようなキャラクター、シチュエーションが挙げられる。
ド定番。
その人物の正体などの伏線を残すことができるのでストーリーも広げられる。
特定の時期だけの記憶が失われていたり、唐突に治ったり、「実は記憶喪失だった」と後付けで使ったりと自由に使える超便利要素。
「記憶喪失ってこんなに都合よく行くものなのか?」という皆が思う疑問も、何せ複雑な脳の働きなのでそんなこともあるのだろうと何とかなる。
- 異世界・異国・異星の人物
記憶喪失に次ぐ定番。
あくまでその世界の人物である記憶喪失に対して、世界自体が違うため根本的な常識も知らないという設定にしやすいのが利点。
いわゆる異世界モノの隆盛も、「どんな世界観も主人公=我々と同じ世界にいる人間に説明させることで早い段階で受け入れられるから」というメリットは間違いなく重要な要素だろう。
異世界・異国とは違うが、タイムスリップやコールドスリープで異なる時代に行くパターンもしばしば使われる。
異世界から来たと言うと色々問題が起きるので、記憶喪失を装って教えて貰うという複合パターンも割とある。
- 新人
物語のメインテーマである物を新たに始めたばかりの人や、舞台となる場所に入ってきたばかりの人。
能力バトル、競技、お仕事、学園などあらゆるジャンルでよく見られる。漫画のみならず小説、ドラマ、ゲーム等媒体も選ばない。
新人故に何も知らないのも、周囲が説明してくれるのも自然な展開
であり、新人を通して読者はメインテーマのみならず、登場人物の人間関係なども知ることになる。読者も感情移入しやすいため主人公の設定としては王道中の王道。
逆に主人公がその道のベテランの場合、もうひとりの主人公や二番手に新人キャラを配置し、主人公が解説役を務めるパターンが多い。
ゲームのチュートリアルでは、説明役が主人公に説明するという形式をとっているパターンも見られる。
- おバカ、劣等生キャラ
少年向け作品の主人公やコメディリリーフキャラでよく見られる。
本来なら立場上知っているべき知識もバカなのでわからない、忘れたというのも不自然ではない。
また自然な描写なら小難しい説明になりかねない所もおバカキャラのために「バカにもわかる説明」にしてもらう描写にすれば、読者にも分かりやすく説明してもらえる。
新人は物語が進むと新人ではなくなり説明してもらう必要が無くなってしまうが、バカならいつまでもバカなので無理がない。
- 熱血、直情系キャラ
ひと昔前のアニメやホビーアニメ等でよく見られるパターン。
とにかく目の前の実戦にしか興味がないため、情報を得ようとしないので本来なら知っているような業界の常識も知らない。
理論派のライバルに比べて主人公は直情型というキャラ付けにされることも多いので、その流れで行けば無理がない。
- 子供
無知と言えば子供。生きている年数が少ない子供なら色々なことを知らなくて当然。
…なのだが、このパターンは比較的少ない。
まともに常識も知らない子供となると相当幼い子供になるし、そのようなキャラクターを物語の主要人物に据えるとなるとストーリーにも大きく影響が出る。
そもそも子供に教えるのでは伝え方も変わって来たりと、説明の機会を作るどころの話ではなくなってしまう。
とはいえ、大まかな舞台設定を説明される役として序盤にだけ同行させる、ゲストキャラとして登場させる、回想シーンに幼い頃の人物を出す等、一時的な無知キャラとして出しやすいため、結局は作品によりけり。
生まれてすぐに文明から離されたり、培養器に入れられていたり、肉体だけ成長させられるなど、「精神的・知識的にだけ子供」というパターンでこの役を務める例もある。
- 人工知能や人造生物
子供パターンの亜種。言語能力はあるが知識がない、特定方面の知識はあるが常識は欠けている、またはその逆等の設定を調整しやすいのが特徴。
- ワトソン
名探偵シャーロック・ホームズの親友にして、その物語の語り部となる伝記作家ジョン・H・ワトソン。
彼は無知どころか医学博士号を持つ聡明な人物だが、名探偵であるホームズに比べると、その思考力はあくまで常人の域を出ない。
そんな彼が側にいることで、ホームズは「よくわかっていない相棒に説明してやる」という形で自然と推理の解説に入れる。いわば「相対的な無知キャラ」である。
