人と神がともにあった時代、世は栄えた。
しかしある時、天より穢れし火の雨が降った。
火の雨は「災いよ、あれ」と叫んだ。
火の雨は神域の門を焼き、大地に大きな穴を穿った。
大穴は「災いよ、あれ。災いよ、あれ」と唄った。
すると、土が雲となり、黒く煤けた雨が降った。
土の雲は日を遮り、煤の雨は大地の実りを腐らせた。
雨はさらに「災いよ、あれ。災いよ、あれ」と呟いた。
すると今度は、北風が雪を呼び、大地に冬の眠りが訪れた。
人々は嘆き、神々に助けを請うた。
だが、神域の門が焼け落ちてしまい、神々は大地に手を差し伸べることができなくなっていた。
神々は何とか力を合わせ、清めの雨を降らせることを決めた。
清めの雨は燃える火を消し、土の雲を洗い、煤けた大地を流した。
しかし、雨を降らせたウェルテミスは大地を救おうと必死になるあまり、雨を多く降らせすぎていくつもの島を沈めてしまった。
ウェルテミスは慌てて太陽神セルモンテスに大地を照らすよう求めたが、沈んでしまった大地は戻ってはこなかった。
ウェルテミスは自らの行いを恥じ、神域から大地に降りて人々を見守る役目を自らに課したという。
また、大神カルザミスは災いの地に開いた大穴が冥府に繋がってしまったことに気付かれた。
そこでウェルテミスが洗い流した穢れた土を集め、その土でエンデルクスに煉瓦を焼かせ、大地の大穴を塞ぐことにした。
しかし煉瓦の隙間から冥府の風が漏れてくるので、穴がふさがれた後も災いの地には草も生えず、不毛の大地になったのである。
また、この時に神域の門が崩れ落ちてしまったために神々と人々は互いに交わることができなくなってしまったのだという。
→大災厄
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