普通の銀と比べ、青味がかった輝きを持つ真銀は通常の銀よりはるかに軽く、高い強度と靭性を備えた魔法金属である。
その精製には大量の銀とドワーフの秘術、そして多量の魔法薬剤を必要とする。
錆びず、曇らず、魔術に対する抵抗力も持ち合わせていると言われ、真銀で作られた武器や防具は非常に貴重なものである。
この真銀で作られた武具の恐ろしさというのは、いくつか挙げられる。
ひとつ目は通常の金属より、魔力の伝達効率が非常に高いことである。
通常、杖をはじめとした魔導具に用いられる素材は、物質的な特徴として魔力を伝えやすい。
そうして流れた魔力が魔術回路として機能し、魔術は発動するのだが、魔力はその過程で、一定量魔術の発動とは関係なく散逸し、消費されてしまう。
こうしたことが起こるため、魔術と魔導師本人、あるいは杖、魔導書や儀式との相性が重視される。
しかし、真銀はそうした無駄な魔力の消費を起こさず魔術回路を作成できる物質であると言われており、例えば真銀製の杖を用いて魔術を使った場合、本来無駄に消費されるはずだった魔力をすべて魔術に注ぎ込むことができ、威力や精度の向上、あるいは使用負荷の軽減や使用回数の増加を見込むことができるという。
ふたつ目は、真銀は魔力の流れに干渉できるという特性を持つことである。
これは要するに、真銀は魔力回路そのものに干渉し、流れを妨げることができるということで、魔術そのものを断ち切ることもできるということである。
また、真銀で作られた防具は魔術を受けるとそこに使われている魔力を拡散させてしまうため、魔術の威力を弱めることができたとされている。
みっつ目は、真銀は魔力を伝えやすく、儀式の際に用いる祭具などに用いると、魔力の流れを整えて複数名の術者の魔力をひとつにすることが容易であるという点である。
これにより、大型の魔術回路を要する魔術の発動や、複数人の魔力を必要とする魔術を容易に行使することができたという。
また、そのように魔力の伝達物質としてみた場合、真銀の祭具は術者がその場にいなくとも魔力を伝えることができ、遠く離れた地に魔力を届けることが可能であったとも言われている。
現在では真銀の精製・加工には法的制限がかけられており、銀の一大産地であるアルトリオで認可が下りない限り真銀製の製品を新たに作るのは不可能である。
また、流通に真銀製の品が流れることもまずありえないことであり、真銀製を謳う代物はほぼ確実に贋作であると思った方がよい。
日緋色金と並び神話の時代より語り継がれてきた聖遺物の中には真銀でできたものもあるとされるが、それを確かめる術はない。
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