彼のような「読者の目線に近い探偵の相棒」キャラは推理小説ではとても有用であり、多くの推理小説で踏襲され、ワトソンはその代名詞になっている。
■余談
ちなみに、国語学上、他に説明台詞に分類されるのには下記の物がある(一部は説明しにくいため省略)
ただ、アニヲタの間でこれらが説明台詞と呼ばれることは余りない(全くないとは言っていない)
〇自分が行っている行動(技名)を叫ぶ
例:リュウ「はどーけん!」 ケン「しょーりゅーけん!」 ザンギュラ「スーパーウリアッ上!!」
キャラが何をしているかを説明するため。たまに、技名と違う技を繰り出して、相手と読者を混乱させるヤツもいる。
〇新聞やニュース画面を映す
例:ニュースキャスター「臨時ニュースをお知らせいたします。ばいきんまん氏殺害の疑いでアンパンマン容疑者が逮捕されました」
画面にこういった要素を含めることで、事件の詳細を視聴者に伝える。まるで狙ったかのように、ちょうどいいタイミングで臨時ニュースが流れるのは、もはや様式美。
〇表現を変えての繰り返し
例:サイタマ「俺はアイツの顔を軽く殴っただけだ。握った拳をアイツの顔面にそっと叩きつけてやった、それだけなんだ」
同じ内容の文章を表現を変えて記述すること。確実に読者に何が言いたいかを説明したい時に。
〇言葉の活用形を変えることで身分や関係性を表す
〇特定の単語を用いることで、時間や性別を表す
古文において用いられた表現、らしい。外国語では現代でも使っている所は多いとか。
Wiki篭り「追記・修正お願いします」
↑このセリフを説明台詞に変換すると
↓こうなる
Wiki篭り「この説明台詞の項目は未だ不完全であり、足りない情報を補う『追記』や、誤った情報を訂正する『修正』が必要なので、今この項目を閲覧しているあなたにもご協力をお願いしています。」
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▷ コメント欄
- 知っているのか、雷電!? -- 名無しさん (2021-02-10 12:00:26)
- ナレーションのお株を奪うメガトロン様(トリプルチェンジャーの反乱より) -- 名無しさん (2021-02-10 12:07:48)
- アニメ版ジョジョ波紋編という説明セリフの聖地 -- 名無しさん (2021-02-10 12:18:54)
- 最近はアニメ化でナレーションの説明ゼリフが登場人物のモノローグに変更されるパターン増えたような。呪術とか -- 名無しさん (2021-02-10 12:40:16)
- 虚淵玄作品に多め。長台詞シーンを如何に退屈させずに演出するかが監督の力量を問われる -- 名無しさん (2021-02-10 12:41:13)
- 「実は、かくかくしかじかで……」「ええ!?○○さんが××で△△!?」「なんで分かるねん!」(吉本新喜劇) -- 名無しさん (2021-02-10 12:43:54)
- 説明をする前に別の説明をする必要があるという入れ子説明 -- 名無しさん (2021-02-10 13:10:07)
- ジョジョのスピードワゴンは? -- 名無しさん (2021-02-10 13:17:17)
- 真剣は切れ味がある分あつかいやすいし素人から玄人まで幅広く使われている武士の基本武器 対して研無刀は見た目なんかは真剣とほとんど変わらねぇがあえて斬れない様に鋭く研がない分 硬度と重量をかなり増加させて斬るより破壊を目的とした玄人好みのあつかいにくすぎる刀 使いこなせねぇとナマクラ刀より弱いただの鉄クズみてぇなもんだってのに何であのガキは? -- 名無しさん (2021-02-10 13:21:50)
- 初稿が高校なのを編集の時はスルーしちゃったけど、テニプリってあの貫禄・ビジュアルでも中学生(あんだけ暴れる連中が集まってても中学校の大会)なのよね… -- 名無しさん (2021-02-10 13:22:59)
- なお富野由悠季 -- 名無しさん (2021-02-10 13:25:42)
- 説明台詞の拗さを皮肉った五十嵐ワタル -- 名無しさん (2021-02-10 13:35:08)
- 富野監督は長ったらしい台詞がないから観やすくていい。 -- 名無しさん (2021-02-10 13:37:21)
