アルトゥーンではあまり好まれないサンドフォークの交易隊もこの街では歓迎される。
王国からの隊商は東域領であるこの街で半分は帰途についてしまうが、「本当の東西交易を知るにはこの先の砂漠越えを経験する必要がある」とは隊商の同業者組合に伝わる合言葉である。
この街ではサンドフォークからもたらされる砂蜥蜴の革や砂竜種の鱗など、東域でも珍しい物が手に入る。
逆に、この地域より先では麦や麻などの植物由来の物は貴重である。
同時に、エルフやツリーフォークの文化が通じず、ノームやドワーフの文化圏に入る。
多くの文化の衝突点であるこの街では文化交流が起きやすく、魔導師の同業者組合でも最大と言われる「黄金の夜明け団」はこの街に本拠地を置く。
街から少し離れた区画にはドワーフらの工房が並び、日夜様々な魔導具が作られている。
この工房ではアルトゥーンの制式軍装も作られており、東域諸侯の精強な兵を支えている。
余談だが東域正規軍ではドワーフやノームなど、小柄な体躯の者も多く、主力は兵の体格には似つかわしくない長大な槍兵による集団戦を得意とする。
騎兵も速さに主眼を置いた軽騎兵が主力で、東域の英雄シャルカーン将軍率いる王立騎馬兵隊第一槍騎兵大隊は竜討伐おいて幾度も活躍したとされている。
国土の狭い中央と広く国境を接するシェラハザードだが、過去七百年ほど都市国家同盟との関係は良好で、国境警備も一般の通行に関しては厳しくなく、中央の農夫も歓楽街を求めてこの街まで来ることは多い。
東域の酒というと乳酒や蒸留酒が一般的だが、この街では王国や中央で飲まれている麦酒や葡萄酒なども比較的安価に手に入れることができる。
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