- ↑7 だからって麻婆を挟んでぐるぐる歩かんでもええやろがい -- 名無しさん (2021-02-10 13:38:11)
- 個人的に印象的なのはオメガマンディクシアの登場時のセリフ -- 名無しさん (2021-02-10 13:43:55)
- 紙芝居形式のゲームだと説明臭い言い回しになるのは仕方がない所がある -- 名無しさん (2021-02-10 13:55:15)
- 金沙羅舞踏団! -- 名無しさん (2021-02-10 14:17:34)
- チュートリアルもキャラの説明台詞で行うマリオRPG系のゲーム。これに文句言ってる者はマリオの世界にリアリティを求めるな -- 名無しさん (2021-02-10 14:46:10)
- 浦沢義雄はテンポのいい説明台詞(説明しなくても視聴者的にも作中人物的にも当然の事項)を差し込むギャグが頻繁にある -- 名無しさん (2021-02-10 15:18:05)
- ハスタキック(槍攻撃) -- 名無しさん (2021-02-10 15:41:54)
- 旧キン肉マンの説明セリフの多さは異常 -- 名無しさん (2021-02-10 21:39:39)
- 渡る世間がめっちゃ淡々とした喋り方で説明口調なのは家事してる主婦にもわかりやすくするためだとか -- 名無しさん (2021-02-10 21:42:05)
- キャッ党忍伝てやんでえでナレーターが声優の顔写真付きで島流しにされてたな -- 名無しさん (2021-02-10 21:55:32)
- ゲームの他にも、主人公が喋らないASMR作品でも使われやすい。「…何?耳かきをしてほしい?」 -- 名無しさん (2021-02-10 23:43:52)
- アメコミ翻訳での④は、自身も含めた天の声での解説を「全能の語り部」と呼ぶ -- 名無しさん (2021-02-11 09:53:52)
- やりすぎるとサムライ8みたいになる -- 名無しさん (2021-02-11 10:59:30)
- 相談所で反対意見が無かったため、削除審議を外しました。 -- 名無しさん (2021-03-10 00:55:49)
- 台詞で言われてたかどうか忘れたけど、忍たま乱太郎では本来あってはいけない忍術学園の看板が読者の為にあえて置いてあるって設定だっけ -- 名無しさん (2021-03-10 18:44:55)
- 美味さや巧さ、映像だけで表現できないものは解説なしに成り立たない -- 名無しさん (2021-03-18 20:08:34)
- 浦沢義雄作品だと長ったらしい正式名称をいちいちフルで復唱するギャグが頻繁にみられる -- 名無しさん (2021-03-18 20:32:45)
- 自作の小説に「通信機を隠し持っていて本国に情報を送るためしょっちゅう説明台詞を言う」というキャラを書いたことあるがあまりの扱いの難しさにシレっと自然にやっているプロの腕前に唸ったことがある -- 名無しさん (2021-07-03 20:38:55)
- ニンジャスレイヤー:1minビフォアtheタヌキの「そんなっ、説明は!?」「せぬ!!」「が、読者の方々にはそうはいくまい(以下地の文=サンによる説明)」の流れは説明導入の極北だと思う -- 名無しさん (2021-07-03 20:50:03)
- 能力バトル物だと「無知キャラ」のひとつとして「まだその世界に足を踏み入れたばかりの新参者」がよく出てくる…というか主人公の王道だよね -- 名無しさん (2022-08-16 23:34:49)
- 冒頭でしれっと筆者がフラれてるの笑うべきなんだろうか -- 名無しさん (2023-07-20 13:22:24)
- 「スレイヤーズ」のガウリイは説明の為に「魔法に疎い奴」として作られたんだけど、そのうち「記憶力全般がやばい奴」になってしまったというな。 -- 名無しさん (2024-01-11 22:19:14)
- 遊戯王6巻の10万円チャンス回もなかなかの説明台詞の宝庫。 -- 名無しさん (2024-01-11 23:08:03)
#comment(striction)
*2 ジョセフ・ジョースターは相手がトリックにかかるまで黙っている
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